JP3396492B2 - Pva分散型液晶/高分子複合膜の製造方法 - Google Patents
Pva分散型液晶/高分子複合膜の製造方法Info
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- JP3396492B2 JP3396492B2 JP21071392A JP21071392A JP3396492B2 JP 3396492 B2 JP3396492 B2 JP 3396492B2 JP 21071392 A JP21071392 A JP 21071392A JP 21071392 A JP21071392 A JP 21071392A JP 3396492 B2 JP3396492 B2 JP 3396492B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界や熱に対して応答
性を有し、各種情報の表示や記録を行うことが出来る液
晶/高分子複合膜及びその製造方法に関するものであ
り、該液晶/高分子複合膜は、調光パネル、ディスプレ
イ、記録媒体等に幅広く応用することが出来る。
性を有し、各種情報の表示や記録を行うことが出来る液
晶/高分子複合膜及びその製造方法に関するものであ
り、該液晶/高分子複合膜は、調光パネル、ディスプレ
イ、記録媒体等に幅広く応用することが出来る。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイは、低消費電
力、軽量、薄型等の特徴を有している為、文字や画像の
表示媒体として、腕時計、電卓、パソコン、テレビ等に
幅広く用いられている。一般的なTN及びSTN−液晶
ディスプレイは、透明電極を有するガラス板間に所定の
シール等が施された液晶セル中に液晶を封入し、更に両
面から偏光板でサンドイッチされたものである。しかし
ながら、(1)2枚の偏光板が必要である為、視野角が
狭く、又、輝度が不足している為、高消費電力のバック
ライトが必要である、(2)セル厚依存性が大きく、大
面積化が困難である、(3)構造が複雑で、セルへの液
晶の封入が困難な為、製造コストが高い等の問題があ
り、液晶ディスプレイの軽量化、薄型化、大面積化、低
消費電力化、低コスト化等には限界がある。
力、軽量、薄型等の特徴を有している為、文字や画像の
表示媒体として、腕時計、電卓、パソコン、テレビ等に
幅広く用いられている。一般的なTN及びSTN−液晶
ディスプレイは、透明電極を有するガラス板間に所定の
シール等が施された液晶セル中に液晶を封入し、更に両
面から偏光板でサンドイッチされたものである。しかし
ながら、(1)2枚の偏光板が必要である為、視野角が
狭く、又、輝度が不足している為、高消費電力のバック
ライトが必要である、(2)セル厚依存性が大きく、大
面積化が困難である、(3)構造が複雑で、セルへの液
晶の封入が困難な為、製造コストが高い等の問題があ
り、液晶ディスプレイの軽量化、薄型化、大面積化、低
消費電力化、低コスト化等には限界がある。
【0003】この様な問題点を解決する液晶表示媒体と
して、液晶を高分子マトリックスに分散させた液晶/高
分子複合膜の応用が期待され、その研究開発が活発化し
てきた。既に次に示す様な技術が開示されている。液晶
/高分子複合膜の製造方法は、主としてエマルジョン法
と相分離法に分類することが出来る。エマルジョン法に
は、液晶をポリビニルアルコ−ル(PVA)水溶液中に
分散させたエマルジョンから作製する方法(特公平3ー
52843号公報)、液晶エマルジョンをラテックスと
混合して水溶液から作製する方法(特開昭60−252
687号公報)等が挙げられる。
して、液晶を高分子マトリックスに分散させた液晶/高
分子複合膜の応用が期待され、その研究開発が活発化し
てきた。既に次に示す様な技術が開示されている。液晶
/高分子複合膜の製造方法は、主としてエマルジョン法
と相分離法に分類することが出来る。エマルジョン法に
は、液晶をポリビニルアルコ−ル(PVA)水溶液中に
分散させたエマルジョンから作製する方法(特公平3ー
52843号公報)、液晶エマルジョンをラテックスと
混合して水溶液から作製する方法(特開昭60−252
687号公報)等が挙げられる。
【0004】一方、相分離法は、更に液晶とマトリック
ス樹脂の相分離状態を固定する方法と膜形成時に液晶を
マトリックス樹脂から相分離させる方法に分類すること
が出来る。相分離状態を固定する方法としては、エポキ
シ樹脂中に液晶を分散した後、硬化する方法(特表昭6
1−502128号公報)、UV硬化樹脂中に液晶を分
散させた後、硬化する方法(特表昭62−2231号公
報)が開示されている。膜形成時に液晶を相分離させる
方法としては、硬化中に相分離させる方法、溶媒蒸発中
に相分離させる方法、及び熱可塑性樹脂の冷却過程で相
分離させる方法が、特表昭63−501512号公報に
おいて開示されているが、更に改良を加えた技術が種々
報告されている。
ス樹脂の相分離状態を固定する方法と膜形成時に液晶を
マトリックス樹脂から相分離させる方法に分類すること
が出来る。相分離状態を固定する方法としては、エポキ
シ樹脂中に液晶を分散した後、硬化する方法(特表昭6
1−502128号公報)、UV硬化樹脂中に液晶を分
散させた後、硬化する方法(特表昭62−2231号公
報)が開示されている。膜形成時に液晶を相分離させる
方法としては、硬化中に相分離させる方法、溶媒蒸発中
に相分離させる方法、及び熱可塑性樹脂の冷却過程で相
分離させる方法が、特表昭63−501512号公報に
おいて開示されているが、更に改良を加えた技術が種々
報告されている。
【0005】硬化中に相分離させる方法としては、液晶
とUV硬化樹脂混合系において、UV硬化中に液晶を相
分離させる方法(特開昭63−271233号公報及び
特開平1−252689号公報)、液晶と熱硬化型エポ
キシ樹脂混合系において、加熱硬化中に液晶を相分離さ
せる方法(特開昭63−287820号公報及び特開平
1−299022号公報)等がある。溶媒蒸発中に相分
離させる方法としては、活性水素基を有するアクリル樹
脂をマトリックスとするもの(特開平1−230693
号公報)、セルロースアセテートをマトリックスとする
もの(特開昭63−124025号公報)、液晶と相溶
性のない樹脂をマトリックスとするもの(特開昭63−
43993号公報)等がある。
とUV硬化樹脂混合系において、UV硬化中に液晶を相
分離させる方法(特開昭63−271233号公報及び
特開平1−252689号公報)、液晶と熱硬化型エポ
キシ樹脂混合系において、加熱硬化中に液晶を相分離さ
せる方法(特開昭63−287820号公報及び特開平
1−299022号公報)等がある。溶媒蒸発中に相分
離させる方法としては、活性水素基を有するアクリル樹
脂をマトリックスとするもの(特開平1−230693
号公報)、セルロースアセテートをマトリックスとする
もの(特開昭63−124025号公報)、液晶と相溶
性のない樹脂をマトリックスとするもの(特開昭63−
43993号公報)等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】液晶/高分子複合膜
に関する上記の従来技術において、液晶をPVA水溶液
で分散させたエマルジョンから作製する方法(特公平3
ー52843号公報)には、特にPVAとしてどの様な
ものを用いるかということに関しては何ら言及されてい
ない。しかしながら、一般的なPVAをそのまま用いる
と、コ−ティング適性が低い、電気光学特性が悪い、液
晶の滲み出しが大きい、又、液晶粒子の粒子径分布が広
いという種々の問題点がある。
に関する上記の従来技術において、液晶をPVA水溶液
で分散させたエマルジョンから作製する方法(特公平3
ー52843号公報)には、特にPVAとしてどの様な
ものを用いるかということに関しては何ら言及されてい
ない。しかしながら、一般的なPVAをそのまま用いる
と、コ−ティング適性が低い、電気光学特性が悪い、液
晶の滲み出しが大きい、又、液晶粒子の粒子径分布が広
いという種々の問題点がある。
【0007】コ−ティング適性が悪いと、均一な液晶/
高分子複合膜が得られず、セルの電気光学特性及び視認
性の大きな低下をもたらす。又、液晶の滲み出しが大き
いと、セルの経時安定性が乏しく、電気光学特性等の劣
化をもたらす。又、粒子径分布が大きいと、粒子によっ
て駆動電圧が異なり、急峻な立ち上がりが期待出来な
い。しかも、コントラストに大きな影響を及ぼす液晶と
ポリマ−マトリックス界面の面積が小さく、膜厚の減少
によってコントラスト比が低下するという問題が生じ
る。
高分子複合膜が得られず、セルの電気光学特性及び視認
性の大きな低下をもたらす。又、液晶の滲み出しが大き
いと、セルの経時安定性が乏しく、電気光学特性等の劣
化をもたらす。又、粒子径分布が大きいと、粒子によっ
て駆動電圧が異なり、急峻な立ち上がりが期待出来な
い。しかも、コントラストに大きな影響を及ぼす液晶と
ポリマ−マトリックス界面の面積が小さく、膜厚の減少
によってコントラスト比が低下するという問題が生じ
る。
【0008】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解決し、コ−ティング適性に優れ、均一な液晶
/高分子複合膜であって、セルの電気光学特性及び視認
性が良好で、液晶の滲み出しが少なく、セルの経時安定
性に優れ、電気光学特性等が安定しており、液晶粒子の
粒子径分布が狭く、粒子による駆動電圧の差が少なく急
峻な立ち上がりが期待出来、そのうえ、液晶とポリマ−
マトリックス界面の面積が大きく、膜厚の減少によって
コントラスト比の低下がない液晶/高分子複合膜を提供
することである。
問題点を解決し、コ−ティング適性に優れ、均一な液晶
/高分子複合膜であって、セルの電気光学特性及び視認
性が良好で、液晶の滲み出しが少なく、セルの経時安定
性に優れ、電気光学特性等が安定しており、液晶粒子の
粒子径分布が狭く、粒子による駆動電圧の差が少なく急
峻な立ち上がりが期待出来、そのうえ、液晶とポリマ−
マトリックス界面の面積が大きく、膜厚の減少によって
コントラスト比の低下がない液晶/高分子複合膜を提供
することである。
【0009】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、液晶を高分子水
溶液に乳化分散した後、塗布及び乾燥によって、液晶粒
子が高分子マトリックス中に分散して存在する液晶/高
分子複合膜を製造する方法において、高分子マトリック
スの主成分がポリビニルアルコール(PVA)であり、
PVA/液晶の混合比(重量比)が5/95〜50/5
0であり、PVAの重合度が300以上1,200以下
で、且つその鹸化度が50%以上85%以下であること
を特徴とするPVA分散型液晶/高分子複合膜の製造方
法である。
によって達成される。即ち、本発明は、液晶を高分子水
溶液に乳化分散した後、塗布及び乾燥によって、液晶粒
子が高分子マトリックス中に分散して存在する液晶/高
分子複合膜を製造する方法において、高分子マトリック
スの主成分がポリビニルアルコール(PVA)であり、
PVA/液晶の混合比(重量比)が5/95〜50/5
0であり、PVAの重合度が300以上1,200以下
で、且つその鹸化度が50%以上85%以下であること
を特徴とするPVA分散型液晶/高分子複合膜の製造方
法である。
【0010】
【作用】本発明では、使用するPVA/液晶の混合比を
特定の範囲とし、且つ重合度及び鹸化度を適切な範囲に
限定して液晶分散能を高めたPVAを用いることによっ
て、前記本発明の目的が達成される。
特定の範囲とし、且つ重合度及び鹸化度を適切な範囲に
限定して液晶分散能を高めたPVAを用いることによっ
て、前記本発明の目的が達成される。
【0011】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。本発明で用いることが出来
るPVAは、重合度が300以上1,200以下で、且
つ鹸化度が50%以上85%以下のものが好ましい。更
に、好ましくは、重合度が、500以上1,000以
下、鹸化度が60%以上80%以下のPVAである。各
種市販のPVAの特性を下記表1に示す。
発明を更に詳細に説明する。本発明で用いることが出来
るPVAは、重合度が300以上1,200以下で、且
つ鹸化度が50%以上85%以下のものが好ましい。更
に、好ましくは、重合度が、500以上1,000以
下、鹸化度が60%以上80%以下のPVAである。各
種市販のPVAの特性を下記表1に示す。
【0012】
【表1】 各種PVAの鹸化度と重合度
【0013】PVAの液晶乳化能は、その水溶液の表面
張力測定によって推測することが出来る。例えば、図1
及び図2に示す様に、PVA水溶液の表面張力は、重合
度及び鹸化度の低下と共に、低濃度領域から減少する傾
向にある。このことは、PVAの気液界面への吸着能が
重合度及び鹸化度が低い程高いことを示している。即
ち、PVA水溶液中において、重合度が低く、鹸化度が
低い程、液晶をエマルジョンに分散する能力が高いこと
を表わしている。従って、適切なPVAを選択すること
によって、水相中に存在する液晶の割合が少なく、液晶
がPVAでカプセル化され、粒子径の揃った液晶/高分
子複合膜が形成される可能性が高くなることを意味す
る。従って、本発明において好ましいPVAは上記表1
においては、KL−05、KM−11、KP−08(日
本合成化学製)等が好ましい(本発明はこれらの例示に
限定されない)。以上の如きPVAは1〜20重量%の
水溶液として用いるのが一般的であり、必要に応じてエ
タノール、エチルセロゾルブ等の水溶性有機溶剤を添加
してもよい。
張力測定によって推測することが出来る。例えば、図1
及び図2に示す様に、PVA水溶液の表面張力は、重合
度及び鹸化度の低下と共に、低濃度領域から減少する傾
向にある。このことは、PVAの気液界面への吸着能が
重合度及び鹸化度が低い程高いことを示している。即
ち、PVA水溶液中において、重合度が低く、鹸化度が
低い程、液晶をエマルジョンに分散する能力が高いこと
を表わしている。従って、適切なPVAを選択すること
によって、水相中に存在する液晶の割合が少なく、液晶
がPVAでカプセル化され、粒子径の揃った液晶/高分
子複合膜が形成される可能性が高くなることを意味す
る。従って、本発明において好ましいPVAは上記表1
においては、KL−05、KM−11、KP−08(日
本合成化学製)等が好ましい(本発明はこれらの例示に
限定されない)。以上の如きPVAは1〜20重量%の
水溶液として用いるのが一般的であり、必要に応じてエ
タノール、エチルセロゾルブ等の水溶性有機溶剤を添加
してもよい。
【0014】本発明で云う液晶とは、常温付近で液晶状
態を示す有機混合物であって、ネマチック液晶、コレス
テリック液晶、スメクチック液晶が含まれる。このうち
ネマチック液晶若しくはコレステリック液晶を添加した
ネマティック液晶が特性上好ましい。液晶中にコントラ
スト或いは色調を改善させる為に色素を含有させること
も出来る。二色性色素を添加した場合には、散乱−透過
型の複合膜としてばかりでなく、色素のゲスト−ホスト
効果により、光吸収(着色)−透明状態でスイッチング
する複合膜として使用することも出来る。これらの液晶
の使用量としては、PVA/液晶の混合比(重量比)が
5/95〜50/50であり、液晶の使用量が少なすぎ
ると、電圧オン時の透明性が不足するだけでなく、膜を
透明状態にする為に多大の電圧を必要とする等の点で不
十分であり、一方、液晶の使用量が多すぎると、電圧オ
フ時の散乱(濁度)が不足するだけでなく、膜の強度が
低下したり、又、適当な基材にエマルジョンを塗布する
ときに弾きの原因になるので好ましくない。
態を示す有機混合物であって、ネマチック液晶、コレス
テリック液晶、スメクチック液晶が含まれる。このうち
ネマチック液晶若しくはコレステリック液晶を添加した
ネマティック液晶が特性上好ましい。液晶中にコントラ
スト或いは色調を改善させる為に色素を含有させること
も出来る。二色性色素を添加した場合には、散乱−透過
型の複合膜としてばかりでなく、色素のゲスト−ホスト
効果により、光吸収(着色)−透明状態でスイッチング
する複合膜として使用することも出来る。これらの液晶
の使用量としては、PVA/液晶の混合比(重量比)が
5/95〜50/50であり、液晶の使用量が少なすぎ
ると、電圧オン時の透明性が不足するだけでなく、膜を
透明状態にする為に多大の電圧を必要とする等の点で不
十分であり、一方、液晶の使用量が多すぎると、電圧オ
フ時の散乱(濁度)が不足するだけでなく、膜の強度が
低下したり、又、適当な基材にエマルジョンを塗布する
ときに弾きの原因になるので好ましくない。
【0015】前記PVA水溶液に上記液晶を分散させる
方法としては、超音波分散機等の各種の撹拌装置による
混合方法や、膜乳化法(中島忠夫・清水政高、PHAR
MTECH JAPAN 4巻、10号(1988)参
照)等の分散方法が有効である。液晶エマルジョン粒子
の大きさは、用いる分散方法に依存するが、一般的には
0.5〜7μmの範囲にあることが好ましく、1〜5μ
mの範囲であることが更に好ましい。例えば、前記の如
きPVAと液晶とを組み合わせ、超音波分散法で液晶を
エマルジョン化した場合の液晶粒子の粒子径分布につい
て図3及び図4に示した。表1のPVAを用いて、液晶
(E−44)をPVA/E−44=40/60(w/
w)となる様に、超音波分散して得られた分散液の粒子
径分布は、分子量及び鹸化度の低下と共に狭くなってい
る。又、これらの分散液から得られた液晶/高分子複合
膜の構造は、図5に示す様に、粒子径分布の結果を反映
している。そして、この構造は、図6の電気光学特性に
反映しており、GL−05及びKL−06の様に、適度
な分子量と鹸化度のPVAおいてのみ優れた電界応答
性、高コントラストの液晶/高分子複合膜となってい
る。しかし、GL−05の鹸化度では、十分な乳化能が
なく、KL−05と比較して、ITO基材上ではエマル
ジョンのはじきが大きく、加工適性に劣っている。
方法としては、超音波分散機等の各種の撹拌装置による
混合方法や、膜乳化法(中島忠夫・清水政高、PHAR
MTECH JAPAN 4巻、10号(1988)参
照)等の分散方法が有効である。液晶エマルジョン粒子
の大きさは、用いる分散方法に依存するが、一般的には
0.5〜7μmの範囲にあることが好ましく、1〜5μ
mの範囲であることが更に好ましい。例えば、前記の如
きPVAと液晶とを組み合わせ、超音波分散法で液晶を
エマルジョン化した場合の液晶粒子の粒子径分布につい
て図3及び図4に示した。表1のPVAを用いて、液晶
(E−44)をPVA/E−44=40/60(w/
w)となる様に、超音波分散して得られた分散液の粒子
径分布は、分子量及び鹸化度の低下と共に狭くなってい
る。又、これらの分散液から得られた液晶/高分子複合
膜の構造は、図5に示す様に、粒子径分布の結果を反映
している。そして、この構造は、図6の電気光学特性に
反映しており、GL−05及びKL−06の様に、適度
な分子量と鹸化度のPVAおいてのみ優れた電界応答
性、高コントラストの液晶/高分子複合膜となってい
る。しかし、GL−05の鹸化度では、十分な乳化能が
なく、KL−05と比較して、ITO基材上ではエマル
ジョンのはじきが大きく、加工適性に劣っている。
【0016】この様に、適性なPVAの分子量及び鹸化
度において、初めて電気光学特性と加工適性を満足する
液晶のPVA分散液を得られる。即ち、PVAの分子量
が、1,200を越えると、粒子径分布の幅及び平均粒
径が共に大きくなり過ぎ、電気光学特性に問題が生じ
る。又、鹸化度が、85%を越えると、カプセル化が不
十分である為、粒子径分布の幅及び平均粒子径が共に大
きくなり、水相中へ液晶が取り込まれ、電気光学特性に
大きな悪影響を及ぼしたり、及ぼさないまでも加工適性
に支障をきたす。一方、重合度が、300未満である
と、複合膜自体の強度が損なわれ、又、鹸化度が50%
未満では、水溶性及び分散能に問題をきたす様になるの
で好ましくない。
度において、初めて電気光学特性と加工適性を満足する
液晶のPVA分散液を得られる。即ち、PVAの分子量
が、1,200を越えると、粒子径分布の幅及び平均粒
径が共に大きくなり過ぎ、電気光学特性に問題が生じ
る。又、鹸化度が、85%を越えると、カプセル化が不
十分である為、粒子径分布の幅及び平均粒子径が共に大
きくなり、水相中へ液晶が取り込まれ、電気光学特性に
大きな悪影響を及ぼしたり、及ぼさないまでも加工適性
に支障をきたす。一方、重合度が、300未満である
と、複合膜自体の強度が損なわれ、又、鹸化度が50%
未満では、水溶性及び分散能に問題をきたす様になるの
で好ましくない。
【0017】こうして得られた液晶粒子分散液から、液
晶/高分子複合膜を形成する本発明の方法は、適当な基
材上に通常の塗布方法で前記エマルジョンを塗布及び乾
燥する方法である。塗布方法としては、ブレードコーテ
ィング、ナイフコーティング、スライドコーティング、
スクリーンコーティング、イクストルージョンコーティ
ング、ファウンテンコーティング等が挙げられる。この
様にして得られる複合膜の厚みは5〜15μm程度が好
適である。
晶/高分子複合膜を形成する本発明の方法は、適当な基
材上に通常の塗布方法で前記エマルジョンを塗布及び乾
燥する方法である。塗布方法としては、ブレードコーテ
ィング、ナイフコーティング、スライドコーティング、
スクリーンコーティング、イクストルージョンコーティ
ング、ファウンテンコーティング等が挙げられる。この
様にして得られる複合膜の厚みは5〜15μm程度が好
適である。
【0018】本発明の別の好ましい実施態様では、前記
液晶エマルジョンを処理して、液晶を内包するマイクロ
カプセルを製造し、該マイクロカプセル分散液をそのま
ま或は分離後再度塗液を調製して上記の如き方法により
液晶/高分子複合膜を作製することが出来る。液晶の分
散したエマルジョンからマイクロカプセルを製造する方
法としては、化学的作製法及び物理化学的作製法の両者
を利用することが出来る。化学的作成法については合成
反応を用いる界面重合法、in situ重合法及び高
分子物性変化を生じさせる液中硬化被覆法がある。界面
重合法は重縮合或いは重付加反応する様な二種のモノマ
ーとして、水溶性のものと油溶性のものを選択し、いず
れかを分散させてその界面で反応させる方法である。i
n situ重合法は核材の内、又は外の一方からリア
クタント(モノマー及び開始剤)を供給し、カプセル壁
膜表面で反応させる方法である。
液晶エマルジョンを処理して、液晶を内包するマイクロ
カプセルを製造し、該マイクロカプセル分散液をそのま
ま或は分離後再度塗液を調製して上記の如き方法により
液晶/高分子複合膜を作製することが出来る。液晶の分
散したエマルジョンからマイクロカプセルを製造する方
法としては、化学的作製法及び物理化学的作製法の両者
を利用することが出来る。化学的作成法については合成
反応を用いる界面重合法、in situ重合法及び高
分子物性変化を生じさせる液中硬化被覆法がある。界面
重合法は重縮合或いは重付加反応する様な二種のモノマ
ーとして、水溶性のものと油溶性のものを選択し、いず
れかを分散させてその界面で反応させる方法である。i
n situ重合法は核材の内、又は外の一方からリア
クタント(モノマー及び開始剤)を供給し、カプセル壁
膜表面で反応させる方法である。
【0019】物理化学的作成法としては、相分離を利用
したコアセルベーション法、界面沈殿法、液中濃縮法、
液中乾燥法及び二次エマルジョン法等がある。溶解性の
減少により相分離を生じさせる単純コアセルベーション
法、電気的相互作用により相分離を生じさせる複合コア
セルベーション法も用いることが出来る。界面沈殿法は
激しい反応や急激なpH変化等が伴わない、温和な条件
でカプセル化が可能な方法であり、例えば、液晶核材を
分散したエマルジョンを疎水性高分子の溶剤溶液中に分
散させた後、更に保護コロイド水溶液に再分散させるも
のである。
したコアセルベーション法、界面沈殿法、液中濃縮法、
液中乾燥法及び二次エマルジョン法等がある。溶解性の
減少により相分離を生じさせる単純コアセルベーション
法、電気的相互作用により相分離を生じさせる複合コア
セルベーション法も用いることが出来る。界面沈殿法は
激しい反応や急激なpH変化等が伴わない、温和な条件
でカプセル化が可能な方法であり、例えば、液晶核材を
分散したエマルジョンを疎水性高分子の溶剤溶液中に分
散させた後、更に保護コロイド水溶液に再分散させるも
のである。
【0020】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。 実施例及び比較例 表2に示した各種PVAを用いて、PVA/液晶(商品
名:E−44、メルク社製)=40/60(w/w)と
なる様にE−44を超音波分散機で分散した。その結
果、PVAの分子量及び鹸化度の低下と共に、粒子径分
布の幅及び平均粒子径が好ましい方向に変化し(図
7)、電気光学特性が向上するだけでなく(図8)、加
工適性も同様に改善された(表2)。
具体的に説明する。 実施例及び比較例 表2に示した各種PVAを用いて、PVA/液晶(商品
名:E−44、メルク社製)=40/60(w/w)と
なる様にE−44を超音波分散機で分散した。その結
果、PVAの分子量及び鹸化度の低下と共に、粒子径分
布の幅及び平均粒子径が好ましい方向に変化し(図
7)、電気光学特性が向上するだけでなく(図8)、加
工適性も同様に改善された(表2)。
【0021】
【表2】 各種PVAの液晶(E−44)分散系におけ
るPVAの構造と加工適性 NL−05/E−44=40/60 KL−05/E
−44=40/60 GL−05/E−44=40/60 GM−14/E
−44=40/60
るPVAの構造と加工適性 NL−05/E−44=40/60 KL−05/E
−44=40/60 GL−05/E−44=40/60 GM−14/E
−44=40/60
【0022】
【発明の効果】本発明によって、コ−ティング適性に優
れ、均一な液晶/高分子複合膜が得られる為、該膜を表
示素子のセルとした場合、該セルの電気光学特性及び視
認性の大きな向上をもたらされる。又、本発明による複
合膜においては、液晶の滲み出しが少なく、膜の経時安
定性に優れ、電気光学特性等が安定する。更に、膜中の
液晶粒子の粒子径分布が狭くなり、粒子による駆動電圧
の差が少なくなり、急峻な立ち上がりを期待することが
出来、しかも、コントラストに大きな影響を及ぼす液晶
とポリマ−マトリックス界面の面積が大きく、膜厚の減
少によってコントラスト比の低下を防ぐことが出来る等
の効果がある。
れ、均一な液晶/高分子複合膜が得られる為、該膜を表
示素子のセルとした場合、該セルの電気光学特性及び視
認性の大きな向上をもたらされる。又、本発明による複
合膜においては、液晶の滲み出しが少なく、膜の経時安
定性に優れ、電気光学特性等が安定する。更に、膜中の
液晶粒子の粒子径分布が狭くなり、粒子による駆動電圧
の差が少なくなり、急峻な立ち上がりを期待することが
出来、しかも、コントラストに大きな影響を及ぼす液晶
とポリマ−マトリックス界面の面積が大きく、膜厚の減
少によってコントラスト比の低下を防ぐことが出来る等
の効果がある。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】PVAの分子量とPVA水溶液の表面張力との
関係を説明する図。
関係を説明する図。
【図2】PVAの鹸化度とPVA水溶液の表面張力との
関係を説明する図。
関係を説明する図。
【図3】各種PVA中の液晶粒子の粒子径分布を説明す
る図。
る図。
【図4】各種PVA中の液晶粒子の粒子径分布を説明す
る図。
る図。
【図5】液晶/各種PVA複合膜の構造を説明する図。
【図6】液晶/各種PVA複合膜の電界応答性を説明す
る図。
る図。
【図7】各種PVA中の液晶粒子の粒子径分布を説明す
る図。
る図。
【図8】液晶/各種PVA複合膜の電界応答性を説明す
る図。
る図。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平2−110520(JP,A)
特開 昭62−48789(JP,A)
特開 平2−110521(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 29/04
G02F 1/1333
G02F 1/13
Claims (4)
- 【請求項1】 液晶を高分子水溶液に乳化分散した後、
塗布及び乾燥によって、液晶粒子が高分子マトリックス
中に分散して存在する液晶/高分子複合膜を製造する方
法において、高分子マトリックスの主成分がポリビニル
アルコール(PVA)であり、PVA/液晶の混合比
(重量比)が5/95〜50/50であり、PVAの重
合度が300以上1,200以下で、且つその鹸化度が
50%以上85%以下であることを特徴とするPVA分
散型液晶/高分子複合膜の製造方法。 - 【請求項2】 液晶エマルジョン中の液晶粒子をカプセ
ル化する工程を含む請求項1に記載のPVA分散型液晶
/高分子複合膜の製造方法。 - 【請求項3】 液晶分散粒子の径が0.5〜7μmの範
囲にある請求項1に記載のPVA分散型液晶/高分子複
合膜の製造方法。 - 【請求項4】 乳化分散方法が、膜乳化方法である請求
項1に記載のPVA分散型液晶/高分子複合膜の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21071392A JP3396492B2 (ja) | 1992-07-16 | 1992-07-16 | Pva分散型液晶/高分子複合膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21071392A JP3396492B2 (ja) | 1992-07-16 | 1992-07-16 | Pva分散型液晶/高分子複合膜の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0632959A JPH0632959A (ja) | 1994-02-08 |
JP3396492B2 true JP3396492B2 (ja) | 2003-04-14 |
Family
ID=16593874
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21071392A Expired - Fee Related JP3396492B2 (ja) | 1992-07-16 | 1992-07-16 | Pva分散型液晶/高分子複合膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3396492B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107189293B (zh) * | 2017-05-27 | 2020-04-21 | 中国石油化工集团公司 | 聚乙烯醇系膜及其制备方法和由其制备的偏光膜 |
-
1992
- 1992-07-16 JP JP21071392A patent/JP3396492B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0632959A (ja) | 1994-02-08 |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |