JPH07110467A - 電着用液晶分散液組成物 - Google Patents

電着用液晶分散液組成物

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JPH07110467A
JPH07110467A JP27735193A JP27735193A JPH07110467A JP H07110467 A JPH07110467 A JP H07110467A JP 27735193 A JP27735193 A JP 27735193A JP 27735193 A JP27735193 A JP 27735193A JP H07110467 A JPH07110467 A JP H07110467A
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JP
Japan
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liquid crystal
electrodeposition
matrix resin
electrode
ionic
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JP27735193A
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English (en)
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Shuji Hattori
秀志 服部
Tatsuya Tabei
達也 田部井
Kei Ikegami
圭 池上
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電着塗布方法において、電着塗装用高分子マ
トリックス樹脂の酸価、ガラス転移温度、数平均分子量
及び中和度を適正化し、形成される液晶/高分子複合膜
周辺の隆起がなく、表示特性に優れた液晶光学素子を容
易に且つ経済的に提供すること。 【構成】 電気化学的に電極上に折出することが可能な
イオン性マトリックス樹脂と中和剤とマイクロカプセル
化液晶粒子を含む電着用液晶分散液組成物において、上
記イオン性マトリックス樹脂の酸価(樹脂固形分1g当
りの苛性カリのmg数)が20〜200、ガラス転移温
度0〜100℃及び数平均分子量10,000〜20
0,000の範囲にあることを特徴とする電着用液晶分
散液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電着用液晶分散液組成
物(液晶エマルジョン)に関し、更に詳しくは液晶が高
分子マトリックス樹脂中に分散して存在する液晶/高分
子複合膜を用いる光透過−光散乱型液晶表示素子の製造
に有用な電着用液晶分散液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレイは、低消費電
力、軽量及び薄型等の特徴を有している為、文字や画像
の表示媒体として腕時計、電卓、パソコン及びテレビ等
に幅広く用いられている。一般的なTN及びSTN液晶
ディスプレイは、配向膜が形成された透明電極を有する
ガラス板間に所定のシール等が施された液晶セル中に液
晶を封入し、更に両面から偏光板でサンドイッチされた
ものである。
【0003】しかしながら、上記の従来の液晶ディスプ
レイは、(1)2枚の偏光板が必要な為、視野角が狭
く、又、輝度が不足している為、高消費電力のバックラ
イトが必要である、(2)セル厚依存性が大きく、大面
積化が困難である、(3)構造が複雑で、セルへの液晶
の封入が困難な為、製造コストが高い等の問題があり、
液晶ディスプレイの軽量化、薄型化、大面積化、低消費
電力化及び低コスト化に限界がある。この様な問題点を
解決する液晶表示素子として、液晶を高分子マトリック
ス樹脂に分散させた液晶/高分子複合膜の応用が期待さ
れ、その研究開発が活発化してきた。
【0004】この様な液晶/高分子複合膜の主たる製造
方法としては、以下の如き方法が挙げられる。 高分子多孔質体に液晶を含浸させる方法。 液晶をポリビニルアルコールの水溶液中に分散させ
たエマルジョンをキャスト及び乾燥する方法(特表昭5
8−501631号公報参照)。 液晶と高分子を共通溶媒に溶解した溶液をキャスト
し、溶媒の除去に伴って液晶と高分子を相分離させる方
法(特表昭61−502128号公報参照)。 液晶とモノマーとの混合物中のモノマーを重合さ
せ、液晶と高分子の相分離構造を得る方法(特表昭61
−502128号公報参照)。 上記方法のなかでは、の方法が製造が簡便であり、構
造の制御及び膜厚の制御が容易で、且つ大面積化が可能
であるという利点があり、調光用のガラス等としては既
に実用化されている。
【0005】の方法により得た液晶/高分子複合膜
は、図1に示す様に、液晶14がマトリックス樹脂15
中に微小球状で分散されている。これは電圧が印加され
ていないときには、液晶分子はマトリックス樹脂の球状
壁にそって並び、液晶分子の複屈折性及びこのときの液
晶の異常光屈折率と高分子マトリックス樹脂との屈折率
のミスマッチングにより、入射光は液晶球の内部及び界
面で散乱される。この為液晶/高分子複合膜は不透明状
態となる。電圧が印加されると、液晶分子が電界の方向
に配向する為、液晶の常光屈折率と高分子の屈折率はほ
ぼ一致し、入射光は直進する為、液晶/高分子複合膜は
透明状態となる。
【0006】この様な液晶/高分子複合膜を用いた光透
過−散乱型液晶表示素子の表示特性として、駆動電圧、
電圧−光透過率曲線の急峻性、コントラスト及び視認性
等が挙げられる。駆動電圧及び急峻性については、この
液晶の粒子径の分布と密接な関係がある。視認性につい
ても、コントラストという視点からは、この液晶の粒子
径に依存するが、この様な液晶/高分子複合膜を用いた
光透過−散乱型液晶表示素子の場合、不透明状態におけ
る光散乱及び透明状態における光透過の膜面全体での均
一性、即ち、膜面全体の光透過率も極めて重要な要素で
ある。これを実現する為には均一な液晶/高分子複合膜
を形成することが必要とされる。
【0007】
【発明が解決しようとしている問題点】液晶をポリビニ
ルアルコール(PVA)水溶液中に分散させた液晶エマ
ルジョンをキャスト及び乾燥する従来法によれば、液晶
分散粒子の径やその分布を制御することが困難である
為、高い駆動電圧を必要とし、急峻性やコントラスト比
が悪いという欠点を有しているが、更に製造方法におけ
る問題点として、製造上の制約及び困難が大きいことを
挙げられる。先ず、キャストする液晶エマルジョンは、
均一な塗布に必要とされる流動特性を備えておらず、P
VAの界面活性能による気泡の混入や皮張り現象、又、
乾燥速度が遅い為に塗膜周辺が隆起するという問題点が
ある。
【0008】特に、この隆起の問題は、液晶表示素子を
作製する為に、対向電極を張合せることを不可能にして
いる。更には従来の塗布方法では、所定の位置及び所定
の部分に液晶/高分子複合膜を形成するというパターン
コーティングが不可能である。これは液晶が高価である
為に、液晶表示素子の作製上及びコスト上の大きな問題
点となっている。この様な製造上の問題点を解決する方
法として、電着塗布方法を用いる製造方法が提案されて
いる(特願平4−229546号公報参照)。しかしな
がら、電着塗布方法を用いても、電着用高分子の物性や
中和度が適正範囲内でなければ、形成された液晶/高分
子複合膜周辺の隆起を十分に防ぐことは困難であり、全
面コーティングの場合では、隆起した部分を取り除かな
ければ、対向電極と張合せることが出来ず、パターンコ
ーティングに至っては、各パターン毎にこの操作をする
必要が有り、事実上素子の製造が不可能である。従っ
て、本発明の目的は、電着塗布方法において、電着塗装
用高分子マトリックス樹脂の酸価、ガラス転移温度、数
平均分子量及び中和度を適正化し、形成される液晶/高
分子複合膜周辺の隆起がなく、表示特性に優れた液晶光
学素子を容易に且つ経済的に提供することである。
【0009】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、電気化学的に電
極上に折出することが可能なイオン性マトリックス樹脂
と中和剤とマイクロカプセル化液晶粒子を含む電着用液
晶分散液組成物において、上記イオン性マトリックス樹
脂の酸価(樹脂固形分1g当りの苛性カリのmg数)が
20〜200、ガラス転移温度が0〜100℃及び数平
均分子量が10,000〜200,000の範囲にある
ことを特徴とする電着用液晶分散液組成物である。
【0010】
【作用】電着塗布方法によって一方の電極基板面に液晶
/高分子複合膜を形成する際、用いる電着用液晶分散液
組成物の電着用イオン性マトリックス樹脂の酸価、ガラ
ス転移温度、数平均分子量、及び中和度を適正化し、且
つ液晶としてカプセル化液晶粒子を使用することによっ
て、容易に最適な厚みで均一な液晶/高分子複合膜を得
ることが出来、従って、形成される液晶/高分子複合膜
周辺の隆起がなく、表示特性に優れた液晶光学素子を容
易に且つ経済的に提供することが出来る。
【0011】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明で云う液晶とは、常
温付近で液晶状態を示す有機混合物であって、ネマチッ
ク液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶が含ま
れる。このうちネマチック液晶若しくはコレステリック
液晶を添加したネマティック液晶が表示素子として用い
る場合には特性上好ましい。又、メモリー機能が要求さ
れる場合にはスメクチック液晶を使用することが望まし
い。尚、液晶中にコントラスト或いは色調を改善させる
為に色素を含有させることも出来る。二色性色素を添加
した場合には、散乱−透過型の複合膜としてばかりでな
く、色素のゲスト−ホスト効果により、光吸収(着色)
−透明状態でスイッチングする複合膜として使用するこ
とも出来る。
【0012】上記液晶のマイクロカプセル化法として
は、一般的マイクロカプセル化技術を使用することが出
来る。一般的なマイクロカプセル化法には、化学的作成
法、物理化学的作成方法及び物理的・機械的作成法があ
る。化学的作成法については合成反応を用いる界面重合
法、in situ重合法及び高分子物性変化を生じさ
せる液中硬化被覆法がある。界面重合法は重縮合或いは
重付加反応する様な二種のモノマーとして、水溶性のも
のと油溶性のものを選択し、いずれかを分散させてその
界面で反応させる方法である。in situ重合法
は、核材の内又は外の一方からリアクタント(モノマ
ー、開始剤)を供給し、カプセル壁膜表面で反応させる
方法である。液中硬化被覆法(オリフィス法)は、予め
核材を壁膜材でカプセル化した後、その壁膜を硬化液中
で硬化する方法である。物理化学的作成法としては、相
分離を利用したコアセルベーション法、界面沈澱法(液
中濃縮法、液中乾燥法、二次エマルジョン法)及び融解
分離法がある。更にコアセルベーション法は、水溶液系
でも有機溶媒系でも用いることが出来る。
【0013】水溶液系では、溶解性の減少により相分離
を生じさせる単純コアセルベーション法、電気的相互作
用により相分離を生じさせる複合コアセルベーション法
を用いることが出来る。有機溶媒系では溶解性や温度等
の変化による相分離現象を利用する。界面沈澱法は激し
い反応や急激なpH変化等が伴わない、温和な条件でカ
プセル化可能な方法で、例えば、液晶核材を分散した水
溶液を疎水性高分子の溶剤溶液中に分散させた後、更に
保護コロイド溶液に分散させるものである。融解分散法
は壁膜材としてワックスやポリエチレンの様な蝋状物質
を用いるもので、加熱下で核材を蝋状物質と共に液中に
分散した後冷却する方法である。物理的・機械的作成方
法としてスプレー・ドライング法、気中懸濁被覆法、真
空蒸着被覆法等が挙げられるが、核材である液晶は常温
で液体であり、その大きさを整えるエマルジョンの作成
が前提となる為、液晶のカプセル作成法としては適して
いない。以上の如くして得られるカプセル化液晶粒子の
大きさは、用いる分散方法に依存するが、平均粒子径が
1〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0014】上記マイクロカプセル化液晶粒子のマトリ
ックス樹脂として用いる樹脂は、イオン性の官能基を有
し、電子の交換により水に対して不溶化して基板の電極
上に折出する様なイオン性マトリックス樹脂が含まれ
る。これらの電着用樹脂は電着塗装分野でよく知られた
樹脂であるが、本発明の目的達成には、その酸価、ガラ
ス転移温度、数平均分子量及び中和度を適正範囲にする
ことが必要である。特に、光学的特性、電気的特性、耐
光性等の観点からイオン溶解性基を有するアクリル系或
はビニル系モノマーの共重合体であることが好ましい。
又、イオン解離性基としては、アニオン電着として用い
られるカルボキシル基やスルホン酸基が挙げられるが、
カルボキシル基が好ましい。又、塗膜の耐水性や強度を
高める為に、マトリックス樹脂にメラミン樹脂等を添加
し、膜形成後に加熱硬化する方法等も用いることが出来
る。
【0015】上記イオン性マトリックス樹脂の酸価につ
いては20〜200、好ましくは50〜200、更に好
ましく90〜200である。酸価が20未満の場合、水
性媒体に対する溶解性が不十分であり、一方、酸価が2
00を越えると電着により析出した塗膜の媒体に対する
親和性が高過ぎる為、塗膜のタレ等の問題がある。ガラ
ス転移温度については0℃以上であることが必要であ
り、好ましくは30〜100℃である。ガラス転移温度
が0℃未満であると、電着塗膜を適正な膜厚まで均一に
成長させることが困難であり、又、塗膜の強度の点でも
不十分であり、一方、100℃を越えると電着塗膜の成
長を適正な膜厚で停止することが困難であり、又、塗膜
周辺の隆起を抑えることが困難である等の問題が生じ
る。数平均分子量については、10,000〜200,
000、好ましくは30,000以上である。数平均分
子量が10,000未満では塗膜の均一性が損なわれ、
一方、数平均分子量が200,000を越えると、樹脂
の媒体に対する溶解性が不十分である等の問題がある。
【0016】イオン性マトリックス樹脂のアルカリによ
る中和度については、マトリックス樹脂に導入されたイ
オン性解離基1当量当たり0.2〜3当量、好ましくは
0.5〜2当量、更に好ましくは0.6〜1.2当量で
ある。0.2当量未満では樹脂の媒体に対する溶解性等
が不十分であり、一方、3当量を越えるとガス発生の増
加による塗膜の再溶解、ピンホール等により塗膜の均一
性が損われる、又、塗膜中へのアルカリ混入量が多い等
の問題がある。
【0017】本発明において好ましいイオン性マトリッ
クス樹脂は、CH2=C(R1)-R2-COOH で表わされるモノマー
(式中R1 は、水素又はメチル基、R2 は存在しないか
又は置換基を有していてもかまわない炭素数2〜10の
炭化水素化合物)1種類以上と、CH2=C(R1)-COOR2 で表
されるモノマー(式中R1 は、水素又はメチル基、R 2
は置換基を有していてもかまわない炭素数2〜10の炭
化水素化合物)1種類以上との共重合体である、所謂ア
クリル系共重合体が特に好ましい。CH2=C(R1)-R2-COOH
で表わされるモノマーの代表的な例としては、アクリル
酸又はメタクリル酸が挙げられ、CH2=C(R1)-COOR2 で表
されるモノマーの好ましい例は、アクリル酸又はメタク
リル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシヘキシル
エステル等が挙げられる。以上の如きモノマーは夫々単
独でも混合物としても使用することが出来、その他上記
モノマーと共重合性である第三のモノマーを共重合させ
たものであってもよい。上記モノマーの種類、共重合
比、第三のモノマーの併用、連鎖移動剤の使用、重合条
件等を調整することによって、本発明において好ましい
酸価、ガラス転移温度、及び分子量を有するイオン性マ
トリックス樹脂が得られる。
【0018】本発明の電着用液晶分散液組成物は、前記
のカプセル化液晶粒子と上記のイオン性マトリックス樹
脂(非イオン性の樹脂を含んでもよい)を水性媒体中に
分散・溶解し、これに適当な中和剤を加えて得られる。
中和剤としては、例えば、無機物としては水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム等が挙げられ、有機物としては、
トリエチルアミン、ジエチレントリアミン等が挙げら
る。これらの中和剤の使用量は、イオン性マトリックス
樹脂のイオン性基がカルボキシル基である場合、該カル
ボキシル基1当量当たり0.2〜3当量となる割合であ
る。上記カプセル化液晶粒子、イオン性マトリックス樹
脂及び中和剤を分散・溶解させる水性媒体は、水を主成
分とするが、マトリックス樹脂の溶解性の向上及び平滑
な塗膜を得る為に、電着用液晶分散液組成物(電着液)
中に有機溶剤を添加することも好ましい。ここで用いら
れる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エ
チルセルソルブ等のセルソルブ類、グリコール、カルビ
トール等の親水性有機溶剤が好ましく用いられるが、場
合によりキシロール、トルオール等の疎水性溶剤も使用
することが出来る。又、使用し得る助剤としては、カプ
セル化液晶粒子の分散安定性を付与する為の界面活性
剤、塗膜の平滑性を良くする為のレベリング剤及び消泡
剤等が挙げられる。
【0019】上記成分からなる本発明の電着用液晶分散
液組成物における全固形分は約5〜40重量%の範囲が
好ましく、固形分が5重量%未満では液の安定性が悪く
マイクロカプセルが凝集したりして電着塗膜の均一性等
が不十分であり、一方、40重量%を越えると電着後の
電極引き上げ時に余分に槽外に持ち出される液晶粒子が
多い等の問題がある。固形分に占める各必須成分の比率
は、カプセル化液晶粒子を100重量部とした場合、マ
トリックス樹脂が約5〜50重量部であり、中和剤は前
記の当量比になる割合である。カプセル化液晶粒子の使
用量が少なすぎると、電圧オフ時の散乱が不足するだけ
でなく、膜を透明状態にする為に多大の電圧を必要とす
る等の点で不十分であり、一方、カプセル化液晶粒子の
使用量が多すぎると、電着塗膜の膜厚制御が困難にな
る。カプセル化液晶粒子の水性媒体中への分散方法とし
ては、超音波分散方法の他に機械的撹拌等の方法が挙げ
られる。
【0020】以上の如くして調製される本発明の電着用
液晶分散液組成物を用いて構成される液晶光学素子の1
例である多色表示素子の構成の1例を図1に示す。上記
液晶光学素子は、電極の作用をする透明導電膜13を有
するガラス又はフイルム等の基板11,12の2枚の間
に、本発明の電着用液晶分散液組成物から形成された液
晶/高分子複合膜1が狭持されており、上記液晶/高分
子複合膜1は、例えば、R(赤)、G(緑)及びB
(青)の三原色の色素を含む高分子マトリックス樹脂層
15からなる各画素領域(RGB)と、その中に分散さ
れたカプセル化液晶粒子14とからなっている。カプセ
ル化液晶粒子中には、マトリックス樹脂に含まれる色素
が吸収しない光を吸収する二色性色素が添加されている
ことが好ましい。液晶中の二色性色素は、電界による液
晶分子の整列に伴って分子方向を変える為、電圧の印加
・無印加によって各画素の光吸収特性が変化する。二色
性色素の吸収が十分低い状態では、その画素はマトリッ
クス樹脂中の色素による色を示し、二色性色素の吸収が
十分高い状態では、その画素は二色性色素とマトリック
ス樹脂中の色素と混色によって、例えば、黒色を示す。
【0021】上記の表示素子において、用いる液晶と二
色性色素の組合せにより2つのモードがある。Gの色相
の画素における概念図を図2a、bに示す。図2aのノ
ーマルモードの場合は、誘電異方性が正の液晶とp型色
素の組合せによって、電圧印加時にはマトリックス樹脂
相の色相を示し、電圧無印加時には黒色を示す。一方、
図2bのリバースモードの場合には、誘電異方性が負の
液晶とP型色素の組合せによって、電圧印加時に黒色を
示し、電圧無印加時にマトリックス樹脂層の色相を示
す。
【0022】マトリックス樹脂中に含まれる色素は染料
でも顔料でもよく、又、一部が液晶相中に含まれていて
もかまわないが、駆動電圧を上げる原因となるので、な
るべくマトリックス樹脂中に存在させることが好まし
い。液晶中の二色性色素がマトリックス樹脂層までも着
色してしまうことは、表示される画像のコントラストを
低下することになるので、なるべく避けなければならな
い。この為に液晶粒子はカプセル化されている。液晶中
の二色性色素は色度特性の向上や光利用効率の向上とい
う目的の為、RGB各画素ごとに異なるものを用いるこ
とが出来る。以上のRGBの各画素領域は、ストライプ
状、モザイク状等の規則的なパターンにより配置され、
これらの領域には夫々対応する電極が設けられ、各画素
毎に電圧印加のオン・オフが可能となっている。高分子
分散型液晶層セルの後方には、拡散反射板2が設けら
れ、十分な明るさを得る為に通常後方に白色光源3が設
けられる(図1参照)。
【0023】次に、本発明の電着用液晶分散液組成物を
用いる液晶表示素子の製造方法を説明する。本発明の電
着用液晶分散液組成物は、図3に模式的に説明する様
に、電着塗装方法を用いる液晶/高分子複合膜の形成に
適している。ここで云う電着塗装方法とは、電着液中に
塗布基板となる主電極と対向電極とを配置して通電し、
電着液中の固形分(マトリックス樹脂+カプセル化液晶
粒子)を電気的に主電極である基板上に吸尽若しくは沈
着させて塗膜を形成する方法である。次いで塗布基板を
取り出して溶剤を除去することにより、カプセル化液晶
粒子が高分子マトリスク中に分散した液晶/高分子複合
膜が得られる。上記で使用する電着塗装には、アニオン
電着とカチオン電着とがあり、電着物質がカチオンとし
て存在するか、アニオンとして存在するかによって分類
されるが、本発明の電着用液晶分散液組成物におけるイ
オン性マトリックス樹脂はアニオン性であるので、アニ
オン電着で行う。
【0024】使用する電極基板は、少なくともいずれか
一方が、例えば、ITO、SnO2系、ZnO系の様な
透明導電性を付与したガラスや高分子フイルム等の様な
透明な基板である。電着塗布方法においてこの様なIT
O基板等を主電極として陽極に用いる場合には、カチオ
ン電着では、電着時に酸性化合物である中和剤により基
板表面の導電膜の結晶が変質し、黒褐色の高抵抗不透明
物質となる為、アニオン電着法を用いることが好まし
い。上述したITOの様な透明導電性物質が付着した基
板を用いるのは、基板が透明であれ、不透明であれ、I
TO等を予めパターンニングしておき、必要な領域にの
み塗膜を電着させることが出来るので都合が良いからで
ある。電極基板の必要部分にのみ電着塗膜を電着させる
方法としては、上記の様なITO等のパターニングの他
に、レジストで予めパターンを形成しておき、レジスト
を除去して電極が露出した部分にのみ電着塗膜を形成さ
せることが出来る。勿論、この場合にも電極自体がパタ
ーニングされていてもよい。この方法は対向電極を張り
合わせた時にレジスト自体がシールの役割を果たすこと
が出来るという利点がある。又、レジストを黒色に着色
しておけばブラックマトリックス樹脂としての機能も付
与することが出来る。
【0025】本発明の電着用液晶分散液組成物を用いる
素子の製造方法は、例えば、図3に示した様な電極の形
状及び配置によって説明することが出来る。図3を参照
すると、液晶光学素子の一方の電極基板31を、本発明
の電着用液晶分散液組成物32中に主電極として浸漬す
る。この電極基板31には、所望の領域に所望の形状の
液晶駆動用電極33が形成され、該電極基板31が電着
塗装の陽極となる様に電源に接続されている。これに対
して電着塗装に必要な対向電極板34が、上記電着液3
2中に浸漬されている。この対向電極34は、図示の様
に上記電極基板31の電極33と相似形状、好ましくは
合同形状となっており、主電極と対向電極の電極部の中
心を結ぶ直線が両電極面に直交する位置関係に配置さ
れ、対向電極34は陰極となる様に電源に接続されてい
る。対向電極34として液晶表示素子に使用する電極基
板と同一形状の対向電極を使用すれば、主電極33と対
向電極34はその電極の形状が全くの合同形状となる。
【0026】この状態で、両電極33,34の間に通電
すると、電着液32中のカプセル化液晶粒子は、アニオ
ン性マトリックス樹脂と共に、電極基板である陽極33
に電気泳動され、電極基板の電極33面に液晶/高分子
複合膜が沈着形成される。この際、主電極33及び対向
電極34は正対しており、且つ相似形状、好ましくは合
同形状であるので、対向する2枚の電極33,34間に
おける電流密度は一定となり、電極基板である主電極に
沈着形成される液晶/高分子複合膜の領域は、電極基板
に形成された電極33と正確に同一となり且つ形成され
る液晶/高分子複合膜の厚みは全面に渡って均一とな
る。この様にして得られる複合膜の厚みは4〜15μm
程度が好適である。以上の様にして形成された液晶/高
分子複合膜を必要に応じて架橋させ、しかる後に液晶表
示素子用の他の電極基板を適当な手段により貼合するこ
とによって所望の液晶表示素子が得られる。
【0027】本発明の電着用液晶分散液組成物を使用す
れば、電極基板面に一様の液晶/高分子複合膜を形成す
ることが出来るが、その他にもRGBの高分子分散型液
晶層を基板上に形成させることが出来ることは当然であ
る。これらの方法としては、以下の方法を用いることが
好ましいが、これらの方法に限定されない。 (1)電気絶縁性の基板上に複数の領域に分割された導
電性の膜からなる電極を設け、各電極を選択して電圧を
印加し、電圧の印加された電極上に上記の電着塗装方法
により、高分子分散型液晶層を形成させ、前記操作を繰
り返すことにより各電極上に多色の高分子分散型液晶層
を形成する方法。 (2)導電性の基板に所定のレジストパターンを形成
し、レジスト開口部に電着塗装方法により、高分子分散
型液晶層を形成し、更にレジストの一部を所定のパター
ンに除去して電極を露出させ、該露出された電極上に異
なる色相の高分子分散型液晶層を形成する方法。 (3)表示電極とは別の基板を用い、上記(1)又は
(2)の方法によりパターニングした高分子分散型液晶
層を表示基板上に転写する方法。
【0026】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。 実施例1 伊勢化学工業製の膜乳化システムを用い、以下の条件で
連続相と分散相の重量比が200:20の液晶エマルジ
ョンを製造した。 分散相……ネマチック液晶(BDH社製、E−44) 18部 メタクリル酸メチル 2部 アゾビイスイソブチロニトリル 0.05部 連続相……ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、KP−06) 5%水溶液 多孔質ガラス……伊勢化学工業製、MPG(細孔径:0.27μm) 管内圧力……2.85〜2.95kgf/cm2 管内流速……0.8m/sec
【0027】得られた液晶エマルジョンを撹拌すること
なく、70℃で6時間加熱し、液晶を内包するマイクロ
カプセルを得た。遠心分離法により、上記カプセルを単
離し、以下の組成の本発明の電着組成物を調製した。電着組成物組成 上記マイクロカプセル 90部 表1に記載のアニオン性アクリル樹脂 9部 トリエチルアミン 2部 エタノール 18部 水 880部 (中和度=100%)
【0028】上記電着組成物を電着浴に入れ、ITOを
パターンニングしたガラス基板を陽極、該ガラス基板の
ITOと同じ形状で同じ面積の白金から成る対向電極を
陰極とし、電極間距離1cmに保ち、室温にて15Vで
30秒間通電して電着した後、室温で24時間乾燥させ
た。得られた複合膜は、図4aに示す様な膜周辺部の隆
起がなく、ITOパターンと同じ形状で同じ面積で且つ
均一な液晶/高分子複合膜が得られた。ここで用いたア
ニオン性アクリル樹脂(後記表1中のサンプルNo.
5)は以下の如くして合成した。
【0029】合成方法 下記の組成液を調製し、撹拌器及び還流冷却器を備えた
セパラブルフラスコ中で、窒素気流下60℃で6時間重
合反応させて合成した。 メタクリル酸 17部 メタクリル酸メチル 20部 メタクリル酸ブチル 70部 2−エトキシエタノール 150部 アゾビスイソブチロニトリル 2部 反応終了後再沈澱法によりポリマーを単離精製した。前
記合成例において単離精製したポリマーの諸物性は次の
ような方法で決定した。
【0030】酸価:所定量の樹脂を所定量のエタノール
或いはテトラヒドロフランに溶かし、指示薬としてフェ
ノールフタレインを加え、1/10規定水酸化カリウム
溶液で滴定することにより求めた。ガラス転移温度(Tg) :示差走査型熱量計(パーキン
エルマー製、DSC7)を用いて求めた。数平均分子量(Mn) :ゲル浸透クロマトグラフィー
(使用カラム:昭和電工製、Shodex KF−80
5、KF−803、KF−802;トーソー製、G20
00HXL、使用装置:トーソー製、HLC−802A)
を用いて、標準ポリスチレンで換算された値として求め
た。
【0031】パネルの作製及び動作確認 実施例1で得られた液晶/高分子分散膜は、電着基板と
同一にパターニングされた対向電極基板により、パター
ニングが直交する様にサンドイッチしてパネルを作製し
た。このパネルの各画素は、電圧無印加時には白色を示
し、電圧を印加することにより透明になった。又、バッ
クライトを設けることによって、より明るく且つ鮮やか
な白濁−透明の変化が確認された。又、視野角依存性は
事実上無く、あらゆる角度から鮮明な表示を見ることが
出来た。
【0032】比較例1 実施例1におけるアニオン性アクリル樹脂を代えて表1
中のサンプル No.9のアニオン性アクリル樹脂を用
いて下記組成の電着組成物を調製し、他は実施例1と同
様にして行った。電着組成物組成 実施例1の液晶マイクロカプセル 90部 アニオン性アクリル樹脂(サンプル No.9) 9部 トリエチルアミン 1.4部 エタノール 18部 水 880部 (中和度=100%)
【0033】合成方法 サンプル No.9のアニオン性アクリル樹脂は、下記
のモノマー組成液を調製し、撹拌器及び還流冷却器を備
えたセパラブルフラスコ中で、窒素気流下、60℃で6
時間重合反応させて合成した。 メタクリル酸 8.8部 メタクリル酸メチル 15部 メタクリル酸ブチル 30部 2−エトキシエタノール 150部 アゾビスイソブチロニトリル 22部 得られた液晶/高分子複合膜は、図4bに示す様に、膜
の均一性が悪く、そのままでは張り合わせが困難であっ
た。
【0034】
【表1】 表1の続き 1)計算値 1/Tg=W1/T1+W2/T2+W3/T3
+..... Tg:共重合体のガラス転移温度(絶対温度) Wx:各モノマーの重量% Tx:各ホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度) 2)実測値
【0035】実施例2〜8 実施例1におけるイオン性マトリックス樹脂に代えて、
表1に記載のNo.3、4、6、7、10、12、1
3、17及び18のマトリックス樹脂を使用し、他は実
施例1と同様にして実施例1と同様な結果が得られた。 比較例2〜5 実施例1におけるイオン性マトリックス樹脂に代えて、
表1に記載のNo.1、2、8、11、14、15及び
16のマトリックス樹脂を使用し、他は実施例1と同様
にして、No.1、2、15及び16については膜厚が
著しく不十分であった。No.8、11及び14につい
ては比較例1と同様な結果が得られた。
【0036】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、電着塗布方
法によって一方の電極基板面に液晶/高分子複合膜を形
成する際、用いる電着用液晶分散液組成物の電着用イオ
ン性マトリックス樹脂の酸価、ガラス転移温度、数平均
分子量、及び中和度を適正化し、且つ液晶としてカプセ
ル化液晶粒子を使用することによって、容易に最適な厚
みで均一な液晶/高分子複合膜を得ることが出来、従っ
て、形成される液晶/高分子複合膜周辺の隆起がなく、
表示特性に優れた液晶光学素子を容易に且つ経済的に提
供することが出来る。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の作動を説明する図。
【図2】液晶表示素子の作動を説明する図。
【図3】本発明の方法を説明する図。
【図4】実施例及び比較例の結果を説明する図。
【符号の説明】
31:電極基板 32:エマルジョン 33:電極 34:対向電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【表1】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気化学的に電極上に折出することが可
    能なイオン性マトリックス樹脂と中和剤とマイクロカプ
    セル化液晶粒子を含む電着用液晶分散液組成物におい
    て、上記イオン性マトリックス樹脂の酸価(樹脂固形分
    1g当りの苛性カリのmg数)が20〜200、ガラス
    転移温度が0〜100℃及び数平均分子量が10,00
    0〜200,000の範囲にあることを特徴とする電着
    用液晶分散液組成物。
  2. 【請求項2】 イオン性マトリックス樹脂のイオン性基
    がカルボキシル基であり、該カルボキシル基1当量当た
    り中和剤として無機アルカリ又は有機アミンを0.2〜
    3当量含む請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 イオン性マトリックス樹脂が、CH2=C
    (R1)-R2-COOH で表わされるモノマー(式中R1 は、水
    素又はメチル基、R2 は存在しないか又は置換基を有し
    ていてもかまわない炭素数2〜10の炭化水素化合物)
    1種類以上と、CH2=C(R1)-COOR2 で表されるモノマー
    (式中R1 は、水素又はメチル基、R2 は置換基を有し
    ていてもかまわない炭素数2〜10の炭化水素化合物)
    1種類以上との共重合体である請求項1に記載の組成
    物。
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