JPH06272069A - 犠牲陽極を使用したAl合金製ラジエータの防食 - Google Patents

犠牲陽極を使用したAl合金製ラジエータの防食

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JPH06272069A
JPH06272069A JP5062139A JP6213993A JPH06272069A JP H06272069 A JPH06272069 A JP H06272069A JP 5062139 A JP5062139 A JP 5062139A JP 6213993 A JP6213993 A JP 6213993A JP H06272069 A JPH06272069 A JP H06272069A
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JP
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tube
alloy
sacrificial anode
potential
radiator
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JP5062139A
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Masayuki Hanazaki
昌幸 花崎
Tatsuyuki Kobayashi
達由樹 小林
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Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Nikkei Techno Research Co Ltd
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al合金製チューブの内面に犠牲陽極を取り
付けることによって、ラジエータチューブの防食を図
る。 【構成】 Al合金製チューブの内面に犠牲陽極が取り
付けられたAl合金製ラジエータであって、チューブ8
の孔食電位E1 とチューブ8及び犠牲陽極7の混成電位
2 との間にE1 −E2 ≧20mVの関係が維持される
ようにチューブ及び犠牲陽極の材質を選択し、且つチュ
ーブ8の内側表面積に対する犠牲陽極7の表面積比を
1:0.1〜3の範囲で選定する。チューブ8及び/又
は犠牲陽極7としてAl−Si系ろう材層が形成された
ものを使用し、犠牲陽極7をチューブ8にろう付けで取
り付けることができる。 【効果】 犠牲陽極7による陰極防食でチューブ8の防
食が図られるため、ラジエータの軽量化,薄肉化に適し
たチューブ8の材料選択が可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チューブ内面に犠牲陽
極を取り付けることによって耐食性を改善したAl合金
製ラジエータに関する。
【0002】
【従来の技術】軽量化が要求される自動車等の車両に搭
載される熱交換器は、Cu又はCu合金製に替えてAl
又はAl合金製のラジエータ(以下、これをAl合金製
ラジエータで総称する)が使用されている。アルミニウ
ム材料は、Cl- ,SO4 2- 等の陰イオンを多量に含む
淡水中では腐食形態が孔食となる。そこで、アルミニウ
ム材料をラジエータの構造材料として使用するために
は、孔食を抑制する対策が必要となる。耐食性を向上さ
せる手段としては、Znの犠牲陽極効果を利用したクラ
ッド材を使用することが主流となっている。たとえば、
ラジエータ内部の接液部に耐食性を付与するため、接液
側がAl−Zn系合金であるAl−Zn系皮材/Al−
Mn系芯材/Al−Si系ろう材の層構成をもつクラッ
ド材でラジエータチューブを作製している。
【0003】乗用車等の車両にみられるように、燃費の
向上,高出力化等を図るため、部品を軽量化する要求が
頓に強くなってきている。この関連で、車両に搭載され
るラジエータに対しても軽量化・薄肉化が要求される。
しかし、Znの犠牲陽極作用を利用した従来のクラッド
材で作製したラジエータチューブ等を薄肉化すると、耐
食性が劣化する傾向が示される。たとえば、クラッド材
でできたチューブにフィンをろう付けしてラジエータが
組み立てられるが、ろう付け時にクラッド材が高温に加
熱され、皮材表面からZnが蒸発し、皮材の犠牲防食作
用が低下する。皮材中のZnは、ろう付け時の加熱によ
って芯材にも拡散し、材料強度を低下させる。また、薄
肉化に伴って許容孔食深さに関する条件が厳しくなり、
内部循環水に対する防食性も未解決のままである。更
に、薄肉化によって比強度が低下し、ラジエータに組み
立てたときに変形が生じ易くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ラジエータの軽量化・
薄肉化は、このようにZnの犠牲陽極作用を利用した従
来のクラッド材では限界がある。そこで、強度的に優れ
たアルミニウム材料を使用してラジエータチューブに必
要な強度をもたせ、別途の手段によって防食を図ること
が考えられる。水溶液等に接触する金属製構造材料を防
食する方法として、金属製構造材料の近傍に犠牲陽極を
配置し、犠牲陽極を優先的に腐食させる陰極防食が知ら
れている。この陰極防食をラジエータ等の熱交換器に適
用した例も、特開昭55−68595号公報で紹介され
ている。
【0005】しかし、ラジエータ内部の腐食環境は複雑
に変動するものであり、単にラジエータチューブ内に犠
牲陽極を配置しただけでは十分な防食が図られない。た
とえば、ラジエータには常に理想的な液が供給されるも
のとは限らず、不凍液に替えて水道水が供給される場合
もある。しかも、水道水は、供給される河川水系によっ
て水質が変わり、Al合金に対する腐食作用が変動す
る。本発明は、このような問題を解消すべく案出された
ものであり、チューブ材及び犠牲陽極材の材質的な組合
せを特定し、ラジエータチューブの内側表面に対して特
定された表面積をもつ犠牲陽極を取り付けることによ
り、ラジエータチューブを常に孔食電位以下に維持し、
腐食環境に変動があってもラジエータを確実に防食する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、Al合金製チューブの内面に犠牲陽極が取
り付けられたAl合金製ラジエータであって、前記チュ
ーブの孔食電位E1 と前記チューブ及び前記犠牲陽極の
混成電位E2 との間にE1 −E2 ≧20mVの関係が維
持されるように前記チューブ及び前記犠牲陽極の材質を
選定し、且つ前記チューブの内側表面積に対する犠牲陽
極の表面積比を1:0.1〜3の範囲で選定したことを
特徴とする。Al合金製チューブには、両面にAl−S
i系ろう材が積層されたクラッド材を使用することがで
きる。チューブ内側となるAl−Si系ろう材は犠牲陽
極のろう付けを容易にし、チューブ外側となるAl−S
i系ろう材はフィン材のろう付けを容易にする。犠牲陽
極には、ろう付け性を考慮してSi含有Al合金を使用
しても良い。この場合、チューブの接液側となる表面に
ろう材がないクラッド材を使用することも可能である。
犠牲陽極は、たとえばろう付け等によってAl合金製チ
ューブの内面全長にわたり取り付けることができる。
【0007】
【作用】水溶液に浸漬した金属材料は、照合電極に対し
て金属固有の電位勾配、すなわち自然電位を示す。自然
電位は、孔食が発生する環境下では孔食電位に近い値を
示す。たとえば、Al合金製チューブを水溶液に浸漬す
ると、図1に定性的な傾向を示したカソード分極曲線及
びアノード分極曲線を呈する。カソード分極曲線は、自
然電位を起点としてアノード側に電位を掃引し、そのと
き流れる電流値を読み取るものであり、電流密度の上昇
に応じ卑に移行する。アノード分極曲線は、自然電位を
起点としてカソード側に電位を掃引し、そのとき流れる
電流値を読み取るものであり、電流密度の上昇に応じて
貴に移行する。アノード分極曲線が急激に立ち上がった
ところが孔食電位E1 である。孔食電位E1 よりも貴に
なると、Al合金製チューブに孔食が発生する。
【0008】この腐食系で犠牲陽極材のアノード分極曲
線を別途測定する。犠牲陽極材のアノード分極曲線とチ
ューブ材のカソード分極曲線との交点を、混成電位E2
という。図1に示した混成電位E2 は、Al合金製チュ
ーブ材及び犠牲陽極材を表面積比1:1で組み合せたと
きの電位である。理論的には、混成電位E2 が数mVで
も孔食電位E1 よりも卑な値であるとき、Al合金製チ
ューブを防食することが可能である。Al合金製チュー
ブ材又は犠牲陽極材のどちらに混成電位E2 が傾くか
は、アノード/カソード面積比,双方の電位差,水溶液
の比抵抗やpH,分極特性,溶存酸素量等に応じて複雑
に変化する。
【0009】たとえば、分極抵抗の小さい材料では孔食
電位と自然電位との差が小さく、環境条件が多少変動す
ることに応じて容易に重なる現象が生じる。その結果、
孔食が発生する。また、液に中にCuイオンを含むよう
な場合には、たとえ分極抵抗の大きな材料であっても材
料表面にCuが析出することにより自然電位が貴に移行
し、自然電位が臨界孔食電位に重なることもある。この
ように腐食性の液中では、しばしば自然電位≒孔食電位
となることがある。犠牲陽極は、表面が腐食されること
によって被防食体であるAl合金製チューブの内面を保
護する。この陰極防食の過程で犠牲陽極の表面に腐食生
成物が付着し、犠牲陽極の自然電位を貴の方向に移行さ
せる。その結果、混成電位E2 が孔食電位E1 を超えて
上昇する場合もある。
【0010】被防食体であるAl合金製チューブと犠牲
陽極との間に流れる電流は、両者の間の距離に応じて変
化している。すなわち、Al合金製チューブと犠牲陽極
との間の距離が小さい箇所では電流密度が比較的大きい
が、Al合金製チューブと犠牲陽極とが大きく離れてい
る箇所では電流密度が小さく所与の防食作用が発揮され
ない。塩類を含む水溶液のように比抵抗が小さい水溶液
では、犠牲陽極の防食作用に与える距離の影響は小さ
い。しかし、比抵抗の大きな水道水等の水溶液に接触す
る腐食系では、距離による影響が大きく現れ、犠牲陽極
から遠い箇所にあるAl合金製チューブの内面に孔食が
発生する。本発明者等は、腐食条件が複雑に変化するラ
ジエータ内部の確実な防食を図るべく種々調査・研究し
た。その結果、チューブ材及び犠牲陽極材の混成電位E
2とチューブ材の孔食電位E1 との間に20mV以上の
電位差ΔE(=E1 −E2)をもたせるとき、チューブ
内面に接触する水溶液の水質,温度,流速,pH,溶存
酸素等が多少変わっても、チューブ内面を確実に防食で
きることを見い出した。電位差ΔEが20mV以上であ
るとき、水溶液の状態やチューブ内面における電圧降下
等の影響を受けることなく、チューブ内面が全域にわた
って孔食電位E1 よりも卑に維持される。
【0011】電位差ΔEを20mV以上に確保するた
め、チューブ材及び犠牲陽極材との材質の組合せを特定
し、チューブ内面の表面積S1 と犠牲陽極の表面積S2
との間に面積比S2 /S1 =0.1〜3の関係を維持す
ることが必要である。面積比S2 /S1 =0.1〜3
は、多数の実験結果から見い出された関係式であるが、
一般的には図2に示すように混成電位E1 に影響を与え
る。すなわち、チューブ内面に比較して表面積の大きな
犠牲陽極を使用すると、面積比S2 /S1 が大きくな
り、混成電位E2 は、図2(a)に示すように孔食電位
1 よりも卑になる。そのため、被防食体であるチュー
ブ内面に孔食が発生しない。これに対し、表面積の小さ
い犠牲陽極を取り付けたものでは、面積比S2 /S1
小さく、チューブと犠牲陽極とを合成した混成電位E2
が孔食電位E1 よりも貴になり、孔食が発生する。
【0012】混成電位E2 と孔食電位E1 との電位差Δ
E (E1 −E2)による影響は、たとえば図3に示す逆T
字形試験片を使用して測定することができる。図3で
は、平坦なチューブ材1の中央部に犠牲陽極材2をろう
付けした逆T字形の試験片を使用している。符番3は、
ろう付けによって形成されたフィレットである。犠牲陽
極材2の端部に導線を介して電圧計4を接続し、逆T字
形試験片を水溶液5に浸漬する。なお、チューブ材1の
反対側表面及び導線接続部には、電流の回り込みや短絡
を防止するため絶縁シールを施す。チューブ材1側の電
位を飽和カロメル電極等の標準電極6を使用し測定す
る。犠牲陽極材2から最も遠い箇所P1 におけるチュー
ブ材1の孔食を抑制できれば、所期の防食作用が得られ
たことになる。このようにして、表面積が種々異なる犠
牲陽極材2をチューブ材1にろう付けした複数の逆T字
形試験片の孔食状況を調査し、予め求めたチューブ材1
と犠牲陽極2との混成電位E2 との関係を求めることに
より、混成電位E2 に及ぼす面積比S2 /S1 の影響を
調べることができる。図3の逆T字形試験片を上側に丸
めて扁平にしたものが、犠牲陽極を内在させたチューブ
に相当する。
【0013】このような試験結果から、面積比S2 /S
1 を0.1〜3に維持し、且つΔEが20mV以上にな
るようにチューブ材1及び犠牲陽極2の材質を選択する
ことにより、Al合金製チューブの孔食が安定的に抑制
されることを解明した。これは、面積比S2 /S1
0.1〜3に維持されるとき、ラジエータの使用形態に
おいて腐食電流密度以上の電流が最遠部P1 まで確実に
供給され、陰極防食が図られることを示す。面積比S2
/S1 が0.1未満になると、犠牲陽極作用が不足し、
十分な防食電流が流れない。逆に、3を超える面積比S
2 /S1 では、チューブの内部空間に占める犠牲陽極の
断面積が大きくなりすぎ、管路内の通水抵抗が増加す
る。その結果、ラジエータとしての熱交換能が損なわれ
る。
【0014】また、ラジエータチューブが長手方向に関
し均一に防食作用を受けるように、犠牲陽極をラジエー
タチューブの全長にわたって設けることが好ましい。或
いは、最遠部の混成電位E2 と孔食電位E1 との間に電
位差ΔE≧20mVが維持される条件下で長手方向に関
して複数に分割された犠牲陽極を、チューブ内面に取り
付けることも可能である。チューブ内面に長手方向全長
にわたって犠牲陽極を取り付けるとき、管路の何れの箇
所においても面積比S2 /S1 =0.1〜3を維持する
ことが容易になる。チューブ材としては、特に本発明を
拘束するものではないが、ろう付け性を阻害しない範囲
で1000系合金,2000系合金,3000系合金,
6000系合金,7000系合金及びこれらの合金系の
クラッド材等が使用される。また、Si,Fe,Cu,
Mn,Mg,Ti,Zr等の微量添加元素を加えた合金
を使用することも可能である。
【0015】犠牲陽極の材質も、本発明を拘束するもの
ではなく、ろう付け性を阻害しない範囲で20mV以上
の電位差ΔEでAl合金製チューブを貴な電位に維持す
る限り、Al,Zn,Mg或いはこれらの合金を使用す
ることができる。ただし、狭隘なチューブの内部空間に
装着することから、ろう付け等によって大きな接合強度
で取り付けることができる加工性の良好なAl合金が好
適である。たとえば、Al合金を犠牲陽極として使用す
るとき、Zn含有量の増加に伴って防食作用が向上す
る。犠牲陽極は、チューブ内を流れる液体の圧力に耐え
る厚み、具体的には20μm以上の厚みをもっていれ
ば、所与の目的が達成される。犠牲陽極は、種々の方法
でチューブ内面に取り付けられる。たとえば、カシメ,
ねじ込み等の機械的な固着手段によって犠牲陽極を取り
付けても良い。しかし、作業性を考慮するときろう付け
が好ましい。
【0016】チューブ内面に対する犠牲陽極のろう付け
は、チューブ内面、すなわち接液側、或いはチューブに
取り付けられる犠牲陽極の少なくとも表面にSiを含ま
せたものを使用することにより容易に行われる。このよ
うな材料としては、たとえば7〜10%程度のSiを含
有させたAl−Si系ろう材層を張り合せたクラッド材
が使用される。接合界面にAl−Si合金層が存在する
とき、非腐食性のフラックスを塗布した後、チューブと
犠牲陽極とを所定形状に組み立て、全体を加熱すること
によってチューブに犠牲陽極がろう付けされる。具体的
には、ノコロック法が好適なろう付け方法である。
【0017】
【実施例】
実施例1:Al−1.2%Mn合金を芯材とし、両面に
クラッド率10%でAl−10%Si系ろう材層を積層
した板厚250μmのクラッド材をラジエータチューブ
に使用した。また、犠牲陽極としては、板厚60μmの
Al−1%Zn合金板を使用した。図4〜12に示すよ
うに、犠牲陽極7を種々の形態でチューブ8の内面にろ
う付けした。ろう付け後のチューブ8を耐食性評価試験
に供した。耐食性評価試験には、Clイオン1000p
pm,SO4 イオン1000ppm及びCuイオン10
ppmを含む水溶液を塩化第二鉄でpH3に調製した腐
食液を使用した。88℃に保持した腐食液を流速35リ
ットル/分で8時間流した後、16時間休止することを
1サイクルとし、腐食液の循環及び循環停止を180サ
イクル繰り返した。試験終了後、チューブ内面に発生し
た孔食深さを測定し、耐食性を判定した。調査結果を示
す表1から明らかなように、何れの例においても孔食は
実質的に発生していなかった。
【表1】
【0018】チューブ材及び犠牲陽極材に、ろう付け時
の加熱を想定して600℃に3分間保持する加熱を施し
た後、同じ腐食試験液に浸漬した。浸漬後500時間が
経過した時点で、チューブ材及び犠牲陽極材それぞれの
自然電位を測定した。また、チューブ材及び犠牲陽極材
をろう付けすることにより作製した図3の逆T字形試験
片を同じ腐食試験液に浸漬し、同様に500時間後の最
遠部P1 における混成電位を測定した。そして、電位差
ΔEと孔食発生との関係を調査した。これらの調査結果
を、表2に示す。この腐食液中では、浸漬と同時にチュ
ーブ材及び犠牲陽極材単独の場合に孔食の発生が検出さ
れるため、孔食電位≒自然電位として表示した。表2か
ら明らかなように、試験番号1〜11においては、何れ
も電位差ΔEが20mV以上に維持されており、チュー
ブ内面に孔食の発生が検出されなかった。
【表2】
【0019】実施例2:犠牲陽極としてAl−2%Zn
合金を使用する他は、実施例1と同じ条件下で腐食試験
を行った。試験結果を、表3に示す。また、同様にチュ
ーブ材及び犠牲陽極材それぞれの自然電位及び最遠部の
混成電位を測定し、電位測定結果と孔食発生状況との関
係を表4に示す。
【表3】
【表4】
【0020】実施例3:表5に示すようにチューブ材及
び犠牲陽極材の組み合わせを種々変えたものについて、
実施例1と同様に腐食試験した。その結果、何れの例に
おいても、孔食が発生せず、或いは発生した孔食も10
μm未満のごく軽微なものであった。また、このときの
チューブ材及び犠牲陽極材それぞれの自然電位及び最遠
部の混成電位を測定し、電位測定結果と孔食発生状況と
の関係を表6に示す。この場合も、電位差ΔEを20m
V以上とすることにより、確実に防食が図られている。
【表5】
【表6】
【0021】実施例4:Al−10%Si合金をAl−
1.2%Mn合金芯材の両面に積層したクラッド材でチ
ューブを作製し、表7に示すように種々の組成をもつ犠
牲陽極をチューブ材の内面にろう付けした。そして、実
施例1と同様に腐食試験を行った。試験結果を、表7に
併せ示す。また、チューブ材及び犠牲陽極材それぞれの
自然電位及び最遠部の混成電位を測定し、電位測定結果
と孔食発生状況との関係を表8に示す。この場合も、電
位差ΔEを20mV以上とすることにより、確実に防食
が図られている。
【表7】
【表8】
【0022】比較例:本発明の作用・効果を確認するた
め、面積比S2 /S1 が0.1未満となるように犠牲陽
極をろう付けしたチューブ(試験番号41及び44)、
チューブ材と同じ材質のインナーフィンを取り付けたチ
ューブ(試験番号42及び43)、及び犠牲陽極等のイ
ンナーフィンを取り付けていないチューブ(試験番号4
5)について、実施例1と同様に腐食試験を行った。試
験結果を示す表9から明らかなように、試験番号42〜
45のチューブには管壁を貫通する孔食が発生してい
た。また、試験番号41のチューブでも、深さ198μ
mに達する大きな孔食が発生していた。
【表9】
【0023】これらチューブについてチューブ内面及び
犠牲陽極の自然電位(使用した腐食液中においては、孔
食電位にほぼ等しい)を測定すると共に、犠牲陽極がろ
う付けされたチューブの最遠部混成電位を測定した。そ
して、孔食電位と混成電位の電位差ΔEを孔食発生状況
と対比したところ、表10に示すような関係があること
が判った。すなわち、面積比S2 /S1 が0.1未満の
試験番号41及び44や電位差ΔEが不足する試験番号
42及び43では、何れも孔食が発生していた。また、
防食作用を呈するAl−Zn合金層を積層したクラッド
材で作製された試験番号45のラジエータチューブにお
いても、同様に管壁を貫通する孔食が発生していた。
【表10】
【0024】表9及び表10の結果を実施例1〜4の結
果と比較するとき、電位差ΔEを20mV以上に維持し
且つ面積比S2 /S1 を0.1〜3の範囲にするとき、
チューブの内面を孔食から確実に防止できることが判
る。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、電位差ΔE≧20mV及び面積比S2 /S1 =0.
1〜3の条件下でチューブ内面に犠牲陽極を取り付ける
ことによって、チューブ内面の孔食が確実に抑制される
Al合金製ラジエータが得られる。このラジエータにお
いては、従来のZn含有層を積層したクラッド材にみら
れるように薄肉化に伴って発生する問題がなく、強度に
重点をおいた材料選択が可能となる。そのため、小型
化,軽量化に適したラジエータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 チューブ材及び犠牲陽極の分極曲線
【図2】 孔食電位E1 と混成電位E2 との電位差に面
積比S2 /S1 が与える影響
【図3】 最遠部の混成電位を測定する状態を説明する
【図4】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図5】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図6】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図7】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図8】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図9】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図10】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図11】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図12】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図13】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【図14】 チューブ内面に対する犠牲陽極の取付け例
【符号の説明】
7:犠牲陽極 8:Al合金製のチューブ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金製チューブの内面に犠牲陽極が
    取り付けられたAl合金製ラジエータであって、前記チ
    ューブの孔食電位E1 と前記チューブ及び前記犠牲陽極
    の混成電位E2 との間にE1 −E2 ≧20mVの関係が
    維持されるように前記チューブ及び前記犠牲陽極の材質
    を選定し、且つ前記チューブの内側表面積に対する犠牲
    陽極の表面積比を1:0.1〜3の範囲で選定したこと
    を特徴とするAl合金製ラジエータ。
  2. 【請求項2】 Al合金製チューブは、Al合金芯材の
    両面にAl−Si系ろう材が積層された1層又は多層の
    クラッド材である請求項1記載のAl合金製ラジエー
    タ。
  3. 【請求項3】 犠牲陽極がSiを含むAl合金である請
    求項1記載のAl合金製ラジエータ。
  4. 【請求項4】 犠牲陽極をAl合金製ラジエータの内面
    にろう付けした請求項1記載のAl合金製ラジエータ。
  5. 【請求項5】 Al合金製チューブの内面全長にわたり
    単数又は複数の犠牲陽極が取り付けられている請求項1
    記載のAl合金製ラジエータ。
  6. 【請求項6】 Al合金製チューブの孔食電位E1 と該
    チューブ及び犠牲陽極の混成電位E2 との間にE1 −E
    2 ≧20mVの関係が維持されるように前記チューブ及
    び前記犠牲陽極の材質を選定し、且つ前記チューブの内
    側表面積に対する表面積比が1:0.1〜3の範囲で選
    定された表面積をもつ前記犠牲陽極を、前記チューブの
    内面に取り付けることを特徴とするAl合金製ラジエー
    タの防食方法。
  7. 【請求項7】 Al合金製チューブの内面に犠牲陽極を
    ろう付けする請求項6記載の防食方法。
  8. 【請求項8】 Al合金製チューブの内面全長にわたり
    単数又は複数の犠牲陽極を取り付ける請求項6記載の防
    食方法。
JP5062139A 1993-03-22 1993-03-22 犠牲陽極を使用したAl合金製ラジエータの防食 Pending JPH06272069A (ja)

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