JPH06271952A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気浮揚装置の設備費、電力費用を低減し、
磁気浮揚効果を安定して発揮させる焼結操業方法を提供
し、焼結鉱の生産性、歩留、品質の一層の向上を図る。 【構成】 磁気浮揚力を作用させた状態下で焼結を進行
させる焼結鉱の製造方法において、磁気浮揚力の一部に
かえてパレット底部より立てた支持材を焼結層上表面よ
り下方へ２００ｍｍ以上かつパレット底面より上方へ２
００ｍｍ以下の範囲の高さに設置し、シンターケーキを
支持しながら焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＤＬ式およびＧＷ式な
どの空気吸引式焼結機による鉄鉱石焼結鉱の製造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】ＤＬ式鉄鉱石焼結法においては原料に内
蔵した粉コークスを表面で着火した後、引き続き下方に
吸引される空気によって粉コークスを燃焼を継続させる
ことにより、パレット上の高さ方向に数ｍｍ乃至数１０
ｍｍの厚みの燃焼帯が下方へ移動していく形で焼結反応
が進行する。このような自己燃焼型の焼結では通気気孔
を必要最小限に確保することが必要である。ところが空
気が下方に吸引された燃焼帯が下方に移動するプロセス
であるために焼結層の下方では上層の焼結完了帯で予熱
された空気で焼結され上層が熱不足で下層になるほど熱
過剰で焼結される傾向にある。この焼結層の高さ方向の
熱傾斜に応じて下層になるほど気孔を閉塞させる要素と
なる融液生成量が増加し、かつ上層のシンターケーキが
押し蓋状に下層に荷重がかかって融液存在下で気孔を押
しつぶす作用が強くなり、気孔を閉塞させる傾向が強く
なる。これにより一般に下層ほどコークスの安定燃焼に
必要な通気条件が悪くなり焼結速度が低下する原因にな
っているばかりか、焼けムラ（不均一焼成）で歩留を悪
化させ、冷却不足で低温還元粉化性も悪化し、気孔率減
少で被還元性も低下させている。

【０００３】このような下方吸引式焼結プロセスの本質
的な問題である焼結層の焼結改善対策として先に発明者
らは焼成の終わった上層シンターケーキをパレット底部
より立てた支持材で荷重を支持することにより下層への
荷重を軽減した状態下で焼結を進行せしめる焼結法を特
開平０２−２５４１２５号公報、特開平４−１２４２２
５号公報で提案し改善効果をあげているが、支持材が高
すぎるとシンターケーキの厚みが薄くて亀裂が生じるあ
るいは支持材の壁部にそって若干の未焼部が発生するな
どの問題点もあることが解明された。これにたいし磁場
を印加し、磁気浮揚力を作用せしめ、同様に下層への荷
重を軽減した状態下で焼結を進行せしめる焼結法を特開
平４−１６８２３４号公報で提案し亀裂防止の安定化、
壁部の未焼結部発生防止で一層の改善効果をあげている
が、磁気浮揚装置は設備費が高く、電気も必要でありコ
スト低減が課題であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な磁気浮揚装置の設備費、電力費用を低減し、磁気浮揚
効果を安定して発揮させる焼結操業方法を提供し、その
目的とするところは焼結鉱の生産性、歩留、品質の一層
の向上をはかることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するため焼結層中層部は磁気浮揚装置によりシンター
ケーキに磁気浮揚力を作用させ下層への荷重を軽減した
状態で焼結するが、一定の深さ以上では焼結層底部より
立てた支持材で磁気浮揚力に代替しシンターケーキを支
持した状態で焼結することにより、中層以下の全層にわ
たり磁気浮揚装置で下層への荷重を軽減した状態で焼結
する方法よりも磁気浮揚装置の設備を簡略化することに
より設備費、電力費用を低減しながら、中層以下の全層
にわたり磁気浮揚装置で下層への荷重を軽減した状態と
同等に下層への荷重を軽減した状態下で焼結を進行せし
める効果により、焼結鉱の生産性、歩留、品質の向上を
実現することを特徴とする。

【０００６】すなわち、本発明の要旨とするところは空
気吸引式焼結法において焼結鉱を製造する際に、原料層
表面へ着火し原料上層部で焼結が始まった後、焼成の終
わったシンターケーキに磁場を印加し、磁気浮揚力を作
用させた状態下で焼結を進行させる焼結鉱の製造方法に
おいて、磁気浮揚力の一部にかえてパレット底部より立
てた支持材を焼結層上表面より下方へ２００ｍｍ以上か
つパレット底面より上方へ２００ｍｍ以下の範囲の高さ
に設置し、シンターケーキを支持しながら焼結すること
を特徴とする焼結操業方法である。

【０００７】

【作用】以下、本発明について詳細に説明する。

【０００８】本発明者らは支持材の亀裂発生の条件を種
々検討した結果、支持材の荷重点の構造によるがシンタ
ーケーキの厚みが増すほどシンターケーキの強度が増し
シンターケーキの厚みがおおよそ２００ｍｍ以上になる
と１ｍ幅のケーキには亀裂が発生しないことが判明し
た。支持材数は少ない方がよく、通常のパレット幅では
通常１本ないし３本いれるがこのような条件下では支持
材は焼結層上表面から下方へ２００ｍｍ以上の位置に高
さが位置するように設置すれば亀裂発生は防止できる。
一方支持材の壁部で発生する未焼結部は壁際の原料の充
填が粗になり通気が良すぎることが主因だがこれによる
と高さは低いほど歩留が高くなることになるが、同時に
支持材の下方では下方吸引式焼結の特徴として下方ほど
蓄熱が進み焼成が改善することが判明した。総合すると
未焼結部を最小にする最適高さがあり、種々検討の結
果、支持材の高さが２００ｍｍ以下であれば未焼結部発
生が防止できることが判明した。

【０００９】焼結層上表面より下方へ２００ｍｍ以上か
つパレット底面より上方へ２００ｍｍ以下の範囲に支持
作用が働くように支持材の高さを設定して支持材を設置
すれば支持材による亀裂、未焼結部発生の問題がなく、
かつこの範囲で磁気浮揚力を作動させる必要がなく、磁
気浮揚装置の設備費、電力費が低減できる。該高さは焼
結層の下層部にあたり磁気浮揚力が一番必要とするとこ
ろであるので本発明による磁気浮揚装置の設備費、電力
費の低減効果は大きい。

【００１０】本発明について図面を参照しながら説明を
する。図３に焼結の操業状態の一例を示す。図３におい
て焼結原料サージホッパー１に蓄えられた焼結原料は焼
結機２のパレット２−１に原料装入装置３で装入された
後点火炉４で着火され、順次表層から下層に向けて焼結
されるが、点火炉４を通過した後はストランドの進行と
ともに焼結床の上層から焼結が完了し固結し冷却されシ
ンターケーキ５′ができる。図３に示す１点鎖線５は焼
結反応が行われている焼結溶融帯でこの線より上方は焼
結反応が完了したいわゆるシンターケーキ部分でこの線
より下方は原料状態にある部分である。ストランドの前
半部では前記シンターケーキをパレット２−１の上部に
焼結機とは独立した磁気浮揚装置用架台６に載せられた
磁気浮揚装置７で浮揚力を作用させることによって、燃
焼溶融帯５およびそれよりも下方の原料層へ加わる荷重
を軽減する。斜線で示すシンターケーキ支持材設置部分
８’（ストランドの後半部で焼結層の上表面より下方へ
２００ｍｍ以上かつパレット底面より上方へ２００ｍｍ
以下の範囲）では、図１に示すようにパレット２−１の
底面より立てたシンターケーキ支持材８によりシンター
ケーキを支持し、磁気浮揚力の作動のない状態で荷重を
軽減する。なお磁気浮揚装置７のみでシンターケーキ
５’を支持し、支持材８の支持のない状態で荷重を軽減
する方法は図６に示す。

【００１１】磁気浮揚装置７は、図３及び図４に示すよ
うに焼結機とは独立に固定配置した磁気浮揚装置用架台
６で支持し非接触でシンターケーキに浮揚力を作用させ
る方法あるいは図５に示すように焼結機とは独立に固定
配置した磁気浮揚装置用架台６で支持し焼結層表面に接
する形に置いた磁性体連結回転帯型の磁気浮揚装置１０
で構成される。支持材８はその形状は例えば図２（ａ）
〜（ｅ）に示したものはいずれも使用でき、材質も鋳鋼
が普通だが耐摩耗耐熱鋼であればいずれでも良い。支持
材の底面より上端までを支持材の高さとする。支持材の
パレット底面からの立て方は傾倒しないように固定でき
れば良いが、パレットのグレートバーと一体にするのが
製作、整備の面からも有利である。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照しながら以下に
説明する。

【００１３】実施例１ 図６に示すように、焼結面積６００ｍ² （５ｍ巾×１２
０ｍストランド長さ）のＤＬ鉄鉱石焼結機で層厚６００
ｍｍ、負圧１５００ｍｍａｑで表層に非接触型の磁気浮
揚装置７を使った操業時の生産率は３３．１ｔ／ｄ／ｍ
² 、成品歩留は８２．２％で磁気浮揚の電力消費４ＫＷ
／ｔ−ｓであった。図３に示すように、磁気浮揚装置７
の数を減少して磁気浮揚の半分を他の焼結機に転用し、
図３に斜線で示すパレットのシンターケーキ支持材設置
範囲８′に図２（ｃ）に示す高さ１８０ｍｍの支持材を
パレット幅方向にパレットサイドから１．８ｍ内側に２
列配置し、磁気浮揚と支持材の複合型によるシンターケ
ーキの荷重制御方法に変えたところ、生産率は３３．２
ｔ／ｄ／ｍ² 、成品歩留は８２．０％と変化ないが磁気
浮揚の電力消費原単位が１．６ＫＷ／ｔ−ｓまで低減し
た。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、空気吸引式焼結法において焼
結鉱を製造する際に原料層表面へ着火し原料上層部で焼
結が始まった後、焼成の終わったシンターケーキに磁場
を印加し、磁気浮揚力を作用させた状態下で焼結を進行
させる焼結鉱の製造方法において、支持材の問題点を克
服し磁気浮揚作用に代替することにより磁気浮揚装置の
設備費、電力費を低減し磁気浮揚装置による操業と同等
に焼結することを特徴とする焼結操業方法である。

【図面の簡単な説明】

【図１】パレット上に支持材を設置した例を示す模式図
である。

【図２】（ａ）〜（ｅ）はそれぞれ、支持材の構造例を
示す斜視図である。

【図３】本発明の実施例であって、磁性浮揚装置の一部
を支持材で置き換えて操業している状態の例を示す模式
図である。

【図４】固定配置型の磁気浮揚装置の設置例を示す斜視
図である。

【図５】本発明の実施例であって、磁性体連結回転帯型
の磁気浮揚装置で操業している状態の例を示す模式図で
ある。

【図６】ＤＬ式焼結機に磁性浮揚装置を装着して操業し
ている状態の従来例を示す模式図である。

【符号の説明】

１ 焼結原料サージホッパー ２ 焼結機 ２−１ パレット ２−２ パレットのサイドウオールの継ぎ目 ３ 原料装入装置 ４ 点火炉 ５ 焼結溶融帯 ５′ シンターケーキ ６ 磁気浮揚装置用架台 ７ 磁気浮揚装置 ８ シンターケーキ支持材 ８′ シンターケーキ支持材設置部分 ９ 固定型磁気浮揚装置 １０ 磁性体連結回転帯型の磁気浮揚装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉水 康幸 福岡県北九州市八幡東区枝光１−１−１ 新日本製鐵株式会社技術開発本部設備技術 センター内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気吸引式焼結法において焼結鉱を製造
   する際に、原料層表面へ着火し原料上層部で焼結が始ま
   った後、焼成の終わったシンターケーキに磁場を印加
   し、磁気浮揚力を作用させた状態下で焼結を進行させる
   焼結鉱の製造方法において、磁気浮揚力の一部にかえて
   パレット底部より立てた支持材を焼結層上表面より下方
   へ２００ｍｍ以上かつパレット底面より上方へ２００ｍ
   ｍ以下の範囲の高さに設置し、シンターケーキを支持し
   ながら焼結することを特徴とする焼結鉱の製造方法。