JPH06271666A - エステル−アミド共重合体の製造方法 - Google Patents

エステル−アミド共重合体の製造方法

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JPH06271666A
JPH06271666A JP6212593A JP6212593A JPH06271666A JP H06271666 A JPH06271666 A JP H06271666A JP 6212593 A JP6212593 A JP 6212593A JP 6212593 A JP6212593 A JP 6212593A JP H06271666 A JPH06271666 A JP H06271666A
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孝 東
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敏喜 池田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも一種の環状エステルと少なくとも
一種の環状アミドとを開環共重合させるエステル−アミ
ド共重合体の製造方法。環状エステルを連続的または断
続的に滴下することにより環状アミドに加え重合反応を
行なう。 【効果】 耐水性を有する共重合体が得られる。また、
開始剤量を減少させても収率の低下を招かず、実用上充
分な強度を有する共重合体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環状エステルと環状ア
ミドとを開環共重合させることにより得られるエステル
−アミド共重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、環状エステルと環状アミドとを開
環共重合させエステル−アミド共重合体を得る場合、例
えばモノマーとしてε−カプロラクタム(以下、CLM
と称する)とε−カプロラクトン(以下、CLNと称す
る)とを用いた際には、溶融状態のCLMに重合開始剤
を添加した後、CLNの必要量を一度に重合容器に投入
しCLMとの共重合を行なっている。
【0003】また、このときに添加する開始剤量は全モ
ノマー量に対し0.5〜2モル%で、収率や生成物の物
性を考えると1モル%が適量である。
【0004】ところで、ε−カプロラクトン−ε−カプ
ロラクタム開環共重合体は脂肪族ポリエステル構造を持
つために生分解性を有する。そこで、この共重合体を生
分解性プラスチックとして用いる場合を考慮すると、共
重合体中のCLMの共重合比率が高いと完全生分解性が
失われるのでCLMの比率を高くすることは好ましくな
い。一方、CLMの比率を下げると強度や融点が低下し
実用上問題がある。従って、従来の重合法で得られるエ
ステル−アミド共重合体におけるCLMの共重合比率は
40〜80モル%が好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このエステ
ル−アミド共重合体は、共重合体中のCLMの共重合比
率が40〜80モル%の間では湿潤状態での強度低下が
著しく、耐水性の面から実用的ではないという問題点を
有している。これは、共重合体の分子量が低く、強度を
分子中のアミド結合間の水素結合で維持しているため、
水と接触することで水素結合がゆるむと強度が保てない
ことによる。
【0006】特に、共重合体の生分解性プラスチックと
しての包装用途等への応用を考えた場合、水による強度
低下はその活用範囲を著しく狭めるため、耐水性を備え
た共重合体が望まれる。
【0007】そのため、共重合体の製造時に用いる開始
剤の量を減少させ、共重合体を高分子量化することが考
えられる。しかしながら、上記重合法においてはCLN
に比べCLMの重合速度が遅いため、開始剤量を減らす
ことにより反応終了までに時間を要する場合、先にCL
Nが重合しその後のCLMの重合が阻害されてしまう。
その結果、CLMの重合率が低くなるため、共重合体の
物性が低下すると共に収率の低下も起こるという問題点
を有している。
【0008】本発明は上記問題点に鑑み、実用上充分な
物性を有すると共に耐水性に優れたエステル−アミド共
重合体を得ることができ、更に製造過程において開始剤
量を減少させることのできる製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る製造方法
は、少なくとも1種の環状エステルと少なくとも1種の
環状アミドとを開環共重合させることによりエステル−
アミド共重合体を製造する方法において、環状エステル
を環状アミドに加える際に、連続的または断続的な滴下
により行うことを特徴としている。
【0010】上記の環状エステル即ちラクトン及び環状
アミド即ちラクタムとしては、その価格及び反応性から
ε−カプロラクタムとε−カプロラクトンとの組合せが
最適であるが、それ以外に、α−ピロリドン,ω−ラウ
ロラクタム等のラクタムと、β−プロピオラクトン,β
−ブチロラクトン,δ−バレロラクトン,β−メチル−
δ−バレロラクトン等のラクトンあるいはラクチドを単
独又は混合で用いてもよい。
【0011】本発明方法を実施するには、先ず、加熱溶
融させた環状アミドに開始剤を加えた後、環状エステル
を滴下により一定時間をかけて加え重合を行う。ラクチ
ドなど常温で固体の環状エステルの場合、加熱して溶解
させた状態で滴下を行なっても良いし、粉末等のまま徐
々に重合系に添加しても良い。重合終了後は重合容器内
を減圧状態とし、余剰のモノマーを除去する。
【0012】開始剤としては、アルカリ金属、並びにそ
の水素化物,水酸化物,炭酸化物,アルキル化物,アル
コキサイド,N置換ラクタムなどのアルカリ触媒が挙げ
られる。中でもアルカリ金属アルコキサイドがラクタム
との反応が穏やかで好ましい。また、アルカリ金属はア
ルカリ金属アルコキサイドと同様の効果を有するが、ラ
クタムとの反応が激しいので、取扱いに注意を要する。
また、開始剤の添加量は、原料としてのモノマー量に対
し0.2〜2モル%が好ましい。
【0013】重合温度は120℃〜200℃が好まし
く、この温度範囲内において、ラクタムの比率が低い共
重合体を生成する場合には低温側で、ラクタムの比率が
高い共重合体を生成する場合には高温側で重合を行なう
のが好ましい。
【0014】ラクトンの滴下は連続的に行なってもよ
く、また断続的に行なってもよい。滴下時間は、例えば
重合温度170℃の場合で5分以上が好ましい。また、
重合時間はラクトンの投入開始時点から10分以上必要
である。
【0015】重合終了後、120〜200℃で20mmHg
以下の減圧状態とし、生成した共重合体中に含まれる主
として原料モノマーからなる低分子量成分を除去する。
その後開始剤のアルカリを中和するため、酢酸などの有
機酸を使用した開始剤の当モル量加えてもよい。
【0016】尚、本発明のエステル−アミド共重合体を
生分解性プラスチックとして利用する場合は、共重合体
中のアミド比率を60%以下におさえるのが望ましい。
一例として、モル比が1:1で総量100gのCLMと
CLNとを0.6モル%の金属ナトリウム開始剤共存下で
共重合させる場合、重合温度は150〜190℃、滴下
時間は20〜30分程度が最適である。物性的には劣る
がより良好な生分解性を示す軟質なポリマーを得るため
には重合温度を下げる、あるいは滴下時間を短くする等
の手法を取ればよい。逆に、生分解性には劣るが物性は
優れた硬質なポリマーを得るためには重合温度を上げ
る、あるいは滴下時間を長くすれば良いが、共重合体中
のアミド比率が60%を超えると、完全生分解性が失わ
れる。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限られるものではない。
【0018】〔実施例1〕良く乾燥させた重合容器内に
ε−カプロラクタム(CLM:和光純薬製試薬をそのま
ま使用)16.9gを入れ、乾燥N2 気流中130℃で加
熱融解させ、そのまま90分間10rpmで攪拌した。
【0019】攪拌しながら金属ナトリウム(和光純薬製
試薬:使用直前に棒状試薬から少量切り出し、乾燥した
トルエン中で秤量)40mg(原料モノマーに対して
0.6モル%)を加え、CLMと反応させた。添加後17
0℃まで昇温し10rpmで攪拌した。
【0020】充分乾燥させたシリンジにε−カプロラク
トン(CLN:和光純薬製試薬を減圧蒸留により精製し
たもの)16mlを取り、30分間で重合容器に均等に
滴下した。このとき攪拌スピードを20rpmまで上昇
させ、モノマーの混合むらが発生しないようにした。
【0021】重合は急速に進み、粘度はCLN滴下開始
後10分程度で最高に達した。このときポリマーは淡黄
褐色に変色していた。
【0022】滴下開始から1時間反応させた後、オイル
式ロータリー真空ポンプで反応容器内を減圧し、水分と
ともに余剰のモノマーを除去した。そのまま1時間減圧
下で攪拌を続けた。
【0023】N2 ガスで容器内を常圧に戻し、乾燥した
シリンジに取った100μlの酢酸を加えた。よく攪拌
しながら再び容器内を減圧し余分の酢酸を除去した後、
2ガスで容器内を常圧に戻し生成したポリマーを取り
出した。
【0024】収率84%でアミドが45%の組成を有す
るポリマー(モノマーの仕込み比1:1)が得られた。
この得られたポリマーは淡黄白色の半透明で弾性を有し
ていた。また、−30℃から220℃の範囲でDSC
(示差走査熱量測定)に明確なピークは示さなかった。
【0025】更に、得られたポリマーの引張特性は以下
の表1に示す結果となった。
【0026】
【表1】
【0027】〔比較例1〕CLNの必要量を一括して投
入する以外、実施例1と同様に重合を行なった。収率6
1%でアミドが20%の組成を有するポリマーが得られ
た。このポリマーは淡黄色で乳濁した性状を示してい
た。
【0028】この結果より、一括してラクトンを加えた
場合、同じ開始剤量の滴下重合の場合よりアミドの重合
率は低下し収率も下がることがわかる。
【0029】〔比較例2〕開始剤量を1モル%とし、C
LNの必要量を一括して投入する以外は、実施例1と同
様に重合を行なった。収率79%でアミドが45%の組
成を有するポリマーが得られた。このポリマーは淡黄色
の乳濁した性状を示した。また、DSCで70℃になだ
らかな吸熱ピークを示した。
【0030】得られたポリマーの引張特性は以下の表2
に示す結果となった。
【0031】
【表2】
【0032】この結果より、開始剤量を増加させること
で実施例1と同様の収率で同じアミド組成のポリマーが
得られるが、得られたポリマーの耐水性は著しく劣るこ
とがわかる。
【0033】〔実施例2〕CLNの滴下時間を20分と
し、重合温度を表3に示すように変えた以外は、実施例
1と同様に重合を行ないポリマーを得た。結果を併せて
表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】この結果より、重合温度が低いほど、アミ
ドの重合比率の低下に伴い収率が大きく低下することが
わかる。
【0036】〔実施例3〕CLNの滴下時間を以下の表
4に示すように変化させた以外は、実施例1と同様に重
合を行ないポリマーを得た。結果を併せて表4に示し
た。
【0037】
【表4】
【0038】〔実施例4〕CLNの滴下時間を20分と
し、開始剤量を以下の表5に示すように変化させた以外
は、実施例1と同様に重合を行ないポリマーを得た。結
果を併せて表5に示した。
【0039】
【表5】
【0040】〔実施例5〕CLNとCLMの仕込み比及
びCLNの滴下時間を以下の表6に示すように変化させ
た以外は、実施例1と同様に重合を行ないポリマーを得
た。得られたポリマーの収率を表6に併せて示した。
【0041】
【表6】
【0042】アミドの仕込み比が大きい場合、滴下時間
の短縮はアミドの重合比率の低下とともに収率の低下を
招くが、アミドの仕込み比が低い場合は、もともとアミ
ドの重合反応の比率が低いために、滴下時間を短縮して
も大きな影響はない。
【0043】〔実施例6〕CLNの滴下時間を20分間
とし、CLNとCLMの合計の仕込み量を、以下の表7
に示すように変化させた以外は、実施例1と同様に重合
を行ないポリマーを得た。得られたポリマーの収率を表
7に併せて示した。
【0044】
【表7】
【0045】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、環状エステ
ルと環状アミドとの開環共重合により、耐水性の優れた
高分子量のエステル−アミド共重合体が得られる。ま
た、開始剤量を減少させても、得られる共重合体の収率
の低下を招かない。更に、実用上問題のない強度を有す
ると共に生分解性を有する耐水性のエステル−アミド共
重合体を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種の環状エステルと少なくと
    も1種の環状アミドとを開環共重合させるエステル−ア
    ミド共重合体の製造方法において、 環状エステルを連続的または断続的に滴下することによ
    り重合系に加えることを特徴とするエステル−アミド共
    重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】上記環状アミドがε−カプロラクタム、環
    状エステルがε−カプロラクトンであることを特徴とす
    る請求項1記載のエステル−アミド共重合体の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012025971A (ja) * 1999-01-18 2012-02-09 Quadrant Polypenco Japan Ltd 帯電防止性ポリエステルアミド樹脂成形体
KR101881331B1 (ko) * 2017-04-25 2018-07-24 지에스칼텍스 주식회사 폴리에스터아미드 및 그의 제조방법

Cited By (3)

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