JPH0627108U - 建築用板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】単板のみからなる合板に代わる強度の充分な代
替え品を提供すること。 【構成】表裏層部に少なくとも１層の比重の高い硬質層
１１，１３が形成された複数枚の木質繊維板１ａ．１
ｂ．１ｃを、該木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｃより水分の
吸放出による収縮膨張率の小さい板材またはシート状物
２ａ，２ｂを介して積層し、表裏面に木質繊維板１ａ，
１ｃが位置するよう積層一体化してなる建築用板。 【作用】木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｃの有する長さ方向
および幅方向に均等に優れた寸法安定性に加え、水分の
吸放出による収縮膨張の少ない板材またはシート状物２
ａ，２ｂが拘束材として木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｄの
水分の吸放出による収縮膨張を抑制する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建築用板に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来、建築用板としては、単板をその繊維方向を互いに直交させて積層接着し た合板が多く用いられ、これら合板を基板として例えばその表面に突板等の化粧 シートを貼着した床材等が知られており、これら合板は大きな寸法の板を多量に 安定して供給することができる。しかも寸法安定性にも優れているなど、床材基 板として汎用されている。

【０００３】 また、特に長さ方向の曲げ強度を強化する建築用板として、単板の繊維方向を 同一方向に積層接着した平行合板（Ｌ．Ｖ．Ｌ．）が提供されており、その寸法 変化を安定させるため、単板間にアルミニウム板あるいはベークライト板を介在 させた複合単板積層材（特開平３−８３６３２号公報参照）などが知られている 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、一般に木質単板の水分の吸放出により単板の繊維方向に平行方向の収 縮膨張に比べ、繊維方向に垂直方向の収縮膨張が５から２０倍と大きく、繊維方 向に対し平行方向と垂直方向との変化率が大きく異なる。

【０００５】 このため、複数の単板の繊維方向をすべて平行に積層した前記複合単板積層材 は、アルミニウム板等を単板間に介在させても、単板の繊維方向に対し垂直方向 への収縮あるいは膨張しようとする力が大きく、アルミニウム板等との接着面に おいては収縮膨張の動きを抑制されるものの、前記接着面以外の部分においては 依然繊維方向に対して垂直方向への収縮膨張が起こるため、両者の収縮膨張の相 違により複合単板積層材に反りが生じたり、アルミニウム板等との接着面が剥離 し易い等の問題を有し、さらに、単板の厚さ方向への収縮膨張に対しては何ら抑 制されず、水分の吸放出により容易に厚さが変化してしまう等の問題を有してい た。

【０００６】 さらに、これら合板は天然木材を薄く剥ぎ取った単板を積層接着し製造するた め、天然資源の枯渇問題が世界的に大きく取り上げられ、原材料である原木を伐 採することが困難になると共に、原木の質が低下することによって、単板に使用 する良質の単板を多量に得ることが難しくなり、品質の良い合板を多量に市場に 供給することが困難となる。この問題は今後ますます深刻化することが予測され 、床材基板を始めとする建築用板として単板のみから構成される合板に代わる代 替え品の提供が熱望されている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、単板からなる合板の代替え品として使用できる新規な積層板からな る建築用板を提供することを目的として鋭意工夫の結果完成されたものであ

【０００８】 すなわち本考案は、表裏層部に少なくとも１層の比重の高い硬質層が形成され た複数枚の木質繊維板を、該木質繊維板より水分の吸放出による収縮膨張率の小 さい板材またはシート状物を介して積層し、表裏面に木質繊維板が位置するよう 積層一体化してなる建築用板である。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の建築用板の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は、本考案の建築用板の断面図を示すものである。図１に示すように、本 考案の建築用板は、表面側より木質繊維板１ａ、水分の吸放出による収縮膨張の 小さい板材またはシート状物２ａ，木質繊維板１ｂ，水分の吸放出による収縮膨 張の小さい板材またはシート状物２ｂ，木質繊維板１ｃの順で積層一体化された ものである。

【００１０】 図中、水分の吸放出による収縮膨張の小さい板材またはシート状物２ａおよび ２ｂとしては、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅等の金属または合金の金属板 材、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ＡＢＳ樹脂、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂 のシート状物あるいはこれら合成樹脂を含浸した合成樹脂含浸紙を使用すること ができる。

【００１１】 これらは水分の吸放出による収縮膨張が小さく水分の影響による寸法変化がほ とんどないため、これら板材またはシート状物の上下に積層される木質織維板が 、水分の吸放出により収縮膨張しようとする動きを拘束する効果を有し、建築用 板としての寸法安定性を向上させることができる。

【００１２】 また、木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｃとしては、表裏層に少なくとも１層の硬質 層が形成された木質繊維板であり、例えば図２に示すように、硬質層１１，１３ と、その間に中心層１２が形成された一体成形により得られた木質繊維板であり 、木質繊維板の表層および裏層に形成された硬質層１１および１３は、その比重 が平均してして０．８〜１．４ｇ／ｃｍ^３の範囲であり、その間の中心層１２の 比重は、０．４〜０．７５ｇ／ｃｍ^３の範囲であり、硬質層１１および１３は中 心層１２の比重に比べ少なくとも０．１ｇ／ｃｍ^３以上好ましくは０．３〜０． ８ｇ／ｃｍ^３の比重差を有することが好ましい。

【００１３】 このように中心層に比べ比重が高く引っ張り強度および圧縮強度が優れた硬質 層が表裏層に配されることにより、表面硬度が高くキズがつきにくく、板材全体 として曲げ強度に優れ、また単位荷重によるたわみ量も非常に小さい板材とな る。

【００１４】 このような硬質層は、乾式法による木質繊維板の製造工程において加熱圧締の 際の表裏層の木質繊維の含水率を高めること、または、木質繊維への接着剤の添 加量を増加させることにより他の部分に比べ局所的に比重の高い層を形成するこ とができる。

【００１５】 これら木質繊維板は、含水率１％当たりの寸法変化率が長さ方向と幅方向が均 等で０．０３〜０．０４％と優れた安定性を有するものである。

【００１６】 さらに、木質繊維板の表裏層の少なくとも一層に形成された硬質層は、中心層 に比べ非透水性が高いため床材内への吸水性を著しく低下させる効果を有し、水 分の吸放出による寸法変化をさらに小さいものとすることができる。

【００１７】 また、それぞれの木質繊維板の表裏面に硬質層を露出した状態で積層するこ とにより、木質繊維板の比重が高く強度の高い面と、水分の吸放出による収縮膨 張の小さい板材またはシート状物とが接着剤により貼着されるため、各板材間の 接着面の接着強度が非常に高いものとなる。

【００１８】 また、このように比重の高い硬質層の間に、比重の低い中心層が存在するこ とにより、板材としての重量が非常に軽くて曲げ強度の優れたものとなる。

【００１９】 また、表裏面に露出した硬質層とその間に配された中心層とが、木質繊維板 の製造工程における加熱圧締により一体成型された１枚の板材であるため、硬質 層と中心層とは木質繊維の絡み合いにより一体的に連続しており、複数枚の板材 を接着剤により接着して１枚の板材を形成した場合の、板材間での剥離の問題な ども生じないものである。

【００２０】 また、本考案の木質繊維板の原料となる木質繊維としては、松、杉、桧等の針 葉樹材または、ラワン、カポール、栗、ポプラ等の広葉樹材の原木で板材あるい は角材として使用できない部分または廃材を切削した木材チップを、常法により 解繊して得られる木質繊維、および木質繊維板製造の際に生じるサンダーダスト 、ソーダスト、チップダスト等の屑材を混入し用いることができる。

【００２１】 本考案の表裏層部に少なくとも１層の比重の高い硬質層が形成された木質繊維 板は、例えば乾式木質繊維板の製造工程において、解繊され接着剤を添加し乾燥 した木質繊維を、フォーミング装置によりスクリーンコンベアー上に堆積し、シ ェイビングローターにより厚みを各々調整し次いで仮圧締することにより木質繊 維マットを得、次いで一定寸法に裁断された定尺マットを加熱圧締することによ り得られる中比重繊維板が用いられる。

【００２２】 また、先と同様にして得られる定尺マットの上面および下面に水の塗布または 含有された不織布、紙、布等の保水性のあるシート状物を載置し加熱圧締するこ とにより、シート状物に塗布または含有された水分が表裏層の木質繊維中に保持 されながら加熱圧締されるため、表裏面に比重の非常に高い硬質層を形成するこ とができる。

【００２３】 また、スクリーンコンベアー上に木質繊維を堆積させるフォーミング装置とし て、裏層形成木質繊維、中層形成木質繊維、表層形成木質繊維をそれぞれ別々に フォーミングしスクリーンコンベアー上に堆積させる３台のフォーミング装置を 設け、例えば中心層形成木質繊維への接着剤の添加量を３〜５重量％加え、表層 形成木質繊維および裏層木質繊維への接着剤の添加量を１０〜３０重量％加えた 後に加熱圧締することにより、前述の水分による硬質層の形成方法とあわせて硬 質層の比重を上げると共に強度の向上を図ることができる。

【００２４】 このようにして木質繊維板の表裏面には、中心層に比較して比重が高く、非透 水性の高い硬質層が形成される。また、得られた木質繊維板の硬質層の中でも比 重分布が生ずるため、必要に応じサンディングを施し、硬質層の中でも特に比重 の高い層（面）を表面に露出することにより、非透水性、曲げ強度およびたわみ 等の性能がさらに優れたものとなる。

【００２５】

【考案の効果】

本考案の建築用板は、木質繊維を加熱圧締して得られる木質繊維板１ａ，１ｂ ，１ｃを用い、この木質繊維層は単板として使用できない欠点のある原木を小さ く破砕あるいは解繊したものを用いて得られるものであるため、資源の有効利用 となり自然破壊の防止に役立つことができる。

【００２６】 また、本考案の建築用板は、表裏層部に少なくとも１層の比重の高い硬質層１ １，１３を有する木質繊維板１ａ．１ｂ．１ｃを、水分の吸放出による収縮膨張 の小さい板材およびシート状物２ａ，２ｂを介して積層することにより、木質繊 維板１ａ，１ｂ，１ｃの有する長さ方向および幅方向に均等に優れた寸法安定性 に加え、水分の吸放出による収縮膨張の少ない板材またはシート状物２ａ，２ｂ が拘束材として木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｄの水分の吸放出による収縮膨張を抑 制するため、一段と寸法安定性に優れ反り等の生じにくいものとなる。

【００２７】 また、木質繊維板１ａ，１ｂ，１ｃの表裏層部に硬質層１１，１３が設けられ ることにより曲げ強度に優れ、板材間の接着強度が高く、しかも軽量で取り扱い 易い建築用板である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案建築用板の断面図、

【図２】 木質繊維板の断面図、

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１ｃ：木質繊維板、２ａ，２ｂ；収納膨張
の小さい板材またはシート状物、１１，１３：硬質層、
１２：中心層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表裏層部に少なくとも１層の比重の高い
   硬質層が形成された複数枚の木質繊維板を、該木質繊維
   板より水分の吸放出による収縮膨張率の小さい板材また
   はシート状物を介して積層し、表裏面に木質繊維板が位
   置するよう積層一体化してなる建築用板。