JPH0627014B2 - 紫外線レーザ用合成シリカガラス光学体及びその製造方法 - Google Patents

紫外線レーザ用合成シリカガラス光学体及びその製造方法

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JPH0627014B2
JPH0627014B2 JP2158620A JP15862090A JPH0627014B2 JP H0627014 B2 JPH0627014 B2 JP H0627014B2 JP 2158620 A JP2158620 A JP 2158620A JP 15862090 A JP15862090 A JP 15862090A JP H0627014 B2 JPH0627014 B2 JP H0627014B2
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茂 山形
恭一 稲木
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、略400nm以下の紫外線レーザに使用されるレ
ンズ、窓部材、ミラー、プリズム、フィルタ、エタロン
板、その他のレーザ光用の合成シリカガラス製光学体及
びその製造方法に関する。
「従来の技術」 近年におけるLSIの微細化、高集積化の進展は極めて著
しく、すでにチップ当りの素子数が百万以上のVLSIの時
代に入っている。これに伴ないウエハ上に集積回路パタ
ーンを描画するリソグラフィ技術においてもその開発が
急速に進み、より微細な線巾例えば1MビットDRAMに対応
する線巾1μm、4MビットDRAMに対応する線巾0.8μm、が
開発されている。そして今やサブミクロンの線巾すなわ
ち16Mビット乃至256MビットDRAMに対応する0.5乃至0.2
μmの線巾で描画可能なリソグラフィ技術の開発が急務
とされている。
しかしながら従来の光リソグラフィ技術はその欠点とし
て露光波長が大きいため、回折により解像力が制限され
るという問題があり、上記要請を満足することはできな
い。
光の短波長化を図る為に、400nm以下の紫外線を用いた
技術が開示されているが、従来の光学ガラスを用いたレ
ンズでは使用波長が365nm(i線) 付近より光透過率が急
激に低下するために、レンズ材料を従来の光学ガラスか
ら石英ガラスに代える必要があるが、石英ガラスに通常
の紫外線を透過した場合光スペクトル巾が広いために色
収差が発生してしまう。
そこでスペクトル巾の狭い且つ紫外域で発振する高出力
パルスレーザであるエキシマレーザ、特にサブミクロン
単位のより鮮明画像を得るために短波長なKrF(248nm),A
rF(193nm)を前記光リソグラフィ用の光源として用いた
技術が検討されている。
しかしながらエキシマレーザ光は従来の g線等に比較し
て極めてパワーが大であり而も発振波長の短波長化が進
むにつれ、例え前記石英ガラスを用いて前記レーザ光用
光学部材を製作したとしても該レーザ光が長時間照射さ
れるとレンズ等の光学部材がダメージを受け、透過率の
低下率の光学特性が低下し、最終的にクラックガ発生す
るという問題が生じる。
ところで、従来水晶を溶融して造った天然石英ガラスを
水素ガス雰囲気中で約400〜1000℃で加熱することによ
り電離線の作用によりその石英ガラスが着色を生じるの
を防止しようとする技術が提案されている(特公昭40-1
0228号参照)が、このような単に水素処理を施しただけ
にすぎない石英ガラスでは耐レーザ性が不充分であり、
前記問題点を解決することができない。
他方、本出願人は先に特開昭64-238240 号において、略
400nm以下の紫外線レーザ光に使用される光学用石英ガ
ラス部材において、脈理除去、特に三方向脈理フリーの
石英ガラス材よりなり、光が透過する区域において屈折
率変動幅Δnが5×10-6以下の均質性を有することを特徴
とする光学用石英ガラス部材を提案した。しかし、かか
る光学部材は高純度合成石英ガラス塊を加熱し脈理を除
去した後、円柱状等の所望形状に成型し、更に内部歪除
去と均質化を図る為に加熱−徐冷処理(アニール処理)
し、光学部材を作製するものであるので、該徐冷工程時
に該光学部材の中心域と周縁域とでの温度差を生じ、仮
想温度(Fictive temperature)分布が発生する。該仮想
温度分布の発生は結果として屈折率変動の分布を引き起
し更なる改良が望まれていた。
「発明が解決しようとする課題」 前記徐冷工程において徐冷速度を極力遅くしても、外気
と接する周縁側と中心域側の徐冷速度を均一化しながら
徐冷する事は不可能であり、該徐冷中高温状態にあるガ
ラス塊の中心域より周縁域の冷却速度が必然的に早くな
ってしまい、いわゆる中心域より周縁側に向け同心状に
して且つその断面内における仮想温度(Fictive tempera
ture)が中心域から周縁域に向って順次大きな値を示す
仮想温度分布を示す。
従って前記シリカガラス塊の屈折率分布の均一化を図る
為には、シリカガラスの合成による高純度化とともに、
その後における前記熱処理時における仮想温度分布の平
坦化を図らねばならないが、その改善には限界があり、
結果として前記屈折率分布の均質化を図るのは極めて困
難である。
しかして、合成シリカガラスの製造では、多くの場合四
塩化けい素を酸水素炎中で反応させシリカガラスを得る
方法が採用されているため、通常これらシリカガラス中
にはOH基と共に塩素が含まれている。これらOH基及び塩
素の濃度分布は屈折率変動に影響を与える作用がある。
そこで本発明は、OH基濃度分布及び塩素濃度分布による
屈折率変動を仮想温度分布による屈折率変動分布と効果
的に組合せることにより、高均質性を達成しつつ、耐紫
外線レーザ性に関する前記問題を解決することを目的と
する。
「課題を解決する為の手段」 本発明は、屈折率分布の変動要因たる仮想温度差を極力
0に近づけて、光学部材における屈折率の高均一性を得
るのではなく、逆に前記仮想温度差を実質的に0にする
事が不可能である為に、前記変動要因の温度差の発生を
許容しつつ該温度差に対応させてOH基濃度及び塩素濃度
の分布状態を各々適切に規制する事により、前記各々の
分布状態に起因して発生する屈折率変動を互いに打消
し、結果として少なくとも一の断面方向における屈折率
分布の変動幅を2×10-6以下に抑制した点にある。
更に、本発明の第二の特徴とする所は、内部歪除去の加
熱処理後若しくは加熱処理と同時に行う水素ドーピング
処理にて紫外線レーザ照射による光透過率低下を抑制す
るに充分な量の水素ガスをドープした点にある。
前記水素ドープ量の有効な範囲は、水素分子濃度の測定
か又は水素分子放出量として測定することにより決定し
うる。
その好ましい範囲は、前記水素ガスが5×1016(molecule
s/cm3)分子濃度以上、若しくは真空下での1000℃昇温時
における放出量が少なくとも1×1020(molecules/m2)以
上になるように水素ガスをドープさせるのがよい。
尚、本発明による光学体は略400nmまでの紫外線、
特にレーザ光に好適に使用される。
そしてかかる光学体の製造方法として、 OH基と塩素を含有する合成シリカガラス塊を、 温度1000から1200℃に一定時間加熱し徐冷する
事により内部歪除去の処理を施すとともに、 この徐冷工程において、前記OH基濃度分布と塩素濃度
分布に基づく屈折率変動分布を打消し合う方向に、前記
ガラス塊の仮想温度に基づく屈折率変動分布を形成しな
がら徐冷を行い、 ついでこのガラス塊を常圧乃至加圧の水素ガス雰囲気中
で例えば1000〜200℃の範囲内で加熱処理する事
により、 紫外光照射による光透過率低下を抑制するのに充分な量
の水素分子をドープすることにより形成される。
この場合前記水素分子ドープに先立って、減圧下で200
〜1000℃の範囲で加熱して脱ガス処理を施すことによ
り、一層好ましく水素ドープが促進される。
又前記水素ドープ工程は独立した処理工程とする事な
く、素ガス雰囲気下で一定時間加熱し徐冷する事により
内部歪除去の処理を施すとともに、 この水素ガス雰囲気下における徐冷工程において、前記
OH基濃度分布と塩素濃度分布に基づく屈折率変動分布
を打消し合う方向に、前記ガラス塊の仮想温度に基づく
屈折率変動分布を形成しながら徐冷を行うようにしても
良い。
「作用」 本発明の作用を第1図(A),(B)に基づいて詳細に説明す
る。なお、同図はOH基濃度分布、塩素(Cl)濃度分布及び
屈折率分布の傾向を模式的に示したものである。
前記したように高純度で且つ均一組成の合成シリカガラ
ス体を用いて加熱−徐冷処理を行った場合は、屈折率分
布は前記仮想温度分布に依存してしまう為に、ガラス体
の中心域より周縁域に移行するに連れ順次屈折率が大で
ある曲線、すなわち、凹曲線状の屈折率分布を相殺し、
平坦な屈折率分布を得る為には、加熱処理前のシリカガ
ラス体の屈折率分布を中心域から周縁域に移行するに連
れ順次小になるよう軸対称で且つ上に凸型曲線状の分布
形状にしなければならない。
さて第1図(A),(B)に示すようにOH基濃度分布とそれに
より決定される屈折率分布は負の比例相関関係にあり、
一方Cl濃度分布はOH基濃度分布の場合と異なり屈折率分
布と正の比例相関関係にある為に、両者の組み合わせに
より形成される屈折率分布を仮想温度分布による屈折率
分布を相殺するような分布形状にするには、例えば第1
図(A)試料番号1に示すように、OH基濃度分布が凹曲
線、Cl濃度分布の凸曲線の組み合わせか、又試料番号2
に示すように前記両分布曲線が凹曲線で且つその濃度分
布差がOH基濃度分布の方が大なる分布曲線の組み合わせ
か、更に試料番号3に示すように前記両分布曲線が凸曲
線で且つその濃度分布差がCl濃度分布の方が大なる分布
曲線の組み合わせの分布曲線を設定する事により、前記
仮想温度分布に依存する屈折率分布(B)を相殺する屈折
率分布(C)形成が容易であり、これにより本発明の効果
を円滑に達成する事が可能となる。
尚、光学特性に影響を与える透過率と屈折率等の変化は
OH基とCl基の濃度分布曲線のみならず、OH基含有量にも
依存し、従ってOH基含有量を増大させる事により、紫外
線レーザ照射による前記蛍光特性、屈折率、透過率等の
光学特性の安定性が向上する。その理由は必ずしも明ら
かではないが、シリカガラスに強力なレーザ光を照射す
ると、ガラス網目構造を構成する原子間の結合が切断さ
れ、その結果透過率が低下し、吸収バンドが現われる。
又、蛍光強度も増加するが、これら原子間の切断もガラ
ス組織中に含まれるOH基やH2の存在等により大部分が修
復されるものと推定される。
そこで、本発明は前記OH基濃度分布における極小点等の
最少濃度領域におけるOH基濃度を少なくとも50ppm以上
に設定している。
レーザ光用光学部材2は第2図に示すように、少なくと
も前記OH基濃度分布を有する断面方向に対して直交する
方向にレーザ光入射軸を設定する訳であるが、該光学部
材は前記合成シリカガラス体1の一部を使用するもので
ある為に、前記濃度分布の極大又は極小点が中心域にあ
るとは限らず、第2図の2A,2Cに示すように極大又は極
小点さえない場合もある。
そこで請求項1)及び12)に記載した発明においては、高
純度合成シリカガラス塊を水素ガス若しくは水素ガス混
合雰囲気下で加熱処理して得られる水素吸蔵シリカガラ
ス材を用いて紫外線レーザ光用光学体を形成するととも
に、前記仮想温度分布に起因する屈折率変動を実質的に
相殺する為に、レーザ入射軸と直交する面内におけるOH
基濃度分布とCl濃度分布を効果的に組み合わせて形成さ
れる屈折率分布曲面が、最少屈折率域から最大屈折率域
に至る間変曲点をもつことなく順次大きい値になるよう
に設定した事にある。
「実施例」 次に製造手順に従って、本発明の好ましい実施例を説明
する。
先ず原料四塩化ケイ素を蒸留して不純物を除去させた後
フッ素樹脂ライニング付ステンレス製容器に貯溜した高
純度四塩化ケイ素を用意し、該高純度の四塩化ケイ素原
料を酸水素炎中で反応させながら円柱状の合成シリカガ
ラスインゴットを複数個製造した。
これらのインゴットを一定の直径の棒状体に延伸した
後、横型浮遊帯域融解法(FZ法)により混練り均質化
し、三方向脈理フリーとした。
次に、これらのインゴットを加熱成型し室温まで放冷
し、φ200×t70mmのガラス体を形成し、赤外吸光光度法
によるOH基濃度分布測定と比濁分析法によるCl濃度分布
の測定を行った。ただし、濃度測定範囲は最終製品であ
る合成シリカガラス光学体の寸法がφ160×t30mmである
ことから、該インゴットの80%エリアとした。
その結果、第1図(A)の試料番号1に示すように前者の
濃度分布差(ΔOH)が15ppmの凹曲線、後者の濃度分布
差(ΔCl)が15ppmの凸曲線になるように、又試料番号
2に示すように前記両分布曲線が凹曲線で且つその濃度
分布差ΔOHが35ppmでΔClが5ppmになるように、更に試
料番号3に示すように前記両分布曲線が凸曲線で且つそ
の濃度分布差ΔOHが5ppmでΔClが35ppmになるように、
一方試料番号4においては試料番号1と逆に前者の濃度
分布差ΔOHが20ppmの凸曲線、後者の分布差ΔClが10ppm
の凹曲線になるように前記濃度曲線を設定した。尚前記
各ガラス体のOH基濃度分布の極小点若しくは最少濃度域
はいずれも略400ppmに設定してある。
さらに、試料番号5に示すようにOH基濃度の最小値を略
210ppmに設定し、OH基濃度分布差ΔOHが15ppmの凹型分
布に、Cl濃度分布差ΔClが同じく15ppmの凸型分布にな
るように、また試料番号6に示すようにOH基濃度の最小
値を略850ppmに設定し、OH基濃度分布差ΔOHが20ppmの
凹型分布に、Cl濃度分布差ΔClが10ppmの凸型分布にな
るように設定した。
尚、前記ガラス体のOH基濃度分布は、インゴット合成時
に原料ガスと酸水素ガスとの混合比率を調整し、合成装
置のバーナー形状、バーナー等を変化させ、さらに混練
りによって制御することが可能である。
そして、前記のようにして製造されたガラス体の屈折率
分布(C)を調べた所、試料番号1,2,3,5及び6では凸曲線
で且つ屈折率変動幅(Δn)が(ΔOH、ΔCl)に対応し
て約3×10-6に設定され、試料番号4においては凹曲線で
約3×10-6に設定されている事が計算された。
次に、これらガラス体を高純度アルミナブロック材を保
温材とし、炭化ケイ素を発熱体とするきわめて高純度な
電気炉内に設置し、内部歪除去と仮想温度分布調整のた
めに1100〜1200℃の温度に10時間保持した後、室温ま
で徐冷を行った。(アニール処理)。
さらに、これらガラス体をステンレススチールのジャケ
ット及びタングステンヒータから成る、きわめて純度の
高い別の電気炉内に設置し、水素ガス雰囲気(1kg/cm2)
にて略600℃に100時間保持し、そのままの雰囲気下
で室温まで徐冷を行った(H2ドープ処理)。
尚、アニール処理温度を1100〜1200℃の範囲とした理由
は、合成シリカガラスの歪点が約1020℃、徐冷点が約11
20℃なので、1020℃から1120℃のガラス転移領域を含む
温度領域で熱処理することが有効であると考えられるか
らである。
前記光学体の直径によっても異なるが、仮想温度分布曲
線の乱れを防止する見地から現状の熱処理による仮想温
度分布差は4℃以内の範囲に設定する事が好ましく、従
ってOH基とClの分布差は前記OH基濃度の極小点もしくは
最小濃度域を50ppm以上に設定しつつΔOH、ΔClの濃度
値を各々略60ppm以内になるように設定するのがよい。
この結果、前記仮想温度分布による屈折率分布(B)が軸
を通る断面内における分布曲線が軸において極小値を示
し、外縁部に移行するに従い順次大きい値を示す曲線、
具体的には極小値がガラス体の中心域にある略二次曲線
状になり、屈折率分布(C)と対称形状となる。
従って前記ガラス体の屈折率分布(A)は、前記仮想温度
勾配により形成される屈折率分布(B)と、前記両濃度分
布の組み合わせにより形成される屈折率分布(C)が加算
される結果、試料番号1,2,3,5及び6では屈折率変動幅
(Δn)が1×10-6以下という非常に高均質なシリカガラ
ス光学体を得ることが出来た。
しかし試料番号4では(B)と(C)が増長されて屈折率変動
幅(Δn)が6×10-6と非常に悪くなってしまった。
Δn値の測定は、He-Neレーザを用いた干渉計によって行
った。
次に、前記シリカガラス光学体について各金属元素の微
量分析を原子吸光光度法及び中性子放射化分析法で行っ
たところ、Li,Na,Kのアルカリ金属元素については各々
0.05ppm以下、Mg,Caのアルカリ土類金属元素については
各々0.01ppm以下、及びTi,Cr,Fe,Ni,Cuの遷移金属元素
については各々0.01ppm以下と高純度が維持されてい
た。
また、このようにして形成した内部歪のない複屈折が5
(nm/cm)以下のシリカガラスを40×30×t30mmの寸法に切
断しかつ両面鏡面仕上を行ってエキシマレーザ照射実験
用試験片を作成するのと同時にH2ガス測定用サンプルと
して寸法40×20×t1mmでかつ両面を鏡面仕上したもの及
び寸法10×10×20(l)mmでかつ3面を鏡面仕上したものを
作製してH2放出量及びH2濃度の測定を行った。前記H2
ス放出量の測定はサンプルをセットした石英チャンバー
内を真空にした後、4℃/minで1000℃まで昇温させた
後、該1000℃にて2時間保持した。その時放出される各
種ガスを四重極型質量分析計に導入し、分子の種類と量
を測定した。(参考文献 森本幸裕、他、照明学会東京
支部大会誌、PP.16〜25、1989) さらに、レーザラマン散乱測定法によるH2ガス濃度測定
では、サンプルをセットした後Arレーザ(488nm)で照射
し4135(cm-1)と800(cm-1)の散乱光の強度比よりH2ガス
濃度を計算した。(参考文献V.S.Khotimchenko,et al.Z
hurnal PrikladnoiSpektroskopii,Vol.46,No.6,PP.987
〜991,1986)。これら測定結果によれば、試料No.1〜N
o.6におけるH2放出量は略2〜3×1020(molecules/m2)で
あり、H2ガス濃度は略3〜5×1017(molecules/cm3)とい
う値を得た(表-1参照)。
次に前記耐エキシマレーザー性評価用の試験片に対し
て、KrFエキシマレーザ(248nm)を用い、パルス当りエネ
ルギー密度100,200,400(mJ/cm2・pulse)及び照射パルス
数1×105、1×106、1×107(pulse)の組合せから成る照
射条件にて照射を行った。
また、前記耐エキシマレーザ性評価用の別の試験片に対
してArFエキシマレーザ(193nm)を用い、パルス当りエネ
ルギー密度を100(mJ/cm2・pulse)、周波数を100(Hz)にて
連続照射を行い、5.8eV(略215nm)における内部透過率が
2%低下するまでの照射パルス数を測定し、KrFエキシマ
レーザ(248nm)でのデータと比較を行った(表-2
参照)。
その結果、OH基を略100ppm以上含有しかつ水素分子濃度
略5×1016(molecules/cm3)以上又は水素分子放出量略1
×1020(molecules/m2)以上の値を有する試料で、非常に
高い耐エキシマレーザ性が得られることが明らかとなっ
た。
また、前述した屈折率の均質性を含めて評価した場合合
成シリカガラス光学体の仮想温度分布に基づく屈折率変
動分布と、OH基濃度分布及びCl濃度分布に基づく屈折率
変動分布とが相互に打消し合う構成とし、かつ一定量以
上の水素分子を含有することの2つの条件を同時に満足
することが紫外線レーザ用合成シリカガラス光学体にと
って非常に重要であることが明らかとなった。
尚、本実験結果と比較するために試料番号1と同一のOH
基濃度分布、Cl濃度分布を有するガラス体をアニール処
理し、H2ドープ処理せずに均質性と耐エキシマレーザー
性を評価したところ、Δnは1×10-6以下であったが、耐
レーザ性は、表-2の*1の条件で1×10-4、*2の条件で1
×104以下ときわめて低いものであった。
さらに比較実験として、Cl含有最大値50ppmを中心域に
持ち、ΔCl 10ppmで、OH基 0ppmのガラス体をアニール
処理した後、H2ドープ処理を行い、均質性と耐エキシマ
レーザ性を評価したところ、Δnは2×10-6程度であった
が、やはり耐レーザ性は先の比較例と略同じ値を示し、
きわめて低いものであった。
「発明の効果」 以上記載した如く本発明によれば、内部歪を除去しガラ
ス組織の均質化を図る為に行われる加熱−徐冷処理によ
り生じる仮想温度分布を許容しつつ、該仮想温度分布が
存在する場合でも均一な屈折率分布を得る事が出来、更
に該加熱処理工程時において生じる不具合を解消し、略
400nm以下の特に200nm前後の短波長のレーザ光を利用し
た各種装置においてもすぐれた耐レーザ性を示す光学部
材を提供する事が出来る、等の種々の著効を有す。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は合成シリカガラス光学体のOH基及びCl
の濃度分布とそれらの屈折率分布換算及び仮想温度分布
とその屈折率分布換算並びに屈折率分布の実測値を示す
グラフ図である。 第2図は本発明の合成シリカガラス光学体から光学部材
を切り出した時のOH基及びCl含有量分布を示す製造手順
図である。 1……合成シリカガラス光学体 1′……周辺研削前の合成シリカガラス体 2A,2B,2C……切り出された光学部材 2a……光入射光軸に直交する光入射面
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−75604(JP,A) 特開 平2−124739(JP,A) 特開 平2−80343(JP,A) 特開 平1−320232(JP,A)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】OH基及び塩素が含有されてなる紫外線レ
    ーザ用合成シリカガラス光学体において、 前記OH基の濃度分布に基づく屈折率変動分布と、前記
    塩素の濃度分布に基づく屈折率変動分布と、前記光学体
    の仮想温度に基づく屈折率変動分布とを形成し、該3つ
    の屈折率変動分布により実質的に屈折率変動がないよう
    に前記光学体を形成すると共に、 該光学体に前記紫外光照射による光透過率低下を抑制す
    るのに充分な量の水素分子を含有させたことを特徴とす
    る合成シリカガラス光学体
  2. 【請求項2】前記合成シリカガラス光学体は、OH基の
    最低濃度領域におけるOH基濃度が少なくとも50pp
    m以上であり、 且つ該OH基濃度が低濃度領域から高濃度領域へ変曲点
    をもつことなく順次増加する分布である請求項1記載の
    合成シリカガラス光学体
  3. 【請求項3】前記光学体の水素分子の含有量が略5×10
    16(molecules/cm3)以上である事を特徴とする請求項1)
    記載の光学体
  4. 【請求項4】前記光学体が、水素分子真空下での1000℃
    昇温時における水素分子放出量が略1×1020(molecules
    /m2)以上になるように水素分子を含有させてある事を
    特徴とする請求項1)記載の光学体
  5. 【請求項5】前記光学体が、アルカリ金属(Li,Na、K)
    の含有量が150ppb以下、アルカリ土類金属(Mg、Ca)の
    含有量が100ppb以下、遷移金属(Ti,Cr,Fe,Ni、Cu)の含
    有量が50ppb以下の合成シリカガラスである特徴とする
    請求項1)記載の光学体
  6. 【請求項6】前記光学体が、アルカリ金属Li,Na、Kの夫
    々の含有量が50ppb以下、アルカリ土類金属Mg、Caの夫々
    の含有量が10ppb以下、遷移金属Ti,Cr,Fe,Ni、Cuの夫々
    の含有量が10ppb以下の合成シリカガラスである特徴と
    する請求項1)記載の光学体
  7. 【請求項7】前記光学体が、三方向脈理フリーの合成シ
    リカガラスである特徴とする請求項1)記載の光学体
  8. 【請求項8】前記光学体が、複屈折率5(nm/cm)以下
    の合成シリカガラスである特徴とする請求項1)記載の光
    学体
  9. 【請求項9】前記光学体のΔn(屈折率の変動幅)の値
    が2×10-6以下である請求項1)記載の光学体
  10. 【請求項10】OH基と塩素を含有してなる合成シリカ
    ガラス塊を、 温度1000から1200℃に一定時間加熱し徐冷する
    事により内部歪除去の処理を施すとともに、 この徐冷工程において、前記OH基濃度分布と塩素濃度
    分布に基づく屈折率変動分布を打消し合う方向に、前記
    ガラス塊の仮想温度に基づく屈折率変動分布を形成しな
    がら徐冷を行い、 ついでこのガラス塊を常圧乃至加圧の水素ガス雰囲気中
    で加熱処理する事により、 紫外光照射による光透過率低下を抑制するのに充分な量
    の水素分子をドープすることを特徴とする合成シリカガ
    ラス光学体の製造方法
  11. 【請求項11】前記内部歪除去の処理工程を経たガラス
    塊について、水素分子ドープに先立って、減圧下で200
    〜1000℃の範囲で加熱する事により脱ガス処理を施すこ
    とを特徴とする請求項10)記載の製造方法
  12. 【請求項12】OH基と塩素を含有してなる合成シリカ
    ガラス塊を、 水素ガス雰囲気下で一定時間加熱し徐冷する事により内
    部歪除去の処理を施すとともに、 この水素ガス雰囲気下における徐冷工程において、前記
    OH基濃度分布と塩素濃度分布に基づく屈折率変動分布
    を打消し合う方向に、前記ガラス塊の仮想温度に基づく
    屈折率変動分布を形成しながら徐冷を行う事を特徴とす
    る合成シリカガラス光学体の製造方法
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