JPH06269900A

JPH06269900A - 接種材自動計量装置

Info

Publication number: JPH06269900A
Application number: JP5902093A
Authority: JP
Inventors: Shigeru Oyama; 茂尾山
Original assignee: Hino Motors Ltd
Current assignee: Hino Motors Ltd
Priority date: 1993-03-18
Filing date: 1993-03-18
Publication date: 1994-09-27
Anticipated expiration: 2014-04-05
Also published as: JP2879507B2

Abstract

(57)【要約】【目的】鋳物用の原料鉄材の分析、原料鉄材に混合す
る接種材の添加量の演算、および演算結果に基づく接種
材の切出しを自動的に行い、秤量の誤りを少なくして信
頼性を高め、作業工数を低減する。【構成】被測定溶湯の冷却特性を電気信号に変換し、
この電気信号から溶湯成分を分析し、この分析結果に対
して添加すべき接種材の種類および量を演算し、この演
算結果に指定された接種材の種類および量を切り出し添
加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は鋳物工場で利用する。本
発明は、原料鉄材を分析し、その原料鉄材に微量だけ混
合すべき接種材の種類および量を演算し、その演算結果
に基づき接種材を正しく切り出す一連の自動装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】鋳鉄の中に金属材料あるいは合金材料を
微量だけ接種材として混合することにより、その鋳造品
の品質を所望の状態に維持する技術が広く知られてい
る。この接種材の配合は、製造される鋳物の種類によ
り、また、客先の仕様により異なるものであって、その
工程に入る都度あるいは鋳鉄を供給する都度調合され
る。従来からこの秤量配合に誤りがないように、熟練者
が注意深く作業を行うことになっていた。

【０００３】ここで、接種とは、鋳鉄の鋳造作業中にお
いて、鋳型内へ注湯される溶湯の中へ金属、合金を小量
添加することによって、それが合金効果として影響する
以上の物理、化学的変化を与える処理をいう。金属学的
な意味は、凝固中に成長する固相に対する「種」または
「結晶核」を溶湯に与えることであり、また、現象的に
は、不均質核生成を促して黒鉛晶出状態を改善しようと
するものである。接種材、処理条件、時間により微妙に
変化するが、黒鉛共晶セル数増加による肉厚感受性の低
減、セメンタイト発生防止による切削性の向上などの材
料改善のために行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、熟練者が注意
深く作業を行っても、どうしても配合の誤りが発生した
り、また配合を行う作業者には必ずしも熟練者を割り当
てることができない事情が発生する。ひとたび配合の誤
りが発生すると、多くの不良品を製造してしまうことに
なる。さらに、この配合のための作業は複数の作業者に
よる確認作業などを伴うことがあり、作業工数の大きい
ことが欠点であった。

【０００５】本発明はこれを改良するもので、操作をき
わめて単純化し、自動的に、被測定溶湯の冷却特性から
その成分を分析して添加すべき接種材の種類および量を
設定し秤量の誤りを少なくするとともに、作業工数を小
さくすることができる装置を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、被測定溶湯を
収容しその冷却特性を電気信号として送出する冷却特性
測定装置と、この電気信号を取込み溶湯成分を分析し分
析結果を電気信号として送出する溶湯成分分析装置と、
この分析結果を取込みその分析結果に対して添加すべき
接種材の種類および量を演算する演算装置を有する制御
装置と、この演算装置の演算結果を取込みその演算結果
に指定された接種材の種類および量を切り出す材料秤量
装置とを備えたことを特徴とする。

【０００７】前記溶湯成分分析装置は、前記冷却特性か
ら炭素当量値（ＣＥ値）を分析結果とする手段を備え、
前記制御装置は、記憶回路を備え、その記憶回路にあら
かじめ炭素当量値に対応して添加すべき接種材の種類お
よび量をテーブルとして保持し、このテーブルを参照し
て添加すべき接種材の種類および量を演算する手段を備
えることが望ましく、さらに、前記材料秤量装置は、複
数種類の接種材がそれぞれ個別に蓄積される複数のホッ
パーが配列され、そのホッパーの出口に設けられ前記制
御装置からの制御信号に応じてそのホッパーに蓄積され
た材料を切り出す切出手段と、前記複数のホッパーの出
口付近を前記制御装置からの駆動信号に応じて移動し前
記ホッパーの出口から切り出される接種材を受けるカッ
プと、このカップの重量を秤量しその秤量値を電気信号
として出力する秤量手段とを備え、前記制御装置は、入
力手段と、この入力手段に与えられた信号により指定さ
れた種類の接種材をそれぞれ指定された重量だけ前記カ
ップに切り出す制御手段を備えることが望ましい。

【０００８】

【作用】冷却特性測定装置が被測定溶湯の冷却特性を測
定して電気信号として送出し、溶湯成分分析装置がこの
電気信号を取込み溶湯成分を分析しその結果を電気信号
として送出する。演算装置がその分析結果を取込み添加
すべき接種材の種類および量を演算し、材料秤量装置が
その演算結果により指定された接種および量を切り出
す。

【０００９】材料秤量装置による接種材の切り出しは制
御装置の制御にしたがって行われる。制御装置はカップ
を移動させるモータに駆動信号を送出し、カップを最初
の材料の位置まで移動させて停止させ、続いて制御信号
を送出して最初の材料のホッパーの切出手段を動作さ
せ、秤量値を示す電気信号を取込み監視し、その秤量増
分があらかじめ設定された値になったときに切出手段の
動作を停止する。次に、カップを二番目の材料のホッパ
ーの位置に移動させて停止させ、秤量値を監視しながら
そのホッパーの切出手段を制御する。このような動作を
繰り返して全部の材料について切出しが終わると、切出
し完了の信号を表示する。

【００１０】操作者は切出し完了の信号を確認しカップ
から切出した接種材を取出してかき混ぜ、所定の鋳鉄材
料に混合すればよい。このように、複数種類の接種材の
設定から切り出しまでを鋳造しようとする原料の冷却特
性に基づいて簡単な入力操作で自動的に行うことができ
るために、接種材の選定および秤量の誤りをなくすとと
もに作業工程の信頼性を向上させることができ、作業工
数を低減することができる。

【００１１】

【実施例】次に、本発明実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本発明実施例の構成を示すブロック図、図２
は本発明実施例における材料秤量装置の構成を示す図、
図３（ａ）は本発明実施例装置における材料秤量装置お
よびホッパー設備の正面図、（ｂ）はその側面図であ
る。

【００１２】本発明実施例は、図１に示すように、被測
定溶湯を収容しその冷却特性を電気信号として送出する
冷却特性測定装置１と、この電気信号を取込み溶湯成分
を分析し分析結果を電気信号として送出する溶湯成分分
析装置２と、この分析結果を取込みその分析結果に対し
て添加すべき接種材の種類および量を演算する演算装置
３を有する制御装置４と、この演算装置３の演算結果を
取込みその演算結果に指定された接種材の種類および量
を切り出す材料秤量装置１０とを備える。

【００１３】また、溶湯成分分析装置２は、前記冷却特
性から炭素当量値（ＣＥ値）を分析結果とする手段を備
え、制御装置４は、記憶回路５を備え、演算装置３はそ
の記憶回路５にあらかじめ炭素当量値に対応して添加す
べき接種材の種類および量をテーブル５ａとして保持
し、このテーブル５ａを参照して添加すべき接種材の種
類および量を演算する手段を備える。

【００１４】また、材料秤量装置１０は、図２および図
３に示すように、複数種類の接種材（粉体材料）がそれ
ぞれ個別に蓄積される複数のホッパー１１が配列され、
そのホッパー１１の出口に設けられ制御装置４からの制
御信号に応じてそのホッパー１１に蓄積された材料を切
り出す切出手段１２と、複数のホッパー１１の出口付近
を制御装置４からの駆動信号に応じて移動し該当するホ
ッパー１１の出口から切り出される接種材を受けるカッ
プ１４と、このカップ１４の重量を秤量しその秤量値を
電気信号として出力する秤量手段１５とを備え、制御装
置４はこの電気信号をインタフェースにより取込む入力
手段と、この入力手段に与えられた信号により指定され
た種類の接種材をそれぞれ指定された重量だけカップ１
４に切り出す制御手段を備える。

【００１５】次に、このように構成された本発明実施例
の動作について説明する。図４は本発明実施例装置によ
る接種材自動計量動作の流れを示す図である。

【００１６】電気炉で溶解された被測定溶湯をサンプリ
ングして冷却特性測定装置１に収容し、凝固開始点およ
び凝固完了点を含む冷却特性を測定する。測定結果は電
気信号として溶湯成分分析装置２に送出され、溶湯成分
分析装置２はこの電気信号を取込み、溶湯成分を分析し
て冷却特性から炭素当量値（ＣＥ値）を決定し電気信号
として制御装置４の演算装置３に送出する。

【００１７】演算装置３はこの分析結果を取込み、その
分析結果に対して添加すべき接種材の種類および量を演
算する。この演算は記憶回路５内に設けられたテーブル
５ａにあらかじめ記録されている炭素当量値に対応した
添加すべき接種材の種類および量を参照して行われる。
その一例を図５に示す。この例は炭素当量値を０〜１３
のパターンに区分しておき、溶湯成分分析結果がどのパ
ターンに対応するかを判断し、そのパターンごとに設定
された接種材とその添加率にしたがって演算が行われ
る。このようにして演算された結果は材料秤量装置１０
に送出され、材料秤量装置１０はその演算結果に指定さ
れた接種材の種類を選択し指定された量を切り出す。

【００１８】材料秤量装置１０による切り出しは、例え
ば〔表１〕に示すような配合種別があり、１ロットの鋳
鉄に混合する接種材の重量が、配合種別Ｉでは、材料Ａ
が２３０ｇ、Ｃが４６０ｇ、Ｄが１２０ｇ含まれ、配合
種別IIでは、材料Ａが１６０ｇ、Ｂが５０ｇ、Ｃが１６
０ｇ、Ｅが１００ｇ含まれ、配合種別III では、材料Ａ
が１１０ｇ、Ｂが５０ｇ、Ｃが１１０ｇ、Ｄが５０ｇ、
Ｅが５０ｇ含まれ、配合種別IVでは、材料Ａが１２０
ｇ、Ｃが１２０ｇ含まれるものとして、「配合種別Ｉ」
が指定され制御装置４から駆動装置２４に駆動信号が送
出されると、この駆動信号により駆動装置２４はモータ
２３を駆動して駆動ねじ２２により移動するカップ１４
を例えば材料Ａが蓄積されたポッパー１１に対応する位
置まで移動させ停止させる。接種材には、例えば、Ｓ
ｂ、イノグラＧ、ＣａＳｉ、ＦｅＣｒ、カーボンなどが
ある。

【００１９】カップ１４が材料Ａの位置に停止したこと
が位置センサ２５により検出されてその検出信号が送出
されると、制御装置４は、切出手段１２に制御信号を送
出し、材料Ａが収納されたホッパー１１の切出手段１２
を駆動する。ホッパー１１からは材料Ａがカップ１４に
切り出され、秤量手段１５が切り出された材料Ａの秤量
を行い、その秤量値を示す電気信号を制御装置４に送出
する。

【００２０】制御装置４はその電気信号を取込みながら
監視を行い、その秤量増分があらかじめ設定された値
（２３０ｇ）になったときに、切出手段１２の動作を停
止する。これにより材料Ａの切り出しが終了する。

【００２１】続いて、「配合種別Ｉ」に必要とされる材
料Ｃのホッパー１１の位置にカップ１４を移動させる駆
動信号を、駆動装置２４に送出し、モータ２３を駆動し
てカップ１４を材料Ｃが収納されたホッパー１１に対応
する位置まで移動させ停止させる。

【００２２】カップ１４が停止したことを示す検出信号
が位置センサ２５から送出されると、材料Ａのときと同
様に、制御装置４は制御信号を送出して材料Ｃのホッパ
ー１１の切出手段１２を駆動する。ホッパー１１からは
材料Ｃがカップ１４に切り出され、秤量手段１５が切り
出された材料Ｃの秤量を行いその秤量値を示す電気信号
を制御装置４に送出する。

【００２３】制御装置４はその電気信号を取込みながら
監視し、その秤量増分があらかじめ設定された値（４６
０ｇ）になったときに、切出手段１２の動作を停止して
材料Ｃの切り出しを終了する。

【００２４】以降このような動作を繰り返して材料Ｄの
切り出しを行い、すべての材料の切り出しが終了したと
きに、切出し完了を表示する。操作者はカップ１４から
切り出した接種材を手柄杓２１に移し取り原料鉄材に添
加して混合する。

【００２５】

【表１】図６は本発明実施例および従来例による計量精度の比較
を示したもので、（ａ）はフェロクロームの計量精度、
（ｂ）はイノキュリンの計量精度、（ｃ）はカルシリの
計量精度を示す。図中のＮは試料数、〔外１〕は平均
値、σは基準偏差である。

【００２６】

【外１】フェロクロームの場合には、図６（ａ）に示すように、
従来例では試料２０について計量を行った結果、平均値
２．５０４、標準偏差０．０９であったものが、本発明
実施例装置により試料３０について計量を行ったとこ
ろ、平均値２．３９、標準偏差０．０１２となり、計量
値の分布の中心はずれるもののバラツキは大幅に減少し
いてる。

【００２７】また、イノキュリンの場合には、図６
（ｂ）に示すように、従来例では試料２０について計量
を行った結果、平均値１．０５２、標準偏差０．０４１
であったものが、本発明実施例装置により試料３０につ
いて計量すると、平均値１．０５２、標準偏差０．００
５となり、これも分布の中心にずれを生じるがバラツキ
は減少している。

【００２８】さらに、カルシリについても、従来例では
試料２０を計量したところ平均値１．１０２、標準偏差
０．０４５であったものが、本発明実施例装置によれ
ば、試料３０について平均値１．２０４、標準偏差０．
０１７となり、分布の中心にずれは生じるがバラツキは
大きく減少している。

【００２９】このように、いずれの計量においてもバラ
ツキが減少し、計量の精度が高められたことが示され
る。

【００３０】図７（ａ）および（ｂ）は本発明実施例お
よび従来例装置による計量で製造された鋳造品の硬度お
よび抗張力の比較を示したものである。

【００３１】硬度の場合は同図（ａ）に示すように、従
来例で計算され鋳造された試料２３について測定した結
果、平均値４．０８、標準偏差０．１３８であったもの
が、本発明実施例装置により計算され鋳造された試料３
３については平均値４．０７、標準偏差０．０８２とな
り、分布の中心はほぼ変わらずにバラツキが減少してい
る。

【００３２】また、抗張力では、従来例装置で計量され
鋳造された試料８２の測定結果は、平均値３１．０２、
標準偏差１．７０６であったものが、本発明実施例装置
により計量され鋳造された試料３２についての測定結果
は、平均値３０．９９、標準偏差１．３８２となり、こ
の場合も分布の中心がほぼ変わらずに、バラツキは減少
している。

【００３３】このように、計量が高い精度で行われる
と、鋳造されたときの硬度および抗張力のバラツキも減
少し、製造品質を向上させることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、鋳
造用の原料鉄材の分析、原料鉄材に混合する接種材の添
加量の演算、演算結果に基づく接種材の切出しをすべて
自動的に行うことができ、さらに、原料鉄材の分析結果
に基づいて接種材の種類および添加量が設定されるため
に、その設定および秤量が高い精度で行われ、鋳造品の
品質および信頼性を高めるとともに、作業工数を大幅に
低減することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例装置の構成を示すブロック図。

【図２】本発明実施例における材料秤量装置の構成を示
す図。

【図３】（ａ）は本発明実施例における材料秤量装置お
よびホッパー設備の正面図、（ｂ）はその側面図。

【図４】本発明実施例装置による接種材自動計量動作の
流れを示す図。

【図５】本発明実施例における接種材添加率基準の例を
示す図。

【図６】（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は本発明実施例および
従来例装置による計量精度の比較を示す図。

【図７】（ａ）および（ｂ）は本発明実施例および従来
例装置による計量で製造された鋳造品の硬度および抗張
力の比較を示す図。

【符号の説明】

１冷却特性測定装置２溶湯成分分析装置３演算装置４制御装置５記憶回路５ａテーブル１０材料秤量装置１１ホッパー１２切出手段１４カップ１５秤量手段２１手柄杓２２駆動ねじ２３モータ２４駆動装置２５位置センサ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】被測定溶湯を収容しその冷却特性を電気
信号として送出する冷却特性測定装置と、この電気信号
を取込み溶湯成分を分析し分析結果を電気信号として送
出する溶湯成分分析装置と、この分析結果を取込みその
分析結果に対して添加すべき接種材の種類および量を演
算する演算装置を有する制御装置と、この演算装置の演
算結果を取込みその演算結果に指定された接種材の種類
および量を切り出す材料秤量装置とを備えたことを特徴
とする接種材自動計量装置。
【請求項２】前記溶湯成分分析装置は、前記冷却特性
から炭素当量値（ＣＥ値）を分析結果とする手段を備
え、前記制御装置は、記憶回路を備え、その記憶回路にあら
かじめ炭素当量値に対応して添加すべき接種材の種類お
よび量をテーブルとして保持し、このテーブルを参照し
て添加すべき接種材の種類および量を演算する手段を備
えた請求項１記載の接種材自動計量装置。
【請求項３】前記材料秤量装置は、複数種類の接種材
がそれぞれ個別に蓄積される複数のホッパーが配列さ
れ、そのホッパーの出口に設けられ前記制御装置からの
制御信号に応じてそのホッパーに蓄積された材料を切り
出す切出手段と、前記複数のホッパーの出口付近を前記
制御装置からの駆動信号に応じて移動し前記ホッパーの
出口から切り出される接種材を受けるカップと、このカ
ップの重量を秤量しその秤量値を電気信号として出力す
る秤量手段とを備え、前記制御装置は、入力手段と、この入力手段に与えられ
た信号により指定された種類の接種材をそれぞれ指定さ
れた重量だけ前記カップに切り出す制御手段を備えた請求項１記載の接種材料自動計量装置。