JPH0626866U - 身障者用特殊浴車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別養護老人ホ−ムまたは身障者の機能回復
させるリハビリ施設等における浴場で使用し、リハビリ
の機能回復の効果を高めるものである。 【構成】 箱形に形成して内部に収容部を設けた枠体の
下面に複数のキャスタを夫々取付け、該枠体の両端面に
斜面部を形成すると共に該枠体の壁面及び底部に複数の
開口を設け、この枠体の一端両側内面に肘掛部を形成
し、該枠体の底面には膝乗調整板を調節可能に取付け、
該枠体の両端外側に把手杆を夫々回動可能に取付ける。
枠体の底面に取付けた膝乗調整板の位置を入浴する身障
者の身長に合わせて調整して入浴時の浮力による身体の
バランスを保つことができる。また枠体の壁面に開口に
を設けることによって浴槽と枠体間の湯の循環が良くな
り、浴槽内に浴車を出入する際の水切れが良好となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特別養護老人ホ−ムまたは身障者の機能を回復させる施設等におけ る浴場で使用する身障者用特殊浴車に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

入浴は、老人や身障者などにとって一日の疲れを取ったり明日への鋭気を養う など健康の源であると共に、身障者にあっては身体の機能回復を図るための重要 なリハビリテ−ションである。特に昨今のように高齢者社会を迎え、老人を多く 収容している特別養護老人ホ−ムや身体の機能回復を図るリハビリ用の施設にお いて、入浴は重要な役割を果たしている。そのためこれらの施設においては、身 体の不自由な人が浴場での転倒事故や浴槽内での溺れ防止のため、介護人が付添 って入浴している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

身障者を入浴させるには、身障者の安全のため機械化された装置を用いて入浴 させているが、これらの入浴方法は身障者自身にとって心の安らぎになる入浴で はなく、病院での医療行為の一環として入浴させられる感覚を生じ、人間の尊厳 に見合う入浴とはいい難いという問題点を有していた。

【０００４】 そこで、本考案は身障者であっても同じ特別養護老人ホ−ムまたはリハビリ施 設で共に暮らしている障害程度の軽い人と共に入浴でき、且つ、介護者の負担を 少なくするための特殊浴車を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、箱形に形成して内部に収容部を設けた枠体の下面に複数のキャスタ を夫々取付け、該枠体の両端面に斜面部を形成すると共に該枠体の壁面及び底部 に複数の開口を形成し、この枠体の一端両側内面に肘掛部を設け、該枠体の底面 には膝乗調整板を調節可能に取付け、該枠体の両端外側に把手杆を夫々回動可能 に取付ける構成を、上記課題を解決するための手段とするものである。

【０００６】

【作用】

大浴槽に隣接して設けた小浴槽の底面の一部に斜面部を形成し、枠体内の一端 両側面に肘掛部を設け、且つ、枠体の底面に取付けた膝乗調整板の位置を入浴す る身障者の身長に合わせて調整することにより、入浴時の浮力による身体のバラ ンスを保つことができる。また枠体の壁面に複数設けた開口によって浴槽と枠体 間の湯の循環が良くなり、浴槽内に浴車を出入する際の水切れが良好となる。そ の上、枠体の両端に設けた把手杆によって介護者が浴車と共に浴槽内に入って入 浴するものである。

【０００７】

【実施例】

本考案の実施例を図面により説明すると、図１〜３において、身障者Ａを収容 して浴槽に送り込む入浴車１は、防錆性及び熱伝導性の良好な合成樹脂材又はス テンレス材等を用いて全体を矩形の箱形に形成した枠体２の内部に、上方を開放 させた収容部３を形成し、枠体２の下面の四隅部には回転可能にキャスタ４を取 付けて該入浴車１を走行可能でかつ方向転換を自在に行えるように形成してある 。枠体２の両端面を夫々外方に傾斜させて斜面部２ａ、２ｂを形成し、該枠体２ の全面に複数の開口５を夫々設けてある。この枠体２内に身障者Ａを座わらせる と、身障者が肘を掛けて体の安定を図るための肘掛部６、６を該枠体の一端内壁 面に夫々設けてある。

【０００８】 図４〜６において、８は枠体２の底面中央に取付ける膝乗調整板で、帯状に形 成した支持片９の中央に縦孔１０を設け、該支持片９の他端を湾曲させて膝乗部 １１を形成し、前記枠体２の底面略中央に設けたねじ穴と前記縦孔１０とにねじ １２を挿通して取付けるもので、収容部３の長手方向に対して膝乗調整板８を調 整可能に取付け、入浴者の身長に合わせて膝を屈伸調整して姿勢を調整する。

【０００９】 図７、８において、１５は枠体２の一方の斜面部２ａの外側に取付ける把手杆 で、該把手杆の下端は中央に嵌合孔１７を設けた回転板１６の上方に固着してあ り、該回転板の嵌合孔１７を前記枠体２の斜面部２ａに取付けた係止凸部１９に 回動可能に嵌合し、この回転板１６の外側に合わせて挟持板２０を前記係止凸部 １９にボルトで締着してある。２２は把手杆１５の位置を固定するための固定ね じで、把手杆１５の把手部を上方に位置させた場合、挟持板２０の一側に設けた ねじ穴２０と回転板１６の一側に設けた孔を合致させることにより係止凸部１９ に螺着させて回転板１６の回転を防止して把手杆１５の位置を固定する。２５は 一方の把手杆１５の中間に取付けた枕板で、収容部３内に収容させた身障者の頭 部を乗せるためのものである。

【００１０】 図９〜１１に示すように、収容部３内に身障者が座る位置に必要に応じて取付 けるため方形に形成した座板２７は、該座板の各隅部を枠体２に取付けるねじ孔 ２８を設けてあり、身長の低い身障者をこの入浴車１に収容する場合にお尻の位 置に取付ける。３０は入浴車１を用いて身障者を入浴させる浴槽で、中央に仕切 壁３１を設けてその両側に複数の人が同時に入浴できる大浴槽３２を対象的に形 成してあり、該大浴場の一側には上端を浴場の洗場３４に連結し、他端を前記大 浴場３２の底面３３と同一底面に形成した底部３７に連結した斜面部３８を有す る小浴槽３６を連続して設けてある。この大浴槽３２の一側には比較的軽度の身 障者が入浴するための階段部４０を設け、転倒防止用の手摺部４１をこの階段部 ４０と、前記小浴槽３６の傾斜部３８に沿って設けてある。

【００１１】 次に、本実施例の作用について説明すると、身体の不自由な身障者Ａを入浴さ せる場合、身障者を収容部３内に仰向けの不安定な状態で収容して入浴させるた め、湯中の浮力で身障者の体が不安定にならないように枠体２の一端内面に設け た肘掛部６に肘を乗せ、且つ、身障者の身長に合わせて身障者の膝が丁度折り曲 がる位置に膝乗調整板８を調整して設置する。この場合、身障者の身長が低い場 合は、入浴時に湯面より顔が沈むと溺れてしまうので、身障者のお尻が当たる位 置に座板２７を必要に応じて調整して取付ければ安全に入浴できる。

【００１２】 図１３において、介護者（図示せず）が入浴車１の把手杆１５を押しながらゆ っくり車ごと洗場３４から斜面部３８を降下させて小浴槽３６の底面３７に位置 して身障者を入浴させる。また、障害の程度が軽くて介護人が不要な人は、手摺 部４１を伝わりながら階段部４０を利用して大浴槽３２に入浴し、複数の人々が 同時に入浴できる。この際、入浴車１に乗ったまま入浴した身障者Ａの浴槽内で の目線は、大浴槽３２に入っている他の人と同じ目の高さになるため、浴槽は違 っていても入浴中に他の入浴者と同じ目線であるため同じお風呂に入った感覚が し、他の入浴者との会話等によるコミニケ−ションができるため、身障者である ことの疎外感が薄れて楽しく入浴できる。その上、固定ねじを緩めて把手杆１５ を回動させて湯中に沈めれば、浴槽の手すりに頭部を付けて寝たり、湯中に頭部 を半分位浸けて寝たりする等して気分的に一層爽快になってリフレッシュを図れ るようにしてある。

【００１３】 身障者が入浴する場合に浴槽に特別な装置を必要とせずに入浴することがこと ができるため、病院等の医療行為としての入浴としての感覚を除くことができ、 福祉にのっとって老人や障害者の介護をすることができる。また、入浴車１の枠 体２の底面および側面には複数の開口５を設けてあるため、入浴時には浴槽と収 容部内の間に湯の循環が良くなると共に、入浴車１が小浴槽３６に出入りする際 に湯切れが良好となる。また入浴車１を小浴槽３６に入れる場合、斜面部３８を 下っても湯の抵抗の為にスピ−ドが制御されてゆっくり斜面部３８を下ることが できる。特に本実施例では浴槽部分が湾曲しているため、浴槽の側面に接触して ブレ−キ作用をするためスピ−ドが早くなりすぎることがなく安全である。前記 浴場は左右対象に形成してあるが、大浴槽３２及び小浴槽３６を夫々複数ごとに 連設した浴場に形成することもできる。更に、本実施例の小浴槽３６の形状は、 大浴槽３２の形に対して湾曲して形成してあるが、洗場３４と直角に位置させて 直線状に形成し、入浴車１の出し入れを容易にすることも可能である。

【００１４】

【考案の効果】 本考案は以下のような効果を有している。 入浴車に身障者を乗せたままで入浴させることができるので、介護人の労力 を軽減することができ、体力がなくても介護できる利点を有している。 枠体内に肘掛部、膝乗調整板を調整可能に取付け膝の折曲げ角度を調整して 身障者の身長に合わせて適正な入浴姿勢を確保することができるため、入浴時に 於ける浮力で身障者の身体が不安定になるのを解消し、安全に入浴できる。 入浴車に乗って入浴する身障者と、他の入浴者とが同じ目線で一緒に入浴で きるため、互いにコミニケ−ションを図ることができ、身体のリハビリテ−ショ ンと共に精神的にもリフレッシュできる利点を有する。 ステンレス板に当接する体の部分を、該ステンレス板の指圧作用よって指圧 すると共に、湯によって体温を高めて血液の循環を促進して一層リフレッシュさ せることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る身障者用入浴車の平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】入浴車の正面図である。

【図４】把手杆及び座板を省略した枠体の平面図であ
る。

【図５】膝乗調整板の平面図である。

【図６】図５のＢ−Ｂ線断面図である。

【図７】把手杆の取付け状態を示す要部拡大断面図であ
る。

【図８】把手杆を一部省略した要部拡大正面図である。

【図９】座板の取付状態を示す一部破断した入浴車の正
面図である。

【図１０】座板の平面図である。

【図１１】座板の正面図である。

【図１２】浴場の平面図である。

【図１３】入浴車の浴槽内への入湯状態を示す一部断面
にした説明図である。

【符号の説明】

２ 枠体 ２ａ 斜面部 ３ 収容部 ４ キャスタ ５ 開口 ６ 肘掛部 ８ 膝乗調整板 １５ 把手杆 ２５ 枕板

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成５年２月１５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【図７】

【図８】

【図９】

【図１０】

【図１１】

【図１２】

【図１３】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 箱形に形成して内部に収容部を設けた枠
   体の下面に複数のキャスタを夫々取付け、該枠体の両端
   面に斜面部を形成すると共に該枠体の壁面及び底部に複
   数の開口を設け、この枠体の一端両側内面に肘掛部を形
   成し、該枠体の底面には膝乗調整板を調節可能に取付
   け、該枠体の両端外側に把手杆を夫々回動可能に取付け
   ることを特徴とする身障者用特殊浴車。