JPH06268080A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JPH06268080A
JPH06268080A JP5710693A JP5710693A JPH06268080A JP H06268080 A JPH06268080 A JP H06268080A JP 5710693 A JP5710693 A JP 5710693A JP 5710693 A JP5710693 A JP 5710693A JP H06268080 A JPH06268080 A JP H06268080A
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JP
Japan
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film
insulating film
organic
forming
silanol
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Application number
JP5710693A
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English (en)
Inventor
Tadashi Nakano
正 中野
Nobuyoshi Sato
伸良 佐藤
Tomohiro Oota
与洋 太田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 半導体装置の絶縁膜として埋め込み性が良好
であるとともにボイドを有しない優れた膜質のものを形
成する。 【構成】 シリコンウエファ11の表面に絶縁膜を形成す
るに当たり、けい素化合物を原料ガスとして用いるECR
プラズマCVD によって絶縁膜15を形成し、この絶縁膜14
の表面を有機化合物で処理した後、有機けい素化合物を
原料として用いる化学気相成長によってさらに絶縁膜16
を形成する。このように下地表面を有機化合物により処
理することにより埋め込み性が良く、ボイドが無く、良
好な膜質の絶縁膜を形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置の製造方
法、特に半導体基体と金属配線との間の1次絶縁膜、金
属配線間の層間絶縁膜及びパッシベーション膜として作
用する最終絶縁膜として使用することができる絶縁膜を
有機けい素化合物を原料ガスとして用いる化学気相成長
により形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、VLSIデバイスの高集積化、高密度
化が急速に進み、半導体加工技術はサブミクロン加工が
必須のものとなってきている。サブミクロン加工が進む
に伴って半導体基体表面の凹凸はますます激しくなり、
アスペクト比が大きくなり、この凹凸がデバイス製造上
の制約となってきている。このような問題の解決のため
に最も強く望まれているのが、層間絶縁膜の平坦化技術
である。
【0003】サブミクロンデバイス用の層間絶縁膜に要
求される特性としては、サブミクロンオーダーのスペー
スを形成すること及び高アスペクト比を持つパターンに
対する優れたステップカバレージを実現することなどが
ある。このような要求を満たす層間絶縁膜の形成方法と
して有機シラン及び無機シランを原料ガスに用いた化学
気相成長法(CVD法) が知られている。また、CVD 法とし
てはプラズマCVD,常圧CVD 法、減圧CVD 法、加圧CVD
法、光励起CVD 法などが従来より提案されている。
【0004】これらの内、有機シランを原料ガスとし、
これにオゾンガスを加えて常圧CVD法で形成した絶縁
膜、すなわち常圧オゾン−有機シランCVD シリコン酸化
膜は、その平坦性が特に優れていることから最も期待さ
れている方法の一つである。このようなオゾン−有機シ
ランの混合ガスを用いる常圧CVD 法は、例えば特開昭61
-77695号公報や「電気化学」56, No.7(1988), 527 〜53
2 頁などに記載されている。有機シランとしてはTEOS(t
etraethoxysilane), TMOS(tetramethoxysilane),OMCTS
(octamethylcyclotetrasiloxane), HMDS(hexamethyldis
iloxane) 、SOB (trimethylsilyl borate),DADBS(diace
toxydi-tertiary-butoxysilane),SOP(trimethylsilyl p
hosphate)などが知られている。
【0005】また、最終保護膜として用いられる絶縁膜
においても、VLSIデバイスの高集積化、高密度化に伴
い、その平坦性と、素子の信頼性に影響を与える膜質の
向上が強く要求されている。これは主に素子外部からの
水分等の侵入を防ぐためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機シランを原料ガスとするCVD 法による絶縁膜の形成
方法においては、成膜速度及び膜質の下地依存性が大き
く、下地によってはステップカバレージが悪くなるとと
もにボイドが発生するという欠点がある。例えば、層間
絶縁膜を形成する場合、下地絶縁膜の上での成膜速度は
遅く、アルミ配線の上での成膜速度が速く、配線間への
回り込みが少なく配線間が埋まらない内に上部が塞がれ
てしまう結果、アルミ配線間に大きなボイドが形成され
ることになるという欠点がある。このように有機シラン
−CVD 膜が大きな下地依存性を有することは、例えば平
成3年に発行された「電気学会論文A」, 111 巻7号の
652〜658 頁に記載されている。このようにボイドが形
成されると、配線間のリーク電流が増加したり、応力に
よって配線間のスペースが変化し、素子特性に悪影響を
及ぼすことになる。
【0007】さらに、従来の有機シランを用いたCVD 膜
は、膜中に水分等を含む多量の炭素化合物(未反応物)
が混入しているため、膜質が悪く、耐吸湿性が悪いとと
もにクラックが発生する欠点がある。耐吸湿性を補うた
めに厚膜とすると膜中に一層クラックが発生し易くな
り、素子の信頼性を損なう欠点がある。
【0008】上述した従来の絶縁膜の形成方法の欠点を
軽減するために、絶縁膜を多層構造とすることが提案さ
れている。例えば、下地依存性を緩和するために下地表
面にプラズマCVD 法によってTEOSとO2を原料ガスとして
膜厚が3000Å以下の薄い酸化膜を形成し、その後で常圧
O3-TEOS CVD 膜を形成することが提案されているが、サ
ブミクロンデバイスにおいては配線と配線とのスペース
がきわめて狭く、しかもアスペクト比が1以上と大きく
なるのでプラズマ酸化膜を形成する段階において既にボ
イドが形成されてしまい、所期の効果を達成できない欠
点がある。また、プラズマCVD 法による上記酸化膜は、
多くの水分を含む上に透水性も大きいため、半導体素子
のホットキャリア耐性を劣化させるという問題点もあっ
た。
【0009】この発明の目的は上述した従来の絶縁膜形
成方法の欠点を解消し、ステップカバレージ及び平坦性
に優れており、特にサブミクロンデバイスの絶縁膜とし
て使用するのに有効であるとともに優れた膜質を有し、
クラックやボイドの発生もない絶縁膜の形成方法を提供
しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による半導体装
置の製造方法は、半導体装置の絶縁膜を形成するに当た
り、けい素化合物を原料ガスとして用いるECR (Electro
n Cyclotron Resonance)プラズマCVD によって絶縁膜を
形成し、この絶縁膜の表面を有機化合物で処理した後、
有機けい素化合物を主原料として用いる化学気相成長に
よってさらに絶縁膜を形成することを特徴とするもので
ある。
【0011】前記の有機化合物としては、脂肪族飽和一
価アルコール、脂肪族不飽和一価アルコール、芳香族ア
ルコール、脂肪族飽和多価アルコール、アルデヒド、エ
ーテル、ケトン、カルボン酸、ニトロアルカン、アミ
ン、アシルニトリル、酸アミド、複素環式化合物が挙げ
られ、具体的に以下のような物質を用いることができ
る。
【0012】脂肪族飽和一価アルコール類:メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、
2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−
ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチ
ル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1
−ヘキサノール、シクロヘキサノール
【0013】脂肪族不飽和一価アルコール類:アリルア
ルコール、プロパギルアルコール、2−メチル−3−ブ
チン−2−オール
【0014】芳香族アルコール類:ベンジルアルコー
ル、フルフリルアルコール
【0015】脂肪族飽和多価アルコール類及びその誘導
体:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノnブチルエーテル、エチレングリコー
ルモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル
【0016】アルデヒド:ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、グリオキザール
【0017】エーテル:ジエチルエーテル、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアル
コール
【0018】ケトン・ケトアルコール:アセトン、2−
ブタノン、ジアセトンアルコール、γブチロラクトン、
炭酸プロピレン
【0019】カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、
グリコール酸、乳酸、乳酸エチル
【0020】ニトロアルカン:ニトロメタン、ニトロエ
タン、ニトロプロパン、ニトロベンゼン
【0021】アミン:エチルアミン、プロピルアミン、
イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミ
ン、アリルアミン、アニリン、トルイジン、エチレンジ
アミン、ジエチルアミン、エチレンイミン、ジプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリ
エチルアミン、トリnプロピルアミン、トリnブチルア
ミン
【0022】アシルニトリル類:アセトニトリル、プロ
ピオノニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、ベンゾニトリル
【0023】酸アミド:ホルムアミド、N−メチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル
アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
【0024】複素環式化合物:ピリジン、キノリン、ピ
ロール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、2−ピ
ロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノン
【0025】また、前記有機けい素化合物としてはTEO
S、TMOS、OMTCS 、HMDS、SOB 、DADBS 、SOP などを代
表例とする以下の有機けい素化合物が挙げられる。
【0026】テトラアルコキシシランとして次のとお
り:テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラ
ン(TEOS)、テトラnプロポキシシラン、テトライソプロ
ポキシシラン、テトラnブトキシシラン
【0027】アルキルアルコキシシランとして次のとお
り:メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリnプロポキシシラン、メチルトリイソ
プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、エチルトリnプロポキシシラン、
エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジnプロポキシシラン、ジエチルジイソ
プロポキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メ
チルビニルジエトキシシラン メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキ
シシラン
【0028】ポリシロキサンとして:テトラキス(ジメ
チルシロキシ)シラン
【0029】シクロシロキサンとして次のとおり:オク
タメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS) 、ペンタメチ
ルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラ
シロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、トリ
メチルシクロトリシロキサン
【0030】ジシロキサンとして次のとおり:ヘキサメ
チルジシロキサン(HMDS)、テトラメチルジメトキシジシ
ロキサン、ジメチルテトラメトキシジシロキサン、ヘキ
サメトキシジシロキサン
【0031】アルキルシランとして次のとおり:モノメ
チルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、トリ
エチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラ
ン アリルトリメチルシラン ヘキサメチルジシラン
【0032】シリルアミンとして次のとおり:ジメチル
トリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルア
ミン
【0033】シラン窒素誘導体として次のとおり:アミ
ノプロピルトリエトキシシラン トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド
【0034】シラザンとして次のとおり:ヘキサメチル
ジシラザン、テトラメチルジシラザン オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルシク
ロトリシラザン
【0035】ハロゲン化シラン及び誘導体として次のと
おり:トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラ
ン、トリnプロピルクロロシラン、メチルジクロロシラ
ン、ジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロ
ロシラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロプロ
ピルメチルジクロロシラン、クロロプロピルトリメトキ
シシラン ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メ
チルビニルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、
エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ト
リフロロプロピルトリクロロシラン、トリフロロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリメチルシリルアイオダイ
ド。
【0036】さらに、有機けい素化合物としては、トリ
ス(トリメチルシロキシ)ボラン(SOB) 、トリス(トリ
メチルシロキシ)ホスホリル(SOP) 、ジアセトキシジ-t
ert-ブトキシシラン(DADBS) なども用いることができ
る。
【0037】さらに、この発明においては上記の有機化
合物を用いて下地表面を処理するが、この場合にこれら
の2種以上を同時にまたは順次に使用することも可能で
ある。
【0038】
【作用】この発明では、有機けい素化合物(例えばTEO
S)を原料として用いる化学気相成長によって絶縁膜を
形成するに先立って、まずけい素化合物を原料ガスとし
て用いるECR プラズマCVD によって絶縁膜を形成する。
ECR プラズマCVD 法は、10-2Torr程度という、比較的低
い圧力のもとで化学気相成長が行われるため、形成され
る絶縁膜はカバレッジが良好で、しかも残留水分量が少
ない。しかも緻密な膜であるため、水の透過量も少な
く、この絶縁膜よりも下層に形成された半導体素子に与
える水の影響も極めて少ない。
【0039】したがって、ECR プラズマCVD 法による絶
縁膜は、従来知られていたTEOSとO2を原料ガスとするプ
ラズマCVD 法による絶縁膜に比べて、優れた特性をそな
えているが、その反面、表面に多量のシラノール基を有
しているため、単にECR プラズマCVD 法による絶縁膜を
下地に形成させただけでは、その後に形成する、有機け
い素化合物を原料とした化学気相成長法による絶縁膜
は、やはり下地依存性が大きくなっで多量のボイドが発
生してしまい、かつ埋め込みも不完全となってしまう不
都合があった。
【0040】そこで、この発明においては、上記ECR プ
ラズマCVD 法による絶縁膜の表面を有機化合物で処理す
ることにより、このECR プラズマCVD 法による絶縁膜の
下地依存性が効果的に改善されて、ステップカバレージ
及び平坦性に優れているとともにクラックやボイドのな
い優れた膜質を有する絶縁膜を形成することができ、し
かも製造装置が簡単となるとともにスループットも改善
されることになるのである。
【0041】このように下地表面を有機化合物で処理す
ることによって平坦で膜質の良好な絶縁膜が形成される
理由は明確には解明できていないが、次のように考える
ことができる。
【0042】1.下地絶縁膜表面のエタノール処理によ
る変成 絶縁膜として使われるECR プラズマCVD 酸化膜は、非晶
質のSiO2あるいはSiO2に近い組成のものである。非晶質
SiO2の最表面は、プロセス中あるいは大気雰囲気中の水
によって容易に水和され、Si-OH のシラノール型の構造
となっていることが多い。表面に存在するSi-OH は、電
気陰性度の高いSi側に電子が引きつけられているため、
全体として
【化1】 の形に強く分極しており、大きな双極子モーメントを持
っている。Si-OH には、この分極のために極性の高い分
子である水やアルコールなどを強く吸着する性質があ
る。比表面積を大きくすることでSi-OH の吸着能を最大
限に高めた重要な応用例が乾燥剤のシリカゲルである。
【0043】表面がSi-OH で覆われているSiO2質の絶縁
膜に、気体の有機化合物を吹き付けたり、液体の有機化
合物を塗布や浸漬して作用させることを想定する。多く
の有機化合物はSi-OH の分極の作用で表面に吸着される
が、その吸着される強さは有機化合物の側の極性で異な
ってくる。シクロヘキサンやベンゼン等の無極性物質は
表面に吸着されにくく、低級アルコールやアセトニトリ
ル、低級カルボン酸など高い極性の物質は強く吸着され
る。中程度の極性を有するジオキサンやケトン類はその
中間の強さで吸着されると予想される。
【0044】一方、Si-OH は、プロトンを放出するLewi
s 酸としても働き、他の活性な水酸基を持つ有機化学物
質と相互作用する。典型的な例がアルコールとの間で起
きるアルコキシル基の交換反応であり、例えばエタノー
ル:C2H5OHとの間で Si-OH +C2H5OH=Si-OC2H5+H2O のようなエステル化反応が起こる。ここで形成されるSi
-OC2H5の結合は極めて強固であり、Siの自然酸化膜の上
に形成されたSi-OC2H5は400 ℃の酸化性雰囲気でも数十
分以上の寿命を有する。
【0045】したがって、有機化合物による気相あるい
は液相での処理によって、当該有機化合物分子の化学的
吸着が起こり、さらにエタノールのようなアルコール類
による処理ではエステル化反応も起こるものと考えられ
る。いずれにしても、このように吸着ないしはエステル
化されたシラノールは、以後吸着能力を失い、不活性な
表面状態に変わることになる。絶縁膜表面への吸着の強
さの程度を評価するには、吸着化学種の脱離温度が目安
となり、概ね吸着化学種の極性と同じ傾向になるが、エ
ステル化反応を起こすようなアルコール類では特に高い
脱離温度を示す。
【0046】2.O3-TEOS 系の気相化学反応と気相中成
膜化学種 O3-TEOS の熱CVD 反応では、成膜に寄与する二種類の中
間化学物質(成膜化学種)が気相中に存在するとされて
いる。一つはシラノール基を有するもの:HO-Si(OC2H5)
3 (A)で、次のようなTEOS(Si(OC2H5)4)と原子状酸
素〔O〕の化学反応で生成すると考えられる。なお、TE
OSとO3は直接は反応せず、反応の開始はO3の熱分解で発
生する原子状酸素〔O〕から起こるとされている。
【化2】 すなわちSiに結合しているエトキシ基が酸素原子による
酸化を受けて分解し、シラノールを残す反応である。
(1) 式では最終的な酸化生成物をCO2 とH2O としたが、
実際にはその中間段階として、エタノール(C2H5OH)、
メタノール(CH3OH )、アセトアルデヒド(CH3CHO)、
フォルムアルデヒド(HCHO)、酢酸(CH3COOH )、ギ酸
(HCOOH )などを経由するものと考えられる。
【0047】もう一つの中間体は、シロキサン重合体:
(C2H5O)3 Si-O-Si(OC2H5)3(B)である。これば上記
(1) 式で生成するシラノール中間体(A)の縮合によっ
て(2)あるいは(2′) のような反応によって形成される
ものと考えられる。
【化3】 気相中でのシラノールの寿命は一般に短いと考えられる
ので、シラノール中間体(A)は、比較的短命で、(2),
(2′) などの縮合反応によって容易にシロキサン重合体
(B)に変化するものと考えられる。
【化4】
【0048】シラノール中間体(A)は分子内に活性な
Si-OH 基をもっているため高活性であり、重合しやすい
という性質がある他、分子内の分極も大きく、基板表面
に対して吸着されやすい。一方シロキサン中間体(B)
は、低活性であり、また高沸点・低蒸気圧なので成膜温
度程度では液状になっている可能性が高い。分極も小さ
いので吸着はされにくいと考えられる。
【0049】したがってシラノール中間体(A)が成膜
に主に寄与する機構においては、(A)の基板表面への
吸着が速やかに起こり、次いで吸着された分子の余った
エトキシ基のオゾン酸化によるポリシラノール(Si(OH)
n ,n>1)化、そして生成したシラノールが新たな吸
着サイトとなり、ここへ気相中成膜種(A)が再び吸着
する、というように進むと考えられる(吸着−分解機
構)。(A)は反応活性であるために中間体のライフタ
イムが短く、付着係数が大きくなり、(A)の供給され
やすい部位への吸着が高速に起こり、ステップカバレッ
ジは悪化することになる。またシラノールがそのまま膜
内残存する確率も上がるので、膜質やその均一性は相対
的に悪く、表面などに吸着される水分量も多い傾向にあ
る。
【0050】これと対照的にシロキサン重合体中間体
(B)が成膜に主に寄与する場合、吸着が起こりにくい
ため、基板表面への重合体の界面張力による拡散(流
動)が成膜を支配するものと考えられる。表面に拡がっ
た重合体は再度オゾン酸化によるシラノール化と重合を
受けるが、表面に現れるフリーのシラノール密度は小さ
いと考えられるので、気相中成膜種(B)は再び流動で
堆積されると考えられる(重合−流動機構)。中間体
(B)のライフタイムが長いので、ステップカバレッジ
が上がり、フローライクな形状となる。膜表面及び内部
の残存シラノールは減少するため、膜質は相対的に良く
なる。
【0051】(A),(B)いずれの中間体が支配する
においても、熱あるいは過剰のオゾンによって堆積され
た化学種は最終的に分解・酸化されてSi-O-Si のネット
ワークを形成し、化学量論比に近い非晶質SiO2に近づ
く。ただし、(A),(B)のどちらか一方だけが成膜
に関与するということはなく、常に2種の化学種が関与
していると考えられ、オゾン濃度や成膜温度などの成膜
パラメータや下地の表面状態によって(A),(B)の
成膜に関与するバランスが変化するものと考えられる。
【0052】3.下地の表面状態と気相化学反応の関係 上記メカニズムの説明から明らかなように、気相中の成
膜化学種のバランスによって成膜後の形状は大きな変化
を受けることがわかる。基板にSi-OH 吸着サイトが高い
密度で分布している場合、気相中化学種のうち、シラノ
ール中間体(A)はその大きな分極のため、重合反応を
待たずに直ちに表面に吸着されるものと考えられる。吸
着されたシラノールは、直ちにオゾンあるいは熱による
酸化を受けて新たな吸着サイトとなりうるシラノールが
生成したり、他のシラノール中間体(A)による付加を
受けることで、以後ずっと(A)が支配的な吸着−分解
機構による膜堆積が継続して進行する。シロキサン重合
体(B)による堆積も、割合は少ないが(A)と平行し
て進行すると考えられ、二つの成膜種の混在による膜質
の局部的な変動が起こり、これがBHF でエッチングした
ときのむらの原因となっている可能性がある。エタノー
ル未処理の酸化膜上でのO3-TEOS の成膜機構はこのタイ
プだろうと考えている。
【0053】下地絶縁膜を有機化合物で処理し、吸着活
性なシラノールを全て潰した場合は、シラノール中間体
(A)が基板に吸着されることはなくなる。したがって
気相中での滞留時間が伸び、シロキサン重合体(B)に
変化する確率が上がるため、気相中成膜化学種の中で
(B)の割合が高くなる。(B)のシロキサン重合体
は、基板表面を界面張力によって覆うように拡がる。こ
の重合体は活性なシラノールをもっていないので、膜表
面が(B)で一度覆われると、シラノール中間体(A)
は以降も吸着されず、以後の堆積は全てシロキサン重合
体(B)の流動が主体となって進行することになる。
【0054】すなわち、成膜前の基板の状態は、後の成
膜機構に最後まで決定的な影響を与えうることになる。
有機化合物による成膜前処理は、上記メカニズムから推
測されることによれば、活性吸着サイトにすべて吸着さ
れれば完全な効果が得られ、約400 ℃の成膜温度におい
て脱離されない化合物ならばいずれでも構わないのであ
るが、極性の高いアセトニトリルやエステル化作用のあ
る低級アルコールは、この成膜温度においても脱離され
ず安定に残存しており、最も適切なものであろうと考え
られる。
【0055】ただし、界面張力によってシロキサン重合
体が流動する最も初期の過程において、重合体と基板表
面の間の界面張力の絶対値は、最終のフロー形状に影響
を与える可能性が高い。すなわち重合体と処理済み基板
の濡れ性が問題となり、有機化合物の処理によって、重
合体に良く濡れる化学種を吸着あるいはエステル化させ
ることが、良いフロー形状を得るためには望ましい。重
合体と同一の官能基を持つエタノールや2−エトキシエ
タノールによる処理が実際にも好ましい結果を与えてい
るのも、そのためであろう。
【0056】ECR プラズマCVD を施す際の原料けい素化
合物としては、通常モノシラン(SiH 4)、ジシラン(Si
2H6) などが挙げられ、また代表的な成膜条件として
は、マイクロ波パワー:3kw、堆積温度:150 ℃、圧
力:5 mTorr 、反応ガス:O2であり、また成膜厚さは50
〜400 nm程度が好ましい。
【0057】ECR プラズマCVD 法による絶縁膜の形成に
引き続く、下地表面の有機物処理は、半導体ウェファを
スピンさせながら塗布するスピンコート処理(塗布処
理)、有機化合物の蒸気を半導体ウェファに吹きつける
蒸気処理、半導体ウェファを有機化合物の溶液中に浸漬
する浸漬処理、有機化合物の溶液をスプレーするスプレ
ー処理、有機化合物のシャワーに半導体基板を通過させ
るカーテンフローコート処理など、種々の処理法が可能
であり、スピンコート法が有機化合物の消費量が少な
く、均一な塗布ができ、乾燥も同時できることから最も
好適である。
【0058】有機化合物処理後に施す、化学気相成長に
よる絶縁膜の形成は、常圧熱CVD 又は減圧熱CVD (1〜
760 Torr)あるいは光CVD 、プラズマCVD などが適用で
きる。特に常圧又は常圧に近い(〜400 Torr)減圧CVD
法が好適である。一般は枚葉式装置が有利である。原料
の有機けい素化合物は、一定温度に加温されたバブラー
に供給し、窒素、酸素、ヘリウムなどをキャリアガスと
してバブリングし、成膜チャンバに輸送する。バブリン
グ後の配管は凝結防止のため、加温されることが望まし
い。また、反応ガスには、酸素、あるいはオゾンを濃
度:0.1 wt%以上好ましくは4wt%以上含む酸素ガスを
用いる。さらに窒素などの不活性ガスで適宜希釈するこ
とも可能である。これら有機けい素化合物と反応ガスと
キャリアガスとの流量比は特に限定されない。絶縁膜の
成膜温度は200 〜500 ℃、好適には300 〜450 ℃であ
る。
【0059】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。8インチのシリコンウェファを用いて、
図1に示すようにシリコン基板11の上に膜厚が1μm の
BPSG膜12を形成し、さらにその上にバリアメタルとして
膜厚0.1 μm のTiN 膜13を形成し、次いで高さ1μm の
アルミ膜を積層した後、溝深さ1.1 μm までアルミ膜及
びTiN 膜を選択的にエッチングすることによりライン幅
0.5 μm 、スペース幅0.5 μm のアルミ配線14を形成
し、この基板を純水で洗浄後、このBPSG膜及びアルミ配
線の上にSiH4とO2とを原料としたECR プラズマCVD法に
より厚み180 nmの酸化けい素膜15を形成した。このECR
プラズマCVD 酸化けい素膜15の成膜条件としては、成膜
温度を150 ℃、成膜圧力を5 mTorrとし、SiH4を30 ml/
分(0℃、1atm での値:流量の値は以下同様)の割合
で供給し、酸素ガスを80 l/分の割合で供給し、マイク
ロ波周波数2.45 GHz、成膜時間を30秒とした。
【0060】次に、シリコンウエファの下地表面をエタ
ノールで処理した。このエタノール処理は、シリコンウ
エファをスピンコータに載せ、3000rpm で回転させなが
ら3ml のエタノールを1秒以内で滴下し、そのままの
回転数で3分間保持して乾燥させたものである。
【0061】次に、シリコンウエファを成膜チャンバ内
に搬入し、TEOSを原料とする常圧熱CVD 法により酸化膜
16を約1500nmの膜厚に形成した。この成膜に当たって
は、原料ガスを65℃に保温したバブラーへ供給し、約2
slmの窒素ガスでバブリングさせて成膜チャンバ内へ搬
送した。また、反応ガスには、オゾンを5wt%混合した
酸素ガスを用い、成膜温度は400 ℃とした。このように
して形成した常圧熱CVD 酸化膜16はアルミ配線14間の狭
いスペースを埋め、良好なステップカバレージを有し、
ボイドも形成されていない良好の膜質を有するものであ
った。また平坦性は断面電子顕微鏡写真観察からパター
ン間の膜の厚さの変動値を計測したところ、段差残りと
して平均0.05μm という良好な値を得た。さらにウェフ
ァ全面にわたって膜の厚さと平坦性の変動は小さく、い
ずれも1%以下と均一であった。膜の水分量も0.5 %と
少なく良好であった。
【0062】
【発明の効果】上述したように、この発明による半導体
装置の製造方法においては、けい素化合物を原料ガスと
して用いるECR プラズマCVD によって絶縁膜を形成し、
この絶縁膜の表面を有機化合物で処理するといったきわ
めて簡単な処理によって、有機けい素化合物を原料とす
るCVD 絶縁膜の下地依存性を軽減し、下地絶縁膜上及び
金属配線の上での絶縁膜の成膜速度を最適化することが
でき、しかもステップカバレージが良く、配線間にボイ
ドのない良質の絶縁膜を形成することができる。また、
このようにして形成された絶縁膜には水分や炭化水素の
混入が少なく、耐吸湿性も優れたものとなるとともに後
処理においてクラックが発生するおそれがなく、素子特
性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明による半導体装置の製造方法
の一実施例によって形成した半導体装置を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
11 シリコン基板 12 BPSG膜 13 TiN 膜 14 アルミ配線 15 ECR プラズマCVD 酸化膜 16 常圧熱CVD 酸化膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置の絶縁膜を形成するに当た
    り、けい素化合物を原料ガスとして用いるECR プラズマ
    CVD によって絶縁膜を形成し、この絶縁膜の表面を有機
    化合物で処理した後、有機けい素化合物を原料として用
    いる化学気相成長によってさらに絶縁膜を形成すること
    を特徴とする半導体装置の製造方法。
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