JPH0729901A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JPH0729901A
JPH0729901A JP16912293A JP16912293A JPH0729901A JP H0729901 A JPH0729901 A JP H0729901A JP 16912293 A JP16912293 A JP 16912293A JP 16912293 A JP16912293 A JP 16912293A JP H0729901 A JPH0729901 A JP H0729901A
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JP
Japan
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film
insulating film
treatment
organic compound
polycrystalline silicon
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Application number
JP16912293A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyoshi Sato
伸良 佐藤
Tadashi Nakano
正 中野
Tomohiro Oota
与洋 太田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多結晶シリコン上に形成する半導体装置の絶
縁膜として、埋め込み性が良好であるとともにボイドを
有しない優れた膜質のものを形成する。 【構成】 シリコンウェファ11の表面に熱酸化膜12を形
成し、その上にポリシリコン配線13を形成した後、エタ
ノールなどの有機化合物を塗布処理し、しかるのちに絶
縁膜14を化学気相成長により形成する。このように下地
表面を有機化合物により処理することにより、埋め込み
性が良く、ボイドがなく、良好な膜質の絶縁膜を形成で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置の製造方
法、特に多結晶シリコンの上に形成される絶縁膜を化学
気相成長により形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、VLSIデバイスの高集積化、高密度
化が急速に進み、半導体加工技術はサブミクロン加工が
必須のものとなってきている。サブミクロン加工が進む
に伴って半導体基体表面の凹凸はますます激しくなり、
アスペクト比が大きくなり、この凹凸がデバイス製造上
の制約となってきている。このような問題の解決のため
に最も強く望まれているのが、層間絶縁膜の平坦化技術
である。
【0003】サブミクロンデバイス用の層間絶縁膜に要
求される特性としては、サブミクロンオーダーのスペー
スをもつ高アスペクト比の配線パターンスペースを良質
の絶縁膜で埋め込むことなどがある。このような要求を
満たす層間絶縁膜の形成方法として有機シラン及び無機
シランを原料ガスに用いる化学気相成長法(CVD法) が知
られている。また、CVD 法としてはプラズマCVD,常圧CV
D 法、減圧CVD 法、加圧CVD 法、光励起CVD 法などが従
来より提案されている。
【0004】これらの内、有機シランを原料ガスとし、
これにオゾンガスを加えて常圧CVD法で形成した絶縁
膜、すなわち常圧オゾン−有機シランCVD シリコン酸化
膜は、その平坦性が特に優れていることから最も期待さ
れている方法の一つである。このようなオゾン−有機シ
ランの混合ガスを用いる常圧CVD 法は、例えば特開昭61
-77695号公報や「電気化学」56, No.7(1988), 527 〜53
2 頁などに記載されている。有機シランとしてはTEOS(t
etraethoxyorthosilicate), TMOS(tetramethoxyorthosi
licate),OMCTS(octamethylcyclotetrasiloxane), HMDS
(hexamethyldisiloxane), TMCTS(tetramethylcyclotetr
asiloxane), SOB(trimethylsilyl borate),DADBS(diace
toxydi-tertiary-butoxysilane), SOP(trimethylsilyl
phosphate)などが知られている。
【0005】また、最終保護膜として用いられる絶縁膜
においても、VLSIデバイスの高集積化、高密度化に伴
い、その被覆性と、素子の信頼性に影響を与える膜質の
向上が強く要求されている。これは主に素子外部からの
水分等の侵入を防ぐためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
有機シランを原料ガスとするCVD 法による絶縁膜の形成
方法においては、成膜速度の下地依存性により、下地材
質によっては段差間(配線間)の埋め込み性が悪くなる
とともに膜中にボイドが発生するという欠点がある。特
に素子構造が微細化されるに伴ってアスペクト比の大き
な段差が形成されるようになるので、このようなボイド
が発生される可能性が大きくなっている。このように有
機シラン−CVD 膜が大きな下地依存性を有することは、
例えば平成3年に発行された「電気学会論文A」, 111
巻7号の652 〜658 頁に記載されている。このように埋
め込み性が悪化したりボイドが形成されると、配線間の
リーク電流が増加したりして素子特性に悪影響を及ぼす
ことになる。
【0007】さらに、従来の有機シランを用いたCVD 膜
は、膜中に水分等を含む多量の炭素化合物(未反応物)
が混入しているため、膜質が悪く、耐吸湿性が悪いとと
もにクラックが発生する欠点がある。また膜中の水分
は、ビアポイズニング、Al配線のコロージョンホットキ
ャリア耐性の劣化、誘電率の増加(信号の遅延)等をも
招いてしまう。耐吸湿性を補うために厚膜とすると膜中
にクラックが発生し易くなり、素子の信頼性を損なう欠
点がある。
【0008】この発明は、上述した従来の絶縁膜形成方
法の欠点を有利に解消するもので、特に下地に多結晶シ
リコンが形成されている場合において、絶縁膜が段差間
の埋め込み性及び膜中のボイドの解消において優れてお
り、したがってサブミクロンデバイスの絶縁膜として使
用するのに有効であるとともに優れた膜質を有し、クラ
ックの発生もなく、しかも製造工程を減らすことによっ
てスループットを向上させることができる絶縁膜の形成
方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明による半導体装
置の製造方法は、半導体装置の絶縁膜を形成するに当た
り、下地に多結晶シリコンを選択的に形成し、この下地
及び多結晶シリコンの表面を有機化合物で処理した後、
前記絶縁膜を化学気相成長により形成することを特徴と
する。
【0010】この発明において、下地の代表例としては
Siの熱酸化膜が挙げられるが、此の他SiH4あるいはTEOS
ベースのプラズマCVD 酸化膜や熱CVD 酸化膜であっても
よい。また、多結晶シリコンとしては、リンなどの不純
物をドープした多結晶シリコンを含む。ここにおいて、
不純物のドープ法は任意である。
【0011】メタノール、エタノールを例とする有機化
合物の具体的処理法としては、半導体ウェファをスピン
させながら塗布するスピンコート処理(塗布処理)、有
機化合物の蒸気を半導体ウェファに吹きつける蒸気処
理、半導体ウェファを有機化合物の溶液中に浸漬する浸
漬処理、有機化合物の溶液をスプレーするスプレー処
理、有機化合物のシャワーに半導体基板を通過させるカ
ーテンフローコート処理など、種々の処理法が可能であ
り、スピンコート法が有機化合物の消費量が少なく、均
一な塗布ができ、乾燥も同時できることから最も好適で
ある。
【0012】前記の有機化合物としては、脂肪族飽和一
価アルコール、脂肪族不飽和一価アルコール、芳香族ア
ルコール、脂肪族飽和多価アルコール、アルデヒド、エ
ーテル、ケトン、カルボン酸、ニトロアルカン、アミ
ン、アシルニトリル、酸アミド、複素環式化合物が挙げ
られ、具体的に以下のような物質を用いることができ
る。
【0013】脂肪族飽和一価アルコール類:メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、
2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−
ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチ
ル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、1
−ヘキサノール、シクロヘキサノール 脂肪族不飽和一価アルコール類:アリルアルコール、プ
ロパギルアルコール、2−メチル−3−ブチン−2−オ
ール 芳香族アルコール類:ベンジルアルコール、フルフリル
アルコール 脂肪族飽和多価アルコール類及びその誘導体:エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノnブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル アルデヒド:ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グ
リオキザール エーテル:ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒド
ロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコール ケトン・ケトアルコール:アセトン、2−ブタノン、ジ
アセトンアルコール、γブチロラクトン、炭酸プロピレ
ン カルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール
酸、乳酸、乳酸エチル ニトロアルカン:ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロ
プロパン、ニトロベンゼン アミン:エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピル
アミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、アリルアミ
ン、アニリン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチ
ルアミン、エチレンイミン、ジプロピルアミン、ジイソ
プロピルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、
トリnプロピルアミン、トリnブチルアミン アシルニトリル類:アセトニトリル、プロピオノニトリ
ル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、ベンゾニトリル 酸アミド:ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、 複素環式化合物:ピリジン、キノリン、ピロール、ピペ
リジン、ピペラジン、モルホリン、2−ピロリジノン、
1−メチル−2−ピロリジノン この発明においては、このような有機化合物の1種で下
地処理するか、又は2種以上を同時にもしくは順次に処
理することができる。
【0014】
【作用】このようなこの発明による半導体装置の製造方
法によれば、まず下地酸化膜を形成し、次いでこの酸化
膜上に多結晶シリコンを選択的に形成して、この下地酸
化膜及び多結晶シリコンの表面を有機化合物処理すると
言った簡単な処理を行った後に、化学気相成長によって
絶縁膜を形成することによって、この絶縁膜の下地依存
性を解消でき、段差間への埋め込み性に特に優れている
とともに膜中の水分が少なく、ボイドやクラックも少な
い良好な膜質を有する絶縁膜を形成することができる。
【0015】このように下地の絶縁膜及び多結晶シリコ
ンの表面を有機化合物処理することによって段差間への
埋め込み性が良好で膜質の良好な絶縁膜が形成される理
由は明確には解明できていないが、次のように考えるこ
とができる。
【0016】〔1.下地絶縁膜表面のエタノール処理に
よる変成〕下地の絶縁膜として使われるSiH4あるいはTE
OSベースのプラズマCVD 酸化膜や熱CVD 酸化膜、Siの熱
酸化膜はいずれも非晶質のSiO2あるいはSiO2に近い組成
のものである。非晶質SiO2の最表面は、プロセス中ある
いは大気雰囲気中の水によって容易に水和され、Si-OH
のシラノール型の構造となっていることが多い。表面に
存在するSi-OH は、電気陰性度の高いSi側に電子が引き
つけられているため、全体として
【化1】 の形に強く分極しており、大きな双極子モーメントを持
っている。Si-OH には、この分極のために極性の高い分
子である水やアルコールなどを強く吸着する性質があ
る。
【0017】このように表面がSi-OH 型構造になる絶縁
膜に、前述した有機化合物処理を施して作用させると、
以下、の挙動が生じると推定される。 多くの有機化合物はSi-OH の分極の作用で表面に吸着
される。その吸着される強さは有機化合物の側の極性で
異なり、シクロヘキサンやベンゼン等の無極性物質は表
面に吸着され難く、低級アルコールやアセトニトリル、
低級カルボン酸など高い極性の物質は強く吸着され、さ
らに中程度の極性を有するジオキサンやケトン類はその
中間の強さで吸着されると予想される。
【0018】一方、Si-OH は、プロトンを放出するル
イス酸(Lewis acid)としても働き、他の活性な水酸基を
持つ有機化学物質と相互作用する。典型的な例がアルコ
ールとの間で起きるアルコキシル基の交換反応であり、
例えばエタノール:C2H5OHとの間で Si-OH +C2H5OH=Si-OC2H5+H2O のようなエステル化反応が起こる。ここで形成されるSi
-OC2H5の結合は極めて強固であり、Siの自然酸化膜の上
に形成されたSi-OC2H5は400 ℃の酸化性雰囲気でも数十
分以上の寿命を有する。
【0019】以上のように、有機化合物による気相ある
いは液相での処理によって、当該有機化合物分子の化学
的吸着が起こり、さらにエタノールのようなアルコール
類による処理ではエステル化反応も起こるものと考えら
れる。いずれにしても、このように吸着ないしはエステ
ル化されたシラノールは、以後吸着能力を失い、不活性
な表面状態に変わることになる。したがって、多結晶シ
リコンの表面も有機化合物で処理されることも相まっ
て、下地の絶縁膜表面と多結晶シリコン表面とは、同一
の表面状態となる。
【0020】〔2.O3-TEOS 系の気相化学反応と気相中
成膜化学種〕ところでO3-TEOS の熱CVD 反応では、成膜
に寄与する二種類の中間化学物質(成膜化学種)が気相
中に存在するとされている。一つはシラノール基を有す
るもの:HO-Si(OC2H5)3 (A)で、次のようなTEOS(Si
(OC2H5)4)と原子状酸素〔O〕の化学反応で生成すると
考えられる。なお、TEOSとO3は直接は反応せず、反応の
開始はO3の熱分解で発生する原子状酸素〔O〕から起こ
るとされている。
【化2】
【0021】すなわちSiに結合しているエトキシ基が酸
素原子による酸化を受けて分解し、シラノールを残す反
応である。(1) 式では最終的な酸化生成物をCO2 とH2O
としたが、実際にはその中間段階として、エタノール
(C2H5OH)、メタノール(CH3OH )、アセトアルデヒド
(CH3CHO)、フォルムアルデヒド(HCHO)、酢酸(CH3C
OOH )、ギ酸(HCOOH )などを経由するものと考えられ
る。
【0022】もう一つの中間体は、シロキサン重合体:
(C2H5O)3 Si-O-Si(OC2H5)3(B)である。これば上記
(1) 式で生成するシラノール中間体(A)の縮合によっ
て(2)あるいは(2′) のような反応によって形成される
ものと考えられる。
【化3】 気相中でのシラノールの寿命は一般に短いと考えられる
ので、シラノール中間体(A)は、比較的短命で、(2),
(2′) などの縮合反応によって容易にシロキサン重合体
(B)に変化するものと考えられる。
【化4】
【0023】前述のシラノール中間体(A)は、分子内
に活性なSi-OH 基をもっているため高活性であり、重合
しやすいという性質がある他、分子内の分極も大きく、
基板表面に対して吸着されやすい。一方シロキサン中間
体(B)は、低活性であり、また高沸点・低蒸気圧なの
で成膜温度程度では液状になっている可能性が高い。分
極も小さいので吸着はされにくいと考えられる。
【0024】したがって、O3-TEOS の熱CVD 反応におい
て、シラノール中間体(A)が成膜に主に寄与する場合
は、(A)の基板表面への吸着が速やかに起こり、次い
で吸着された分子の余ったエトキシ基のオゾン酸化によ
りポリシラノール(Si(OH)n,n>1)化し、そして生
成したシラノールが新たな吸着サイトとなり、ここへ気
相中成膜種(A)が再び吸着する、というように進行す
ると考えられる(吸着−分解機構)。この(A)の反応
は、活性であるために中間体のライフタイムが短く、付
着係数が大きくなり、(A)の供給されやすい部位への
吸着が高速に起こり、ステップカバレッジは悪化するこ
とになる。またシラノールがそのまま膜内残存する確率
も上がるので、得られた酸化膜の膜質やその均一性は相
対的に悪く、表面などに吸着される水分量も多い傾向に
なってしまう。
【0025】これと対照的にシロキサン重合体中間体
(B)が成膜に主に寄与する場合、吸着が起こりにくい
ため、基板表面への重合体の界面張力による拡散(流
動)が成膜を支配するものと考えられる。表面に拡がっ
た重合体は再度オゾン酸化によるシラノール化と重合を
受けるが、表面に現れるフリーのシラノール密度は小さ
いと考えられるので、気相中成膜種(B)は再び流動で
堆積されると考えられる(重合−流動機構)。この中間
体(B)のライフタイムは長いので、ステップカバレッ
ジが上がり、フローライクな形状となる。膜表面及び内
部の残存シラノールは減少するため、膜質は相対的に良
くなる。
【0026】(A),(B)いずれの中間体が支配する
においても、熱あるいは過剰のオゾンによって堆積され
た化学種は最終的に分解・酸化されてSi-O-Si のネット
ワークを形成し、化学量論比に近い非晶質SiO2に近づ
く。なお、(A),(B)のどちらか一方だけが成膜に
関与するということはなく、常に2種の化学種が関与し
ていると考えられ、オゾン濃度や成膜温度などの成膜パ
ラメータや下地の表面状態によって(A),(B)の成
膜に関与するバランスが変化するものと考えられる。
【0027】〔3.下地の表面状態と気相化学反応の関
係〕上記メカニズムの説明から明らかなように、気相中
の成膜化学種のバランスによって成膜後の形状は大きな
変化を受ける。ここにおいて、下地表面に有機化合物処
理を施すことのない従来法では、下地の絶縁膜にSi-OH
吸着サイトが高い密度で分布しており、そのため、O3-T
EOS の成膜の際は、気相中化学種のうち、シラノール中
間体(A)がその大きな分極によって、重合反応を待た
ずに直ちに絶縁膜表面に吸着される一方で、多結晶シリ
コン表面にはあまり吸着されないものと考えられる。絶
縁膜表面に吸着されたシラノールは、直ちにオゾンある
いは熱による酸化を受けて新たな吸着サイトとなり得る
シラノールが生成したり、他のシラノール中間体(A)
による付加を受けることで、以後ずっと(A)が支配的
な吸着−分解機構による膜堆積が継続して進行する。ま
た、シロキサン重合体(B)による堆積も、割合は少な
いが(A)と平行して進行すると考えられ、二つの成膜
種の混在による膜質の局部的な変動が起こり、これがBH
F でエッチングしたときのむらの原因になっている可能
性があると考えられる。しかも、多結晶シリコン表面で
は、シロキサン重合体(B)による堆積が支配的になっ
ていると考えられるから、この点が膜質の下地依存性の
原因になっていると思われる。
【0028】これに対して、この発明に従い、下地絶縁
膜を有機化合物で処理し、下地表面の吸着活性なシラノ
ールを全て潰した場合は、多結晶シリコン表面と同様に
O3-TEOS の成膜の際にシラノール中間体(A)が下地の
絶縁膜に吸着されることはなくなる。したがって気相中
での滞留時間が伸び、シロキサン重合体(B)に変化す
る確率が上がるため、気相中成膜化学種の中で(B)の
割合が高くなる。(B)のシロキサン重合体は、基板表
面を界面張力によって覆うように拡がる。しかもこの重
合体は活性なシラノールをもっていないので、膜表面が
(B)で一度覆われると、シラノール中間体(A)は以
降も吸着されず、以降の堆積では全てシロキサン重合体
(B)の流動が主体となって進行することになって、埋
め込み性、平坦性、膜質の良好な酸化膜が形成されると
考えられる。
【0029】以上述べたとおり、成膜前の基板の状態
は、後の成膜機構に最後まで決定的な影響を与え得るこ
とになる。この発明に従う有機化合物による成膜前処理
は、上記メカニズムから推測されることによれば、下地
表面の活性吸着サイトにすべて有機化合物が吸着されれ
ば完全な効果が得られ、約400 ℃の成膜温度において脱
離されない有機化合物であればいずれの有機化合物でも
構わないのであり、特に、極性の高いアセトニトリルや
エステル化作用のある低級アルコールは、この成膜温度
においても脱離されず安定に残存しており、最も適切な
ものであろうと考えられる。
【0030】なお、界面張力によってシロキサン重合体
が流動する、成膜の最も初期の過程において、この重合
体と基板表面との間の界面張力の絶対値は、最終のフロ
ー形状に影響を与える可能性が高い。すなわち重合体と
有機化合物処理済み基板表面との濡れ性が重要であり、
有機化合物種としては、処理により重合体に良く濡れる
化学種を吸着あるいはエステル化させることが、良いフ
ロー形状を得るためには望ましい。重合体と同一の官能
基を持つエタノールや2−エトキシエタノールによる処
理が実際にも好ましい結果を与えているのも、そのため
だと推察される。
【0031】これは理論および実験の結果に基づいたも
のではあるが、あくまでも推論であり、この発明はこの
ような推論によって技術的範囲が限定されるものではな
いことは勿論である。
【0032】以上述べた有機化合物処理の後には、化学
気相成長(CVD) 法によって絶縁膜を形成する。この化学
気相成長の際は、有機けい素化合物を原料とすることが
好ましいが、無機シランであってもよい。この有機けい
素化合物としてはTEOS、TMOS、OMTCS 、HMDS、SOB 、DA
DBS 、SOP などを代表例とする以下の有機けい素化合物
が挙げられる。
【0033】テトラアルコキシシランとして次のとお
り:テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラ
ン(TEOS)、テトラnプロポキシシラン、テトライソプロ
ポキシシラン、テトラnブトキシシラン
【0034】アルキルアルコキシシランとして次のとお
り:メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルトリnプロポキシシラン、メチルトリイソ
プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチル
トリエトキシシラン、エチルトリnプロポキシシラン、
エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジnプロポキシシラン、ジエチルジイソ
プロポキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メ
チルビニルジエトキシシラン メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキ
シシラン
【0035】ポリシロキサンとして:テトラキス(ジメ
チルシロキシ)シラン
【0036】シクロシロキサンとして次のとおり:オク
タメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS) 、ペンタメチ
ルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラ
シロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、トリ
メチルシクロトリシロキサン
【0037】ジシロキサンとして次のとおり:ヘキサメ
チルジシロキサン(HMDS)、テトラメチルジメトキシジシ
ロキサン、ジ1チルテトラメトキシジシロキサン、ヘキ
サメトキシジシロキサン
【0038】アルキルシランとして次のとおり:モノメ
チルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、トリ
エチルシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラ
ン アリルトリメチルシラン ヘキサメチルジシラン
【0039】シリルアミンとして次のとおり:ジメチル
トリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルア
ミン
【0040】シラン窒素誘導体として次のとおり:アミ
ノプロピルトリエトキシシラン トリメチルシリルアジド、トリメチルシリルシアナイド
【0041】シラザンとして次のとおり:ヘキサメチル
ジシラザン、テトラメチルジシラザン オクタメチルシクロテトラシラザン、ヘキサメチルシク
ロトリシラザン
【0042】ハロゲン化シラン及び誘導体として次のと
おり:トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラ
ン、トリnプロピルクロロシラン、メチルジクロロシラ
ン、ジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロ
ロシラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロプロ
ピルメチルジクロロシラン、クロロプロピルトリメトキ
シシラン ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メ
チルビニルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、
エチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ト
リフロロプロピルトリクロロシラン、トリフロロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリメチルシリルアイオダイ
ド。
【0043】さらに、トリス(トリメチルシロキシ)ボ
ラン(SOB) 、トリス(トリメチルシロキシ)ホスホリル
(SOP) 、ジアセトキシジ-tert-ブトキシシラン(DADBS)
なども用いることができる。
【0044】これらの有機けい素化合物は、単独で用い
るか又は2種以上を混合して用いることができる。混合
して用いる場合の混合割合は、適当に定めればよい。
【0045】無機シランとしては、シラン、ジシラン、
トリシランテトラシランがあり、この他、モノクロルシ
ラン、ジクロルシラン、トリクロルシラン等のクロルシ
ランも用いることができる。これらの無機シランについ
ても、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】化学気相成長は、常圧又は減圧CVD 法(1
〜760 Torr)が好適であり、原料に無機シランを用いる
場合は、プラズマCVD 法も適用できる。原料の有機けい
素化合物は、恒温されたバブラーに供給し、窒素、酸
素、ヘリウムなどをキャリアガスとしてバブリングし、
成膜チャンバに輸送する。バブリング後の配管は凝結防
止のため、加温されることが望ましい。また、反応ガス
には、酸素、あるいはオゾンを濃度0.1 wt%以上好まし
くは5wt%以上含む酸素ガスを用いる。さらに窒素など
の不活性ガスで適宜希釈することも可能である。これら
有機けい素化合物と反応ガスとキャリアガスとの流量比
は特に限定されない。原料に無機シランを用いる場合
は、応ガスとして酸素、亜酸化窒素、一酸化窒素等を用
いる。その際、窒素、水蒸気、二酸化炭素等を混合させ
てもよい。絶縁膜の成膜温度は200 〜700 ℃である。
【実施例】
【0047】(実施例1)図1に示すように、シリコン基
板11を酸素雰囲気中で950 ℃の温度で30分間加熱して膜
厚が500 Åの熱酸化膜12を形成した。次に、多結晶シリ
コンを0.5 μm厚で形成したのち、選択的にエッチング
を行うことにより、ライン幅0.3 μm 、スペース幅0.3
μm の多結晶シリコン配線13を形成した。
【0048】次に、表面をエタノールによって処理し
た。この下地処理はスピンコータを用い、シリコンウエ
ファを2000 rpmで回転させながら5ccのエタノールを3
秒間塗布し、さらに10秒間回転させて乾燥を行ったもの
である。このような下地処理を行った後に、シリコンウ
エファをCVD 反応チャンバへ搬送して常圧熱CVD 法によ
り膜厚が6000Åのオゾン-TEOS CVD NSG 膜14を形成し
た。この際の成膜条件は以下のようにした。 成膜温度:413 ℃ 成膜時間:360 秒 ガスバブラへの窒素ガス流量:1.7 SLM 恒温槽温度:65℃ オゾン濃度:120 g Nm-3 キャリア窒素ガスの流量:18 SLM
【0049】以上のようにして形成された多結晶シリコ
ン配線間には、オゾン-TEOS CVD NSG 膜が完全に埋め込
まれており、さらに内部にボイドも発生していない良好
な膜質を有するものであった。
【0050】(実施例2)シリコン基板を酸素雰囲気中で
950 ℃の温度で30分間加熱して膜厚が500 Åの熱酸化膜
を形成した。次に、多結晶シリコンを0.5 μm 厚で形成
した。ここまでは、実施例1と同様である。次いでこの
多結晶シリコン上にリンを含む膜を堆積した後、拡散さ
せて30Ω/□のシート抵抗となるように熱処理した。す
なわち、多結晶シリコン膜を形成した後、POCl3 のバブ
リング温度を25℃とし、バブリング用窒素の流量を400
SCCMとし、酸素ガスの流量を500 SCCMとし、窒素キャリ
アガスの流量を5SLM として熱処理炉に供給し、850 ℃
の温度で10分間、PSG (P2O5を含む)の堆積を行った。
引き続いて窒素ガスを10 SLMの流量で供給しながら20分
間、850 ℃の温度に保持してリン拡散を行った。多結晶
シリコン上のP2O5を含むPSG 膜をHFにより除去したの
ち、このP拡散多結晶シリコンを選択的にエッチングを
行うことにより、ライン幅0.3 μm 、スペース幅0.3 μ
m の多結晶シリコン配線13を形成した。
【0051】次に、表面をエタノールによって処理し
た。この下地処理はスピンコータを用い、シリコンウエ
ファを2000 rpmで回転させながら3CCのエタノールを2
秒間塗布し、さらに10秒間回転させて乾燥を行った。こ
のような下地処理を行った後に、シリコンウエファをCV
D 反応チャンバへ搬送して膜厚が6000Åのオゾン-TEOSC
VD NSG 膜を形成した。この際の成膜条件は実施例1と
同一である。以上のようにして形成されたポリシリコン
多層配線間にはオゾン-TEOS CVD NSG 膜が完全に埋め込
まれており、さらに内部にボイドも発生していない良好
な膜質を有するものであった。したがって、ポリシリコ
ン配線73-1〜73-3も良好な形状を有するものであった。
【0052】(比較例1)上述した実施例1において、
オゾン-TEOS CVD NSG 膜を形成する以前に下地処理を行
わないものであり、その他の条件は実施例16と全く同様
とした。その結果、図2に示すようにオゾン-TEOS CVD
NSG 膜には多くのボイドが形成されていた。
【0053】(比較例2)上述した実施例2において、
オゾン-TEOS CVD NSG 膜を形成する以前に下地処理を行
わないものであり、その他の条件は実施例16と全く同様
とした。その結果、オゾン-TEOS CVD NSG 膜には多くの
ボイドが形成されていた。
【発明の効果】上述したように、この発明による半導体
装置の製造方法においては、化学気相成長によって絶縁
膜を形成する前に、下地表面を有機化合物で処理すると
いって極めて簡単な処理によって、段差への埋め込み性
や平坦性が良く、内部にボイドもなく、しかも水分の含
有量も少ない良質の絶縁膜を形成することができる。ま
た、このようにして形成された絶縁膜は耐吸湿性も優れ
たものとなるとともに下地処理は簡単に行うことができ
るので、スループットの劣化もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の実施例1において製造した半
導体装置の一部分を示す断面図である。
【図2】図2は比較例1において製造した半導体装置の
一部分を示す断面図である。 11 シリコン基板 12 熱酸化膜 13 ポリシリコン配線 14 オゾン-TEOS CVD NSG 膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体装置の絶縁膜を形成するに当た
    り、下地に多結晶シリコンを選択的に形成し、この下地
    及び多結晶シリコンの表面を有機化合物で処理した後、
    前記絶縁膜を化学気相成長により形成することを特徴と
    する半導体装置の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1171675A (ja) * 1997-07-14 1999-03-16 Siemens Ag 酸化セラミックから成る薄膜の製造方法
US6011450A (en) * 1996-10-11 2000-01-04 Nec Corporation Semiconductor switch having plural resonance circuits therewith
US6255230B1 (en) 1999-06-04 2001-07-03 Canon Sales Co., Inc. Method for modifying a film forming surface of a substrate on which a film is to be formed, and method for manufacturing a semiconductor device using the same
US6900144B2 (en) 2000-03-31 2005-05-31 Canon Sales Co., Inc. Film-forming surface reforming method and semiconductor device manufacturing method
WO2013176048A1 (ja) * 2012-05-25 2013-11-28 旭硝子株式会社 原料供給方法および原料供給装置

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