JPH0626469U - 釣り用リール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 転がり型の一方向クラッチによりアソビを解
消し、必要な場合にはハンドル軸の逆転も許容する釣り
用リールを構成する。 【構成】 インナレース１９とアウタレース２０との間
に転がり体２１を配置した一方向クラッチＡのアウタレ
ース２０をリール本体１に回転不能に支持し、インナレ
ース１９をハンドル軸９に回転自在に外嵌し、このハン
ドル軸９に対して軸芯方向への操作によってインナレー
ス１９に咬合してハンドル９と一体化する連結位置と、
インナレース１９と分離する分離位置とに切換え自在な
係脱部材２２を備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ハンドルからの駆動力をスプールに伝える伝動軸を備え、この伝動 軸の釣り糸繰り出し方向への回転を阻止する一方向クラッチを備えて成る釣り用 リールに関し、詳しくは、一方向クラッチの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、上記のように構成された釣り用リールとして両軸受リールを挙げると、 この種のリールでは、ハンドルと連結するハンドル軸（伝動軸）に対してラチェ ットホイールを備え、このラチェットホイールに係脱する爪体を備えることで、 このハンドル軸の釣り糸繰り出し方向への回転を阻止し、又、ハンドル軸の釣り 糸巻き取り方向への回転を許容するよう構成されている（例えば実開昭６１−１ ８２２６３号公報）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ここで、前述した従来例のように伝動軸にラチェットホイール型の一方向クラ ッチを備えたリールについて考えるに、この種のリールではラチェットホイール の歯部に対して爪体が係合して伝動軸の回転を阻止するよう構成されるので、ラ チェットホイールの周方向での歯部の間隔だけアソビが存在するものとなり、例 えば、魚が掛かり竿を煽ってアワセ操作をした場合には、このアソビだけ伝動軸 が釣り糸繰り出し方向に回転した後、ラチェットホイールの歯部に爪体が係合す ることによって伝動軸の回転が阻止される結果、現実にアワセが完了するまでに 時間遅れを生ずるものとなっている。 この不都合を解消する目的で、インナレースとアウタレースとの間にボール、 ローラ等の転がり体を配置した転がり型の一方向クラッチを用いて釣り糸繰り出 し方向へのアソビを解消したリールも現在市販されているものの、この種の一方 向クラッチはラチェットホイール型の一方向クラッチと異なり、外部からの操作 では釣り糸繰り出し方向への回転を許容することが不可能であり、適切な改善が 望まれている。 尚、実釣時にはハンドル系に対して釣り糸等の異物を誤って巻き込むこともあ り、このような場合にハンドル系の逆転操作によって異物の巻き込みを取り除け るよう、一方向クラッチの逆転阻止機能を解除して釣り糸の繰り出し方向へのハ ンドルの回転を可能にする技術が求められ、又、船釣りにおいてはハンドルとス プールとの間に介装されたクラッチ機構を切り操作せずにスプールとハンドルと を直結した状態での仕掛を投入することも多く行われており、このような形態で の釣りも可能とする目的から、前述した転がり型の一方向クラッチを用いたリー ルにおいても、伝動軸の逆転を許容する技術が求められている。 本考案の目的は、転がり型の一方向クラッチを備えることによるアソビの解消 という良好な面を損なうこと無く、必要な場合には、伝動軸の釣り糸繰り出し方 向への回転を許容する釣り用リールを合理的に構成する点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴は冒頭に記したように、ハンドルからの駆動力をスプールに伝え る伝動軸の釣り糸繰り出し方向への回転を阻止する一方向クラッチを備えて成る 釣り用リールにおいて、 前記一方向クラッチをインナレースとアウタレースとの間にボール、ローラ等 の転がり体を配置した転がり型に構成すると共に、この一方向クラッチのアウタ レースをリール本体に回転不能に支持し、インナレースを前記伝動軸に回転自在 に外嵌配置し、この伝動軸に対して、該伝動軸の軸芯方向への操作によって前記 インナレースに咬合して伝動軸と一体化する連結位置と、インナレースと分離す る分離位置とに切換え自在な係脱部材を備えて成る点にあり、その作用、及び、 効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】

上記特徴を例えば図１乃至図３に示すように構成すると、係脱部材２２を連結 位置に設定した状態で、伝動軸９に釣り糸繰り出し方向への回転力が作用した場 合には、伝動軸９の回転力が係脱部材２２を介してインナレース１９に伝わり、 瞬時にインナレース１９とアウタレース２０との間に転がり部材２１が咬み込ま れる状態に達して回転が阻止されるものとなり、係脱部材２２を分離位置に設定 した場合には、インナレース１９が伝動軸９に対して遊転する状態に達するので 、一方向クラッチＡは機能せず伝動軸９の釣り糸繰り出し方向への回転が許容さ れるものとなる。又、係脱部材２２が伝動軸９の軸芯Ｘ方向へ作動するので、例 えば、係脱部材２２を伝動軸９にスライド自在に外嵌する構造を採用し、図５に 示すように係脱部材２２を操作する操作系を伝動軸９に内装する構造を採用する 等、簡単な構造で係脱を可能にするものとなる。 つまり、この構成では、転がり型の一方向クラッチＡを用いて、この一方向ク ラッチＡによるアソビ解消の機能を発揮させると共に、この一方向クラッチＡの 構造を大幅に変更すること無く、簡単な係脱構造の採用によって係脱部材２２の 位置変更を可能にして伝動軸９の釣り糸繰り出し方向への回転も許容できるもの となる。

【０００６】

【考案の効果】

従って、転がり型の一方向クラッチを用いることで伝動軸のアソビを解消して 迅速なアワセ操作を可能にし、しかも、必要な場合には伝動軸の釣り糸繰り出し 方向への回転を許容する釣り用リールが複雑な構造を採用すること無く構成でき たのである。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１及び図４に示すように、リール本体を構成する左右のサイドケース１，１ の間に螺軸２の回転作動により糸ガイド部材３を左右方向に往復作動させるレベ ルワインド機構、釣り糸（図示せず）を巻き取るスプール４、クラッチ操作具５ 夫々を配置すると共に、右側のサイドケース１の外部にドラグ操作具６、ハンド ル７、キャストコントローラ８夫々を備えてベイトキャスティング用の両軸受リ ールを構成する。 右側のサイドケース１には前記ハンドル７と連結する伝動軸としてのハンドル 軸９を内端側のボールベアリング１０、及び、外端側の転がり型の一方向クラッ チＡ夫々を介して支承してあり、前記ドラグ操作具６は、このハンドル軸９と一 体回転する筒状部９Ａに形成されたネジ部９Ｓに螺合するナット部材１１を内装 して、ドラグ操作具６を回動操作した場合にはナット部材１１からの押圧力が、 ハンドル軸９の筒状部９Ａに対して更に外嵌したスリーブ１２を介してドラグ機 構Ｄに伝えられる。 尚、このスリーブ１２はドラグ機構Ｄのディスクに対して、前記筒状部９Ａと 伴に係合してハンドル軸９と一体回転するよう構成される。

【０００８】 又、ハンドル軸９にはドラグ機構Ｄ、ホイール１３、伝動ギヤ１４夫々が備え られ、伝動ギヤ１４は前記レベルワインド機構の螺軸２の入力ギヤ２Ａに咬合し て該レベルワインド機構を駆動するよう構成され、前記スプール５はスプール軸 １５と一体回転し、このスプール軸１５の中間部に設けた係合ピン１６と係脱可 能なクラッチスリーブ１７とでクラッチ機構Ｃを構成し、ドラグ機構Ｄの出力ギ ヤ１８と、このクラッチスリーブ１７の入力ギヤ１７Ａとの咬合によりクラッチ 入り状態ではハンドル７からの駆動力をスプール４に伝えるよう構成する。 尚、前記クラッチ操作具５を押し下げ操作した場合には、該操作具５に形成し たピン５Ａからの操作力でクラッチスリーブ１７を係合ピン１６から離脱させて クラッチ機構Ｃを切り状態に設定する操作系を形成してあり、又、このクラッチ 切り状態で、ハンドル７を釣り糸巻上げ方向に操作した場合には前記ホイール１ ３からの操作力でクラッチ機構Ｃを入り状態に復元する操作系も備えている（操 作系は詳述せず）。

【０００９】 図２及び図３に示すように、前記一方向クラッチＡをインナレース１９とアウ タレース２０との間にローラで成る転がり体２１を配置した転がり型に構成して あり、この一方向クラッチＡのアウタレース２０をリール本体としてのサイドケ ース１に回転不能に支持し、インナレース１９をハンドル軸９に回転自在に外嵌 配置し、このハンドル軸９に対して、該ハンドル軸９の軸芯Ｘ方向への操作によ って前記インナレース１９に咬合してハンドル軸９と一体化する連結位置と、イ ンナレース１９と分離する分離位置とに切換え自在な係脱部材２２を備えること によって、係脱部材２２をインナレース１９と係合する位置に設定すると、アワ セ操作を行った場合のように、ハンドル軸９に釣り糸繰り出し方向への回転力が 作用した際には迅速に回転を阻止し、又、係脱部材２２を分離位置に設定すると 、このハンドル軸９の逆転（釣り糸繰り出し方向への回転）を許容するよう構成 されている。

【００１０】 尚、係脱部材２２は一方向クラッチＡの方向に向けてバネ２３で付勢されると 共に、スリーブ１２に対して軸芯Ｘ方向に沿って形成した溝部１２Ａに係入する 突起部２２Ａを内面に備え、インナレース１９の端面に形成した係合部１９Ａに 対して軸芯Ｘ方向への作動により、係脱する係合片２２Ｂを備え、又、該係脱部 材２２を人為的に操作する操作部２２Ｃを備え、更に、スリーブ１２の外面に形 成した前記溝部１２Ａには図２に示す如く、鉤状に係止部１２Ｂが連設されてい る。 そして、このリールでは図１に示す如く、インナレース１９の係合部１９Ａに 係脱部材２２の係合片２２Ｂを係合させた状態ではハンドル軸９とインナレース １９とが一体化してハンドル軸９の逆転を迅速に阻止し、又、図２に示す如く、 インナレース１９の係合部１９Ａから係脱部材２２の係合片２２Ｂを分離し、係 脱部材２２の突起部２２Ａを溝部１２Ａの係止部１２Ｂの位置に設定した場合に は、係脱部材２２が分離状態を維持してハンドル軸９の正逆夫々の方向への回転 を許容するように構成されている。

【００１１】 〔別実施例〕 本考案は上記実施例以外に、例えば、図５乃至図７に示すように、ハンドル軸 ９の径方向に沿って穿設した孔部９Ｓに対して係脱部材２２を、その端部の係合 部２２Ｂがハンドル軸９の外周から露出する状態で、かつ、該ハンドル軸９の軸 芯Ｘ方向に沿ってスライド自在に内装すると共に、このハンドル軸９と同軸芯に 配置した操作軸２４によって係脱部材２２を連結位置と分離位置とに切換え操作 自在に構成して、バネ２３の付勢力に係合部をインナレース１９の係合部１９Ａ に係合させた状態では、ハンドル軸９の逆転を迅速に阻止し、又、操作軸２４の 引き出し操作によってストッパー２５と操作軸２４の環状溝２４Ａとを係合状態 に設定して係脱部材２２を分離位置に設定すると、ハンドル軸９の正逆夫々の方 向への回転を許容するよう構成することも可能になる。 又、本考案では、ハンドル軸以外の伝動系に転がり型の一方向クラッチを備え 、この伝動軸の係脱部材を備えて構成することも可能である。

【００１２】 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記 すが、該記入により本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】リール右側部の横断平面図

【図２】係合構造の一部切欠き平面図

【図３】係脱部材の係止構造の縦断側面図

【図４】両軸受リールの全体平面図

【図５】別実施例のリール右側部の横断平面図

【図６】別実施例の係脱部材を表す縦断側面図

【図７】操作軸の係合構造を表す側面図

【符号の説明】

１ リール本体 ４ スプール ７ ハンドル ９ 伝動軸 １９ インナレース ２０ アウタレース ２１ 転がり体 ２２ 係脱部材 Ａ 一方向クラッチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドル（７）からの駆動力をスプール
   （４）に伝える伝動軸（９）を備え、この伝動軸（９）
   の釣り糸繰り出し方向への回転を阻止する一方向クラッ
   チ（Ａ）を備えて成る釣り用リールであって、 前記一方向クラッチ（Ａ）をインナレース（１９）とア
   ウタレース（２０）との間にボール、ローラ等の転がり
   体（２１）を配置した転がり型に構成すると共に、この
   一方向クラッチ（Ａ）のアウタレース（２０）をリール
   本体（１）に回転不能に支持し、インナレース（１９）
   を前記伝動軸（９）に回転自在に外嵌配置し、この伝動
   軸（９）に対して、該伝動軸（９）の軸芯方向への操作
   によって前記インナレース（１９）に咬合して伝動軸
   （９）と一体化する連結位置と、インナレース（１９）
   と分離する分離位置とに切換え自在な係脱部材（２２）
   を備えて成る釣り用リール。