JPH06264626A - 鋼製自立煙突の解体方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 鋼製自立煙突の解体方法において、高所での
解体作業の危険を減少させ、作業を容易することが可能
な解体方法を提供することを目的とする。 【構成】 有蓋円環状の外枠足場２を、煙突上端部にク
レーン３により搭載し、上記煙突の水平切断線の下側に
フック掛け用開口１３を切り明け、外枠足場にターンバ
ックル付きフックロッド１４を介し上記開口にフックを
掛けて係合させ、クレーンの玉掛けワイヤ６を前記外枠
足場から煙突上部へ付け替え、前記玉掛けワイヤを介し
クレーンにより、煙突切断部重量を受けながら、煙突上
端部を水平切断線に沿って幅切り切断し、切脱された煙
突筒体ブロックと共に作業者１５の退去した外枠足場を
クレーンにより吊り上げ地上に降ろす工程を繰り返すの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼製自立煙突の解体方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、鋼製自立煙突を解体する方法とし
て、図１１〜図１６に示す方法が知られている。図１１
〜図１６において、０１はクレーンのフック、０２はク
レーンのフックに支持される吊ビーム，０３，０４はワ
イヤ、０５，０６は吊ビームにワイヤ０３，０４で吊り
下げられる大小２個のリング型足場、０７は解体の対象
となる煙突、０８は煙突０７の外面に取り付けられるア
イプレート、０９はアイプレート０９とリング型足場０
５を連結するクリップ付き吊ワイヤ、０１０は煙突０７
上端部と吊ビーム０２とを連結するクリップ付き吊ワイ
ヤ、０１１は煙突０７を輪切りに一定幅で２列に切断す
る、いわゆる幅切を行うための水平切断線である。

【０００３】この方法は、先ず、図１２に示すように、
クレーンのフック０１により、吊ビーム０２にワイヤ０
３，０４を介して吊り下げられたリング型足場０５，０
６を煙突０７の上に降下させる。次に、図１３に示すよ
うに、吊ビーム０２を煙突０７上端部近くに吊り下げた
状態で、梯子０１３により作業者０１４が足場０５に乗
り込み、足場０５上で、煙突０７外周面にアイプレート
０８を溶接する。そして、作業者０１４は、アイプレー
ト０８と足場０５との間にクリップ付きワイヤ０９を張
り渡して連結し、更に、上部足場０６上へ移って煙突０
７上端部と吊ビーム０２との間にクリップ付き吊ワイヤ
０１０を張り渡して連結する。

【０００４】引き続き、図１４に示すように、作業者０
１４は足場０５上へ移動し、吊ビーム０２を若干巻下げ
て足場０５をワイヤ０９、アイプレート０８で煙突０７
に支持させ、弛んだワイヤ０３の下端を足場０５から外
し、足場０５を楔等により、煙突０７の外壁に固定し、
吊ビーム０２に煙突の荷重を掛けながら、水平切断線０
１１に沿って煙突を幅切りにする。その後、図１５に示
すように、切断された筒体ブロック０７′を吊ビーム０
２及び小足場０６と一緒に、クレーンにより吊り上げら
れ地上に降ろす。一方、足場０５上に残った作業者０１
４は、そのまま残るか、或いは、梯子０１３を通って地
上に降りる。

【０００５】更に、図１６に示すように、吊ビーム０２
が空の状態でクレーンにより煙突０７上へ戻されると、
再び作業者０１４が足場０５へ乗り込んで、吊ビーム０
２のワイヤ０３を足場０５に接続し、若干吊ビーム０２
を巻き上げて、クリップ付き吊ワイヤ０９の端をアイプ
レート０８から外し、吊ビーム０２を巻き上げ、再び図
１３に示すように、煙突０７上端部に取り付ける作業に
戻り、煙突０７の解体が上から下へと進められる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の方法で
は、図１３に示すように、作業者０１４が梯子０１３か
ら足場０５へ乗り移り、アイプレート０８、クリップ付
き吊ワイヤ０９を装着する作業や、上部足場０６でクリ
ップ付き吊ワイヤ０１０を接続する作業は、揺動する足
場０５，０６上での不安定な作業となる。

【０００７】また、図１６における足場０５への乗り移
り、吊ワイヤ０９の取り外し作業も上下動する足場０６
での不安定な作業となり、危険を伴う。更に、それによ
って、作業が敏速に行い難く、工期が長引くのを避けら
れない。本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたもの
であり、高所での解体作業の危険を減少させ、作業を容
易することが可能な解体方法を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成する本
発明の構成は作業者が乗り込む有蓋円環状の外枠足場
を、煙突上端部にクレーンにより着脱自在に搭載し、上
記煙突の水平切断線の下側に円周方向に複数個のフック
掛け用開口を切り明け、前記外枠足場の下部複数個所に
ターンバックル付きフックロッドを介し上記開口にフッ
クを掛けて係合させ、クレーンの玉掛けワイヤを前記外
枠足場から煙突上部へ付け替え、前記玉掛けワイヤを介
しクレーンにより、煙突切断部重量を受けながら、煙突
上端部を水平切断線に沿って幅切り切断し、切脱された
煙突筒体ブロックと共に作業者の退去した外枠足場をク
レーンにより吊り上げ地上に降ろす工程を繰り返すこと
を特徴とする。

【０００９】

【作用】外枠足場は、天井面及び周壁面を枠組みで構成
し、内側に向かって開放された有蓋円環状であり、天井
面である吊ビームを煙突の水平な上端面に接して搭載す
ると、作業者の乗り移りに充分安定である。この状態で
直ちに、外枠足場は上下動する楔手段等で煙突壁面と密
着固定されて揺動を防止できる。固定された外枠足場上
で煙突壁面にフック掛け用開口を切り明け、一端を外枠
足場下部に接続したターンバックル付きフックロッドの
フック側を上記開口の下縁部にフック掛けして係合す
る。

【００１０】また、クレーンの玉掛けワイヤの下端を外
枠足場の天井部から煙突頂部に接続を移し替える。これ
らの作業は、固定された外枠足場上で危険なく行うこと
ができる。次いで、玉掛けワイヤに煙突切断部となる筒
体ブロックの荷重を負荷させた状態で、煙突を水平切断
線に沿って幅切り切断すると、切断された筒体ブロック
の若干の落ち込みによる衝撃も著しく軽減する。外枠足
場の天井、外周面を薄板等で覆うことにより、風雨の影
響を受け難く、また、落下物の飛び出しも防止できる。
ターンバックル付きフックロッドは、後部壁からロープ
保持するなどにより、クレーンの外枠足場の吊り上げ時
に、自動的に煙突の壁から離れる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明について、図面に示す実施例を
参照して詳細に説明する。図１〜図４は、本発明の一実
施例を概略的に示す全体図である。同図に示すように、
解体すべき鋼製の自立煙突１には、幅切りすべき２本の
水平切断線１２が設けられ、この水平切断線１２に沿っ
て幅切りすると、それより上部は、筒体ブロック１ａと
して切り離される。更に、自立煙突１の外壁面には、自
立煙突１に搭載される有蓋円環状の外枠足場２に乗り込
んだ作業員により、水平切断線１２の下方に円周方向に
複数個、例えば８個にフック掛け用の開口８が切り明け
られる。

【００１２】この自立煙突１の上部端には、有蓋円環状
の外枠足場２が着脱自在に搭載される。外枠足場２は、
天井面及び外周面を枠組みで構成され、内側に向かって
開放されており、地上に設置される大型油圧クレーン３
により吊り上げられて、地上から煙突上端まで昇降す
る。煙突１の高さが大きく油圧クレーン３のリフトが足
りない場合は、煙突１に支持梁を渡して直立させるタワ
ークレーン等を用いることができる。

【００１３】外枠足場２は、内部に開放された上下２段
の足場床７ａ、７ｂを有すると共に天井面に煙突１の上
端に係合するガイド８、クレーン１の玉掛けワイヤ６に
吊り下げられる吊ビーム２ａが設けられる。外枠足場２
を煙突１に吊支えるため、足場床７ａとフック掛け用の
開口８との間にターンバックル付きフックロッド１４が
取り付けられている。このターンバックル付きフックロ
ッド１４は、一端が足場床７ａ隅に軸着し、他端フック
がフック掛け用の開口８の下縁部にフック掛けされてい
る。

【００１４】また、外枠足場２は、煙突外周面に接触す
るガイドローラ９、足場床７ａと煙突外周面との間にス
クリューシリンダ１０により着脱挿入するウェッジ１１
等を備える。更に、外枠足場２には、煙突１の鋼壁切
断、円周ライニングの切断用の機器（図示省略）が搭載
される。従って、クレーン３の玉掛けワイヤ６の下端を
外枠足場２の吊ビーム２ａから外し、吊ビーム２ａの間
を通して、煙突１上端部に付け替えると、筒体ブロック
１ａと外枠足場２とを一緒に吊り上げて地上まで降ろせ
る。

【００１５】尚、外枠足場２としては、煙突上半部又は
下半部用に内径の相違する足場を用い、又は内径を可変
に構成して用いることができる。外枠足場２の天井面及
び外周面は必要部を除いて、板その他で遮蔽することが
できる。

【００１６】次に、図５〜図８を参照して、本発明の解
体方法について、工程順に説明する。先ず、図５に示す
ように、有蓋円環状の外枠足場２をクレーン３により玉
掛けワイヤ６を介して、煙突１上に位置合わせして下降
させ、図６に示すように、外枠足場２の天井吊ビーム２
ａが、煙突１上端に接するように搭載する。そして、作
業者１５は煙突１外壁の梯子１６から外枠足場２内へ乗
り込む。外枠足場２は、ガイド８、ガイドローラ９の案
内により、煙突１上に自重でバランスしており、この状
態で作業者１５の乗り入れ、退去に際し充分な安定を保
つ。

【００１７】次に、図６に示すように、外枠足場２に乗
り込んだ作業者１５は、ウェッジ１１をスクリューシリ
ンダ１０の操作で、足場床７ａと煙突１外壁面の間に夫
々挿入して締め付け、外枠足場２を下端部で煙突１に固
定する。その後、作業者１５は、上部足場床７ｂへ乗り
移り、クレーン玉掛けワイヤ６を外枠足場２から煙突１
上端複数個所に付け替える。そして、下部足場床７ａへ
乗り移り、煙突１の上下２本の水平切断線１２の下方に
フック掛け用開口１３を複数個所に切り明けると共にフ
ック掛け用開口１３と下部足場床７ａとの間にターンバ
ックル付きフックロッド１４を各々取り付ける。

【００１８】フック掛け用開口１３は、図９に示すよう
に、下側の水平切断線１２の上縁に接して切り明ける。
ターンバックル付きフックロッド１４は、例えば、図１
０に示すように、水平軸でフック１４ａと下部床７ａ側
に接続し、フック１４ａを開口１３の下縁にフック掛け
して取り付ける。好ましくは、後壁側に繋いだロープ１
４ｂにより、ロッド部１４ｃの姿勢を保つようにする。

【００１９】更に、玉掛けワイヤ６に筒体ブロック１ａ
の重量の、例えば、７０％程度を負荷させた状態で、煙
突１の水平切断線１２に沿って幅切り切断を行う。幅切
り切断は、図９に示すように、上下の水平切断線１２の
開口１３以外の個所を等分に約３０％残して切断し、次
いで、クレーン３、玉掛けワイヤ６により、筒体ブロッ
ク１ａの約７０％の荷重を支持させた状態で全部の切離
し切断を行う。幅切り切断により、煙突１の鋼壁次いで
内側ライニングが切断されると、玉掛けワイヤ６に筒体
ブロック１ａの全重量が掛り、若干の落ち込みを生じる
が、外枠足場２は、複数のフックロッド１４とウェッジ
１１の締め付けにより安定を保つ。このため、外枠足場
２上での作業は、全て足場の揺れのない状態で安全に行
える。

【００２０】引き続き、作業者１５は、ウェッジ１１を
引上げ操作した後、図７に示すように外枠足場２から梯
子１６を経由して退去する。そして、図８に示すよう
に、クレーン３を巻き上げ、筒体ブロック１ａ上に外枠
足場２を乗せた状態で一緒に吊り上げ、図４に示すよう
に地上へ吊降ろす。地上では、玉掛けワイヤ６を筒体ブ
ロック１ａから外枠足場２へ付け替えて、１サイクルの
解体工程を終了し、再び、図５に示すように、外枠足場
２を煙突１上へ繰り返して搭載し、上述した要領で煙突
１の解体を行う。

【００２１】このように本発明の解体方法では、有蓋円
環状の外枠足場２を煙突１の上端に着脱自在に搭載する
ので、煙突１に対する足場の安定を確保することが容易
となり、且つ、著しく改善される。また、足場への乗り
込み、退去及び足場上での煙突解体作業が足場の上下又
は揺動なしに安全に能率良く行える。更に、外枠足場２
下部の煙突壁面への支持を煙突に切り明けた開口１３
と、開口１３縁にフック掛けするターンバックル付きフ
ックロッド１４で行うので、フックロッドの取付けが容
易となり、且つ、取外しは外枠足場２の巻上で自動的に
できるようになり簡易化される。しかも、外枠足場２を
遮蔽すると、風雨に影響されることなく、作業を行え
る。このように、本発明の解体方法は、全体の作業が安
全で容易となり、ロス時間なしに煙突解体が進められ
る。

【００２２】尚、本発明に使用する外枠足場、ターンバ
ックル付きフックロッド、その他の機具は、上述した実
施例に限るものではなく、適宜設計を変更して使用し得
るものである。

【００２３】

【発明の効果】以上、実施例に基づいて具体的に説明し
たように、本発明は、解体すべき自立煙突上に有蓋円環
状の外枠足場をクレーンで搭載して、この外枠足場へ作
業者を乗り込ませ、煙突の水平切断線の下側に円周方向
に複数の開口を切り明け、外枠足場の下部をターンバッ
クル付きフックロッドを介し上記開口にフック掛けして
支持させ、クレーンの玉掛けワイヤを煙突上部へ付け替
え、クレーンにより煙突上部の筒体ブロックの重量を受
けながら、煙突を水平切断線に沿って幅切り切断し、作
業者が退去した後、クレーンにより筒体ブロックと外枠
足場を一緒に吊り上げ地上に吊降ろす工程を繰り返すこ
とにより、煙突上での足場の安定が良くなり、また足場
の固定、開放が簡単に容易に出来るようになった。ま
た、作業の安全性を高め、風雨による影響を防ぎ、時間
的なロスを解消し、作業を容易にする効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の解体方法の一実施例を概略的に示す全
体図である。

【図２】図１中のII部の拡大説明図である。

【図３】図２中のIII部の構成例の拡大説明図である。

【図４】外枠足場と筒体ブロックとを吊降ろす状態を示
す斜視図である。

【図５】本発明の解体方法の作業状況を工程順に示す側
面図である。

【図６】本発明の解体方法の作業状況を工程順に示す側
面図である。

【図７】本発明の解体方法の作業状況を工程順に示す側
面図である。

【図８】本発明の解体方法の作業状況を工程順に示す側
面図である。

【図９】図６中のIX部を拡大して示す説明図である。

【図１０】図９中のＸ−Ｘ線に沿う足場下部の支持状態
を示す側面図である。

【図１１】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【図１２】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【図１３】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【図１４】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【図１５】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【図１６】従来の鋼製自立煙突の解体方法の説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 解体される自立煙突 １ａ 筒体部 ２ 外枠足場 ３ クレーン ６ 玉掛けワイヤ ７ａ，７ｂ 足場床 ８ ガイド ９ ガイドローラ １１ ウェッジ １２ 水平切断線 １３ フック掛け用開口 １４ ターンバックル付きフックロッド １５ 作業者 １６ 梯子

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業者が乗り込む有蓋円環状の外枠足場
   を、煙突上端部にクレーンにより着脱自在に搭載し、上
   記煙突の水平切断線の下側に円周方向に複数個のフック
   掛け用開口を切り明け、前記外枠足場の下部複数個所に
   ターンバックル付きフックロッドを介し上記開口にフッ
   クを掛けて係合させ、クレーンの玉掛けワイヤを前記外
   枠足場から煙突上部へ付け替え、前記玉掛けワイヤを介
   しクレーンにより、煙突切断部重量を受けながら、煙突
   上端部を水平切断線に沿って幅切り切断し、切脱された
   煙突筒体ブロックと共に作業者の退去した外枠足場をク
   レーンにより吊り上げ地上に降ろす工程を繰り返すこと
   を特徴とする鋼製自立煙突の解体方法。