JPH06264196A

JPH06264196A - 電磁波・磁気遮蔽材

Info

Publication number: JPH06264196A
Application number: JP5428193A
Authority: JP
Inventors: Hirofumi Omori; 廣文大森; Masaaki Morita; 正明森田; Shinichi Nakamura; 新一中村
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1993-03-15
Filing date: 1993-03-15
Publication date: 1994-09-20

Abstract

(57)【要約】【目的】比較的安価で、かつ容易に電磁波および磁気
の両方の遮蔽することのできる電磁波・磁気遮蔽材を提
供することを目的とする。【構成】重量％で、Ｆｅ５〜９５％、Ｃｒ０．
１〜２０％、ならびにＡｌ、Ｔｉ、Ｖ、Ｎｂ、Ｚｒ、Ｍ
ｇ、Ｓｉ、Ｍｎ、Ｐから選ばれた１種以上の元素を、Ａ
ｌ０．０１〜０．３％、Ｔｉ０．００１〜３％、Ｖ
０．０１〜１％、Ｎｂ０．０１〜１％、Ｚｒ０．
００１〜１％、Ｍｇ０．０１〜１％、Ｓｉ０．０１
〜１％、Ｍｎ０．０１〜１％、Ｐ０．０１〜１％の
範囲で含み、残部が実質的にＣｕから成る電磁波・磁気
遮蔽材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電磁波・磁気遮蔽容
器、電磁波・磁気遮蔽室や測定室の天井、壁、床材、電
磁波発生機器の筐体、磁気記録媒体の保管容器等に用い
られる電磁波・磁気遮蔽材に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電気・電子機器の急速な普及発展
に伴い、様々な電気・電子機器が産業分野のみならず一
般家庭においても使用されるようになってきている。

【０００３】このため、これらの電気・電子機器が発生
する電磁波や磁気の量も増大する傾向にある。一方、こ
れら電気・電子機器の高性能化により、従来以上に外部
からの電磁波や磁気に対し鋭敏に反応して誤動作を引き
起こすという問題が発生するようになり、これは電磁波
妨害（ＥＭＩ）、無線周波妨害（ＲＦＩ）として大きい
社会問題となってきている。

【０００４】したがって、電磁波や磁気からこれらの電
気・電子機器を守るため、あるいは外部に電磁波や磁気
を放射させないようにするために、これら電気・電子機
器の周囲を遮蔽材で覆ったり、あるいは電磁波や磁気を
遮蔽する部屋の中で使用することが行われるようになっ
てきている。

【０００５】従来知られている電磁波遮蔽用の材料とし
ては、導電性塗料、導電性フィラー入り複合プラスチッ
ク、電界銅箔等が知られているが、これら従来の材料は
磁気遮蔽能力がなく、高価であり、製造工程も複雑であ
るという問題があった。

【０００６】また、磁気遮蔽材料としては、鉄が用いら
れているが、鉄は磁気遮蔽材としては優れているものの
電磁波遮蔽材としては導電率が大き過ぎ、十分な効果が
得られないという問題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の電磁波遮蔽材は、磁気遮蔽能力がなく、高価であり、
製造工程も複雑であり、また磁気遮蔽材は、導電率が低
く、電磁波遮蔽効果が不十分であるという問題があっ
た。

【０００８】本発明は、このような事情に対処してなさ
れたものであり、比較的安価で、かつ容易に電磁波およ
び磁気の両方を遮蔽することのできる電磁波・磁気遮蔽
材を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の電磁波・磁気遮蔽材は、重量％で、Ｆｅ５
〜９５％、Ｃｒ０．１〜２０％、ならびにＡｌ、Ｔ
ｉ、Ｖ、Ｎｂ、Ｚｒ、Ｍｇ、Ｓｉ、Ｍｎ、Ｐから選ばれ
た１種以上の元素を、Ａｌ０．０１〜０．３％、Ｔｉ
０．００１〜３％、Ｖ０．０１〜１％、Ｎｂ０．０
１〜１％、Ｚｒ０．００１〜１％、Ｍｇ０．０１〜１
％、Ｓｉ０．０１〜１％、Ｍｎ０．０１〜１％、Ｐ
０．０１〜１％の範囲で含み、残部が実質的にＣｕか
ら成ることを特徴としている。

【００１０】なお、本明細書中で、以下、単に［％］と
いうときは［重量％］を意味するものとする。

【００１１】本発明の電磁波・磁気遮蔽材の成分中のＦ
ｅは、合金組織中に析出して良好な磁気遮蔽効果を付与
するとともに、強度および硬さを付与する成分であっ
て、５％未満では効果がなく、逆に９５％を越えるとＣ
ｕの含有量が少なくなってＣｕが析出しなくなり、その
結果導電性が不十分となって電磁波遮蔽効果がなくなる
ので好ましくない。

【００１２】また、本発明の電磁波・磁気遮蔽材の成分
中のＣｕは、合金組織中に析出して、導電性を付与する
とともに、耐酸化性を向上させる成分である。

【００１３】本発明の電磁波・磁気遮蔽材は、合金組織
中にＦｅとＣｕがそれぞれ析出して存在することによ
り、電磁波遮蔽効果と磁気遮蔽効果とを発揮するととも
に、適度の強度、硬さ、導電性、耐酸化性を具備してい
る。

【００１４】本発明の電磁波・磁気遮蔽材は、合金組織
中でＦｅの析出相とＣｕの析出相が、それぞれ同種の析
出相と連続して、あるいは非常に接近して存在している
場合に、最も優れた電磁波・磁気遮蔽効果を発揮する。
本発明においてこのような効果を発揮する好ましいＣｕ
とＦｅの比（Ｃｕ／Ｆｅ）は、１／３〜３の範囲であ
る。

【００１５】また、本発明におけるＣｒは、Ｆｅの耐蝕
性を向上させる成分であり、その添加量は０．１〜２０
％の範囲が適当である。０．１％未満では十分な耐食性
が得られず、逆に２０％を越えると熱間加工性を劣化さ
せるおそれがあるので好ましくない。

【００１６】本発明の合金組成におけるＡｌ、Ｔｉ、
Ｖ、Ｎｂ、ＺｒおよびＭｇは、結晶粒を微細化させる効
果があり、電磁波・磁気遮蔽材の強度向上に寄与する。
しかし、これらの成分が多すぎると強度向上の効果が少
ないばかりか、熱間加工性の悪化、導電率の低下を招く
ので、添加量は、それぞれＡｌ０．０１〜０．３％、
Ｔｉ０．００１〜３％、Ｖ０．０１〜１％、Ｎｂ
０．０１〜１％、Ｚｒ０．００１〜１％、Ｍｇ０．０
１〜１％の範囲、好ましくはＡｌ０．０３〜０．１
％、Ｔｉ０．００３〜２％、Ｖ０．０３〜０．０７
％、Ｎｂ０．０１〜０．０７％、Ｚｒ０．００３〜
０．０７％、Ｍｇ０．０１〜０．０７％の範囲とす
る。

【００１７】さらに、本発明の合金組成におけるＳｉ、
ＭｎおよびＰは、原料溶解時の脱酸剤として作用する
他、強度向上、熱間加工性向上等に寄与する。しかし、
これらの成分が多過ぎると電磁波遮蔽能力（導電率）が
低下し、熱間加工性も悪化するので、添加量は、それぞ
れＳｉ０．０１〜１％、Ｍｎ０．０１〜１％、Ｐ
０．０１〜１％の範囲、好ましくはＳｉ０．０３〜
０．７％、Ｍｎ０．０３〜０．７％、Ｐ０．０３〜
０．７％の範囲とする。

【００１８】なお、上記成分中Ｔｉ、Ｖ、Ｎｂ、Ｚｒ、
Ｍｎは、導電性を低下させる作用をするので、その添加
量はこれらの合計量が３％未満、好ましくは１％未満と
なるようにする。

【００１９】また、本発明の合金組成中には、不可避的
成分が微量混在してもよいが、Ｎ，Ｃが多過ぎると透磁
率を低下させるので、Ｎは０．０１％以下、Ｃは０．１
％以下とすることが望ましい。

【００２０】本発明の電磁波・磁気遮蔽材は、次のよう
にして製造される。

【００２１】まず、高純度の銅、鉄、Ｃｒ、およびその
他の添加元素を溶解、鋳造し、必要に応じて鍛造した
後、融点より２００℃程度低い温度で熱間圧延を施し、
必要に応じて４００℃以上、好ましくは６５０℃以上
の、融点より低い温度で焼鈍し、冷間圧延を行い、この
焼鈍と冷間圧延を必要回数繰り返して所望の厚さの板材
とする。

【００２２】このようにして得られた電磁波・磁気遮蔽
材には、必要に応じてメッキが施されて所望の用途に用
いられる。

【００２３】メッキは、Ｆｅ相には付きにくいので、Ｆ
ｅ相を選択的にエッチングしたり、金属表面にＣｕスト
ライクメッキを行う必要がある。一般のメッキは０．１
μｍ以上、ストライクメッキは０．１μｍ以下がよい。
さらに、一般のメッキのメッキ厚は望ましくは、０．３
〜１０μｍとする。メッキの場合エッチングによる表面
の凹凸は問題のない限り残しておいてもよい。これはア
ンカー効果があるためである。

【００２４】Ｆｅ相のエッチングはＨＦ／Ｈ₂Ｏ₂にデ
ィップしたり、ＮａＯＨやＮＨ₄ＯＨ液中で電解研磨す
ることにより行うことができるが、ＨＣｌ処理が最も簡
単である。ＨＣｌ処理の場合、１〜３６規定のものを常
温で使用してもよいが、反応を促進させるため８０℃ま
で熱してもよい。ディツプする時間は１０分以内がよ
い。

【００２５】Ｎｉ、Ｓｎ、Ａｕ、Ａｇ、Ｃｒ、はんだ等
のメッキは通常の電気メッキで行うことができる。ま
た、Ｎｉ−Ｐ、Ｎｉ−Ｂの無電解メッキで表面処理する
ことも可能であり、はんだディップにより表面にはんだ
がけをするのもよい。いずれにしろ表面層のＣｕ濃度が
60％以上あるとメッキが容易である。

【００２６】

【作用】本発明の電磁波・磁気遮蔽材の金属組成は、Ｆ
ｅ相、Ｃｕ相に分離しており、Ｆｅ相が多くなるにした
がい磁気遮蔽能力が大きくなり、逆にＣｕ相が多くなる
にしたがい電磁波遮蔽能力が大きくなる。Ｆｅ相とＣｕ
相のいずれも連続、もしくは同じ相が非常に接近して析
出した状態のときに、十分な磁気遮蔽能力と電磁波遮蔽
能力とを備えた電磁波・磁気遮蔽材が得られる。

【００２７】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。

【００２８】まず、表１のＮｏ．１〜１３に示すような
組成になるような純度９９．９％の銅、純度９９．９％
の鉄、純度９９．９％のＣｒ、およびその他の元素を高
周波溶解し、Ｆｅ−Ｃｕ−Ｃｒ−（Ａｌ，Ｔｉ，Ｖ，Ｎ
ｂ，Ｚｒ，Ｍｇ，Ｓｉ，Ｍｎ，Ｐ）合金製基体インゴッ
トを作成した。これを鍛造した後、９００℃にて１時間
加熱、熱間圧延を施し、２mm厚の金属板を作成した。そ
して、酸化物を除き、冷間圧延により１mm厚の金属板と
した後、８５０℃で熱処理した。さらに、冷間圧延を施
し、３０mm幅、０．２５mm厚の板とした。

【００２９】このようにして得られた電磁波・磁気遮蔽
材について磁気シールド試験をした。１０mmφ＋１０mm
で１５００Ｇの磁石を用い、磁石と遮蔽材の間に０．２
mm厚のプラスチック片をはさみ、遮蔽材の裏側の磁束測
定を行った。

【００３０】その結果を次表に示す。

【００３１】

【表１】なお、各試料とも漏洩磁束は２００Ｇ以下であり、電磁
波遮蔽効果は２５ｄＢであり、電気・電子機器機器の遮
蔽に十分な電磁波遮蔽効果を有することが確かめられ
た。

【００３２】

【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の電磁波・磁気遮蔽材は、電磁波遮蔽効果ととも
に、磁気遮蔽効果を有し、鉄と銅を主成分とするため
に、安価であり、また、複雑な工程を必要としないため
に、容易に製造が可能である。

【００３３】

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】重量％で、Ｆｅ５〜９５％、Ｃｒ
０．１〜２０％、ならびにＡｌ、Ｔｉ、Ｖ、Ｎｂ、Ｚ
ｒ、Ｍｇ、Ｓｉ、Ｍｎ、Ｐから選ばれた１種以上の元素
を、Ａｌ０．０１〜０．３％、Ｔｉ０．００１〜３
％、Ｖ０．０１〜１％、Ｎｂ０．０１〜１％、Ｚｒ
０．００１〜１％、Ｍｇ０．０１〜１％、Ｓｉ
０．０１〜１％、Ｍｎ０．０１〜１％、Ｐ０．０１
〜１％の範囲で含み、残部が実質的にＣｕから成る電磁
波・磁気遮蔽材。