JPH06264157A - アルミニウム合金の鋳造方法及びアルミニウム合金部品 - Google Patents

アルミニウム合金の鋳造方法及びアルミニウム合金部品

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JPH06264157A
JPH06264157A JP7529693A JP7529693A JPH06264157A JP H06264157 A JPH06264157 A JP H06264157A JP 7529693 A JP7529693 A JP 7529693A JP 7529693 A JP7529693 A JP 7529693A JP H06264157 A JPH06264157 A JP H06264157A
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pressure
mold
casting
molten metal
vessel
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Hiroshi Watanabe
洋 渡辺
Yasuo Hama
葆夫 濱
Yoshisada Kobayashi
由定 小林
Shigetaka Morita
茂隆 森田
Norio Minami
紀夫 南
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Beの酸化を抑制し、Mgの損耗を防止して
Be及びMg添加による鋳造品の強度及び伸びを向上
し、複雑形状の薄肉あるいは厚肉鋳物を製造する場合で
あっても非金属介在物の少ない鋳物を得て、しかも、鋳
造サイクルタイムを短縮する。 【構成】 重量比で、Si:4.0〜8.0%、Mg:
0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1%、Fe:
0.2%以下および、Sr:0.002〜0.02%、T
i:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと不純物であ
る組成の溶湯を炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との
間に差圧を発生させる溶湯充填工程が開始される時点の
鋳型側圧力容器内及び炉側圧力容器内の圧力を、容器内
最高圧力よりも低圧に制御する圧力制御手段を設けて、
鋳型内への溶湯充填開始時の容器内圧力を低圧に制御す
るようにして鋳造する。そして、この鋳造方法によりア
ルミニウム合金部品として、例えばアルミニウムホイー
ルを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靱性に優れ且つ高い抗
張力を有し、自動車の足廻りほかの、強度を必要とする
部材に使用されるAl−Si−Mg系の鋳造用アルミニ
ウム合金を鋳造する方法及びその方法によって得られる
アルミホイール等のアルミニウム合金部品に関するもの
であり、特に気密性を有する圧力容器内に溶湯の入った
炉および鋳型をそれぞれ設置し、その圧力容器に大気圧
以上の気体を充填して、鋳型側より炉側の圧力容器内の
圧力を相対的に高めることにより溶湯の型への充填をお
こなうアルミニウム合金の鋳造方法およびその方法によ
って得られるアルミニウム合金部品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の強度部材に使用される鋳造品
には充分な強度を備え、確実な安全性を有することが求
められ、鋳造品の健全性はもちろんのこと靱性特に対衝
撃性、高い伸び、耐力、及び高い抗張力を有する良好な
機械的性質が要求される。
【0003】従来、こうした機械的性質を比較的満足す
るものとして、Al−Si−Mg系の合金にあってはJ
IS−A356合金があり、さらにSb、Ce、Cd等
を添加して、その機械的性質を向上させた合金が使用さ
れている。しかし、近時自動車、特に乗用車等の軽量化
の要求が高まり、従来鉄系の材質を用いていた部材をア
ルミニウム合金により製作する様になってきており、現
在アルミニウム合金には更に高レベルの機械的性質が要
求されており、その様な要求に対してはA356等の公
知合金ですべてに対処することは困難である。
【0004】以上のような課題に対し、特開昭61−6
01619号には、Be≦0.1%、Ti:0.02〜
0.2%、B:0.002〜0.01%含有のアルミニウ
ム合金が示されており、これはTiとBによる結晶粒微
細化効果をねらっているものである。また、特公昭61
−40300号にはBe:0.002〜0.01%、C
a:0.01〜0.07%含有の合金が示されており、こ
れはCaにより良好な金属光沢を備える合金を作成する
ことを目的としたものである。さらに特開昭61−31
0617にはSb≦0.2%、Sr≦0.01%、Mn≦
0.2%、Be:0.05〜0.4%を含有し、強度及び
靱性を改善したアルミニウム合金が開示されている。
【0005】いずれにしてもこれまでのJIS規格A3
56等のAl−Si−Mg系の鋳造用合金では、焼もど
し過程でのMg2 Siの析出により強度は向上するが靱
性及び衝撃特性は著しく低下することが判っている。具
体的にはT6処理後の機械的性質は、JIS4号テスト
ピースで抗張力25kg/mm2、伸び12%、シャルピー衝
撃値3.2kg・m/cm2程度であり、この一例にも示される
ように伸びを出そうとすると抗張力、耐力が低くなり、
また熱処理条件を変えて抗張力、耐力を高くすると伸び
が低下し、強度部材としては充分に満足する機械的性質
を得ることができない。
【0006】かかる問題に着目し、本出願人は先の出願
である特開平2−34739においてAl−Si−Mg
系の鋳造用合金にBe、Sb、Sr、Mn、Tiを添加
して、マトリックスに固溶、または析出させてT6処理
を行うことにより、Feの針状晶の成長を抑制し、共晶
Siの微細化粒状化を行い、切欠効果の軽減による靱
性、耐衝撃性及び強度等の機械的性質を向上した鋳造用
アルミニウム合金を提案した。この鋳造用アルミニウム
合金でSrとTiは結晶組織の微細化を目的として添加
され、BeはFeと化合物を作りFe針状晶の成長を抑
制することから添加されるものである。
【0007】ところで以上の各種アルミニウム合金を鋳
造するにあたっては、溶湯の凝固収縮に起因するピンホ
ールや引け巣(ポロシティ)等の鋳造欠陥が問題とな
り、かかる鋳造欠陥は凝固過程で発生するデンドライト
の樹間で水素ガス気泡として生成し、溶湯の凝固進行と
ともに成長する。
【0008】これらの鋳造欠陥の核となる水素ガス気泡
は液体状態の溶湯に作用する圧力容器内の雰囲気圧力が
溶湯中の水素ガス分圧より低い場合に生成し、液相率の
減少とともに水素ガス分圧は急激に増大する。
【0009】したがって鋳造欠陥の核の形成を防止する
ためには溶湯が凝固する前の段階から溶湯に水素分圧よ
りも高い雰囲気圧力を作用させておくことが有効とな
る。かかる観点から気密性を有する圧力容器に鋳型と炉
を設置して、圧力容器内の圧力を大気圧以上に昇圧して
鋳造する方法が1960年代にブルガリアで発明され、
Counter Pressure Casting(差圧鋳造法)として広く知
られている。
【0010】この差圧鋳造法は図11に圧力制御パター
ンとして示されるように、大気圧から設定圧P1まで、
鋳型側と保持炉側の圧力容器の圧力が同一になるように
加圧され、次ぎに保持炉側の圧力を一定に保ったまま鋳
型側の圧力が減圧される。次いで溶湯がキャビティ内に
充填した時点T2からT3まで鋳型側圧力容器内及び保
持炉側圧力容器内の圧力が一定に保持される。その後、
T3から鋳型側圧力が保持炉側圧力まで増加されT4で
差圧が解消されて溶湯が保持炉に戻される。さらにT4
から排気工程に移り圧力容器内のガスが大気中に放出さ
れT5で1サイクルの鋳造が完了する。
【0011】またかかる差圧鋳造法に関し、特開平1−
186259号および特開平1−278949号には、
差圧を昇圧、保持圧力の0.5〜30%にすることを特
徴とする鋳造方法や圧力容器内の圧力を3〜7kgf/
cm2 に昇圧、保持した後に差圧を保持圧力の3〜30
%にすることを特徴とする鋳造方法、さらに圧力容器内
の圧力を7〜30kgf/cm2 に昇圧、保持した後に
差圧を保持圧力の0.5〜10%にすることを特徴とす
る鋳造方法が開示され、また、特開平2−187247
号には大気圧を基準にして両圧力容器の設定圧力までの
加圧、保持、差圧発生と保持、大気圧までの減圧の圧力
制御を行うことを特徴とする鋳造方法が開示されてい
る。したがって本出願人が先の出願において提案したア
ルミニウム合金を鋳造するに当たっても、鋳造欠陥を低
減して、良好な鋳造品を得ることを目的として以上の差
圧鋳造方法を適用することが検討される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし以上の従来の差
圧鋳造法によって先の本出願人の提案にかかるアルミニ
ウム合金を鋳造する場合には以下の問題があった。例え
ば図11に示される従来の差圧鋳造法の圧力制御パター
ンは、炉側容器及び鋳型側容器を予めP1まで昇圧し、
その後鋳型側をP2まで減圧して差圧を発生させ、その
後両容器を大気圧まで減圧するものであり、その鋳造過
程における両容器内の最高圧はP1となる。言い換えれ
ば、鋳型側容器と炉側容器との間に差圧を発生させ、鋳
型への溶湯充填を開始するT1までに両容器内の圧力は
最高圧力P1まで加圧され、その後に差圧が形成され
て、鋳型への溶湯の充填が行われる。
【0013】しかし、このように鋳型への溶湯充填を開
始するまでに両容器内の圧力を最高圧力まで加圧する場
合には、両容器内を加圧して鋳型内への溶湯の充填を開
始するまでの時間T1が長くなり工業的生産過程で先の
本出願人の提案にかかるアルミニウム合金を鋳造する場
合には生産性を低下する原因となるという問題が生じ
る。
【0014】そこで生産性を向上するために両容器内を
加圧して鋳型内へ溶湯を充填するまでの時間T1を短縮
する場合には、両容器内へ高速で気流を吹き込まなけれ
ばならない。しかし、先の本出願人の提案にかかるアル
ミニウム合金はその成分としてBe及びMgを含むた
め、そのように高速で気流が吹き込まれる場合には炉側
容器内の炉内溶湯が気流により攪拌され、溶湯中のBe
が酸化してBeの酸化物が生じ、かかる酸化物が得られ
る鋳物に非金属介在物として混入することから、製造さ
れる鋳物の特性が悪化するという問題がある。すなわち
Beが酸化消失することによって、Be添加によるFe
針状晶の成長を抑制する効果が失われ、靱性、衝撃特性
等の機械性質は向上しない。またBeの酸化により生じ
る非金属介在物が鋳物製品の外観不良、強度不足を引き
起こし、得られる鋳造品の品質が不安定となるという問
題も生じる。
【0015】さらに以上の従来の差圧鋳造法はいずれに
しても鋳型側減圧方式または炉側増圧方式の一方により
溶湯を鋳型に鋳込む方法であり、加えて型側と炉側の差
圧に着目すると、その差圧は単純な1次曲線を形成して
増加するものであった。しかし、この方法では溶湯が鋳
型内に鋳込まれた後の差圧速度増加がないので不均一な
凝固が進行し保持炉側からの押し湯効果が期待できなく
なり、その結果として鋳造欠陥が残留して、製品の外観
不良、強度不足等の原因となる。
【0016】このような事情は特に本出願人が先に提案
したAl−Si−Mg系の鋳造用アルミニウム合金を用
いて複雑形状の薄肉あるいは厚肉鋳物を製造するときに
顕著となり、かかる場合製品中の鋳造欠陥を完全に排除
することは困難となるという問題があった。
【0017】本発明は以上の従来技術における問題に鑑
みてなされたものであって、Al−Si−Mg−Be系
の鋳造用アルミニウム合金を工業的生産過程で鋳造する
際の鋳造サイクルタイムを短縮して生産性を向上し、同
時にAl−Si−Mg−Be系の鋳造用アルミニウム合
金を用いて複雑形状の薄肉あるいは厚肉鋳物を製造する
場合であっても鋳造条件を安定化して鋳造欠陥特には非
金属介在物の少ない鋳物を得ることができるアルミニウ
ム合金の鋳造方法及びその方法によって得られ、強度部
材に要求される機械的性質を満足させるアルミニウム合
金部品を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は本発明の前
記課題を解決する技術的手段を種々検討した結果、先の
本出願人の提案にかかるAl−Si−Mg−Be系の鋳
造用アルミニウム合金を差圧鋳造によって鋳造する際
に、鋳型への溶湯充填を開始するまでの両容器内の圧力
は低圧とし、溶湯の充填開始後の差圧の増加保持過程で
両容器内を最高圧力まで加圧するようにすれば、鋳造サ
イクルタイムを短縮することができると同時に、溶湯中
のBeの酸化を抑制して、Be添加によるFe針状晶の
成長抑制効果を維持して製品鋳物中に非金属介在物が混
入することを防止でき、またMgの減耗を防止できるこ
とを見出し、さらに本発明者等は以上の場合に、大気圧
より若干大なる圧力を炉側圧力容器内に常時印加し、そ
れにより給湯管内の溶湯表面を給湯管と鋳型との接続部
より僅かに下方に位置するようにすれば、鋳造サイクル
タイムの短縮や製品鋳物中への非金属介在物の混入防止
をより効果的に図ることができることを見出し、本発明
を創出するに至った。
【0019】すなわち本発明のアルミニウム合金の鋳造
方法は、内部に鋳型を設けた鋳型側圧力容器と内部に溶
湯の入った炉を設けた保持炉側圧力容器を溶湯通路を設
けて連通し、 両容器内最高圧力より低圧状態で保持炉側圧力を鋳
型側圧力より高めることにより溶湯を鋳型へ充填する
「溶湯充填工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とを増圧す
る「容器内増圧工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との両圧力
容器内の差圧を所定圧力に保持する「差圧保持工程」
と、 両圧力容器の差圧を解消する「差圧解消工程」と、 両圧力容器を所定気圧まで減圧する「減圧工程」
と、 からなる連続工程を行い、重量比で、Si:4.0〜8.
0%、Mg:0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1
%、Fe:0.2%以下および、Sr:0.002〜0.
02%、Ti:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと
不純物である組成の溶湯を鋳造することを特徴とする。
【0020】以上のアルミニウム合金の鋳造方法におい
て、前記保持炉側圧力容器内に大気圧より若干大なる圧
力を常時印加し、それにより溶湯表面を前記溶湯通路と
鋳型との接続部より僅かに下方に位置せしめる様にする
のが好ましい。その場合炉側圧力容器内に常時印加され
る圧力は、溶湯の性状、装置の特性その他に基づき
随時変更することができ、図12に示される落差zすな
わち、給湯管5内の溶湯表面と炉3内の残存溶湯表面と
の落差に応じて炉側圧力容器2内の溶湯に印加すべき圧
力が決定され、かかる圧力を鋳造作業の進行と共に逐次
累進して増加させることによって、給湯管5内の溶湯の
自由表面の高さを一定に保つことができる。
【0021】以上の本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法において、容器内最高圧力は溶湯の組成、製品鋳物の
用途、製品鋳物の形状等の諸条件により設定され、1サ
イクルの鋳造過程における炉側容器および/または鋳型
側容器内の絶対圧の大気圧を基準とした最高値として規
定される。
【0022】かかる鋳型への溶湯の充填開始時の容器内
圧力は好ましくは容器内最高圧力の50%以下にするの
が良く、さらに好ましくは容器内最高圧力の10〜30
%にするのが良い。容器内最高圧力の50%を超える場
合には鋳造サイクルタイムを短縮するために容器内に吹
き込む気流の速度を高くする必要が生じその結果として
気流による溶湯の攪拌・酸化により溶湯中のBeやMg
の酸化の傾向が強くなり製品鋳物の特性が悪化する。ま
た容器内最高圧力の10%未満では、鋳物内部の鋳造欠
陥を完全に無くすことができない。一方、容器内最高圧
力の30%を超える場合には、やはり溶湯中のBeの酸
化の傾向が生じ、また鋳物内部に介在物を巻き込む場合
があり、強度が低下する場合が生じる。
【0023】溶湯充填工程は、鋳型側圧力容器内を降圧
する方法、あるいは炉側圧力容器内を昇圧する方法など
あるが、いずれの場合においても溶湯充填工程は、第1
段階溶湯充填工程とこの第1段階溶湯充填工程よりも差
圧増加の程度の大きい第2段階溶湯充填工程とよりなる
様にする。このようにすることにより、溶湯の凝固の進
行に伴いより高い差圧が必要となることに対応してより
高い差圧を印加することができるだけでなく、第1段溶
湯充填工程から第2段溶湯充填工程への差圧変化点にお
ける衝撃により、押湯が有効に働き、欠陥のない健全な
鋳物ができる。同時に凝固核の発生を促し、より一層組
織を緻密化することができる。次いで、炉側圧力容器内
と鋳型側圧力容器内を所定の差圧を保ちつつ、各々を一
定圧まで昇圧する増圧工程と、さらに鋳物の凝固がほぼ
終了する時間までの差圧保持工程へと進める。このよう
に両容器の差圧を所定圧に保持し、鋳型側圧力容器内も
大気圧以上の圧力を付加することにより、得られる鋳物
の特性の向上、特に結晶粒を微細化して靱性を大きくす
ることができるという利点がある。
【0024】以上の本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法によれば、例えば自動車用アルミニウムホイールでは
その薄肉部分については鋳造後極めて良好な特性を得る
ことができる。しかし、厚肉部分や複雑形状の薄肉部分
については鋳造欠陥の集中が生じる場合がある。かかる
鋳造欠陥の集中が生じたアルミニウムホイールに実際に
自動車タイヤ等を装着した場合には、かかる鋳造欠陥か
らの空気漏れが発生し、したがって製品検査においてか
かる欠陥品を取り除く必要があり、その結果として歩留
や製造効率が悪化し生産性が悪化するという問題が生じ
る。
【0025】そこで本発明者らはかかる点に関してさら
に研究を進め、鋳造欠陥の集中が生じるのは、鋳造当初
において保持炉側容器内圧力と鋳型側容器内圧力とに高
い加圧力を印加することに起因することを見出し、かか
る知見に基づいて厚肉部分や複雑形状の薄肉部分におけ
る鋳造欠陥の集中を防止するための対策に成功した。す
なわち、本発明のアルミニウム合金の鋳造方法では、容
器内圧力を低めにして溶湯充填を行い、その後容器内の
圧力を徐々に高めることにした。以上のようにすること
によって本発明のアルミニウム合金の鋳造方法によれば
複雑形状の特に厚肉鋳物を製造する場合にも鋳造欠陥の
局部的な集中の無い鋳物を得ることができる。
【0026】さらに本発明のアルミニウム合金部品は、
内部に鋳型を設けた鋳型側圧力容器と内部に溶湯の入っ
た炉を設けた保持炉側圧力容器を溶湯通路を設けて連通
し、 両容器内最高圧力より低圧状態で保持炉側圧力を鋳
型側圧力より高めることにより溶湯を鋳型へ充填する
「溶湯充填工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とを増圧す
る「容器内増圧工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との両圧力
容器内の差圧を所定圧力に保持する「差圧保持工程」
と、 両圧力容器の差圧を解消する「差圧解消工程」と、 両圧力容器を所定気圧まで減圧する「減圧工程」
と、 からなる連続工程で、重量比で、Si:4.0〜8.0
%、Mg:0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1
%、Fe:0.2%以下および、Sr:0.002〜0.
02%、Ti:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと
不純物である組成の溶湯を鋳造して得られることを特徴
とする。そして、このアルミニウム合金部品として、ア
ルミニウムホイールが得られる。
【0027】以上の本発明のアルミニウム合金部品の各
成分範囲の限定理由は以下の通りである。Siは鋳造性
を良好にするために4.0%以上添加するが、8.0%を
越えると強度、伸びを著しく劣化させるので4.0〜8.
0%とした。
【0028】Mgは強度の向上に有効であるが、0.2
%以下であるとその効果が少なく、0.8%以上になる
とBe、Sr添加による効果以上に、伸びの低下が顕著
となるので0.2〜0.8%に限定した。
【0029】Beは靱性を低下させるFeの針状晶の成
長を抑制するために添加する。例えば厚肉鋳造品では鋳
造時の凝固速度が遅くなるのでFeの針状晶が粗大化す
る傾向が生じ、その場合にはBe含有量を多くしてFe
針状晶を微細化する必要が生じる。
【0030】一方、薄肉鋳造品では鋳造時の凝固速度が
速いのでFeの針状晶は微細になる傾向にある。しかし
その場合でもさらに微細化して靱性を改善するには微量
のBeを添加することが有効となる。従って、厚肉鋳造
製品及び薄肉鋳造品の双方に対応できるように、Beの
添加範囲は0.003〜0.1%とした。
【0031】Srは単独添加によっても、SbとSrの
同時添加と同程度の効果、つまり結晶Siの微細化によ
る靱性改善効果があるので添加される。Srは少なすぎ
ると、共晶Siの微細化効果がなく、また多すぎるとA
lSr化合物の析出により靱性が低下し、さらにはSr
添加時にガスが溶湯中に吸収され、ガス欠陥等の発生原
因になるので、0.002〜0.02%の範囲とした。ま
た、Feは不純物であり少量でも化合物をつくり強度低
下の原因となるために最大0.2%とした。
【0032】本発明合金を鋳造後、適切な条件でT6処
理を行うと、抗張力30kg/mm2以上、伸び15%以上、
シャルピー衝撃値3.5kg/cm2以上の機械的性質が付与
でき、従来の公知合金に比較して高強度、高靱性の強度
部材が可能となる。
【0033】第1表は本発明に適用される材料とJIS
規格356及びA356合金の成分を比較した表であ
る。
【0034】
【表1】 化学組成(重量%) Si Mg Be Sr Mn Ti Cu Fe Al 本発明材 4.0 0.2 0.003 0.002 〜 〜 〜 〜 8.0 0.8 0.1 0.02 ≦0.1 ≦0.2 ≦0.2 ≦0.2 残部 比較材 356 6.5 0.2 - - 〜 〜 7.5 0.4 ≦0.3 ≦0.2 ≦0.2 ≦0.5 残部 A356 6.5 0.2 - - 〜 〜 7.5 0.4 ≦0.1 ≦0.2 ≦0.2 ≦0.2 残部
【0035】次に以上に説明した本発明のアルミニウム
合金の鋳造方法について図面に基づきさらに具体的に説
明する。図1は本発明の方法による鋳型側圧力容器内お
よび炉側圧力容器内の圧力制御パターンの一例を示し、
図2は図1の圧力制御パターンにより生じる鋳型側圧力
容器内と炉側圧力容器内との差圧パターンを示す。図1
において、実線は炉側圧力容器内の圧力パターンを、点
線は鋳型側圧力容器内の圧力パターンを示す。この例で
は両容器は鋳造開始からT1後にP1まで加圧され、次
に保持炉側の圧力を一定に保ったまま鋳型側の圧力がP
2まで減圧され、それにより溶湯の鋳型内への充填が行
われる。
【0036】次に溶湯のキャビティ内への充填を確認し
た時点をT2として、T2から鋳型側圧力容器内の圧力
をP2として一定に保持すると同時に、保持炉側圧力を
徐々にP3まで高めることにより、差圧が増大せしめら
れ、押湯効果を大きくすることにより、凝固中に発生す
る結晶周囲に溶湯を補給し得られる鋳物の欠陥発生が防
止される。
【0037】次いで保持炉側圧力を所定の圧力P3まで
昇圧した後、T3〜T4間は両容器内を一定圧に保持
し、もって両容器内の差圧を一定に保持する。さらにT
4経過後に保持炉側圧力P3を鋳型側圧力P2と同等と
なるまで降下してT5時点で差圧を解消して溶湯を保持
炉に戻すと共に、T5後から排気工程に移り圧力容器内
のガスを大気中に放出し大気圧P0に戻して1サイクル
の鋳造を完了する。
【0038】以上の圧力制御パターンでは図1に示され
るように、注湯開始までの両容器内の圧力はP1であ
り、これは炉側容器内の最大圧力P3よりも低い圧力と
される。このように注湯開始までの両容器内の圧力を炉
側容器内の最大圧力よりも低圧にすることにより、鋳造
サイクルタイムを短縮すると共に炉側容器内の昇圧過程
における炉内溶湯の酸化を防止して、良好な鋳物を得る
ことができる。
【0039】また以上の圧力制御パターンでは図2に示
されるように差圧増加速度(ΔP/ΔT)はT1〜T2
間よりもT2〜T3間が大きく設定される。また以上の
過程において1サイクル運転の開始から完了まで、常時
圧力容器内の圧力と差圧は監視され、測定された差圧や
圧力が設定値を超えて大きくなったときには排気弁を開
放して容器内からの排気を行うために、測定値は常時圧
力制御装置にフィードバックされ、容器内圧力は常に圧
力設定値に維持される。
【0040】図3は本発明の方法による鋳型側圧力容器
内および炉側圧力容器内の圧力制御パターンの他の例を
示す。この例では両容器は鋳造開始からT1後にP1ま
で加圧され、次に保持炉側の圧力を一定に保ったまま鋳
型側の圧力が減圧され、それにより溶湯の鋳型内への充
填が行われる。すなわち保持炉内の溶湯は給湯管内を上
昇し鋳型内に鋳込まれ、鋳型に流入した溶湯は鋳型への
放熱により冷却され、湯口から離れた位置から凝固を開
始し、凝固部分は時間とともに湯口に向かって進行す
る。
【0041】次に溶湯のキャビティ内への充填を確認し
た時点をT2として、T2からT3にかけてさらに急速
に鋳型側圧力容器内の圧力が減圧され、次いで鋳型側圧
力を所定の圧力まで減圧した後、T3〜T4間は両容器
内を同時に同じ速度で昇圧し、もって両容器内の差圧を
一定に保持する。次ぎにT4経過時点で両容器内を一定
圧に保持してその差圧も一定圧に保持する。さらにT5
経過後に保持炉側圧力を鋳型側圧力と同等となるまで降
下してT6時点で差圧を解消して溶湯を保持炉に戻し、
T7後から排気工程に移り圧力容器内のガスを大気中に
放出し大気圧に戻して1サイクルの鋳造を完了する。
【0042】以上の圧力制御パターンにおいて、注湯開
始までの両容器内の圧力はP1であり、これは炉側容器
内の最大圧力Pf−max(P5)の30%程度の大き
さに該当する。このように注湯開始までの両容器内の圧
力を炉側容器内の最大圧力の30%にすることにより、
鋳造サイクルタイムを短縮すると共に炉側容器内の昇圧
過程における炉内溶湯の酸化を防止して、良好な鋳物を
得ることができる。かかる鋳造圧力制御パターンはAl
−Si−Mg−Be系組成の溶湯を用いてアルミニウム
ホイールを鋳造する場合に適する。
【0043】図4は本発明の方法による鋳型側圧力容器
内および炉側圧力容器内の圧力制御パターンの一例を示
す。この例では保持炉側圧力容器には常時大気圧以上の
所定の圧力が印加され、それによって溶湯の自由表面は
常時給湯管の鋳型湯口近傍に位置する様にされる。鋳造
にあたっては保持炉側圧力容器は鋳型側が昇圧されると
同時に鋳型側と同一の昇圧速度で昇圧されて鋳造開始か
らT1後にP1まで加圧され、次に保持炉側の圧力を一
定に保ったまま鋳型側の圧力が減圧される。それにより
溶湯は鋳型内に流入し、鋳型に流入した溶湯は鋳型への
放熱により冷却され、凝固が進行する。
【0044】次に溶湯のキャビティ内への充填を確認し
た時点をT2として、T2からT3にかけてさらに急速
に鋳型側圧力容器内の圧力が減圧され、次いで鋳型側圧
力を所定の圧力まで減圧した後、T3〜T4間は両圧力
容器内を同時に同じ速度で昇圧し、もって両圧力容器内
の差圧を一定に保持する。次ぎにT4経過時点で両圧力
容器内を一定圧に保持してその差圧も一定圧に保持す
る。さらにT5経過後に保持炉側圧力を鋳型側圧力より
も例えば0.15kgf/cm2高圧となる圧力まで降下
して0.15kgf/cm2の差圧を形成して溶湯自由表
面が給湯管中の鋳型湯口近傍に位置するように溶湯を戻
し、T6後から減圧工程に移り保持炉側圧力は前記大気
圧以上の所定の圧力まで減圧し、鋳型側圧力容器内は大
気圧にする。
【0045】以上の圧力制御パターンでは注湯開始まで
の保持炉側圧力容器内の圧力はP1であり、これは保持
炉側圧力容器内の最大圧力Pf−max(P5)の15
〜40%、特には27%程度の大きさに該当する。かか
る鋳造圧力制御パターンはアルミニウムホイールを鋳造
する場合に適する。
【0046】図5は本発明の方法による鋳型側圧力容器
内および保持炉側圧力容器内の圧力制御パターンの他の
例を示す。この例では常時大気圧以上の所定の圧力が印
加される保持炉側圧力容器は、T1の時点で加圧が開始
されてP1まで加圧され、それにより給湯管の鋳型湯口
近傍位置に自由表面が位置する溶湯は鋳型内に流入し、
鋳型に流入した溶湯は鋳型への放熱により冷却され、湯
口から最も離れた位置から凝固を開始し、凝固部分は時
間とともに湯口に向かって進行する。その状態すなわち
保持炉側圧力がP1に達し、溶湯のキャビティ内への充
填を確認した時点T2で保持炉側の圧力を一定に保ち溶
湯に対する一定圧の加圧をT3まで保持する。
【0047】次いでT3〜T4間は保持炉側圧力容器及
び鋳型側圧力容器の両圧力容器内を同時に同じ速度で昇
圧し、もって両圧力容器内間に一定の差圧が生じるよう
に保持する。次ぎにT4経過時点で両圧力容器内を一定
圧に保持してその差圧も一定圧に保持する。さらにT5
経過後に保持炉側圧力を鋳型側圧力よりも所定に高圧と
なる圧力まで降下して所定の差圧を形成した状態で溶湯
自由表面が給湯管中の鋳型湯口近傍に位置するように溶
湯を戻し、T6後から減圧工程に移り保持炉側圧力は前
記大気圧以上の所定の圧力まで減圧し、鋳型側圧力容器
内は大気圧にする。
【0048】以上の図5に示す方法によれば鋳型への注
湯後の保持炉側容器内と鋳型側容器内の昇圧は鋳造する
鋳物製品における局部的に鋳造欠陥が集中し易い部分が
凝固した後に行われるので、そのような部分、例えば薄
肉部分が凝固した後に昇圧することによってその薄肉部
分に鋳造欠陥が集中するようなことを防止することがで
き、欠陥の無い健全な鋳物を得ることができる。
【0049】以上の図4、図5に示す圧力制御パターン
によるアルミニウム合金の鋳造方法では、何れも、減圧
工程では炉側圧力容器内の圧力は大気圧まで下降させ
ず、溶湯の自由表面が給湯管内の鋳型湯口に近い位置に
留まるように、炉側圧力容器内には常時大気圧より若干
大なる圧力が印加され、その状態で1サイクルの鋳造を
完了する。
【0050】以上の図4、図5に示す圧力制御パターン
によるアルミニウム合金の鋳造方法では、何れも、鋳造
サイクルタイムTpは鋳造時間Taと鋳造品取出時間T
bとの和として決定される。鋳造時間Taは炉側容器内
が常時大気圧以上に保持されるため、図11に示す従来
の鋳造時間Tcよりも短く、その結果この図7〜図12
に示す圧力制御パターンによる本発明のアルミニウム合
金の鋳造方法によれば鋳造サイクルタイムTpは図11
に示す従来の鋳造サイクルタイムTmよりも短縮される
こととなる。
【0051】
【作用】次に以上の本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法による鋳造過程における作用を説明する。まず鋳型側
と炉側圧力容器内を連通し両圧力容器内を所定の圧力に
昇圧することにより溶湯中の水素ガスの核生成を制御
し、次に各々の圧力容器の連通弁を閉じて分離し、鋳型
側圧力容器の圧力を保持炉側圧力よりも相対的に徐々に
低くすることにより両圧力容器間に差圧を発生させると
共にその差圧を徐々に増加し、その差圧に起因する吸引
力により鋳型内に溶湯を供給する。このように鋳型側に
発生する吸引力により鋳型内に注湯するようにすること
により、溶湯の鋳型内への湯周りが著しく改善される。
また保持炉側圧力容器の内圧を相対的に高めることによ
り、高い押し湯効果を得ることができ、凝固時の鋳造欠
陥の発生を防止し健全な鋳物を得ることができる。
【0052】以上において、保持炉側容器及び鋳型側容
器の両圧力容器内に鋳造過程で必要となる絶対圧力は鋳
型内への溶湯充填後の過程において増加させることと
し、鋳型内への溶湯充填開始時の容器内圧力は容器内最
高圧力との関係において低圧に設定するようにすれば、
鋳型への溶湯の充填開始時までの容器内加圧時間を短縮
して鋳造サイクルタイムを短縮することができると共に
鋳型内への溶湯充填開始に至るまでに保持炉側圧力容器
内に吹き込む気流の速度及びガス量を小さくすることが
でき、保持炉側圧力容器内に吹き込まれる気流による炉
内溶湯の攪拌・酸化、特に溶湯中のBe及びMgの酸化
消失による悪影響を防止し、Be添加の効果を充分に得
ることができる。
【0053】その後鋳型内に充満した溶湯は鋳型近傍か
ら凝固を開始し、鋳型近傍に外郭が形成される。そのよ
うに外郭が一端形成されると溶湯への吸引力の作用は低
下し、溶湯の鋳型内への湯周りが悪化する。そこで、鋳
型内への注湯完了と同時に鋳型側圧力容器の圧力をさら
に高速で減圧するようにすれば、鋳型側容器内の圧力と
保持炉側圧力との間の差圧増加速度が大きくなることに
より、溶湯への吸引力の作用を維持し、溶湯の鋳型内へ
の湯周りを完全にする。
【0054】同様に鋳型内に溶湯が充満した後保持炉側
圧力容器の内圧を相対的に高めるようにすれば、高い押
し湯効果を得ることができ、凝固時の鋳造欠陥の発生を
防止し健全な鋳物を得ることができる。さらに以上にお
いて鋳型キャビティ内の溶湯が凝固した後も炉側圧力容
器内の圧力を大気圧まで下降させず、大気圧より若干大
なる加圧に保持するようにすれば、溶湯の自由表面は給
湯管内の鋳型湯口に近い位置に留まる。その結果溶湯が
保持炉内と鋳型との間を往復することによる時間のロス
を無くすことができ、本発明の鋳造方法における鋳造時
間は従来方法の鋳造時間よりも短縮され、大幅な鋳造サ
イクルの短縮が可能となる。
【0055】加えて溶湯が給湯管内を長距離に渡って上
下しない結果として、鋳型から保持炉に溶湯を戻すこと
による保持炉内溶湯の攪拌はなくなり、また炉内溶湯表
面の高さが変化することによる鋳造条件の変化も生じな
くなる。
【0056】また、本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法によれば鋳型内に溶湯充填後、保持炉側圧力容器内圧
力を所定時間所定圧に保持して高い押し湯効果を得るこ
とができ、特に厚肉部分の凝固時の鋳造欠陥の発生を防
止して健全な鋳物を得ることができる。
【0057】その場合所定圧として一定範囲の低圧を選
択することによっても同様にすることができ、鋳型への
注湯後、保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内の昇圧
を鋳造する鋳物製品における鋳造欠陥が集中し易い部分
が凝固した後に行われる様にすることにより、例えば複
雑形状の薄肉部分に特に鋳造欠陥が集中するようなこと
はなくなり、健全な鋳物を得ることができる。
【0058】
【実施例】次に本発明のアルミニウム合金の鋳造方法に
用いられる差圧鋳造装置を図面に基づき説明する。図6
は本発明方法に用いられる差圧鋳造装置を示し、鋳型側
圧力容器1内には鋳型4が設置され保持炉側圧力容器2
内には保持炉3が設置される。保持炉3内の溶湯は圧力
容器1及び2の間の差圧により、保持炉3と連通する給
湯管5を介して鋳型4に鋳込まれる。鋳型4には鋳物の
表面温度を測定するために複数の熱電対6が設置され、
かかる熱電対6による測定値は圧力制御装置7に入力さ
れる。この鋳型4内に設置される熱電対6の数及び位置
は目的とする鋳物の種類、すなわちその形状や大きさに
より決定される。通常は湯口を含む鋳型の垂直断面にお
いて、湯口と鋳物の湯口からの最遠端までの距離に応じ
て一定間隔にて熱電対6が配置される。
【0059】鋳型4側及び保持炉3側にはそれぞれ加圧
手段8,9が設けられる。前記加圧手段8、9に対して
は圧力制御装置7から制御信号が出力され、この加圧手
段8,9を介して加圧ガス源10からの加圧ガスが鋳型
側圧力容器1及び保持炉側圧力容器2に供給され、鋳型
側圧力容器1及び保持炉側圧力容器2の圧力は各々独立
に制御される。
【0060】一方、排気手段11,12も圧力制御装置
7からの信号により個別に若しくは連動して開閉動作
し、各容器内からのガスの排出を行う。
【0061】以上において、前記圧力制御装置7には予
め以下の〜をそれぞれ個別に又は一部若しくは全部
を組み合わせて同時に実行するプログラムが設定されて
いる。 鋳型への注湯が開始される時点の鋳型側圧力容器内
及び炉側圧力容器内の圧力を両圧力容器内の絶対圧の最
大値の50%以下とする。 鋳型4内への注湯完了と同時に鋳型側圧力容器1内
及び保持炉側圧力容器2内の間の差圧をさらに高速で増
加する。 大気圧より若干大なる圧力を炉側圧力容器内に常時
印加可能とする。 保持炉側圧力容器2内と鋳型側圧力容器1内との間
に差圧を発生させる溶湯充填工程を開始する前に、鋳型
側圧力容器1を大気圧に保って保持炉側圧力容器2のみ
加圧して鋳型に溶湯を充填する。
【0062】以下に本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法を図6に示す差圧鋳造装置を用いて実施した実施例を
比較例と対比して説明する。なお、以下の各実施例では
1サイクルの鋳造の開始から完了までにわたって、常時
圧力容器内の圧力と差圧を監視し、差圧や圧力が設定値
を超えて大きくなったときには前記排気手段11.12
を開放して排気すると共に、測定値を前記圧力制御装置
7にフィードバックし、圧力設定値を維持した。
【0063】実施例1 前記図1及び図2に示す圧力制御パターンにより表2に
示す組成のアルミニウム合金を6kgf/cm2 まで加
圧して図7のアルミニウムホイールを鋳造した。
【0064】
【表2】 鋳造条件 溶湯組成 加圧パターン Si Fe Be Sr Mg Ti Al 注湯時/最大時 実施例 1 7.0 0.12 0.01 0.01 0.32 0.15 残部 80% 2 7.0 0.12 0.05 0.01 0.31 0.15 残部 30% 3 7.0 0.12 0.04 0.01 0.32 0.15 残部 27%比較例 1 7.0 0.12 - 0.01 0.32 0.15 残部 80% 2 7.0 0.12 - 0.01 0.31 0.15 残部 30%
【0065】鋳造にあたっては、大気圧から設定圧まで
加圧する工程では、前記圧力制御装置7に予め設定した
プログラムに従って加圧手段8,9に電気信号を与え、
鋳型側と保持炉側の圧力容器の圧力が常に同一になるよ
うに加圧した。次ぎに溶湯を鋳型内に鋳込む工程では、
鋳造開始からT1後に5kgf/cm2 までの加圧を完
了し、加圧手段8,9により保持炉3側の圧力を一定に
保ったまま鋳型4側の圧力をゆっくりと減圧した。次い
で鋳型キャビティ上部に設置した熱電対6により溶湯の
キャビティ内の充填を確認した時点をT2とし、T2か
らT3にかけて鋳型側圧力容器内の圧力を一定に保持す
ると同時に、保持炉側圧力を徐々に高め、保持炉側圧力
を所定の圧力まで昇圧した後、T4後に保持炉側圧力を
鋳型側圧力と同等となるまで降下してT5時点で差圧を
解消して溶湯を保持炉に戻し、T5後から排気工程に移
り両圧力容器内のガスを大気中に放出し大気圧に戻して
1サイクルの鋳造を完了した。以上により得られたアル
ミニウムホイールの各種特性を評価した結果を表3に示
す。
【0066】
【表3】 鋳造品特性(T4またはT6処理後) 引張強さ 耐力 伸び 硬さ 鋳造品 (MPa) (MPa) (%) (HB)実施例 1 300 250 15 80 アルミニウムホイール 2 300 250 18 80 アルミニウムホイール 3 300 250 18 80 アルミニウムホイール 比較例 1 300 230 12 80 アルミニウムホイール 2 300 250 15 80 アルミニウムホイール
【0067】実施例2 前記図3に示す圧力制御パターンにより表2に示す組成
の溶湯を用いてP1をP5の30%(1.8kgf/c
2)としてアルミニウムホイールを6kgf/cm2
まで加圧して鋳造した。以上により得られた鋳物の各種
特性を評価した結果を表3に示す。
【0068】実施例3 前記図4に示す圧力制御パターンによりP1をP4の2
7%に設定して表2に示す組成のアルミニウム合金溶湯
でアルミニウムホイールを6kgf/cm2 まで加圧し
て鋳造した。鋳造にあたっては、T5経過した時点で保
持炉側圧力を鋳型側圧力よりも0.15kgf/cm2
圧となる圧力まで降下して0.15kgf/cm2 の差
圧を形成して溶湯自由表面が給湯管中の鋳型湯口近傍に
位置するように溶湯を戻し、T6後から減圧工程に移り
両圧力容器内のガスを大気中に放出した。その際炉側圧
力容器内の圧力は大気圧まで下降させず、大気圧より若
干大なる圧力0.15kgf/cm2に常時保持した。以
上により得られた鋳物の各種特性を評価した結果を表3
に示す。
【0069】比較例1 表2の比較例1のBeを含まないAC4CH材を用い、
実施例1と同様な圧力制御パターンによりアルミニウム
ホイールを製造した。得られた各種特性を評価した結果
を表3に示す。
【0070】比較例2 表2の比較例1のBeを含まないAC4CH材を用い、
実施例2と同様な圧力制御パターンによりアルミニウム
ホイールを製造した。得られた各種特性を評価した結果
を表3に示す。
【0071】表3に示されるように、本発明の各実施例
のアルミニウムホイールは、比較例のアルミニウムホイ
ールに対して何れも優れた特性を示し、特に伸びにおい
て際だって良好な特性を有することがわかる。
【0072】実施例4 図5に示す圧力制御パターンにより図6に示す差圧鋳造
装置を用いて図7に示すアルミニウムホイールを6kg
f/cm2まで加圧して鋳造した。鋳造に用いた溶湯は
前記実施例1に用いた溶湯と同一組成とした。鋳造にあ
たっては、前記圧力制御装置7に予め設定したプログラ
ムに従って加圧手段8,9に電気信号が与えられ、鋳型
側と保持炉側の圧力容器の差圧が常に一定になり、炉内
溶湯の自由表面が給湯管5内の鋳型湯口近傍に常時位置
するように加圧した。
【0073】また図7に示すアルミニウム鋳物製品の位
置S1、S3、S4、D1、D3に対応する鋳型4の各
位置に熱電対6を配置し、その測定温度が前記圧力制御
装置7に入力されるようにし、そのS1、S3、S4、
D1、D3の各位置に配置された熱電対からの測定温度
情報に基づき、圧力制御装置7に予め設定されたプログ
ラムに従って加圧手段8,9に電気信号が与えられ、鋳
型側と保持炉側の圧力容器内の圧力が設定される様にし
た。
【0074】さらに詳細には、図8に示されるように溶
湯を鋳型内に鋳込む工程では、鋳型側容器1内を大気圧
に保ち、保持炉側容器2内のみを加圧手段9によりP1
(1.5kgf/cm2 )まで加圧し、次いで鋳型キャ
ビティの各位置S1、S3、S4、D1、D3に設置し
た熱電対6により溶湯のキャビティ内への充填を確認し
た時点T2からT3にかけて保持炉側容器2内の圧力を
一定に保った。次ぎに図に示されるように鋳型キャビテ
ィの位置S3に配置された熱電対6の測定温度が下降を
開始するT3から保持炉側圧力容器2内及び鋳型側圧力
容器1内の昇圧を同時に開始し、その昇圧の過程で保持
炉側圧力容器2内及び鋳型側圧力容器1内間に1.5k
gf/cm2の差圧が存在する状態を保持した。
【0075】次いでT4の時点で保持炉側圧力容器2内
及び鋳型側圧力容器1内の昇圧を同時に停止し、両容器
内を一定圧に保持して、さらに所定時間保持炉側圧力容
器2内及び鋳型側圧力容器1内間に1.5kgf/cm2
の差圧が存在する状態を保持した。その後T5経過後に
保持炉側圧力を鋳型側圧力よりも0.15kgf/cm
2 高圧となる圧力まで降下して0.15kgf/cm2
の差圧を形成して溶湯自由表面が給湯管中の鋳型湯口近
傍に位置するように溶湯を戻し、T6後から排気工程に
移り両圧力容器内のガスを大気中に放出した。その際保
持炉側圧力容器2内の圧力は大気圧まで下降させず、大
気圧より若干大なる圧力0.15kgf/cm2 に常時
保持した。得られたアルミニウムホイールの、薄肉部分
断面写真を図9に示す。
【0076】比較例4 図3に示す圧力制御パターンにより他は実施例4と同様
にして鋳物を製造した。得られたアルミニウム鋳物製品
の薄肉部分断面写真を図10に示す。図10に示される
ように比較例の断面写真では鋳造欠陥の集中が認められ
るのに対し、図9に示す実施例の断面写真ではそのよう
な鋳造欠陥の集中は認められず、比較例の鋳物よりもよ
り健全であることがわかる。
【0077】以上の本発明の実施例4のアルミニウム合
金の鋳造方法によれば、圧力制御手段が、溶湯の鋳型へ
の充填後に保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とを
同時に増圧する増圧工程を開始する前に、前記鋳型側圧
力容器内を所定時間低圧または所定圧に保持するべく設
定されることにより、鋳造当初に凝固が完了する薄肉部
への鋳造欠陥の集中のない健全な鋳物を得ることができ
る。また鋳型への注湯後薄肉部分の凝固後には保持炉側
と鋳型側に差圧が形成されるので、特に厚肉部分では鋳
造欠陥の少ない健全な鋳物を得ることができる。
【0078】したがってこの実施例4のアルミニウム合
金の鋳造方法によれば、複雑形状の薄肉あるいは厚肉鋳
物を製造する場合であっても鋳造欠陥特には非金属介在
物が少なく、鋳造欠陥が部分的に集中することのない鋳
物を得ることができる。
【0079】
【発明の効果】以上のように本発明のアルミニウム合金
の鋳造方法によれば、重量比で、Si:4.0〜8.0
%、Mg:0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1
%、Fe:0.2%以下および、Sr:0.002〜0.
02%、Ti:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと
不純物である組成の溶湯を炉側圧力容器内と鋳型側圧力
容器内との間に差圧を発生させる溶湯充填工程が開始さ
れる時点の鋳型側圧力容器内及び炉側圧力容器内の圧力
を、容器内最高圧力よりも低圧に制御する圧力制御手段
を設けて、鋳型内への溶湯充填開始時の容器内圧力を低
圧に制御するようにして鋳造する様にしたことにより、
以下の効果が奏される。
【0080】 鋳造サイクルタイムを短縮して生産性
を向上することができる。 Beの酸化を抑制し、Mgの損耗を防止してBe及
びMg添加による鋳造品の強度及び伸びの向上という効
果を損なうこと無く、鋳造欠陥特には非金属介在物の少
ない鋳物を得ることができる。 複雑形状の薄肉あるいは厚肉鋳物を製造する場合で
あっても鋳造欠陥特には非金属介在物の少ない鋳物を得
ることができる。
【0081】また本発明のアルミニウム合金の鋳造方法
によれば、炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とに差圧
を発生させる溶湯充填工程の差圧増加速度が変化せしめ
られるようにしたことにより、複雑形状の薄肉あるいは
厚肉鋳物を製造する場合でも鋳造欠陥の少ない鋳物を得
ることができるという優れた効果が奏される。
【0082】さらに本発明のアルミニウム合金の鋳造方
法によれば、炉側圧力容器内に常時大気圧以上の圧力を
印加し、給湯管内の溶湯表面を鋳型との接続部付近に位
置させるよう制御する圧力制御手段を設けて差圧鋳造を
行うようにしたことにより、次のような優れた効果が奏
される。
【0083】(1) 溶湯表面と鋳型との距離が短縮さ
れることから、鋳造サイクルを大幅に短縮することがで
き生産性を向上させることができる。 (2) 溶湯表面と鋳型との距離が常に一定であるため
鋳造条件が常に均一であり鋳造品の品質が向上し、品質
にバラツキがなくなる。 (3) 炉側圧力容器内の圧力開放後も給湯管内の溶湯
が鋳型との接続部近傍に留まることから溶湯が逆流する
ことによる炉内の溶湯攪乱が発生せず、溶湯中へのガ
ス、酸化物等の巻込がない。 (4) 鋳型キャビティ内への鋳込速度を低速化するこ
とができ、鋳込み時の乱流発生による鋳造欠陥を防止で
きる。 (5) 鋳型の湯口近傍が常に溶湯によって加熱される
ため加圧力の開放時における所謂湯切れが良好となる。
【0084】さらに本発明のアルミニウム合金部品によ
れば、重量比で、Si:4.0〜8.0%、Mg:0.2
〜0.8%、Be:0.003〜0.1%、Fe:0.2%
以下および、Sr:0.002〜0.02%、Ti:≦
0.2%の成分を有し、残部がAlと不純物である組成
の溶湯を炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との間に差
圧を発生させる溶湯充填工程が開始される時点の鋳型側
圧力容器内及び炉側圧力容器内の圧力を、容器内最高圧
力よりも低圧に制御する圧力制御手段を設けて、鋳型内
への溶湯充填開始時の容器内圧力を低圧に制御するよう
にして鋳造して得られるので適切なるT6処理を行うこ
とにより、高靱性、高強度となり、具体的には機械的性
質は抗張力30kg/mm2以上、%耐力25kg/mm2以上、伸
び15%以上、シャルピー衝撃値3.5kg・m/cm2以上
という特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法の保持炉
側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧力制御パタ
ーンの一例を示す図である。
【図2】図1に示す圧力制御パターンにより生じる差圧
パターンを示す図である。
【図3】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法の保持炉
側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧力制御パタ
ーンの他の例を示す図である。
【図4】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法の保持炉
側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧力制御パタ
ーンの別例を示す図である。
【図5】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法の保持炉
側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧力制御パタ
ーンのまた他の例を示す図である。
【図6】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法に用いら
れる差圧鋳造装置を示す説明図である。
【図7】本発明のアルミニウム合金の鋳造方法を実施し
て製造されるアルミニウムホイールを示す斜視図であ
る。
【図8】本発明の一実施例のアルミニウム合金の鋳造方
法の保持炉側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧
力パターンを鋳型内溶湯の温度変化との関係において示
す図である。
【図9】本発明の実施例により得られたアルミニウムホ
イールの切断面金属組織写真(倍率100倍)である。
【図10】本発明の実施例に対する比較例のアルミニウ
ム合金の鋳造方法により得られたアルミニウムホイール
の切断面金属組織写真(倍率100倍)である。
【図11】従来のアルミニウム合金の鋳造方法の保持炉
側圧力容器内部及び鋳型側圧力容器内部の圧力制御パタ
ーンの例を示す図である。
【図12】従来の加圧鋳造装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1:鋳型側圧力容器、2:炉側圧力容器、3:保持炉、
4:鋳型、5:給湯管、 6:熱電対、
7:圧力制御装置、8:加圧手段、9:加圧手段、
10:加圧ガス源、11:排気手段、 12:排気
手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 茂隆 栃木県真岡市鬼怒ケ岡11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 (72)発明者 南 紀夫 栃木県真岡市鬼怒ケ岡11番地 日立金属株 式会社素材研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に鋳型を設けた鋳型側圧力容器と内
    部に溶湯の入った炉を設けた保持炉側圧力容器を溶湯通
    路を設けて連通し、 両容器内最高圧力より低圧状態で保持炉側圧力を鋳
    型側圧力より高めることにより溶湯を鋳型へ充填する
    「溶湯充填工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とを増圧す
    る「容器内増圧工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との両圧力
    容器内の差圧を所定圧力に保持する「差圧保持工程」
    と、 両圧力容器の差圧を解消する「差圧解消工程」と、 両圧力容器を所定気圧まで減圧する「減圧工程」
    と、 からなる連続工程を行い、重量比で、Si:4.0〜8.
    0%、Mg:0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1
    %、Fe:0.2%以下および、Sr:0.002〜0.
    02%、Ti:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと
    不純物である組成の溶湯を鋳造することを特徴とするア
    ルミニウム合金の鋳造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載したアルミニウム合金の
    鋳造方法において、前記保持炉側圧力容器内に大気圧よ
    り若干大なる圧力を常時印加し、それにより溶湯表面を
    前記溶湯通路と鋳型との接続部より僅かに下方に位置せ
    しめることを特徴とするアルミニウム合金の鋳造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載したアルミ
    ニウム合金の鋳造方法において、前記溶湯充填工程が、
    前記保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との両圧力
    容器内間に差圧を発生・増加させる第1段階差圧増加工
    程とこの第1段階差圧増加工程よりも差圧増加の程度の
    大きい第2段階差圧増加工程とよりなることを特徴とす
    るアルミニウム合金の鋳造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記
    載したアルミニウム合金の鋳造方法において、前記溶湯
    充填工程が開始される時点の鋳型側圧力容器内及び炉側
    圧力容器内の圧力が容器内最高圧力の50%以下に設定
    されることを特徴とするアルミニウム合金の鋳造方法。
  5. 【請求項5】 内部に鋳型を設けた鋳型側圧力容器と内
    部に溶湯の入った炉を設けた保持炉側圧力容器を溶湯通
    路を設けて連通し、 両容器内最高圧力より低圧状態で保持炉側圧力を鋳
    型側圧力より高めることにより溶湯を鋳型へ充填する
    「溶湯充填工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内とを増圧す
    る「容器内増圧工程」と、 保持炉側圧力容器内と鋳型側圧力容器内との両圧力
    容器内の差圧を所定圧力に保持する「差圧保持工程」
    と、 両圧力容器の差圧を解消する「差圧解消工程」と、 両圧力容器を所定気圧まで減圧する「減圧工程」
    と、 からなる連続工程で、重量比で、Si:4.0〜8.0
    %、Mg:0.2〜0.8%、Be:0.003〜0.1
    %、Fe:0.2%以下および、Sr:0.002〜0.
    02%、Ti:≦0.2%の成分を有し、残部がAlと
    不純物である組成の溶湯を鋳造して得られるアルミニウ
    ム合金部品。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のアルミニウム合金部品
    が、アルミニウムホイールであることを特徴とするアル
    ミニウム合金部品。
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