JP2009274092A - ハイス系鋳鉄鋳物の製造方法 - Google Patents

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浩光 柴田
Kenji Ichino
健次 市野
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光晴 滝田
Kimihito Shirasaki
公人 白崎
Hiroyuki Nomura
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

【課題】凝固組織が微細で、かつ鋳造歩留りの低下が少なく、鋳造品の欠陥発生が抑制された、ハイス系鋳鉄鋳物の製造方法を提供する。
【解決手段】ハイス系鋳鉄の溶湯1を、非酸化性雰囲気とした傾斜冷却板2上に流し、半凝固状態の溶湯として鋳型3に注入し、ハイス系鋳鉄鋳物を得る。非酸化性雰囲気としては、Arガスあるいは窒素ガスからなる雰囲気とすることが好ましい。また、傾斜冷却板出側の溶湯を、溶湯温度:(オーステナイト相の晶出温度)未満または(MC型炭化物の晶出温度)未満で、かつ固相率:30%以下の状態の半凝固状態の溶湯とすることが好ましい。これにより、傾斜冷却板上での凝固発生も抑制でき、凝固組織が微細で、かつ鋳造欠陥の発生もない、健全で、耐摩耗性に優れたハイス系鋳鉄鋳物を容易に製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐摩耗性に優れた鋳鉄鋳物の製造方法に係り、とくに多量の硬質な炭化物を含有するハイス系鋳鉄鋳物の鋳造性欠陥の低減および生産性の向上に関する。
従来から、耐摩耗性を要求される部材には、高マンガン鋳鋼や高クロム鋳鉄が使用されてきた。高マンガン鋳鋼は、通常、C:1.0〜1.4%、Mn:10〜14%を含み、水靭処理により、炭化物を固溶し完全オーステナイト組織とされて使用される。そのため、高マンガン鋳鋼は、優れた靭性を示すとともに、さらに繰返し打撃等により加工硬化を生じ表面硬度が上昇するため、優れた耐摩耗性を示す。しかし、高マンガン鋳鋼は、引張強さにくらべて降伏強さが低く変形しやすく、また、水靭処理を必須としているため変形が生じやすく、また加工硬化深度が浅いという問題もあった。
また、高クロム鋳鉄は、通常例えば、C:2〜3%、Cr:15〜35%程度含む鋳鉄であり、Cr含有量が高いことに起因して優れた耐食性、耐熱性および耐摩耗性を示す。しかし、高クロム鋳鉄は、靭性が低いうえ、とくに砂型を利用し冷却速度が低下する方法で製造される鋳物では、初晶として晶出するオーステナイト(γ)粒が粗大化し、その結果凝固末期に初晶粒の粒界に生成される共晶炭化物が粗大化するため、硬さや靭性、耐摩耗性も低下するという問題があった。
また、V,Mo,W,Nb等を含むハイス系鋳鉄は、硬質な炭化物を多量に含有し耐摩耗性に優れているが、その反面、加工性に乏しいことが知られている。そのため、ハイス系鋳鉄は、ニアネット形状とすることが可能な鋳物として主として製品化されている。このようなハイス系鋳鉄の製品としては、例えば、優れた耐摩耗性が要求される熱間圧延用ロールの外層材がある。そのほかには、耐摩耗性が要求されるライナー、金型等の構造用部材への適用が考えられる。しかし、ハイス系鋳鉄は硬質で粗大な炭化物を多量に含有している場合が多く靭性が低いため、構造部材への適用は限定された範囲に留まっているのが現状である。
このような問題に対し、例えば特許文献1には、C:1.5〜5.5%を含み、さらにMo:2〜12%、V:3.0〜20.0%等をCr:4.0〜20%と共に含有する組成の鋳鉄の溶湯を、傾斜冷却板等を利用し、鋳型注入温度を、初晶MC炭化物が晶出し溶湯の見掛け粘度が適正範囲に増加するような、特定の温度範囲となるように調整して、好ましくは金型(鋳型)に鋳込む耐摩耗性鋳鉄品の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術によれば、硬質なMC型炭化物を微細に分散させることができ、引け巣、ポロシティ等の鋳造欠陥が減少し、耐摩耗性、さらには靭性が向上した鋳鉄品が得られるとしている。
また、特許文献2には、普通鋳鉄の溶湯を傾斜冷却板に流して半凝固状態まで冷却し金型内に鋳込み、直後に加圧しながら凝固させ、ついで熱処理する鋳鉄の鋳造方法が記載されている。特許文献2に記載された技術では、亜共晶組成の普通鋳鉄ではあるが、引張強度に優れるうえ、延性にも優れる鋳鉄品とすることができるとしている。
特開2007−30037号公報 特開2006−122971号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術で、傾斜冷却板を利用してハイス系鋳鉄の溶湯を冷却すると、溶湯の流動性が低下し、一部が冷却板上で凝固して鋳造歩留りが低下したり、また凝固まで至らないまでも、鋳造品に不連続凝固組織やザク巣等の鋳造性欠陥を発生させ、製品歩留りが低下するという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みて成されたものであり、凝固組織中のMC型炭化物や共晶炭化物を微細化し、かつ鋳造歩留りの低下が少なく、鋳造品の欠陥発生が抑制された、ハイス系鋳鉄鋳物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、傾斜冷却板におけるハイス系鋳鉄溶湯の流動性に及ぼす各種要因について、鋭意研究した。その結果、ハイス系鋳鉄溶湯の流動性の低下は、傾斜冷却板での溶湯の酸化に起因することを見出した。ハイス系鋳鉄溶湯は、比較的高温でMC型炭化物を晶出させるため、溶湯の粘性は比較的高い傾向であるうえ、傾斜冷却板上を流れる際に空気との接触面積が多くなり、見た目には分からないものの多量の酸化物が形成され、それらが傾斜冷却板上の剪断流により溶湯内に巻き込まれて、溶湯の粘性がさらに増加し、溶湯の流動性が著しく低下し、その結果、傾斜冷却板上で湯流れが停止したり、鋳型内での凝固収縮時にザク巣欠陥を生成するに至ることを知見した。
このような知見に基づき、ハイス系鋳鉄溶湯の流動性を更に向上させるための方策について更なる研究を行い、ハイス系鋳鉄溶湯の流動性向上のためには、傾斜冷却板上雰囲気を非酸化性雰囲気とすることがよいことに思い至った。
本発明はかかる知見に基づき、更なる検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)ハイス系鋳鉄の溶湯を、傾斜冷却板上に流して半凝固状態の溶湯とし、該半凝固状態の溶湯を鋳型に注入するハイス系鋳鉄鋳物の製造方法であって、前記傾斜冷却板上の雰囲気を非酸化性雰囲気とすることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
(2)(1)において、前記非酸化性雰囲気が、Arガスあるいは窒素ガスからなる雰囲気であることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
(3)(1)または(2)において、前記半凝固状態の溶湯が、溶湯温度:(オーステナイト相の晶出温度)未満または(MC型炭化物の晶出温度)未満で、かつ固相率:30%以下の溶湯であることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記鋳型が、砂型であることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記ハイス系鋳鉄の組成が、質量%で、C:1.5〜5.5%、Si:1.5%以下、Mn:1.2%以下、Cr:4.0〜20%、Mo:2〜12%、V:3.0〜20%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
(6)(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:5.5%以下、Cu:2.0%以下、W:1.0%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、Co:10.0%以下、および/または、Nb:2.0%以下、および/または、Ti:2.0%以下、Zr:2.0%以下、B:0.1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、を含有する組成とすることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
本発明によれば、凝固組織を微細にでき、かつ傾斜冷却板上での凝固発生も抑制でき、また鋳造欠陥の発生もなく、鋳造歩留り、製品歩留りの低下が抑制され、かつ健全な、耐摩耗性に優れたハイス系鋳鉄鋳物を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
本発明のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法では、好ましくは図1に示す鋳造装置を用い、取鍋等の溶湯容器4に保持したハイス系鋳鉄溶湯1を、傾斜冷却板2上に流して半凝固状態の溶湯とし、該半凝固状態の溶湯を鋳型3に注入し、鋳物(製品)5とする。なお、傾斜冷却板2は、水冷等の強制冷却可能な装置とすることが望ましく、溶湯の強制冷却を行うこととする。溶湯1は、傾斜冷却板2上を流れることにより、冷却され半凝固状態の溶湯となる。
傾斜冷却板2上に供給される溶湯の温度は、オーステナイト相が晶出する温度(γ晶出温度:TA)の50℃以上に調整されることが望ましい。溶湯の注湯温度が、(γ晶出温度+50℃)未満では、傾斜冷却板2上での凝固核の遊離が阻害され、傾斜冷却板2上で凝固が進行し地金が堆積し、鋳造歩留りが低下する。なお、初晶としてMC炭化物が晶出する場合には注湯温度はMC炭化物晶出温度(TMC)以上とすることが好ましいが、MC型炭化物よりも共晶炭化物をより微細化させた場合には、TMC以下としてもよい。
本発明では、傾斜冷却板2上の雰囲気を非酸化性雰囲気とする。これにより、傾斜冷却板2上で溶湯の酸化が防止され、傾斜冷却板2上での、溶湯中への酸化物の混入が防止され、したがって溶湯の流動性の低下を防止できる。
なお、傾斜冷却板上の雰囲気を制御可能なように、傾斜冷却板2には、図1に示すような、傾斜冷却板2上を覆う、耐熱性シール装置21を備えることが好ましい。この耐熱性シール装置21には、ガス導入口21aが配設されることが好ましい。また、このシール装置21には、可能な限り所望の雰囲気を維持するために、シール補助蓋21bを有することが好ましい。
傾斜冷却板2上の雰囲気を非酸化性雰囲気とするためには、耐熱性シール装置21のガス導入口21aから、好ましくはArガス等の不活性ガス、あるいはN2ガス等の非酸化性ガスを混合したガスを導入する。これにより、溶湯の酸化が防止され、溶湯の流動性低下を防止できる。
傾斜冷却板上に供給された溶湯は、冷却され半凝固状態とされる。
半凝固状態の溶湯は、傾斜冷却板の出側で、溶湯温度がオーステナイト相の晶出温度(TA)未満またはMC型炭化物の晶出温度未満(TMC)で、かつ固相率:30%以下の状態とされることが好ましい。鋳型注入前の半凝固状態の溶湯温度が、TA以上、またはTMC以上と高くなると、微細な凝固組織を確保することができなくなる。また、半凝固状態の溶湯の温度が低下しすぎ、固相率が30%超えとなると、傾斜冷却板上の固相率が増加しすぎて、溶湯の流動性が低下し、鋳造歩留りが低下する。
なお、傾斜冷却板2の傾斜角度および長さは、傾斜冷却板の出側で、溶湯温度:オーステナイト相の晶出温度(TA)未満またはMC型炭化物の晶出温度(TMC)未満で、かつ固相率:30%以下の状態の溶湯として湯流れが確保できるように、適宜調整するものとする。
上記した半凝固状態の溶湯を、鋳型3に注入し、ハイス系鋳鉄鋳物5とする。鋳型は、金型、砂型のいずれも好適であるが、本発明では鋳型として砂型を採用しても、微細な鋳造組織を有するハイス系鋳鉄鋳物を容易に、しかも鋳造欠陥の発生を防止し、高い鋳造歩留りで、かつ低い欠陥発生率で製造することができる。なお、鋳型への注入に際しては酸化を防止するために、不活性ガスを導入する不活性ガス導入管3aを配設し、不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
次に、本発明で使用するハイス系鋳鉄溶湯の好ましい組成およびその限定理由について説明する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
本発明で使用するハイス系鋳鉄溶湯は、C:1.5〜5.5%、Si:1.5%以下、Mn:1.2%以下、Cr:4.0〜20%、Mo:2〜12%、V:3.0〜20%を含有し、あるいはさらに、Ni:5.5%以下、Cu:2.0%以下、W:1.0%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、Co:10.0%以下、および/または、Nb:2.0%以下、および/または、Ti:2.0%以下、Zr:2.0%以下、B:0.1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とすることが好ましい。
C:1.5〜5.5%
Cは、耐摩耗性を向上させる硬質な炭化物を形成するための必須元素であり、本発明では1.5%以上の含有を必要とする。一方、5.5%を超える多量の含有は靭性を劣化させる。このため、Cは1.5〜5.5%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.5%超4.5%以下、より好ましくは2.0〜3.5%である。
Si:1.5%以下
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋳造性を向上させる元素であり、0.1%以上含有することが望ましいが、1.5%を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できないため、経済的に不利となる。このため、Siは1.5%以下に限定した。なお、好ましくは0.2〜0.5%である。
Mn:1.2%以下
Mnは、Siと同様の作用を有する元素であり、0.1%以上含有することが望ましいが、1.2%を超えて含有しても効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できないため、経済的に不利となる。このため、Mnは1.2%以下に限定した。なお、好ましくは0.2〜0.5%である。
Cr:4.0〜20%
Crは、共晶炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させるとともに、基地中に固溶して基地組織を強化し、さらに耐食性を向上させる重要な元素である。このような効果は4.0%以上の含有で顕著となるが、20%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Crは4.0〜20%の範囲に限定した。なお、好ましくは6〜15%である。
Mo:2〜12%
Moは、Crと同様に,炭化物を形成して耐摩耗性の向上に有効に作用するとともに、炭化物中に固溶して炭化物を強化する作用を有する元素であり、本発明では2%以上の含有を必要とする。一方、12%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Moは2〜12%の範囲に限定した。なお、好ましくは3〜7%である。
V:3.0〜20%
Vは、硬質なMC型炭化物を形成し、耐摩耗性の向上に寄与する元素であり、このような効果は3.0%以上の含有で顕著となる。一方、20%を超えて含有しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Vは3.0〜20%の範囲に限定した。なお、好ましくは4〜15%である。
本発明では、上記した組成を溶湯の基本組成とすることが好ましいが、必要に応じて、この基本組成に加えて、さらに、Ni:5.5%以下、Cu:2.0%以下、W:1.0%以下、Co:10.0%以下、Nb:2.0%以下、Ti:2.0%以下、Zr:2.0%以下、B:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することができる。
Ni、Cu、Wは、いずれも基地組織を強化する作用を有する元素であり、必要に応じ1種または2種以上を選択して含有できる。
Niは、焼入れ性の向上を介して基地組織の強化に寄与する元素であり、このような効果は0.5%以上の含有で顕著となる。一方、5.5%を超える含有は残留オーステナイト(γ)量が増加するなど不安定な組織が形成されやすくなる。このため、Niは5.5%以下に限定することが好ましい。
Coは、高温における組織を安定化させる作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。このようなCoの効果は0.1%以上の含有で顕著となるが、10.0%を超えて含有しても効果が飽和し,含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Coは10.0%以下に限定することが好ましい。
Nbは、Vと同様に,硬質なMC型炭化物を形成し,耐摩耗性を向上する作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。このようなNbの効果は、0.2%以上の含有で顕著となる。一方、2.0%を超える含有は、炭化物が粗大化する傾向が強くなり、所望の耐摩耗性向上が得られなくなる恐れがある。このため、Nbは2.0%以下に限定することが好ましい。
Ti、Zr、Bはともに、粗大な共晶炭化物の形成を抑制し、耐摩耗性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じ1種または2種以上を選択して含有できる。このような効果は、Ti:0.01%以上、Zr:0.01%以上、B:0.01%以上の含有で顕著となる。一方、Ti:2.0%、Zr:2.0%を超える含有は、介在物が増加し材質を脆くするため、かえって耐摩耗性を低下させる。また、B:0.1%を超える含有は粒界への偏析が顕著になり靭性が低下する。このため、Ti:2.0%以下、Zr:2.0%以下、B:0.1%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
上記した成分以外の溶湯の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、P:0.05%以下、S:0.03%以下が許容できる。
表1に示す組成のハイス系鋳鉄の溶湯を電気炉で溶製し、表2に示す注湯温度としたのち、図1に示す鋳造装置の傾斜冷却板2上に供給し、表2に示す、半凝固状態の溶湯に冷却したのち、砂型に注入しハイス系鋳鉄鋳物(重量:0.9kg)とした。使用した傾斜冷却板2は、樋状とし、固着防止剤として表面にBNを塗布した。ここで、使用した傾斜冷却板は、内部が水冷されたもので、長さ:0.5m、傾斜角度:10°に設定した。
溶湯を傾斜冷却板上に流す際に、傾斜冷却板上の雰囲気を、Ar流量:10 l/minとしたArガス雰囲気(シールあり)とし、本発明例とした。また、大気雰囲気(シールなし)を比較例とした。Arガス雰囲気(シールあり)とした場合の、傾斜冷却板上の雰囲気(シール装置内)中の酸素濃度は、1vol%未満となっていることを確認した。
得られた鋳物について、鋳物重量を測定し、鋳造歩留り(%)を、次式
鋳造歩留り(%)=(鋳物重量)/(溶解重量)×100(%)
を用いて、算出した。
また、得られた鋳物の押し湯部5bを除く製品相当部5aについて、断面観察により鋳造欠陥を測定し、0.5mmφ以上のザク巣を含む場合を欠陥不良品と断定し、次式
発生率(%)=(欠陥不良品の個数)/(全鋳物数)×100(%)
を用いて、欠陥不良品の発生率を算出した。
得られた結果を、表2に併記した。
Figure 2009274092
Figure 2009274092
本発明例は、比較例に比べて大幅に鋳造歩留りが向上し、欠陥不良品の発生率が大幅に低下していることがわかる。
本発明で好適に使用できる鋳造装置の概略を示す説明図である。
符号の説明
1 溶湯(ハイス系鋳鉄溶湯)
2 傾斜冷却板
21 耐熱性シールド装置
21a ガス導入口
21b シール蓋
3 鋳型
3a 不活性ガス導入管
4 溶湯保持容器
5 鋳物(ハイス系鋳鉄鋳物)
5a 製品相当部
5b 押し湯部

Claims (6)

  1. ハイス系鋳鉄の溶湯を、傾斜冷却板上に流して半凝固状態の溶湯とし、該半凝固状態の溶湯を鋳型に注入するハイス系鋳鉄鋳物の製造方法であって、前記傾斜冷却板上の雰囲気を非酸化性雰囲気とすることを特徴とするハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
  2. 前記非酸化性雰囲気が、Arガスあるいは窒素ガスからなる雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
  3. 前記半凝固状態の溶湯が、溶湯温度:(オーステナイト相の晶出温度)未満または(MC型炭化物の晶出温度)未満で、かつ固相率:30%以下の溶湯であることを特徴とする請求項1または2に記載のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
  4. 前記鋳型が、砂型であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
  5. 前記ハイス系鋳鉄の組成が、質量%で、C:1.5〜5.5%、Si:1.5%以下、Mn:1.2%以下、Cr:4.0〜20%、Mo:2〜12%、V:3.0〜20%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ni:5.5%以下、Cu:2.0%以下、W:1.0%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、および/または、Co:10.0%以下、および/または、Nb:2.0%以下、および/または、Ti:2.0%以下、Zr:2.0%以下、B:0.1%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上、を含有する組成とすることを特徴とする請求項5に記載のハイス系鋳鉄鋳物の製造方法。
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