JPH06263580A - 半導体結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

半導体結晶の製造方法及び製造装置

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JPH06263580A
JPH06263580A JP5053758A JP5375893A JPH06263580A JP H06263580 A JPH06263580 A JP H06263580A JP 5053758 A JP5053758 A JP 5053758A JP 5375893 A JP5375893 A JP 5375893A JP H06263580 A JPH06263580 A JP H06263580A
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直人 茂木
Joshi Nishio
譲司 西尾
Hiromoto Fujita
宏元 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶媒移動法又はヒ−ト移動法により、化合物
半導体のバルク単結晶を製造することを目的とする。 【構成】 種結晶、溶媒層、結晶原料が装填された容器
内空間に、成長中、溶媒層の平衡蒸気圧より高いArな
どの不活性ガス圧力が加わるようにし、溶媒層により分
割された種結晶側空間のガス圧力と結晶原料側空間のガ
ス圧力とが等しくなるようにする。 【効果】 加熱時の溶媒層に発生する気泡の発生が抑制
され、溶媒移動法又はヒ−ト移動法により、化合物半導
体のバルク単結晶が成長できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体結晶の製造方法
及び製造装置に係り、特に溶液成長法による半導体結晶
の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体のバルク結晶を成長させる方法と
して、溶媒に溶解した溶質を析出させ結晶成長を行なう
溶液成長法が知られている。この溶液成長法には、ヒー
タ移動法と溶媒移動法とがある。
【0003】ヒータ移動法(THM:Travelli
ng Heater Method)は、結晶原料、こ
の結晶原料を溶解する溶媒、及び種結晶となる結晶を直
線状に配列し、溶媒を局所的に加熱する一方、この加熱
部分をゆっくりと結晶原料方向に移動させ、結晶原料を
順次溶媒に溶解させ、溶媒から種結晶上に順次結晶を析
出、成長させて行く結晶製造方法である。
【0004】溶媒移動法(TSM:Travellin
g Solvent Method)は、結晶原料、こ
の結晶原料を溶解する溶媒、及び種結晶となる結晶を直
線状に配列し、結晶原料側がより高温となり、種結晶側
がより低温となり、溶媒層部分で急峻な温度勾配になる
ような加熱を行なう一方、急峻な温度分布の位置をゆっ
くりと結晶原料方向に移動させ、結晶原料を順次溶媒に
溶解させ、溶媒から種結晶上に順次結晶を析出、成長さ
せて行く結晶製造方法である。
【0005】これらヒータ移動法及び溶媒移動法は、融
液成長法のように結晶原料を融点まで加熱し溶融させた
状態から固化させる過程を用いず、加熱温度は結晶原料
の融点以下とし、結晶原料の融点より低い融点を有する
物質を溶媒として用い、この溶媒の高温部の側に結晶原
料を溶解させ、溶媒の低温部の側から結晶を析出させ
る、溶解・析出過程によって結晶を育成する点で、融液
成長方とは基本的に異なる。
【0006】このような特徴により、ヒータ移動法及び
溶媒移動法は、融点が高く加熱が容易でない高融点材
料、加熱すると溶融せず昇華してしまう材料、及び平衡
蒸気圧が高く、揮発し易い元素を含む原料からでも、結
晶を容易に製造できるという利点を有する。
【0007】多成分からなる結晶の成長は、殆どの場
合、熱力学的に平衡な液相と固相の組成が一致する、い
わゆる、コングルエントメルトが存在しない成長とな
る。このような非コングルエントメルトからの成長の場
合には、結晶が析出するとメルト組成が変化し、引き続
き成長する結晶の組成が変化するという問題が生じる。
ヒータ移動法及び溶媒移動法は、溶媒に溶解した溶質を
析出させ結晶成長を行なう溶液成長法の一つであり、非
コングルエントメルトから成長を行う方法であるにもか
かわらず、未溶解の固体原料が成長中に常に存在し、成
長が進むにつれ原料結晶の溶解が進む方式であるため、
成長の進行に合わせ成長条件を変化させなくても、原料
結晶の組成に一致する結晶が自動的に成長するという機
構を備えている。従って、ヒータ移動法及び溶媒移動法
は、多成分の結晶、例えば固溶体の結晶に特に適した成
長法であると言える。
【0008】二元系の化合物半導体結晶、すなわち、II
I −V族化合物半導体や、II−VI族化合物半導体では、
同族化合物の間で広い範囲で固溶体が形成されることが
知られている。この固溶体は一般に混晶と呼ばれてい
る。これら混晶結晶の格子定数や禁制帯幅は、それぞ
れ、元の二元系結晶の格子定数や禁制帯幅のおおよそ平
均したものになるという性質を備えており、この性質を
使って、適当な基板結晶上に格子定数がほぼ同じで、禁
制帯幅が異なるいくつかの混晶半導体薄膜結晶を積層し
てヘテロ接合が製作されている。
【0009】このヘテロ接合から得られる効果を利用し
て、半導体レーザや発光ダイオード、フォトダイオード
などの種々の光半導体装置や、超高速で動作するバイポ
ーラトランジスタや電界効果トランジスタなどの種々の
半導体装置、半導体センサなどが製作されてきた。しか
し、これらのヘテロ接合を形成する混晶半導体結晶は、
薄膜結晶としては成長させることが出来ても、基板結晶
として用いることが出来る程度に大口径で長尺なバルク
結晶は、成長することが出来なかった。
【0010】半導体装置製造のための基板結晶として用
いられ、工業的に生産されてきたバルク単結晶は、S
i,Geのような元素半導体と、GaAs,InAs,
GaP,InPなどの二元の化合物半導体である。これ
らは、いづれもチョクラルスキー法やブリッジマン法に
代表される融液成長法によって製造されてきた。いづれ
も結晶原料の溶融液に種結晶を浸し、結晶を育成する方
法である。しかしながら、これら確立された技術という
べき融液成長法では、元素半導体や、二元の化合物半導
体のバルク単結晶は製造できても、二元化合物の固溶体
である三元以上の化合物半導体のバルク単結晶は、これ
まで製造することが出来なかった。
【0011】このように融液成長法により三元以上の化
合物半導体のバルク単結晶が製造出来ないのは、コング
ルエントメルトからの成長で済んできた二元化合物半導
体成長技術を、そのまま非コングルエントメルトからの
成長状態しかとれない三元以上の化合物半導体の結晶成
長に適用しても、問題が生じるためである。これは、成
長による融液組成の変化と成長結晶の組成変化から生じ
る種々の問題に対し、有効な手段を講じることが出来な
いことが大きな理由と考えられる。
【0012】これに対し、ヒータ移動法及び溶媒移動法
は、組成制御が自動的に実現される成長方法であり、三
元以上の化合物半導体の成長に適した成長法である。し
かし、それにもかかわらず、これまで、ヒータ移動法及
び溶媒移動法によっても、大きなバルク単結晶を成長さ
せることが出来なかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
までヒータ移動法及び溶媒移動法では混晶半導体のバル
ク単結晶の製造が出来なかった問題を解決し、ヒータ移
動法及び溶媒移動法による、混晶半導体のバルク単結晶
の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体結晶の製
造方法は、容器内に種結晶、溶媒層、及び結晶原料を直
線状に配置収容してなる成長用試料を、結晶原料が高温
側、種結晶が低温側、溶媒層が温度遷移領域に位置する
ように加熱を行うか、又は溶媒層に対し局所的な加熱を
行なう工程、及び前記温度遷移領域又は局所加熱位置を
結晶原料側に順次移動させ、結晶を成長せしめる工程を
具備する半導体結晶の製造方法であって、前記結晶成長
を、種結晶の周囲の容器内空間および原料結晶の周囲の
容器内空間を占めるガスの圧力が、溶質を含む溶媒層の
全蒸気圧より高い条件で行なうことを特徴とする。
【0015】また、本発明の半導体結晶の製造方法は、
容器内に種結晶、溶媒層、及び結晶原料を直線状に配置
収容してなる成長用試料、結晶原料が高温側、種結晶が
低温側、溶媒層が温度遷移領域に位置するように加熱を
行うか、又は溶媒層に対し局所的な加熱を行なう手段、
及び前記温度遷移領域又は局所加熱位置を結晶原料側に
順次移動させる手段を具備する半導体結晶の製造装置で
あって、種結晶の周囲の容器内空間の圧力と原料結晶の
周囲の容器内空間の圧力とを実質的に等しくする手段を
具備することを特徴とする。
【0016】本発明において、容器内空間を占めるガス
は、溶媒層に含まれる溶媒および溶質とは化合物を形成
しないものであることが好ましい。そのようなガスとし
て、He,Ne,Ar,Kr,Xe,水素ガス,窒素ガ
スのいずれか、もしくはこれらの混合ガスを用いること
が出来る。
【0017】本発明において、種結晶の周囲の容器内空
間および原料結晶の周囲の容器内空間を占めるガスの圧
力を実質的に等しくするための手段としては、以下の具
体的手段を挙げることが出来る。
【0018】(1)容器と溶媒層とが濡れない材料で容
器を製作するか、もしくは、容器と溶媒層とが濡れない
材料で容器内面を被覆するか、もしくは、容器内面を粗
面化することにより、溶媒層と容器内面間に形成される
わずかな空間を通して、種結晶を囲む容器内空間と結晶
原料を囲む容器内空間とを連通させること。 (2)種結晶を囲む容器内空間と結晶原料を囲む容器内
空間とが、互いに連結した容器構造とすること。
【0019】(3)容器を2重とし、外側容器内空間に
よって、種結晶と内側容器との隙間の空間と、結晶原料
と内側容器との隙間の空間とが、互いに連結するように
すること。
【0020】(4)容器内の種結晶と容器との隙間の空
間、結晶原料と容器との隙間の空間の圧力をそれぞれ検
知し、二つの空間の圧力が実質的に等しくなるように調
節する手段を備えること。
【0021】(5)容器内の種結晶と容器との隙間の空
間、結晶原料と容器との隙間の空間の容器保持部分の温
度を一定に保つ手段を具備し、二つの空間の温度を実質
的に等しくなるようにすること。
【0022】(6)容器と種結晶の隙間につながる温度
が一定とされた容器内空間の体積を、容器と種結晶の隙
間の体積に比べ大きくとり、容器と結晶原料の隙間につ
ながる温度が一定とされた容器内空間の体積を、容器と
結晶原料の隙間の体積に比べ大きくすること。
【0023】(7)容器と種結晶の隙間につながる容器
内空間、容器と結晶原料の隙間につながる容器内空間の
どちらか、もしくは両方の温度を独立に制御できる手段
と、成長中の溶媒層の気泡を監視する手段とを具備し、
検知された溶媒層の気泡の発生もしくは気泡の成長に従
い、前記容器内空間の温度を調整し気泡を制御するこ
と。
【0024】(8)容器内の種結晶と容器との隙間の空
間、結晶原料と容器との隙間の空間のどちらか、もしく
は両方の圧力を制御できる手段と、成長中の溶媒層の気
泡を監視する手段とを具備し、検知された溶媒層の気泡
の発生もしくは気泡の成長状態に従い、前記容器内空間
の圧力を調整し気泡を制御すること。
【0025】
【作用】成長結晶には一般的に、不純物の結晶中への取
り込まれが時間的に変動することにより生じる成長縞が
存在する。従来のヒータ移動法及び溶媒移動法により成
長した結晶の断面を、蝕刻速度が不純物濃度に依存する
ような蝕刻液で蝕刻し、成長縞を観察すると、曲線が複
雑に絡み合った、また、縞の間隔が大きく変動している
模様を示していた。
【0026】この成長縞は、結晶の成長中において成長
界面が時々刻々どのように変化したかを示しているが、
ヒータ移動法及び溶媒移動法を用いた際に見出だされる
複雑な成長縞は、種結晶側の固液界面の形状が成長中に
複雑に変動していることを意味している。また、成長縞
の間隔が変動していることは、成長速度が大きく変動し
ていることを意味している。
【0027】このような固液界面の複雑な変動は、成長
結晶が下地結晶に正確に配向するのを妨げ、双晶などの
面状結晶欠陥を発生させる原因となる。これが、ヒータ
移動法及び溶媒移動法により成長した結晶が、これまで
単結晶にならなかった原因と推定される。成長中の種結
晶と溶媒層との固液界面の形状の複雑な変動は、充分に
加熱温度を制御した成長装置を用いても発生することか
ら、成長装置が原因とは考えられない。
【0028】一方、ヒータ移動法及び溶媒移動法により
成長させた試料を調べた結果、固化した溶媒層部分に気
泡が取り込まれていることが見出だされた。また、容器
を透明石英ガラスで製作し、容器内部の試料の表面状態
を観察できる状態で成長を行うと、溶融した溶媒層に気
泡が発生し、この気泡の状態が時々刻々変化し、時間の
経過と共に大きな気泡へと成長していることが見出ださ
れた。こうした観測事実から、溶媒層中には加熱時に気
泡が存在していることが確かめられた。
【0029】ヒータ移動法及び溶媒移動法は溶液成長法
であり、融液成長法の場合に比べ成長速度は遅い。溶液
成長法による結晶成長速度は溶質濃度に比例して大きく
なるが、溶媒中の溶質濃度を高めるには限度がある。こ
のため、溶液成長法では、結晶成長速度を上げるため
に、出来るだけ溶媒層の厚みを薄くするとともに、特に
溶媒移動法の場合には出来るだけ急俊な階段状温度分布
を実現するような加熱を行ない、一方ヒ−ト移動法の場
合には、出来るだけ急俊な温度分布を実現するために出
来るだけ幅の狭い局所加熱を実現するような加熱を行な
う。
【0030】一方、厚みの薄い溶媒層で、できるだけ大
きな径の結晶を得ようとすると、径方向に一様な成長を
実現する必要があり、成長試料の軸が重力の方向と平行
となる配置で成長を行なうことが必要になる。
【0031】以上のような成長試料形態と試料配置をと
るために、溶媒移動法及びヒータ移動法では、溶媒層の
上下方向に大きな温度分布が形成され、溶媒層中には顕
著な自然対流が発生する。この自然対流は、原料結晶側
で溶解した溶質、すなわち、結晶成分の種結晶側への輸
送に大きな影響を及ぼしている。
【0032】溶媒層中に発生した気泡は容器壁に付着す
る。一旦発生し、容器壁に付着した気泡は、その除去が
極めて困難である。気泡が容器壁に付着すると溶媒層の
形状が変化し、溶媒層に新たな自由表面が形成されたこ
とになる。このような変化は、溶媒層と容器壁間の熱伝
導状態を変化させ、温度分布を変化させる。気泡の付着
による溶媒層の形状変化や温度分布の変化は、いづれも
自然対流パターンに不規則な変化を生じせしめるもので
あり、また、自由表面の形成は、マランゴニ対流と呼ば
れる別種の対流を引き起こす。
【0033】このために、気泡が発生すると、温度分布
の不規則な変化や、自然対流による物質輸送過程の不規
則な変化が生じ、固液界面形状や結晶成長速度が不規則
に変化する。溶媒移動法やヒータ移動法で成長したこれ
までの結晶の複雑な成長縞は、このような気泡発生が原
因となり現れていると考えられる。従って、多結晶状態
での成長を防止するには、溶媒層中の気泡の発生を抑制
することが必要であることが分かった。
【0034】溶媒移動法及びヒータ移動法による成長実
験を進めた結果、溶媒層に気泡を発生させる原因には種
々あることが見出だされた。一つは、試料を封入容器に
装填する際に用いた、グラファイトなどの試料保持部材
から加熱時に発生する水分などの吸着ガス成分に起因す
るものである。成長温度近くに加熱すると試料保持部材
から発生したガス成分が封入容器管壁と試料との隙間を
通して溶媒層中に侵入し、気泡を形成する。このように
発生した気泡を低減するには、試料保持部材を予め、結
晶育成温度より十分に高い温度で、高温真空熱処理する
ことが有効であると考えられるが、封入試料の製造過程
で、僅かな吸着ガス成分の発生を防止することは作業上
困難である。
【0035】試料保持部材の高温真空熱処理に加え、試
料保持部材として緻密で、ガス放出の少ない材料を用い
ること、封入容器に試料および試料保持部材を装填後、
封止前に、試料部分は冷却する状態で試料保持部分を容
器外側から加熱し、試料の変化を防止しつつ、試料保持
部材からの脱ガスを行うことが、試料保持部材に起因す
る溶媒層中の気泡発生を抑制するのに効果がある。
【0036】また、多元系の半導体結晶の溶媒移動法や
ヒータ移動法による製造の場合、溶媒部材となるのは金
属材料である。金属材料も溶融し、成長温度まで加熱す
ると、何らかの気泡を発生することが分かった。この気
泡は、金属材料中の低沸点不純物や、金属材料の酸化物
と考えられる。この溶媒部材である金属材料からの気泡
発生の抑制には、封入金属材料を封入前に、事前に溶融
加熱し低沸点不純物や金属材料の酸化物の蒸発が認めら
れなくなるまで高温真空熱処理すること、高温真空熱処
理した金属材料を成長試料容器に装填することが有効で
ある。
【0037】多元系化合物半導体結晶の多くは、成長温
度で無視できない平衡蒸気圧をもち、溶媒層から蒸発す
る。特に、II族,V族,VI族元素を含む場合には、成分
の蒸発が顕著となる。ヒータ移動法や溶媒移動法では、
溶媒層部分が加熱されると、結晶成分が溶媒層に溶解
し、溶質濃度が増加する。溶媒層の温度が上昇するにつ
れ、溶媒層の平衡蒸気圧は上昇するが、溶質成分が揮発
性に富む材料の場合、溶媒層の温度上昇に伴う溶媒層部
分の平衡蒸気圧の増加は顕著となる。溶媒層の平衡蒸気
圧が、溶媒層を囲む空間の気相の全圧力より高くなる
と、溶媒層中で気泡が形成し、この気泡の中に溶質を含
む溶媒が盛んに蒸発する現象が起きる。これは一種の沸
騰現象である。
【0038】種結晶、溶媒層、結晶原料からなる成長試
料が容器内にある場合には、溶媒層は容器壁に接した状
態となっている。このため、発生した気泡は単に気泡と
して止まらず、膨脹する結果として溶媒を種結晶と容器
との隙間、あるいは結晶原料と容器との隙間に押し出す
現象を引き起こす。最悪の場合には、溶媒層が本来存在
すべき空間から無くなり、種結晶と原料結晶とが分離さ
れてしまう現象さえ起きる。
【0039】溶媒が、溶媒層部分から、種結晶と容器と
の隙間、あるいは結晶原料と容器との隙間に滲み出す現
象が、溶媒移動法及びヒータ移動法で起きるのは、ただ
単に、溶媒層に蒸発しやすい成分が含まれているためだ
けではない。融液成長の場合にも融液部分には蒸発しや
すい成分が含まれている場合がある。しかしながら、こ
の場合には、気泡の成長によって融液が滲み出そうとし
ても、滲み出した融液はすぐ先にある低温部で固化し、
それ以上の融液の滲みだしを押さえる効果が生じる。ヒ
ータ移動法や溶媒移動法では、滲み出す液体が溶媒であ
るために、滲み出した先が低温部でも、滲み出した溶媒
から固化するのは結晶成分だけであり、結晶成分より低
融点である溶媒は、液体状態を保つ。このために、ヒー
タ移動法や溶媒移動法では、顕著な溶媒の滲み出しが生
ずる。
【0040】溶媒層からの溶質成分の蒸気圧上昇による
気泡発生は、容器内にガスを導入し、容器内の全圧力を
高くすることで防止できることが確かめられた。溶質成
分が蒸発し、溶媒層中に気泡が形成されるには、少なく
とも溶質を含む溶媒の平衡蒸気圧が溶媒層に加わる圧力
以上になる条件が満たされる必要がある。この条件が満
たされなければ、気泡は成長できない。この場合、平衡
蒸気圧は、溶質成分や成長温度に依存する。
【0041】溶質を含む溶媒の平衡蒸気圧を溶媒層に加
わる圧力以上にする方法としては、ガスを容器に封入す
ること、及び成長中にガスを容器内に導入することが挙
げられる。このように、ガスが容器に封入されていれ
ば、試料の加熱と共に温度が上昇し、封入ガスの圧力も
上昇する。成長中に導入されるガスの圧力は、成長温度
での溶質を含む溶媒の平衡蒸気圧と、容器内ガスの圧力
変化を考慮して決定することが出来る。
【0042】このような容器内に導入するガスとして
は、試料や容器との反応性の低いものであることが必要
である。反応する場合には、成長結晶中に不純物として
取り込まれたりするだけでなく、封入ガス量が時間の経
過とともに減少し、ガス圧力が低下し、気泡発生抑制効
果が失われてしまう。多くの試料に対し、He,Ne,
Ar,Kr,Xeなどの希ガスや、水素ガス,窒素ガス
などが封入又は導入ガスとして適当である。
【0043】容器内にガスを封入すると、種結晶側ある
いは結晶原料側から気泡が溶媒層中に注入されるという
別種の気泡発生現象が出現した。これは、溶媒層を挟ん
だ二つの容器内の空間、すなわち、種結晶側空間と、結
晶原料側の二つの空間に封入されたガスが、加熱により
膨脹する際、二つの空間の平均的温度が異なると、どち
らかの圧力が高くなり、封入ガスが圧力が高くなった側
から溶媒層中に気泡として侵入することが生ずるためで
ある。
【0044】この封入ガスの圧力非均衡によって生じる
気泡は、種結晶側空間と結晶原料側空間の二つの空間が
互いに連結するような容器構造とすることにより低減す
ることが可能である。種結晶側空間と結晶原料側空間の
二つの空間を互いに連結する容器構造の一つは、試料封
入容器を2重容器とし、内側容器に種結晶、溶媒層、原
料結晶を装填し、この内側容器を外側容器に挿入する構
造である。このような構造により、封入容器のガス圧不
均衡による気泡発生を防止することがか可能である。
【0045】また、試料保持部分の温度を種結晶側と原
料結晶側とで同じになるように制御することにより、種
結晶側と原料結晶側の空間を占めるガス圧力が、試料保
持部分の温度によってほぼ決まるようになり、気泡発生
を低減出来る。また、種結晶側と原料結晶側の空間を大
きくとることにより、溶媒層近傍の温度が変わっても、
温度変化による圧力変化がその空間により吸収されるた
め、気泡発生を低減することができる。
【0046】容器を溶媒層との濡れが悪い材料で製作す
るか、もしくは容器内面を溶媒層との濡れが悪い材料で
被覆するか、もしくは、容器内面を粗面とする方法も、
種結晶側空間や原料結晶側空間からの気泡の注入を防止
する上で効果がある。このように、溶媒層と接触する容
器内面と溶媒層との濡れが悪い状態を実現することによ
り、溶媒層表面の僅かな空間を通して種結晶側空間や原
料結晶側空間とが連結され、両空間の圧力が均衡された
結果、種結晶側空間や原料結晶側空間からの気泡の注入
が防止されるものと推定される。
【0047】以上挙げた以外にも、種結晶側と原料結晶
側の二つの空間の圧力を検知し、両空間の圧力が等しく
なるようにガスを注入もしくは吸引するという積極的制
御を行なう方法によっても、種結晶側空間もしくは原料
結晶側空間から溶媒層に気泡が注入される現象を防止で
きる。
【0048】なお、制御データとして、溶媒層中の気泡
発生状態を直接監視して得る映像データもまた気泡発生
の精密制御には有効である。容器が光学的透明な材料で
ある場合には、目視、あるいは通常のテレビカメラ撮影
像によって容易に気泡発生状態の直接監視が可能であ
り、また、容器が不透明である場合には加熱された容器
から放射される電磁波の波長を適切に選び、放射強度の
容器面上の分布像を求めることで、気泡発生と発生部位
を認識することができる。これらの気泡の直接監視デー
タをもとに、ガスが封入された試料容器の種結晶側空間
か原料結晶側空間のいずれか若しくは両方の温度を変化
させ、種結晶側空間と原料結晶側空間の圧力を均衡させ
る方法、又は容器内の種結晶側空間もしくは原料結晶側
空間のガス圧をガスの注入もしくは吸引によって直接変
えることによりガス圧力を均衡させる方法で、種結晶側
空間もしくは原料結晶側空間から溶媒中に気泡が注入さ
れるのを防止することができる。
【0049】
【実施例】以下、本発明をInGaP混晶半導体の単結
晶の製造に適用した実施例につき、図面を参照して説明
する。最初に、本発明を溶媒移動法による単結晶の製造
に適用した実施例について説明する。
【0050】図1は、本発明の一実施例に基づくInG
aP混晶半導体の単結晶製造用試料である。<100>
方位のGaP種結晶11、平均的組成がIn0.1 Ga
0.9 Pの原料多結晶13、及びIn組成が85%のIn
Ga合金からなる溶媒層12が、石英ガラス製の内側筒
状容器14に収容され、この内側筒状容器14の両端は
グラファイト製試料保持部材15,16により閉塞され
ている。そして、内側筒状容器14は、石英ガラス製の
外側筒状容器17内に封入されている。
【0051】グラファイト製の試料保持部材15,16
は、内側筒状容器14を密封するものではなく、内側筒
状容器14とGaP種結晶11との間に存在する僅かな
隙間18と、内側筒状容器14とIn0.1 Ga0.9 Pの
原料多結晶13との間に存在する僅かな隙間19とは、
内側筒状容器14と試料保持部材15,16との間の僅
かな隙間、および試料保持部材15,16と外側筒状容
器17との間に存在する僅かな隙間を通して互いに連結
している。
【0052】試料保持部材15,16は、かさ比重が
2.0以上の高密度グラファイトからなり、表面はパイ
ロリティックグラファイトがコーティングされたものを
用いている。図1に示す成長用試料の製造の際には、試
料保持部材15,16は事前に10-6Torr以上の真
空度、1200℃以上の高温で真空熱処理され、溶媒層
12を構成するInGa合金13も、石英ガラス容器中
で、真空度10-6Torr以上の高真空下、700℃以
上の高温で真空熱処理される。
【0053】一方、GaP種結晶11、In0.1 Ga
0.9 Pの原料多結晶13、InGa合金の溶媒層12を
収容する内側筒状容器14を、封止前の外側筒状容器1
7内に不活性雰囲気下で装填し、装填した外側筒状容器
17を真空封止装置に取り付ける。即ち、外側筒状容器
17内を真空吸引後、Arガスを注入し、封じ切る。外
側筒状容器17に注入するArガスの圧力は、1気圧と
した。
【0054】図2は、図1に示す内側及び外側の石英ガ
ラス製容器に封入した成長用試料を2温度炉20を用い
て加熱し、溶媒移動法による結晶成長を行なった状態を
示したものである。試料は、溶媒部分が温度遷移領域に
位置し、種結晶が下方に位置するよう、試料軸を重力に
平行に取り付けた。
【0055】試料の設置後、種結晶側が970℃、結晶
原料側が1020℃となるよう1時間かけて昇温し、こ
の状態で1時間保持した後、炉を結晶原料側に0.5m
m/hrの速度で100時間移動し、急冷した。温度遷
移領域の温度勾配は30℃/cmとした。
【0056】結晶育成中の試料状態は、2温度炉20に
取り付けた試料観察窓を通してテレビカメラ21により
監視したが、石英ガラス容器を通して見た溶媒層には、
何等の気泡発生も見出だされなかった。以上の工程で成
長した結晶長さは約50mmであり、結晶の混晶組成
は、種結晶境界から成長尾部までおおよそ一定で、In
0.1 Ga0.9 Pであった。また、成長した結晶全体は単
結晶であった。
【0057】図3は、本発明の他の実施例に用いる成長
用試料である。この試料は、二重の容器の代わりに、内
面にボロン窒化物膜40が被覆されている石英ガラス製
の筒状容器37を用い、容器中にKrガスを封入したこ
とを除いて、図1に示す試料と同様である。即ち、<1
00>方位のGaP種結晶31、平均的組成がIn0.1
Ga0.9 Pの原料多結晶33、In組成が85%のIn
Ga合金からなる溶媒層32、及び種結晶31及び溶媒
層32を支持するグラファイト製試料保持部材35,3
6が、筒状容器37内に収容されている。
【0058】図3に示す試料を用いて、第1の実施例と
同様な条件で溶媒移動法による結晶育成を行ったとこ
ろ、やはり、成長中に観察した溶媒層には気泡の発生は
見られなかった。この実施例の場合にも、第一の実施例
と同様なIn0.1 Ga0.9 P単結晶が得られた。これ
は、ボロン窒化物膜40と、In,Ga,Pからなる溶
媒層32との間の濡れが良くないため、両者の間に狭い
ギャップが生じ、種結晶側空間と原料結晶側空間とが連
通し、ガス圧力が実質的に等しくなっているためであ
る。
【0059】図4は、本発明の他の実施例に使用する成
長用試料を示す図である。この場合の試料容器は、筒状
容器47の内面にボロン窒化物膜が被覆されている代わ
りに、種結晶側空間48と原料結晶側空間49とが、容
器外部の連結管50により連結されていることを除い
て、図3に示す試料と同様である。
【0060】図4に示す試料では、連結管50により、
種結晶側空間48と原料結晶側空間49のガス圧力が実
質的に等しくなっている。この実施例の場合も第一の実
施例と同様な結晶成長条件により、In0.1 Ga0.9
単結晶を成長することが出来た。
【0061】図5は、本発明の他の実施例に使用するI
0.1 Ga0.9 P混晶単結晶製造装置を示す図である。
この装置では、石英ガラス製の試料筒状容器51の種結
晶側空間58と原料結晶側空間59とにガス導入口6
0,61が設けられており、2温度加熱炉70の側壁の
テレビカメラ71とテレビモニタ72により溶媒層状態
を監視し、気泡発生状態に応じて、ガス導入制御弁7
3,74とガス吸引制御弁75,76を操作し、溶媒層
62に発生する気泡を制御している。即ち、テレビカメ
ラ71の監視像72により、結晶原料63側から気泡が
溶媒層62に注入されつつある場合には、ガス導入制御
弁73、もしくはガス吸引制御弁76を開き、結晶原料
63側から気泡が溶媒層62に注入されつつある場合に
は、ガス導入制御弁74、もしくはガス吸引制御弁75
を開き、気泡を消失させる。
【0062】また、ガス導入制御弁73,74とガス吸
引制御弁75,76を操作し、種結晶側空間78と原料
結晶側空間79のガス圧力が、成長中に常に1気圧を保
つような制御を行なった。試料加熱条件は第1の実施例
の場合と同一で、これにより、50mmの長さのIn
0.1 Ga0.9 Pの混晶単結晶が得られた。以下の実施例
は、本発明をヒ−ト移動法による単結晶の製造に適用し
た実施例である。
【0063】図6は本発明に基づき、石英ガラス製容器
に封入した成長用試料とハロゲンランプを光源とする焦
点加熱炉23を用いて、ヒータ移動法により結晶育成し
た実施例を示したものである。試料として上述した図1
に示すものを用い、種結晶が試料の下方に位置するよう
垂直に取り付けた。初期加熱位置を溶媒層12の位置に
設定し、成長時の溶媒層の厚みが加熱前溶媒層の厚みの
1.4倍になるランプ電力値まで、1時間かけて増加さ
せ、ランプ電力値を一定に保ち、3時間の保持時間後、
0.5mm/hrの速度で加熱位置を原料結晶側13側
に移動し、100時間の炉の移動後、2時間かけランプ
電力を減少させて徐冷することで結晶育成を行った。こ
のランプ電力設定条件での溶媒層の推定される平均温度
は1000℃である。
【0064】上記結晶育成中の試料状態は、焦点加熱炉
23に取り付けた試料観察窓を通してテレビカメラ21
による撮影像によって監視したが、石英ガラスを通して
見た溶媒層には、何らの気泡発生も見出だされなかっ
た。上記工程によって、育成された結晶長さは約50m
mであった。結晶の混晶組成は種結晶境界から、成長尾
部までおおよそ一定で、In0.1 Ga0.9 Pであった。
また、成長結晶全体は単結晶であった。
【0065】成長用試料として、上述した図3に示すも
のを用い、図6に示す実施例と同様な条件でヒータ移動
法による結晶育成を行ったところ、やはり、成長中に観
察した溶媒層には気泡の発生は見られなかった。この実
施例の場合にも、図6に示す実施例の場合と同様なIn
0.1 Ga0.9 P単結晶が得られた。これは、ボロン窒化
物40とIn,Ga,Pからなる溶媒層32との濡れが
良くないため、両者の間に狭いギャップが生じ、種結晶
側空間と原料結晶側空間とが連通し、ガス圧力が実質的
に等しくなっているためである。
【0066】図7は、本発明の他の実施例による、ヒー
タ移動法による結晶育成状態を示すものである。この場
合も試料容器は一重であるが、筒状容器87の種結晶側
88と原料結晶側89を温度が一定に制御された支持部
材90,91で保持し、ヒータ移動法により成長を行な
った。本実施例の場合も、図1試料を用いて行なった場
合と同様に、In0.1 Ga0.9 P単結晶が成長した。
【0067】上述した図4に示す試料を用いて、図6に
示す実施例と同様の成長条件により、ヒータ移動法によ
る結晶育成を行なったところ、In0.1 Ga0.9 P単結
晶が得られた。
【0068】図8は、In0.1 Ga0.9 P混晶単結晶製
造に関する本発明の他の実施例である。この場合には、
石英ガラス製の試料筒状容器51の種結晶側空間58と
原料結晶側空間59とにガス導入口60,61が設けら
れており、焦点加熱炉70の側壁のテレビカメラ71と
テレビモニタ72により溶媒層状態を監視し、気泡発生
状態に応じて、ガス導入制御弁73,74とガス吸引制
御弁75,76を操作し、溶媒層52に発生する気泡を
制御する。すなわち、テレビカメラ71の監視像72に
より、結晶原料53側から気泡が溶媒層52に注入され
つつある場合には、ガス導入制御弁73、もしくはガス
吸引制御弁76を開き、結晶原料53側から気泡が溶媒
層52に注入されつつある場合には、ガス導入制御弁7
4、もしくはガス吸引制御弁75を開き、気泡を消失さ
せる。また、ガス導入制御弁73,74とガス吸引制御
弁75,76を操作し、種結晶側空間58と原料結晶側
空間59のガス圧力が、成長中に常に1気圧を保つよう
な制御を行なった。試料加熱条件は図6に示す実施例の
場合と同一で、これにより、50mmの長さのIn0.1
Ga0.9 Pの混晶単結晶が得られた。
【0069】以上の実施例はいずれもIn0.1 Ga0.9
P混晶の製造に本発明を適用した場合であるが、混晶結
晶でなくても、また、混晶組成の値が異なっていても、
あるいはInx Ga1-x Asのように半導体材料が異な
っても、本発明が適用できることは明らかである。本発
明は、蒸発しやすい元素を構成元素として含む半導体結
晶、例えば、ZnやCdのII族元素やS,Se,Teな
どのVI族元素、N,P,AsなどのV族元素を含む化合
物半導体など種々適用しても効果が得られる。また、試
料容器中に封入するガスは、ArやKrガスだけでな
く、He,Ne,Xeなどの希ガスや、水素ガス、窒素
ガスも効果があった。容器材料は石英ガラスだけでな
く、アルミナ、グラファイト、ボロン窒化物など種々の
材料を用いることができる。また、容器被覆材料として
も、ボロン窒化物だけでなく、カーボンなど、その他成
長材料に合わせ、本発明の趣旨の範囲で種々変更可能で
ある。
【0070】溶媒移動法を用いる場合、成長に用いる炉
も必ずしも2温度炉である必要はなく、多温度炉であっ
ても良い。また、炉全体に温度勾配を持たせた炉で、炉
を徐冷し、溶媒層を移動させる方法でも良い。成長炉も
本発明の趣旨の範囲で種々変更可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
これまで溶媒移動法やヒータ輸送法では製造が困難であ
った化合物半導体の単結晶を成長させることが可能とな
った。また、これまで単結晶成長が困難であった化合物
半導体の混晶のバルク単結晶が、溶媒移動法及びヒータ
輸送法により成長できるようになった。これにより、こ
れまで特定な禁制帯と特定な格子定数を持つ半導体結晶
を基板としてしか利用できなかったために製造できなか
った波長領域にある、発光ダイオード、半導体レーザ、
光増幅器、光検知器などが製造できるようになった。こ
の点で、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例に使用される成長用試料を
示す断面図。
【図2】 本発明の1実施例に使用される結晶成長装置
を示す図。
【図3】 本発明の他の実施例に使用される成長用試料
を示す断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に使用される成長用試料
を示す断面図。
【図5】 本発明の他の実施例に使用される結晶成長装
置を示す図。
【図6】 本発明の他の実施例に使用される結晶成長装
置を示す図。
【図7】 本発明の他の実施例に使用される結晶成長装
置を示す図。
【図8】 本発明の他の実施例に使用される結晶成長装
置を示す図。
【符号の説明】
11,31,41,51…種結晶 12,32,42,52…In0.1 Ga0.9 P合金溶媒
層 13,33,43,53…InGa原料多結晶 14…石英ガラス製内側筒状容器 15,16,35,36,45,46,55,56…グ
ラファイト製試料保持部材 17,37,47,57…石英ガラス製筒状容器 18,38,48,58…容器とGaP種結晶間の隙間 19,39,49,59…容器とIn0.1 Ga0.9 Pの
原料多結晶間の隙間 20,70…2温度炉 21,71…テレビカメラ 22,72…テレビモニタ 40…ボロン窒化物膜 50…連結管 60,61…ガス導入口 73,74…ガス導入制御弁 75,76…ガス排気制御弁 77…Arガス供給装置 78…真空排気装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内に種結晶、溶媒層、及び結晶原料
    を直線状に配置収容してなる成長用試料を、結晶原料が
    高温側、種結晶が低温側、溶媒層が温度遷移領域に位置
    するように加熱を行うか、又は溶媒層に対し局所的な加
    熱を行なう工程、及び前記温度遷移領域又は局所加熱位
    置を結晶原料側に順次移動させ、結晶を成長せしめる工
    程を具備する半導体結晶の製造方法において、前記結晶
    成長を、種結晶の周囲の容器内空間および結晶原料の周
    囲の容器内空間を占めるガスの圧力が、溶質を含む溶媒
    層の全蒸気圧より高い条件で行なうことを特徴とする半
    導体結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 容器内に種結晶、溶媒層、及び結晶原料
    を直線状に配置収容してなる成長用試料、結晶原料が高
    温側、種結晶が低温側、溶媒層が温度遷移領域に位置す
    るように加熱を行うか、又は溶媒層に対し局所的な加熱
    を行なう手段、及び前記温度遷移領域又は局所加熱位置
    を結晶原料側に順次移動させる手段を具備する半導体結
    晶の製造装置において、種結晶の周囲の容器内空間の圧
    力と原料結晶の周囲の容器内空間の圧力とを実質的に等
    しくする手段を具備することを特徴とする半導体結晶の
    製造装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008024562A (ja) * 2006-07-24 2008-02-07 Japan Aerospace Exploration Agency 固溶体単結晶の製造方法
WO2017081403A1 (fr) * 2015-11-13 2017-05-18 Nimesis Technology Procédé d'élaboration d'alliages monocristallins à base de cuivre

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