JPH06262740A - 缶体材料被覆用ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

缶体材料被覆用ポリエステルフィルム及びその製造方法

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JPH06262740A
JPH06262740A JP5384393A JP5384393A JPH06262740A JP H06262740 A JPH06262740 A JP H06262740A JP 5384393 A JP5384393 A JP 5384393A JP 5384393 A JP5384393 A JP 5384393A JP H06262740 A JPH06262740 A JP H06262740A
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英幸 吉沢
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靖雄 本間
Koji Matsushima
浩二 松島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】缶用金属板に高温、短時間の加熱で強固に接着
でき、印刷されているときにはその印刷を鮮明にできる
缶体材料被覆用ポリエステルフィルム及びその製造方法
を提供する。 【構成】ポリエステルフィルム1aは、片面に数平均分
子量5000〜20000のエポキシ樹脂と酸無水物系
硬化剤とを70/30〜99/1の重量比で含む接着剤
層5aを設ける。その反対面に硬化オーバーコート層3
を設ける。フィルム2,接着剤層5a間にエポキシブチ
ラール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔
料を含む印刷層4aを設ける。サイズコート層8は印刷
層4a,接着剤層5a間に設け、印刷層4aと同じ樹脂
で顔料を含まない。印刷層4bはポリエステルポリウレ
タン樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料を
含む。接着剤層5aは酸化チタンを含んでもよい。接着
剤層5bはポリエステル樹脂とアミノプラスト樹脂とか
らなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶体の缶胴形成用金属
板、例えば表面処理鋼板等の溶接缶体材料に熱硬化型樹
脂系接着剤を介して加熱接着されて保護被覆層を形成す
るポリエステルフィルム及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】飲料物等の容器に使用される金属缶体と
して、缶用表面処理鋼板を短冊状に裁断した缶胴ブラン
クの両側縁を溶接して接合することにより缶胴部を形成
し、この缶胴部の両端に別途製造された缶蓋を二重巻締
めされてなる溶接缶体が知られている。前記溶接缶体で
は、基体金属である缶用表面処理鋼板と内容物との接触
により基体金属が腐食されたり溶出した金属成分のため
に内容物のフレーバーが変化することを避けるために缶
内面側をエポキシ・フェノール樹脂等の塗料を塗布して
被覆する一方、缶外面側には美粧性を付与するための塗
装が施されている。
【0003】従来、前記溶接缶体は、缶用表面処理鋼板
の内外面側に前記塗装を行なうごとに加熱オーブンによ
る焼き付けを行なうことにより製造されている。前記製
造方法では、加熱オーブンの熱と揮散する有機溶媒とに
より作業環境が害される傾向があり、特に多色印刷とな
る外面側では、2〜4色の塗装を施すごとに加熱オーブ
ンによる焼き付けを行なうため、前記傾向が強くなる。
【0004】そこで、缶用表面処理鋼板の内外面をポリ
エステルフィルムで被覆して保護被覆層を形成すること
が検討されている。このようにすることによれば、缶内
面側では表面処理鋼板の腐食を防止することができると
ともに、前記缶内面側に内面保護塗料を塗布焼き付けし
た缶体では塗膜からわずかながら溶出する成分により変
化する内容物のフレーバーを保護することができる。ま
た、缶外面側では、印刷が施されたポリエステルフィル
ムで被覆することにより、塗装によらずに美粧性を付与
したり所要の表示を行うことができる。従って、缶用表
面処理鋼板の内外面をポリエステルフィルムで被覆して
保護被覆層を形成することにより、従来の製造方法にお
ける塗装及び焼き付け工程を不要とし、作業環境を向上
することが期待される。
【0005】前記缶用表面処理鋼板の内外面にポリエス
テルフィルムを被覆するために、加熱された金属に前記
ポリエステルフィルムを圧着して接着する方法が考えら
れる。
【0006】しかしながら、従来用いられている前記缶
用表面処理鋼板に対しては、加熱下に前記ポリエステル
フィルムを短時間の圧着をしただけでは十分な接着力が
得られない。また、前記ポリエステルフィルムを通常の
熱硬化型樹脂系接着剤を介して前記缶用表面処理鋼板に
接着するには、十分な接着力を得るために高温で長時間
の加熱を要するとの不都合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記
課題を解決するためになされたものであり、高温で短時
間の加熱で、缶体の缶胴形成用金属板との間で十分な強
度の接着力を得ることができる缶体材料被覆用ポリエス
テルフィルム及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0008】また、本発明は、前記ポリエステルフィル
ムに印刷が施されているときに、前記金属板から形成さ
れた缶胴における前記印刷を鮮明にすることができるポ
リエステルフィルム及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルムは、
缶体の缶胴形成用金属板に熱硬化型樹脂系接着剤を介し
て加熱接着されて保護被覆層を形成するポリエステルフ
ィルムであって、該ポリエステルフィルムの一方の面に
数平均分子量5000〜20000のエポキシ樹脂と酸
無水物系硬化剤とを70/30〜99/1の重量比で含
む樹脂からなる接着剤層、またはポリエステル樹脂とア
ミノプラスト樹脂とを70/30〜90/10の重量比
で含む樹脂からなる接着剤層が設けられていることを特
徴とする。
【0010】前記接着剤層がエポキシ樹脂と酸無水物系
硬化剤とからなるときに、前記エポキシ樹脂は数平均分
子量が5000未満のときには接着強度が不足し、20
000を超えるときには高粘度となり塗布作業性が劣る
ので、共に好ましくない。また、前記数平均分子量が5
000未満であると、前記ポリエステルフィルムに予め
塗布乾燥して接着剤層を形成するときに、前記接着剤層
の粘着性が高くなり、タックフリー性が低下する。
【0011】前記接着剤層において、前記エポキシ樹脂
と前記酸無水物系硬化剤との重量比が99/1未満では
高温で加熱しても前記エポキシ樹脂の硬化に長時間を要
し、また70/30を超える割合としても前記エポキシ
樹脂の硬化を促進する効果はそれ以上には向上されな
い。
【0012】前記酸無水物系硬化剤としては、無水ピロ
メリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、
無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルシク
ロヘキサンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸及
びその誘導体等を挙げることができるが、硬化性、塗布
後の膜の耐ブロッキング性、タックフリー性等に優れて
いる点から無水トリメリット酸及びその誘導体からなる
無水トリメリット酸系硬化剤が適している。無水トリメ
リット酸の誘導体としては、例えば、グリセロールトリ
ストリメリテート無水物、無水トリメリット酸の二量
体、エチレングリコールビストリメリテート無水物等を
挙げることができる。
【0013】前記接着剤層を形成するエポキシ樹脂は、
ビスフェノールとエピクロルヒドリンとの反応により得
られるビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ま
しく、前記酸無水物系硬化剤以外にさらにフェノール樹
脂などの他の硬化剤を含んでいてもよい。
【0014】前記接着剤層がポリエステル樹脂とアミノ
プラスト樹脂とからなるときに、その重量比が90/1
0未満では高温で加熱しても該接着剤層の硬化に長時間
を要し、また70/30を超える割合とすると硬化が進
みすぎ、該接着剤層の加工性が低下するので好ましくな
い。前記ポリエステル樹脂としては、公知のポリエステ
ル樹脂を単独で用いてもよく、エポキシ樹脂等で変性し
たエポキシ変性ポリエステル樹脂を用いてもよい。ま
た、前記アミノプラスト樹脂としては、メラミン樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂等を用いることができる。また、
前記接着剤層は、ポリエステル樹脂及びアミノプラスト
樹脂とともに、エポキシ樹脂を併用しても差し支えな
い。
【0015】前記ポリエステルフィルムは、強度、透明
性及びフレーバーの保持などの対内容物適性に優れてい
るものであって、ジカルボン酸成分とジオール成分との
重縮合により得られるポリエステルであればどのような
ものであってもよいが、ナフタレンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸と、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブチレング
リコール等のジオール類との重縮合により得られるポリ
エステルであることが好ましく、ナフタレンジカルボン
酸とエチレングリコールとの重縮合により得られるポリ
エステル(ポリエチレンナフタレート)またはテレフタ
ル酸とエチレングリコールとの重縮合により得られるポ
リエステル(ポリエチレンテレフタレート)であること
が特に好ましい。
【0016】前記ポリエステルは、所望に応じて前記ジ
カルボン酸成分またはジオール成分に他のジカルボン酸
成分またはジオール成分を含んでいてもよい。ポリエチ
レンテレフタレートの他の前記好ましいポリエステルと
しては、特開昭51─42786号、特開昭64─70
352号、特開平2─242738号等の各公報に記載
されているポリエステルを挙げることができる。
【0017】前記ポリエステルフィルムは、接着力を向
上させるために、前記接着剤が塗布される面に予めコロ
ナ放電等の表面酸化処理が施されていることが好まし
い。
【0018】また、前記ポリエステルフィルムは5〜5
0μmの範囲の厚さを有することが好ましい。前記ポリ
エステルフィルムの厚さが5μm以下であるときには加
工時に傷付きやすく、ピンホール等が発生して、缶体の
腐食、金属の溶出を防止する効果が十分に得られないこ
とがある。また、50μm以上のときには残留応力が大
きくなり、缶胴部にネックイン加工等の絞り加工を施す
際に、前記ポリエステルフィルムの前記金属板に対する
密着性が低下する傾向がある。
【0019】前記ポリエステルフィルムは、缶体の缶胴
形成用金属板に前記接着剤層を介して加熱接着されるの
で、熱処理に対する寸法安定性を確保するために、材料
物性的には150℃に30分保持したときの長手方向の
熱収縮率が1.2%以下、幅方向の熱収縮率が0%の二
軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。また、前記寸
法安定性を確保するために、予め160℃で6秒間程度
保持する熱処理を施してもよいが、特に前記接着剤層が
設けられている面の反対側に熱硬化型樹脂からなる硬化
オーバーコート層が設けられていることが好ましい。前
記硬化オーバーコート層を設けることにより、前記ポリ
エステルフィルムの残留応力が緩和されると共にフィル
ムの伸縮が規制され前記寸法安定性が確保されるととも
に、耐傷付性が向上される。また、溶接缶体では、内容
物を充填したのち、加熱殺菌処理(レトルト殺菌処理)
が行われるのが通常であるが、前記硬化オーバーコート
層を設けることにより、レトルト殺菌処理等の加熱処理
の際にポリエステルフィルム中の低重合度成分(オリゴ
マー)が表面に析出することが防止され、滑り性がよく
なる。
【0020】前記硬化オーバーコート層を形成する熱硬
化型樹脂は、高温短時間で硬化フィルムを形成する樹脂
であることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂とアミノ
プラスト樹脂とからなり短時間硬化触媒として有機酸ま
たはリン酸、ポリリン酸等の無機酸が添加されているも
のが適している。前記熱硬化型樹脂は、オリゴマー析出
防止、滑り性向上のために、シリコン或はワックスが添
加されていることが好ましい。
【0021】前記ポリエステルフィルムは、前記金属板
の缶外面側に被覆されるときには、缶体に美粧性を付与
したり所要の表示を行うために印刷が施されたものであ
ってもよく、この場合には印刷を施すための強度及び前
記金属板に接着された際の熱処理に対する寸法安定性が
要求されるので、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性
ポリエステルフィルム、一軸または二軸延伸されたポリ
エチレンテレフタレートフィルム等が好ましい。
【0022】前記ポリエステルフィルムに印刷を施すと
きには、前記ポリエステルフィルムと前記接着剤層との
間に顔料を含む樹脂組成物からなる印刷層が設けられ
る。前記印刷層は、前記ポリエステルフィルムと前記オ
ーバーコート層との間に設けられてもよいが、前記のよ
うにポリエステルフィルムと接着剤層との間に設けられ
ることにより、該印刷層がポリエステルフィルムにより
外傷から保護されるので好ましい。前記印刷層は、美粧
性及び所要の表示のために多色印刷を行うときには、前
記樹脂組成物が顔料の色毎に1色ずつ積層されて形成さ
れる。
【0023】前記印刷層は、溶接缶体を形成し内容物を
充填したのちに、前記レトルト殺菌処理を行うと白化す
る部分が生じ印刷が不鮮明になることがある。そこで、
前記レトルト殺菌処理による白化を防止するために、前
記印刷層と前記接着剤層との間に、前記印刷層を形成す
る樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成物からなるサイ
ズコート層が設けられる。
【0024】前記印刷層を形成する樹脂組成物は、高温
で短時間の加熱で、缶体の缶胴形成用金属板との間で十
分な接着強度を得るために、接着剤層を形成する樹脂の
種類に応じて選択的に使用されることが好ましい。即
ち、前記接着剤層が前記平均分子量のエポキシ樹脂と酸
無水物系硬化剤とを前記重量比で含む樹脂であるときに
は、前記印刷層を形成する樹脂組成物は、エポキシブチ
ラール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔
料を含む樹脂組成物またはポリエステルポリウレタン樹
脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料を含む樹
脂組成物が適している。また、前記接着剤層が前記ポリ
エステル樹脂とアミノプラスト樹脂とを前記重量比で含
む樹脂からなるときには、前記印刷層を形成する樹脂組
成物は、ポリエステルポリウレタン樹脂とポリイソシア
ネート系樹脂とからなり顔料を含む樹脂組成物が適して
いる。
【0025】前記接着剤層を形成する樹脂は、前記金属
板の素地を隠蔽するために、無機または有機顔料を含ん
でいることが好ましく、前記顔料としては酸化チタンが
特に好ましい。前記酸化チタンは、樹脂との重量比が2
0/80〜80/20の範囲で使用される。
【0026】尚、前記ポリエステルフィルムは、前記金
属板の缶内面側を被覆するときには無地でよく、硬化オ
ーバーコート層及び印刷の必要がない。この場合には、
前記強度、寸法安定性などが厳格には要求されないの
で、延伸されていないポリエステルフィルムであっても
よく、一軸または二軸延伸されたポリエステルフィルム
であってもよいが、被覆工程への適性、缶体となったと
きの缶品質の面からポリエチレンテレフタレートフィル
ムが適している。
【0027】前記接着剤層、印刷層及び硬化オーバーコ
ート層が設けられている缶体材料被覆用ポリエステルフ
ィルムは、該ポリエステルフィルムの一方の面に熱硬化
型樹脂を塗布、乾燥させて硬化オーバーコート層を形成
するオーバーコート層形成工程と、該ポリエステルフィ
ルムの他方の面に顔料を含む樹脂組成物を塗布、乾燥さ
せて印刷層を形成する印刷工程と、該印刷層が設けられ
ている面に熱硬化型樹脂系接着剤を塗布、乾燥させて接
着剤層を形成する接着剤層形成工程とを有する製造方法
により有利に製造することができる。
【0028】前記オーバーコート層形成工程と印刷工程
とはどちらを先に行ってもよいが、寸法安定性を確保す
る点から、前記オーバーコート層形成工程が、前記印刷
工程に先立って行われる。
【0029】前記印刷層と前記接着剤層との間に前記サ
イズコート層を形成するときには、前記製造方法は、前
記印刷工程に続いて前記印刷層を形成する樹脂組成物か
ら顔料を除いた樹脂組成物を塗布、乾燥させてサイズコ
ート層を形成するサイズコート層形成工程を有する。
【0030】また、前記製造方法において、前記オーバ
ーコート層、印刷層、サイズコート層及び接着剤層の各
層の形成は、いずれもグラビア印刷、塗工により行う。
【0031】
【作用】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
は、その一方の面に数平均分子量5000〜20000
のエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤とを70/30〜9
9/1の重量比で含む樹脂からなる接着剤層が設けられ
ているので、缶体の缶胴形成用金属板に加熱接着される
際に高温で加熱されると前記硬化剤により前記接着剤層
の硬化が促進され、短時間で強固な接着力が得られる。
また、本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
は、ポリエステル樹脂とアミノプラスト樹脂と70/3
0〜90/10の重量比で含む樹脂からなる接着剤層が
設けられていることによっても、缶体の缶胴形成用金属
板にポリエステルフィルムを接着する際に、高温で加熱
されることにより短時間で強固な接着力が得られる。
【0032】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記接着剤層が設けられている面の反対側に熱
硬化型樹脂からなる硬化オーバーコート層が設けられて
いることにより、缶体の缶胴形成用金属板に前記接着剤
層を介して加熱接着される際に、前記ポリエステルフィ
ルムの残留応力が緩和されると共に伸縮が規制されるの
で熱処理に対する寸法安定性が確保される。また、前記
硬化オーバーコート層により、缶体に内容物を充填した
のちのレトルト殺菌処理などの加熱処理の際に缶表面に
ポリエステルフィルム中のオリゴマーの析出、フィルム
表面の傷付きが防止され、更に滑り性がよくなる。
【0033】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記ポリエステルフィルムと前記接着剤層との
間に顔料を含む樹脂組成物からなる印刷層が設けられ
て、前記金属板に加熱接着されることにより、塗装印刷
によらずに缶体に美粧性を付与したり所要の表示を行う
ことができる。前記印刷層が設けられるときには、さら
に、前記印刷層と前記接着剤層との間に、前記印刷層を
形成する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成物からな
るサイズコート層が設けられることにより、缶体に内容
物を充填したのちのレトルト殺菌処理の際に前記印刷層
の白化が防止され、前記印刷層が鮮明になる。
【0034】前記印刷層の形成に用いる印刷インキとし
ては、従来公知の印刷インキを用いることができ、樹脂
成分として例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポ
リウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシブチラール系
樹脂、ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ポリイソシアネ
ート系樹脂等の1種以上からなる樹脂を挙げることがで
きる。
【0035】前記印刷層を形成する樹脂組成物は、前記
接着剤層が前記平均分子量のエポキシ樹脂と酸無水物系
硬化剤とを前記重量比で含む樹脂であるときには、エポ
キシブチラール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂とか
らなり顔料を含む樹脂組成物またはポリエステルポリウ
レタン樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料
を含む樹脂組成物を用いることにより、前記ポリエステ
ルフィルムを該接着剤層を介して前記金属板に加熱接着
する際に、高温で短時間の加熱で強固な接着力が得ら
れ、缶体形成時または缶体に内容物を充填したのちのレ
トルト殺菌処理の際にも剥離することがない。また、前
記接着剤層が前記ポリエステル樹脂とアミノプラスト樹
脂とを前記重量比で含む樹脂からなるときには、ポリエ
ステルポリウレタン樹脂とポリイソシアネート系樹脂と
からなり顔料を含む樹脂組成物を用いることにより、前
記ポリエステルフィルムを該接着剤層を介して前記金属
板に加熱接着する際に、同様に高温で短時間の加熱で強
固な接着力が得られる。
【0036】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記接着剤層が顔料として酸化チタンを含むこ
とにより、前記金属板に加熱接着された際に前記金属板
の素地が隠蔽されるので、フィルム表面が美麗になる。
特に、前記印刷層が設けられているときには、その印刷
が前記酸化チタンを含む接着剤層を背景とすることによ
り鮮明になる。
【0037】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムの製造方法によれば、前記オーバーコート層形成工
程を有するので、前記ポリエステルフィルムの残留応力
が緩和されると共に伸縮性が規制され、後工程での熱処
理に対する寸法安定性の改良されたポリエステルフィル
ムが得られる。前記オーバーコート層形成工程は、前記
印刷工程に先立って行うことにより、さらに前記ポリエ
ステルフィルムの寸法安定性が改良される。
【0038】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムの製造方法では、前記印刷工程に続いて前記印刷層
を形成する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成物を塗
布、乾燥させてサイズコート層を形成するサイズコート
層形成工程を備えることにより、製缶後のレトルト殺菌
処理による印刷層の白化を防止できるポリエステルフィ
ルムが得られる。
【0039】また、本発明の缶体材料被覆用ポリエステ
ルフィルムの製造方法では、前記オーバーコート層、印
刷層、サイズコート層及び接着剤層の各層は、いずれも
グラビア印刷、塗工することにより、均等な厚さに形成
される。
【0040】
【実施例1】次に、添付の図面を参照しながら本発明に
ついてさらに詳しく説明する。図1及び図2は本発明の
缶体材料被覆用ポリエステルフィルムの構成を示す説明
的断面図、図3は本発明の缶体材料被覆用ポリエステル
フィルムが加熱接着された缶体の缶胴形成用金属板の説
明的断面図、図4は本発明の缶体材料被覆用ポリエステ
ルフィルムを缶体の缶胴形成用金属板に加熱接着する装
置の構成例の概略を示す平面図、図5は図4の装置の搬
送路の側面図である。
【0041】本実施例では、缶体の缶胴形成用金属板の
缶外面側に接着されるポリエステルフィルムとして、図
1(a)示の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム1a
を用いる。ポリエステルフィルム1aは、図1(a)示
のように、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレート(以下、ポリエチレンテレフタレートをPET
と略記する)フィルム2の一方の面にエポキシ樹脂とア
ミノプラスト樹脂とからなりリン酸触媒を添加した熱硬
化型樹脂により形成された透明な硬化オーバーコート層
3が設けられ、反対の面にエポキシブチラール樹脂とポ
リイソシアネート系樹脂とからなり顔料を含む印刷イン
キにより印刷が施された印刷層4aが設けられている。
印刷層4aは、缶外面側に美粧性を付与し、所要の表示
を行うために多色印刷されており、所要の各色の顔料を
含む前記印刷インキが1色ごとに積層されて形成されて
いる。
【0042】そして、印刷層4aの上に、ビスフェノー
ルとエピクロルヒドリンとの反応により得られるビスフ
ェノール型エポキシ樹脂で数平均分子量10000のエ
ポキシ樹脂と無水トリメリット酸系硬化剤としてグリセ
ロールトリストリメリテート無水物とを95/5の重量
比で含む熱硬化型樹脂系接着剤からなる接着剤層5aが
設けられている。
【0043】また、缶体の缶胴形成用金属板の缶内面側
に接着されるポリエステルフィルムとして、図2示の缶
体材料被覆用ポリエステルフィルム6を用いる。ポリエ
ステルフィルム6は、図2示のように、前記ポリエステ
ルフィルム1aと同じ厚さ12μmの二軸延伸PETフ
ィルム2の一方の面に、前記ポリエステルフィルム1a
と同じ熱硬化型樹脂系接着剤からなる接着剤層5aが設
けられている。ポリエステルフィルム6は、印刷は施さ
れておらず無地であり、接着剤層5aが設けられている
面2aには予めコロナ放電処理が施されている。
【0044】ポリエステルフィルム1aは、次のように
して製造した。まず、予め一方の面にコロナ放電処理を
施した長尺の二軸延伸PETフィルム2を引き出し、前
記コロナ放電処理が施されていない面にエポキシ樹脂と
アミノプラスト樹脂とからなりリン酸触媒を添加した溶
剤系の熱硬化型樹脂をグラビアロールにより塗布し、1
60℃で8秒間乾燥して塗布量1.0g/m2 の硬化オ
ーバーコート層3を形成し、50℃以下に冷却したのち
巻き取った。
【0045】次に、前記硬化オーバーコート層3が形成
された長尺の二軸延伸PETフィルム2を引き出し、硬
化オーバーコート層3の反対の面にエポキシブチラール
樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料を含む
印刷インキをグラビアロールにより印刷し、乾燥して印
刷層4aを形成した。印刷層4aは、缶外面側に美粧性
を付与し、所要の表示を行うことができるように、単一
の缶胴に対する所定の印刷パターンが、二軸延伸PET
フィルム2の長手方向に連続して形成される。
【0046】印刷層4aは、前記印刷パターンの形成に
要する印刷インキが1色ごとに前記のようにして印刷さ
れ、インキ塗布量が1.0g/m2 になるように形成さ
れている。長尺の二軸延伸PETフィルム2は、印刷層
4aの形成後、冷却し、巻き取って、印刷層4aを硬化
させるために2日間エージングした。
【0047】次に、前記印刷層4aが形成された長尺の
二軸延伸PETフィルム2を引き出し、印刷層4aの上
に前記エポキシ樹脂とグリセロールトリストリメリテー
ト無水物とを前記重量比で有機溶剤に溶解した樹脂溶液
をグラビアロールにより57m/分の速度で塗布した。
そして、接着剤の硬化反応が進行しないように120℃
で10秒間の乾燥を行って塗布量2.5g/m2 の前記
熱硬化型樹脂系接着剤からなる接着剤層5aを形成し、
冷却したのち巻き取って、ポリエステルフィルム1aを
得た。
【0048】ポリエステルフィルム1aでは、まず硬化
オーバーコート層3が形成され、次いで印刷層4aが形
成されているので、前記印刷パターンを優れた寸法精度
で得ることができる。また、接着剤層5aは最後に形成
されるが、巻き取ったときのタックフリー性が良いため
に、次の工程において使用するときに支障を来す虞れが
ない。
【0049】また、ポリエステルフィルム6は、次のよ
うにして製造した。まず、ポリエステルフィルム1aの
製造に用いたものと同様の長尺の二軸延伸PETフィル
ム2を引き出し、その一方の面2aにコロナ放電処理を
施し、その上に前記ポリエステルフィルム1aと同じ接
着剤の樹脂溶液をポリエステルフィルム1aと同様にし
て塗布した。そして、ポリエステルフィルム1aと同様
にして、乾燥し、2.5g/m2 の前記熱硬化型樹脂系
接着剤からなる接着剤層5aを形成して、冷却したのち
巻き取って、ポリエステルフィルム6を得た。
【0050】次に、ポリエステルフィルム1a,6を用
いて溶接缶体を製造した。本実施例の溶接缶体では、図
3示のように、缶体の缶胴形成用金属板7の缶外面側に
ポリエステルフィルム1aが接着剤層5aを介して加熱
接着されて保護被覆層9を形成しており、缶内面側にポ
リエステルフィルム6が接着剤層5aを介して加熱接着
されて保護被覆層10を形成している。本実施例では、
金属板7として、板厚0.22mmで表面にニッケル量
70mg/m2 のニッケル下地層を備え、その上に錫量
0.8g/m2 の錫層を備え、最上層にクロム量換算で
15mg/m2の金属クロム・酸化クロム層をさらに備
える錫メッキ鋼板を用い、図4及び図5示の装置により
前記加熱接着を行った。
【0051】前記装置では、まず、図4示のように金属
板7の原板41から缶胴ブランク42の長さLの幅で、
缶胴ブランク42の複数枚の長さに裁断された短冊状金
属板43が、搬送路44に連続的に供給される。
【0052】搬送路44は、図5にその側面図を示すよ
うに、上流側に高周波加熱装置などの第1加熱手段45
が設けられ、搬送路44に供給された短冊状金属板43
が170℃に加熱されるようになっている。また、搬送
路44の下方には前記のようにして印刷が施された長尺
のポリエステルフィルム1aを搬送路44に供給する印
刷フィルム供給手段46が設けられ、上方には前記無地
で長尺の缶内面被覆用フィルム6を搬送路44に供給す
る無地フィルム供給手段47が設けられている。前記の
ようにして製造されたポリエステルフィルム1a,6
は、製造後巻き取られて、それぞれフィルム供給手段4
6,47に巻装して備えられている。
【0053】ポリエステルフィルム1a,6は、それぞ
れ供給手段46,47により接着剤層5aの側で短冊状
金属板43に当接するようにして搬送路44に供給さ
れ、搬送路44の途中に設けられた圧着ロール48によ
り、前記のように加熱された短冊状金属板43の両面に
両側端縁部49,49を除く部分に圧着され、接着剤層
5aを介して仮接着される。このとき、ポリエステルフ
ィルム1aは前記のように供給手段46に巻装されてい
ても接着剤の耐ブロッキング性が良いためにフィルムが
相互に粘着することがなく、さらに硬化オーバーコート
層3が形成されているので、滑り性及び耐傷付性が良好
であり、供給手段46から適正に引き出して搬送路44
に供給することができる。
【0054】前記ポリエステルフィルム1a,6は共に
長尺であるので、短冊状金属板43は仮接着されたポリ
エステルフィルム1a,6に挟持されてその複数枚が長
尺状に連結される。そこで、次に搬送路44の末端部に
設けられたナイフシリンダー等の第1裁断手段50によ
り前記長尺状に連結された短冊状金属板43を1枚ごと
に裁断する。
【0055】次に、ポリエステルフィルム1a,6が仮
接着された短冊状金属板43は、搬送路44から払い出
されて図4示の加熱オーブンなどの第2加熱手段51に
供給され、加熱オーブン51内で215℃に1分間保持
して接着剤層5aの熱硬化型樹脂系接着剤を硬化させ
る。この結果、ポリエステルフィルム1a,6が短冊状
金属板43に完全に接着され、強固な接着力が得られ
る。
【0056】前記のようにしてポリエステルフィルム1
a,6が接着された短冊状金属板43は、次いで冷却手
段52内で冷却されたのち、スリッター等の第2裁断手
段53に供給され、単一の缶胴ブランク42毎に裁断さ
れる。ポリエステルフィルム1aには、前記のように硬
化オーバーコート層3が形成されているので、前記仮接
着時の加熱あるいは加熱オーブン51内での加熱によっ
ても、当初の印刷の寸法精度を保持することができる。
従って、缶胴ブランク42は、印刷層4aの印刷パター
ンに精確に対応して裁断することができる。
【0057】次に、前記のようにして得られた缶胴ブラ
ンク42を、印刷が施されたポリエステルフィルム1a
が接着された面を缶外面側にして丸め、両側端縁部49
を重ね合わせて溶接接合し、ポリエステルフィルム6で
被覆されていない缶内面側の溶接接合部をエポキシフェ
ノール樹脂系補正塗料を用いて被覆補正して缶胴部を形
成した。次いで、前記缶胴部の両端部にネックイン加工
を施して、その一方の端部に内面側にエポキシフェノー
ル樹脂を塗布したイージーオープン缶蓋を二重巻締めし
て溶接缶体を製造した。
【0058】前記溶接缶体において、金属板7に対する
ポリエステルフィルム1a,6の接着性を観察するとと
もに、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金
属露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0059】次に、前記溶接缶体に内容物として、コー
ヒーを充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリ
エステルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めし
て加熱殺菌処理(レトルト殺菌処理)を行って缶詰を製
造し、レトルト殺菌処理後のポリエステルフィルム1a
の外観を観察した。また、前記缶詰を37℃で6か月保
存して開缶し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結
果を表1に示す。
【0060】
【実施例2】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aにおいて、接着剤層5aを形成する熱硬
化型樹脂系接着剤のエポキシ樹脂とグリセロールトリス
トリメリテート無水物との重量比を90/10とする以
外は、実施例1と同様にして、金属板7にポリエステル
フィルム1a,6を加熱接着した。
【0061】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1a,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0062】次に、前記缶体に内容物として、コーヒー
を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリエス
テルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めしてレ
トルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処
理後のポリエステルフィルム1aの外観を観察した。本
実施例では接着剤層5を形成する前記熱硬化型樹脂系接
着剤において、無水トリメリット酸系硬化剤(グリセロ
ールトリストリメリテート無水物)の配合比を実施例1
よりも多くしているので、レトルト殺菌処理における印
刷層4aの白化が防止され、その印刷が鮮明な状態に維
持された。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して開
缶し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表1
に示す。
【0063】
【実施例3】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aにおいて、接着剤層5aを形成する熱硬
化型樹脂系接着剤が酸化チタンの白色顔料を60重量%
含有するようにした以外は、実施例1と同様にして、金
属板7にポリエステルフィルム1a,6を加熱接着し
た。
【0064】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1a,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0065】次に、前記缶体に内容物として、コーヒー
を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリエス
テルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めしてレ
トルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処
理後のポリエステルフィルム1aの外観を観察した。本
実施例では接着剤層5aに白色顔料が含有されているの
で、金属板7の素地が隠蔽され、印刷層4aの印刷が鮮
明になった。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して
開缶し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表
1に示す。
【0066】
【実施例4】本実施例では、実施例1の缶胴ブランク4
2から形成した缶胴部において、ポリエステルフィルム
6で被覆されていない缶内面側の溶接接合部の被覆補正
を、実施例1のエポキシフェノール樹脂系補正塗料に替
えて熱可塑性ポリエステル樹脂系粉体塗料を用い、塗装
後に250℃で6秒間の加熱処理を行うことにより平均
30μmの膜厚の補正塗膜を形成させて被覆補正する以
外は、実施例1と同様にして缶体を製造した。そして、
前記錫メッキ鋼板に対するポリエステルフィルム1a,
6の接着性を観察するとともに、該缶体のエナメルレー
ターバリューを測定して金属露出部の有無を判定した。
結果を表1に示す。
【0067】次に、前記缶体に内容物として、コーヒー
を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリエス
テルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めしてレ
トルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処
理後のポリエステルフィルム1aの外観を観察した。ま
た、前記缶詰を37℃で6か月保存して開缶し、内容物
に対する鉄溶出量を測定した。結果を表1に示す。
【0068】本実施例で得られる缶体によれば、缶胴部
の溶接接合部の被覆補正塗料として、熱可塑性ポリエス
テル樹脂系粉体塗料を用いているので、缶胴の内面側全
体をポリエステル樹脂で被覆することができ、内容物の
フレーバー性を向上させることができる。また、本実施
例では、実施例1と同様に内面側にエポキシフェノール
樹脂を塗布したイージーオープン缶蓋を二重巻締めして
いるが、内面側にポリエステルフィルムをコートしたイ
ージーオープン缶蓋を用いることにより、缶体の内面側
全体をポリエステル樹脂で被覆することができるので、
内容物のフレーバー性をさらに向上させることができ
る。
【0069】
【実施例5】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aに替えて図1(b)示のポリエステルフ
ィルム1bを用いる以外は、実施例1と同様にして、金
属板7にポリエステルフィルム1b,6を加熱接着し
た。
【0070】ポリエステルフィルム1bは、図1(b)
示のように、実施例1と同じPETフィルム2の一方の
面に実施例1と同様にして硬化オーバーコート層3が設
けられており、反対の面に実施例1と同様にして設けら
れた印刷層4a上に、印刷層4aの印刷インキと同一組
成で顔料を含まない樹脂からなるサイズコート層8が設
けられ、サイズコート層8上に実施例1と同様にして接
着剤層5aが設けられている。ポリエステルフィルム1
bは、次のようにして製造した。まず、ポリエステルフ
ィルム1aの製造に用いたものと同様の長尺の二軸延伸
PETフィルム2に、実施例1と同様にして硬化オーバ
ーコート層3を形成し、冷却したのち巻き取った。次
に、硬化オーバーコート層3が形成された長尺の二軸延
伸PETフィルム2を引き出し、実施例1と同様にして
印刷層4aを形成したのち、直ちに印刷層4aと同様の
エポキシブチラール樹脂とポリイソシアネート系樹脂と
からなるが顔料を含まない樹脂溶液をグラビアロールに
より印刷し、乾燥してサイズコート層8を形成した。次
に、サイズコート層8が形成された長尺の二軸延伸PE
Tフィルム2を冷却したのち巻き取り、2日間エージン
グした。そして、長尺の二軸延伸PETフィルム2のサ
イズコート層8の上に、実施例1と同様にして接着剤層
5aを形成し、冷却したのち巻き取って、ポリエステル
フィルム1bを得た。
【0071】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1a,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0072】次に、前記缶体に内容物として、コーヒー
を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリエス
テルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めしてレ
トルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処
理後のポリエステルフィルム1aの外観を観察した。本
実施例では印刷層4a上にサイズコート層8が設けられ
ているので、前記レトルト殺菌処理によっても印刷層4
aが白化せず、その印刷は鮮明に保たれていた。また、
前記缶詰を37℃で6か月保存して開缶し、内容物に対
する鉄溶出量を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【実施例6】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aに替えて、図1(c)示のポリエステル
フィルム1cを用いる以外は、実施例1と同様にして、
金属板7にポリエステルフィルム1c,6を加熱接着し
た。
【0074】ポリエステルフィルム1cは、図1(c)
示のように、実施例1と同じPETフィルム2の一方の
面に実施例1と同様にして硬化オーバーコート層3が設
けられており、反対の面にポリウレタンポリエステル樹
脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料を含む印
刷インキにより印刷が施された印刷層4bが設けられて
いる。印刷層4bは、所要の各色毎に、それぞれの色の
顔料を含む前記印刷インキが積層されて形成されてい
る。
【0075】そして、印刷層4bの上に、ポリエステル
樹脂とメラミン樹脂とを85/15の重量比で含む樹脂
からなる熱硬化型樹脂系接着剤層5bが設けられてい
る。
【0076】ポリエステルフィルム1cは、次のように
して製造した。まず、ポリエステルフィルム1aの製造
に用いたものと同様の長尺の二軸延伸PETフィルム2
に、実施例1と同様にして硬化オーバーコート層3を形
成し、冷却したのち巻き取った。次に、硬化オーバーコ
ート層3が形成された長尺の二軸延伸PETフィルム2
を引き出し、硬化オーバーコート層3の反対の面にポリ
ウレタンポリエステル樹脂とポリイソシアネート系樹脂
とからなり顔料を含む印刷インキをグラビアロールによ
り印刷し、乾燥して印刷層4bを形成した。印刷層4b
は、前記印刷インキを1色ごとに前記のように印刷し、
インキ塗布量が1.0g/m2 になるように形成する。
印刷層4bを形成し冷却したのち長尺の二軸延伸PET
フィルム2を巻き取り、2日間エージングした。
【0077】次に、印刷層4bが形成された長尺の二軸
延伸PETフィルム2を引き出し、印刷層4bの上にポ
リエステル樹脂とメラミン樹脂とを前記重量比で含む熱
硬化型樹脂系接着剤をグラビアロールにより印刷し、乾
燥して塗布量2.0g/m2の前記熱硬化型樹脂系接着
剤からなる接着剤層5bを形成し、冷却したのち巻き取
って、ポリエステルフィルム1cを得た。
【0078】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1a,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0079】次に、前記溶接缶体に内容物として、ウー
ロン茶を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポ
リエステルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締め
してレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト
殺菌処理後のポリエステルフィルム1cの外観を観察し
た。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して開缶し、
内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表1に示
す。
【0080】
【実施例7】実施例6で得られた缶体に内容物として、
コーヒーを充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側に
ポリエステルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締
めしてレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトル
ト殺菌処理後のポリエステルフィルム1cの外観を観察
した。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して開缶
し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表1に
示す。
【0081】
【実施例8】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aに替えて図1(d)示のポリエステルフ
ィルム1dを用い、実施例1の金属板7に替えて、板厚
0.22mmで表面に錫量1.2g/m2 の錫層を備
え、その上にクロム量換算で18mg/m2 の金属クロ
ム・酸化クロム層をさらに備える錫メッキ鋼板を用いる
以外は、実施例1と同様にして、該錫メッキ鋼板にポリ
エステルフィルム1d,6を加熱接着した。
【0082】ポリエステルフィルム1dは、図1(d)
示のように、実施例1と同じPETフィルム2の一方の
面に実施例1と同様にして硬化オーバーコート層3が設
けられており、反対の面に実施例3と同様にして設けら
れた印刷層4b上に、実施例1と同様にして接着剤層5
aが設けられている。
【0083】ポリエステルフィルム1dは、次のように
して製造した。まず、ポリエステルフィルム1aの製造
に用いたものと同様の長尺の二軸延伸PETフィルム2
に、実施例1と同様にして硬化オーバーコート層3を形
成し、冷却したのち巻き取った。次に、硬化オーバーコ
ート層3が形成された長尺の二軸延伸PETフィルム2
を引き出し、実施例3と同様にして印刷層4bを形成
し、冷却したのち巻き取り、2日間エージングした。
【0084】次に、印刷層4bが形成された長尺の二軸
延伸PETフィルム2を引き出し、印刷層4bの上に実
施例1と同様の熱硬化型樹脂系接着剤の樹脂溶液をグラ
ビアロールにより印刷し、実施例1と同様にして接着剤
層5aを形成し、冷却したのち巻き取って、ポリエステ
ルフィルム1dを得た。
【0085】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1d,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0086】次に、前記缶体に内容物として、レモンテ
ィーを充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリ
エステルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めし
てレトルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺
菌処理後のポリエステルフィルム1dの外観を観察し
た。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して開缶し、
内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表1に示
す。
【0087】
【実施例9】本実施例では、図1(a)示のポリエステ
ルフィルム1aに替えて図1(d)示のポリエステルフ
ィルム1dを用い、ポリエステルフィルム1dにおいて
接着剤層5aを形成する熱硬化型樹脂系接着剤が酸化チ
タンの白色顔料を60重量%含有するようにした以外
は、実施例1と同様にして、金属板7にポリエステルフ
ィルム1d,6を加熱接着した。
【0088】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記錫メッキ鋼板に対するポリ
エステルフィルム1d,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0089】次に、前記缶体に内容物として、コーヒー
を充填し、前記溶接缶体の開口端に缶内面側にポリエス
テルフィルムが被覆されている缶蓋を二重巻締めしてレ
トルト殺菌処理を行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処
理後のポリエステルフィルム1dの外観を観察した。本
実施例では接着剤層5aに白色顔料が含有されているの
で、金属板7の素地が隠蔽され、印刷層4bの印刷が鮮
明になった。また、前記缶詰を37℃で6か月保存して
開缶し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結果を表
1に示す。
【0090】
【実施例10】本実施例では、図1(a)示のポリエス
テルフィルム1aに替えて図1(c)示のポリエステル
フィルム1cを用い、実施例1の金属板7に替えて板厚
0.22mmで表面にクロム量100mg/m2 の金属
クロム下地層を備え、その上に錫量0.2g/m2 の錫
層を備え、最上層にクロム量換算で12mg/m2 の金
属クロム・酸化クロム層をさらに備える薄錫メッキ鋼板
を用いる以外は、実施例1と同様にして、該薄錫メッキ
鋼板にポリエステルフィルム1c,6を加熱接着した。
【0091】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記薄錫メッキ鋼板に対するポ
リエステルフィルム1c,6の接着性を観察するととも
に、該缶体のエナメルレーターバリューを測定して金属
露出部の有無を判定した。結果を表1に示す。
【0092】次に、前記缶体に内容物として、スポーツ
ドリンクをホットパック充填し、前記溶接缶体の開口端
に缶内面側にポリエステルフィルムが被覆されている缶
蓋を二重巻締めしてレトルト殺菌処理を行って缶詰を製
造し、レトルト殺菌処理後のポリエステルフィルム1c
の外観を観察した。また、前記缶詰を37℃で6か月保
存して開缶し、内容物に対する鉄溶出量を測定した。結
果を表1に示す。
【0093】
【実施例11】本実施例では、図1(a)示のポリエス
テルフィルム1aに替えて図1(c)示のポリエステル
フィルム1cを用い、実施例1の金属板7に替えて板厚
0.22mmで表面にクロム量60mg/m2 の盤状ク
ロムと粒状クロムとからなる金属クロム下地層を備え、
その上にクロム量換算で10mg/m2 の金属クロム・
酸化クロム層を備えるティン・フリー・スチールを用い
る以外は、実施例1と同様にして、該ティン・フリー・
スチールにポリエステルフィルム1c,6を加熱接着し
た。
【0094】尚、前記ティン・フリー・スチールは、溶
接用電極を圧接すると、前記粒状クロムが基体金属内に
没入されて鋼板同士が直接導通されるため、基体鋼板の
表面の錫量に係わりなく溶接することができる。
【0095】次に、実施例1と同様にして缶胴ブランク
42から缶体を製造し、前記ティン・フリー・スチール
に対するポリエステルフィルム1c,6の接着性を観察
するとともに、該缶体のエナメルレーターバリューを測
定して金属露出部の有無を判定した。結果を表1に示
す。
【0096】次に、前記缶体に内容物として、アップル
ジュース(果汁10%)をホットパック充填し、前記溶
接缶体の開口端に缶内面側にポリエステルフィルムが被
覆されている缶蓋を二重巻締めしてレトルト殺菌処理を
行って缶詰を製造し、レトルト殺菌処理後のポリエステ
ルフィルム1cの外観を観察した。また、前記缶詰を3
7℃で6か月保存して開缶し、内容物に対する鉄溶出量
を測定した。結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】尚、表1中に記載されている表面処理鋼板
の種類は、次の通りである。
【0099】TNSとは、ニッケル量70mg/m2
ニッケル下地層と、該下地層上に錫量0.8g/m2
錫層と、最上層にクロム量換算で15mg/m2 の金属
クロム・酸化クロム層を備える錫メッキ鋼板を意味す
る。LTSとは、錫量1.2g/m2 の錫層と、該錫層
上にクロム量換算で18mg/m2 の金属クロム・酸化
クロム層を備える錫メッキ鋼板を意味する。Cr/Sn
系とは、クロム量100mg/m2 の金属クロム下地層
と、該下地層上に錫量0.2g/m2 の錫層と、最上層
にクロム量換算で12mg/m2 の金属クロム・酸化ク
ロム層をさらに備える薄錫メッキ鋼板を意味する。盤・
粒状クロム系とは、クロム量60mg/m 2 の盤状クロ
ムと粒状クロムとからなる金属クロム下地層と、該下地
層上にクロム量換算で10mg/m2 の金属クロム・酸
化クロム層を備えるティン・フリー・スチールを意味す
る。
【0100】また、接着剤の項の硬化剤はグリセロール
トリストリメリテート無水物を意味し、ERVはエナメ
ルレーターバリューの略である。
【0101】表1から、本発明の缶体材料被覆用ポリエ
ステルフィルムは、高温で短時間の加熱により缶体の缶
胴形成用金属板に強固に接着されることが明らかであ
り、エナメルレーターバリューの測定値から前記ポリエ
ステルフィルムが接着された前記金属板には金属露出部
が存在しないことが明らかである。
【0102】表1に示すように、本発明の缶体材料被覆
用ポリエステルフィルムによれば、レトルト殺菌処理後
にもその外観に白化などの異常は認められず、印刷が鮮
明になっていることが明らかであり、前記白化防止効果
はサイズコート層8を設けた場合(実施例5)に特に顕
著である。また、接着剤層5aが酸化チタンの白色顔料
を含有する場合(実施例3及び実施例9)には、白色の
接着剤層5aが金属板7の素地を隠蔽するので、印刷が
より鮮明になる。
【0103】また、表1から、本発明の缶体材料被覆用
ポリエステルフィルムによれば、内容物に対する鉄溶出
量は極く微量であり、長期保存後にも接着強度が維持さ
れ、缶体の缶胴形成用金属板の腐食及び内容物のフレー
バーの変化が防止できることが明らかである。
【0104】さらに、表1の実施例8乃至実施例11か
ら、本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルムによ
れば、缶体の缶胴形成用金属板の種類によらず、強固に
接着されることが明らかである。
【0105】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
の缶体材料被覆用ポリエステルフィルムによれば、その
一方の面に数平均分子量5000〜20000のエポキ
シ樹脂と酸無水物系硬化剤とを70/30〜99/1の
重量比で含む樹脂からなる接着剤層またはポリエステル
樹脂とアミノプラスト樹脂とを70/30〜90/10
の重量比で含む樹脂からなる接着剤層が設けられている
ので、該接着剤層の耐ブロッキング性が良く、さらに缶
体の缶胴形成用金属板に前記いずれかの接着剤層を介し
て接着される際に高温で短時間の加熱により強固な接着
力を得ることができる。
【0106】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記接着剤層が設けられている面の反対側に熱
硬化型樹脂からなる硬化オーバーコート層が設けられて
いるので、前記加熱接着の際の熱処理に対して寸法安定
性に優れているとともに、オリゴマーの析出を防止する
ことができ、さらに耐傷付性及び缶材、缶体の滑り性が
向上する。
【0107】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記ポリエステルフィルムと前記接着剤層との
間に顔料を含む樹脂組成物からなる印刷層が設けられ
て、前記金属板に加熱接着されることにより、塗装によ
らずに缶体に美粧性を付与したり所要の表示を行うこと
ができる。前記印刷層が設けられるときには、さらに、
前記印刷層と前記接着剤層との間に、前記印刷層を形成
する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成物からなるサ
イズコート層が設けられることにより、缶体に内容物を
充填したのちのレトルト殺菌処理の際に前記印刷層の白
化を防止することができ、前記印刷層の鮮明さを維持す
ることができる。
【0108】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムにおいて、前記接着剤層が前記平均分子量のエポキ
シ樹脂と酸無水物系硬化剤とを前記重量比で含む樹脂で
あるときには、前記印刷層を形成する樹脂組成物はエポ
キシブチラール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂とか
らなり顔料を含む樹脂組成物またはポリエステルポリウ
レタン樹脂とポリイソシアネート系樹脂とからなり顔料
を含む樹脂組成物を用いることにより、前記ポリエステ
ルフィルムと前記金属板との間で高温で短時間の加熱に
より強固な接着力を得ることができる。また、前記接着
剤層が前記エポキシ樹脂とアミノプラスト樹脂とからな
るときには、前記印刷層を形成する樹脂組成物はポリエ
ステルポリウレタン樹脂とポリイソシアネート系樹脂と
からなり顔料を含む樹脂組成物を用いることにより、前
記ポリエステルフィルムと前記金属板との間で高温で短
時間の加熱により強固な接着力を得ることができる。
【0109】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムは、前記接着剤層が顔料として酸化チタンを含むこ
とにより、前記金属板に加熱接着された際に前記金属板
の素地が隠蔽されるので、フィルム表面が美麗になる。
特に、前記印刷層が設けられているときには、前記酸化
チタンを含む接着剤層を背景とすることによりその印刷
をさらに鮮明にすることができる。
【0110】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
ルムの製造方法によれば、前記オーバーコート層形成工
程を有するので、後工程での熱処理に対して寸法安定性
に優れたポリエステルフィルムを得ることができる。前
記オーバーコート層形成工程は、前記印刷工程に先立っ
て行うことにより、さらに前記ポリエステルフィルムの
寸法安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
の構成を示す説明的断面図。
【図2】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
の構成を示す説明的断面図。
【図3】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
が加熱接着された缶体の缶胴形成用金属板の説明的断面
図。
【図4】本発明の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム
を缶体の缶胴形成用金属板に加熱接着する装置の構成例
の概略を示す平面図。
【図5】図4の装置の搬送路の側面図。
【符号の説明】
2…ポリエステルフィルム、 4a,4b…印刷イン
キ、5a,5b…熱硬化型樹脂系接着剤、 6…ポリエ
ステルフィルム、7…缶体の缶胴形成用金属板、 8…
サイズコート層、9,10…保護被覆層。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】前記接着剤層において、前記エポキシ樹脂
99重量部に対して前記酸無水物系硬化剤の配合量が1
重量部未満では高温で加熱しても前記エポキシ樹脂の硬
化に長時間を要し、またエポキシ樹脂70重量部に対し
て前記酸無水物系硬化剤の配合量を30重量部を超える
割合としても前記エポキシ樹脂の硬化を促進する効果は
それ以上には向上されない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】前記接着剤層がポリエステル樹脂とアミノ
プラスト樹脂とからなるときに、前記ポリエステル樹脂
90重量部に対して前記アミノプラスト樹脂の配合量が
10重量部未満では高温で加熱しても該接着剤層の硬化
に長時間を要し、またポリエステル樹脂70重量部に対
して前記アミノプラスト樹脂の配合量を30重量部を超
える割合とすると硬化が進みすぎ、該接着剤層の加工性
が低下するので好ましくない。前記ポリエステル樹脂と
しては、公知のポリエステル樹脂を単独で用いてもよ
く、エポキシ樹脂等で変性したエポキシ変性ポリエステ
ル樹脂を用いてもよい。また、前記アミノプラスト樹脂
としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を用
いることができる。また、前記接着剤層は、ポリエステ
ル樹脂及びアミノプラスト樹脂とともに、エポキシ樹脂
を併用しても差し支えない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 靖雄 埼玉県岩槻市鹿室839−1 北海製罐株式 会社技術本部内 (72)発明者 松島 浩二 埼玉県岩槻市鹿室839−1 北海製罐株式 会社技術本部内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】缶体の缶胴形成用金属板に熱硬化型樹脂系
    接着剤を介して加熱接着されて保護被覆層を形成するポ
    リエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルム
    の一方の面に数平均分子量5000〜20000のエポ
    キシ樹脂と酸無水物系硬化剤とを70/30〜99/1
    の重量比で含む樹脂からなる接着剤層が設けられている
    ことを特徴とする缶体材料被覆用ポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】前記酸無水物系硬化剤が無水トリメリット
    酸系硬化剤であることを特徴とする請求項1記載の缶体
    材料被覆用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】前記ポリエステルフィルムの前記接着剤層
    が設けられている面の反対側に熱硬化型樹脂からなる硬
    化オーバーコート層が設けられていることを特徴とする
    請求項1記載の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】前記ポリエステルフィルムと前記接着剤層
    との間に顔料を含む樹脂組成物からなる印刷層が設けら
    れていることを特徴とする請求項1記載の缶体材料被覆
    用ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】前記印刷層と前記接着剤層との間に、前記
    印刷層を形成する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成
    物からなるサイズコート層が設けられていることを特徴
    とする請求項4記載の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
    ルム。
  6. 【請求項6】前記印刷層を形成する樹脂組成物が、エポ
    キシブチラール系樹脂とポリイソシアネート系樹脂とか
    らなり顔料を含むことを特徴とする請求項4記載の缶体
    材料被覆用ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】前記印刷層を形成する樹脂組成物が、ポリ
    エステルポリウレタン樹脂とポリイソシアネート系樹脂
    とからなり顔料を含むことを特徴とする請求項4記載の
    缶体材料被覆用ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】前記接着剤層が、顔料として酸化チタンを
    含むことを特徴とする請求項1記載の缶体材料被覆用ポ
    リエステルフィルム。
  9. 【請求項9】缶体の缶胴形成用金属板に熱硬化型樹脂系
    接着剤を介して加熱接着されて保護被覆層を形成するポ
    リエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルム
    の一方の面にポリエステル樹脂とアミノプラスト樹脂と
    を70/30〜90/10の重量比で含む樹脂からなる
    接着剤層が設けられていることを特徴とする缶体材料被
    覆用ポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】前記ポリエステルフィルムの前記接着剤
    層が設けられている面の反対側に熱硬化型樹脂からなる
    硬化オーバーコート層が設けられていることを特徴とす
    る請求項9記載の缶体材料被覆用ポリエステルフィル
    ム。
  11. 【請求項11】前記ポリエステルフィルムと前記接着剤
    層との間に顔料を含む樹脂組成物からなる印刷層が設け
    られていることを特徴とする請求項9記載の缶体材料被
    覆用ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】前記印刷層と前記接着剤層との間に、前
    記印刷層を形成する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組
    成物からなるサイズコート層が設けられていることを特
    徴とする請求項11記載の缶体材料被覆用ポリエステル
    フィルム。
  13. 【請求項13】前記印刷層を形成する樹脂組成物が、ポ
    リエステルポリウレタン樹脂とポリイソシアネート系樹
    脂とからなり顔料を含むことを特徴とする請求項11記
    載の缶体材料被覆用ポリエステルフィルム。
  14. 【請求項14】前記接着剤層が、顔料として酸化チタン
    を含むことを特徴とする請求項9記載の缶体材料被覆用
    ポリエステルフィルム。
  15. 【請求項15】缶体の缶胴形成用金属板に熱硬化型樹脂
    系接着剤を介して加熱接着されて保護被覆層を形成する
    缶体材料被覆用ポリエステルフィルムの製造方法であっ
    て、 該ポリエステルフィルムの一方の面に熱硬化型樹脂を塗
    布、乾燥させて硬化オーバーコート層を形成するオーバ
    ーコート層形成工程と、 該ポリエステルフィルムの他方の面に顔料を含む樹脂組
    成物を塗布、乾燥させて印刷層を形成する印刷工程と、 該印刷層が設けられている面に熱硬化型樹脂系接着剤を
    塗布、乾燥させて接着剤層を形成する接着剤層形成工程
    とを有することを特徴とする缶体材料被覆用ポリエステ
    ルフィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】前記オーバーコート層形成工程は、前記
    印刷工程に先立って行うことを特徴とする請求項15記
    載の缶体材料被覆用ポリエステルフィルムの製造方法。
  17. 【請求項17】前記印刷工程に続いて、前記印刷層を形
    成する樹脂組成物から顔料を除いた樹脂組成物を塗布、
    乾燥させてサイズコート層を形成するサイズコート層形
    成工程を有することを特徴とする請求項15記載の缶体
    材料被覆用ポリエステルフィルムの製造方法。
  18. 【請求項18】前記オーバーコート層、印刷層、サイズ
    コート層及び接着剤層の各層の形成は、いずれもグラビ
    ア印刷、塗工により行うことを特徴とする請求項15ま
    たは請求項17記載の缶体材料被覆用ポリエステルフィ
    ルムの製造方法。
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KR100349471B1 (ko) * 1999-12-15 2002-11-01 연합철강공업 주식회사 복합폴리에스테르필름이 적층된 백색칠판용 금속판체 및그 제조방법

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