JP3168989B2 - 金属板へのラミネート用フィルム - Google Patents

金属板へのラミネート用フィルム

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、清涼飲料、ビー
ル、缶詰の如き金属缶材の耐熱、美粧、防錆用として使
用されるラミネート用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種清涼飲料、ビール、缶詰等の金属缶
としては主として鋼やアルミニウム等の金属板が使用さ
れており、そのボデー面には内容物の表示もしくはブラ
ンド表示等を目的として様々の印刷・着色が施される。
これらの容器の印刷・着色法として現在実用化されてい
るのは、金属板を所定の寸法にスリット加工した後オフ
セット印刷等により印刷してから焼付処理を行なう方
法、あるいはスリット加工後円筒状に曲げ加工し、シー
ム溶接した後オフセット印刷等により印刷・焼付けを行
なう方法である。そしてその後フランジ加工、インサイ
ドコーティングと焼付け、シーミング加工等を行なって
金属容器を得ている。
【0003】ところが金属材に直接印刷する方法では、
平板状で印刷するにしても又円筒状に成形した後印刷す
る方法を採用するにしても、グラビア印刷の如き金属製
凹版を用いた印刷法を採用することはできない。なぜな
らば、金属材は硬質であるため、その印刷面全域に金属
製凹版を均一に接触させることが極めて困難であるから
である。そのため従来はゴム版や可撓性樹脂版の様な弾
力性を持った版が使用されているが、この様な弾力性凹
版を用いた場合の印刷精度は悪く、鮮明な印刷が得られ
難いばかりでなく、ハーフトーン印刷や写真印刷の様に
広範囲の階調設定を必要とする複雑な印刷は困難であ
り、比較的プレーンな印刷・着色しか行なわれていない
のが実情である。
【0004】更に美麗で立体感のある印刷を可能にする
には多数の塗料を用いた多重印刷が必要となるが、それ
に伴なって印刷インキの乾燥・焼付けに長時間がかかる
ため、この様な多重印刷を製缶工程に組込むと、印刷イ
ンキの乾燥・焼付けが律速となって製缶速度が極端に遅
くなるという問題も生じてくる。そのため工業規模での
実用可能な重ね印刷数にも自ずと制限があり、満足のい
く鮮明度及び美的意匠感を持った印刷は得られない。
【0005】またスリット加工された金属板にオフセッ
ト印刷する方法も知られているが、やはりハーフトーン
印刷等が困難であり、満足のいく鮮明度と美的意匠感を
持った印刷が得られない点では、前記グラビア印刷の場
合と同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目し、板状もしくは円筒状に加工された金属板に
直接印刷を施す場合に指摘される前述の問題点を一掃す
ることのできる全く新規な技術として、鮮明且つ美麗な
印刷の施されたフィルムを金属板にラミネートすること
によって高級感を持った美粧金属板を得、あるいはこの
金属板を缶状に成形して美粧金属容器を得る方法を開発
し、実用化研究を進めている。
【0007】ところがラミネート金属板は、容器類等に
後加工する際のシーム溶接やフランジ加工、あるいはそ
の後の煮沸処理や内容物封入後のレトルト処理等の様に
相当な高熱処理を受けるので、ラミネートフィルムが熱
的なダメージを受けて白化、脆化あるいは収縮による凹
凸変形等を起こし、印刷面の美観が損なわれるという難
点がある。
【0008】本発明は上記のような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、上記の様な後加工工程
などで相当の高熱を受けた場合でも脆化や収縮による変
形等を起すことなく、鮮明且つ美麗な印刷状態を維持す
ることのできる金属板へのラミネート用フィルムを提供
しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るラミネート用フィルムの構成は、
ポリエステルを主体とし、ポリエステル−ポリエーテル
ブロック共重合体をポリエーテル成分換算で0.1〜10
重量%含有すると共に、ガラス転移温度が60℃以上で
あるポリエステル系フィルムよりなる基層と、最表面層
として軟化点もしくは分解温度が250℃以上の硬化耐熱
層の硬化耐熱層を有しているところに要旨が存在する。
【0010】本発明の上記ラミネート用フィルムにおい
て、上記基層の片面側に硬化耐熱層を形成し、あるいは
印刷インキ層を介して硬化耐熱層を形成し、これを表側
として金属板にラミネートすれば、上記最表面層を構成
する硬化耐熱層が基層および印刷インキ層の保護層とし
ての機能を発揮する。殊に本発明では、最表面層構成層
として硬化耐熱層が形成されているので、表面の耐熱保
護を図ることができる。
【0011】そして、該ラミネート金属板のラミネート
面側を外側にして常法により製缶を行なうと、ボディ部
の美粧された金属容器を得ることができる。
【0012】更に、上記ラミネート金属板における印刷
層の形成されたフィルムのラミネート面とは反対面側
に、硬化性樹脂からなる接着剤層を介してポリエステル
系フィルムをラミネートし、得られた両面ラミネート金
属板を、印刷インキ層の形成されたフィルムのラミネー
ト面を外側にして製缶を行なうと、ボディー外面側が美
粧され且つ内面被覆層の形成された金属容器を得ること
ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、ラミネート用フィル
ムに予め印刷を施しておき、これを金属板にラミネート
する方法を基本とするものであり、製缶工程が著しく簡
素化されて高速生産が可能になるばかりでなく、印刷は
軟質のフィルムに対して行なうことになるので金属凹版
等を用いた鮮明な印刷が可能になると共に、ハーフトー
ン印刷や写真印刷あるいは立体感のある多色刷りも容易
に行なうことができ、高級感のある美粧印刷が達成でき
る。従ってこのラミネート法を採用すれば、製缶後の金
属板に対してに直接印刷を施す従来法に比べて、後述す
る如く様々の効果を得ることができる。
【0014】本発明に係るラミネート用フィルムの基本
的構成は、たとえば図1(一部拡大断面図)に示す通り
であり、基層としてのポリエステル系フィルム層1の片
面に印刷インキ層2を設け、その反対面側には最表面層
を構成する硬化耐熱層4を形成してなるものであり、硬
化性樹脂からなる接着剤層3を用いてドライラミネート
法やサーマルラミネート法等により金属板Meにラミネ
ートされる。
【0015】ここでポリエステル系フィルム層1は、印
刷インキ層2が形成される基材フィルムとなるものであ
り、鮮明で美麗な多重印刷を可能とし、且つラミネート
後の製缶加工時における湾曲加工等が容易に行なえる様
に、適度の可撓性を有し、更には製缶時のシーム溶接や
フランジ加工、製缶後のインサイドコーティング処理、
内容物を封入したあとで行なわれる煮沸処理、あるいは
その後のレトルト処理等で受ける高熱に耐えるものとし
て、ポリエステル(A)に、ポリステル−ポリエーテル
ブロック共重合体(B)がポリエーテル成分換算で0.
1〜10重量%配合され、且つガラス転移温度が60℃
以上であるポリエステル系フィルムが使用される。
【0016】ポリエステル−ポリエーテルブロック共重
合体(B)の具体例としては、たとえばポリエチレンテ
レフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチ
レナフタレート等の芳香族ポリエステルとポリテトラメ
チレングリコールエーテル,ポリエチレングリコールエ
ーテル等とのブロック共重合体が挙げられる。これらの
なかには、他の成分としてイソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の酸成分;プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール等のグリコール成分;p−オキシ安息香酸等のオ
キシカルボン酸成分等が少量共重合されたものであって
も構わない。
【0017】またポリエステル(A)としては、ポリエ
チレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等が
例示されるが、これらの中でも特に好ましいのはポリエ
チレンナフタレートである。該ポリエステル(A)も、
他の成分として上記と同様の酸成分、グリコール成分、
オキシカルボン酸成分等を適量含むものであってもよ
い。
【0018】ポリエステル(A)に対する上記ポリエス
テル−ポリエーテルブロック共重合体(B)の配合割合
は、ポリエーテル成分換算で0.1〜10重量%(ポリ
エステル系フィルム全体に占める比率)の範囲に設定し
なければならず、ポリエステル−ポリエーテルブロック
共重合体(B)の配合量が不足するとフィルムの耐熱性
が不十分となり、後加工時の熱でフィルムが白化もしく
は脆化し、あるいは熱収縮を起こして変形しブリスター
状の凹凸が発生し、印刷面の美感が損なわれる。しかし
配合量が多過ぎるとラミネートフィルムの収縮が生じ、
且つラミネート段階で印刷ピッチが変形により一致せ
ず、加工不良率が著しく多くなる。又収縮によるヒケを
生じ所定のラミネート位置からズレを生じるので10重
量%以下に抑える必要がある。ポリエステル−ポリエー
テルブロック共重合体(B)のより好ましい配合量は、
ポリエーテル成分換算で0.2〜3.5重量%の範囲で
ある。
【0019】上記ポリエステル−ポリエーテルブロック
共重合体(B)が配合されるポリエステル(A)として
最も好ましいのがポリエチレンナフタレートであること
は先に述べた通りであるが、ラミネートフィルムの熱劣
化や熱変形等をより効果的に防止するには、該ポリエス
テル系フィルム全量中に占めるポリエチレンナフタレー
トの含有量を10〜99.9重量%に設定するのがよ
い。
【0020】本発明では、上記の様にポリエステル系フ
ィルムとしてポリエステル(A)に特定量のポリエステ
ル−ポリエーテルブロック共重合体(B)を配合したも
のを使用することによって、ラミネートフィルムとして
の白化、脆化および熱変形等を抑制し、該フィルムに設
けられる印刷インキ層を鮮明且つ美麗に維持するもので
あるが、たとえばレトルト商品用容器として使用する場
合における熱水処理時の白化現象をより確実に防止する
には、ポリエステル(A)として極限粘度が0.57〜
1.7、より好ましくは0.6〜1.5、更に好ましく
は0.65〜1.1のポリエステルを使用するのがよ
い。
【0021】また該ポリエステル系フィルムは、融点が
175℃程度以上のものが好ましく、且つ金属板にラミ
ネートした後における収縮応力の発生ピーク温度が、ラ
ミネート後の後加工々程で受ける最高温度よりも低く、
しかも成形前におけるラミネートフィルムの内部応力が
後加工々程で受ける最高温度、通常120〜350℃に
おいて0.25Kg/mm2以下であるものが好ましく、これ
らの要件を満たすポリエステル系フィルムを使用すれ
ば、製缶時のシーム溶接やフランジ加工、製缶後のイン
サイドコーティング処理、煮沸処理、レトルト処理など
の際に受ける熱によってピンホール欠陥が生じたり、フ
ィルムが溶融もしくは軟化収縮して平滑性を喪失したり
光沢を失い、更には該フィルムにブリスター状の凹凸や
ストレスクラック、デラミネーション、結晶化による白
化現象等の欠陥が発生するのをより確実に防止すること
ができる。
【0022】このポリエステル系フィルム層1は、図1
に示す如く該フィルム層1の内側に印刷インキ層2を形
成する場合は、外面側から印刷インキ層2が透視できる
様に透明なものとすべきである。
【0023】次に印刷インキ層2は格別特殊なものでは
なく、従来の包装フィルム用等として用いられるあらゆ
るタイプの印刷インキを使用して形成することができ、
その形成法も常法に従って行なえばよいが、より好まし
いのは硬化タイプの耐熱性インキの使用である。
【0024】また金属板Mとのラミネート面側に形成さ
れる接着剤層3は、ドライラミネート法やサーマルラミ
ネート法等によって金属板Mに強固に接合し、且つ製缶
時のシーム溶接やその後の煮沸あるいはレトルト処理等
によって接合力を失なうことがない様、熱あるいは光な
どによって硬化する硬化性樹脂によって構成する。接着
剤層3の具体例としてはエポキシ系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルポリウレタ
ン系樹脂、イソシアネート系樹脂等、あるいはそれらの
各種変性樹脂を挙げることができ、これらは通常部分硬
化状態で接着剤層3を形成しておき、金属板Mにラミネ
ートした状態で完全硬化させる様にするのがよい。
【0025】更にこの図示例では、ポリエステル系フィ
ルム層1の最表面側に硬化耐熱層4が形成されているの
で、ラミネート用フィルムとしては耐熱性が著しく高め
られている。即ち印刷インキ層2の設けられるポリエス
テル系フィルム層1としては、前述の如く高耐熱性のポ
リエステル系配合樹脂が使用されるが、それでも当該樹
脂の融点をかなり超える温度の熱、例えば最高融点ピー
ク温度(Tm)に対しTm+5℃以上の温度の熱履歴を
後加工々程で受ける場合は、当該ポリエステル系フィル
ム層1が軟化したり熱変質し、あるいは内容物封入後の
熱処理やレトルト処理等により白化現象を起こして美感
を損なうことがあるが、図示例の如くポリエステル系フ
ィルム層1の表面に硬化耐熱層4を形成しておくと、該
硬化耐熱層4が耐熱保護層としての機能を発揮し、ポリ
エステル系フィルム層1の熱劣化や軟化に伴なう変形あ
るいは白化現象等をより確実に阻止することができる。
従って該硬化耐熱層4で保護することと合わせれば、ポ
リエステル系フィルム層1として比較的低軟化点の樹脂
を使用することも可能となる。
【0026】またこの場合は、硬化耐熱層4が最外面側
となって保護層としての機能を果たすので、たとえば図
2に示す如くポリエステル系フィルム層1と、該硬化耐
熱層4の間に印刷インキ層2を形成することも可能とな
る。
【0027】この様な硬化耐熱層4の構成材としては、
軟化点もしくは分解温度が250 ℃以上、より好ましくは
300 ℃以上のものが使用され、たとえばシリコーン系樹
脂、エポキシ系樹脂、尿素系樹脂、アクリル系樹脂、ウ
レタン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系
樹脂、あるいはそれらの各種変性樹脂などの如き種々の
硬化反応性樹脂もしくは紫外線硬化性樹脂等が使用され
る。しかし好ましくは、印刷インキ層2によってもたら
される美感を阻害することのない様、透明なものを使用
すべきである。またその厚さは0.5 〜10g/m2、より好ま
しくは0.5 〜5g/m2の範囲であり、薄過ぎる場合は表面
保護効果が十分に発揮され難く、一方厚すぎると曲げ加
工時に該硬化耐熱層4にクラックが生じ易くなる。
【0028】本発明のラミネート用フィルムは上記少な
くとも2層以上の積層構造を有する積層フィルムであ
り、これは前述の如く金属板上にドライラミネート法や
サーマルラミネート法等によってラミネートされる。こ
のとき、たとえば図3に示す如く該金属板Mのラミネー
ト面側に、透明もしくは着色されたコート層(あるいは
プライマー層)5を予め形成しておいてからラミネート
する方法を採用すれば、ラミネート用フィルムとの接着
性が更に高められると共に、ラミネート速度を一段と高
めることができる。
【0029】特に該コート層5を着色しておけば、それ
によって金属板の地色が隠蔽され印刷インキ層2によっ
てもたらされる鮮明度が一段と向上すると共に、ラミネ
ート強度も高められるので好ましい。下地層として形成
される該コート層5の色は、印刷インキ層2の彩色に応
じて適当に選定すればよいが、白色のものとすれば、ど
の様な彩色の印刷インキ層2に対しても一様に優れた鮮
明度向上効果が発揮されるので好ましい。
【0030】この様にして得られるラミネート用フィル
ムを前述の様な方法で金属板上あるいはコート層の形成
された金属板上にラミネートすると、美粧化された金属
板を得ることができ、これはそのままの状態で様々のパ
ネル材や美粧外板材等として使用できるばかりでなく、
これを常法に従って製缶すると、極めて美麗で意匠性の
高い金属容器を得ることができる。
【0031】尚これまでの説明では、印刷インキ層によ
って与えられる優れた彩色、色調を金属容器等の外面側
の美粧化に活用する方法として述べてきたが、こうした
思想は金属容器のインサイドコート形成にも有効に活用
することができる。但しインサイドコートは、金属容器
内面の腐食防止あるいは金属イオンの溶出防止を目的と
するものであって、印刷インキ層形成による美感の向上
は全く不要である。従って金属板の表面側には印刷イン
キ層を設けたポリエステル系フィルムをラミネートし、
金属板の反対面側(即ち金属容器の内面側に相当する
側)には、耐食性で且つ金属イオン溶出防止効果を有す
るポリエステル系フィルムを同様にしてラミネートした
両面ラミネート金属板とし、これを、印刷インキ層の形
成されたラミネートフィルムを表側にして製缶すれば、
インサイドコート層の形成された金属容器を一段工程で
得ることができ、製缶後のインサイドーコーティング処
理を省略することが可能となる。
【0032】図4はこうした構成の両面ライニング金属
板を例示するものであって、金属板Mの片面側に接着剤
層3、印刷インキ層2、ポリエステル系フィルム層1、
硬化耐熱層4からなるラミネート層が形成され、その反
対面側には、硬化耐熱層4aが形成されたポリエステル
系フィルム層1aが接着剤層3aを介してラミネートさ
れている。
【0033】ここでインサイドコート層を構成するポリ
エステル系フィルムは、特に白化等による外観劣化など
が問題にならないので、通常のポリエステル系フィルム
を使用できるが、インサイドコート層についても同様の
耐熱性を与える意味では、前記と同様のポリエステル−
ポリエーテルブロック共重合体が配合されたポリエステ
ル系フィルム、特にポリエチレンナフタレート等を主体
とするものを使用することが望まれる。
【0034】本発明は以上の様に構成されるが、その特
徴を従来から実施されている金属板上に直接印刷し焼付
けを行なう方法と対比して整理すると下記の通りであ
る。
【0035】(1) 高級感のある印刷の実現 金属板へ直接印刷する方法では、先に述べた様に鮮明度
に欠けると共にハーフトーン印刷や写真印刷が困難であ
り、単調な印刷しか得られないが、本発明ではフレキシ
ブルなポリエステル系フィルムに印刷を施してからラミ
ネートする方法であるから、印刷の鮮明度が高く且つハ
ーフトーン印刷や写真印刷、多重印刷による立体感の付
与等も容易であり、高級感を持った幅広い彩色、色調の
印刷が可能となる。
【0036】(2) 高速印刷の達成 従来法では、前述の如く印刷インキの乾燥乃至硬化に要
する時間が製缶工程の律速となるため、製缶速度を十分
に高めることができないが、本発明では印刷されたラミ
ネート用フィルムを予め準備しておき、これを製缶ライ
ンに持ち込んで金属板に対して連続的にラミネートする
ことができるので、製缶速度を著しく高めることができ
る。
【0037】(3) 光沢性の向上 従来法でも、金属板への印刷・焼付けの後、オーバーコ
ート層を形成することによってある程度光沢を高めるこ
とができるが、オーバーコート層についてはきめの細か
いコーティングが困難であり、また乾燥時の熱収縮によ
ってコーティング層表面に微細な凹凸ができるため、満
足な光沢が得られ難い。これに対し本発明では、ポリエ
ステル−ポリエーテルブロック共重合体の混入されたポ
リエステル系フィルムをラミネート用フィルム基材とし
て使用し、最表面層として硬化耐熱層を形成しているの
で、ラミネートフィルムの白化、脆化、熱収縮による変
形等を防止することができ、必要によっては更にラミネ
ート用フィルムの製造工程で鏡面ロールで処理すること
によって平滑度の高いフィルムを得ることができ、加え
てラミネート工程ではフィルムにストレッチが作用する
ほか、その後の曲げ加工々程で外面側が若干引き伸ばさ
れるので、製缶状態でのラミネートフィルム最表面の平
滑度は一段と高まり、極めて優れた光沢が得られる。殊
に本発明では、ラミネート用フィルムの最表面層として
硬化耐熱層が形成されているので、ベースフィルムの融
点近傍の高温に曝らされた場合でも光沢を失なうことが
なく、極めて鮮明で美麗な外観が保たれる。
【0038】(4) 耐スクラッチ性及び防汚性の向上 従来例の場合、固い金属上に印刷されたインキ層は引掻
き等によって容易に傷つき、印刷インキの脱落等が生じ
易いが、本発明では最表面層として硬化耐熱層が形成さ
れているので、インキの脱落やスクラッチ等を生ずるこ
とも防止できる。またこぼれ出た内容物(飲料、スープ
等の液体)や外部からの汚染物による印刷インキ層の汚
染が起こらない。
【0039】(5) 美粧化された金属板あるいは金属容器
の低コスト化 金属板やその円筒成形体に印刷する方法では、印刷ミス
が生じると、当該印刷された金属板や円筒成形体のすべ
てが不良品となる。つまり付加価値の高い状態に至って
からロスを生ずることになる。しかしながら本願発明で
はポリエステル系フィルムへの印刷段階でその良否を選
別することができ、且つ樹脂フィルムへの印刷技術は著
しく高度化しており不良品発生率は極めて少なく、また
印刷ミスを生じたとしても付加価値の低い状態であるた
め、損失を最小限に抑えることができる。またフィルム
への印刷及び該フィルムの金属板へのラミネートも高速
で行なうことができるので高速生産が可能であり、こう
した観点からしても製品価格を下げることができる。
【0040】(6) 多品種生産への対応 従来例では一旦金属板等に印刷してしまうとその用途・
目的にしか使用できないが、本発明のラミネート用フィ
ルムは、同一サイズのものであれば他の金属板や成形体
に対しても同様にラミネートすることができ、同一品種
大量生産はもとより、多品種少量生産への対応も容易で
ある。
【0041】(7) 耐熱変色性の向上 ラミネート用フィルム基材として特定量のポリエステル
−ポリエーテルブロック共重合体の配合されたポリエス
テル系フィルムを使用し、且つ最表面層として硬化耐熱
層が形成されているので、製缶時のシーム溶接やフラン
ジ加工、製缶後の煮沸処理やレトルト処理等で相当の熱
を受けた場合でも、ラミネートフィルム層が白濁したり
変色、脆化、色斑等を起こすことがない。また高温の熱
履歴を受けた場合でも、表面に熱収縮による凹凸変形
や、気泡、浮き上り等を生じることがなく、鮮明且つ美
麗な外観が維持される。
【0042】(8) 裏面側も硬化 耐熱層によって耐熱強化したポリエステル系フィルムを
ラミネートし、これを、印刷インキ層の形成されたフィ
ルムのラミネート面側を外側にして製缶すれば、製缶と
同時にインサイドコート層を形成することができ、これ
により製缶後のインサイドコーティング処理を省略する
ことが可能となる。
【0043】次に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前述の趣旨を逸脱しない限度に
おいて変更して実施することはいずれも本発明の技術的
範囲に含まれる。
【0044】
【実施例】実施例1,比較例1 極限粘度が0.80であるポリエチレンテレフタレート
(ガラス転移温度:65℃)とポリエチレンテレフタレ
ート−ポリテトラメチレングリコールエーテルブロック
共重合体とを、ポリテトラメチレングリコールエーテル
成分としての含有量が4重量%となる様に配合し、成膜
及び2軸延伸して得た厚さ12μm のフィルム(200℃
における収縮応力:0.5kg/mm2 )の片面に、アルキド樹
脂と滑剤を混合した組成物を固形分で2g/m2となる様に
コーティングして硬化させ硬化耐熱層を形成した。次い
で該フィルムの硬化耐熱層とは反対側の面に印刷を施し
た後、該印刷インキ層の上に接着剤(東洋インク社製の
ポリウレタン系接着剤「アドコート」および硬化剤の混
合物)を固形分換算で4g/m2コーティングし、乾燥し4
0℃で24時間エージングしてラミネート用フィルムを
得た。
【0045】また比較例1として、極限粘度が0.58
のポリエチレンテレフタレート2軸延伸フィルムを用い
た以外は上記と全く同様にして比較ラミネート用フィル
ムを得た。
【0046】得られた各ラミネート用フィルムと、極限
粘度が0.80のポリエチレンテレフタレート(ガラス
転移温度:65℃)よりなる2軸延伸フィルムの片面に
上記と同様の接着剤層を設けたラミネート用フィルムを
使用し、これらを脱脂処理した冷延鋼板の両面にサーマ
ルラミネート法によってラミネートし、両面ラミネート
鋼板を得た。
【0047】このラミネート鋼板を使用し、印刷インキ
層の形成されたフィルムのラミネート面を外側にして常
法により清涼飲料用の金属容器を作成したところ、得ら
れた容器の外面側ボデー部のラミネート面は鮮明で光沢
に富んだ美しい外観と優れた光沢を有しており、内面側
にはポリエステル系フィルムをインサイドコート層とす
る内外面ラミネート金属容器が得られた。
【0048】尚上記製缶工程では、ラミネート用フィル
ムに270℃以上の熱を加えた。それにより該フィルム
のポリエステル系フィルムは溶融しているものと思われ
るが、アルキド樹脂よりなる硬化耐熱層によって保護さ
れているため収縮変形や光沢の低下、及び印刷インキ層
の変質は殆んど認められなかった。またこの容器を10
0℃の熱水及び125℃の水蒸気で処理したが、ラミネ
ート用フィルム層の白濁や熱劣化は全く認められず、美
しい外観が損なわれることはなかった。また缶内面側の
インサイドコート層にも変質は見られなかった。
【0049】これに対し比較例1では温度が280℃以
上になると若干フィルムの自由端やネック部の絞り部等
の浮きや凹凸が発生する傾向がみられ、本発明によれば
これらの問題を防止できることがわかった。また比較例
1では印刷面が白濁し、光沢が失われると共に色調も鮮
明さを欠き、又接合部のフィルム自由端は熱変形により
凹凸が生じた。
【0050】比較例2 前記実施例1において、ポリエチレンテレフタレート−
ポリテトラメチレングリコールエーテル共重合体を、ポ
リテトラメチレングリコールエーテル成分としての含有
量が15重量%になるように配合した以外は実施例1と
同様にして成膜及び2軸延伸を行ない、得られた厚さ1
2μmのフィルム(200℃における収縮応力:0.03kg
/mm2)を同様にして加工した。得られたフィルムを使用
し、実施例1と同様にして得た金属ラミネート板に27
0℃以上の熱を加えたところ、表面に硬化耐熱層がある
にも拘らず、印刷面の光沢は低下し、且つ平滑性を失っ
てクラック状の表面となった。またラミネート端部のフ
ィルムは収縮して初期の位置から移動し、部分的に剥離
を起こした。しかもラミネート工程では皺が入り易く、
テンションをかけると伸び変形を生じることが確認され
た。またその後の加熱工程では、印刷図柄が初期のピッ
チから縮小され、応力が低いにも拘らず実用に供し得な
いことがわかった。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、前
記(1) 〜(8) で記載した様に、ラミネートフィルム層は
優れた耐熱性を有していると共に、最表面層は硬化耐熱
層で保護されているので、ベース樹脂の融点以上の高温
処理を施した場合でも白濁したり熱変形による外観劣化
を生じることがなく、ハーフトーンや写真印刷、多重印
刷による立体感の付与等が容易で高級感のある美麗な金
属板もしくは金属容器を優れた生産性のもとで安価に提
供することができ、更には印刷インキの脱落やスクラッ
チ等を生ずることがなく、且つ高光沢で耐汚染性、耐熱
性等に優れた美粧金属板及び美粧金属容器を与えるラミ
ネート用フィルムを提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラミネート用フィルムの積層構造
を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る他のラミネート用フィルムの積層
構造を示す断面説明図である。
【図3】本発明に係る更に他のラミネート用フィルムの
積層構造を示す断面説明図である。
【図4】本発明のラミネート用フィルムを用いた両面ラ
ミネート金属板を例示する断面説明図である。
【符号の説明】
1,1a ポリエステル系フィルム層 2 印刷インキ層 3,3a 接着剤層 4,4a 硬化耐熱層 5 コート層(又はプライマー層) M 金属板

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを主体とし、これにポリエ
    ステル−ポリエーテルブロック共重合体をポリエーテル
    成分換算で0.1〜10重量%含有すると共に、ガラス
    転移温度が60℃以上であるポリエステル系フィルムよ
    りなる基層と、最表面層として軟化点もしくは分解温度
    が250℃以上の硬化耐熱層を有していることを特徴とす
    る金属板へのラミネート用フィルム。
  2. 【請求項2】 上記基層の片面側に上記硬化耐熱層、他
    方面側に硬化性樹脂からなる接着剤層が形成されている
    請求項1に記載のラミネート用フィルム。
  3. 【請求項3】 上記基層の片面側に印刷インキ層を介し
    前記硬化耐熱層が形成されている請求項1または2に
    記載のラミネート用フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステル系フィルムが、ポリエ
    チレンナフタレートを10〜99.9重量%含有するも
    のである請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート用
    フィルム。
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