JPH0625872B2 - 加熱加圧定着用の静電荷像現像用トナー - Google Patents

加熱加圧定着用の静電荷像現像用トナー

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JPH0625872B2
JPH0625872B2 JP63044354A JP4435488A JPH0625872B2 JP H0625872 B2 JPH0625872 B2 JP H0625872B2 JP 63044354 A JP63044354 A JP 63044354A JP 4435488 A JP4435488 A JP 4435488A JP H0625872 B2 JPH0625872 B2 JP H0625872B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子写真,静電記録,静電印刷などにおける
静電荷像を現像するためのトナーに関し、特に粉砕によ
る製造方法で得られた熱ローラー定着の如き加熱加圧定
着法に適する静電荷像現像用トナーに関する。
[従来の技術] 従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明細
書、特公昭42-23910号公報及び特公昭43-24748号公報等
に記載されている如く多数の方法が知られているが、一
般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体
上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用い
て現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転
写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気などに
より定着し複写物を得るものであり、そして感光体上に
転写せず残ったトナーは種々の方法でクリーニングさ
れ、上述の工程が繰り返される。
近年このような複写装置は、単なる一般にいうオリジナ
ル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけで
なく、コンピューターの出力としてのプリンターあるい
は個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始め
た。
そのため、より小型,より軽量そしてより高速、より高
信頼性が厳しく追究されてきており、機械は種々な点に
よりシンプルな要素で構成されるようになってきてい
る。その結果、トナーに要求される性能はより高度にな
り、トナーの性能向上が達成できなければよりすぐれた
機械が成り立たなくなってきている。
例えばトナー像を紙などのシートに定着する工程に関し
て種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般
的な方法は熱ローラーによる圧着加熱方式である。
加熱ローラーによる圧着加熱方式はトナーに対し離型性
を有する材料で表面を形成した熱ローラーの表面に被定
着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら通過せし
めることにより定着を行なうものである。この方法は熱
ローラーの表面と被定着シートのトナー像とが加圧下で
接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際
の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことが
でき、高速度電子写真複写機において非常に有効であ
る。しかしながら上記方法では、熱ローラー表面とトナ
ー像とが溶融状態で加圧下で接触するためにトナー像の
一部が定着ローラー表面に付着,転移し、次の被定着シ
ートにこれが再転移して所謂オフセット現象を生じ、被
定着シートを汚すことがある。熱定着ローラー表面に対
してトナーが付着しないようにすることが熱ローラー定
着方式の必須条件の1つとされている。
従来、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的
で、例えばローラー表面をトナーに対して離型性のすぐ
れた材料、シリコンゴムや弗素系樹脂などで形成し、さ
らにその表面にオフセット防止及びローラー表面の疲労
を防止するためにシリコンオイルの如き離型性の良い液
体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われてい
る。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防
止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液
体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑
になること等の問題点を有している。
これは小型化,軽量化と逆方向であり、しかもシリコン
オイルなどが熱により蒸発し、機内を汚染する場合があ
る。そこでシリコンオイルの供給装置などを用いない
で、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体
を供給しようという考えから、トナー中に低分子量ポリ
エチレン,低分子量ポリプロピレンなどの離型剤を添加
する方法が提案されている。充分な効果を出すために多
量にこのような添加剤を加えると、感光体へのフィルミ
ングやキャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を
汚染し、画像が劣化し実用上問題となる。そこで画像を
劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加し、
若干の離型性オイルの供給もしくはオフセットしたトナ
ーを巻きとり式の例えばウェブの如き部材を用いた装置
でクリーニングする装置を併用することが行われてい
る。
しかし最近の小型化,軽量化,高信頼性の要求を考慮す
るとこれらの補助的な装置すら除去することが必要であ
り好ましい。従ってトナーの定着,オフセットなどのさ
らなる性能の向上がなければ対応しきれず、それはトナ
ーのバインダー樹脂のさらなる改良がなければ実現する
ことが困難である。トナーのバインダー樹脂の改良に関
する技術として、例えば特公昭51-23354号公報に結着樹
脂として架橋された重合体を用いたトナーが提案されて
いる。その方法に従えば耐オフセット性及び耐まきつき
性の改良には効果があるが、反面架橋度をますと定着点
が上昇してしまい、充分定着温度が低くて耐オフセット
性及び耐まきつき性が良好で且つ十分な定着特性のもの
は得られていない。一般的に定着性を向上させるために
は、バインダー樹脂を低分子量化して軟化点を低下させ
ねばならず、耐オフセット性の改善処置とは相反するこ
とになり、また低軟化点とするために必然的に樹脂のガ
ラス転移点が低下し保存中のトナーがブロッキングする
という好ましくない現象もおこる。
これに対して、特開昭56-158340号公報に低分子量重合
体と高分子量重合体とよりなるトナーが提案されている
が、このバインダー樹脂は実際には架橋成分を含有させ
ることが難しく、より高性能に耐オフセット性を向上さ
せるためには、高分子量重合体の分子量を大きくするか
比率を増す必要がある。この方向は粉砕性を著しく低下
させる方法であり、実用上満足するものは得られにく
い。さらに低分子量重合体と架橋した重合体とをブレン
ドしたトナーに関し、例えば特開昭58-86558号公報に低
分子量重合体と不溶融性高分子量重合体を主要樹脂成分
とするトナーが提案されている。その方法に従えば定着
性及び粉砕性の改良は行われる傾向にあるが、低分子量
重合体の重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が3.5以
下と小さいこと及び不溶不融性高分子量重合体の含有量
が40〜90wt%と多量であることにより、耐オフセット性
と粉砕性を共に高性能で満足することが難しく、実際上
はオフセット防止用液体の供給装置をもつ定着器用でな
ければ定着性(特に高速定着)、耐オフセット性、粉砕
性を充分満足するトナーを生成することは極めて困難で
ある。
さらに不溶不融性高分子量重合体が多くなると、トナー
作成時の熱混練で溶融粘度が非常に高くなるため通常よ
りはるかに高温で熱混練するか、あるいは高シェアで熱
混練しなければならず、その結果前者は他の添加剤の熱
分解によるトナー特性の低下、後者はバインダー樹脂の
分子の過度な切断が起り、当初の耐オフセット性能が出
にくいという問題を有している。
また特開昭60-166958号公報に、数平均分子量(Mn)500〜
1,500である低分子量のポリα−メチルスチレンの存在
下で重合して得られる樹脂組成分からなるトナーが提案
されている。
特に該公報では、数平均分子量(Mn)が9,000〜30,000の
範囲で好ましいとあるが、耐オフセット性をより向上さ
せるためMnを大きくしていくと定着性及びトナー製造時
の粉砕性が実用上問題となり、故に高性能に耐オフセッ
ト性と粉砕性を満足することは難しい。このようにトナ
ー製造時における粉砕性の悪いトナーは、トナー製造時
の生産効率が低下する他、トナー特性として粗いトナー
が混入しやすいため飛びちった画像となる場合があり好
ましくない。
また特開昭56-16144号公報にGPCによる分子量分布にお
いて、分子量103〜8×104及び分子量105〜2×106のそ
れぞれの領域に少なくとも1つの極大値をもつ結着樹脂
成分を含有するトナーが提案されている。この場合、粉
砕性,耐オフセット性,定着性,感光体へのフィルミン
グや融着,画像性などすぐれているが、さらにトナーに
おける耐オフセット性及び定着性の向上が要望されてい
る。特に定着性をより向上させて他の種々の性能を保つ
か、あるいは向上させつつ今日の厳しい要求に対応する
のは該樹脂ではむずかしい。
このように定着に関わる性能と粉砕性を共に高性能で実
現することは極めて困難である。特にトナー製造時にお
ける粉砕性は、複写画像の高品位化,高解像化,高細線
再現性の要望によりトナーの粒径をより小さくしていく
今日の方向に重要な因子であり、また粉砕工程はひじょ
うに大きなエネルギーを要するため粉砕性の向上は省エ
ネルギーの面からも重要である。
また粉砕装置内壁へのトナーの融着現象も定着性能の良
いトナーに発生しやすく、そのため粉砕効率を悪くす
る。さらに別な側面として他の複写工程において、転写
後の感光体上に残ったトナーをクリーニングする工程が
ある。今日、装置の小型化,軽量化,信頼性の面からブ
レードによるクリーニング(ブレードクリーニング)が
一般的になっている。感光体の高寿命化と感光体ドラム
などの小型化及びシステムの高速化に伴い、トナーに要
求される感光体に対する耐融着,耐フィルミング性など
が厳しくなっている。特に最近実用化されてきたアモル
ファスシリコン感光耐はひじょうに高耐久性であり、ま
たOPC(有機感光体)も寿命が延びてきており、そのた
めトナーに要求される諸性能はより高度になってきてい
る。
また小型化はせまい所に各要素をうまく納めていくこと
をしなければならない。そのため空気がうまくながれる
空間が少なくなる上、定着器や露光系の熱源がトナーホ
ッパーやクリーナーと非常に接近するため、トナーは高
温雰囲気にさらされる。そのため、より優れた耐ブロッ
キング性を有するトナーでないと実用化できなくなって
きた。
添付の第7図に示すように、トナーに要求される諸性能
は相反する場合がほとんどであり、しかもそれらを共に
高性能に満足することがますます望まれ、研究されてい
るが、未だ充分なものがない。
[発明が解決しようとする課題] 一方現像性に関しては、前述の種々の定着特性を満足す
ることを前提として、長期にわたる連続複写でもカブリ
がなく鮮明で、しかも高画像濃度を維持し、環境変動に
影響されない高画質画像を与えるトナーが望まれてい
る。
特に複写スピードが中〜高速である複写機では、初期か
ら長期にわたってカブリがなく鮮明な高濃度の画像が安
定して得られる必要があり、さらに環境変化に影響され
ないことが必要である。従来、耐オフセット,巻き付
き,低温定着,耐ブロッキングなどの一連の定着特性に
優れ、また、粉砕性,添加剤分散性にも優れたトナー用
バインダーレジンを目的に種々のレジンが提案そして改
良されてきたが、トナーを作成する際にある種の荷電制
御剤をそのバインダーレジンに組合わせると、長期にわ
たる複写のくり返しによって、複写機の現像器のスリー
ブ(現像スリーブ)がトナーに由来する物質によって汚
染され、画像濃度が、初期に比べて低下する現象が発生
する。この現象は中〜あるいは高速複写機に対応するト
ナーで特に問題となりその解決が望まれている。
さらに長期にわたる複写のくり返しによって画像濃度低
下が生じるトナーは、時として環境依存性があり、特に
高温,高湿環境下においてトナー自身の摩擦帯電能が低
下して、画像濃度低下が発生しその早期解決も望まれて
いる。
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したトナーを
提供するものである。
以下に本発明の目的を列挙する。
本発明の目的は、オイルを塗布しない熱ローラー定着方
式の如き加熱加圧定着法に適したトナーを提供すること
にある。
本発明の目的は、ブレードを用いたクリーニング方式に
適したトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し得、且つ耐オフセッ
ト性のすぐれたトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し、感光体への融着,
フィルミングが高速システムにおいても、また長期間の
使用でも発生しないトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し且つ耐ブロッキング
性がすぐれ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充分使
え得るトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し且つトナーの製造時
のおける粉砕工程での装置の内壁への粉砕物が融着しな
いため、効率よく連続で生産できるトナーを提供するこ
とにある。
本発明の目的は、耐オフセット性がすぐれ且つ粉砕性が
すぐれているため、生産効率が良いトナーを提供するこ
とにある。
本発明の目的は、耐オフセット性がすぐれ且つ粉砕性が
すぐれているため、生産効率が良いトナーを提供するこ
とにある。
本発明の目的は、耐オフセット性がすぐれ、またテトラ
ヒドロフラン(THF)不溶分が必要以上に多くなく、トナ
ーの熱混練工程で変質,劣化しないトナーを提供するこ
とにある。
本発明の目的は、粉砕性が良いため粗粉などの発生が少
なく、そのため画像のまわりのとびちりが少なく、安定
した良好な現像画像を形成し得るトナーを提供すること
にある。
本発明の目的は特に高速複写機において長期にわたる連
続複写に対して優れた耐久性をもち、カブリのない鮮明
な高画像濃度を維持するトナーを提供することにある。
本発明の目的は、環境変動に影響されにくいカブリのな
い鮮明な高画像濃度を安定して与えるトナーを提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は、ビニル系重合性モノマーに可溶な
第1の重合体を該ビニル系重合性モノマーに溶解し、該
第1の重合体,該ビニル系重合性モノマー及びアゾ系重
合開始剤を少なくとも含有するビニル系重合性モノマー
組成物を懸濁重合法により重合することによって調製さ
れたビニル系バインダー樹脂であり、 該ビニル系バインダー樹脂のTHF不溶分が10〜60重量
%未満(ビニル系バインダー樹脂基準)であり、THF
可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分
子量/数平均分子量(Mw/Mn)≧5であり、分子量2,000〜
10,000の領域にメインピークを有し、且つ分子量15,000
〜100,000の領域にピーク又は肩を少なくとも1つ有
し、分子量10,000以下の成分の含有量がビニル系バイン
ダー樹脂に対し10〜50重量%である該ビニル系バインダ
ー樹脂と、含窒素荷電制御剤とを少なくとも含有し、且
つ安息香酸の含有量が500ppm以下であることを特徴とす
る加熱加圧定着用の静電荷像現像用トナーに関する。
本発明について以下に詳細に説明する。
前記のような目的を同時に達成するため種々のバインダ
ー樹脂を用い、その構成と性能についてさまざまの角度
から鋭意検討した。その結果バインダー樹脂のTHF不溶
分の割合と、THF可溶分の分子量分布の特定の構成のと
きに達成できることを見出した。バインダー樹脂をTHF
などの溶剤で溶かすと不溶分と可溶分に分離でき、可溶
分はGPCで分子量分布を測定することができる。THF不溶
分とTHF可溶分の分子量分布のピークの位置に着目する
と、その位置と粉砕性の関係は第8図に示すとおりであ
る。これからTHF不溶分がないかまたは少ない系は粉砕
性においてひじょうに不利であり、前述したように粉砕
性を良化するためTHF可溶分の分子量分布のピークの位
置を単純に低分子量の位置に移行させていく方向は耐オ
フセット性を悪化させ、耐オフセット性と粉砕性をとも
に満足することが難しいということを裏付けている。
この検討から、通常考えられているようにTHF不溶分は
耐オフセット性のためだけでなく、粉砕性を良化する目
的でも特定量含有させることはひじょうに有効であるこ
とが判明した。
さらにTHF可溶分の分子量分布と定着可能温度が高いか
低いかという性質(以後、単に定着性という)、耐オフ
セット性,粉砕性,耐ブロッキング性について検討し
た。その結果、例えば第9図のようにGPC分子量分布で
の分子量約10,000以下と約10,000以上の分子量を有する
成分の働きが異なることを見い出した。すなわちバイン
ダー樹脂全体に対する分子量10,000以下の分子量を有す
る成分の含有割合は、通常言われているように定着性あ
るいは耐オフセット性を強く左右するのではなく、特定
範囲ではどちらかというとほとんど関係せず、かわりに
粉砕性に強く関係していることが判明した。
さらに他の検討などからバインダー樹脂は、基本的には
THF不溶分が主に耐オフセット性,まきつき性,粉砕性
に影響を与え、そしてTHF可溶分の分子量10,000以下の
成分が主に粉砕性,ブロッキング性,感光体への融着
性,フィルミング性そして粉砕装置内壁への融着に影響
を与え、さらにTHF可溶分の分子量10,000以上の成分が
主に定着性を左右していることが判明した。そして分子
量10,000以下の成分の割合は、10〜50wt%が良く、好ま
しくは20〜39wt%である。充分な性能を出すためには、
さらに分子量10,000以下であり2,000以上(好ましくは
2,000〜8,000)の領域にピークを有し、分子量15,000〜
100,000(好ましくは20,000〜7,000)の領域にピークも
しくは肩が必要である。2,000〜10,000にピークがなく
分子量2,000以下にピークがあるが、分子量10,000以下
の成分の割合が50wt%以上であると、耐ブロッキング
性,感光体への融着,フィルミング,粉砕装置内壁への
融着などがやや問題となる。分子量10,000以下にピーク
がなく10,000以上にピークがあるが、分子量10,000以下
の成分の割合が10wt%以下であると特に粉砕性が問題と
なり、粗粒子の生成も問題となる。
また分子量15,000以上の領域にピークもしくは肩がな
く、分子量15,000以下の領域のみにピークがある場合は
耐オフセット性が問題となる。分子量15,000〜100,000
の領域にピークもしくは肩がなく、かつ100,000以上に
メインピークがあると粉砕性が問題となる。
さらにTHF可溶分はMw/Mn≧5であることが必要であり、
Mw/Mnが5以下になると耐オフセット性が低下する傾向
が高まり問題となる。
好ましくはMw/Mnが80以下が良く、さらに好ましくは10
≦Mw/Mn≦60が良い。
特にMw/Mnが10≦Mw/Mn≦60であると粉砕性,定着性,耐
オフセット性,画像性など種々の特性において特にすぐ
れた性能を示す。
なおここでMwとは後述のGPCによって測定された重量平
均分子量であり、Mnとは同様の測定による数平均分子量
である。
そして、さらにトナーのバインダー樹脂のTHF不溶分は1
0〜60wt%が必要である。THF不溶分が10wt%以下だと耐
オフセット性が問題となり、60wt%以上だとトナー製造
時の熱混練による分子鎖切断などの劣化の問題を生じ
る。好ましくはTHF不溶分の含有量は15〜49wt%が粉砕
性及び耐オフセット性の点で良い。
またTHF可溶分の分子量分布の1万以下の分子量分の樹
脂のガラス転移点Tg1とトナー全体のガラス転移点Tgt
比較したとき、Tg1≧Tgt−5の関係になると定着性,粉
砕性,感光体への融着,フィルミング性,粉砕装置内壁
への融着性、耐ブロッキング性などがより良好になる。
ここでいうTg1とは次の方法により測定されたものであ
る。温度25℃にてTHFを毎分7mlの流速にて流し、トナ
ーのTHF可溶成分の濃度約3mg/mlのTHF試料溶液を3ml
程度分子量分布測定装置に注入し、分子量1万以下の成
分を分取する。分取の後、溶媒を減圧留去し、さらに90
℃雰囲気中減圧で24時間乾燥する。分子量1万以下の成
分が20mg程度得られるまで上記操作を繰り返し行い、50
℃で48時間のアニーリングを行い、この後に示差走査熱
量測定法によりTgを測定し、この値をTg1とする。この
時の測定は、一般に知られているASTMD3418-82法に準
じ、行った。すなわち、10℃/minの昇温測定で120℃以
上に昇温し、さらに約10分間保持し、これを0℃に急冷
し、そこで10分間保持後、10℃/minで昇温し、吸熱カー
ブを得る。Tgは、ベースラインの中間線と交曲線の交点
をもって定義される。
分取用カラムとしてはTSKgel G2000H,TSKgelG2500H,TSK
gel G3000H,TSKgel G4000H(共に東洋曹達工業(株))
等が用いられるが、本発明ではTSKgel G2000HとTSKgel
G3000Hを組み合せて用いた。
またトナーのTgであるTgtの値はトナーを50℃,48時間
アニーリングし、その後示差走査熱量測定法により求め
る。
本発明の最も好ましい態様は、第1図に示すように、TH
F可溶分のGPC分子量分布において、分子量15,000〜100,
000の領域にある最も高いピークの高さをh2、分子量2,0
00〜10,000の領域にある最も高いピークの高さをh1とす
ると、h1/h2の比が0.4〜4.0/1を有するバインダー樹脂
を含有するトナーである。また、さらにTHF可溶分の数
平均分子量について、2,000≦Mn≦9,000が好ましい。Mn
<2,000だとオフセット性などが問題となり、9,000<Mn
だと粉砕性及び定着性が問題となってくる。
本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中のT
HF溶媒に対して不溶性となったポリマー成分(実質的に
架橋ポリマー)の重量割合を示し、架橋成分を含む樹脂
組成物の架橋の程度を示すパラメーターとして使うこと
ができる。THF不溶分とは、以下のように測定された値
をもって定義する。
すなわち、トナーサンプル0.5〜1.0を秤量し(W1g)、円
筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレ
ー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6
時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポ
レートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂
成分量を秤量する(W2g)。トナー中の磁性体あるいは顔
料の如き樹脂成分以外の成分の重量を(W3g)とする。THF
不溶分は、下記式から求められる。
本発明において、GPC(ゲルパーミェーションクロマト
グラフィ)によるクロマトグラムのピーク又は/および
ショルダーの分子量は次の条件で測定される。
すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化
させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テ
トラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度
として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を
50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあ
たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカ
ウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポ
リスチレン試料としては、例えばPressure Chemical C
o.製或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1
×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9
×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、
少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるの
が適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用
いる。
なお、カラムとしては103〜4×106の分子量領域を適確
に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複
数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styrag
el 500,103,104,105の組み合せや、昭和電工社製のShod
ex KF-80Mや、KF-802,803,804,805の組合せ、あるいは
東洋曹達製のTSKgel G1000H,G2000H,G2500H,G3000H,G40
00H,G5000H,G6000H,G7000H,GMHのうちの任意の組合せが
好ましい。
本発明の分子量10,000以下のバインダー樹脂に対する重
量%はGPCによるクロマトグラムの分子量10,000以下を
切りぬき、分子量10,000以上の切りぬきとの重量比を計
算し、前記のTHF不溶分の重量%を使い、全体のバイン
ダー樹脂に対する重量%を算出する。
本発明のトナーにおける樹脂組成物は、スチレン類,ア
クリル酸類,メタクリル酸類及びその誘導体から選ばれ
る1種以上のモノマーを重合して得られるものが現像特
性及び帯電特性等から好ましい。使用できるモノマーの
例としては、スチレン類としてスチレン,α−メチルス
チレン,ビニルトルエン,クロルスチレンなどがあげら
れる。アクリル酸類,メタクリル酸類及びその誘導体と
しては、アクリル酸,アクリル酸メチル,アクリル酸エ
チル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリ
ル酸オクチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリ
ル酸n−テトラデシル,アクリル酸n−ヘキサデシル,
アクリル酸ラウリル,アクリル酸シクロヘキシル,アク
リル酸ジエチルアミノエチル,アクリル酸ジメチルアミ
ノエチルなどのアクリル酸エステル類があげられ。同様
にメタクリル酸,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エ
チル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メ
タクリル酸アミル,メタクリル酸ヘキシル,メタクリル
酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸オクチル,メタク
リル酸デシル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸ラ
ウリル,メタクリル酸シクロヘキシル,メタクリル酸フ
ェニル,メタクリル酸2−ヒドロキシエチル,メタクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル,メタクリル酸ジメチルア
ミノエチル,メタクリル酸グリシジル,メタクリル酸ス
テアリルなどのメタクリル酸エステル類があげられる。
前述のモノマー以外に、本発明の目的を達成しうる範囲
で少量の他のモノマー、例えばアクリロニトリル,2-ビ
ニルピリジン,4−ビニルピリジン,ビニルカルバゾー
ル,ビニルメチルエーテル,ブタジエン,イソプレン,
無水マレイン,マレイン酸,マレイン酸モノエステル
類,マレイン酸ジエステル類,酢酸ビニルなどが用いら
れても良い。
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2官能の
架橋剤として、ジビニルベンゼン,ビス(4-アクリロキ
シポリエトキシフェニル)プロパン,エチレングリコー
ルジアクリレート,1,3−ブチレングリコールジアクリ
レート,1,4−ブタンジオールジアクリレート,1,5−ペ
ンタンジオールジアクリレート,1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート,ネオペンチルグリコールジアクリレ
ート,ジエチレングリコールジアクリレート,トリエチ
レングリコールジアクリレート,テトラエチレングリコ
ールジアクリレート,ポリエチレングリコール#200,#40
0,#600の各ジアクリレート,ジプロピレングリコールジ
アクリレート,ポリプロピレングリコールジアクリレー
ト,ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化
薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートにかえ
たものが挙げられる。
多官能の架橋剤としてペンタエリスリトールトリアクリ
レート,トリメチロールエタントリアクリレート,トリ
メチロールプロパントリアクリレート,テトラメチロー
ルメタンテトラアクリレート,オリゴエステルアクリレ
ート及びそのメタクリレート,2,2−ビス(4−メタク
リロキシ,ポリエトキシフェニル)プロパン,ジアリル
フタレート,トリアリルシアヌレート,トリアリルアソ
シアヌレート,トリアリルイソシアヌレート,トリアリ
ルトリメリテート,ジアリールクロレンデート等があげ
られる。
本発明に係るバインダー樹脂の合成方法は、基本的に2
種以上の重合体を合成する方法が好ましい。
すなわち、THFに可溶で且つビニル系重合性モノマーに
可溶な第1の重合体をビニル系重合性モノマー中に溶解
し、ビニル系重合性モノマーを重合して樹脂組成物を得
る方法である。この場合、前者と後者の重合体が均一に
混合している組成物が形成される。
THFに可溶な第1の重合体は、溶液重合もしくはイオン
重合などが好ましく、THFに不溶な成分を生成するため
の第2の重合体は、第1の重合体を溶解している条件下
で架橋性モノマー存在下で懸濁重合で合成することが好
ましい。第1の重合体は第2の重合体を生成するための
重合性単量体100重量部に対して10〜120(好ましくは、
20〜100重量部)重量部使用するのが好ましい。
添付図面の第2図は、後述の合成例1で得られた樹脂組
成物のTHF可溶分のGPCのチャートを示している。第3図
は、第1の重合である溶液重合で調製されたポリスチレ
ンのGPCのチャートを示している。該ポリスチレンはTHF
に可溶であり、重合単量体であるスチレンモノマー及び
アクリル酸n−ブチルモノマーに可溶であり、分子量3,
500にメインピークを有していた。第4図は、該ポリス
チレンを添加しない以外は同様の条件で第2の重合で調
製されるスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を懸
濁重合で生成したもののTHF可溶分のGPCのチャートを示
している。該スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体
は、分子量40,000にメインピークを有していた。
第5図は、第3図のチャートと第4図のチャートを組み
合わせたものである。
第6図は、第2図のチャートと第5図のチャート(実線
部分を破線で示した)を組み合わせて示したものであ
る。第6図からも明白な如く、本発明に係る合成例1で
得られた樹脂組成物は、別個に重合したポリスチレンと
スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を単に混合し
たものと異なるGPCチャートを有していた。特に、高分
子量側に、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体単
独では生成していなかった高分子成分が生成しているこ
とが知見される。この高分子量成分は、第2段目の重合
である懸濁重合時に、第1段目の溶液重合で調製された
ポリスチレンが存在しているために、該ポリスチレンが
重合調製剤の如き働きをし、その結果スチレン−アクリ
ル酸n−ブチル共重合体のTHF不溶分とTHF可溶分の合成
が調整されたと考えられる。本発明に係る樹脂組成物
は、THF不溶分、THF可溶な高分子量成分、THF可溶な中
間分子量成分及びTHF可溶な低分子量成分が均一に混合
されている。さらに本発明に係る樹脂組成物は、トナー
製造時の溶融混練工程による分子鎖の切断により、分子
量30万以上(好ましくは50万以上)の領域に新たなピー
クを生成して、トナーの定着性及び耐オフセット性を調
製し得る能力を有する。
さらに本発明において、トナーのTHF可溶分のGPCにおい
て分子量30万以上の成分がバインダー樹脂を基準として
5〜30重量%(好ましくは10〜30重合%)含有している
ものが良い。また、トナーのTHF可溶分のGPCにおいて、
分子量30万以上(好ましくは50万以上)に明確なピーク
を有するものがより耐オフセット性及び耐巻き付性の改
良という点で好ましい。
以上のことから、本クレームに記すところの粉砕性,低
温定着性さらにトナー用の種々の添加剤の分散性に有効
な低分子量重合体の存在下で、モノマー,架橋剤を重合
させて、耐オフセット性,粉砕性にすぐれた架橋成分を
含む低分子量域から弱架橋域まで均一に混在しているバ
インダー樹脂は、現像特性,定着特性の観点から非常に
有効である。
このバイダー樹脂は、通常のポジトナー,ネガトナー用
バインダー樹脂として非常に優れているが、トナー用荷
電制御剤として含窒素荷電制御剤を用い、レジン中に、
重合開始剤分解残存物である安息香酸がある程度存在し
ている場合に限ってトナーの現像特性、特に長期にわた
る連続複写において若干の画像濃度低下をおこす場合が
ある。
具体的に述べると、本発明に用いる樹脂組成物は、低分
子量域を架橋マトリックス中にもっているため、トナー
とする時に用いられる含窒素荷電制御剤の分散性にすぐ
れ、分散不良による画像濃度低下はほとんどおこり得な
いが、中〜高速複写機での長期にわたる連続複写では、
時として若干の画像濃度低下をおこすことがある。
これは、高速複写での長期連続耐久では含窒素荷電制御
剤と樹脂組成物の一部が、複写機の現像スリーブ表面
に、少量物理付着あるいは吸着されてスリーブを汚染す
ることによる。
このスリーブ汚染は、検討の結果、含窒素荷電制御剤と
樹脂組成物中の安息香酸の存在によって特異的に発生し
易いことから、含窒素荷電制御剤と安息香酸とのインタ
ーラクションによって、含窒素荷電制御剤を含んだ樹脂
組成物の一部がスリーブ表面に物理付着あるいは吸着さ
れることで発生すると推測される。
またこの様な含窒素荷電制御剤と安息香酸とのインター
ラクションは、一種の塩形成と考えられ、トナー中にこ
の様な状態が存在することは、トナーの環境特性におい
て好ましくなく、高温,高湿環境下における画像濃度低
下、あるいは画質低下の原因となる。
上記の樹脂組成物中の安息香酸とは、重合開始剤の分解
残存物であり、樹脂中の安息香酸量が500ppm以上では、
スリーブ汚染による画像濃度低下がおこり易く、500ppm
以下ではおこりにくく、さらに好ましくは300ppm以下で
あり、安息香酸量0ppmが最も好ましい。なお、この安
息香酸量は、トナーに使用する樹脂組成物の酸価とも対
応しており、酸価0.5以上ではスリーブ汚染による画像
濃度低下がおこり易く、酸価0.5以下ではおこりにく
く、好ましくは0.3以下であり、酸価0が最も好まし
い。なお、樹脂の酸価に関しては特開昭58-198049号公
報、同55-134861号公報に酸価5〜100などの記載がある
が、本発明とは発想が全く異なるものである。
安息香酸量を500ppm以下にする方法としては種々の方法
が考えられるが、例えば分解残存物として安息香酸を与
える重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイドの使用
量を通常より減らす方法、通常の懸濁重合法で得られた
樹脂組成物を再び溶媒に膨潤させて、溶液重合法のごと
く分解残存物を溶媒と共に減圧留去する方法、さらには
開始剤として分解残存物が安息香酸として樹脂中に残ら
ない重合開始剤、たとえば一般に下記の基本構造式で示
される重合開始剤が好ましく、具体的には、2,2′−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,
2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等を用いて
低分子量重合体及び架橋剤の存在下でモノマーを懸濁重
合させる方法などがさらに好ましい。
(式中R1〜R6はメチル基、エチル基、t−ブチル基、
ネオペンチル基、などのアルキル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチルなどの如き環状アルキル基、フェニ
ル基、ナフチル基の如きアリール基、ベンジル基、フェ
ニルエチル基などのアラルキル基、アセチル基、ベンゾ
イル基の如きアシル基、メトキシ基、エトキシ基、シア
ノ基、エステル基の中から単独あるいは複数に選択され
組み合わされる。さらにそれらは、上述した置換基で一
部置換されていても良い。) 本発明に用いられる重合開始剤としては、従来公知の過
酸化物系開始剤やアゾ系開始剤が用いられる。過酸化物
系開始剤としてはアセチルシクロヘキシルスルフォニル
パーオキサイド、i−ブチルパーオキサイド、クミルパ
ーオキシネオデカノエート、ジ−イソプロピルパーオキ
シジカルボネート、ジ−アリルパーオキシジカルボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジ−
ミリスチル−パーオキシジカルボネート、クミルパーオ
キシネオヘキサノエート、ジ(2−エトキシエチル)パ
ーオキシジカルボネート、ジ(メトキシイソプロピル)
パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)
パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネ
オデカノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルバーオキシ
ネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサ
ノエート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシ
ルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイ
ド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシ
オクトエート、スクシニックアシドパーオキサイド、ア
セチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エ
チルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオキサイ
ド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
i−ブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−
ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオ
キシマレイックアシド、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサ
ノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキ
シイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5′−
ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t
−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシ
アセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−
t−ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチル
ケトンパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソ
プロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイ
ドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキ
サン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド
等があげられる。
アゾ系開始剤としては、2,2′−アゾビス(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエ
チル)アゾジ−フェニルメタン、2,2′−アゾビスイソ
ブチロニトリル、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレ
ート、2,2′−アゾビス(2メチルブチロニトリル)、
1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、
2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル4−メトキシバレロ
ニトリル、2,2′−アゾビス(2メチルプロパン)、2,
2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジ
ン)ジハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2′−アゾ
ビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、4,4′
−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシド)、等が
あげられる。
本発明における安息香酸量は、ジフェニルエーテルを内
部標準としてガスクロマトグラフィーを用いて測定する
ことができる。
具体的には、樹脂組成物1,2gおよび1,2−ジクロエタン
(EDC)25mlを秤取し、室温下、3時間攪拌させてサンプ
ルを膨潤させ、安息香酸をEDC中に抽出し、内部標準と
してジフェニルエーテルの1%EDC溶液を約0.2g精秤し
てこれに添加し、さらにアセトン25mlを加えて、サンプ
ル溶液とする。サンプル溶液は、ガスクロマトグラフ装
置(GC-9A,島津製作所製)に注入してクロマトグラム
を得る。一方、同様にして、サンプル溶液のかわりに市
販の安息香酸試薬(和光純薬製、1級)を用いて測定
し、作成したジフェニルエーテル−安息香酸の検量線に
基づいて測定サンプル中の安息香酸含量を求めることが
できる。なお測定条件としては、使用カラム:NPGS充填
ガラスカラム(3m/mφ×2m)、カラム温度:190℃、
インジェクション温度:210℃、キャリアガス(N2)流
量:50ml/min.が選ばれる(第10図及び第11図のクロマ
トグラム参照)。
本発明における含窒素荷電制御剤としては従来公知の荷
電制御剤から選ばれる。含窒素荷電制御剤としては、一
般にニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジ
ン系染料(特公昭42-1627号)、塩基性染料(例えばC.
I.Basic Yellow 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yellow3、C.I.
Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、
C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3
(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Bas
ic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.4202
5)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.
I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blu
e 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Ba
sic Blue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.4402
5)、C.I.Basic Green Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Gr
een 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ顔
料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸,りんモ
リブデン酸,りんタングステンモリブデン酸,タンニン
酸,ラウリン酸,没食子酸,フェリシアン化物、フェロ
シアン化物など)、C.I.Sovent Black 3(C.I.26150),
ハンザイエローG(C.I.11680)、C.I.Mordlant Black 11,
C.I.Pigment Black 1等。
または、例えばベンゾルメチル−ヘキサデシルアンモニ
ウムクロライド,デシル−トリメチルアンモニウムクロ
ライドなどの四級アンモニウム塩あるいはアミノ基を含
有するビニル系ポリマー,アミノ基を含有する縮合系ポ
リマー等のポリアミン樹脂等があげられ、好ましくはニ
グロシン,四級アンモニウム塩,トリフェニルメタン系
含窒素化合物,ポリアミンなどがあげられる。
本発明のトナーは、必要に応じて添加剤を混合しても良
い。添加剤としては、例えばテフロン,ステアリン酸亜
鉛,ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリ弗化ビ
ニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム,炭化ケイ
素,チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン
酸ストロンチウムが好ましい。あるいは例えばコロイダ
ルシリカ,酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも
特に疏水性コロイダルシリカが好ましい。ケーキング防
止剤、あるいは例えばカーボンブラック,酸化亜鉛,酸
化アンチモン,酸化スズ等の導電性付与剤、あるいは低
分子量ポリエチレン,低分子量ポリプロピレン,各種ワ
ックス類などの定着助剤等または耐オフセット剤があ
る。また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向
上剤として少量用いることもできる。
さらに本発明のトナーは、二成分系現像剤として用いる
場合にはキャリヤー粉と混合して用いられる。この場合
には、トナーとキャリヤー粉との混合比はトナー濃度と
して0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに
好ましくは3〜5重量%が望ましい。
本発明に使用しうるキャリヤーとしては公知のものが使
用可能であり、例えば鉄粉,フェライト粉,ニッケル粉
の如き磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの
表面をフッ素系樹脂またはシリコン系樹脂等で表面処理
したものなどがあげられる。
さらに本発明のトナーは更に磁性材料を含有させ磁性ト
ナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は着色剤
の役割をかねている。本発明の磁性トナー中に含まれる
磁性材料としては、マグネタイト,ヘマタイト,フェラ
イト等の酸化鉄又は二価金属と酸化鉄との化合物;鉄,
コバルト,ニッケルのような金属或いはこれらの金属と
アルミニウム,コバルト,銅,鉛,マグネシウム,ス
ズ,亜鉛,アンチモン,ベリリウム,ビスマス,カドミ
ウム,カルシウム,マンガン,セレン,チタン,タング
ステン,バナジウムのような金属の合金およびその混合
物等が挙げられる。
これらの強磁性体は平均粒子が0.1〜2μm、好ましく
は0.1〜0.5μm程度のものが好ましく、特に球形のもの
は好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分
100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは樹脂
成分100重量部に対し40〜180重量部が良い。
さらに本発明のトナーには必要に応じて着色剤を添加し
ても良い。
本発明のトナーに使用する着色剤としては、任意の適当
な顔料または染料が使用される。トナー着色剤は周知で
あって、例えば顔料としてカーボンブラック,アニリン
ブラック,アセチレンブラック,ナフトールイエロー,
ハンザイエロー,ローダミンレーキ,アリザリンレー
キ,ベンガラ,フタロシアニンブルー,インダンスレン
ブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持す
るのに必要充分な量が用いられ、樹脂100重量部に対し
0.1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の添加量が良
い。また同様の目的で、さらに染料が用いられる。例え
ばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染
料、メチン系染料等があり樹脂100重量部に対し0.1〜20
重量部、好ましくは0.3〜3重量部の添加量が良い。
本発明に係る静電荷像現像用トナーを作成するには前記
本発明に係る樹脂組成物及び荷電制御剤、必要に応じて
磁性材料及び着色剤としての顔料又は染料,添加剤等を
ボールミルその他の混合機により充分混合してから加熱
ロール,ニーダ−,エクストルーダー等の熱混練機を用
いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ
た中に顔料又は染料を分散又は溶解せしめ、冷却固化後
粉砕及び分級して平均粒径3〜20μmのトナーを得るこ
とができる。
[実施例] 以下の配合における部数は全て重量部である。
合成例1 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温した。
これにスチレンモノマー100部及びジ−tert−ブチルパ
ーオキサイド8部の混合物をクメン還流下で4時間かけ
て滴下した。さらにクメン還流下(146℃〜156℃)で溶
液重合を完了し、クメンを除去した。得られたポリスチ
レンはTHFに可溶であり、Mw=3,700、Mw/Mn=2.64、GPC
のメインピークの位置する分子量は3,500,Tg=57℃であ
った。この樹脂の安息香酸含量は0ppmであった。該ポ
リスチレンのGPCチャートを第3図に示す。
上記ポリスチレン30部を下記単量体混合物に溶解し、混
合溶液とした。
上記混合溶液にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1
部を溶解した水170部を加え懸濁分散液とした。水15部
を入れ窒素置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、
反応温度70〜95℃で6時間懸濁重合反応させた。反応終
了後に別し、脱水,乾燥し、ポリスチレンとスチレン
−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を得た。該組
成物は、THF不溶分とTHF可溶分が均一に混合しており、
且つポリスチレンとスチレン−アクリル酸n−ブチル共
重合体が均一に混合していた。得られた樹脂組成物のTH
F不溶分(24メッシュパス,60メッシュオンの粉体で測
定)は、42wt%以下であった。またTHF可溶分の分子量
分布を測定したところGPCのチャートにおいて約0.4万,
約3.3万の位置にピークを有し、Mn=0.54万,Mw=13
万,Mw/Mn=24,分子量1万以下が22wt%であった。さ
らに樹脂のTgは、59℃であり、GPCにより分取された1
万以下の成分のガラス転移点Tg1は57℃であった。また
安息香酸含量は0ppmであった。さらに酸価は0であっ
た。
THF可溶分のGPCクロマトグラムを第2図に示す。
尚、各樹脂及び樹脂組成物の分子量に関わる特性は下記
方法で測定した。
GPC測定用カラムとしてShodex KF-80Mを用い、GPC測定
装置(ウォーターズ社製150C ALC/GPC)の40℃のヒート
チャンバーに組み込みTHF流速1ml/min,検出器はRIの
条件下、試料(THF可溶分の濃度約0.1重量%)を200μ
l注入することでGPCを測定した。分子量測定の検量線
としては分子量0.5×103,2.35×103,10.2×103,35×
103,110×103,200×103,470×103,1200×103,2700
×103,8420×103の10点の単分散ポリスチレン基準物質
(ウォーターズ社製)のTHF溶液を用いた。
比較合成例1 合成例1中で得られたポリスチレン30部を下記単量体混
合物に溶解し、混合溶液とした。
上記混合物を合成例1と同様にして懸濁重合を行い、ポ
リスチレンとスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体
の組成物を得た。この樹脂組成物のTHF不溶分は75重量
%であり、多量のTHF不溶分を含有していた。またこの
樹脂の安息香酸含量は1580ppmだった。また酸価は0.7で
あった。
比較合成例2 合成例1中で得られたポリスチレン30部を下記単量体混
合物に溶解し、混合溶液とした。
上記混合物を合成例1と同様にして懸濁重合を行い、ポ
リスチレンとスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体
の組成物を得た。この組成物のTHF可溶成分のGPCにおい
て、分子量約4,000と分子量15万の位置にピークがあっ
た。またこの樹脂の安息香酸含量は0ppmであった。
比較合成例3 反応器にキシレン150部を入れ、還流温度まで昇温す
る。これにスチレンモノマー100部,tert−ブチルパー
オキシベンゾエート2部,ジ−tertブチルパーオキシサ
イド1部の混合物を、キシレン還流下で4時間かけて滴
下した。さらにキシレン還流下(138〜144℃)で溶液重
合を完了し、キシレンを除去した。
得られたポリスチレンはTHFに可溶であり、Mw=10,00
0、Mw/Mn=3.22、分子量11,000の位置にメインピークが
あり、Tg=82℃であった。またこの樹脂の安息香酸含量
は620ppmだった。
上記ポリスチレン30部を下記単量体混合物に溶解し、混
合溶液とした。
上記混合物を合成例1と同様にして懸濁重合を行い、ポ
リスチレンとスチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体
の組成物を得た。この組成物のTHF可溶成分のGPCにおい
て、分子量約10,000以下に実質的にピークを有していな
かった。また、この樹脂の安息香酸含量は1840ppmだっ
た。
比較合成例4 下記単量体混合物に、ポリビニルアルコール部分ケン化
物0.1部を溶解した水170部を加え、懸濁分散液とした。
水15部を入れ窒素置換した反応器に上記分散液を添加
し、反応温度70〜95℃で6時間懸濁重合反応させた。反
応終了後、別,脱水,乾燥し、スチレン−アクリル酸
n−ブチル共重合体を得た。
この共重合体は、メインピークが分子量約17,000の位置
にあり、分子量1万以下には実質的にピークはなかっ
た。またこの樹脂の安息香酸含量は3870ppmであった。
合成例2 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温した。
下記混合物をクメン還流下で4時間かけて滴下した。
さらにクメン還流下(146〜156℃)で重合を完了し、ク
メンを除去した。得られたポリスチレンは、Mw=3,70
0、Mw/Mn=2,64、分子量3,500にメインピークを有し、T
g=57℃であった。また得られた樹脂の安息香酸含量は
0ppmであった。上記ポリスチレン30部を下記単量体混
合物に溶解し、混合物とした。
上記混合物にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部
を溶解した水170部を加え懸濁分散液とした。
水15部を入れ窒素置換した反応器に上記分散液を添加
し、反応温度70〜95℃で6時間反応させた。反応終了
後、別,脱水,乾燥し、ポリスチレンとスチレン−ア
クリル酸2−エチルヘキシル共重合体の組成物を得た。
得られた樹脂組成物の安息香酸含量は0ppmだった。
合成例3 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温した。
下記混合物をクメン還流下で4時間かけて滴下した。
さらにクメン還流下(146〜156℃)で重合を完了し、ク
メンを除去した。得られたスチレン−α−メチルスチレ
ンはMw=4,500、Mw/Mn=2.8、分子量4,400の位置にメイ
ンピークを有し、Tg=63℃であった。得られた樹脂の安
息香酸含量は0ppmであった。
上記スチレン−α−メチルスチレン共重合体30部を下記
単量体混合物に溶解し、混合物とした。
上記混合物にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部
を溶解した水170部を加え懸濁分散液とした。水15部を
入れ窒素置換した反応器に上記分散液を添加し、反応温
度70〜95℃で6時間反応させた。反応終了後、別,脱
水,乾燥し、スチレン−α−メチルスチレン共重合体と
スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を得
た。この樹脂の安息香酸含量は330ppmであった。
比較合成例5 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温する。
下記混合物をクメン還流下で4時間かけて滴下した。
さらにクメン還流下(146〜156℃)で重合を完了し、ク
メンを除去した。得られたポリスチレンは、Mw=3,700、
Mw/Mn=2.64、分子量3,500の位置にメインピークを有
し、Tg=57℃であった。この樹脂の安息香酸含量は0pp
mであった。
上記ポリスチレン30部を下記単量体混合物に溶解し、混
合物とした。
上記混合物にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部
を溶解した水170部を加え分散液とした。水15部を入れ
窒素置換した反応器に上記分散液を添加し、反応温度70
〜95℃で6時間反応させた。反応終了後、別,脱水,
乾燥し、ポリスチレンとスチレン−アクリル酸n−ブチ
ル共重合体の組成物を得た。この組成物のTHF不溶分は
約3重量%であり、少量のTHF不溶分しか含有していな
かった。またこの樹脂の安息香酸含量は2170ppmだっ
た。
参考例1 上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、150℃
に熱した2本ロールミルで20分間混練した。混練物を放
冷後、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用
いた微粉砕機を用いて粉砕し、さらに風力分級機を用い
て分級し、体積平均粒径11.5μmの黒色微粉体を得た。
該黒色微粉体のTHF可溶分のGPCチャートを第1図に示
す。
該黒色微粉体100部に対してコロイダルシリカ微粉体0.4
部を乾式混合し、現像剤(トナー)を得た。
トナーの粉砕性は、単位時間当りに粉砕できるトナーの
処理量で表わすことでき、このトナーの場合、エアー圧
5.5kg/cm2で15kg/hrであり、ひじょうに良かった。また
粉砕機内に融着など起らなかった。
また、ブロッキング性は、約10gのトナーを100ccのポ
リコップに入れ、50℃で1日放置した時の凝集度の変化
で調べた。凝集度は、細川ミクロン製のパウダーテスタ
ーにより測定した。室温放置品と50℃1日放置品とでは
10重量%と12重量%でほぼ同じ値を示し、差(ΔG)が
2%であることから実質的にブロッキングしていないこ
とを確認した。
定着性とオフセット性,巻き付き性及び画像性,耐久性
については、キヤノン製高速複写機,NP-5540(毎分40
枚,100V)を用いて調べた。
特にオフセット性は、定着ローラのクリーニング機構を
取りはずし、何枚の複写で画像が汚れるかあるいはロー
ラが汚れるかということを耐複写枚数で評価した。
定着器の設定温度を5℃下げテストした。定着性は、画
像をシルボンC紙で往復10回約100g荷重でこすり、画像
のはがれを反射濃度の低下率(%)で表わした。評価画
像は連続200枚とった時の200枚目で見た。
巻き付き性は、全面黒画像を3枚出し、その時画像上に
つく定着ローラのはく離用のツメの跡の様子で、ツメに
どの位頼っているかで判断した。
その結果、定着性は低下率3%でひじょうに良く、オフ
セット性は70,000枚時でも画像上ローラの汚れなどなく
良好であり、巻き付き性も画像上にツメに頼った跡がわ
ずかに付くが、ひじょうに良好であった。
また、画像面積率約5%の画像を用いて約70,000枚の耐
久テストを行なったが、画像濃度1.2〜1.3で、カブリの
ない高解像力の鮮明な画像が得られ、感光耐などへの融
着、フィルミングなども発生しなかった。またスリーブ
汚染による画像濃度の評価は、複写開始時の画像濃度
と、連続50,000枚複写後の画像濃度(ΔD1万枚)及び
連続70,000枚複写後の画像濃度差(ΔD5万枚)との両
方を比較することで判断した。それによればΔD5万枚
=±0.03、ΔD7万枚=±0.03であり、スリーブ汚染は
問題がなかった。さらに30℃、相対湿度90%の環境下で
の連続複写では、画像濃度1.3と安定で、ガブリのない
鮮明な画像が得られ、耐高湿特性に優れていた。
比較例1〜5 参考例1の樹脂組成物のかわりに比較合成例1〜5で調
製された樹脂組成物を用いて、参考例1と同様にトナー
を作り、そのトナーを比較例1〜5とした。
比較例のトナーの評価を参考例1と同様に行い表1に示
した。
実施例 上記混合物を参考例1と同様にしてトナーを調製した。
体積平均粒度は11.7μmであった。コロイダルシリカ微
粉体は、アミノ変性シリコンオイル処理したものを用い
た。トナーの粉砕性は、処理量15.5kg/hrでひじょうに
良かった。また粉砕機内の融着などはなかった。ブロッ
キング性はΔG=2%で全く問題なかった。キャノン製
高速複写機NP-5540定着器を用いて、定着の設定温度を1
0℃下げ、また定着器のクリーニング機構をはずして定
着性,オフセット性,巻き付き性を検討したところ、定
着性は低下率約3%で非常に良好であり、オフセット、
巻き付きについても全く問題なかった。さらに、前述の
参考例1と同様に定着の設定温度を5℃下げて、画出し
試験をおこなったところ、定着性の低下率は2%未満で
あり、また、耐巻き付き性に優れ、定着画像上にはく離
用のツメの跡は付いていなかった。また現像性において
は、NP-5540複写機を用いて70,000枚の耐久テストを行
なったが、初期から画像濃度1.2〜1.3のカブリのない高
解像力の鮮明な画像が得られ、感光体などへの融着、フ
ィルミングも発生しなかった。さらにスリーブ汚染に関
してはΔD5万枚=±0.03、ΔD7万枚=±0.05であ
り、全く問題がなかった。また30℃、相対湿度90%の環
境下での連続複写では、画像濃度1.25〜1.35と安定で、
カブリのない鮮明な画像が得られ、耐高湿特性に優れて
いた。
参考例2 上記混合物を参考例1の方法でトナーを調製し、該トナ
ーを200メッシュ〜300メッシュの粒度の鉄粉に約10重量
%混合し、現像剤とした。また補充剤としてはトナーの
みを用いた。
このトナーの粉砕性は、処理量15.5kg/hrでひじょうに
良好であった。また粉砕機内の融着などもなかった。ブ
ロッキング性は、ΔG=5%でまったく問題なかった。
またキヤノン製超高速複写機NP-8500スーパー機で画像
性,定着性を評価した。その結果、画像は良好で、70,0
00枚耐久を行ったが安定した画像が得られた。またドラ
ムへのフィルミング,融着などなかった。
また長期連続複写によるスリーブ汚染に関しては、ΔD
5万枚=±0.08、ΔD7万枚=±0.08と、良好なレベル
であり、さらに30℃、相対湿度90%での連続複写では、
画像濃度1.15〜1.25と安定で、カブリのない鮮明な画像
が得られ、耐湿特性として満足できるレベルであった。
トナーの特性及び評価について表1及び表2に示した。
(注1)複写機NP−5540定着器の設定温度を5℃
下げて評価。
(注2)複写機NP−5540定着器の設定温度を10
℃下げて評価。
(注3)複写機NP−5540定着器の設定温度を5℃
下げて評価。
(注4)複写機NP−8500スーパーで評価。
[発明の効果] 以上から明らかなように、本発明のトナーは低い温度で
定着し、感光体への融着,フィルミングが高速システム
においても、また長期間の使用でも発生することがない
ものである。
また、低い温度で定着し且つ耐ブロッキング性がすぐ
れ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充分使え得るも
のである。
更に、本発明のトナーは、特に高速複写機において長期
にわたる画像の連続複写に対して優れた耐久性をもち、
環境変動にも影響されにくい、カブリのない鮮明な高画
像濃度を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は参考例1で調製されたトナーのTHF可溶分のGPC
のチャートを示す。第2図は合成例1で調製された樹脂
組成物のTHF可溶分のGPCのチャートを示す。第3図は合
成例1で使用したポリスチレンのGPCのチャートを示
し、第4図は合成例1で使用したスチレン−アクリル酸
n−ブチル共重合体を単独で懸濁重合して得たもののTH
F可溶分のGPCのチャートを示す。第5図は第3図と第4
図のチャートを組み合せたものであり、第6図は第2図
と第5図を比較説明するためのチャートを示す。第7図
はトナーに要求される各特性の相関関係を示す図であ
り、第8図はTHF不溶分の含有量と粉砕性との関係を示
すグラフであり、第9図は分子量10,000以下の成分の含
有量とトナー特性との相関関係に係わるグラフを示す図
である。第10図は、安息香酸のガスクロマトグラムを示
す図であり、第11図は、安息香酸とジフェニルエーテル
との検量線を示すグラフであり、第12図は安息香酸の含
有量と画像濃度低下量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−218459(JP,A) 特開 昭57−97546(JP,A) 特開 昭61−163347(JP,A) 特開 昭58−37651(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル系重合性モノマーに可溶な第1の重
    合体を該ビニル系重合性モノマーに溶解し、該第1の重
    合体,該ビニル系重合性モノマー及びアゾ系重合開始剤
    を少なくとも含有するビニル系重合性モノマー組成物を
    懸濁重合法により重合することによって調製されたビニ
    ル系バインダー樹脂であり、 該ビニル系バインダー樹脂のTHF不溶分が10〜60重量
    %未満(ビニル系バインダー樹脂基準)であり、THF
    可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分
    子量/数平均分子量(Mw/Mn)≧5であり、分子量2,000〜
    10,000の領域にメインピークを有し、且つ分子量15,000
    〜100,000の領域にピーク又は肩を少なくとも1つ有
    し、分子量10,000以下の成分の含有量がビニル系バイン
    ダー樹脂に対し10〜50重量%である該ビニル系バインダ
    ー樹脂と、含窒素荷電制御剤とを少なくとも含有し、且
    つ安息香酸の含有量が500ppm以下であることを特徴とす
    る加熱加圧定着用の静電荷像現像用トナー。
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