JPH0625853A - ダイヤモンド被覆部材の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド被覆部材の製造方法

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JPH0625853A
JPH0625853A JP18006692A JP18006692A JPH0625853A JP H0625853 A JPH0625853 A JP H0625853A JP 18006692 A JP18006692 A JP 18006692A JP 18006692 A JP18006692 A JP 18006692A JP H0625853 A JPH0625853 A JP H0625853A
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thin film
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etching
acid
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JP18006692A
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English (en)
Inventor
Toshimichi Ito
利通 伊藤
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP18006692A priority Critical patent/JPH0625853A/ja
Publication of JPH0625853A publication Critical patent/JPH0625853A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C16/00Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
    • C23C16/02Pretreatment of the material to be coated
    • C23C16/0272Deposition of sub-layers, e.g. to promote the adhesion of the main coating

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は基材表面に極めて高い密着
性をもって形成されたダイヤモンド薄膜を有するダイヤ
モンド被覆部材の製造方法を提供することにある。 【構成】 この発明のダイヤモンド被覆部材の製造方法
は、基材の表面をエッッチング処理した後に、クラスタ
ダイヤモンドを付着し、次いで気相法によりダイヤモン
ド薄膜を形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド被覆部材の
製造方法に関し、さらに詳しく言うと、超硬合金、サー
メットまたはセラミックスを主成分とする基材の表面に
気相合成法を利用してダイヤモンド類薄膜を密着性よく
コーティングすることによって、たとえば、切削工具、
研削工具、研磨工具等の超硬工具類(たとえば、バイ
ト、ダイス、線引きダイス、カッター、エンドミル、タ
ップ、ゲージ、ドリル、掘削機械やボンディングツール
のヘッド等)、摺動部材、耐摩耗性部材などに好適に使
用することのできるダイヤモンド被覆部材を容易に製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、切
削工具、研削工具、研磨工具等の高い硬度や耐摩耗性を
要求される工具類や部材には超硬合金、サーメット、セ
ラミックス、燒結ダイヤモンド、単結晶ダイヤモンド、
焼結C−BNなどが用いられている。これらの中でも、
ダイヤモンドは、硬度、耐摩耗性などに著しく優れてい
ることから特に好まれており、そこで、超硬合金等の超
硬部材の面上に、単結晶ダイヤモンドをろう付けした
り、あるいは、ダイヤモンド粉体をコバルト等の金属系
バインダーを用いて燒結・接合したものが広く用いられ
てきた。
【0003】これらのうち、単結晶ダイヤモンドを用い
る場合には、ダイヤモンド自体が高価である上にダイヤ
モンドの基材への装着操作が面倒であるので量産性が悪
く、製造コストが高くなり、また、ダイヤモンドが基材
から脱落しやすいという著しい欠点があることから、近
年においては、ダイヤモンド燒結体を用いる製品の方が
より一般に用いられるようになってきた。しかしなが
ら、このダイヤモンド燒結体を用いる場合にも、燒結工
程を高温・高圧で行う必要があるなど製造上不利な点が
多いし、その上、燒結用バインダーとして用いたコバル
ト等の金属を多く含有しているので純度が悪く、厳しい
条件での切削では十分な性能が得られず、特に損耗が大
きいという問題があり、実用上種々の問題点のあること
が判明してきた。
【0004】このような情勢の中で、近年、CVD法や
PVD法などの気相法ダイヤモンド合成技術を用いて、
基材の表面にダイヤモンド類膜を析出形成させることに
よって、各種のダイヤモンド被覆部材を製造するという
技術が注目されている。この気相合成ダイヤモンドによ
るダイヤモンド被覆部材の場合、製造コストの低減及び
量産化が容易であり、また、広い面積の基材面に対して
もダイヤモンド被覆を均一に行いうるので、切削工具、
研削工具、研磨工具等の工具類のみならず摺動部材等の
耐摩耗性部材などとして広範囲の用途が期待される。
【0005】このような気相法によるダイヤモンドコー
ティングにおける種々の利点を現実化すべく、ダイヤモ
ンド被覆部材の構成や製造方法について、多種多様な技
術が提案されている。
【0006】ところで、切削、研削、研磨工具等の工具
類や摺動部材等として利用するダイヤモンド被覆部材の
場合には、ダイヤモンドコーティングを行う基材とし
て、WC系、WC−Co系、WC−Ni、TiC−Ni
系などの超硬合金系やサーメット類あるいは窒化珪素、
TiN、TaN、BN等のセラミックス系が利用され、
あるいは提案されている。
【0007】また、こうした基材に気相法によってダイ
ヤモンドコーティングする場合、該基材の表面を予めダ
イヤモンド砥粒等の硬質材料によって傷付け処理を行っ
てダイヤモンド合成のための核発生密度を増加させ、こ
れによってダイヤモンド類膜の形成速度を高めると共に
組織を緻密化し基材に対する密着性や表面粗度を改良す
ることが一般に行われている。しかしながら、このよう
な傷付け処理だけでは、十分な密着性を得ることはでき
ないため、一般に、気相コーティング法によるダイヤモ
ンド被覆部材においては、この密着性をいかにして向上
させるかが最も重要な課題となっている。
【0008】基材に対するダイヤモンド類薄膜の密着性
の悪さは、基材の組成や性状等によって異なるが、いず
れの場合にも密着性を向上させるための何らかの工夫が
必要とされており、中でも切削チップ等として最も汎用
されるCo等の結合金属を含む超硬部材を基材とする場
合には、ダイヤモンドとこれら金属類との熱膨張係数が
大きく異なることもあって、密着性は特に悪くなりがち
であり、また、ダイヤモンド類膜の形成の際にグラファ
イト成分が生成しやすいなど、特に深刻な問題が生じて
いる。
【0009】こうした基材に対するダイヤモンド類膜の
密着性を改善する方法として、従来、多種多様な技術が
提案されている。たとえば、基材とダイヤモンド類薄膜
の間に適当な材質の中間層を設ける技術が種々提案され
ている。しかしながら、この方法においても、ダイヤモ
ンド類薄膜が中間層と共に剥離しやすいこともあって、
多くの場合密着性の改善効果は不十分であり、また、製
造工程が著しく複雑になるなどの欠点がある。そこで、
特に中間層を設けることなく基材との密着性を改善しよ
うとする試みも種々検討されている。
【0010】たとえば、特開昭61−52363号公報
や同62−67174号公報には、WC−Co、WC−
TiC−Co、WC−TiC−Mo−Ni等のCoやN
iなどを結合金属成分として含有するサーメットや超硬
合金系の基材の表面をHNO3 や塩酸といった酸溶液に
よりエッチング処理したり、あるいは、フッ化炭素気流
中でプラズマエッチング処理することによって該基材表
層部のCo等の結合金属成分を除去した後、気相合成法
によりダイヤモンド類薄膜を形成するという技術が提案
されている。なお、これら公報には、こうしたエッチン
グ処理によってダイヤモンド結晶核の増大がはかられ、
組織が緻密化し密着性に優れたダイヤモンドコーティン
グが形成できるということが記載されている。
【0011】しかしながら、これらの方法は、エッチン
グ処理によって基材表層部の結合金属成分を除去し組成
を制御するという点では評価することができるものの、
この場合、エッチングにより基材表面に大きな凹凸が生
じてしまい、十分な密着性の向上効果が得られないこと
が判明した。
【0012】また、特開平1−246361号公報に
は、基材を予め熱処理する方法が提案されている。しか
しながら、この熱処理による方法では、基材表層部のC
o等の結合金属成分を十分に除去するまで加熱処理を行
うと、基材の変形や靭性の低下を招くという難点があ
る。本発明は、前記事情を改善するためになされたもの
である。
【0013】本発明の目的は、十分に高い硬度及び靭性
を有するなど諸特性に優れた超硬合金、サーメットまた
はセラミックスを主成分とする基材上に、気相合成法を
利用してダイヤモンド類薄膜を密着性よく形成被覆する
技術を開発し、特に切削工具等の各種の超硬工具類や摺
動部材等の耐摩耗性部材等として使用した際にも十分な
実用性能及び耐久性を発揮して大幅な長寿命化を達成す
ることができるところの、密着性が十分に改良されたダ
イヤモンド被覆部材を製造する方法を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬合金、サーメッ
トまたはセラミックスを主成分とする基材の表面を各種
の方法でエッチング処理した後、該エッチング処理面に
特定の平均粒径以下のクラスタダイヤモンド(超微粒子
状ダイヤモンド)を塗布法等の各種の方法で付着させた
後、通常のCVD法やPVD法等の気相合成法によって
ダイヤモンド類薄膜を形成することによって基材の所定
の面上に基材に対して極めて密着性に優れた高品質のダ
イヤモンドコーティングを有する各種のダイヤモンド被
覆部材を得ることができることを見出した。また、こう
して製造したダイヤモンド被覆部材を切削工具等の各種
の超硬工具や摺動部材等の耐摩耗性部材などとして使用
に供したところ、優れた実用性能及び耐久性を発揮し、
使用寿命が大幅に改善されることを確認した。
【0015】本発明者は、主としてこれらの知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
超硬合金、サーメットまたはセラミックスを主成分とす
る基材の表面をエッチング処理した後、該エッチング処
理面に平均粒子径10nm以下のクラスタダイヤモンド
を付着させ、その上に気相法によりダイヤモンド類薄膜
を被覆することを特徴とするダイヤモンド被覆部材の製
造方法に係る。
【0016】以下にこの発明の方法について詳述する。
この発明は基本的には、(1)超硬合金、サーメットま
たはセラミックスを主成分とする基材の表面をエッチン
グ処理する工程(エッチング処理工程)と、(2)エッ
チング処理面に平均粒子径10nm以下のクラスタダイ
ヤモンドを付着させる工程(クラスタダイヤモンド付着
工程)と、(3)気相法によりダイヤモンド類薄膜を被
覆する工程(ダイヤモンド類膜形成工程)とを有する。
以下、工程毎に説明する。
【0017】(1)エッチング処理工程 本発明の方法においては、前記基材の表面に、気相法に
よってダイヤモンド類薄膜を形成するに先駆けて、前記
エッチング処理を行う。このエッチング処理は該基材の
全面に対して施してもよいが、所定の部分面に対しての
みに施してもよい。すなわち、このエッチング処理は、
少なくとも気相合成法によってダイヤモンド類薄膜を形
成して被覆しようとする面あるいはこれを含む部分面に
対して行えば十分である。
【0018】なお、このエッチング処理の前および/ま
たは後に、必要に応じて、基材面に適宜表面傷付け処理
を施してもよい。この表面傷付け処理は、たとえばダイ
ヤモンド砥石や砥粒を用いるなど、常法に従って好適に
行うことができる。
【0019】ところで、前記エッチング処理は、前記基
材の所定の表層部からダイヤモンド類薄膜との密着性に
悪影響を及ぼす余分な成分を除去することによってダイ
ヤモンド類薄膜の基材に対する密着性を向上すべく行う
ものである。したがって、該エッチング処理は、少なく
とも基材の材質(特に、その表層部の組成等)を考慮し
て行うのが望ましい。一般に、超硬合金類やサーメット
類の場合のようにCo等の結合金属成分を含有する材質
の基材の場合には、このエッチング処理を適切に行うこ
とよって余分な結合金属成分が表層部から効果的に除去
され、これが前記密着性の著しい向上に結びつくことが
確認されている。一方、このような結合金属成分を有し
ないセラミックスの場合には、このエッチング処理によ
って表層部のセラミックス粒界に存在する余分な成分
(通常、酸化物成分等)が適度に除去され、これが前記
密着性の著しい向上に貢献することが確認されている。
したがって、前記エッチング処理はこれらの点を考慮し
て行うことが望ましい。
【0020】本発明の方法において、前記基材(前記エ
ッチング処理に供する基材)としては、超硬合金、サー
メットまたはセラミックスを主成分とするものを使用す
る。すなわち、該基材としては、各種の超硬合金類、サ
ーメット類、セラミックス類のそれぞれからなるものや
これらのうちの2種以上からなる複合系のもの、さらに
は、これらのうちの一種または二種以上を主成分とし、
他の各種の成分を含有するものなど多種多様なものを適
宜選定して使用することができる。
【0021】前記超硬合金としては、特に制限はなく、
一般に知られている各種の種類および組成のものが使用
可能であり、たとえば、W、Mo、Cr、Co、Ni、
Fe、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Al、B、G
a、Siなどの一種または二種以上の金属からなる超硬
合金類、これらの金属一種または二種以上と、炭素、窒
素、酸素および/またはホウ素等からなる各種の組成の
超硬合金類(具体的には、たとえば、WC、W−WC、
WC−C、W−WC−C等のW−C系、Co−WC、C
o−W−WC、Co−WC−C、Co−W−WC−C等
のCo−W−C系、TaCx 等のTa−C系、TiC等
のTi−C系、MoCx 、Mo−MoCx、MoCx
C系等のMo−C系、SiC等のSi−C系、Fe−F
eCx 系等のFe−C系、Al23 −Fe系等のAl
−Fe−O系、TiC−Ni系等のTi−Ni−C系、
TiC−Co系等のTi−Co−C系、BN系、B4
−Fe系等のFe−B−C系、TiN系等のTi−N
系、AlNx 系等のAl−N系、TaNx 系等のTa−
N系、WC−TaC−Co−C系等のW−Ta−Co−
C系、WC−TiC−Co−C系等のW−Ti−Co−
C系、WC−TiC−TaC−Co−C系等のW−Ti
−Ta−Co−C系、W−Ti−C−N系、W−Co−
Ti−C−N系など)など多種多様の超硬合金を挙げる
ことができる。これらの中でも、特に好ましい例とし
て、たとえば、切削工具用などに好適なWC系超硬合金
(具体的には、たとえば、JIS B 4053におい
て使用分類記号P01、P10、P20、P30、P4
0、P50等のPシリーズ、M10、M20、M30、
M40等のMシリーズ、K01、K10、K20、K3
0、K40等のKシリーズなどの切削工具用等の超硬合
金チップ、V1、V2、V3等のVシリーズなどの線引
ダイス用、センタ用、切削工具用等の超硬合金チップな
どのWC−Co系等のW−Co−C系超硬合金、WC−
TiC−Co系等のW−Ti−Co−C系超硬合金、W
C−TaC−Co系等のW−Ta−Co−C系超硬合
金、WC−TiC−TaC−Co系等のW−Ti−Ta
−Co−C系超硬合金、あるいはこれらのTaの一部を
Nbに変えたもの等々)などを挙げることができる。な
お、これらには、上記以外の他の元素や添加成分を含有
しているものであってもよい。どのような材質および形
状の超硬合金を採用するかは、使用目的等に応じて適宜
に選択すればよい。
【0022】なお、これらの超硬合金には「フリーカー
ボン」などと称される炭素が含まれていることがある。
WC−TiC−Coの組成を有する超硬合金としては、
炭化タングステン50〜95重量%、好ましくは70〜
94重量%と、炭化チタン1〜30重量%、好ましくは
2〜20重量%と、コバルト2〜20重量%、好ましく
は4〜10重量%とを有するものを挙げることができ
る。
【0023】WC−TaC−Coの組成を有する超硬合
金としては、炭化タングステン80〜93重量%、好ま
しくは85〜92重量%と、炭化タンタル1〜20重量
%、好ましくは2〜10重量%と、コバルト3〜10重
量%、好ましくは4〜6重量%とを有するものを挙げる
ことができる。
【0024】WC−Coの組成を有する超硬合金として
は、炭化タングステン90〜98重量%、好ましくは9
4〜97重量%と、コバルト2〜10重量%、好ましく
は3〜6重量%とを有するものを挙げることができる。
【0025】上記炭化タングステンとしては、従来の工
具等に使用されるものなどを使用することができ、具体
的には、WC、WCx(但し、xは1以外の正の実数を
表わし、通常、このxは1より大きいかあるいは1より
小さい数である。)で表わされる定比化合物および不定
比化合物、あるいはこれらに酸素等の他の元素が結合、
置換または侵入したもの等を挙げることができる。これ
らの中でも、通常、WCが特に好適に使用される。な
お、これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併
合してもよく、あるいは二種以上の混合物、固溶体との
組成物等として用いてもよい。
【0026】上記炭化チタンとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TiC、TiCy(但
し、yは1以外の正の実数を表わし、通常、このyは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TiC
が特に好適に使用される。
【0027】上記炭化タンタルとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TaC、TaCz(但
し、zは1以外の正の実数を表わし、通常、このzは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TaC
が特に好適に使用される。上記コバルトとしては、特に
制限がないが、単体金属を好適に使用することができ
る。
【0028】前記炭化タングステン、前記炭化チタン、
前記炭化タンタルおよび前記コバルトは、特に純粋であ
る必要はなく、本発明の目的を達成するのに支障のない
範囲であれば不純物を含有していてもよい。例えば、前
記炭化タングステンにおいては、微量の過剰炭素、過剰
金属、酸化物等の不純物等を含有していてもよい。
【0029】本発明に用いられるサ−メットとしては、
例えば、Ti、W、Mo、Cr、Ta、Nb、V、Z
r、Hf等の炭化物および窒化物に、Co、Ni、C
r、Mo、Fe等の金属を燒結助材として含有している
サ−メット材を挙げることができ、一般にサ−メット材
として知られているものであれば、特に制限なく用いる
ことができる。
【0030】具体例としては、WC、Mo2 C、Cr3
2 、TaC、NbC、VC、TiC、ZrC、Hf
C、TaN、NbN、VN、TiN、ZrN、HfN、
Ta(C,O)、Ti(C,O)、Ti(N,O)、
(W,Ti)C、(W,Ta,Ti)C、(W,Ta,
Nb,Ti)C、Ti(C,N)、Ti(C,N,
O)、(Ti,Zr)C、(Ti,Zr)(C,N)等
に、燒結助材としてCoおよび/またはNiや、Coお
よび/またはNiの他にCr,Mo,Fe等を含有した
もの等を挙げることができる。
【0031】サーメットにつき上記とは別の表現をする
とすれば、次のような記述も可能である。すなわち、本
発明に使用することのできるサーメットとしては、Ti
CにWCやTaCやTiNを添加し、結合相としてNi
やMoを添加したものを言い、例えばTiC−TaC−
Ni、TiC−TaC−Mo、TiC−TaC−Ni−
Mo、TiC−TiN−Ni、TiC−TiN−Mo、
TiC−TiN−Ni−Mo、TiC−TiN−TaC
−WC−Ni、TiC−TiN−TaC−WC−Mo、
TiC−TiN−TaC−WC−Ni−Mo、TiN−
TaN−Ni、TiN−TaN−Mo、TiN−TaN
−Ni−Mo、TiC−TaN−Ni、TiC−TaN
−Mo、TiC−TaN−Ni−Mo、TiC−Ni、
TiC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−Ni、T
iC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−TaN−N
i、TiC−TaN−Mo、TiC−TaN−Ni−M
o等を挙げることができる。なお、これらはその他の元
素またはその炭化物を含有していても良い。
【0032】これらの中でも、炭化チタン、炭化タング
ステンおよび窒化チタン系のサーメットが好適に使用さ
れる。特に好ましいものとしては、TiC、TiN、T
iCN等にNi、CoあるいはMoを燒結助材として用
いたサ−メット材を挙げることができる。
【0033】本発明において用いられるセラミックス類
としては、Al、Ti、Zr、Si等の窒化物や炭化
物、酸化物及び微量の焼結助剤を含有するセラミックス
材が挙げられる。これらのうち、特にSi34 系やサ
イアロン系、Al23 系等が好適である。
【0034】なお、前記基材においては、市販されてい
るものをも使用することができる。また、市販されてい
ないものを使用する場合においては、前記成分を適宜の
割合で配合した後に、燒結等の方法によって基材を得る
ことができる。
【0035】なお、燒結に先立ち、前記成分とともに、
必要に応じて、エチレングリコール、エチレン−ビニル
アクリレート、ポリブチレンメタクリレート、アダマン
タン等を主成分とする補助結合剤等を含有していてもよ
い。前記焼結の方法としては、特に制限がなく、従来か
ら公知の焼結方法に従って行なうことができる。
【0036】前記燒結の方法においては、前記各成分を
粉末状、微粉末状、超微粒子状、ウイスカー状、あるい
は他の各種の形状のものとして使用することが可能であ
るが、平均粒径が、通常、0.05〜4μm、好ましく
は、1〜3μm程度の微粒子もしくは超微粒子状のもの
や、アスペクト比が20〜200程度のウイスカー状の
もの等を好適に使用することができる。
【0037】燒結温度しては、通常、1,200〜2,
000℃、好ましくは1,300〜1,900℃あるい
は1,300〜1,550℃あるいは1,350〜1,
550℃の範囲内にするのが適当である。燒結時間は、
通常、0.5時間以上、好ましくは、1〜2時間程度の
範囲内にするのが適当である。
【0038】ダイヤモンド被覆部材を製造するのに使用
される基材の形状については、特に制限はない。前記基
材は、例えば、前記燒結に際して予め所望の形状にして
おいてから燒結をすることができるし、あるいは、前記
燒結後、必要に応じて所望の形状に加工して、この発明
のダイヤモンド被覆部材の基材として用いることができ
る。このエッチング処理工程においては、前記基材の表
面にエッチング処理をする。
【0039】上記基材の表面をエッチング処理する方法
としては、例えば、ウェットエッチングやドライエッチ
ングを挙げることができる。ウェットエッチングとして
は、酸によるエッチング処理や電解エッチングなどを挙
げることができる。
【0040】酸によるエッチング処理を行なう場合の酸
としては、特に限定はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩
酸、フッ酸等を挙げることができる。また、上記酸を、
一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても
よい。上記の酸の中でも、硝酸とフッ酸との混酸、フッ
化水素と硝酸とから得られる混酸が特に好ましい。
【0041】以下、酸によるエッチング処理の一例とし
て、硝酸とフッ酸との混酸もしくはフッ化水素と硝酸と
から得られる混酸を使用する場合について詳細に記載す
る。ただし、本発明における酸によるエッチング処理
は、これに限定されない。
【0042】フッ化水素と硝酸とから得られる混酸を調
製するときのフッ化水素としては、フッ化水素そのもの
を使用することができるし、フッ化水素の水溶液である
フッ化水素酸の形態で使用することもできる。
【0043】上記混酸を使用する場合においては、フッ
化水素と硝酸とから得られる混酸中、フッ化水素が分解
していないと仮定した場合のそのフッ化水素の含有量
は、通常5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%
である。また、この混液中における硝酸濃度としては、
通常5〜65モル%であり、好ましくは15〜60モル
%ある。上記の範囲内で混酸中にフッ化水素と硝酸とが
含有されている(ただし、残余は水である。)と、その
ような混酸で処理した基材層上に密着性良く被覆層を形
成することができる。
【0044】上記した範囲内にフッ化水素が含有される
ようにするには、フッ化水素酸を使用するときには、1
0〜50%、好ましくは20〜46%のフッ化水素を含
有するフッ化水素酸が好ましい。また、硝酸としては、
濃度が30〜70%、特に30〜61%である硝酸が好
ましい。実際的見地からすると、フッ化水素と硝酸とか
ら得られる混酸としては、実質的にフッ化水素酸と硝酸
とからなる混合物が好ましく、必要に応じて他の無機
酸、例えば硫酸等を混合してなる混合物を使用すること
もできる。実質的にフッ化水素酸と硝酸とからなる混合
物を採用する場合、フッ化水素および硝酸が前述した含
有量になるようにフッ化水素酸および硝酸それぞれの濃
度を調製するのがよい。
【0045】本発明における酸によるエッチング処理と
しては、通常、前記酸中に基材を浸漬する手法、基材の
表面に前記酸をスプレイする手法等、各種の方法を採用
することができる。要するに、処理するべき基材の所定
表面を前記酸と接触させることができればよいのであ
る。
【0046】前記酸によるエッチング処理の温度として
は、特に限定はないが、例えば、上記混酸を使用する場
合には、通常70〜100℃が好ましく、特に80〜9
5℃が好ましい。処理温度が70℃より低い場合には、
基材の表面のエッチングが不十分になるため所望の効果
が得られない。また、処理温度が100℃より高い場合
には、基材の表面のエッチングが激しく進行するため制
御性が悪くなる。
【0047】前記酸によるエッチング処理の時間として
は、十分にエッチングが施される限り特に限定はない
が、例えば、上記混酸を使用する場合には、通常0.5
秒〜300秒が好ましく、特に1秒〜120秒が好まし
い。処理時間が0.5秒より短い場合には、表面処理が
不十分になる場合がある。また、300秒より長い場合
には、表面処理が進み過ぎて密着性が低下する場合があ
る。
【0048】一方、電解エッチングを行なう場合の電解
液としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸などの無
機酸や硫酸コバルト等の無機酸塩類およびアルコールな
どを挙げることができる。これらは単独で用いてもよい
し、二種以上を混合して用いてもよい。上記電解液の中
でも、フッ化水素と硫酸とアルコールとを有する溶液が
本発明の方法には好適である。
【0049】フッ化水素と硫酸とアルコールとを含有す
る溶液を調製するときのフッ化水素としては、フッ化水
素そのものを使用することができるし、フッ化水素の水
溶液であるフッ化水素酸の形態で使用することもでき
る。実際的見地からすると、フッ化水素と硫酸とアルコ
ールとを含有する溶液としては、アルコールにフッ化水
素酸と硫酸とを混合してなる混合物が好ましく、必要に
応じて他の無機酸、例えば硝酸、塩酸等を混合すること
もできる。
【0050】以下、電解エッチングの一例として、電解
液をフッ化水素と硫酸とアルコールとを含有する溶液と
した場合について詳細に記載する。ただし、本発明にお
ける電解エッチングは、これに限定されない。
【0051】上記フッ化水素と硫酸とアルコールとを含
有する溶液におけるフッ化水素の濃度は、通常1〜5モ
ル%であり、好ましくは1〜3モル%である。実質的に
フッ化水素酸を用いてフッ化水素と硫酸とアルコールと
からなる溶液を調製する場合、混合後のフッ化水素の濃
度が上記濃度範囲になるようにフッ化水素酸を調製して
用いるのがよい。
【0052】上記フッ化水素と硫酸とアルコールとから
なる溶液における硫酸濃度としては、通常5〜20モル
%であり、好ましくは5〜10モル%である。前記アル
コールとしては、この発明の目的を阻害しない限りにお
いては特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール等を挙げることができ
る。その中でも、特にメタノールが好ましい。
【0053】この場合においては、前記フッ化水素と硫
酸とアルコールとからなる溶液中に、前記基材が正極
に、対向電極が負極になるように、対向電極を設けて前
記基材の表面の電解研磨を行なう。上記電極の材質とし
ては、電解エッチング中に基材の表面を阻害するような
物質例えばガスを発生するものでなければよく、特に制
限はないが、例えば、ステンレス等を挙げることができ
る。
【0054】前記電解エッチングにおける電圧は、通常
5〜10Vである。電圧が5Vよりも低い場合には、エ
ッチングが不十分になるので所望の効果を得ることがで
きないことがある。また、電圧が10Vより高い場合に
は、基材表面のエッチングが激しくなるので、エッチン
グの制御性が悪くなる。
【0055】前記電解エッチングにおける電流は、単位
面積当たりの電流が5〜100A/cm2 であるのが好
ましく、特に、5〜50A/cm2 が好ましい。単位面
積当たりの電流が5A/cm2 より小さい場合には、エ
ッチングが不十分であるので、所望の効果を得ることが
できないことがある。また、単位面積当たりの電流が1
00A/cm2 より大きい場合には、基材表面のエッチ
ングが激しく進行するので制御性が悪くなる。
【0056】前記電解研磨における処理時間は、前記基
材の形状および前記電流の大きさ等により一概に決定す
ることはできないが、通常2〜15分であるのが好まし
く、特に2〜10分であるのが好ましい。ドライエッチ
ングとしては、例えば、プラズマによるエッチング処理
を挙げることができる。
【0057】前記プラズマによるエッチング処理におい
ては、例えば、アルゴン、窒素ガス等の不活性ガス、四
フッ化炭素、水素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二
酸化炭素ガス、メタノールガス、水蒸気、あるいはこれ
らの混合物等のプラズマを挙げることができる。そのな
かでも、特にアルゴン、二酸化炭素ガス60〜90%お
よび水素ガス40〜10%の混合ガスが好ましい。
【0058】プラズマ化する方法としては、特に制限は
なく、一般的なダイヤモンドあるいはダイヤモンド膜の
気相合成法に利用されるプラズマ法等の各種の方法によ
るプラズマ処理法が適用可能である。具体的には、例え
ば、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマCV
D法、熱フィラメント法、ECR法等、あるいこれらの
組み合わせ法等を挙げることができる。これらの中で
も、特に、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズ
マCVD法等が好ましい。また、後述するダイヤモンド
の気相合成に際して採用されるCVD法と同じCVD法
を採用すると、装置構成上便利である。プラズマにより
エッチング処理を行なう場合の反応条件としては、従来
通りの条件によって行うことができる。例えば、処理圧
力としては、10〜100torrの範囲内が好まし
い。圧力が前記の範囲より高いと処理の制御性が悪く、
また、低いと処理に時間がかかる。表面の温度として
は、500〜1,100℃の範囲内、好ましくは700
〜1,000℃である。温度が前記の範囲より高いと処
理の制御性が悪く、再現性が悪いし、また、低いと処理
に時間がかかる。処理時間は、1分〜200分、好まし
くは60分である。
【0059】本発明において上記のようなエッチング処
理を行なうことにより、基材上にダイヤモンド膜を形成
する際に有害な結合相を作る原因になるコバルト等の金
属が除去され、しかも基材の表面に凹凸や細孔が生じ
る。その結果、後述する気相法によるダイヤモンド膜の
合成時に、生成するダイヤモンド膜がこの表面の凹凸や
細孔に入り込み、基材への密着性に優れたダイヤモンド
膜を合成することができるのである。
【0060】(2)クラスタダイヤモンド付着工程 本発明の方法においては、前記エッチング処理を施した
基材の面上に、平均粒径が10nm以下のクラスタダイ
ヤモンド(ダイヤモンド超微粒子)を付着させた後、気
相法によってダイヤモンド類薄膜を形成する。このよう
に特定の粒径以下の極めて細かいクラスタダイヤモンド
を前記エッチング処理面に付着させることによって、基
材表面のエッチング処理によって生じた凹凸の凹部に該
クラスタダイヤモンドが入り、ダイヤモンド類薄膜の密
着性が著しく向上する。なお、この付着させたクラスタ
ダイヤモンドは、気相法によって生成するダイヤモンド
(ダイヤモンド類薄膜)と一体化して、基材と強固に密
着する。その結果、基材と極めて密着性のよいダイヤモ
ンドコーティングを形成することができるのである。ま
た、このクラスタダイヤモンドは、気相法によるダイヤ
モンドの生成核としても貢献するので、ダイヤモンド類
薄膜の形成速度も向上し、より純粋なダイヤモンドから
なるより一層緻密な組織を有する高品質のダイヤモンド
コーティングが形成される。
【0061】ここで、付着させるクラスタダイヤモンド
の平均粒径が10nmより大きいと、前記エッチング処
理によって生じた基材面の凹部をうまく埋めることがで
きないので、密着性を十分に改善することができない。
なお、平均粒径が5nm以下のさらに細かいクラスタダ
イヤモンドを用いると、通常、より好ましい効果が得ら
れる。
【0062】前記クラスタダイヤモンドの付着手段とし
ては、特に制限はなく、各種の手法を適用することがで
きる。具体的には、たとえば、通常の塗布法、スプレー
塗布法等の各種の塗布法、クラスタダイヤモンドのスラ
リー中に基材の全体あるいは所定のエッチング処理面を
浸す浸漬法などを例示することができる。これらの中で
も、特に、スプレー塗布法、スラリー浸漬法などが好適
に採用される。
【0063】なお、クラスタダイヤモンドを分散させる
分散液としては、特に制限はないが、通常は、たとえ
ば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン
類等の有機溶媒などが好適に使用される。
【0064】(3)ダイヤモンド類膜形成工程 本発明の方法においては、以上のようにエッチング処理
した基材の面上に前記所定のクラスタダイヤモンドを付
着させた後、該表面上に気相法によってダイヤモンド類
薄膜を形成させる。このダイヤモンド類薄膜の形成は、
CVD法やPVD法、あるいはこれらを組み合せた方法
等による各種の気相法によるダイヤモンド類薄膜の合成
手法によって好適に行うことができる。
【0065】本発明の方法において、前記基材の面上に
形成せしめるダイヤモンド類薄膜の厚みは、ダイヤモン
ド被覆部材の使用目的等によって異なるので一律に定め
ることができないが、通常、0.5μm以上、好ましく
は5μm以上である。このダイヤモンド類薄膜があまり
薄いと、基材の表面を充分に被覆することができないこ
とがあり、一方、この厚みがあまり大きいと、ダイヤモ
ンド類薄膜が剥離することがある。
【0066】なお、本発明においては、単にダイヤモン
ド類と言うとき、それはダイヤモンドの他に、ダイヤモ
ンド状炭素を一部において含有するダイヤモンドおよび
ダイヤモンド状炭素を含むものである。気相合成法によ
るダイヤモンド類薄膜の形成方法としては、従来から各
種の方法が知られている。
【0067】本発明の方法においては、これらの公知の
方法など各種の気相合成法によるダイヤモンド類薄膜の
形成方法が適用可能であるが、通常は、以下に示す方法
が好適に使用することができる。すなわち、次に示す方
法によって、前記エッチング処理後クラスタダイヤモン
ドを付着させた基材上に所望のダイヤモンド類薄膜を好
適に形成することができる。
【0068】上記炭素源ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
ール類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素等を挙げ
ることができる。また前記各種の化合物を混合して使用
することもできる。
【0069】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン
類、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン
類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に一酸化炭素が好
ましい。
【0070】なお、これらは一種単独で用いても良く、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。また、こ
れらは水素、酸素等の活性ガスやヘリウム、アルゴン、
ネオン、キセノン、窒素等の不活性ガスと混合して用い
ても良い。
【0071】原料ガスがメタンガス(CH4 )と水素と
を含有する場合、メタンガスの含有量は5モル%未満で
あるのが好ましい。特に一酸化炭素が好ましいのは、一
酸化炭素が例えば80モル%という高い濃度でもダイヤ
モンド類薄膜を形成することができる点である。
【0072】また、好適な炭素源ガスとして一酸化炭素
を使用する場合、一酸化炭素と水素ガスとを組合わせる
のが好ましい。一酸化炭素と水素ガスとを組合わせた原
料ガスによると、ダイヤモンド類薄膜の成長速度が速い
(たとえば、同一条件では、メタンと水素ガスとを組合
わせた原料ガスの場合の2〜10倍のダイヤモンド薄膜
の成長速度が得られることがある。)。
【0073】前記一酸化炭素としては特に制限がなく、
たとえば石炭、コークス等と空気または水蒸気を熱時反
応させて得られる発生炉ガスや水性ガスを十分に精製し
たものを用いることができる。前記水素ガスとしては、
特に制限がなく、たとえば石油類のガス化、天然ガス、
水性ガス等の変成、水の電解、鉄と水蒸気との反応、石
炭の完全ガス化等により得られるものを十分に精製した
ものを用いることができる。
【0074】水素ガスと一酸化炭素との混合ガスを原料
ガスとして使用する場合、一酸化炭素ガスの含有量が、
通常1〜80モル%、好ましくは1〜60モル%、さら
に好ましくは2〜60モル%となる割合で原料ガスを調
製する。前記混合ガス中の一酸化炭素ガスの含有量が1
モル%よりも少ないと、ダイヤモンド類薄膜の成長速度
が十分に得られないことがあり、一方、一酸化炭素ガス
の含有量が80モル%を越えると堆積するダイヤモンド
類薄膜中のダイヤモンド成分の純度が低下することがあ
る。
【0075】前記ダイヤモンド類薄膜の形成には、公知
の方法、例えば、CVD法、PVD法、PCVD法、あ
るいはこれらを組み合わせた方法等、各種のダイヤモン
ド類薄膜気相合成法を使用することができ、これらの中
でも、通常、EACVD法を含めた各種の熱フィラメン
ト法、熱プラズマ法を含めた各種の直流プラズマCVD
法、熱プラズマ法を含めた高周波プラズマCVD法、熱
プラズマ法を含めたマイクロ波プラズマCVD法、燃焼
法等を好適に使用することができる。
【0076】ダイヤモンド類薄膜の形成条件としては、
特に制限はなく、前記の気相合成法に通常用いられる反
応条件を適用することができる。例えば、反応圧力とし
ては、通常、10-6〜103 Torrが好ましく、特に
1〜800Torrの範囲内であるのが好ましい。反応
圧力が10-6Torrよりも低い場合には、ダイヤモン
ド類薄膜の形成速度が遅くなることがある。また、10
3 Torrより高い場合には、103 Torrの時に得
られる効果に比べて、それ以上の効果がない。
【0077】前記基材の表面温度としては、前記原料ガ
スの活性化手段等により異なるので、一概に規定するこ
とはできないが、通常、300〜1,200℃、好まし
くは、450〜1,100℃の範囲内にするのがよい。
この温度が300℃よりも低い場合には、結晶性のダイ
ヤモンド類薄膜の形成が不十分になることがある。ま
た、温度が1,200℃を超える場合においては、形成
されたダイヤモンド類薄膜のエッチングが生じ易くな
る。
【0078】反応時間としては、特に限定はなく、ダイ
ヤモンド類薄膜が所望の厚みとなるように、ダイヤモン
ド類薄膜の形成速度に応じて適宜に設定するのが好まし
い。前記基材の表面に形成させるダイヤモンド類薄膜の
厚みは、ダイヤモンド被覆部材の使用目的等により異な
るので一律に定めることはできないが、工具の場合、通
常は5μm以上、好ましくは、10〜50μm以上が適
当である。ダイヤモンド類薄膜が薄すぎる場合には、基
材の表面を十分に被覆することができないことがある。
【0079】以上のようにして本発明のダイヤモンド被
覆部材を製造することができる。本発明の方法によって
製造されたダイヤモンド被覆部材は、前記基材上にエッ
チング処理を施しクラスタダイヤモンドを付着させずに
ダイヤモンド類薄膜を形成させて得られた従来のダイヤ
モンド被覆部材と比べて、特に基材に対するダイヤモン
ドコーティングの密着性が著しく優れており、また、ダ
イヤモンドコーティング自体も緻密で強固な組織となっ
ている高性能、高品質のダイヤモンド被覆部材である。
したがって、本発明の方法によって、基材やダイヤモン
ドコーティングの膜厚等を適宜選定することによって、
たとえば、切削工具等の超硬工具や摺動部材等の耐摩耗
性部材など高い硬度や耐摩耗性を要求される各種の工具
類や耐摩耗性部材として実用に供した際に、高い性能と
優れた耐久性を発揮し、厳しい条件で使用された際に
も、その使用寿命を大幅に向上させることができるダイ
ヤモンド被覆部材を容易に製造することができる。
【0080】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって、より具体
的に説明する、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0081】(実施例1)市販の切削工具用チップであ
るSPGN120304の超硬合金部材(W;87重量
%、Co;6重量%、Ta;1重量%、C;6重量%)
をフッ酸(46%)と硝酸(61%)とを1:1の割合
で混合した処理液に、5秒間浸漬することによりこの基
材表面にエッチング処理を行った。この後、純水中で3
回繰り返し洗浄し、その後にアセトン中で洗浄し、風乾
した。次いで、このエッチング処理をした基材表面にク
ラスタダイヤモンド(平均粒径5nm)をエタノール中
に分散させた分散液(5/100vol/vol )をスプレー
方式で塗布し、その後乾燥し、最終的に基材表面にクラ
スタダイヤモンドを付着させた。
【0082】その後に、マイクロ波プラズマCVD法を
用いてダイヤモンド薄膜を形成し、厚み25μmのダイ
ヤモンド膜を有するダイヤモンド被覆部材を得た。この
ダイヤモンド被覆部材につきインデンテーション法によ
りダイヤモンド薄膜の密着性を評価した。
【0083】なお、インデンテーション法による評価方
法とは、半球形またはピラミッド形に整形されたダイヤ
モンドの圧子を評価対象物である試料に押し当てて試料
の表面を変形させ、変形後における試料の状態を観察
し、試料の密着性を評価する方法である。
【0084】本願実施例においては試料がダイヤモンド
被覆部材なので、基板にピラミッド形の圧子を適当な荷
重で押し込んで基板を変形させ、基板が元の状態よりも
盛り上がっている部分について観察する。この部分にお
いては、変形した基板がその表面に形成されているダイ
ヤモンド類薄膜を押しあげることになるので、ダイヤモ
ンド類薄膜と基板との密着性が悪い場合にはダイヤモン
ド類薄膜が基板から剥離する部分の面積が大きくなるの
である。したがって、剥離したダイヤモンド類薄膜の面
積の大小を測定することにより、基板とその表面に形成
されたダイヤモンド類薄膜との密着性の良し悪しを評価
することができる。
【0085】本願実施例においては、測定条件として
は、ロックウェル圧子への荷重を30kg・fとし、保
持時間を30秒間にし、該圧子によるダイヤモンド類薄
膜の剥離面積を求め、この測定値により、密着性の大小
を評価した。この実施例におけるダイヤモンド被覆部材
は、上記評価の結果、ダイヤモンド薄膜の剥離が全く見
られず、ダイヤモンド薄膜が極めて強固に基材に結合し
ていることが確認された。
【0086】(実施例2)前記実施例1において、エッ
チング処理として、窒素中で1,000℃かつ40To
rrにて、30分間のプラズマエッチングを行った外は
前記実施例1と同様にしてダイヤモンド被覆部材を製造
した。このダイヤモンド被覆部材を前記実施例1と同様
にして評価したところ、ダイヤモンド薄膜の剥離が全く
見られず、ダイヤモンド薄膜が極めて強固に基材に結合
していることが確認された。
【0087】
【発明の効果】本発明の方法によると、前記所定の基材
の面上にエッチング処理を行って基材表層部の組成を調
整した後、特定の平均粒径以下のクラスタダイヤモンド
を付着させ、そのエッチング処理によって生じた凹凸の
凹部に該クラスタダイヤモンドを埋め込んで、その面上
に気相法によってダイヤモンド類薄膜を形成し、該クラ
スタダイヤモンドと該ダイヤモンド類薄膜を一体化した
形で基材をダイヤモンドコーティングするという特定の
方法を用いているので、前記基材上にエッチング処理を
施しクラスタダイヤモンドを付着させずにダイヤモンド
類薄膜を形成させて得られた従来のダイヤモンド被覆部
材と比べて、特に基材に対するダイヤモンドコーティン
グの密着性を著しく向上させることができ、また、ダイ
ヤモンドコーティング自体の組織の緻密化、強固化も同
時に達成することができる。
【0088】したがって、本発明の方法によると、基材
に対して極めて密着性に優れたダイヤモンドコーティン
グを有する高性能、高品質のダイヤモンド被覆部材を容
易に得ることができ、基材やダイヤモンドコーティング
の膜厚等を適宜選定することによって、種々の用途に有
利に利用することができる実用上優れたダイヤモンド被
覆部材を容易に製造することができる。なお、本発明の
方法は、特に、たとえば切削工具等の超硬工具や摺動部
材等の耐摩耗性部材などの高い硬度や耐摩耗性が要求さ
れる製品や部材の製造に著しく有用であり、これらの耐
久性(使用寿命)や性能を著しく向上させることができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金、サーメットまたはセラミック
    スを主成分とする基材の表面をエッチング処理した後、
    該エッチング処理面に平均粒子径10nm以下のクラス
    タダイヤモンドを付着させ、その上に気相法によりダイ
    ヤモンド類薄膜を被覆することを特徴とするダイヤモン
    ド被覆部材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4842090A (en) * 1986-04-23 1989-06-27 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Electrically power-assisted four-wheel steering system for vehicles
WO2011018917A1 (ja) * 2009-08-11 2011-02-17 住友電気工業株式会社 ダイヤモンド被覆工具

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