JPH06256534A - 結晶性熱可塑性樹脂複合材料およびその製造方法 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂複合材料およびその製造方法

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JPH06256534A
JPH06256534A JP5042609A JP4260993A JPH06256534A JP H06256534 A JPH06256534 A JP H06256534A JP 5042609 A JP5042609 A JP 5042609A JP 4260993 A JP4260993 A JP 4260993A JP H06256534 A JPH06256534 A JP H06256534A
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JP
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composite material
polyphenylene sulfide
fibers
thermoplastic resin
crystalline thermoplastic
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JP5042609A
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Takashi Yoshitomi
孝 吉冨
Tsutomu Matsuda
勉 松田
Tsutomu Nakamura
勤 中村
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、強度、耐摩耗性の全てが優れた複合
材料およびそのような複合材料を工業的に有利に製造す
る方法を提供する。 【構成】 強化繊維と結晶性熱可塑性樹脂からなる複合
材料において、結晶性熱可塑性樹脂がポリフェニレンサ
ルファイドであり、かつ、該ポリフェニレンサルファイ
ドの結晶化度が35%以上、結晶サイズが80オングス
トローム以下である結晶性熱可塑性樹脂複合材料。かか
る複合材料は、強化繊維の構造物にポリフェニレンサル
ファイドを溶融・含浸させて成形する際、急冷した後特
定の条件でアニーリングすることにより、工業的に有利
に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強化繊維と結晶性熱可
塑性樹脂からなる複合材料に関する。特に、マトリック
ス樹脂が特定の結晶化度と結晶サイズに制御されたポリ
フェニレンサルファイドであるところの、耐熱性や耐摩
耗性に優れかつ強度の高い複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化された結晶性熱可塑性樹脂複合
材料は、航空機材、工業用部品、電子部品、スポーツ用
具等の、軽量かつ高剛性、高強度、耐摩耗性等の特性が
要求される分野において有効に用いられている。
【0003】結晶性熱可塑性樹脂のひとつであるポリフ
ェニレンサルファイド(一般にPPSと略称されてい
る)を繊維で強化(補強)した複合材料は、繊維の形態
で分類すると短繊維や長繊維(繊維長2〜30mmの非連
続繊維)により強化されたものと連続繊維により強化さ
れたものに分けられる。前者はインジェクション等によ
り成形され、後者はプレス成形がなされている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】後者の場合、連続繊維のマッ
ト、クロス等の構造物によって強化(補強)されたポリ
フェニレンサルファイド複合材料を製造する場合、樹脂
を該構造物に完全含浸させる必要があるが、ポリフェニ
レンサルファイドは樹脂粘度が高いため、この達成が困
難である。したがって、繊維含有率の低いスワールマッ
トを強化繊維として用いたものや含浸が容易な一方向引
き揃え繊維を用いたものにおいてポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂複合材料が一部実用化されてはいるものの、
繊維密度の高いクロス等については実用化されているも
のは少ないのが現状である。
【0005】一般にこのような繊維密度の高いクロス等
への樹脂の完全含浸を達成するには、高温と高圧が必要
であり、これを可能とする熱プレス装置、オートクレー
ブ装置等の回分型成形装置やダブルベルト型プレス装
置、多段加熱/加圧ローラー等の連続成形装置が利用さ
れている。このような成形装置を利用して、適切な条件
を選択することにより、クロス等の繊維密度の高いもの
を補強材とし、ポリフェニレンサルファイドをマトリッ
クス樹脂とした、完全含浸された複合材料を得ることは
一応可能であるが、完全含浸が達成されても複合材料の
特性が大きく変化することが判明した。この傾向は結晶
性の高いポリフェニレンサルファイドをマトリックスと
する場合は大きな問題である。現在のところ、この解決
のために各種の方策が検討されつつあるが、未だに有効
な方法に到達しておらず、この解決が待たれる所であ
る。
【0006】すなわち、熱プレス装置やオートクレーブ
装置等の成形装置を用いて、ポリフェニレンサルファイ
ドのように結晶化速度の大きい樹脂を成形すると、耐熱
性はあるが、強度や耐摩耗性の低い複合材料となり、一
方、ダブルベルト型熱プレス成形装置により製造したポ
リフェニレンサルファイド複合材料においては、高強度
ではあるが耐熱性の低い複合材料となる。
【0007】したがって、本発明の第1の目的は、耐熱
性、強度、耐摩耗性の全てが優れた複合材料を提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、そのような
複合材料を工業的に有利に製造する方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、従来着目されてきた樹脂と繊維との
接着や複合材料全体としての含有欠陥部の低減といった
観点から離れ、マトリックス樹脂の結晶サイズ、結晶化
度に着目し、それらを特定範囲に制御することによっ
て、優れた強度、耐熱性、耐摩耗性を兼ね備えた結晶性
熱可塑性樹脂複合材料が得られるという新知見に到達
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の複合材料は、強化繊維
と結晶性熱可塑性樹脂からなる複合材料であって、該結
晶性熱可塑性樹脂が結晶化度35%以上、結晶サイズ8
0オングストローム以下、好ましくは70オングストロ
ーム以下のポリフェニレンサルファイドであることを特
徴とする結晶性熱可塑性樹脂複合材料である。
【0010】本発明の複合材料においてマトリックス樹
脂となるポリフェニレンサルファイドとは、主として、
次の化学式
【0011】
【化1】
【0012】で示されるような、フェニル基のパラ位に
スルフィド結合を有する繰り返し単位により構成される
結晶性の熱可塑性ポリマーである。これらは、ポリフェ
ニレンサルファイド結合に起因する結晶性を有するもの
であれば、非架橋タイプのポリマーでも架橋タイプのポ
リマーでも、あるいは両方の構造を有するポリマーでも
よい。中でも全てが上記一般式(A)に示される繰り返
し単位により構成される非架橋タイプのポリマーが好ま
しい。
【0013】また、本発明の複合材料に使用される強化
繊維は、ポリフェニレンサルファイドの含浸条件におい
て変質しない物からなる繊維であれば良く、一般に、耐
熱性のあるガラス、カーボン、アルミナ、SiC、チタ
ン、ボロン等の無機繊維およびそのウィスカ、あるいは
アラミド、アリレート等の有機繊維、あるいはそれらの
組み合わせが好ましい。また、強化繊維の形態は、ウィ
スカ、短繊維、長繊維(繊維長2〜30mmの非連続繊
維)、チョップドストランド、チョップドストランドマ
ット等の不連続繊維、あるいは、一方向配列連続繊維、
一方向配列ロービングクロス、コンティニュアスマッ
ト、クロス、織布、組み物、3次元織編物等の形態を持
つ連続繊維があげられる。
【0014】特に、本発明では、比較的緻密なコンティ
ニュアスマット、クロス、織布、3次元織物等の連続繊
維構造物が好ましい。
【0015】本発明の複合材料は、本質的に上記の強化
繊維とポリフェニレンサルファイドのマトリックス樹脂
とからなるが、必要に応じて、着色剤、充填剤、核剤等
を含んでもよい。強化繊維の含有量は、繊維の体積含有
率(Vf)にして1〜70%の範囲が適当であり、20
〜60%が好ましい。
【0016】本発明の複合材料の最大の特徴は、マトリ
ックス樹脂であるポリフェニレンサルファイドの結晶化
度が35%以上、好ましくは40〜60%であり、か
つ、結晶サイズが80オングストローム以下、好ましく
は10〜70オングストロームの範囲に制御されている
ことである。
【0017】本発明者らの研究によれば、ポリフェニレ
ンサルファイドをマトリックスとする複合材料にあって
は、マトリックス樹脂の結晶化度と結晶サイズとが特定
の範囲内にあるときは、複合材料の特性が格段に優れた
ものとなることが判明した。
【0018】すなわち、非晶状態のポリフェニレンサル
ファイドをマトリックス樹脂とするガラス繊維強化複合
材料は、後掲の実施例中の表1〜2に試験片Aとして例
示するように、耐熱性が著しく低いため、ポリフェニレ
ンサルファイドの結晶化が不可欠である。これに対し、
例えば、試験片Bのように35%以上の結晶化度に達し
ているものは、繊維強化ポリフェニレンサルファイド樹
脂複合材料の耐熱性(HDT)は他の高結晶化繊維強化
ポリフェニレンサルファイド樹脂複合材料(試験片C〜
F)と同等の耐熱性を示すようになる。また、結晶化度
が35%未満になると、耐摩耗性も低下する傾向を示す
ので、優れた耐熱性および耐摩耗性能を併せ持つガラス
繊維補強ポリフェニレンサルファイド樹脂複合材料シー
トを得るには、マトリックス樹脂の結晶化度を35%以
上に制御することが必要である。
【0019】一方、試験片E〜Fからも明らかなよう
に、結晶化度が35%以上であっても結晶サイズが80
オングストロームを越えると、曲げ強度が急激に低下し
始めるので、好ましくない。しかも、結晶サイズの増大
により耐摩耗性も低下する傾向を示し、優れた強度およ
び耐摩耗性を併せ持つガラス繊維強化ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂複合材料を得るには、マトリックス樹脂
の結晶サイズを80オングストロームに制御することが
必要である。
【0020】上記の如く、繊維強化ポリフェニレンサル
ファイド樹脂複合材料において、樹脂の結晶サイズを8
0オングストローム以下、好ましくは70オングストロ
ーム以下、かつ、その結晶化度を35%以上とすること
で、良好な強度、耐熱性、耐摩耗性を全て兼ね備えた複
合材料を得ることが出来る。
【0021】なお、ここで言うポリフェニレンサルファ
イドの結晶サイズおよび結晶化度は、次の如くX線広角
回折により求められる値である。
【0022】X線測定装置はリガク(株)製RADーB
を用い、X線をD.S.=1/2゜、R.S.=0.1
5mm、S.S.=1/2゜の各スリットに通し、サン
プルに照射して、反射角5゜≦2θ≦40゜の反射強度
を測定する。結晶化度は11゜≦2θ≦27゜の積分強
度により算出し、結晶サイズは、その最大ピークの半価
幅より算出される。
【0023】一般に、ポリフェニレンサルファイドにあ
っては、結晶化度と結晶サイズとは比例関係にあり、結
晶化度を大きくすると結晶サイズも大きくなるのが普通
であるが、本発明の如く、このような相反する2つのミ
クロ構造を上述の範囲に制御することで、耐磨耗性、耐
熱性、強度を兼備した繊維強化ポリフェニレンサルファ
イド樹脂複合材料が得られることは、驚くべきことであ
る。
【0024】複合材料の形状は、一般にシート状が多い
が、本発明のものはシート状に限定されず、種々の形状
をとり得る。
【0025】次に、上述の特徴を有する本発明の複合材
料を効率的に製造する方法について説明する。
【0026】本発明方法では、加圧と同時に加熱および
/または冷却の可能な成形装置が用いられるが、このよ
うな装置としては、熱プレス装置やオートクレーブ装置
等の回分型の成形装置や、ダブルベルト型プレス成形装
置や多段加熱・加圧ローラーを備えた連続成形装置が好
ましい。
【0027】このような成形装置を使用して、強化繊維
とポリフェニレンサルファイドとを一体化して複合材料
とする際、強化繊維のクロス、マットなどのシート状構
造物とポリフェニレンサルファイドのシート、フィルム
または粉末層とを積層し、加圧すると共にポリフェニレ
ンサルファイドの融点以上に加熱して溶融した樹脂を強
化繊維の構造物中に含浸させ一体化する方法が好ましく
採用される。樹脂の溶融・含浸後、冷却・固定化して複
合材料を得るが、本発明の複合材料を得るには冷却の温
度および時間を制御することが大切である。
【0028】この制御方法は、溶融一体化温度から一旦
室温まで90℃/分以上の降温速度にて室温まで急速に
冷却し、しかる後、特定条件でアニーリングする方法
と、強化繊維とポリフェニレンサルファイドの溶融一体
化温度から、特定の条件を経由させて、次いで室温まで
冷却する多段冷却方法とに大別される。この両者におい
て、ポリフェニレンサルファイドの結晶特性を適正化さ
せるための上記特定の条件は同じであり、これを具体例
を挙げて次に詳述する。
【0029】(ア)加熱−急速冷却−アニーリング法 ダブルベルトプレス成型装置を用いて、一定圧力下に、
室温から約320℃まで急速加熱し、引き続きその温度
から90℃/分以上の降温速度で室温まで急速に冷却す
ることにより、非結晶質ポリフェニレンサルファイドを
マトリックス樹脂とするガラス繊維強化複合材料シート
を製造する。次に、この繊維強化非結晶質ポリフェニレ
ンサルファイド複合材料シートを加熱してアニーリング
する。その際、そのアニーリング温度(D℃)を、ポリ
フェニレンサルファイドの結晶化が始まる温度である1
20℃以上で、かつ処理時間t(分)に応じて下記数式
(1)を満足する範囲とする。
【0030】
【数2】 D<525/(t+5.5)+180 (1)
【0031】アニーリングの条件が、上記の条件より外
れる場合、例えば250℃で360分処理した場合、結
晶化度は35%以上となるが、結晶サイズが70オング
ストロームよりも大きくなってしまい、強度が充分に発
現せず、好ましくない。 本発明方法では、このような
条件での加熱−急速冷却−アニーリング法によって、マ
トリックス樹脂であるポリフェニレンサルファイドの結
晶化度が35%以上、結晶サイズが80オングストロー
ム以下となって、耐熱性と耐摩耗性と強度とを兼ね備え
た有用な複合材料が効率的に製造される。
【0032】(イ)加熱−多段冷却法 ダブルベルト型プレス成形装置を用いて、一定圧力下
に、室温から約320℃まで急速加熱し、引き続きその
温度から120℃以上で、かつ下記数式(1)
【0033】
【数3】 D<525/(t+5.5)+180 (1)
【0034】[上記数式(1)において、Dは温度
(℃)、tは時間(分)を示す]を満足する温度まで急
冷し、その温度で上記の時間(t分)保持したのち、室
温まで冷却する。この場合の冷却途中の保持温度、時間
が上記の範囲を外れると、本発明の結晶化度と結晶サイ
ズのものが得られないことは,上記(ア)の場合と同様
である。
【0035】上記(ア)(イ)のいずれの方法において
も、上記数式(1)を満足する温度(D℃)と時間(t
分)の範囲内で実施するに当たり、温度を120〜25
0℃、特に130〜240℃、の範囲とし、かつ、採用
する温度(D℃)に応じて次の条件を満たす時間(t
分)を選ぶのが好適である。
【0036】
【数4】210<D≦250 のとき, 2≦t 183<D≦210 のとき, 3≦t 150<D≦183 のとき, 3≦t≦180 120<D≦150 のとき, 3≦t≦1440
【0037】
【発明の効果】本発明に従い、ポリフェニレンサルファ
イドをマトリックスとする繊維強化熱可塑性樹脂複合材
料において、その構成樹脂の結晶サイズを80オングス
トローム以下、結晶化度を35%以上に制御することに
よって、強度ならびに耐摩耗性能を著しく向上させると
ともに、その耐熱性もまた向上させることが可能とな
り、従来に無い繊維補強結晶性熱可塑性樹脂からなる複
合材料を提供することができる。
【0038】したがって、本発明の複合材料は、航空機
材料、工業部品、スポーツ用具等の分野に広く応用する
ことが出来る。さらに本発明の複合材料は、耐熱性、耐
摩耗性、高強度などの特性の他に電気絶縁性、耐薬品性
が求められる部材においても応用できる。例えば、プリ
ント基盤や電気機器ケース等の電気部品、撹拌翼等の軽
量高剛性かつ耐薬品性の求められる工業用部品において
も著しい効果を発揮する。
【0039】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらによりなんら限定を受けるも
のではない。
【0040】本実施例中に記載のポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂は、フィリップス石油(株)製、非架橋低結
晶化速度低オリゴマータイプ、E2481を原料とし、
帝人(株)にてフィルム化したものを用いた。
【0041】また、本実施例中における曲げ弾性率およ
び曲げ強度の測定は、JIS K7055、(ガラス繊
維強化プラスチックスの曲げ試験方法)の3点曲げ法に
準じて行った。HDT(熱変形温度)の測定は、JIS
K 7207、硬質プラスチックの荷重たわみ温度試
験法に準じ行った測定方法より行った。なお、例中の温
度は特に断らない限りシート温度そのものを示す。
【0042】
【実施例1〜3,比較例1〜3】ガラス繊維平織りクロ
ス(ユニチカユーエムグラス(株)製、Hー201、目
付け204g/m2 )2枚の間に、ガラス繊維ー方向配
向平織りクロス(ユニチカユーエムグラス(株)製、R
F−600、目付け600g/m2 )2枚とガラス繊維
一方向配向平織りクロス(ユニチカユーエムグラス
(株)製、RF−500、目付け500g/m2 )1枚
とを挟み、さらにポリフェニレンサルファイドフィルム
(280μm厚さ)2枚を、H201/PPSフィルム
/RF600/RF500/RF600/PPSフィル
ム/H201の順に積層した材料を、ダブルベルト熱プ
レス成形機によって30kg/cm2 の一定圧力下で5
分間で室温から320℃まで急速加熱し、320℃で5
分間保持した後,降温速度100℃/分で室温まで急速
冷却し、非結晶状態のポリフェニレンサルファイドをマ
トリックス樹脂とする繊維補強樹脂シートを成形した。
該シートの厚みは1.37mmであり、ガラス繊維の体
積含有率(Vf)は60%であった。該シートから切り
出した一片を試験片Aとする。
【0043】一方、該シートから切り出した各片を、後
掲の表1に示す条件下で熱処理し、熱処理条件の違いに
よって、以下の試験片B〜Fを得た。すなわち、非結晶
状態のポリフェニレンサルファイドをマトリックス樹脂
とする繊維強化樹脂シートを、150℃で5分間保持し
て試験片Bを作成し、150℃で6時間保持して試験片
Cを作成し、230℃で5分間保持して試験片Dを作成
した。
【0044】さらに、比較のため、同様に成形した非結
晶状態のポリフェニレンサルファイドをマトリックス樹
脂とする繊維強化樹脂シートを250℃で5分間保持し
て試験片Eを、250℃で1時間保持して試験片Fを、
それぞれ作成した。
【0045】上記の如くして得られた試験片A〜試験片
Fの熱処理条件、複合材料におけるポリフェニレンサル
ファイド(PPS)の結晶状態を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】また、得られた試験片A〜試験片Fについ
て、曲げ弾性率、曲げ強度、HDT(熱変形温度)およ
び摩耗量の測定を行った結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【実施例4、比較例4〜5】ガラス繊維平織りクロス
(ユニチカユーエムグラス(株)製、Hー201、目付
け204g/m2 )2枚の間に、ガラス繊維一方向配向
平織りクロス(ユニチカユーエムグラス(株)製、RF
−600、目付け600g/m2 )3枚を挟みさらにポ
リフェニレンサルファイドフィルム(280μm厚さ)
4枚を、H201/PPSフィルム/RF600/PP
Sフィルム/RF600/PPSフィルム/RF600
/PPSフィルム/H201の順に積層した材料を、ダ
ブルベルト熱プレス成形機によって30kg/cm2
一定圧力下で5分間で室温から320℃まで急速加熱
し、その温度で5分間保持した後、100℃/分で室温
まで急速冷却し、非結晶状態のポリフェニレンサルファ
イドをマトリックス樹脂とする繊維強化樹脂シートを成
形した。該シートの厚みは1.97mmであり、ガラス
繊維体積含有率(Vf)は45%であった。該シートか
ら切り出した一片を試験片Gとする。
【0050】次に、上記シートから切り出した各片を各
温度条件下で熱処理し、処理条件の違いによって、試験
片HおよびIを作成した。すなわち、非結晶状態のポリ
フェニレンサルファイドをマトリックス樹脂とする繊維
補強樹脂シートを、150℃で5分間保持し、試験片H
を作成した。また、同様の非結晶状態のシートを250
℃で1時間保持して試験片Iを作成した。
【0051】上記の如くして得られた試験片G〜試験片
Iの評価結果を、まとめて表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表1ないし表3において、熱処理温度は
℃、熱処理時間は分、結晶化度は%、結晶サイズはオン
グストローム、曲げ弾性率はkg/mm2 、曲げ強度は
kg/mm2 、HDTは℃でそれぞれ表示される。な
お、ポリフェニレンサルファイドは完全結晶でもその結
晶化度は55%前後で示される。また、結晶サイズは、
試験片Aおよび試験片Hでは測定されなかった(表中*
印)。
【0054】これらの表から、ガラス繊維強化ポリフェ
ニレンサルファイド樹脂複合材料にあっては、マトリッ
クス樹脂の結晶サイズが80オングストロームを越える
と曲げ強度が著しく低下し、結晶サイズを80オングス
トローム以下、好ましくは70オングストローム以下と
することが、該樹脂シートの強度物性を確保する上で特
に重要であり、かつ、結晶サイズが80オングストロー
ムより大になると磨耗量が増大し耐磨耗性が低下するこ
とが良く理解される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 81:02 7308−4J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維と結晶性熱可塑性樹脂からなる
    複合材料において、結晶性熱可塑性樹脂がポリフェニレ
    ンサルファイドであり、かつ、該ポリフェニレンサルフ
    ァイドの結晶化度が35%以上、結晶サイズが80オン
    グストローム以下であることを特徴とする結晶性熱可塑
    性樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】 強化繊維が、ガラス、カーボン、ボロ
    ン、アルミナ、SiC等の無機繊維およびそれらのウィ
    スカ、あるいはアラミド、アリレート等の有機繊維のう
    ちから選ばれる少なくとも一種の繊維である請求項1記
    載の結晶性熱可塑性樹脂複合材料。
  3. 【請求項3】 強化繊維の形態が、短繊維または長繊維
    等の非連続繊維、あるいは一方向配列連続繊維、一方向
    配列ロービングクロス、コンティニュアスマット、クロ
    ス、織布、3次元織物等の連続繊維である請求項1また
    は請求項2記載の結晶性熱可塑性樹脂複合材料。
  4. 【請求項4】 強化繊維の体積含有率(Vf)が、1〜
    70%である請求項1、請求項2または請求項3記載の
    結晶性熱可塑性樹脂複合材料。
  5. 【請求項5】 加圧と同時に加熱および/または冷却の
    可能な成形装置を使用し、ポリフェニレンサルファイド
    を溶融状態で強化繊維に含浸せしめた後、成形の冷却過
    程において、90℃/分以上の冷却速度で冷却して非晶
    性のポリフェニレンサルファイドをマトリックスとする
    複合材料を形成せしめ、次いで、該複合材料をポリフェ
    ニレンサルファイドの結晶化温度である120℃以上
    で、かつ下記数式(1) 【数1】 D<525/(t+5.5)+180 (1) [上記数式(1)において、Dは温度(℃)、tは時間
    (分)を示す]を満足する温度と時間の範囲内において
    熱処理することにより、ポリフェニレンサルファイドの
    結晶化度を35%以上、結晶サイズを80オングストロ
    ーム以下にすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂複
    合材料の製造方法。
JP5042609A 1993-03-03 1993-03-03 結晶性熱可塑性樹脂複合材料およびその製造方法 Pending JPH06256534A (ja)

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WO2016052295A1 (ja) * 2014-09-30 2016-04-07 東レ株式会社 ポリフェニレンスルフィド繊維

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