JP5590371B2 - サンドイッチ構造成形物 - Google Patents

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本発明は、サンドイッチ構造成形物とその製造方法に関する。
繊維強化複合材料をスキン材とするサンドイッチ構造成形物は、高い剛性を有し幅広く使用されている。例えば、特許文献1には、炭素繊維織物を用いた高強度・高剛性の積層板を容易に製造する方法が開示されている。
近年、繊維強化複合材料をスキン材とするサンドイッチ構造成形物は軽量かつ高強度・高剛性という特徴に加え、外観部品への適用も多くなってきた。しかしながら、一般的によく使用されるジシアンジアミドを硬化剤として用いた繊維強化複合材料成形物においては、表面に白点が生じるという不具合がある。成形直後に白点が無くても、経時的に冷水や温水に触れることにより白点が生じる場合がある。特にサンドイッチ構造成形物とした場合に顕著に現れる。
ジシアンジアミドは白色固体状であり、凝集しやすく溶解しにくいため白点の原因となる。そのため、ジシアンジアミドの使用量を少なくすること、イミダゾール等の透明な液状硬化剤を使用することなどで白点改良の可能性があるが、耐熱性が低い、ポットライフが比較的短くなり作業性が低下する、などの欠点を抱えている。
特開2004−58609号公報
本発明の課題は、表面に白点のないサンドイッチ構造成形物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、硬化剤として塩化ホウ素アミン錯体を用いることで課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明の第一は、スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)からなるプリプレグを用いて作製され、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるサンドイッチ構造成形物に存する。
また本発明の第二は、スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物の製造方法であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)とからなり、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるプリプレグを用いて作製されるものであり、前記プリプレグと前記コア材とを積層した後、加熱加圧して前記プリプレグを硬化するサンドイッチ構造成形物の製造方法に存する。
本発明は、水に濡れても表面に白点が生じないサンドイッチ構造成形物を提供する。該サンドイッチ構造成形物は、優れた物性と優れた外観を併せ持つ部材として有用である。
本発明のサンドイッチ構造成形物の製造においてバギングの構成を示した断面図である。 Tg測定用の硬化物の作成においてバギングの構成を示した断面図である。 硬化物のlogG´の転移する前の平坦領域の近似直線とlogG´が転移する領域の近似直線との交点からG´−Tgを求め方を例示した図である。
「エポキシ樹脂(A)」
本発明においてエポキシ樹脂(A)として用いるエポキシ樹脂は、公知の各種のものが使用でき、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものであれば分子構造、分子量等に特に制限はない。例えばビスフェノール型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン型、ビフェニル型、オキサゾリドン型などの各種エポキシ樹脂を単独または2種以上併用して用いることができる。また、必要に応じて、単官能エポキシ樹脂、ビニル重合性樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等配合することができる。
「塩化ホウ素アミン錯体(B)」
本発明のサンドイッチ構造成形物に使用するプリプレグは、硬化剤として塩化ホウ素アミン錯体(B)を用いる。塩化ホウ素アミン錯体(B)を用いることで、プリプレグの製造方法や形態、成形方法に影響されずマトリクス樹脂本来の耐熱性を発揮するサンドイッチ構造成形物を提供することができる。塩化ホウ素アミン錯体(B)は工業的に入手できる。エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%となる配合量が好ましい。
本発明ではエポキシ樹脂(A)と塩化ホウ素アミン錯体(B)からなるマトリクス樹脂には熱可塑性樹脂が配合されても良い。ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテル、ポリオレフィン、液晶ポリマー、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート、ABS、AES、ASA、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂等が挙げられる。本発明ではエポキシ樹脂(A)と塩化ホウ素アミン錯体(B)からなるマトリクス樹脂に必要に応じて公知の様々な添加剤を併用することができる。例えば、種々の硬化促進剤、シリコーンオイル、天然ワックス類、合成ワックス類、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィン類等の離型剤、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の粉体やガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、塩素化パラフィン、ブロムトルエン、ヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
「強化繊維基材(C)」
本発明では強化繊維基材(C)として一般に繊維強化複合材料用として用いられる強化繊維を用いることができる。炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維等などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。好ましくは炭素繊維である。強化繊維基材(C)は、そのままのトウの形態で、強化繊維トウを一方向に引き揃えた一方向材の形態で、製織した織物の形態で、短く裁断した強化繊維からなる不織布の形態などで使用される。織物の場合は、平織、綾織、朱子織、若しくはノンクリンプファブリックに代表される繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシート等が例示できる。得られる繊維強化複合材料の機械特性が優れるため一方向材が好ましい。取り扱い性からは織物が好ましい。本発明のサンドイッチ構造成形物に用いるプリプレグは繊維目付けに制限はないが、繊維目付けが大きいほどその性能優位性を発揮できる。
本発明のサンドイッチ構造成形物に用いるプリプレグの製造方法に特段の制限はない。一般的な方法で製造できる。マトリクス樹脂はガラスフラスコ、ニーダー、プラネタリーミキサー、一般的な撹拌加熱釜、攪拌加圧加熱釜等で調製ができる。マトリクス樹脂の強化繊維基材への付与方法としてホットメルトフィルム法、ラッカー法等が挙げられる。
本発明のサンドイッチ構造成形物の製造方法は、コア材とプリプレグとを積層した後、加熱加圧して前プリプレグを硬化させ成形するものである。成形方法に特段の制限はない。オートクレーブ成形法、オーブン成形法、プレス成形法、連続プレス成形法、引き抜き成形法、内圧成形法等一般的な成形方法が適用できる。好ましい硬化温度は130℃〜200℃である。更に好ましくは145℃〜185℃である。
以下、実施例により本発明を説明するが、これにより本発明が何らかの制限を受けるものではない。
樹脂組成物の原材料および強化繊維基材を表1に示す。
Figure 0005590371
樹脂組成物Aの調製
ガラスフラスコを用い表2の組成でjER828とjER807とDY9577を室温で混合する。このマスターバッチを用い、予備反応物と60℃で混合し、樹脂組成物Aを調整した。
樹脂組成物Bの調製
ガラスフラスコを用いjER828とYP−70を160℃で溶解させマスターバッチを調製した。このマスターバッチを用い表2の組成でDY9577以外の成分を120℃で混合した。これを60℃にしDY9577を所定量添加混合し樹脂組成物Bを調製した。
樹脂組成物Cの調製
表2の組成でjER828とjER807とDicy15及びDCMU を3本ロールミルで均一に分散させてマスターバッチを調製した。このマスターバッチを用い、ガラスフラスコを用い予備反応物と60℃で混合し、樹脂組成物Cを調整した。
樹脂組成物Dの調製
ガラスフラスコを用いjER828とYP−70を160℃で溶解させマスターバッチを調製した。また、jER828とDicy15及びDCMUを3本ロールミルで均一に分散させてマスターバッチを調製した。YP−70マスターバッチを用い、ガラスフラスコを用い表2の組成でDicy15/DCMUマスターバッチ以外の成分を100℃で混合した。これを60℃にしDicy15/DCMUマスターバッチを所定量添加混合し樹脂組成物Dを調製した。
DMAによるTgの測定
プリプレグを積層し硬化させて作成した繊維強化複合材料のパネルを試験片(長さ50mm×幅12mm、厚み2.8mm)に加工した。繊維強化複合材料のパネルは長さ方向と繊維経糸方向が一致するように試験片を加工した。測定装置はレオメトリクス社製レオメーターRDA700またはARES−RDAを使用した。測定周波数は1Hz、RDA700の昇温速度は5℃ステップ昇温で、ARES−RDAは5℃/分昇温で測定した。測定装置差として、RDA700による測定値は、ARES−RDAによる測定値よりも1.05倍高い値となる。logG´を温度に対してプロットし、logG´の転移する前の平坦領域の近似直線とG´が転移する領域の近似直線との交点から求まる温度をG´−Tgとして記録した。また、tanδを温度に対してプロットし、tanδの極大を示す温度をtanδmaxとして記録した。
(実施例1)
強化繊維基材として、三菱レイヨン株式会社製のTRK510を用意した。プリプレグの樹脂含有率が40質量%となるように樹脂フィルム目付けを設定し60℃の条件で樹脂組成物Aをフィルムコーターにて離型紙に塗布し樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを強化繊維基材の両面に貼り合わせ、温度60℃、圧力0.05MPa、送り速度1.2m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社製、JR−600S、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)を通しプリプレグ1を得た。プリプレグ1の樹脂含有率は40質量%であった。プリプレグ1をカットし、高さ5mmの端部をテーパー処理したアルミハニカムをプリプレグ中央に配置し、プリプレグでアルミハニカムを覆い図1に示す積層体にした。該積層体を図1に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オートクレーブ内にバギングした積層体を入れ、引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら2℃/分にて昇温した。80℃に達したところで20分間温度を保った。その後3.3℃/分で昇温させ、130℃に到達後0.3MPaで加圧し90分加熱硬化させてサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたパネルを純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
Figure 0005590371
得られたプレプレグ1を積層し積層体を図2に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて6時間予備脱気させた。オートクレーブ内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら2℃/分にて昇温した。80℃に達したところで20分間温度を保った。その後3.3℃/分で昇温させ、130℃に到達後0.3MPaで加圧し90分加熱硬化させてパネルを得た。
得られたパネルより試験片を切り出しDMAによるTgの測定をした。結果を表2に示す。DMAの測定はARES−RDAを用いた。実施例1で得られた繊維強化複合材料は十分な耐熱性を持つものであった。
(実施例2)
強化繊維基材として、三菱レイヨン株式会社製のTRK510を用意した。プリプレグの樹脂含有率が45質量%となるように樹脂フィルム目付けを設定し、60℃の条件で樹脂組成物Bをフィルムコーターにて離型紙に塗布し樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを強化繊維基材の両面に貼り合わせ、温度40℃、圧力0.05MPa、送り速度1.6m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社製、JR−600S、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)を通しプリプレグ2を得た。プリプレグの樹脂含有率は45質量%であった。得られたプリプレグ2をカットし断面を目視観察すると内部に樹脂が含浸していない部分が観察された。プリプレグ2をカットし、高さ5mmの端部をテーパー処理したアルミハニカムをプリプレグ中央に配置し、プリプレグでアルミハニカムを覆い図1に示す積層体にした。該積層体を図1に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オーブン内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら1℃/分で昇温させ、95℃で1時間加熱硬化後、150℃で2時間加熱硬化させてサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表1に示す。
得られたプレプレグ2を積層し積層体を図2に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オーブン内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら1℃/分で昇温させ、95℃で1時間加熱硬化後、150℃で2時間加熱硬化させてパネルを得た。
得られたパネルより試験片を切り出しDMAによるTgの測定をした。結果を表2に示す。測定装置はARES−RDAを用いた。実施例2で得られた繊維強化複合材料は十分な耐熱性を持つものであった。
(比較例1)
樹脂組成物Cを用いる以外は実施例1と同様に行いプリプレグ3を得た。次いでプリプレグ3を用いる以外は実施例1と同様にサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
得られたプレプレグ3を積層し積層体を図2に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オートクレーブ内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら2℃/分にて昇温した。80℃に達したところで20分間温度を保った。その後3.3℃/分で昇温させ、130℃に到達後0.3MPaで加圧し90分加熱硬化させてパネルを得た。
得られたパネルより試験片を切り出しDMAによるTgの測定をした。結果を表2に示す。DMAの測定はARES−RDAを用いた。
(比較例2)
樹脂組成物Dを用いる以外は実施例2と同様に行いプリプレグ4を得た。次いでプリプレグ4を用いる以外は実施例2と同様にサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
得られたプレプレグ4を積層し積層体を図2に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オーブン内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら1℃/分で昇温させ、95℃で1時間加熱硬化後、150℃で2時間加熱硬化させてパネルを得た。
得られたパネルより試験片を切り出しDMAによるTgの測定をした。結果を表2に示す。測定装置はRDA700を用いた。
1 不織布
2 真空引き口
3 シーラント
4 ツール
5 積層体
6 ナイロンバッグフィルム
7 アルミハニカム
8 離型フィルム
9 プレッシャープレート

Claims (3)

  1. スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)からなるプリプレグを用いて作製され前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるサンドイッチ構造成形物。
  2. スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物の製造方法であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)とからなり、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるプリプレグを用いて作製されるものであり、前記プリプレグと前記コア材とを積層した後、加熱加圧して前記プリプレグを硬化するサンドイッチ構造成形物の製造方法。
  3. 前記加熱を145℃〜185℃で行う、請求項2に記載のサンドイッチ構造成形物の製造方法。
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