JP5590371B2 - サンドイッチ構造成形物 - Google Patents
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Description
近年、繊維強化複合材料をスキン材とするサンドイッチ構造成形物は軽量かつ高強度・高剛性という特徴に加え、外観部品への適用も多くなってきた。しかしながら、一般的によく使用されるジシアンジアミドを硬化剤として用いた繊維強化複合材料成形物においては、表面に白点が生じるという不具合がある。成形直後に白点が無くても、経時的に冷水や温水に触れることにより白点が生じる場合がある。特にサンドイッチ構造成形物とした場合に顕著に現れる。
ジシアンジアミドは白色固体状であり、凝集しやすく溶解しにくいため白点の原因となる。そのため、ジシアンジアミドの使用量を少なくすること、イミダゾール等の透明な液状硬化剤を使用することなどで白点改良の可能性があるが、耐熱性が低い、ポットライフが比較的短くなり作業性が低下する、などの欠点を抱えている。
すなわち本発明の第一は、スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)からなるプリプレグを用いて作製され、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるサンドイッチ構造成形物に存する。
また本発明の第二は、スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物の製造方法であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)とからなり、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるプリプレグを用いて作製されるものであり、前記プリプレグと前記コア材とを積層した後、加熱加圧して前記プリプレグを硬化するサンドイッチ構造成形物の製造方法に存する。
本発明においてエポキシ樹脂(A)として用いるエポキシ樹脂は、公知の各種のものが使用でき、その分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものであれば分子構造、分子量等に特に制限はない。例えばビスフェノール型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン型、ビフェニル型、オキサゾリドン型などの各種エポキシ樹脂を単独または2種以上併用して用いることができる。また、必要に応じて、単官能エポキシ樹脂、ビニル重合性樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、BT樹脂、シアネートエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等配合することができる。
本発明のサンドイッチ構造成形物に使用するプリプレグは、硬化剤として塩化ホウ素アミン錯体(B)を用いる。塩化ホウ素アミン錯体(B)を用いることで、プリプレグの製造方法や形態、成形方法に影響されずマトリクス樹脂本来の耐熱性を発揮するサンドイッチ構造成形物を提供することができる。塩化ホウ素アミン錯体(B)は工業的に入手できる。エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%となる配合量が好ましい。
本発明では強化繊維基材(C)として一般に繊維強化複合材料用として用いられる強化繊維を用いることができる。炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、タングステンカーバイド繊維、PBO繊維、ガラス繊維等などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。好ましくは炭素繊維である。強化繊維基材(C)は、そのままのトウの形態で、強化繊維トウを一方向に引き揃えた一方向材の形態で、製織した織物の形態で、短く裁断した強化繊維からなる不織布の形態などで使用される。織物の場合は、平織、綾織、朱子織、若しくはノンクリンプファブリックに代表される繊維束を一方向に引き揃えたシートや角度を変えて積層したようなシートをほぐれないようにステッチしたステッチングシート等が例示できる。得られる繊維強化複合材料の機械特性が優れるため一方向材が好ましい。取り扱い性からは織物が好ましい。本発明のサンドイッチ構造成形物に用いるプリプレグは繊維目付けに制限はないが、繊維目付けが大きいほどその性能優位性を発揮できる。
ガラスフラスコを用い表2の組成でjER828とjER807とDY9577を室温で混合する。このマスターバッチを用い、予備反応物と60℃で混合し、樹脂組成物Aを調整した。
ガラスフラスコを用いjER828とYP−70を160℃で溶解させマスターバッチを調製した。このマスターバッチを用い表2の組成でDY9577以外の成分を120℃で混合した。これを60℃にしDY9577を所定量添加混合し樹脂組成物Bを調製した。
表2の組成でjER828とjER807とDicy15及びDCMU を3本ロールミルで均一に分散させてマスターバッチを調製した。このマスターバッチを用い、ガラスフラスコを用い予備反応物と60℃で混合し、樹脂組成物Cを調整した。
ガラスフラスコを用いjER828とYP−70を160℃で溶解させマスターバッチを調製した。また、jER828とDicy15及びDCMUを3本ロールミルで均一に分散させてマスターバッチを調製した。YP−70マスターバッチを用い、ガラスフラスコを用い表2の組成でDicy15/DCMUマスターバッチ以外の成分を100℃で混合した。これを60℃にしDicy15/DCMUマスターバッチを所定量添加混合し樹脂組成物Dを調製した。
プリプレグを積層し硬化させて作成した繊維強化複合材料のパネルを試験片(長さ50mm×幅12mm、厚み2.8mm)に加工した。繊維強化複合材料のパネルは長さ方向と繊維経糸方向が一致するように試験片を加工した。測定装置はレオメトリクス社製レオメーターRDA700またはARES−RDAを使用した。測定周波数は1Hz、RDA700の昇温速度は5℃ステップ昇温で、ARES−RDAは5℃/分昇温で測定した。測定装置差として、RDA700による測定値は、ARES−RDAによる測定値よりも1.05倍高い値となる。logG´を温度に対してプロットし、logG´の転移する前の平坦領域の近似直線とG´が転移する領域の近似直線との交点から求まる温度をG´−Tgとして記録した。また、tanδを温度に対してプロットし、tanδの極大を示す温度をtanδmaxとして記録した。
強化繊維基材として、三菱レイヨン株式会社製のTRK510を用意した。プリプレグの樹脂含有率が40質量%となるように樹脂フィルム目付けを設定し60℃の条件で樹脂組成物Aをフィルムコーターにて離型紙に塗布し樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを強化繊維基材の両面に貼り合わせ、温度60℃、圧力0.05MPa、送り速度1.2m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社製、JR−600S、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)を通しプリプレグ1を得た。プリプレグ1の樹脂含有率は40質量%であった。プリプレグ1をカットし、高さ5mmの端部をテーパー処理したアルミハニカムをプリプレグ中央に配置し、プリプレグでアルミハニカムを覆い図1に示す積層体にした。該積層体を図1に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オートクレーブ内にバギングした積層体を入れ、引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら2℃/分にて昇温した。80℃に達したところで20分間温度を保った。その後3.3℃/分で昇温させ、130℃に到達後0.3MPaで加圧し90分加熱硬化させてサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたパネルを純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
強化繊維基材として、三菱レイヨン株式会社製のTRK510を用意した。プリプレグの樹脂含有率が45質量%となるように樹脂フィルム目付けを設定し、60℃の条件で樹脂組成物Bをフィルムコーターにて離型紙に塗布し樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを強化繊維基材の両面に貼り合わせ、温度40℃、圧力0.05MPa、送り速度1.6m/分の条件でフュージングプレス(アサヒ繊維機械工業株式会社製、JR−600S、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)を通しプリプレグ2を得た。プリプレグの樹脂含有率は45質量%であった。得られたプリプレグ2をカットし断面を目視観察すると内部に樹脂が含浸していない部分が観察された。プリプレグ2をカットし、高さ5mmの端部をテーパー処理したアルミハニカムをプリプレグ中央に配置し、プリプレグでアルミハニカムを覆い図1に示す積層体にした。該積層体を図1に示した構成でバギングを行った。更に引き口に真空ポンプを接続させて室温にて12時間予備脱気させた。オーブン内にバギングした積層体を入れて引き口に真空ポンプを接続させて脱気しながら1℃/分で昇温させ、95℃で1時間加熱硬化後、150℃で2時間加熱硬化させてサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表1に示す。
樹脂組成物Cを用いる以外は実施例1と同様に行いプリプレグ3を得た。次いでプリプレグ3を用いる以外は実施例1と同様にサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
樹脂組成物Dを用いる以外は実施例2と同様に行いプリプレグ4を得た。次いでプリプレグ4を用いる以外は実施例2と同様にサンドイッチ構造成形物を得た。
得られたサンドイッチ構造成形物を純水に12時間浸漬させ、取り出し後水滴をふき取り、表面の白点の有無を確認した結果を表2に示す。
2 真空引き口
3 シーラント
4 ツール
5 積層体
6 ナイロンバッグフィルム
7 アルミハニカム
8 離型フィルム
9 プレッシャープレート
Claims (3)
- スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)からなるプリプレグを用いて作製され、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるサンドイッチ構造成形物。
- スキン材とコア材とからなるサンドイッチ構造成形物の製造方法であって、前記スキン材がエポキシ樹脂(A)、塩化ホウ素アミン錯体(B)及び強化繊維基材(C)とからなり、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量から計算されるエポキシ基のモル数に対し、前記塩化ホウ素アミン錯体(B)中のホウ素原子のモル数比が4〜7モル%であるプリプレグを用いて作製されるものであり、前記プリプレグと前記コア材とを積層した後、加熱加圧して前記プリプレグを硬化するサンドイッチ構造成形物の製造方法。
- 前記加熱を145℃〜185℃で行う、請求項2に記載のサンドイッチ構造成形物の製造方法。
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