JP6012653B2 - 繊維強化プラスチック成形体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、繊維強化プラスチック成形体の製造方法に関する。
従来、航空機、ロケット及び宇宙機器などの構造材料として金属材料が使用されていたが、軽量化の観点から、金属材料の代替として繊維強化プラスチックが使用されてきた。このような繊維強化プラスチックの用途拡大に伴い、300℃以上の耐熱温度を有する繊維強化プラスチックが要求されている。
繊維強化プラスチックは、一般に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂などのマトリックス樹脂を繊維強化材に含浸して硬化させることによって得られた複合材料であり、その耐熱温度及び使用環境は概ね200℃以下である。
300℃以上の耐熱温度を有する繊維強化プラスチックとしては、マトリックス樹脂として縮合反応型硬化性イミド樹脂などを用いた繊維強化プラスチックが知られている。
しかしながら、縮合反応型硬化性イミド樹脂を用いた繊維強化プラスチックは、その製造工程、特に縮合反応型硬化性イミド樹脂の縮重合の際に水などの反応副生成物が発生し、これがボイドとして残留することで繊維強化プラスチックの強度が低下するという問題がある。また、この繊維強化プラスチックは、350℃以上の高温で成形する必要があるため、コストが上昇すると共に生産性が低下するという問題もある。水などの反応副生成物の発生を抑制することができる熱硬化性ポリイミドを用いた繊維強化プラスチックの開発も行われているが、成形温度が高いという問題は抱えたままである。
そこで、特許文献1は、180℃以下の比較的低温で溶融し、300℃以下の硬化温度で成形が可能なビスアリルナジイミドをマトリックス樹脂として用いた繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提案している。特許文献1は、ビスアリルナジイミドを繊維強化材(炭素繊維、ガラス繊維など)に含浸したプリプレグを作製し、このプリプレグを積層して加圧及び加熱することで繊維強化プラスチック成形体を製造している。
特開2004−262950号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、プリプレグを作製する際にいくつかの問題が生じる。例えば、ビスアリルナジイミドを加熱溶融する際、空気が取り込まれてしまい、溶融ビスアリルナジイミド中に気泡が包含される。また、繊維強化材に対する溶融ビスアリルナジイミドの含浸性を高めるために溶剤を配合して粘度調整が行われることがあるが、溶融ビスアリルナジイミドを繊維強化材に含浸させる際に溶剤が揮発することがある。そして、これらの気泡及び揮発成分は、溶融ビスアリルナジイミドを繊維強化材に含浸させる際に繊維強化材の配列を乱す。その結果、均質なプリプレグが得られず、このプリプレグを用いて製造された繊維強化プラスチック成形体は、機械的特性が十分でない箇所が生じてしまう。
他方、レジンフィルムインフュージョン(RFI)による繊維強化プラスチック成形体の製造方法も知られているが、プリプレグとの併用が主であり、プリプレグを用いないと、繊維強化材に樹脂が十分に含浸されず、均質な繊維強化プラスチック成形体が得られない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、耐熱性及び機械的特性に優れる均質な繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、加熱溶融させたビスアリルナジイミドに短繊維を配合し、真空下で混合攪拌して得られた脱泡混合物から作製した短繊維含有樹脂フィルムを強化繊維織物と積層して加熱成形することで、気泡及び揮発成分に起因する繊維強化材の配列の乱れを防止して均質な繊維強化プラスチック成形体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、加熱溶融させたビスアリルナジイミドに短繊維を配合し、真空下で混合攪拌して脱泡混合物を調製する工程と、
前記脱泡混合物をフィルム状に成形して冷却し、短繊維含有樹脂フィルムを作製する工程と、
前記短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物とを積層し、積層体を作製する工程と、
前記ビスアリルナジイミドの溶融温度に前記積層体を加熱して加圧又は減圧し、前記短繊維含有樹脂フィルム中の前記ビスアリルナジイミドを溶融させつつ前記強化繊維織物に含浸させる工程と、
前記ビスアリルナジイミドの硬化温度に前記積層体を加熱し、前記積層体中の前記ビスアリルナジイミドを硬化させる工程と
を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法である。
本発明によれば、耐熱性及び機械的特性に優れる均質な繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提供することができる。
実施の形態1の繊維強化プラスチック成形体の製造方法のフロー図である。 積層体の作製工程、溶融・含浸工程、硬化工程及び脱型工程を説明するための図である。 半球形状のFRP成形体の製造方法を説明するための図である。 実施例1で作製したFRP成形体のTgの測定結果を示すグラフである。
実施の形態1.
以下、本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の繊維強化プラスチック成形体の製造方法のフローを示す図である。
本実施の形態の繊維強化プラスチック成形体の製造方法は、図1に示すように、脱泡混合物の調製工程、短繊維含有樹脂フィルムの作製工程、積層体の作製工程、溶融・含浸工程、硬化工程及び脱型工程を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
(脱泡混合物の調製工程)
脱泡混合物は、加熱溶融させたビスアリルナジイミド(以下、「BANI」と略す。)に短繊維を配合し、真空下で混合攪拌することによって調製される。
この工程において使用されるBANIは、無水アリルナジック酸及びジアミンから合成される、脱水閉環反応が完結した両末端にアリル基を持つ付加型熱硬化性イミドモノマーである。BANIは、嵩高く、比較的強固なアリルノルボルネン骨格を有しているため、溶融温度(融点)が低い。また、BANIは、従来のイミド樹脂などに比べて硬化温度が低いため、繊維強化プラスチック(以下、「FRP」と略す。)成形体の樹脂材料として用いた場合に、FRP成形体を低温(約300℃以下)で作製することができる。さらに、BANIは、最低粘度が約20cpであり、100cp以下の粘度領域も約100〜220℃までと比較的広いため、成形性も良好である。しかも、BANIの硬化物は、耐熱性が高く、接着性にも優れるという特徴を有する。
BANIは、本実施の形態の繊維強化プラスチック成形体の製造方法に適した特性を有する短繊維含有樹脂フィルムを作製する観点から、室温(25℃)で固体であることが好ましい。BANIが室温で液体であると、短繊維含有樹脂フィルムが形成され難くなる傾向がある。
BANIは、一般に下記の化学式(1)を有する。
Figure 0006012653
化学式(1)中、Rは、下記のジフェニルメタン基(2)、ヘキサメチレン基(3)又はキシリレン基(4)を表す。
Figure 0006012653
上記の化学式で表されるBANIの中でも、Rがジフェニルメタン基(2)又はキシリレン基(4)であるBANIが好ましく、Rがジフェニルメタン基(2)であるBANIがより好ましい。
また、上記の化学式で表されるBANIは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、数種類のBANIを組み合わせて用いると、配合比によって短繊維含有樹脂フィルムのタック性(粘調度合い)を調整することができる一方、耐熱性が低下することがある。したがって、単一成分のBANIを用いることが好ましい。
上記のような構造を有するBANIは、「BANI−M」、「BANI−H」及び「BANI−X」という商品名で丸善石油化学株式会社から市販されており、これらの市販品を用いてもよい。
この工程において使用される短繊維としては、耐熱性を有する繊維から形成されるものであれば特に限定されず、FRP成形体に用いられる公知の各種短繊維を用いることができる。短繊維の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維などの無機繊維、アラミド繊維などの有機繊維から形成される短繊維が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、本明細書において「短繊維」とは、一般に10mm以下、好ましくは5mm以下の繊維長に切断された繊維束のことを意味する。
短繊維は、短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物との一体化を高める観点から、強化繊維織物の開口幅(クロス目の幅)よりも小さな繊維長を有することが好ましい。すなわち、例えば、強化繊維織物の開口幅が3mmである場合、短繊維の繊維長は3mm未満とすることが好ましい。短繊維が、強化繊維織物の開口幅よりも大きな繊維長を有すると、強化繊維織物の開口部に短繊維が導入されず、強化繊維織物の表面に残存したままとなり、短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物との一体化が十分でないことがある。ここで、本明細書において「短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物との一体化」とは、下記で説明する積層体の作製工程、溶融・含浸工程及び硬化工程によって短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物とを複合化することを意味する。また、強化繊維織物の「開口幅」とは、強化繊維織物中に存在する開口部の幅、例えば、強化繊維織物を構成する縦糸と横糸との間に形成された開口部の幅のことを意味する。
この工程において、短繊維は、加熱溶融させたBANIに配合される。BANIは、溶融温度に加熱することで溶融させることができる。ここで、本明細書においてBANIの「溶融温度」は、BANIが固体から液体に変わる温度のことを意味する。BANIの溶融温度は、使用するBANIの種類によって適宜設定すればよいが、一般に200℃未満、好ましくは50℃以上180℃以下、より好ましくは60℃以上160℃以下である。
また、BANIに対する短繊維の配合割合は、特に限定されないが、作製される短繊維含有樹脂フィルムの柔軟性に対して影響を与える。例えば、複雑な形状を有するFRP成形体を作製する場合、短繊維含有樹脂フィルムの柔軟性を高めることが望ましいため、BANIの量を多くすればよい。ただし、BANIの量が多すぎると、FRP成形体の耐熱性が低下する可能性がある。そのため、BANIと短繊維との合計中(すなわち、短繊維樹脂フィルム中)の短繊維の割合は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。
溶融BANIに短繊維を配合して混合攪拌した後、真空下で更に混合攪拌することで真空脱泡処理を行う。具体的には、真空ポンプなどを用いて減圧し、混合攪拌を続ければよい。これにより、BANIの加熱溶融の際、及び短繊維の配合の際に混入した気泡が除去された脱泡混合物を得ることができる。
攪拌方法としては、特に限定されないが、短繊維の種類によっては凝集などが生じ、気泡が混入され易くなることがある。したがって、短繊維の種類に応じて、公知の攪拌方法を適宜選択する必要がある。
また、真空脱泡処理の条件(例えば、圧力など)は、特に限定されず、使用する原料や設備の種類に応じて適宜設定すればよい。
(短繊維含有樹脂フィルムの作製工程)
短繊維含有樹脂フィルムは、脱泡混合物をフィルム状に成形して冷却することで作製される。
通常、BANIは加熱溶融した後に冷却すると、形状を維持することができない場合が多いが、加熱溶融させたBANIに短繊維を含有させることでフィルム状への成形が可能となる。
フィルム状への成形方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、離型処理を施した金型に脱泡混合物を流し込んで加圧成形した後、冷却することによってフィルム状に成形することができる。得られた短繊維含有樹脂フィルムは、脱型した後、次の工程で用いられる。離型処理としては、特に限定されず、公知の離型剤を金型の表面に塗布したり、離型フィルムを配置したりすればよい。また、上記の方法の他、真空ラミネーター、ドクターブレードを用いてフィルム状に成形してもよい。
作製される短繊維含有樹脂フィルムの厚さは、特に限定されず、積層体の作製工程で使用される強化繊維織物の枚数及び大きさなどに応じて適宜調整すればよい。短繊維含有樹脂フィルムの厚さは、一般に10μm以上10mm以下、好ましくは50μm以上5mm以下、より好ましくは100μm以上3mm以下である。
また、短繊維含有樹脂フィルムへの成形の際、後続する工程における短繊維含有樹脂フィルムの割れなどを防止する観点から、短繊維含有樹脂フィルムをFRP成形体の形状に予備成形してもよい。例えば、半球状のFRP成形体を製造する場合、このFRP成形体の形状に対応する半球状の短繊維含有樹脂フィルムに予備成形すればよい。このように予備成形することにより、積層体の作製工程の前に、短繊維含有樹脂フィルムをFRP成形体の形状にあわせて加工(例えば、切り出しなど)する必要がなく、短繊維含有樹脂フィルムの割れを防止することができると同時に、FRP成形体の製造効率も向上する。
(積層体の作製工程)
積層体は、短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物とを積層することで作製される。
この工程で用いられる強化繊維織物としては、耐熱性を有する繊維から形成されるものであれば特に限定されず、FRP成形体に用いられる公知の強化繊維織物を用いることができる。強化繊維織物の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維などの無機繊維、アラミド繊維などの有機繊維から形成される強化繊維織物が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような強化繊維織物は、「トレカ(登録商標)クロス」という商品名で東レ株式会社から市販されており、これらの市販品を用いてもよい。
強化繊維織物の大きさなどは、特に限定されず、FRP成形体の大きさに応じて適宜調整すればよい。
短繊維含有樹脂フィルム及び強化繊維織物の枚数は、特に限定されず、FRP成形体の厚さに応じた枚数を用いればよい。したがって、短繊維含有樹脂フィルム及び強化繊維織物の枚数はそれぞれ、1枚のみならず、2枚以上を用いてもよい。
短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物との積層順序は、特に限定されないが、次工程における含浸処理を効率良く行う観点から、短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物とを交互に積層することが好ましい。例えば、図2に示すように、型1内に、強化繊維織物2、短繊維含有樹脂フィルム3及び強化繊維織物2を順次配置して積層させればよい。
積層体は、所望の形状に成形する観点から、FRP成形体の形状に対応した型1を用いて作製することが好ましい。FRP成形体の形状に対応した型1を用いることにより、後続する工程を効率的に行うことができる。例えば、半球形状のFRP成形体を作製する場合、図3に示すように、半球状の型1を用い、その上に強化繊維織物2、短繊維含有樹脂フィルム3及び強化繊維織物2を順次配置して積層させればよい。
積層の際、短繊維含有樹脂フィルム3と強化繊維織物2との間の配置のずれを防止する観点から、積層体の端部をガラステープなどで固定してもよい。
また、積層の際、加熱することで、短繊維含有樹脂フィルム3を軟化させて粘性を高め、短繊維含有樹脂フィルム3と強化繊維織物2との接着性を向上させてもよい。例えば、強化繊維織物2上に短繊維含有樹脂フィルム3を積層し、短繊維含有樹脂フィルム3に用いたBANIの軟化温度に加熱した後、短繊維含有樹脂フィルム3上に強化繊維織物2を積層することで、短繊維含有樹脂フィルム3と強化繊維織物2との間の配置のずれを防止することができる。
ここで、本明細書においてBANIの「軟化温度」とは、加熱したときに、BANIが軟化し、変形し始める温度のことを意味する。この軟化温度は、使用するBANIの種類に応じて適宜設定すればよく、一般に35℃以上100℃以下、好ましくは40℃以上90℃以下、より好ましくは40℃以上80℃以下である。
(溶融・含浸工程)
溶融・含浸工程は、BANIの溶融温度に積層体を加熱して加圧又は減圧することによって行われる。これにより、短繊維含有樹脂フィルム3中のBANIを溶融させつつ強化繊維織物2に含浸させることができる。加熱温度が溶融温度未満であると、BANIが溶融せず、短繊維含有樹脂フィルム3中のBANIを強化繊維織物2に含浸させることができない。一方、加熱温度が高すぎると(例えば、硬化温度にすると)、短繊維含有樹脂フィルム3中のBANIが強化繊維織物2に十分に含浸される前に硬化してしまい、均質なFRP成形体を得ることができない。
BANIの溶融温度に積層体を加熱して加圧又は減圧する方法としては、特に限定されず、加熱と加圧又は減圧とを同時に行うことが可能な公知の方法を用いることができる。例えば、加圧する場合、ホットプレス法を用いることができる。ホットプレス法を用いる場合、図2及び3に示すように、積層体の上部に押型4を載せ、これをホットプレスに配置した後、加圧すればよい。また、減圧する場合、真空下で加熱及び成形を行うことが可能な真空成形法、オートクレーブ成形法などを用いることができる。この時、短繊維含有樹脂フィルム3中のBANIを十分に溶融させる観点から、BANIの溶融温度で一定時間保持した後、加圧又は減圧することが好ましい。保持温度は、使用した材料の種類、積層体の大きさなどに応じて適宜調整すればよいが、一般に5分以上1時間以内、好ましくは10分以上30分以内である。
加圧の大きさは、使用した材料の種類、積層体の大きさなどに応じて適宜調整すればよいが、一般に0.05MPa以上50MPa以下、好ましくは0.1MPa以上10MPa以下である。また、減圧の大きさも同様に、使用した材料の種類、積層体の大きさなどに応じて適宜調整すればよいが、一般に真空度が−0.09MPa以下である。
(硬化工程)
硬化工程は、BANIの硬化温度に積層体を加熱することによって行われる。これにより、積層体中のBANIを硬化させることができる。加熱温度が硬化温度未満であると、BANIが硬化せず、所望の機械的特性を有するFRP成形体を得ることができない。
ここで、本明細書においてBANIの「硬化温度」とは、BANIのアリル基及びノボルネン骨格中の二重結合の付加反応により、三次元架橋構造が形成される温度のことを意味する。この硬化温度は、使用するBANIの種類に応じて適宜設定すればよく、一般に200℃以上300℃以下、好ましくは210℃以上280℃以下、より好ましくは220℃以上270℃以下である。
BANIの硬化温度に積層体を加熱する方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、溶融・含浸工程で用いた装置を用いて加熱温度をBANIの硬化温度に高めればよい。例えば、図2及び3に示すような溶融・含浸工程で用いた装置を用いて加熱温度をBANIの硬化温度に高めることで、FRP成形体5を得ることができる。
加熱時間は、使用した材料の種類、積層体の大きさなどに応じて適宜調整すればよいが、一般に1〜24時間、好ましくは2〜20時間である。
(脱型工程)
脱型は、硬化工程を冷却した後、型1からFRP成形体5を除去することによって行われる。冷却方法は、特に限定されず、自然冷却の他、各種媒体を用いて冷却してもよい。
上記のFRP成形体5の製造方法によれば、加熱溶融させたBANIに短繊維を配合し、真空下で混合攪拌して得られた脱泡混合物から作製した短繊維含有樹脂フィルム3を強化繊維織物2と積層して加熱成形しているので、気泡及び揮発成分に起因する繊維強化材の配列の乱れを防止することができ、耐熱性及び機械的特性に優れる均質なFRP成形体5を得ることができる。また、短繊維含有樹脂フィルム3の作製の際、短繊維含有樹脂フィルム3の樹脂量を容易に調節することができるため、強化繊維織物2に対する樹脂の含浸量を容易に制御することができ、最適な強化繊維織物2の含有率を有するFRP成形体5を得ることができる。
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
10gのBANI−M(丸善石油化学株式会社製)を金属製容器に入れ、金属製容器をオーブン内に配置して20分間170℃に加熱し、BANI−Mを溶融させた。次に、溶融させたBANI−Mに0.5gのピッチ系炭素短繊維(繊維長200μm)を配合し、真空下で混合攪拌して脱泡混合物を調製した。
次に、10cm×10cmの大きさに成形可能な1mm厚の金属枠に脱泡混合物を流し込み、加圧してフィルム状に成形し、自然冷却させた。その後、金属枠を除去し、短繊維含有樹脂フィルムを得た。
次に、9cm×9cmの大きさに、炭素繊維織物(T300クロス材、東レ株式会社製)を2枚、上記で得られた短繊維含有樹脂フィルムを1枚それぞれ切り出し、2枚の炭素繊維織物の間に短繊維含有樹脂フィルム1枚を挟んだ積層体を9cm×9cmの型枠内に配置した。
次に、積層体の上に押し型を載せ、これをホットプレスに配置した後、5℃/分の昇温速度で170℃まで加熱して10分間保持した。次に、この積層体を、一軸加圧、プレス圧0.3MPaの条件で加圧した後、5℃/分の昇温速度で250℃まで加熱して12時間保持した。その後、自然冷却し、脱型することでFRP成形体を得た。
得られたFRP成形体について断面観察を行った結果、マトリックス樹脂及び強化繊維織物の各部分に、目立ったボイド及び強化繊維織物の乱れは確認されなかった。
また、熱分析装置(TMA)によってFRP成形体のTgを測定した結果を図4に示す。図4に示すように、FRP成形体のTgは290℃であり、耐熱性に優れていることが確認された。
(実施例2)
実施例1と同様にして短繊維含有樹脂フィルムを作製すると共に、炭素繊維織物(T300クロス材、東レ株式会社製)を準備した。次に、150mm×150mmの大きさに、炭素繊維織物(T300クロス材、東レ株式会社製)を2枚、短繊維含有樹脂フィルムを1枚それぞれ切り出した。
次に、80℃で30分間予備加熱した半球状金型(直径200mm)に炭素繊維織物を1枚配置し、その上に短繊維含有樹脂フィルムを1枚積層させた。この状態のまま3分間保持して短繊維含有樹脂フィルムを軟化させた後、その上に炭素繊維織物を1枚配置した。このとき、短繊維含有樹脂フィルムの軟化によって生じた粘性により、炭素繊維織物の配置のずれを防止することができた。
次に、半球状金型に配置された積層体の上に押し型を載せ、これをホットプレスに配置した後、5℃/分の昇温速度で170℃まで加熱して10分間保持した。次に、この積層体を、一軸加圧、プレス圧0.3MPaの条件で加圧した後、5℃/分の昇温速度で250℃まで加熱して12時間保持した。その後、自然冷却し、脱型することでFRP成形体を得た。
得られたFRP成形体について断面観察を行った結果、マトリックス樹脂及び強化繊維織物の各部分に、目立ったボイド及び強化繊維織物の乱れは確認されなかった。
また、熱分析装置(TMA)によってTgを測定した結果、Tgは290℃であり、耐熱性に優れていることが確認された。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、耐熱性及び機械的特性に優れる均質な繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提供することができる。
1 型、2 強化繊維織物、3 短繊維含有樹脂フィルム、4 押型、5 FRP成形体。

Claims (6)

  1. 加熱溶融させたビスアリルナジイミドに短繊維を配合し、真空下で混合攪拌して脱泡混合物を調製する工程と、
    前記脱泡混合物をフィルム状に成形して冷却し、短繊維含有樹脂フィルムを作製する工程と、
    前記短繊維含有樹脂フィルムと強化繊維織物とを積層し、積層体を作製する工程と、
    前記ビスアリルナジイミドの溶融温度に前記積層体を加熱して加圧又は減圧し、前記短繊維含有樹脂フィルム中の前記ビスアリルナジイミドを溶融させつつ前記強化繊維織物に含浸させる工程と、
    前記ビスアリルナジイミドの硬化温度に前記積層体を加熱し、前記積層体中の前記ビスアリルナジイミドを硬化させる工程と
    を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  2. 前記短繊維は、前記強化繊維織物の開口幅よりも小さな繊維長を有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  3. 前記短繊維樹脂フィルム中の短繊維の割合が20質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  4. 前記短繊維は、炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  5. 前記短繊維含有樹脂フィルムを作製する工程において、前記短繊維含有樹脂フィルムが前記繊維強化プラスチック成形体の形状に予備成形されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  6. 前記積層体を作製する工程において、前記強化繊維織物上に前記短繊維含有樹脂フィルムを積層し、前記ビスアリルナジイミドの軟化温度に加熱した後、前記短繊維含有樹脂フィルム上に強化繊維織物を積層して積層体を作製することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
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