JPH06256489A - 液晶性ポリエステル系グラフトポリマーおよびそれを用いた複合材組成物 - Google Patents
液晶性ポリエステル系グラフトポリマーおよびそれを用いた複合材組成物Info
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- JPH06256489A JPH06256489A JP7521993A JP7521993A JPH06256489A JP H06256489 A JPH06256489 A JP H06256489A JP 7521993 A JP7521993 A JP 7521993A JP 7521993 A JP7521993 A JP 7521993A JP H06256489 A JPH06256489 A JP H06256489A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 サーモトロピック液晶ポリマーと熱可塑性樹
脂、特にポリスチレン系樹脂とを混合する際に用いる相
溶化剤を開発する。 【構成】 芳香族環を有するヒドロキシカルボン酸、ジ
オール、ジカルボン酸等の液晶モノマー成分と、特定の
構造を有する変性マクロモノマーとをグラフト共重合し
て得られる液晶性ポリエステル系グラフトポリマーを相
溶化剤として用いる。
脂、特にポリスチレン系樹脂とを混合する際に用いる相
溶化剤を開発する。 【構成】 芳香族環を有するヒドロキシカルボン酸、ジ
オール、ジカルボン酸等の液晶モノマー成分と、特定の
構造を有する変性マクロモノマーとをグラフト共重合し
て得られる液晶性ポリエステル系グラフトポリマーを相
溶化剤として用いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汎用の工業用成形材
料、複合材料、合成繊維、接着剤等の広範な用途に使用
される新規な液晶性ポリエステル系グラフトポリマー、
およびそれを相溶化剤として用いサーモトロピック液晶
ポリマーとポリスチレン系樹脂とを混合して得られる高
性能な複合材組成物に関するものである。
料、複合材料、合成繊維、接着剤等の広範な用途に使用
される新規な液晶性ポリエステル系グラフトポリマー、
およびそれを相溶化剤として用いサーモトロピック液晶
ポリマーとポリスチレン系樹脂とを混合して得られる高
性能な複合材組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリスチレン系樹脂には多くの優れた特
徴があり、大量に利用されているが、工業部品として金
属と併用したり、金属の代替として使用するには剛性、
強度等が不足しているために、通常はガラス繊維等を充
填した繊維強化樹脂が使われている。しかしながら、こ
れら無機繊維強化樹脂にもまだ多くの改良が望まれてい
る。その代表的な欠点としては次の点が挙げられる。 (1)ガラス繊維等の無機繊維は、充填時に混練機また
は加工機を摩耗させるため、製造装置の保守管理に費用
がかかり、製造のコストが高くなる。 (2)ガラス繊維等は取扱作業環境を悪くするため取扱
いが困難であり、その点でも製造コストを高くする要因
となる。 (3)ガラス繊維等で強化するためには、数十%と多量
に充填する必要があり、そのため製品重量が大きくな
る。 (4)無機繊維強化樹脂は廃棄が極めて困難である。樹
脂は焼却することができるが、ガラス繊維は焼却できな
いことが多いため、破損した複合材が放置されて公害の
原因となる。 上記の欠点を改善するために、種々の手段が用いられて
いるが、根本的にこれらの問題点を解決する方法はまだ
見出されていない。最近、このような問題点を解決する
手段の一つとして、サーモトロピック液晶ポリマーを溶
融状態で分散させ、混練しながら微細繊維化(フィブリ
ル化)して、他の樹脂に混合したものをそのまま樹脂複
合材として使用する研究が始められている。
徴があり、大量に利用されているが、工業部品として金
属と併用したり、金属の代替として使用するには剛性、
強度等が不足しているために、通常はガラス繊維等を充
填した繊維強化樹脂が使われている。しかしながら、こ
れら無機繊維強化樹脂にもまだ多くの改良が望まれてい
る。その代表的な欠点としては次の点が挙げられる。 (1)ガラス繊維等の無機繊維は、充填時に混練機また
は加工機を摩耗させるため、製造装置の保守管理に費用
がかかり、製造のコストが高くなる。 (2)ガラス繊維等は取扱作業環境を悪くするため取扱
いが困難であり、その点でも製造コストを高くする要因
となる。 (3)ガラス繊維等で強化するためには、数十%と多量
に充填する必要があり、そのため製品重量が大きくな
る。 (4)無機繊維強化樹脂は廃棄が極めて困難である。樹
脂は焼却することができるが、ガラス繊維は焼却できな
いことが多いため、破損した複合材が放置されて公害の
原因となる。 上記の欠点を改善するために、種々の手段が用いられて
いるが、根本的にこれらの問題点を解決する方法はまだ
見出されていない。最近、このような問題点を解決する
手段の一つとして、サーモトロピック液晶ポリマーを溶
融状態で分散させ、混練しながら微細繊維化(フィブリ
ル化)して、他の樹脂に混合したものをそのまま樹脂複
合材として使用する研究が始められている。
【0003】一方、サーモトロピック液晶ポリマーとポ
リスチレン系樹脂との混練については、すでに多くの試
みがなされている。その目的の多くはポリスチレン系樹
脂の耐熱性、剛性、成形性等の改良であり、サーモトロ
ピック液晶ポリマーを微細繊維状にして複合化すること
を目的とする研究も行われているが、まだ研究の域を脱
していない。実用化されない理由は、液晶ポリマーを十
分に分散させ得る相溶化剤がないために、性能の優れた
材料を作ることができないからである。相溶化剤となる
ポリマーとしては、一般に、一つのポリマー構造の中に
液晶ポリマー構造を有する部分と、マトリックスと同じ
ポリマー構造を有する部分とが存在しているポリマー、
すなわち、分子内に異種のポリマーセグメントを有する
ポリマーが好適であるとされている。分子内に異種のポ
リマーセグメントを有するポリマーとしてはグラフトポ
リマーが挙げられ、その合成法として近年注目されてい
るものに、一方の末端に重合性の反応基を持ったポリマ
ーいわゆるマクロモノマーを利用する手法がある。
リスチレン系樹脂との混練については、すでに多くの試
みがなされている。その目的の多くはポリスチレン系樹
脂の耐熱性、剛性、成形性等の改良であり、サーモトロ
ピック液晶ポリマーを微細繊維状にして複合化すること
を目的とする研究も行われているが、まだ研究の域を脱
していない。実用化されない理由は、液晶ポリマーを十
分に分散させ得る相溶化剤がないために、性能の優れた
材料を作ることができないからである。相溶化剤となる
ポリマーとしては、一般に、一つのポリマー構造の中に
液晶ポリマー構造を有する部分と、マトリックスと同じ
ポリマー構造を有する部分とが存在しているポリマー、
すなわち、分子内に異種のポリマーセグメントを有する
ポリマーが好適であるとされている。分子内に異種のポ
リマーセグメントを有するポリマーとしてはグラフトポ
リマーが挙げられ、その合成法として近年注目されてい
るものに、一方の末端に重合性の反応基を持ったポリマ
ーいわゆるマクロモノマーを利用する手法がある。
【0004】最近、本発明者らにより、ジカルボン酸を
p−アミノフェノールと反応させ、得られたフェノール
性水酸基をもつマクロモノマーを用いて、サーモトロピ
ック液晶ポリエステル−グラフト−ポリスチレンコポリ
マーを合成することが開示されている(高分子学会予稿
集、40巻、8号、1991年、2773〜2775
頁)。しかし、上記コポリマーの重合度は必ずしも十分
でなく、分子量は低い。従って、例えばサーモトロピッ
ク液晶ポリマーと熱可塑性樹脂、特にサーモトロピック
液晶ポリマーとポリスチレン系樹脂とをブレンドする際
の相溶化剤として用いた場合に、十分にフィブリル化が
起こらず、サーモトロピック液晶ポリマーが有する優れ
た性質を十分に発現させることができない。従って、上
記コポリマーは相溶化剤として実用化するには十分であ
るとはいえず、より優れたコポリマーの出現が望まれて
いる。
p−アミノフェノールと反応させ、得られたフェノール
性水酸基をもつマクロモノマーを用いて、サーモトロピ
ック液晶ポリエステル−グラフト−ポリスチレンコポリ
マーを合成することが開示されている(高分子学会予稿
集、40巻、8号、1991年、2773〜2775
頁)。しかし、上記コポリマーの重合度は必ずしも十分
でなく、分子量は低い。従って、例えばサーモトロピッ
ク液晶ポリマーと熱可塑性樹脂、特にサーモトロピック
液晶ポリマーとポリスチレン系樹脂とをブレンドする際
の相溶化剤として用いた場合に、十分にフィブリル化が
起こらず、サーモトロピック液晶ポリマーが有する優れ
た性質を十分に発現させることができない。従って、上
記コポリマーは相溶化剤として実用化するには十分であ
るとはいえず、より優れたコポリマーの出現が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】サーモトロピック液晶
ポリマーと熱可塑性樹脂との相溶化剤の開発に当たって
考慮すべき問題点は以下の通りである。 (1)サーモトロピック液晶ポリマーと熱可塑性樹脂、
特にサーモトロピック液晶ポリマーとポリスチレン系樹
脂とは熱力学的に非相溶性の系である。 (2)そのために、サーモトロピック液晶ポリマーとポ
リスチレン系樹脂との界面に接着性がなく、サーモトロ
ピック液晶ポリマーによる補強効果が得られない。 (3)特に、サーモトロピック液晶ポリマーを熱可塑性
樹脂中でフィブリル化するためには、サーモトロピック
液晶ポリマーの配合量が多いか、熱可塑性樹脂の粘度が
サーモトロピック液晶ポリマーの粘度より大きくなけれ
ばならない。 (4)たとえ、フィブリル化することができても、フィ
ブリルの径が大きいなどの問題がある。 これらはいずれも、上記(1)のように両者の溶融物が
非相溶性であることが原因であると考えられる。従っ
て、両者を単に機械的に混合するのみでは、上記の問題
を解決することはできない。本発明は、上記の従来技術
の問題点を解決することを目的とするものである。
ポリマーと熱可塑性樹脂との相溶化剤の開発に当たって
考慮すべき問題点は以下の通りである。 (1)サーモトロピック液晶ポリマーと熱可塑性樹脂、
特にサーモトロピック液晶ポリマーとポリスチレン系樹
脂とは熱力学的に非相溶性の系である。 (2)そのために、サーモトロピック液晶ポリマーとポ
リスチレン系樹脂との界面に接着性がなく、サーモトロ
ピック液晶ポリマーによる補強効果が得られない。 (3)特に、サーモトロピック液晶ポリマーを熱可塑性
樹脂中でフィブリル化するためには、サーモトロピック
液晶ポリマーの配合量が多いか、熱可塑性樹脂の粘度が
サーモトロピック液晶ポリマーの粘度より大きくなけれ
ばならない。 (4)たとえ、フィブリル化することができても、フィ
ブリルの径が大きいなどの問題がある。 これらはいずれも、上記(1)のように両者の溶融物が
非相溶性であることが原因であると考えられる。従っ
て、両者を単に機械的に混合するのみでは、上記の問題
を解決することはできない。本発明は、上記の従来技術
の問題点を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】まず、第1の発明は、下
記構造単位化5から化8よりなり、構造単位化5から化
8の合計100モルに対し、構造単位化5が40〜80
モル、構造単位化6が5〜30モル、構造単位化7が1
0〜30モル、および構造単位化8が5〜30モルから
なることを特徴とする液晶性ポリエステル系グラフトポ
リマーに関するものである。
記構造単位化5から化8よりなり、構造単位化5から化
8の合計100モルに対し、構造単位化5が40〜80
モル、構造単位化6が5〜30モル、構造単位化7が1
0〜30モル、および構造単位化8が5〜30モルから
なることを特徴とする液晶性ポリエステル系グラフトポ
リマーに関するものである。
【0007】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0008】第2の発明は、サーモトロピック液晶ポリ
マー、ポリスチレン系樹脂および上記第1の発明の液晶
性ポリエステル系グラフトポリマーを配合して得られる
ことを特徴とする複合材組成物に関するものである。
マー、ポリスチレン系樹脂および上記第1の発明の液晶
性ポリエステル系グラフトポリマーを配合して得られる
ことを特徴とする複合材組成物に関するものである。
【0009】まず第1の発明について説明する。第1の
発明における構造単位化5から化7は、液晶ポリマーを
構成する単位であり、そのモノマーとしてはヒドロキシ
カルボン酸、ジオール化合物、ジカルボン酸化合物等が
挙げられる。具体的には、構造単位化5を与えるモノマ
ー成分として、p−ヒドロキシ安息香酸等、構造単位化
6を与えるモノマー成分として、tert−ブチルハイドロ
キノン等単独、またはこれとハイドロキノン、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル等との併用、および構造単位化
7を与えるモノマー成分として、テレフタル酸、イソフ
タル酸等が例示される。
発明における構造単位化5から化7は、液晶ポリマーを
構成する単位であり、そのモノマーとしてはヒドロキシ
カルボン酸、ジオール化合物、ジカルボン酸化合物等が
挙げられる。具体的には、構造単位化5を与えるモノマ
ー成分として、p−ヒドロキシ安息香酸等、構造単位化
6を与えるモノマー成分として、tert−ブチルハイドロ
キノン等単独、またはこれとハイドロキノン、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル等との併用、および構造単位化
7を与えるモノマー成分として、テレフタル酸、イソフ
タル酸等が例示される。
【0010】本発明で用いられる構造単位化8はいわゆ
る変性マクロモノマーである。変性マクロモノマーとし
て、特に制限はないが、縮合型マクロモノマーを変性し
て合成されたものが好ましい。縮合型マクロモノマーと
は、分子鎖の一方の末端に重縮合し得る官能基を有する
比較的低分子量(数平均分子量が1,000〜20,00
0)のポリマーを意味する。縮合型マクロモノマーの官
能性末端基としては、カルボキシル基またはヒドロキシ
ル基2個を有する構造を挙げることができる。これら以
外にアミノ基、エステル基、カルボン酸塩等を末端に有
する構造でもよい。カルボキシル基またはヒドロキシル
基2個を有する末端構造としては、次の化9、化10等
の化合物が挙げられる。本発明で用いられる縮合型マク
ロモノマーの末端構造としては、ジカルボン酸が最も好
ましい。
る変性マクロモノマーである。変性マクロモノマーとし
て、特に制限はないが、縮合型マクロモノマーを変性し
て合成されたものが好ましい。縮合型マクロモノマーと
は、分子鎖の一方の末端に重縮合し得る官能基を有する
比較的低分子量(数平均分子量が1,000〜20,00
0)のポリマーを意味する。縮合型マクロモノマーの官
能性末端基としては、カルボキシル基またはヒドロキシ
ル基2個を有する構造を挙げることができる。これら以
外にアミノ基、エステル基、カルボン酸塩等を末端に有
する構造でもよい。カルボキシル基またはヒドロキシル
基2個を有する末端構造としては、次の化9、化10等
の化合物が挙げられる。本発明で用いられる縮合型マク
ロモノマーの末端構造としては、ジカルボン酸が最も好
ましい。
【0011】
【化9】
【化10】
【0012】また、本発明における縮合型マクロモノマ
ーの骨格構造は、ビニル重合性モノマーの重合体骨格で
あり、モノマー単位としては、酢酸ビニル等の有機酸の
ビニルエステル;スチレンおよびスチレン誘導体;ビニ
ルピリジン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合
物;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン等の
アクリル酸またはメタクリル誘導体;N−ビニルピロリ
ドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合
物;無水マレイン酸等の不飽和酸無水物;N−フェニル
マレイミド等のN−置換マレイミド等が挙げられる。好
ましくはスチレン、スチレン置換体、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルが使用され、特に好ましいのはスチレンで
ある。これらのモノマーは単独で用いてもよく、あるい
は2種類以上共用して共重合体として使用してもよい。
ーの骨格構造は、ビニル重合性モノマーの重合体骨格で
あり、モノマー単位としては、酢酸ビニル等の有機酸の
ビニルエステル;スチレンおよびスチレン誘導体;ビニ
ルピリジン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合
物;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン等の
アクリル酸またはメタクリル誘導体;N−ビニルピロリ
ドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合
物;無水マレイン酸等の不飽和酸無水物;N−フェニル
マレイミド等のN−置換マレイミド等が挙げられる。好
ましくはスチレン、スチレン置換体、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルが使用され、特に好ましいのはスチレンで
ある。これらのモノマーは単独で用いてもよく、あるい
は2種類以上共用して共重合体として使用してもよい。
【0013】本発明における縮合型マクロモノマーの分
子量は、縮合型マクロモノマーの重合性を損なわない範
囲であればよく、数平均分子量が1,000〜20,00
0、好ましくは2,000〜15,000である。数平均
分子量が1,000未満ではポリマー単位として重合度
が低すぎ、原料として用いたポリマーの物性がグラフト
ポリマーの物性に反映しないため好ましくない。また2
0,000を超えるとグラフトポリマーの製造時に重合
性が低下し、反応系の相分離を起こし易くなる等の不都
合を生じるため好ましくない。
子量は、縮合型マクロモノマーの重合性を損なわない範
囲であればよく、数平均分子量が1,000〜20,00
0、好ましくは2,000〜15,000である。数平均
分子量が1,000未満ではポリマー単位として重合度
が低すぎ、原料として用いたポリマーの物性がグラフト
ポリマーの物性に反映しないため好ましくない。また2
0,000を超えるとグラフトポリマーの製造時に重合
性が低下し、反応系の相分離を起こし易くなる等の不都
合を生じるため好ましくない。
【0014】本発明の縮合型マクロモノマーの製造法の
一例として、所望の末端構造に対応する連鎖移動剤の存
在下でラジカル重合性モノマーを重合させ、一方の末端
にカルボキシル基2個またはヒドロキシル基2個を有す
る重縮合可能なマクロモノマー、すなわち縮合型マクロ
モノマーを得る方法を挙げることができる。この際使用
する連鎖移動剤としては、メルカプト化合物が、適当な
連鎖移動定数を有するため好適である。末端ジカルボン
酸型マクロモノマーを製造する場合にはチオリンゴ酸
が、末端ジヒドロキシル型マクロモノマーの場合にはチ
オグリセリンがそれぞれ連鎖移動剤として好適である。
一例として、所望の末端構造に対応する連鎖移動剤の存
在下でラジカル重合性モノマーを重合させ、一方の末端
にカルボキシル基2個またはヒドロキシル基2個を有す
る重縮合可能なマクロモノマー、すなわち縮合型マクロ
モノマーを得る方法を挙げることができる。この際使用
する連鎖移動剤としては、メルカプト化合物が、適当な
連鎖移動定数を有するため好適である。末端ジカルボン
酸型マクロモノマーを製造する場合にはチオリンゴ酸
が、末端ジヒドロキシル型マクロモノマーの場合にはチ
オグリセリンがそれぞれ連鎖移動剤として好適である。
【0015】上記縮合型マクロモノマーの重合方法とし
ては、従来公知のラジカル重合開始剤の存在下で行う溶
液重合法、バルク重合法、懸濁重合法、エマルション重
合法等が用いられるが、連鎖移動剤が水に可溶であるこ
とが多いため、溶液重合法またはバルク重合法が好まし
い。更に連鎖移動剤がモノマーに難溶であることが多い
ため、溶液重合法がより好ましい。
ては、従来公知のラジカル重合開始剤の存在下で行う溶
液重合法、バルク重合法、懸濁重合法、エマルション重
合法等が用いられるが、連鎖移動剤が水に可溶であるこ
とが多いため、溶液重合法またはバルク重合法が好まし
い。更に連鎖移動剤がモノマーに難溶であることが多い
ため、溶液重合法がより好ましい。
【0016】前記のように、縮合型マクロモノマーの一
方の末端には、カルボキシル基またはヒドロキシル基が
ビニル性重合部に隣接して存在するが、本発明で用いる
マクロモノマーとしては、これらの官能性末端基が芳香
族環を介してビニル性重合部に結合した構造の方が望ま
しい。そのため、ビニル性重合部に隣接している官能基
を、芳香族性のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミ
ノ基、チオール基等に変性する。例えば、縮合型マクロ
モノマーのビニル性重合部の末端にカルボキシル基が隣
接している場合には、アミノフェノールと共に、N−メ
チル−2−ピロリドンとピリジンの4/1混合溶媒中に
溶解させた無水塩化リチウムおよび亜リン酸トリフェニ
ルを加えて、加熱撹拌を行い、反応終了後メタノールで
沈澱させて、末端にフェノールを有する変性マクロモノ
マーを得ることができる。次に反応式化11を示す。
方の末端には、カルボキシル基またはヒドロキシル基が
ビニル性重合部に隣接して存在するが、本発明で用いる
マクロモノマーとしては、これらの官能性末端基が芳香
族環を介してビニル性重合部に結合した構造の方が望ま
しい。そのため、ビニル性重合部に隣接している官能基
を、芳香族性のカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミ
ノ基、チオール基等に変性する。例えば、縮合型マクロ
モノマーのビニル性重合部の末端にカルボキシル基が隣
接している場合には、アミノフェノールと共に、N−メ
チル−2−ピロリドンとピリジンの4/1混合溶媒中に
溶解させた無水塩化リチウムおよび亜リン酸トリフェニ
ルを加えて、加熱撹拌を行い、反応終了後メタノールで
沈澱させて、末端にフェノールを有する変性マクロモノ
マーを得ることができる。次に反応式化11を示す。
【0017】
【化11】
【0018】本発明においては、ポリスチレンにジカル
ボン酸を付加したマクロモノマーを、アミノフェノール
と反応させて得られる、末端にフェノールを有する化8
で表わされる変性マクロモノマーが最も好ましく用いら
れる。
ボン酸を付加したマクロモノマーを、アミノフェノール
と反応させて得られる、末端にフェノールを有する化8
で表わされる変性マクロモノマーが最も好ましく用いら
れる。
【0019】次に液晶モノマー成分化5から化7と変性
マクロモノマー化8とのグラフト共重合について述べ
る。液晶モノマー成分化5から化7と変性マクロモノマ
ー化8との共重合により、本発明の液晶性ポリエステル
のポリスチレングラフトポリマーが合成される。共重合
を行う方法について特に制限はない。液晶ポリマーの重
合法として公知の方法を用いることができる。例えば、
バルク重合、溶液重合、懸濁重合、エマルション重合等
が挙げられる。
マクロモノマー化8とのグラフト共重合について述べ
る。液晶モノマー成分化5から化7と変性マクロモノマ
ー化8との共重合により、本発明の液晶性ポリエステル
のポリスチレングラフトポリマーが合成される。共重合
を行う方法について特に制限はない。液晶ポリマーの重
合法として公知の方法を用いることができる。例えば、
バルク重合、溶液重合、懸濁重合、エマルション重合等
が挙げられる。
【0020】本発明における、各構造単位の配合割合
は、構造単位化5から化7、および変性マクロモノマー
化8の合計100モルに対し、構造単位化5が40〜8
0モル、構造単位化6が5〜30モル、構造単位化7が
10〜30モルおよび構造単位化8が5〜30モルの範
囲であることが好ましい。配合割合がこれらの範囲外で
ある場合には、重合生成物が相溶剤としての効果を十分
に発揮できすることができず、本発明の目的が達成され
ない。
は、構造単位化5から化7、および変性マクロモノマー
化8の合計100モルに対し、構造単位化5が40〜8
0モル、構造単位化6が5〜30モル、構造単位化7が
10〜30モルおよび構造単位化8が5〜30モルの範
囲であることが好ましい。配合割合がこれらの範囲外で
ある場合には、重合生成物が相溶剤としての効果を十分
に発揮できすることができず、本発明の目的が達成され
ない。
【0021】本発明の液晶性ポリエステル系グラフトポ
リマーの分子量を間接的に表示する値として、インヘレ
ント粘度ηinh(0.2%ジクロロ酢酸溶液、30℃)は
0.1〜0.7の範囲が好ましく、更に好ましくは0.2
〜0.6の範囲である。
リマーの分子量を間接的に表示する値として、インヘレ
ント粘度ηinh(0.2%ジクロロ酢酸溶液、30℃)は
0.1〜0.7の範囲が好ましく、更に好ましくは0.2
〜0.6の範囲である。
【0022】本発明で得られる液晶性ポリエステルのポ
リスチレングラフトポリマーは、主鎖が液晶性ポリエス
テルからなり、側鎖にポリスチレン鎖を持つグラフトポ
リマーであるから、非相溶系であるサーモトロピック液
晶ポリマーと他の熱可塑性樹脂、特にポリスチレンとを
ブレンドする際の相溶化剤として優れた効果を示す。
リスチレングラフトポリマーは、主鎖が液晶性ポリエス
テルからなり、側鎖にポリスチレン鎖を持つグラフトポ
リマーであるから、非相溶系であるサーモトロピック液
晶ポリマーと他の熱可塑性樹脂、特にポリスチレンとを
ブレンドする際の相溶化剤として優れた効果を示す。
【0023】次に第2の発明について述べる。第2の発
明の複合材組成物に用いられるサーモトロピック液晶ポ
リマーは、溶融時に光学的異方性を示し、かつ熱可塑性
を有するポリマーである。このように溶融時に光学的異
方性を示すポリマーは、溶融状態でポリマーの分子鎖が
規則的な平行配列をとる性質を示す。光学的異方性溶融
相の性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法に
より確認することができる。上記液晶ポリマーとして
は、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリカーボネ
ート、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には、
(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ
アミドイミド、ポリエステルカーボネート、ポリアゾメ
チン等が挙げられる。サーモトロピック液晶ポリマー
は、一般に細長く、偏平な分子構造からなり、分子の長
鎖に沿って剛性が高く、同軸または平行のいずれかの関
係にある複数の連鎖伸長結合を有している。本発明にお
いて用いるサーモトロピック液晶ポリマーには、一つの
高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセ
グメントで構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成
しないポリマーのセグメントから構成されるポリマーも
含まれる。また、複数のサーモトロピック液晶ポリマー
を複合したものも含まれる。
明の複合材組成物に用いられるサーモトロピック液晶ポ
リマーは、溶融時に光学的異方性を示し、かつ熱可塑性
を有するポリマーである。このように溶融時に光学的異
方性を示すポリマーは、溶融状態でポリマーの分子鎖が
規則的な平行配列をとる性質を示す。光学的異方性溶融
相の性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法に
より確認することができる。上記液晶ポリマーとして
は、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリカーボネ
ート、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には、
(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ
アミドイミド、ポリエステルカーボネート、ポリアゾメ
チン等が挙げられる。サーモトロピック液晶ポリマー
は、一般に細長く、偏平な分子構造からなり、分子の長
鎖に沿って剛性が高く、同軸または平行のいずれかの関
係にある複数の連鎖伸長結合を有している。本発明にお
いて用いるサーモトロピック液晶ポリマーには、一つの
高分子鎖の一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセ
グメントで構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成
しないポリマーのセグメントから構成されるポリマーも
含まれる。また、複数のサーモトロピック液晶ポリマー
を複合したものも含まれる。
【0024】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては(A)芳香族ジカルボン酸の
少なくとも1種、(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系
化合物の少なくとも1種、(C)芳香族ジオール系化合
物の少なくとも1種、(D)(D1)芳香族ジチオー
ル、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)芳香族チオ
ールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(E)芳香族
ヒドロキシルアミン、芳香族ジアミン系化合物の少なく
とも1種等の芳香族化合物が挙げられる。これらは単独
で用いられる場合もあるが、 多くは(A)と(C);
(A)と(D);(A)、(B)と(C); (A)、
(B)と(E); あるいは(A)、(B)、(C)と
(E)等のように組合せて構成される。
モノマーの代表例としては(A)芳香族ジカルボン酸の
少なくとも1種、(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系
化合物の少なくとも1種、(C)芳香族ジオール系化合
物の少なくとも1種、(D)(D1)芳香族ジチオー
ル、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)芳香族チオ
ールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(E)芳香族
ヒドロキシルアミン、芳香族ジアミン系化合物の少なく
とも1種等の芳香族化合物が挙げられる。これらは単独
で用いられる場合もあるが、 多くは(A)と(C);
(A)と(D);(A)、(B)と(C); (A)、
(B)と(E); あるいは(A)、(B)、(C)と
(E)等のように組合せて構成される。
【0025】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4"−テルフェニルジカルボン酸、1,6−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカル
ボン酸、ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボン酸、
ジフェノキシブタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエタン−4,4'−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフ
ェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸、ジフェノキシ
エタン−3,3'−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−
3,3'−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、または
クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテ
レフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル
酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エト
キシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカルボン
酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げ
られる。
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4"−テルフェニルジカルボン酸、1,6−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカル
ボン酸、ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボン酸、
ジフェノキシブタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエタン−4,4'−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフ
ェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸、ジフェノキシ
エタン−3,3'−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−
3,3'−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、または
クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテ
レフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル
酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エト
キシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカルボン
酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げ
られる。
【0026】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドキ
シ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7
−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−
ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙
げられる。
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドキ
シ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7
−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−
ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙
げられる。
【0027】(C)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4"−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4"−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0028】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレン
ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプ
トフェノール、3−メルカプトフェノール、2−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、 4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレン
ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプ
トフェノール、3−メルカプトフェノール、2−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、 4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0029】(E)芳香族ヒドロキシルアミン、芳香族
ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N
−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレン
ジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−
アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノー
ル、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−
1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、 4,4'−エチレンジアニリン、
4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジアミ
ノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−
ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が
挙げられる。
ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N
−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレン
ジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−
アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノー
ル、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−
1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェ
ニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−
ジアミノトルエン、 4,4'−エチレンジアニリン、
4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジアミ
ノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−
ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が
挙げられる。
【0030】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。これらのモノマーから得られるサーモト
ロピック液晶ポリマーのうち、一般式化12で表わされ
るモノマー単位を必須成分として含む重合体または共重
合体である芳香族ポリエステルが好ましい。
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。これらのモノマーから得られるサーモト
ロピック液晶ポリマーのうち、一般式化12で表わされ
るモノマー単位を必須成分として含む重合体または共重
合体である芳香族ポリエステルが好ましい。
【0031】
【化12】
【0032】本発明の特に好ましい全芳香族ポリエステ
ルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェ
ノールの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単
位を有する化13で表わされるポリエステル、p−ヒド
ロキシ安息香酸、フタル酸、ビフェノールおよびハイド
ロキノンの4種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し
単位を有する化14で表わされるポリエステル、または
p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の
2種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有す
る化15で表わされるポリエステルである。
ルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェ
ノールの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単
位を有する化13で表わされるポリエステル、p−ヒド
ロキシ安息香酸、フタル酸、ビフェノールおよびハイド
ロキノンの4種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し
単位を有する化14で表わされるポリエステル、または
p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の
2種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有す
る化15で表わされるポリエステルである。
【0033】
【化13】
【化14】
【化15】
【0034】本発明の複合材組成物に用いられるポリス
チレン系樹脂には、ポリスチレン;スチレンとブタジエ
ンまたはアクリロニトリルとを主体とする共重合体;ポ
リスチレンとポリブタジエンを主成分とする混合物等が
含まれる。
チレン系樹脂には、ポリスチレン;スチレンとブタジエ
ンまたはアクリロニトリルとを主体とする共重合体;ポ
リスチレンとポリブタジエンを主成分とする混合物等が
含まれる。
【0035】本発明において、ポリスチレン系樹脂、サ
ーモトロピック液晶ポリマーおよび前記液晶性ポリエス
テル系グラフトポリマーを配合して複合材組成物を製造
するためには、溶融混練を行うことが好ましく、公知の
方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサ
ー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機
等を用い、150〜350℃の範囲の温度で溶融混練し
て組成物を得ることができる。
ーモトロピック液晶ポリマーおよび前記液晶性ポリエス
テル系グラフトポリマーを配合して複合材組成物を製造
するためには、溶融混練を行うことが好ましく、公知の
方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサ
ー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機
等を用い、150〜350℃の範囲の温度で溶融混練し
て組成物を得ることができる。
【0036】本発明において、ポリスチレン系樹脂、サ
ーモトロピック液晶ポリマーおよび液晶性ポリエステル
系グラフトポリマーの配合比に特に制限はないが、好ま
しくはポリスチレン系樹脂/サーモトロピック液晶ポリ
マーの重量比は97/3〜60/40、更に好ましくは9
5/5〜70/30の範囲である。また、液晶性ポリエス
テル系グラフトポリマーの添加量は、ポリスチレン系樹
脂およびサーモトロピック液晶ポリマーの合計100重
量部に対して3〜30重量部、好ましくは5〜20重量
部の範囲である。液晶性ポリエステル系グラフトポリマ
ーの添加量が3重量部未満の場合には十分に相溶効果が
現われず、また30重量部を超える場合は機械的強度が
得られないため、いずれも好ましくない。
ーモトロピック液晶ポリマーおよび液晶性ポリエステル
系グラフトポリマーの配合比に特に制限はないが、好ま
しくはポリスチレン系樹脂/サーモトロピック液晶ポリ
マーの重量比は97/3〜60/40、更に好ましくは9
5/5〜70/30の範囲である。また、液晶性ポリエス
テル系グラフトポリマーの添加量は、ポリスチレン系樹
脂およびサーモトロピック液晶ポリマーの合計100重
量部に対して3〜30重量部、好ましくは5〜20重量
部の範囲である。液晶性ポリエステル系グラフトポリマ
ーの添加量が3重量部未満の場合には十分に相溶効果が
現われず、また30重量部を超える場合は機械的強度が
得られないため、いずれも好ましくない。
【0037】上記の方法により溶融混練することによ
り、サーモトロピック液晶ポリマーを十分に溶解し分散
させてフィブリル化することが可能であり、本発明の目
的を達成することができる。フィブリル化の程度として
は、繊維化したサーモトロピック液晶ポリマーの平均径
が0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。フィ
ブリル化せず球状、棒状あるいは瓢箪状である場合には
相溶化が十分でなく、従って物性に改良効果が見られな
い。
り、サーモトロピック液晶ポリマーを十分に溶解し分散
させてフィブリル化することが可能であり、本発明の目
的を達成することができる。フィブリル化の程度として
は、繊維化したサーモトロピック液晶ポリマーの平均径
が0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。フィ
ブリル化せず球状、棒状あるいは瓢箪状である場合には
相溶化が十分でなく、従って物性に改良効果が見られな
い。
【0038】本発明の複合材組成物には、本発明の目的
を損なわない範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(例え
ば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイ
ト類およびこれらの置換体等)、紫外線吸収剤(例え
ば、レゾルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾー
ル、ベンゾフェノン等)、滑剤および離型剤、染料およ
び顔料を含む着色剤、難燃剤、強化剤等の通常用いられ
る添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加してそれぞれの特性
を付与することができる。
を損なわない範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(例え
ば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイ
ト類およびこれらの置換体等)、紫外線吸収剤(例え
ば、レゾルシノール、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾー
ル、ベンゾフェノン等)、滑剤および離型剤、染料およ
び顔料を含む着色剤、難燃剤、強化剤等の通常用いられ
る添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加してそれぞれの特性
を付与することができる。
【0039】
【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明する
が、本発明はそれらに限定されるものではない。 <参考例> 変性マクロモノマー(化8)の合成 ポリスチレンにジカルボン酸を付加した縮合型マクロモ
ノマー(商品名:CS−6、東亜合成(株)製)(0.1
モル)、p−アミノフェノール(0.25モル)、なら
びにN−メチル−2−ピロリドンとピリジンの4/1混
合溶媒(500ml)中に溶解した無水塩化リチウム
(0.25モル)および亜リン酸トリフェニル (0.
25モル)を加えて、120℃で4時間加熱撹拌して反
応させた。反応終了後、反応生成物をメタノールで沈澱
させ、濾過した後、更にメタノールで加熱還流し、60
℃で24時間減圧乾燥して、変性マクロモノマーを得
た。生成物の反応収率は90%であり、ガラス転移点
(Tg)は106℃であった。また、フーリエ変換赤外
分光(FT−IR)スペクトルによれば、ポリスチレン
の特性吸収に加えて、アミド結合の特性吸収およびフェ
ノール由来の吸収も見られ、フェノール性水酸基を持つ
変性マクロモノマーであることが確認された。
が、本発明はそれらに限定されるものではない。 <参考例> 変性マクロモノマー(化8)の合成 ポリスチレンにジカルボン酸を付加した縮合型マクロモ
ノマー(商品名:CS−6、東亜合成(株)製)(0.1
モル)、p−アミノフェノール(0.25モル)、なら
びにN−メチル−2−ピロリドンとピリジンの4/1混
合溶媒(500ml)中に溶解した無水塩化リチウム
(0.25モル)および亜リン酸トリフェニル (0.
25モル)を加えて、120℃で4時間加熱撹拌して反
応させた。反応終了後、反応生成物をメタノールで沈澱
させ、濾過した後、更にメタノールで加熱還流し、60
℃で24時間減圧乾燥して、変性マクロモノマーを得
た。生成物の反応収率は90%であり、ガラス転移点
(Tg)は106℃であった。また、フーリエ変換赤外
分光(FT−IR)スペクトルによれば、ポリスチレン
の特性吸収に加えて、アミド結合の特性吸収およびフェ
ノール由来の吸収も見られ、フェノール性水酸基を持つ
変性マクロモノマーであることが確認された。
【0040】<実施例1> 液晶性ポリエステルのポリ
スチレングラフトポリマーの合成 1リットルのセパラブルフラスコにテレフタル酸(0.
08モル)、イソフタル酸( 0.08モル)およびp−
ヒドロキシ安息香酸(0.48モル)を入れ、ピリジン
で溶解した後、あらかじめジシクロペンタジエン(15
0ml)に溶かした無水塩化リチュウム(0.8モル)
を加えて、120℃に加温した。更に20分後、ピリジ
ンを溶解したtert−ブチルハイドロキノン(0.08モ
ル)と参考例で製造した変性マクロモノマー(0.08
モル)をセパラブルフラスコに加え、3時間加熱撹拌し
た。反応終了後、反応溶液をメタノール溶液に投入し、
濾過してポリマーを得た。収率は44%であった。得ら
れたポリマーのFT−IRスペクトルによれば、ポリエ
ステルのエステルカルボニルの吸収の他に、ポリスチレ
ン由来の吸収が見られることからグラフトポリマーの生
成が確認された。ηinhは0.26(ジクロロ酢酸 0.2
%、30℃)であった。上記で得られたグラフトポリマ
ーの液晶性について、示差走査熱量測定(DSC)およ
び偏光顕微鏡による光学組織の観察によって調べたとこ
ろ、明確なシュリーレン組織を示すこと、DSC曲線に
は変性マクロモノマーに由来するポリスチレンセグメン
トのTg が見られること、ならびにTg 以上の温度で融
点(Tm)および等方化温度(Ti)に基づく非常に弱い
吸熱ピークが見られることが判明した。更に、320℃
付近で急激な熱分解を受けることが判った。このように
ポリスチレンをグラフトしたポリエステルは液晶性を保
持しており、300℃程度まで熱的に安定であることが
明らかになった。
スチレングラフトポリマーの合成 1リットルのセパラブルフラスコにテレフタル酸(0.
08モル)、イソフタル酸( 0.08モル)およびp−
ヒドロキシ安息香酸(0.48モル)を入れ、ピリジン
で溶解した後、あらかじめジシクロペンタジエン(15
0ml)に溶かした無水塩化リチュウム(0.8モル)
を加えて、120℃に加温した。更に20分後、ピリジ
ンを溶解したtert−ブチルハイドロキノン(0.08モ
ル)と参考例で製造した変性マクロモノマー(0.08
モル)をセパラブルフラスコに加え、3時間加熱撹拌し
た。反応終了後、反応溶液をメタノール溶液に投入し、
濾過してポリマーを得た。収率は44%であった。得ら
れたポリマーのFT−IRスペクトルによれば、ポリエ
ステルのエステルカルボニルの吸収の他に、ポリスチレ
ン由来の吸収が見られることからグラフトポリマーの生
成が確認された。ηinhは0.26(ジクロロ酢酸 0.2
%、30℃)であった。上記で得られたグラフトポリマ
ーの液晶性について、示差走査熱量測定(DSC)およ
び偏光顕微鏡による光学組織の観察によって調べたとこ
ろ、明確なシュリーレン組織を示すこと、DSC曲線に
は変性マクロモノマーに由来するポリスチレンセグメン
トのTg が見られること、ならびにTg 以上の温度で融
点(Tm)および等方化温度(Ti)に基づく非常に弱い
吸熱ピークが見られることが判明した。更に、320℃
付近で急激な熱分解を受けることが判った。このように
ポリスチレンをグラフトしたポリエステルは液晶性を保
持しており、300℃程度まで熱的に安定であることが
明らかになった。
【0041】<実施例2>実施例1で得られた液晶性ポ
リエステル系グラフトポリマーを相溶化剤として用い、
サーモトロピック液晶ポリマーとポリスチレンとのブレ
ンド物を調製した。サーモトロピック液晶ポリマーとし
てのベクトラA950(商品名、ポリプラスチックス
(株)製)と、ポリスチレンとしてのスタイロン666
(商品名、旭化成(株)製)を、重量比10/90の割合
で配合し、更に相溶化剤として、実施例1で得られた液
晶性ポリエステル系グラフトポリマーを、サーモトロピ
ック液晶ポリマーおよびポリスチレンの合計100重量
部に対し5重量部用いた。混練機として日本製鋼所(株)
製の2軸混練機(商品名:TEX30HSS−25.5
P−2V)を使用した。使用するポリマーは、85℃で
10時間以上予備乾燥を行った。各ポリマーのペレット
を直接混合して混練機のフィーダー部に供給し、温度2
80℃、スクリュー回転数165rpmで混練を行っ
た。混練機から押し出されたストランドを直接ペレタイ
ザーでペレット化した。得られたペレットは、直径1〜
2mm、長さ4〜5mmの円柱状であった。上記のペレ
ットをベンゼン中に入れてポリスチレン部分を溶解し、
不溶分としてのサーモトロピック液晶ポリマーを濾過分
離し、乾燥した後、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡
(SEM)(商品名:JSM T−20)を用いて観察
を行った。その結果、サーモトロピック液晶ポリマー
は、ほぼ全体がフィブリル化して細かく分散しており、
相溶化剤の添加効果が顕著に示された。
リエステル系グラフトポリマーを相溶化剤として用い、
サーモトロピック液晶ポリマーとポリスチレンとのブレ
ンド物を調製した。サーモトロピック液晶ポリマーとし
てのベクトラA950(商品名、ポリプラスチックス
(株)製)と、ポリスチレンとしてのスタイロン666
(商品名、旭化成(株)製)を、重量比10/90の割合
で配合し、更に相溶化剤として、実施例1で得られた液
晶性ポリエステル系グラフトポリマーを、サーモトロピ
ック液晶ポリマーおよびポリスチレンの合計100重量
部に対し5重量部用いた。混練機として日本製鋼所(株)
製の2軸混練機(商品名:TEX30HSS−25.5
P−2V)を使用した。使用するポリマーは、85℃で
10時間以上予備乾燥を行った。各ポリマーのペレット
を直接混合して混練機のフィーダー部に供給し、温度2
80℃、スクリュー回転数165rpmで混練を行っ
た。混練機から押し出されたストランドを直接ペレタイ
ザーでペレット化した。得られたペレットは、直径1〜
2mm、長さ4〜5mmの円柱状であった。上記のペレ
ットをベンゼン中に入れてポリスチレン部分を溶解し、
不溶分としてのサーモトロピック液晶ポリマーを濾過分
離し、乾燥した後、日本電子(株)製の走査型電子顕微鏡
(SEM)(商品名:JSM T−20)を用いて観察
を行った。その結果、サーモトロピック液晶ポリマー
は、ほぼ全体がフィブリル化して細かく分散しており、
相溶化剤の添加効果が顕著に示された。
【0042】<実施例3>サーモトロピック液晶ポリマ
ーとしてベクトラA950を、ポリスチレンとしてスタ
イロン666を、重量比20/80の割合で用いた以外
は実施例2と同様にして試験を行った。得られたブレン
ド物についてSEMによる観察を行った結果、実施例2
のブレンド物と同様に、サーモトロピック液晶ポリマー
はほぼ全体がフィブリル化して細かく分散しており、相
溶化剤の効果は顕著であった。また、混練により得られ
たペレットを85℃で10時間以上予備乾燥した後、日
本製鋼所(株)製の射出成形機(商品名:JSW−N40
A)を用いて、幅50×長さ70×厚さ3mmの成形品
を作製した。得られた成形品から試験片を切り出して、
曲げ試験機により曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した
ところ、5試料の平均値はそれぞれ67.8 MPa およ
び2.88GPa であった。
ーとしてベクトラA950を、ポリスチレンとしてスタ
イロン666を、重量比20/80の割合で用いた以外
は実施例2と同様にして試験を行った。得られたブレン
ド物についてSEMによる観察を行った結果、実施例2
のブレンド物と同様に、サーモトロピック液晶ポリマー
はほぼ全体がフィブリル化して細かく分散しており、相
溶化剤の効果は顕著であった。また、混練により得られ
たペレットを85℃で10時間以上予備乾燥した後、日
本製鋼所(株)製の射出成形機(商品名:JSW−N40
A)を用いて、幅50×長さ70×厚さ3mmの成形品
を作製した。得られた成形品から試験片を切り出して、
曲げ試験機により曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した
ところ、5試料の平均値はそれぞれ67.8 MPa およ
び2.88GPa であった。
【0043】<比較例1>相溶化剤を用いなかったこと
以外は、実施例2と同様にして試験を行った。SEMに
よる観察の結果、サーモトロピック液晶ポリマーは分散
状態が悪く、形状は球状のものが多く、一部に棒状のも
のも見られた。
以外は、実施例2と同様にして試験を行った。SEMに
よる観察の結果、サーモトロピック液晶ポリマーは分散
状態が悪く、形状は球状のものが多く、一部に棒状のも
のも見られた。
【0044】<比較例2>相溶化剤を用いなかったこと
以外は、実施例3と同様にして試験を行った。SEMに
よる観察の結果、サーモトロピック液晶ポリマーは、ほ
ぼ全体が棒状または瓢箪状であり、分散が十分に行われ
ていなかった。また、実施例3と同様にして曲げ試験機
により、曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定したところ、
5試料の平均値はそれぞれ63.3MPa および2.62
GPaであり、実施例3の値よりも低かった。以上の結
果から、曲げ強さおよび曲げ弾性率においても、相溶化
剤の添加効果が現れることが判った。
以外は、実施例3と同様にして試験を行った。SEMに
よる観察の結果、サーモトロピック液晶ポリマーは、ほ
ぼ全体が棒状または瓢箪状であり、分散が十分に行われ
ていなかった。また、実施例3と同様にして曲げ試験機
により、曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定したところ、
5試料の平均値はそれぞれ63.3MPa および2.62
GPaであり、実施例3の値よりも低かった。以上の結
果から、曲げ強さおよび曲げ弾性率においても、相溶化
剤の添加効果が現れることが判った。
【0045】
【発明の効果】本願発明による液晶性ポリエステル系グ
ラフトポリマーを相溶化剤として用いることにより、フ
ィブリル化して分散性のよい優れた液晶ポリマー組成物
が得られる。従って、本発明により、汎用の工業用成形
材料、複合材料、合成繊維、接着剤等の広範な用途に使
用されているポリエステル系樹脂の主原料、相溶化剤、
および表面改質剤として好適な、特定の異種ポリマーセ
グメントを分子内に有する液晶性ポリエステル系グラフ
トポリマーを提供することができる。
ラフトポリマーを相溶化剤として用いることにより、フ
ィブリル化して分散性のよい優れた液晶ポリマー組成物
が得られる。従って、本発明により、汎用の工業用成形
材料、複合材料、合成繊維、接着剤等の広範な用途に使
用されているポリエステル系樹脂の主原料、相溶化剤、
および表面改質剤として好適な、特定の異種ポリマーセ
グメントを分子内に有する液晶性ポリエステル系グラフ
トポリマーを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 茂 静岡県志太郡大井川町藤守390 (72)発明者 佐藤 守之 北海道室蘭市水元町27−1室蘭工業大学内 (72)発明者 小林 孝紀 北海道室蘭市水元町27−1室蘭工業大学内
Claims (2)
- 【請求項1】 下記構造単位化1から化4よりなり、該
構造単位化1から化4の合計100モルに対し、構造単
位化1が40〜80モル、構造単位化2が5〜30モ
ル、構造単位化3が10〜30モル、および構造単位化
4が5〜30モルからなることを特徴とする液晶性ポリ
エステル系グラフトポリマー。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 - 【請求項2】 サーモトロピック液晶ポリマー、ポリス
チレン系樹脂および請求項1に記載の液晶性ポリエステ
ル系グラフトポリマーを混合して得られることを特徴と
する複合材組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07521993A JP3238234B2 (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 液晶性ポリエステル系グラフトポリマーおよびそれを用いた複合材組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07521993A JP3238234B2 (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 液晶性ポリエステル系グラフトポリマーおよびそれを用いた複合材組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06256489A true JPH06256489A (ja) | 1994-09-13 |
JP3238234B2 JP3238234B2 (ja) | 2001-12-10 |
Family
ID=13569895
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07521993A Expired - Fee Related JP3238234B2 (ja) | 1993-03-09 | 1993-03-09 | 液晶性ポリエステル系グラフトポリマーおよびそれを用いた複合材組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3238234B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998015975A1 (fr) * | 1996-10-08 | 1998-04-16 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | Dispositif semi-conducteur, substrat de montage d'une puce de semi-conducteur, leurs procedes de fabrication, adhesif, et film a double couche d'adhesif |
JP2016191179A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 東レ株式会社 | 液晶ポリエステルマルチフィラメント |
-
1993
- 1993-03-09 JP JP07521993A patent/JP3238234B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998015975A1 (fr) * | 1996-10-08 | 1998-04-16 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | Dispositif semi-conducteur, substrat de montage d'une puce de semi-conducteur, leurs procedes de fabrication, adhesif, et film a double couche d'adhesif |
US6265782B1 (en) | 1996-10-08 | 2001-07-24 | Hitachi Chemical Co., Ltd. | Semiconductor device, semiconductor chip mounting substrate, methods of manufacturing the device and substrate, adhesive, and adhesive double coated film |
US6621170B2 (en) | 1996-10-08 | 2003-09-16 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | Semiconductor device, substrate for mounting semiconductor chip, processes for their production, adhesive, and double-sided adhesive film |
JP2016191179A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-10 | 東レ株式会社 | 液晶ポリエステルマルチフィラメント |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3238234B2 (ja) | 2001-12-10 |
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