JPH06254171A

JPH06254171A - 定位的放射線治療装置

Info

Publication number: JPH06254171A
Application number: JP4934593A
Authority: JP
Inventors: Takayuki Nagaoka; 孝行長岡; Takaaki Furubiki; 孝明古曵; Naoki Ueda; 尚樹上田
Original assignee: Hitachi Medical Corp
Current assignee: Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Priority date: 1993-03-10
Filing date: 1993-03-10
Publication date: 1994-09-13

Abstract

(57)【要約】【目的】定位的放射線治療装置において、病巣部位を
アイソセンタに一致させなくても、定位的治療を実現し
たい。【構成】病巣部位相当位置（ターゲット位置）に、微
小標的体１０を設置して、模擬治療を行う。これによっ
て治療台の角度αとガントリの角度θと可変コリメータ
９のアイソセンタからの変位量Δｘ、Δｙを求め、これ
をＲＡＭ１６に格納しておく。実際の治療時に、ターゲ
ット位置に病巣部位の位置決めをし、このＲＡＭのα、
θ、Δｘ、Δｙとを対応して読み出し、Δｘ、Δｙで可
変コリメータを位置修正する。かくして、α、θのすべ
ての角度でターゲット位置へのスポット状Ｘ線の定位照
射が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は放射線の細いビームを定
位的に一点に集中させて治療する定位的放射線治療に係
り、特に治療中に逐次的に治療位置を補正できる機構を
備えた定位的放射線治療装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】放射線治療技術の一つに定位的放射線治
療法（定位法）という放射線照射方法がある。定位法と
は病巣部に対し局所的に大線量を集中して照射するもの
であり、病巣部局所に対し、ごく細いＸ線ビームを集光
的に集中照射する方法である。この定位法は、悪性腫瘍
の非常に効果的であると共に、周辺の正常組織に対して
放射線の被曝が著しく低くなる等の効果がある。定位法
は、従来の放射線治療に比べ、病巣部に投与する線量が
非常に大きい。そのため、病巣部に的確に放射線が集中
する場合には、大きい治療効果が期待できるが、万一照
射位置が病巣部からずれていた場合には正常組織に与え
る損害は多大なものと成り、時として致命的なものとも
なりえる。従って、この定位法を行う定位的放射線治療
装置には、非常に高い精度で常に確実に病巣部の位置に
照射位置を一致させることが要求される。このような位
置決めの方法として、あらかじめ他の診断装置（ＣＴ，
ＭＲＩ，Ｘ線シュミレータ等）で病巣部位置を測定し、
その測定された病巣部位置を定位的放射線治療装置の治
療Ｘ線ビームの焦点、即ち、アイソセンタに一致させて
照射を開始するという方法がとられている。定位的放射
線治療装置として、ガンマユニットと呼ばれる多線源方
式放射線治療装置がある。これを図１５に示す。図１５
の治療装置は多数の照射孔を有する半球状コリメータ１
３と、このコリメータ１３の外部に配置されたコバルト
６０密封線源１４からなり、半球状に配置された多数の
コバルト６０線源からのガンマ線量が患者４の病巣部６
に集中的に加えられ治療を実現できるものである。

【０００３】しかし、線源として多数（２００個程度）
のコバルト６０を使用していて、且つコバルト６０は、
その線源の管理上の問題、更に装置価格が高いことか
ら、普及しにくい要因となっている。又、前者のガンマ
ユニットは頭部専用であり、呼吸により病巣部が動く胸
腹部には適さない。

【０００４】他の従来例として、電子線が加速器等を用
いた単線源方式の放射線治療装置（特公平２−５０３５
２１号）がある。これを図１６に示す。治療台５を規定
ピッチ角度に回転し、各角度毎に治療台５を停止させた
状態で、電子線加速器装置のガントリ１は、水平軸線を
中心に回転し、電子線はガントリ１に設けられた照射ヘ
ッド２に内蔵されるＸ線ターゲットでＸ線に変換され、
定位的放射線治療コリメータ１３によって細められてス
ポット状のＸ線８となり、病巣部６に照射される。この
ように、患者４の病巣部６を中心に、支持部３で支持さ
れたガントリ１を回転させ、且つ治療台５も回転させな
がらあらゆる方向から病巣部６に集中的に放射線８を照
射することができる。従って、病巣部６にはその積算線
量として大線量を与えることができ、且つ正常な組織に
対しては線量の分散効果により低線量にできるものであ
る。

【０００５】この従来例では、前記水平軸線とコリメー
タ１３より照射されるビームの中心との交点がアイソセ
ンタとなり、この位置に患者４の病巣部６を一致させ
る。そして、ガントリ１が水平軸線を中心に回転中も照
射されるビーム中心は常に前記交点を捕らえることがで
きるものでなければならない。しかし、この実現は容易
でないとの問題がある。そこで、本件出願人は照射ヘッ
ドに取り付けられたコリメータ１３を照射ヘッド２に対
して可動とし放射線の放出方向を可変とする特許出願を
行った（特願平４−２５７９９号等）。これによって前
記ガントリ１の回転と治療台５の回転を複合させて動作
させ、病巣部６に対してあらゆる方向より、放射線を照
射させることができるようになった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記単線源方式では、
アイソセンタと病巣部位とを必ず一致させることを必要
とする。可変コリメータを使った上記先願にあっても、
アイソセンタと病巣部とを一致させるやり方をとる。然
るに、ガントリの回転精度の点で、すべての回転軸上に
あってアイソセンタと病巣部位との完全一致をはかる可
変コリメータの制御は容易でない。

【０００７】本発明の目的は、アイソセンタと病巣部位
との一致をさせることなく定位治療を可能にする定位的
放射線治療装置を提供することにある。

【０００８】更に、本発明の目的は、アイソセンタと異
なる任意のターゲット位置への定位照射を可能にする定
位的放射線治療装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、高エネルギー
電子ビーム発生装置と、電子ビームをＸ線に変換する手
段を内蔵し且つ、アイソセンタを含む水平軸線を中心と
して回転可能に支持された治療用ガントリと、治療用ガ
ントリに支持された照射ヘッドと、照射ヘッドに取り付
けられ、Ｘ線を細く絞ったＸ線の照射方向を変えること
ができる可変コリメータと、患者を載せる治療台と、よ
り成る定位的放射線治療装置において、ガントリの回転
角度に対する、照射Ｘ線中心を任意のターゲット位置に
一致させるための、可変コリメータの変位量を求めて記
憶させておく記憶手段と、病巣部を上記ターゲット位置
に一致させた患者への治療時に、可変コリメータの変位
量をガントリ回転の角度毎に読み出して、Ｘ線照射方向
をターゲット位置に一致するようにこの変位量で可変コ
リメータを制御する制御手段と、より成る（請求項
１）。

【００１０】本発明は、高エネルギー電子ビーム発生装
置と、電子ビームをＸ線に変換する手段を内蔵し且つ、
アイソセンタを含む水平軸線を中心として回転可能に支
持された治療用ガントリと、治療用ガントリに支持され
た照射ヘッドと、照射ヘッドに取り付けられ、細く絞っ
たＸ線の照射方向を変えることができる可変コリメータ
と、患者を載せて規定ピッチ毎に回転可能な治療台と、
より成る定位的放射線治療装置において、治療に先立っ
て病巣部位のターゲット位置に設けた標的体の影によっ
て治療台の規定ピッチ毎のガントリの回転角度に対す
る、治療用照射Ｘ線中心をターゲット位置に一致させる
ための、可変コリメータの変位量を求めて記憶させてお
く模擬手段と、病巣部をターゲット位置に一致させた患
者への実際の治療時に、治療台の規定ピッチ毎に上記可
変コリメータの変位量をガントリの回転角度毎に読み出
して、Ｘ線照射方向をターゲット位置に一致するように
この変位量で可変コリメータを制御する制御手段と、よ
り成る（請求項２）。

【００１１】更に本発明は、上記模擬手段が、治療に先
立つ模擬のために病巣部位相当のターゲット位置に設け
た、Ｘ線減衰率の大きい微小標的体と、治療に先立つ、
模擬時に、治療台の規定ピッチ毎にガントリを回転させ
ながら、可変コリメータを介して照射されて得られる標
的体の投影Ｘ線像を画像として撮像する撮像手段と、こ
の画像から照射Ｘ線中心を上記ターゲット位置に一致さ
せるために必要な、治療台の規定ピッチ毎のガントリの
回転角度に対する可変コリメータの変位量を算出する処
理手段と、治療台の規定ピッチ毎にこのガントリの回転
角度に対する可変コリメータの変位量を記憶する記憶手
段と、より成る（請求項３）。

【００１２】更に本発明は、上記模擬手段が、治療に先
立つ模擬のために病巣部位相当のターゲット位置に設け
た、不透明な微小標的体と、治療に先立つ模擬時に、治
療台の規定ピッチ毎にガントリを回転させながら、可変
コリメータから可視光（又はレーザ光）を照射されて得
られる標的体からの影を画像として撮像する撮像手段
と、この画像から治療用照射Ｘ線中心を上記ターゲット
位置に一致させるために必要な、治療台の規定ピッチ毎
のガントリ回転の角度に対する可変コリメータの変位量
を算出する処理手段と、治療台の規定ピッチ毎にこのガ
ントリの回転角度に対する可変コリメータの変位量を記
憶する記憶手段と、より成る（請求項４）。

【００１３】更に本発明は、可視照射光の光源は、照射
ヘッド内に設けた（請求項５）。

【００１４】更に本発明は、上面又は下面に十字形のパ
ターンを設けた可変コリメータを介して照射光を照射す
るようにした（請求項６）。

【００１５】更に本発明は、模擬手段にあっては、病巣
部位が複数個所にある場合には、各病巣部位毎に、ガン
トリの回転角度に対する可変コリメータの変位量を求め
て記憶することとした（請求項８）。

【００１６】

【作用】本発明によれば、任意のターゲット位置にＸ線
を照射可能なように、ガントリの回転角度に対する可変
コリメータの変位量を記憶しておき、実際の治療時に
は、病巣部位をターゲット位置に一致させておき、可変
コリメータを、記憶した内容に従って変位制御すること
で、Ｘ線の照射をターゲット位置にある病巣部位に集中
させることができる（請求項１）。

【００１７】更に本発明によれば、模擬手段によって、
治療に先立って、任意のターゲット位置にＸ線を照射可
能なように、ガントリの回転角度に対する可変コリメー
タの変位量を求めて記憶しておき、実際の治療時には、
病巣部位をターゲット位置に一致させておき、可変コリ
メータを、記憶した内容に従って変位制御することで、
Ｘ線の照射をターゲット位置にある病巣部位に集中させ
ることができる（請求項２、３、４）。かくして、病巣
部位が患者によって種々変わっても、その患者毎、或は
病巣部位毎にターゲット位置が定まり、この定まったタ
ーゲット位置にＸ線を集中照射するように、治療前のそ
の都度模擬手段によってガントリの回転角度に対する可
変コリメータの変位量を求める。かくして種々の病巣部
位をアイソセンタに一致させることなく、治療が可能に
なる。

【００１８】更に本発明によれば、模擬手段にあって
は、Ｘ線や光又はレーザ光を投影用として用いる（請求
項３〜６）。

【００１９】更に本発明によれば、複数部位用の治療に
も利用できる（請求項８）。

【００２０】

【実施例】図１は、本発明の治療前に行う模擬治療のた
めの実施例を示す図である。図１において、治療台５の
上に微動台１１を載せてある。微動台１１は、その高さ
及び水平面での位置を変更可能な微小標的体１０を持っ
ている。微小標的体１０の径は、可変コリメータのコリ
メート孔の径よりも充分に小さい値である。更に、微小
標的体１０は、Ｘ線減衰率の大きな物質より構成する。
微小標的体１０は、患者の病巣部の中心位置に一致する
ような位置（ターゲット位置と云う）に位置決めする。
このターゲット位置は、アイソセンタではない任意の位
置である（勿論、アイソセンタに一致することもありう
るが、それは必然ではない）。

【００２１】一方、ガントリ１の投影Ｘ線照射位置にＸ
線画像撮像装置７を設置しておく。撮像装置７は、Ｘ線
を画像として撮像する機能を持つ。この撮像装置は、こ
の模擬治療のために設けた装置である。

【００２２】模擬治療にあっては、可変コリメータ９か
らのＸ線照射方向がアイソセンタに一致するように位置
決めした上で、固定しておく。この状態で、ガントリ１
を回転させながら、可変コリメータ９からスポット状Ｘ
線８を放射する。スポット状Ｘ線８は、ターゲット位置
にある標的体１０及びその周囲空間を通って撮像装置７
で撮像される。標的体１０はＸ線減衰率が大きいため撮
像画像は、標的体１０を影とした画像となる。かくし
て、画像は、ガントリ１の回転角度の規定ピッチ毎で、
且つＸ線８が照射される毎に得られる。

【００２３】図２は画像処理及び制御を行うための本発
明の実施例図である。そのために新しく設けたものが、
コンピュータ１５、ＲＡＭ１６、ＣＲＴモニタ１８、制
御部１７である。コンピュータ１５は、撮像装置７の各
撮像画像を画像データとして取り込み、治療台の規定ピ
ッチ角度毎のガントリの回転角度に対する可変コリメー
タ９の変位を算出する。ＲＡＭ１６は、算出した治療台
の規定ピッチ角度毎のガントリの回転角度に対する可変
コリメータの変位量を、治療台の角度αと回転角度θと
変位量Δｘ、Δｙとを対応させて格納するメモリであ
る。ＣＲＴモニタ１８は、各種の画像を表示するもので
あり、この画像としては上記各撮像画像の他に、ターゲ
ット位置設定のための画像等がある。

【００２４】ＲＡＭ１６の内容は、実際の患者の治療時
に使用する。この治療に際し、治療台５から微動台１１
を取りはずし、代わりに図３に示すようにそのターゲッ
ト位置に病巣部位の中心が位置するように位置決めした
患者４を載せる。位置決め終了後にスポット状Ｘ線８を
照射して治療を開始する。治療は、定位法に従って行
う。即ち、治療台５を垂直軸線を中心にして規定ピッチ
角度単位に回転させる。その各ピッチ角度毎に治療台５
を停止し、この停止中に、治療台５の周囲にガントリ１
を水平軸線を中心にして回転する（３６０°回転もあれ
ば、１８０°回転、またはそれ以外の各種の回転角があ
る）。このガントリ１の回転中に、可変コリメータ９を
ＲＡＭ１６の格納内容に従って角度制御する。この角度
制御は、ガントリ１の回転に追従して動的に行われる。
かくして、可変コリメータ９を介して照射されるスポッ
ト状Ｘ線は、ターゲット位置に位置設定した病巣部位の
中心に向かうことになり、集中治療を実現する。

【００２５】図４は、病巣部位を頭部とした場合のター
ゲット位置を示す図である。この図は、ＣＴ画像の例で
あり、この画像に併せて治療台５を画像として表示して
いる。頭部画像４の内部に病巣６が存在し、この病巣６
の中心位置をターゲット位置と指定する。そして、治療
台５の中央位置を基準原点とする直交座標ｕ−ｖを設定
し、この座標系からみたターゲット位置を求める。図で
は、ターゲット位置はも（Δｕ、Δｖ）とした。ターゲ
ット位置は、ＣＴ画像以外に、ＭＲＩ画像やＤＳＡ画像
等からも検出できる。このターゲット位置の設定は、図
２のモニタ１６で行ってもよいが、他のＣＲＴ上で行っ
てもよい。

【００２６】図５は、可変コリメータ９の原理を示す図
であり、可変コリメータ９は、Ｘ線源（照射ヘッド２内
の電子線／Ｘ線変換部のこと）を支点とする振り子運動
をする如くその姿勢が制御できるようになっている。但
し、振り子の如く自在に運動する意ではなく、振り子運
動の全範囲にわたってその姿勢を外部の制御部によって
設定可能との意である。そして、設定がなされると、そ
の時は、その設定された方向に固定される。但し、設定
は、ガントリの各回転角度毎にＲＡＭ１６の内容に従っ
てなされることは云うまでもない。

【００２７】図６は、可変コリメータ機構の具体例であ
り、可変コリメータ機構９０は、可変コリメータ９と、
コリメータハウジング９Ａと、球面軸受９Ｃと、ＸＹテ
ーブル９Ｂ、及びリング機構９、とより成る。ＸＹテー
ブル９Ｂで水平面の方向を決め、リング機構９ＤでＸ線
源を支点とするようにその姿勢の維持がなされる。尚、
この他に、可変コリメータの姿勢及び方向制御は種々あ
りうることは云うまでもない。本発明にとっては、その
機構が問題ではなく、定位法用コリメータ姿勢と方向と
が制御できればよいだけのためによる。

【００２８】図７は、ガントリの回転角度に対する可変
コリメータの変位量の算出例を示す図である。アイソセ
ンタ０を原点とするＸＹＺの座標系を設定しておき、ガ
ントリ１を実際に回転させ、その各回転角度θ毎にター
ゲット位置Ｔとアイソセンタ０との距離Δｘ、Δｙを求
める。座標（Δｘ、Δｙ）がターゲット位置Ｔとなる。
このΔｘ、Δｙの算出は以下のやり方をとる。模擬治療
によってターゲット位置にある標的体の投影像が撮像装
置に得られる。この投影像には、アイソセンタを併せて
表示しておき、コンピュータ１５がアイソセンタと標的
体画像の中心位置との距離Δｘ、Δｙを自動的に算出す
る。以上の操作を、予め定めた規定ピッチ角度毎のすべ
てのガントリ回転角度にわたって行う。

【００２９】図８は、模擬治療で求めたガントリ回転角
度に対する可変コリメータの変位量（Δｘ、Δｙ）の、
ＲＡＭ１６のデータテーブル例を示す。本図で横軸には
治療台角度α、縦軸にはガントリ角度θを示し、そのマ
トリック上のデータが（Δｘ、Δｙ）を示している。治
療台の角度αとは、治療台を規定ピッチ角度毎に回転
し、その都度停止させてガントリの回転を行わせる際の
治療台の規定ピッチ毎に定まる回転角である。

【００３０】以上のＲＡＭ１６上のデータの利用は、図
６のコリメータ機構の場合、ＸＹテーブル９Ｂ上のＸ方
向の変位としてΔｘを与え、Ｙ方向の変位としてΔｙを
与えれば、可変コリメータ９自身は（Δｘ、Δｙ）なる
ターゲット位置の方向に向けられ、ターゲット位置に存
在する病巣部位の中心に向けて集中的にＸ線を照射でき
る。

【００３１】図９は、病巣部が広い場合や病巣部が数多
くある場合のテーブル例である。即ち、４つのターゲッ
ト位置Ｐ₁〜Ｐ₄を与えて、それぞれテーブルを作成した
例を示す。

【００３２１】以上の実施例では、模擬治療にあって
は、Ｘ線を利用したが、一般の可視光やレーザ光を利用
することもできる。この実施例を図１０、図１１に示
す。図１０においてガントリ１及び照射ヘッド２内に
は、電子線３０を偏向させる偏向マグネット３１、電子
線／Ｘ線変換を行うＸ線源３２（Ｘ線ターゲットとも云
う。但し、前述のターゲット位置とは、異なることは云
うまでもない）、円錐コリメータ３３、平坦化コリメー
タ３４、線量モニタ３５、アッパーコリメータブロック
３６、ロウワーコリメータブロック３７、ミラー３８、
投光器３９が、それぞれ設けられている。

【００３３】以上の構成でミラー３８と投光器３９とが
模擬治療に使用するものであるが、その他の構成要素を
含めてすべて通常のガントリ及び照射ヘッドが標準的に
持っているものである。そして、ミラー３８と投光器３
９とは、定位法でない、通常の放射線治療時の照射野ま
た照射位置の確認を行うために設置されているものであ
る。これを模擬治療時に使い、ミラー３８を介して可変
コリメータ９に投光器３９からの可視光を通しスポット
化し、標的体に照射するようにした。この場合、標的体
は、図１の例と異なり、光を透過しない不透明な小物質
で構成しておく。そして、標的体を介して撮像装置７は
その影及びその周囲の通過光を受光する。以後の画像処
理はＸ線の実施例と変わりない。

【００３４】図１１は、コリメータ９のコリメート孔の
中心をはっきりと撮像させるための例である。ワイヤ式
の十字形パターン体９１又は透明板式の十字形パターン
体９２を用意しておき、模擬時に、このパターン体９１
又は９２を、可変コリメータ９の前又は後のいずれかの
端面に固定する。ここで、パターン体９１及び９２は、
不透明な十字形パターン体９１Ａ、９２Ａを持つ。９１
Ａは細い不透明なワイヤそのものであり、９２Ａは透明
板の中央に黒い線で描いた十字パターンである。十字パ
ターン９１Ａ、９２Ａは、可変コリメータ９に取り付け
た際には、その十字交点がコリメート孔９０Ａの中央位
置になるようにしてある。これによって、コリメート孔
９０を通って撮像装置で撮像された時には、十字形の交
点と微小標的体の影とが画像上に現れる。十字形の交点
がビームの中心であり、わざわざ計算することなく即座
にビームの中心位置がわかる。ビームの中心が即座にわ
かることにより、微小標的体の影とアイソセンタとの距
離Δｘ、Δｙの計算も容易となる。

【００３５】図１２は、Ｘ線用の画像撮像装置の実施例
図を示す。この撮像装置７は、内部に設置されたレンズ
７１とカメラ７０とより成るカメラ部と、金属板７３
と、蛍光板４と、ミラー７５と、全体を放射線遮幣する
遮幣筐体７２とより成る。蛍光板７４でＸ線を光りに変
換し、これをミラー７５で反射してレンズ７１を介して
カメラ７０で撮像する。

【００３６】図１３は、可視光用の画像撮像装置の実施
例図である。この撮像装置７は、図１２に比し、放射線
遮幣機能を持つ筐体７２に代わってその機能が不要な筐
体７７を設けたこと、金属板７３と蛍光体７４の代わり
にスクリーン７６を設けた点が異なる。Ｘ線に代わって
可視光としたことによる相異である。

【００３７】図１４は、投光器がない時や投光器に代わ
っての実施例である。図１４（ａ）は、可変コリメータ
９のコリメータ本体を示す図であり、このコリメータ９
の代わりに、図１４（ｂ）に示す模擬コリメータ１００
を設けるようにした点が特徴である。模擬コリメータ１
００は、コリメータ本体と同じ外形を有し、コリメータ
機構に取り付け可能な構成となっている。模擬コリメー
タ１００は、ハウジング１０１と内部に設けたレーザ装
置本体１０２とより成り、レーザ装置本体１０２が投光
器に代わってレーザ光を放出するようになっている。そ
して、模擬時に、可変コリメータ９を取りはずして代わ
りに模擬コリメータ１００を取り付ける。以後の模擬動
作はＸ線の場合と変わりない。

【００３８】尚、治療台５は、規定ピッチ角度の回転を
し、そのピッチ角度毎に停止してガントリの回転で定位
治療を行うものとした。しかし、治療台５を連続回転さ
せると共にガントリも連続回転させる定位治療の場合で
あっても、データ取得のためのサンプルピッチを設定す
ることで、ＲＡＭへのデータの収集は可能である。

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、病巣部をアイソセンタ
を一致させることなく、任意のターゲット位置に設定す
ることで、この病巣部への定位治療を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の模擬治療の実施例図である。

【図２】本発明の模擬治療のデータ収集及び可変コリメ
ータの変位制御との実施例図である。

【図３】本発明の模擬治療で収集したデータを用いて
の、実際の治療装置の実施例図である。

【図４】本発明のアイソセンタとターゲット位置との関
係を示す図である。

【図５】本発明の可変コリメータの原理を示す図であ
る。

【図６】本発明の可変コリメータの機構図である。

【図７】本発明のアイソセンタとターゲット位置との測
定例図である。

【図８】本発明の模擬治療で得たガントリ角度θと治療
台角度αと可変コリメータの変位量とのテーブル図であ
る。

【図９】本発明の模擬治療で得た病巣多点におけるガン
トリ角度θと治療台角度αと可変コリメータの変位量と
のテーブル図である。

【図１０】本発明の模擬治療を可視光で行う例を示す図
である。

【図１１】本発明の可視光での模擬治療のための実施例
図である。

【図１２】本発明の模擬治療で使用するＸ線撮像装置の
実施例図である。

【図１３】本発明の模擬治療で使用する可視光撮像装置
の実施例図である。

【図１４】本発明の可視光に代わるレーザ光による模擬
治療用のコリメータの実施例図である。

【図１５】従来の多線源式の治療装置を示す図である。

【図１６】従来の単線源式の治療装置を示す図である。

【符号の説明】

１ガントリ２照射ヘッド３ガントリ支持部４患者５治療台６病巣部位（ターゲット）７Ｘ線撮像装置８スポット状Ｘ線９可変コリメータ１０微小標的体１１微動台１５コンピュータ１６ＲＡＭ１７制御部１８モニタＣＲＴ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】高エネルギー電子ビーム発生装置と、電
子ビームをＸ線に変換する手段を内蔵し且つ、アイソセ
ンタを含む水平軸線を中心として回転可能に支持された
治療用ガントリと、治療用ガントリに支持された照射ヘ
ッドと、照射ヘッドに取り付けられ、細く絞ったＸ線の
照射方向を変えることができる可変コリメータと、患者
を載せる治療台と、より成る定位的放射線治療装置にお
いて、ガントリの回転角度に対する、照射Ｘ線中心を任意のタ
ーゲット位置に一致させるための、可変コリメータの変
位量を求めて記憶させておく記憶手段と、病巣部を上記ターゲット位置に一致させた患者への治療
時に、可変コリメータの変位量をガントリ回転の角度毎
に読み出して、Ｘ線照射方向をターゲット位置に一致す
るようにこの変位量で可変コリメータを制御する制御手
段と、より成る定位的放射線治療装置。
【請求項２】高エネルギー電子ビーム発生装置と、電
子ビームをＸ線に変換する手段を内蔵し且つ、アイソセ
ンタを含む水平軸線を中心として回転可能に支持された
治療用ガントリと、治療用ガントリに支持された照射ヘ
ッドと、照射ヘッドに取り付けられ、細く絞ったＸ線の
照射方向を変えることができる可変コリメータと、患者
を載せて規定ピッチ毎に回転可能な治療台と、より成る
定位的放射線治療装置において、治療に先立って病巣部位のターゲット位置に設けた標的
体の投影によって治療台の規定ピッチ毎のガントリの回
転角度に対する、治療用照射Ｘ線中心をターゲット位置
に一致させるための、可変コリメータの変位量を求めて
記憶させておく模擬手段と、病巣部をターゲット位置に一致させた患者への実際の治
療時に、治療台の規定ピッチ毎に上記可変コリメータの
変位量をガントリの回転角度毎に読み出して、Ｘ線照射
方向をターゲット位置に一致するようにこの変位量で可
変コリメータを制御する制御手段と、より成る定位的放
射線治療装置。
【請求項３】請求項２において、上記模擬手段は、治療に先立つ模擬のために病巣部位相当のターゲット位
置に設けた、Ｘ線減衰率の大きい微小標的体と、治療に先立つ模擬時に、治療台の規定ピッチ毎にガント
リを回転させながら、可変コリメータを介して照射され
て得られる標的体からの投影像を画像として撮像する撮
像手段と、この画像から照射Ｘ線中心を上記ターゲット位置に一致
させるために必要な、治療台の規定ピッチ毎のガントリ
の回転角度に対する可変コリメータの変位量を算出する
処理手段と、治療台の規定ピッチ毎にこのガントリの回転角度に対す
る可変コリメータの変位量を記憶する記憶手段と、より
成る定位的放射線治療装置。
【請求項４】請求項２において、上記模擬手段は、治療に先立つ模擬のために病巣部位相当のターゲット位
置に設けた、不透明な微小標的体と、治療に先立つ模擬時に、治療台の規定ピッチ毎にガント
リを回転させながら、可変コリメータ方向から可視光を
照射されて得られる標的体（又はレーザ光）の影を画像
として撮像する撮像手段と、この画像から治療用の照射Ｘ線中心を上記ターゲット位
置に一致させるために必要な、治療台の規定ピッチ毎の
ガントリ回転角度に対する可変コリメータの変位量を算
出する処理手段と、治療台の規定ピッチ角度毎にこのガントリの回転角度に
対する可変コリメータの変位量を記憶する記憶手段と、
より成る定位的放射線治療装置。
【請求項５】請求項４において、可視照射光の場合、
照射光の光源は、照射ヘッド内に設けてなる定位的放射
線治療装置。
【請求項６】請求項４又は５において、可視照射光の
場合、上面又は下面に十字形のパターンを設けた可変コ
リメータを介して照射光を照射するようにした定位的放
射線治療装置。
【請求項７】請求項４において、レーザ光の場合、可
変コリメータの代わりに内部にレーザ光源を持つレーザ
光用コリメータを設けて模擬治療を行うこととした定位
的放射線治療装置。
【請求項８】請求項２〜７のいずれか１つの請求項に
おいて、模擬手段にあっては、病巣部位が複数個所にあ
る場合には、各病巣部位毎に、ガントリの回転角度に対
する可変コリメータの変位量を求めて記憶することとし
た定位的放射線治療装置。