JPH0625210A - 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents

光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子

Info

Publication number
JPH0625210A
JPH0625210A JP10610591A JP10610591A JPH0625210A JP H0625210 A JPH0625210 A JP H0625210A JP 10610591 A JP10610591 A JP 10610591A JP 10610591 A JP10610591 A JP 10610591A JP H0625210 A JPH0625210 A JP H0625210A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
dihydro
optically active
formula
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10610591A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Masashi Osawa
政志 大沢
Kayoko Nakamura
佳代子 中村
Takeshi Kuriyama
毅 栗山
Tamejirou Hiyama
為次郎 檜山
Tetsuo Kusumoto
哲生 楠本
Kenichi Sato
健一 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Sagami Chemical Research Institute
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sagami Chemical Research Institute, Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Sagami Chemical Research Institute
Priority to JP10610591A priority Critical patent/JPH0625210A/ja
Publication of JPH0625210A publication Critical patent/JPH0625210A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(I)で表わされる光学活性な5,6
−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、その合成中間体、この
光学活性化合物を含有する強誘電性液晶組成物、それを
用いた液晶表示素子。 〔式中、R,RはC1〜18アルキル基を;Zは単
結合、−O−,−COO−,又は−OCOO−を;環A
は1乃至2個のF原子で置換されていてもよい1,4−
フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン
基を表わし、m=0,1;n=1,2でCは不整炭素
原子を表わす〕 【効果】 一般式(I)の化合物は、母体液晶中に少量
添加するだけで、大きい自発分極を誘起でき、広い温度
範囲で高速応答が可能な強誘電性液晶組成物を得られ
る。また、水、光等に対する化学的安定性に非常に優れ
ているので、表示用液晶光スイッチング素子の材料とし
て有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性5,6
−ジヒドロ−2−ピロン誘導体及びその誘導体を含有す
る液晶材料に関し、更に詳しくは、応答性、メモリー性
に優れた強誘電性液晶表示用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、その優れた特徴(低電
圧作動、低消費電力、薄型表示が可能、明るい場所でも
使用でき目が疲れない。)によって、現在広く用いられ
ている。しかしながら、そのうち最も一般的な表示方式
であるツイスティッド・ネマチック(TN型)において
は、CRT等の他の発光型表示方式と比較すると応答が
極めて遅く、かつ印加電場を切った場合の表示の記憶
(メモリー効果)が得られないため、高速応答の必要な
光シャッター、プリンターヘッド、あるいはさらに時分
割駆動の必要なテレビなど動画面への応用には多くの制
約があり、必ずしも適した表示方式とはいえなかった。
【0003】最近になって、強誘電性液晶を用いる表示
方式が報告され、これによると、TN型液晶の100〜
1000倍という高速応答とメモリー効果とが得られる
ため、次世代液晶表示素子として期待され、現在、盛ん
に研究開発が進められている。
【0004】強誘電性液晶の液晶相は、チルト系のキラ
ルスメクチック相に属するものであるが、そのうちキラ
ルスメクチックC(以下、SC*と省略する。)相が最
も低粘性であり最も望ましい。SC*相を示す液晶化合
物(以下、SC*化合物と省略する。)は既に数多く合
成され検討されているが、強誘電性液晶表示素子として
用いるための以下の条件、すなわち(イ)室温を含む広
い温度範囲でSC*相を示すこと、(ロ)良好な配向性
を得るためにSC*相の高温側に適当な相系列を有し、
かつその螺旋ピッチが大きいこと、(ハ)適当なチルト
角を有すること、(ニ)粘性が小さいこと、(ホ)自発
分極がある程度大きいこと、(ヘ)高速応答を示すこ
と、を単独で満足するような化合物は知られていない。
そのため、数種あるいはそれ以上の化合物を混合してS
*相を示す液晶組成物(以下、SC*液晶組成物と省略
する。)として用いる必要がある。
【0005】SC*液晶組成物の調製方法としては、ア
キラルな化合物から成り、スメクチックC(以下、SC
と省略する。)相を示す母体液晶に、光学活性化合物か
ら成るドーパントを、いわゆるキラルドーパントとして
添加する方法が、より低粘性の組成物を得ることがで
き、高速応答が可能となるので、最も一般的である。キ
ラルドーパントとして用いる化合物は、単独では必ずし
もSC*相を示す必要はなく、また液晶相すら示す必要
もないが、少量の添加で液晶組成物に充分な自発分極を
誘起することや、キラルドーパントとして誘起する螺旋
のピッチが充分大きいことなどの性質を示すことが必要
である。
【0006】キラルドーパントとして大きな自発分極を
誘起するためには、強い双極子モーメントを有する基が
化合物分子の中心骨格(コア)及び不斉炭素になるべく
近接し、固定されていることが必要であることは既に知
られている。このような考えに基づき本発明者らは、一
般式(VI)
【0007】
【化6】
【0008】(式中、Mesは液晶骨格を表わし、Rは
アルキル基を表わす。)で表わされる光学活性ラクトン
誘導体を合成し、この化合物が、少量の添加で液晶組成
物に充分大きな自発分極を誘起し、高速応答性のSC*
液晶組成物の調製が可能となることを見いだした。(第
16回液晶討論会予稿集44ページ、及び特開平2−2
86673号公報)
【0009】また、一般式(VII)
【0010】
【化7】
【0011】(式中、Mesは液晶骨格を表わし、Rは
アルキル基を表わす。)で表わされる光学活性バレロラ
クトン誘導体も合成されており、同様に大きい自発分極
を示すことが知られている(第16回液晶討論会予稿集
42ページ、及び特開平1−199959号公報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の一般式(VI)あるいは(VII)で表わされる化合物
は、ラクトン環のカルボニル基のα位が比較的活性な水
素原子を有する不斉炭素であり、そのため塩基等の作用
によりその絶対配置が異性化しやすく、ジアステレオマ
ー混合物になりやすいという問題点があった。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、キラル
ドーパントとして母体液晶に少量添加することにより、
液晶組成物に大きな自発分極を誘起し、高速応答が可能
で安定な光学活性化合物を提供し、また、そのような光
学活性化合物を含有する強誘電性液晶表示用材料を提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、一般式(I)
【0015】
【化8】
【0016】(式中、R1は炭素原子数1〜18のアル
キル基を表わすが、好ましくは炭素原子数2〜12のア
ルキル基を表わし、Zは単結合、−O−、−COO−、
又は−OCOO−を表わすが、好ましくは単結合、−O
−又は−COO−を表わし、環Aは1個又は2個のフッ
素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン
基、又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表わ
すが、好ましくは1,4−フェニレン基を表わし、mは
0又は1を表わし、nは1又は2を表わすが、好ましく
は1を表わし、R2は炭素原子数1〜18のアルキル基
を表わすが、好ましくは炭素原子数1〜10の直鎖状ア
ルキル基を表わし、C*は(R)又は(S)配置の不斉
炭素原子を表わす。)で表わされる光学活性5,6−ジ
ヒドロ−2−ピロン誘導体を提供する。
【0017】本発明は、また、これらの一般式(I)で
表わされる化合物の合成中間体として、一般式(II)
【0018】
【化9】
【0019】(式中、n、R2及びC*は一般式(I)に
おけるn、R2及びC*と同じである。)で表わされる光
学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体を提供す
る。
【0020】本発明は、また、一般式(I)で表わされ
る光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体を含有
する液晶組成物を提供するものである。
【0021】本発明の液晶組成物は、上記一般式(I)
で表わされる化合物の少なくとも1種を構成成分として
含有するものであり、特に強誘電性液晶材料としては、
主成分であるSC相を示す母体液晶中に、上記一般式
(I)で表わされる化合物の少なくとも1種を、キラル
ドーパントの一部又は全部として含有するSC*液晶組
成物が適している。また、本発明の一般式(I)で表わ
される化合物をネマチック液晶に少量添加することによ
り、TN型液晶として、いわゆるリバースドメインの防
止に、あるいはスーパー・ツイステッド・ネマチック
(STN)型液晶としての用途などに利用できる。
【0022】本発明に係わる一般式(I)で表わされる
化合物は、例えば、次の製造方法に従って製造すること
ができる。
【0023】一般式(I)においてmが1を表わす化合
物の場合;一般式(II)で表わされる光学活性化合物
と、一般式(VIII)
【0024】
【化10】
【0025】(式中、R1、Z、環Aは一般式(I)にお
けるR1、Z、環Aと同じである。)で表わされるカル
ボン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)
等の縮合剤存在下で反応させることにより容易に製造で
きる。あるいは一般式(VIII)で表わされるカルボン酸
を酸塩化物に導いた後、ピリジン等の塩基存在下、一般
式(II)で表わされる化合物と反応させることによって
も製造できる。
【0026】一般式(I)においてmが0を表わし、Z
が−COO−又は−OCOO−を表わす化合物の場合;
一般式(II)で表わされる化合物をピリジン等の塩基存
在下、一般式R1COClあるいはR1OCOCl(式
中、R1は一般式(I)におけるR1と同じである。)で
表わされる酸塩化物と反応させることによって得ること
ができる。
【0027】mが0を表わし、Zが単結合あるいは−O
−を表わす化合物の場合;後述する一般式(II)で表わ
される化合物の合成における出発原料である一般式(II
Ia)
【0028】
【化11】
【0029】(式中、R1、nは一般式(I)におけるR
1、nと同じであり、lは0又は1を表わし、R4はメチ
ル基等の低級アルキル基を表わす。)で表わされる化合
物を用い、同様にして得ることができる。
【0030】ここで、一般式(II)で表わされる光学活
性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体は新規の化合物
であり、以下のようにして製造することができる。
【0031】即ち、一般式(III)
【0032】
【化12】
【0033】(式中、R3及びR4はメチル基等の低級ア
ルキル基を表わし、nは1又は2を表わす。)で表わさ
れるフェニル酢酸エステル誘導体を、リチウムジイソプ
ロピルアミド(LDA)等の強塩基存在下、一般式(I
V)
【0034】
【化13】
【0035】(式中、R2及びC*は一般式(I)におけ
るR2及びC*と同じであり、TRSはトリアルキルシリ
ル基を表わす。)で表わされる光学活性アルデヒド誘導
体と反応させた後、エステルを加水分解してカルボン酸
とし、シリル基を脱離して水酸基とし、次いでp−トル
エンスルホン酸等の酸で閉環させることにより、一般式
(V)
【0036】
【化14】
【0037】(式中、R3、nは一般式(III)における
3、nと同じであり、R2は一般式(I)におけるR2
同じである。)で表わされる光学活性5,6−ジヒドロ
−2−ピロン誘導体を得ることができる。次に、これを
三臭化ホウ素等により脱アルキル化することにより、一
般式(II)で表わされる化合物を得ることができる。
【0038】また、一般式(VIII)で表わされる化合物
はほとんどが既に知られており、通常の合成化学的手法
により得ることができる。
【0039】また、一般式(IV)で表わされる光学活性
アルデヒド誘導体は、一般式(IX)
【0040】
【化15】
【0041】(式中、R2及びC*は一般式(I)におけ
るR2及びC*と同じである。)で表わされる光学活性オ
キシラン誘導体を、トリメチルシリルシアニドと反応さ
せて、光学活性な3−ヒドロキシアルカンニトリルと
し、次いで水酸基をシリル化し、さらに水素化ジイソブ
チルアルミニウム等の還元剤を用いて、ニトリルをアル
デヒドに還元することにより得ることができる。なお、
一般式(IX)の光学活性オキシラン誘導体は一部市販さ
れており、また、市販されていない誘導体も市販の光学
活性エピクロルヒドリンから容易に合成することができ
る。
【0042】上記のようにして、本発明の一般式(I)
で表わされる化合物を得ることができるが、これらに属
する個々の具体的な化合物は、融点などの相転移温度、
赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル
(NMR)、質量スペクトル(MS)等の手段により確
認することができる。
【0043】斯くして得られる一般式(I)で表わされ
る化合物の代表的なものの相転移温度を第1表に掲げ
る。
【0044】
【表1】
【0045】(表中、Crは結晶相を、SAはスメクチ
ックA相を、N*はキラルネマチック相を、SXは帰属
不明のスメクチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ
表わす。)
【0046】一般式(I)で表わされる化合物の優れた
特徴の1つとしては、液晶組成物の充分に大きい自発分
極を誘起できることをあげることができる。例えば、後
述の実施例2に示された化合物をわずかに5重量%と、
SC相を示す母体液晶95重量%から成るSC*液晶組
成物では、25℃における自発分極の値は1.9nC/
cm2であるが、これは液晶における不斉源として最も
普通に用いられる(S)−2−メチルブタノール由来の
SC*液晶化合物、例えば4−デシルオキシ安息香酸−
4−[(S)−2−メチルブトキシ]フェニルの自発分
極が、母体液晶に添加することなく、単独でも同程度で
あることと比較すると、非常に大きいことがわかる。こ
のため、非キラルの母体液晶に2〜3重量%程度以上添
加すれば、高速応答に充分な程度の自発分極を誘起する
ことが可能となる。
【0047】また、一般式(I)で表わされる化合物は
優れた液晶性を示し、例えば、第1表中のNo.3の化
合物のように2環式の化合物でも液晶性を示す。これは
従来の一般式(VI)あるいは(VII)で表わされる化合
物ではみられなかった優れた性質である。そのため、一
般式(I)で表わされる化合物をキラルドーパントとし
て添加することによって、得られる液晶組成物の液晶
相、特にSC*相の温度範囲を狭くすることはほとんど
なく、実用上、非常に好ましい。
【0048】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
をドーパントとして添加する母体液晶を構成し、SC相
を示す化合物(以下、SC化合物と省略する。)として
は、例えば、一般式(A)
【0049】
【化16】
【0050】(式中、Ra及びRbはアルキル基、アルコ
キシル基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキ
シ基又はアルコキシカルボニルオキシ基を表わし、同一
であっても異なっていてもよい。)で表わされるフェニ
ルベンゾエート系化合物や、一般式(B)
【0051】
【化17】
【0052】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
るRa及びRbと同じである。)で表わされるフェニルピ
リミジン系化合物をあげることができる。
【0053】また、一般式(A)、(B)を含めて一般
式(C)
【0054】
【化18】
【0055】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
るRa及びRbと同じであり、環L及び環Mはそれぞれ
1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、
ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジ
イル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−
3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイ
ル基あるいはこれらのハロゲン置換体を表わし、同一で
あっても異なっていてもよく、Zaは−COO−、−O
CO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、
−C≡C−又は単結合を表わす。)で表わされる化合物
も同様の目的に使用することができる。
【0056】また、液晶組成物のSC相の温度範囲を高
温域に拡大する目的には、一般式(D)
【0057】
【化19】
【0058】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
るRa及びRbと同じであり、環L、環M及び環Nは一般
式(C)における環L、環Mと同じであり、同一であっ
ても異なっていてもよく、Za及びZbはそれぞれ一般式
(C)におけるZaと同じであり、同一であっても異な
っていてもよい。)で表わされる3環式の化合物を用い
ることができる。
【0059】これらの化合物は、混合してSC液晶組成
物として用いるのが効果的であるが、液晶組成物として
SC相を示せばよいのであって、個々の化合物について
は必ずしもSC相を示す必要はない。
【0060】こうして得られたSC液晶組成物に、本発
明の一般式(I)で表わされる化合物、さらに必要であ
れば他の光学活性化合物をキラルドーパントとして加え
ることにより、室温を含む広い温度範囲でSC*相を示
す液晶組成物を容易に得ることができる。
【0061】また、本発明の一般式(I)で表わされる
化合物を、SC母体液晶に添加して得られたSC*液晶
組成物は、2枚の透明ガラス電極間に1〜20μm程度
の薄膜として封入することにより、表示用セルとして使
用できる。良好なコントラストを得るためには、均一に
配向したモノドメインとする必要がある。このため多く
の方法が試みられているが、良好な配向性を示すために
は、液晶材料が、高温側からI相−N*(キラルネマチ
ック)相−SA(スメクチックA)相−SC*相の相系
列を示し、N*相及びSC*相における螺旋ピッチを大き
くすることが必要であるといわれている。螺旋ピッチを
大きくするには、一般には互いに捩れの向きが逆のキラ
ル化合物を適量混合する方法が用いられているが、本発
明の一般式(I)で表わされる化合物は、高速応答のた
めに添加する必要量が少なく、また、誘起する螺旋のピ
ッチはかなり大きいので、螺旋ピッチの調整は容易であ
る。
【0062】
【実施例】以下、実施例をあげて、本発明を具体的に説
明するが、勿論本発明の主旨、及び適用範囲は、これら
の実施例により制限されるものではない。
【0063】なお、各化合物の構造はNMR、IR、M
S及び元素分析により確認した。また、相転移温度の測
定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査
熱量計(DSC)を併用して行った。IRにおける(K
Br)は錠剤成形による、(neat)は液膜による、
また、(Nujol)は流動パラフィン中の懸濁状態で
の測定を表わす。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表
わし、sは1重線、dは2重線、tは3重線、qは4重
線、quintetは5重線を、mは多重線を、また例
えばddは2重の2重線を表わす。Jはカップリング定
数を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表わ
し、()内の数値はそのピークの相対強度を表わす。温
度は℃(摂氏)を表わし、組成物中における「%」はす
べて「重量%」を表わす。
【0064】(実施例1) (6R)−3−(4−ヒド
ロキシフェニル)−6−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−
2−ピロン(一般式(II)で表わされる化合物)の合成
【0065】(実施例1−a) (R)−3−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシノナナールの合成
【0066】
【化20】
【0067】トリメチルシリルシアニド6.53ml
(49mmol)と1.2M塩化ジエチルアルミニウム
−ヘキサン溶液1.7mlの混合液に、(R)−1,2
−エポキシオクタン7.64mlを室温で3時間かけて
滴下した後、16時間攪拌した。反応終了後、反応液に
メタノール15mlと0.5M塩酸50mlを加えた
後、酢酸エチル20mlで3回抽出した。抽出液を飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液30mlで1回、次いで飽和
食塩水30mlで2回洗滌した後、硫酸マグネシウムで
乾燥し、これを濾過した。この濾液を減圧濃縮して、
(R)−3−ヒドロキシノナンニトリル粗製物7.8g
を得た。この粗製物7.8gのN,N−ジメチルホルム
アミド(DMF)溶液30mlに、t−ブチルジメチル
クロロシラン8.86g(59mmol)とイミダゾー
ル8.34g(123mmol)、更に4−(N,N−
ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)0.18gを加
えて室温で18時間攪拌した。反応終了後、反応液を5
%炭酸水素ナトリウム水溶液200mlに注ぎ、この反
応混合物を酢酸エチル50mlで3回抽出した。抽出液
を飽和食塩水100mlで2回洗滌した後、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、これを濾過した。この濾液を減圧濃縮
して、(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシノ
ナンニトリル粗製物13.4gを得た。この粗製物7.3
gのジクロロメタン40ml溶液に、0℃で水素化ジイ
ソブチルアルミニウム(DIBAL)1.0Mヘキサン
溶液27mlを滴下し、15分攪拌した。反応終了後、
反応液に0.5M塩酸100mlを加え、この混合液を
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlに注ぎ、ジク
ロロメタン50mlで3回抽出した。抽出液を硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、濾過した後、この濾液を減圧濃縮し
た。得られた残渣を減圧蒸留して、 (R)−3ーt−ブチルジメチルシリルオキシノナナー
ル3.0gを得た(収率40%)。
【0068】(R)−3ーt−ブチルジメチルシリルオ
キシノナナール b.p.;90〜96℃/0.13Torr
【0069】[α]D −1.57゜(c=1.27,C
HCl3,20℃)
【0070】IR(neat):2980,2950,
2890,1735(C=O),1260,1107,
841,780cm-1
【0071】1H NMR(CDCl3):δ0.03
(s,3H),0.06(s,3H),0.87(s,9
H),0.88(t,J=7Hz,3H),1.1〜1.
7(m,10H),2.48(dd,J=7.0and
3.0Hz,1H),4.16(quintet,J=
7.0Hz,1H),9.83(t,J=3.0Hz,1
H)
【0072】MS m/z:273(M++1,0.
8),231(32),75(100)
【0073】(実施例1−b) (5R)−5−t−ブ
チルジメチルシリルオキシ−3−ヒドロキシ−2−(4
−メトキシフェニル)ウンデカン酸メチルの合成
【0074】
【化21】
【0075】ジイソプロピルアミン1.40ml(10.
0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液に、
−78℃で1.6Mブチルリチウムヘキサン溶液6.3m
lを加え、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を
調製した。これに4−メトキシフェニル酢酸メチル1.
80g(10.0mmol)のTHF5ml溶液を滴下
し、次に(実施例1−a)で得られた(R)−3−t−
ブチルジメチルシリルオキシノナナール2.90g(1
0.7mmol)のTHF5ml溶液を滴下して、0℃
まで徐々に昇温しながら2時間攪拌した。反応終了後、
反応液を飽和食塩水200mlに注ぎ、反応生成物をエ
ーテル80mlで3回抽出した後、抽出液を硫酸マグネ
シウムで乾燥し、濾過した。この濾液を減圧濃縮し、得
られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、
ヘキサン/酢酸エチル=5/1)を用いて精製して、
(5R)−5−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3−
ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)ウンデカン
酸メチル3.64gを得た(収率80%)。
【0076】(5R)−5−t−ブチルジメチルシリル
オキシ−3−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニ
ル)ウンデカン酸メチル
【0077】無色油状物質 IR(KBr):3200〜3700,2970,29
50,2870,1740,1518,1252,10
40,838cm-1
【0078】1H NMR(CDCl3):δ0.87
(broad t,J=7.0Hz,3H),0.90
(s,9H),1.1〜1.7(m,10H),3.3〜
4.0(m,2 H),3.66(s,3H),3.77
(s,3H),4.1(m,1H),6.8(d,J=
9.0Hz,2H),7.3(d,J=9.0Hz,2
H)
【0079】MS m/z:453(M++1,3),
243(35),229(33),215(32),1
80(85),148(46),121(66),10
1(50),75(100)
【0080】元素分析:C25445Siとして 計算値:C,66.32%;H,9.79% 実測値:C,66.29%;H,9.78%
【0081】(実施例1−c) (6R)−6−ヘキシ
ル−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−ジヒドロ
−2−ピロンの合成
【0082】
【化22】
【0083】(実施例1−b)で得られた(5R)−5
−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3−ヒドロキシ−
2−(4−メトキシフェニル)ウンデカン酸メチル3.
22g(7.12mmol)のメタノール30ml溶液
に、2M水酸化カリウム水溶液20mlを加え、室温で
23時間攪拌した。反応終了後、反応液に1M塩酸40
mlを加え、反応生成物をクロロホルム30mlで3回
抽出した後、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過
した。この濾液を減圧濃縮して、(5R)−5−t−ブ
チルジメチルシリルオキシ−3−ヒドロキシ−2−(4
−メトキシフェニル)ウンデカン酸粗製物4.58gを
得た。この粗製物のTHF30ml溶液に、フッ化アン
モニウム水溶液(1.32g/10ml)と酢酸30m
lを加えて、50℃で30時間攪拌した。反応終了後、
反応液を飽和食塩水200mlに注ぎ、クロロホルム5
0mlで3回抽出した後、抽出液を硫酸マグネシウムで
乾燥し、濾過した。この濾液を減圧濃縮して、(5R)
−3,5−ジヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニ
ル)ウンデカン酸と、(6R)−6−ヘキシル−4−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ
−2−ピロンの混合物4.10gを得た。この混合物の
トルエン200ml溶液に、p−トルエンスルホン酸
0.60g(3.44mmol)を加え、3時間加熱還流
した。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液100mlで1回、次いで飽和食塩水100mlで
2回洗滌した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した
後、この濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムク
ロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン/酢酸エチル
=5/1〜2/1)を用いて精製して、白色結晶の(6
R)−6−ヘキシル−3−(4−メトキシフェニル)−
5,6−ジヒドロ−2−ピロン1.15g(収率58
%,91%ee)を得た。さらにこれをエタノールから
再結晶させて0.91g(収率46%,94%ee)を
得た。
【0084】(6R)−6−ヘキシル−3−(4−メト
キシフェニル)−5,6−ジヒドロ−2−ピロン
【0085】融点;102℃
【0086】[α]D −107.7゜(c=1.03,
CHCl3,20℃)
【0087】IR(KBr):2960,2940,2
870,1716,1610,1510,1290,1
247,1173,1125,830cm-1
【0088】1H NMR(CDCl3):δ0.89
(t,J=7.0Hz,3H),1.3〜1.6(m,8
H),1.68(ddt,J=13.5,10.2and
5.3Hz,1H),1.85(dddd,J=13.
5,10.1,7.2and5.1Hz,1H),2.4〜
2.5(m,2H),4.48(m,1H),6.87
(dd,J=4.9and4.3Hz,1H),6.89
(d,J=8.7Hz,2H),7.40(d,J=8.
7Hz,2H)
【0089】MS m/z:288(M+,62),1
74(100),146(92)
【0090】元素分析:C18243として 計算値:C,74.96%;H,8.38% 実測値:C,74.77%;H,8.62%
【0091】(実施例1−d) (6R)−3−(4−
ヒドロキシフェニル)−6−ヘキシル−5,6−ジヒド
ロ−2−ピロンの合成
【0092】
【化23】
【0093】(実施例1−c)で得られた(6R)−6
−ヘキシル−3−(4−メトキシフェニル)−5,6−
ジヒドロ−2−ピロン110mg(0.38mmol)
のジクロロメタン10ml溶液に、−50℃で三臭化ホ
ウ素1.0Mジクロロメタン溶液10mlを滴下し、0
℃まで昇温しながら5時間攪拌した。反応終了後、反応
液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlに注ぎ、反
応生成物をクロロホルム20mlで3回抽出した。抽出
液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、この濾
液を減圧濃縮した。得られた残渣を薄層クロマトグラフ
ィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)を用いて精製し
て、白色結晶の(6R)−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−6−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−2−ピロン8
8mg(収率84%,93%ee)を得た。
【0094】(6R)−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−6−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−2−ピロン
【0095】融点;89〜91℃
【0096】[α]D −99.2゜(c=1.08,C
HCl3,20℃)
【0097】IR(KBr):3380,2960,2
870,1720,1690,1615,1520,1
445,1380,1240,1190,1170,1
130,840cm-1
【0098】1H NMR(CDCl3):δ0.90
(t,J=7.0Hz,3H),1.3〜1.6(m,8
H),1.68(ddt,J=13.8,10.1and
5.3Hz,1H),1.85(dddd,J=13.
8,10.2,7.2and5.1Hz,1H),2.4〜
2.5(m,2H),4.4〜4.5(m,1H),6.8
1(d,J=8.7Hz,2H),6.86(dd,J=
4.8and4.4Hz,1H),7.35(d,J=8.
7Hz,2H)
【0099】MS m/z:274(M+,34),1
60(100),132(68)
【0100】元素分析:C17223として 計算値:C,74.42%;H,8.08% 実測値:C,74.21%;H,8.24%
【0101】(実施例2) (6R)−6−ヘキシル−
3−[4−(4−オクチルオキシベンゾイルオキシ)フ
ェニル]−5,6−ジヒドロ−2−ピロン(一般式
(I)で表わされる第1表中のNo.1の化合物)の合成
【0102】
【化24】
【0103】(実施例1−a)で得られた(6R)−3
−(4−ヒドロキシフェニル)−6−ヘキシル−5,6
−ジヒドロ−2−ピロン30mg及び4−オクチルオキ
シ安息香酸クロリド50mgをジクロロメタン15ml
に溶解し、この溶液にピリジン0.2mlを加え、溶媒
還流下で6時間攪拌した。放冷後エーテル50ml及び
希塩酸を加え、有機層を分離した後、この有機層を水で
洗滌した後、無水硫酸ナトリウムで脱水した。これを濾
過した後、さらに溶媒を留去し、得られた粗製物をカラ
ムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エ
チル=5/1)を用いて精製し、さらにこれをエタノー
ルから再結晶させて、白色結晶の(6R)−6−ヘキシ
ル−3−[4−(4−オクチルオキシベンゾイルオキ
シ)フェニル]−5,6−ジヒドロ−2−ピロン45m
gを得た。
【0104】(6R)−6−ヘキシル−3−[4−(4
−オクチルオキシベンゾイルオキシ)フェニル]−5,
6−ジヒドロ−2−ピロン
【0105】この化合物の融点は69℃で、相転移温度
は81.8℃まで帰属不明のスメクチック(SX)相
を、140.6℃までキラルネマチック(N*)相を示
し、それ以上の温度で等方性液体(I)相となった。
【0106】IR(Nujol):1725,171
0,1605,1580,1520,1265,121
0,1175,1130,1075,1000,94
5,880,850,770cm−1
【0107】H NMR(CDCl3):δ0.9
(m,6H),1.2〜1.6(m,8H),1.68
(m,1H),1.85(m,1H),2.5〜2.55
(m,2H),4.04(t,J=6.0Hz,2H),
4.5〜4.55(m,1H),6.96(m,1H),
6.97(d,J=8.8Hz,2H),7.21(d,
J=8.8Hz,2H),7.53(d,J=8.8H
z,2H),8.14(d,J=8.8Hz,2H)
【0108】(実施例3) (6R)−3−[4−(ト
ランス−4−ヘプチルシクロヘキサンカルボニルオキ
シ)フェニル]−6−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−2
−ピロン(一般式(I)で表わされる第1表中のNo.2
の化合物)の合成
【0109】
【化25】
【0110】実施例2において、4−オクチルオキシ安
息香酸クロリドに代えて、トランス−4−ヘプチルシク
ロヘキサンカルボン酸クロリドを用いた以外は、実施例
2と同様にして、(6R)−3−[4−(トランス−4
−ヘプチルシクロヘキシルカルボキシ)フェニル]−6
−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−2−ピロンを得た。こ
の化合物の相転移温度を第1表に示した。
【0111】(実施例4) (6R)−3−(4−オク
タノイルオキシフェニル)−6−ヘキシル−5,6−ジ
ヒドロ−2−ピロン(一般式(I)で表わされる第1表
中のNo.3の化合物)の合成。
【0112】
【化26】
【0113】実施例2において4−オクチルオキシ安息
香酸クロリドに代えて、オクタン酸クロリドを用いた以
外は、実施例2と同様にして、(6R)−3−(4−オ
クタノイルオキシフェニル)−6−ヘキシル−5,6−
ジヒドロ−2−ピロンを得た。この化合物の相転移温度
を第1表に示した。
【0114】(実施例4)SC*液晶組成物の調製
【0115】以下の組成から成るSC相を示す母体液晶
(H−1)を調製した。
【0116】
【化27】
【0117】この母体液晶(H−1)の融点は−3℃で
あり、43℃までSC相を、65℃までSA(スメクチ
ックA)相を、76.5℃までN(ネマチック)相を示
した。
【0118】この母体液晶(H−1)95%及び実施例
2で得られた第1表中のNo.1の化合物5%から成る
液晶組成物(M−1)を調製したところ、55.5℃ま
でSC*相を、56.5℃までSA相を、77℃までN*
相を示した。またその融点は不明瞭であった。
【0119】また、母体液晶(H−1)95%及び実施
例3で得られた第1表中のNo.2の化合物5%から成
る液晶組成物(M−2)を調製した。その相転移温度は
以下の通りであった。
【0120】49.5℃(SC*−SA)、60.5℃(S
A−N*)、71.5℃(N*−I)。
【0121】次に、以下の組成から成るSC相を示す母
体液晶(H−2)を調製した。
【0122】
【化28】
【0123】この母体液晶(H−2)の融点は12.5
℃であり、55.5℃までSC相を、64.5℃までSA
(スメクチックA)相を、70℃までN(ネマチック)
相を示した。
【0124】この母体液晶(H−2)90%及び実施例
2で得られた第1表中のNo.1の化合物10%から成
る液晶組成物(M−3)を調製した。その相転移温度は
以下の通りであった。
【0125】56℃(SC*−N*)、74℃(N*
I)。
【0126】また、母体液晶(H−2)90%及び実施
例3で得られた第1表中のNo.2の化合物10%から
成る液晶組成物(M−4)を調製した。その相転移温度
は以下の通りであった。
【0127】62℃(SC*−SA)、64℃(SA−
*)、73℃(N*−I)。
【0128】(実施例5)液晶表示素子の作成
【0129】実施例4で得たSC*液晶組成物(M−
1)を加熱して等方性液体とした。これを厚さ約2μm
のポリイミド−ラビングによる配向処理を施したガラス
セル内に充填し、室温まで徐冷を行い、配向したSC*
相のモノドメインの液晶表示素子を得た。このセルに電
界強度10Vp-p/μmの矩形波を印加して、その電気
光学応答速度を測定したところ、25℃で190μ秒と
いう高速応答性が確認できた。このときのチルト角は2
4.1゜であり、コントラストは良好であった。また、
自発分極は1.9nC/cm2であった。
【0130】同様にして、SC*液晶組成物(M−
2)、(M−3)及び(M−4)を用いて各液晶表示素
子を作成し、その電気光学応答を測定した。その結果を
以下に示す。
【0131】(M−2):応答速度195μ秒、自発分
極1.6nC/cm2、チルト角18.5゜、コントラス
ト良好。
【0132】(M−3):応答速度94μ秒、自発分極
5.9nC/cm2、チルト角35.0゜、コントラスト
良好。
【0133】(M−4):応答速度94μ秒、自発分極
4.4nC/cm2、チルト角29.2゜、コントラスト
良好。
【0134】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる光学
活性化合物は、いわゆるキラルドーパントとして、SC
母体液晶に添加することにより、大きい自発分極を誘起
することができ、広い温度範囲で高速応答が可能なSC
*液晶組成物を提供することができる。また、本発明の
一般式(I)で表わされる化合物は、工業的にも容易に
製造でき、無色で水、光等に対する化学的安定性に非常
に優れており実用的である。
【0135】さらに、本発明に係わるキラルスメクチッ
ク液晶組成物は、100μ秒以下の高速応答を実現する
ことも可能であり、表示用光スイッチング素子として極
めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗山 毅 千葉県佐倉市六崎1549−1−301 (72)発明者 檜山 為次郎 神奈川県相模原市上鶴間4−29−3−101 (72)発明者 楠本 哲生 神奈川県相模原市栄町3−16−104 (72)発明者 佐藤 健一 神奈川県相模原市上溝35−11

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基を表わ
    し、Zは単結合、−O−、−COO−、又は−OCOO
    −を表わし、環Aは1個又は2個のフッ素原子により置
    換されていてもよい1,4−フェニレン基、又はトラン
    ス−1,4−シクロヘキシレン基を表わし、mは0又は
    1を表わし、nは1又は2を表わし、R2は炭素原子数
    1〜18のアルキル基を表わし、C*は(R)又は
    (S)配置の不斉炭素原子を表わす。)で表わされる光
    学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体。
  2. 【請求項2】 m=1、n=1である請求項1記載の光
    学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体。
  3. 【請求項3】 環Aが1,4−フェニレン基であり、Z
    が−O−である請求項2記載の光学活性5,6−ジヒド
    ロ−2−ピロン誘導体。
  4. 【請求項4】 環Aがトランス−1,4−シクロヘキシ
    レン基であり、Zが単結合である請求項2記載の光学活
    性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体。
  5. 【請求項5】 m=0であり、Zが−COO−である請
    求項2記載の光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘
    導体。
  6. 【請求項6】 R1が炭素原子数2〜12のアルキル基
    である請求項3、又は4記載の光学活性5,6−ジヒド
    ロ−2−ピロン誘導体。
  7. 【請求項7】 R2が炭素原子数1〜10の直鎖状アル
    キル基である請求項6記載の光学活性5,6−ジヒドロ
    −2−ピロン誘導体。
  8. 【請求項8】 一般式(II) 【化2】 (式中、nは1又は2を表わし、R2は炭素原子数1〜
    18のアルキル基を表わし、C*は(R)又は(S)配
    置の不斉炭素原子を表わす。)で表わされる光学活性
    5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体。
  9. 【請求項9】 n=1である請求項8記載の光学活性
    5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の光学活性5,6−ジヒ
    ドロ−2−ピロン誘導体を含有する液晶組成物。
  11. 【請求項11】 強誘電性キラルスメクチック相を示す
    請求項10記載の液晶組成物。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11記載の液晶組成物
    を用いた液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 一般式(III) 【化3】 (式中、nは1又は2を表わし、R3及びR4は低級アル
    キル基を表わす。)で表わされるフェニル酢酸誘導体
    を、強塩基存在下に、一般式(IV) 【化4】 (式中、R2は炭素原子数1〜18のアルキル基を表わ
    し、TRSはトリアルキルシリル基を表わし、C*
    (R)又は(S)配置の不斉炭素原子を表わす。)で表
    わされる光学活性なアルデヒド誘導体と反応させ、次い
    でエステルを加水分解し、シリル基を脱離し、酸で環化
    させることにより一般式(V) 【化5】 (式中、R2は炭素原子数1〜18の直鎖状又は分岐状
    のアルキル基を表わし、nは1又は2を表わし、R3
    低級アルキル基を表わし、C*は(R)又は(S)配置
    の不斉炭素原子を表わす。)で表わされる光学活性化合
    物を得て、さらにこれを脱アルキル化することを特徴と
    する請求項8又は9記載の光学活性5,6−ジヒドロ−
    2−ピロン誘導体の製造方法。
JP10610591A 1991-05-10 1991-05-10 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子 Withdrawn JPH0625210A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10610591A JPH0625210A (ja) 1991-05-10 1991-05-10 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10610591A JPH0625210A (ja) 1991-05-10 1991-05-10 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0625210A true JPH0625210A (ja) 1994-02-01

Family

ID=14425219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10610591A Withdrawn JPH0625210A (ja) 1991-05-10 1991-05-10 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0625210A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04293907A (ja) * 1991-03-22 1992-10-19 Toyo Ink Mfg Co Ltd 水系感光性樹脂組成物
WO2001098288A1 (de) * 2000-06-19 2001-12-27 Bayer Cropscience Ag Phenylsubstituierte 5,6-dihydro-pyron-derivate als pestizide und herbizide
US6620887B2 (en) 2001-06-25 2003-09-16 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Crosslinked fine particles and curable resin composition
JP2004352721A (ja) * 2003-05-27 2004-12-16 Merck Patent Gmbh ピラン誘導体
JP2004352722A (ja) * 2003-05-27 2004-12-16 Merck Patent Gmbh 環外二重結合を含むピラン誘導体
JP2006008632A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Dainippon Ink & Chem Inc 6員環ラクトン骨格を有する液晶性化合物及び液晶組成物

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04293907A (ja) * 1991-03-22 1992-10-19 Toyo Ink Mfg Co Ltd 水系感光性樹脂組成物
WO2001098288A1 (de) * 2000-06-19 2001-12-27 Bayer Cropscience Ag Phenylsubstituierte 5,6-dihydro-pyron-derivate als pestizide und herbizide
JP2004501144A (ja) * 2000-06-19 2004-01-15 バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト 有害生物防除剤および除草剤として使用するためのフェニル−置換された5,6−ジヒドロピロン誘導体
KR100798733B1 (ko) * 2000-06-19 2008-01-29 바이엘 크롭사이언스 아게 페스티사이드 및 제초제로서 사용하기 위한 페닐-치환된5,6-디하이드로피론 유도체
JP4898070B2 (ja) * 2000-06-19 2012-03-14 バイエル・クロップサイエンス・アーゲー 有害生物防除剤および除草剤として使用するためのフェニル−置換された5,6−ジヒドロピロン誘導体
US6620887B2 (en) 2001-06-25 2003-09-16 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Crosslinked fine particles and curable resin composition
JP2004352721A (ja) * 2003-05-27 2004-12-16 Merck Patent Gmbh ピラン誘導体
JP2004352722A (ja) * 2003-05-27 2004-12-16 Merck Patent Gmbh 環外二重結合を含むピラン誘導体
US7888519B2 (en) 2003-05-27 2011-02-15 Merck Patent Gesellschaft Pyran compound or at least one derivative thereof
JP2006008632A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Dainippon Ink & Chem Inc 6員環ラクトン骨格を有する液晶性化合物及び液晶組成物
JP4735928B2 (ja) * 2004-06-29 2011-07-27 Dic株式会社 6員環ラクトン骨格を有する液晶性化合物及び液晶組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05132448A (ja) 光学活性フルオロシクロプロピル安息香酸誘導体、その合成用中間体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0625210A (ja) 光学活性5,6−ジヒドロ−2−ピロン誘導体、及びその製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子
JP2797114B2 (ja) 光学活性ラクトン誘導体,その中間体,液晶組成物及び液晶表示素子
JPH06100551A (ja) 光学活性な2,5置換テトラヒドロフラン誘導体、その製造方法、その誘導体を含む液晶組成物及び液晶表示素子
JPH05271213A (ja) 光学活性な2,5−ジ置換テトラヒドロフラン誘導体とそれを含有する液晶組成物及び液晶表示素子
JP2699109B2 (ja) 光学活性化合物、その中間体、液晶組成物及び液晶表示素子
JP2855346B2 (ja) 光学活性オキサゾリドン誘導体、その中間体、液晶材料及び液晶表示素子
JP3160964B2 (ja) 光学活性シアノシクロプロピル安息香酸エステル誘導体とその中間体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0578272A (ja) 光学活性ジフルオロシクロプロパン誘導体、それを含有する液晶組成物及び液晶表示素子
JP3252923B2 (ja) 光学活性テトラヒドロフラン環を有するフェニルピリミジン誘導体及び液晶組成物
JP3206682B2 (ja) 光学活性シアノシクロプロパン環を有するフェニルピリミジン誘導体及び液晶組成物
JP3047498B2 (ja) 光学活性テトラヒドロフラン誘導体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子
JP3194399B2 (ja) 光学活性ラクトン環を有するフェニルピリミジン誘導体及び液晶組成物
JP2819038B2 (ja) 光学活性化合物、その中間体、液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0665259A (ja) 含ケイ素光学活性テトラヒドロフラン誘導体、それを含有する液晶組成物及び液晶表示素子
JP3803759B2 (ja) 5−置換アルコキシル基を有する光学活性化合物及び液晶組成物
JPH05262698A (ja) 光学活性トリフルオロメチルシクロプロパン誘導体、その合成中間体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0782261A (ja) 光学活性なジヒドロベンゾフラノン誘導体及び液晶組成物
JPH0692952A (ja) 光学活性ラクトン誘導体とそれを含む液晶組成物および液晶表示素子
JP2797125B2 (ja) 光学活性化合物、液晶材料及び液晶表示素子
JP3564706B2 (ja) 光学活性な3−置換アルキル基を有する化合物
JPH02229141A (ja) 光学活性プロピオン酸エステル誘導体、その中間体、液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0558937A (ja) フツ素置換光学活性化合物とそれを含む液晶組成物及び液晶表示素子
JPH02289541A (ja) 光学活性化合物、その中間体、これらの製造法、液晶組成物及び液晶表示素子
JPH0344367A (ja) 光学活性なプロピオン酸チオエステル誘導体、その中間体、この中間体の製造方法、液晶組成物及び液晶表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19980806