JP3047498B2 - 光学活性テトラヒドロフラン誘導体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents

光学活性テトラヒドロフラン誘導体、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子

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JP3047498B2
JP3047498B2 JP3104500A JP10450091A JP3047498B2 JP 3047498 B2 JP3047498 B2 JP 3047498B2 JP 3104500 A JP3104500 A JP 3104500A JP 10450091 A JP10450091 A JP 10450091A JP 3047498 B2 JP3047498 B2 JP 3047498B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規の光学活性テトラ
ヒドロフラン誘導体、及びそれを含有する液晶材料に関
し、更に詳しくは、高速応答性、メモリー性に優れた強
誘電性液晶表示用材料に関するものである。
【従来の技術】液晶表示素子は、その優れた特徴(低電
圧作動、低消費電力、薄型表示が可能、明るい場所でも
使用でき目が疲れない。)によって、現在広く用いられ
ている。しかしながら、そのうち最も一般的な表示方式
であるツイスティッド・ネマチック(TN)型において
は、CRT等の他の発光型表示方式と比較すると応答が
極めて遅いうえに、印加電場を切った場合の表示の記憶
(メモリー効果)が得られないので、高速応答の必要な
光シャッター、プリンターヘッド、あるいはさらに時分
割駆動の必要なテレビなど動画面への応用には多くの制
約があり、必ずしも適した表示方式とはいえなかった。
【0002】最近になって、強誘電性液晶を用いる表示
方式が報告され、この方法によると、TN型液晶の10
0〜1000倍という高速応答とメモリー効果とが得ら
れるため、次世代液晶表示素子として期待され、現在盛
んに研究開発が進められている。
【0003】強誘電性液晶の液晶相は、チルト系のキラ
ルスメクチック相に属するものであるが、そのうちキラ
ルスメクチックC(以下、Sc*と省略する。)相が最も
低粘性であり最も望ましい。Sc*相を示す液晶化合物
(以下、Sc*化合物と省略する。)は既に数多く合成さ
れて検討されているが、強誘電性液晶表示素子として用
いるためには、以下の条件を満たすことが必要である。
すなわち、(イ)室温を含む広い温度範囲でSc*相を示
すこと、(ロ)良好な配向性を得るためにSc*相の高温
側に適当な相系列を有し、かつその螺旋ピッチが大きい
こと、(ハ)適当なチルト角を有すること、(ニ)粘性
が小さいこと、(ホ)自発分極がある程度大きいこと、
(ヘ)高速応答を示すこと、といった条件を満たす必要
があるが、これらの条件を単独で満足するような化合物
は知られていない。そのため、数種あるいはそれ以上の
化合物を混合してSc*相を示す液晶組成物(以下、Sc*
液晶組成物と省略する。)として用いる必要がある。
【0004】Sc*液晶組成物の調製方法としては、アキ
ラルな化合物から成り、スメクチックC(以下、Scと
省略する。)相を示す母体液晶に、光学活性化合物から
成るドーパントをキラルドーパントとして添加する方法
が一般的である。この方法によれば、より低粘性の組成
物を得ることができ、高速応答が可能となる。キラルド
ーパントとして用いる化合物は、単独では必ずしもSc*
相を示す必要はなく、液晶相すら示す必要もないが、少
量の添加で液晶組成物に充分な自発分極を誘起すること
や、キラルドーパントとして誘起する螺旋のピッチが充
分大きいことなどの性質を示すことが必要である。
【0005】キラルドーパントとして液晶組成物に大き
な自発分極を誘起せしめるためには、強い双極子モーメ
ントを有する基が化合物分子の中心骨格(コア)及び不
斉炭素になるべく近接し、固定されていることが必要で
あることは既に知られている。このような考えに基づき
本発明者らは、一般式(III)
【化3】 (式中、Mesは液晶骨格を表わし、Rはアルキル基を
表わす。)で表わされる光学活性ラクトン誘導体を合成
し、この化合物を少量添加するだけで液晶組成物に充分
大きな自発分極を誘起せしめ、高速応答性のSc*液晶組
成物を得ることができることを見いだした。(第16回
液晶討論会予稿集44ページ、及び特開平2−2866
73号公報に記載。)
【発明が解決しようとする課題】
【0006】しかしながら、上記一般式(III)で表
わされる化合物は、ラクトン環のカルボニル基が大きな
双極子モーメントを与えているものの、同時に化合物の
粘度を非常に大きくしているという問題点があった。そ
のため、母体液晶への添加により大きな自発分極を誘起
するものの、液晶組成物の粘度をも上昇させるので、高
速応答性を有する液晶組成物を得るという点では必ずし
も充分なものとはいえなかった。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、キラル
ドーパントとして母体液晶に少量添加することにより大
きな自発分極を誘起し、かつ高速応答が可能となるよう
な光学活性化合物と、その化合物の合成中間体を提供す
るとともに、前記光学活性化合物を含有し、自発分極が
大きくかつ高速応答が可能な強誘電性液晶表示用材料を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、一般式(I)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1は炭素原子数1〜18のアル
キル基を表わすが、好ましくは炭素原子数2〜12のア
ルキル基であり、Xは単結合、−O−、−S−、−CO
−、−COO−、−OCO−、−OCOO−を表わす
が、好ましくは−O−又は単結合であり、環A及び環B
はそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子により
置換されていてもよい1,4−フェニレン基、トランス
−1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジ
イル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−
2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基又は
1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表わすが、好
ましくは1個又は2個のフッ素原子に置換されていても
よい1、4−フェニレン基、又はトランス−1,4−シ
クロヘキシレン基であり、Yは−COO−、−OCO
−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、−C
≡C−又は単結合を表わし、mは0又は1を表わすが、
好ましくは0であり、nは1又は2を表わすが、好まし
くは1であり、Zは−COO−、又は−CH2O−を表
わすが、好ましくは−COO−であり、R2は炭素原子
数1〜18のアルキル基を表わすが、好ましくは炭素原
子数1〜10の直鎖状アルキル基であり、テトラヒドロ
フラン環の2位及び4位の不斉炭素原子は、各々独立的
に(R)又は(S)配置である。)で表わされる光学活
性テトラヒドロフラン誘導体を提供するものである。
【0011】本発明は、また、上記一般式(I)で表わ
される化合物の合成中間体として、一般式(II)
【0012】
【化5】
【0013】(式中、n及びR2は一般式(I)におけ
るn及びR2と同じ意味をもつ。)で表わされる光学活
性テトラヒドロフラン誘導体を提供するものである。
【0014】本発明は、また、一般式(I)で表わされ
る光学活性テトラヒドロフラン誘導体を用いた液晶組成
物を提供するものである。
【0015】本発明の液晶組成物は、上記一般式(I)
で表わされる化合物の少なくとも1種を構成成分として
含有するものであり、特に強誘電性液晶表示用材料とし
ては、主成分であるSc相を示す母体液晶中に上記一般
式(I)で表わされる化合物の少なくとも1種を、キラ
ルドーパントの一部又は全部として用いてなるSc*液晶
組成物が適している。また、本発明の一般式(I)で表
わされる化合物をネマチック液晶に少量添加することに
よって、TN型液晶のリバースドメインの防止に、さら
にはSTN型液晶としての用途などに利用できる。
【0016】本発明に係わる一般式(I)で表わされる
化合物は、例えば次の製造方法に従って製造することが
できる。
【0017】一般式(I)において、Zが−COO−を
表わす化合物の場合には、一般式(II)で表わされる
光学活性化合物、及び一般式(IV)
【0018】
【化6】
【0019】(式中、R1、X、環A、環B、Y、及び
mは一般式(I)における場合と同じ意味をもつ。)で
表わされるカルボン酸を、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)等の縮合剤存在下で反応させることによ
り容易に製造できる。
【0020】あるいは、一般式(IV)で表わされるカ
ルボン酸を塩化チオニル等の塩素化剤により酸塩化物と
した後に、ピリジン等の塩基存在下で一般式(II)で
表わされる化合物と反応させることによっても製造でき
る。
【0021】一般式(I)において、Zが−CH2O−
を表わす化合物の場合には、一般式(II)で表わされ
る化合物を塩基存在下で、一般式(V)
【0022】
【化7】
【0023】(式中、R1、X、環A、環B、Y、及び
mは一般式(I)における場合と同じ意味をもち、Wは
塩素、臭素、ヨウ素、p−トルエンスルホニルオキシ基
等の脱離基を表わす。)で表わされる化合物と反応させ
ることにより製造することができる。
【0024】ここで、一般式(II)で表わされる光学
活性テトラヒドロフラン誘導体は新規の化合物であり、
例えば下記のようにして製造することができる。 一般式(VI)
【0025】
【化8】
【0026】(式中、R3はメチル基等の低級アルキル
基を表わし、nは1又は2を表わし、R2は炭素原子数
1〜18のアルキル基を表わし、ラクトン環の2位及び
4位の不斉炭素原子は、各々独立的に(R)又は(S)
配置である。)で表わされる光学活性ラクトン誘導体
を、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤により還元
して、一般式(VII)
【0027】
【化9】
【0028】(式中、R3、R2及びnは一般式(VI)
における場合と同じ意味をもつ。)で表わされる光学活
性ジオールが得られる。
【0029】この一般式(VII)で表わされる化合物
を、p−トルエンスルホン酸等の酸で閉環させることに
より、一般式(VIII)
【0030】
【化10】
【0031】(式中、R3、n及びR2は一般式(VI)
におけると同じ意味をもつ。)で表わされる光学活性テ
トラヒドロフラン誘導体を得る。
【0032】次に、この一般式(VIII)で表わされ
る化合物を塩化アルミニウム−ジメチルスルフィド等で
脱アルキル化することにより、一般式(II)で表わさ
れる化合物を得ることができる。
【0033】ここで、一般式(VI)で表わされる化合
物は、特開平2−286673号公報に記載の方法によ
り製造することができる。また、一般式(IV)又は一
般式(V)で表わされる化合物はほとんどが既に知られ
ており、通常の合成化学的手法により得ることができ
る。
【0034】上記のようにして、本発明に係わる一般式
(I)で表わされる化合物を得ることができるが、これ
らに属する個々の具体的な化合物は、融点などの相転移
温度、元素分析、赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気
共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)等
の手段により確認することができる。
【0035】このようにして得られた一般式(I)で表
わされる化合物の代表的なものの例を第1表に掲げる。
【0036】
【表1】
【0037】(表中、Crは結晶相を、SAはスメクチ
ックA相を、SBはスメクチックB相を、Iは等方性液
体相をそれぞれ表わす。)
【0038】一般式(I)で表わされる化合物の優れた
特徴の1つとしては、液晶組成物に添加した際に充分に
大きい自発分極を誘起できることをあげることができ
る。例えば後述の実施例4において得られる第1表中の
No.1の化合物をわずか5重量%と、Sc相を示す母体
液晶95重量%から成るSc*液晶組成物の25℃におけ
る自発分極の値は1.96nC/cm2である。この自発
分極の値がいかに大きいかは、液晶における不斉源とし
て最も普通に用いられる(S)−2−メチルブタノール
由来のSc*液晶化合物、例えば4−デシルオキシ安息香
酸4−[(S)−2−メチルブトキシ]フェニルの自発
分極が、母体液晶に添加することなく、単独でも同程度
であることと比較すると明らかである。このため、非キ
ラルの母体液晶に2〜3重量%程度以上添加すれば、高
速応答に充分な程度の自発分極を母体液晶に誘起するこ
とが可能となる。
【0039】本発明に係わる一般式(I)で表わされる
化合物は、そのテトラヒドロフラン環の2位及び4位に
それぞれ不斉炭素が存在する。R2が直鎖状アルキル基
であって、その絶対配置が互いに等しいとき、例えば
(2S,4S)の場合には、テトラヒドロフラン環はシ
ス配置であり、キラルドーパントとして大きい自発分極
を誘起するのはこの場合である。一方、その絶対配置が
互いに異なるとき、例えば(2S,4R)の場合には、
テトラヒドロフラン環はトランス配置であり、この場合
には自発分極をほとんど誘起しないので、強誘電性液晶
用のキラルドーパントとしての用途には適さないが、ネ
マチック液晶の添加剤に用いることができる。
【0040】一般式(I)で表わされる化合物は、単独
ではSc*相はもとより液晶相さえも示さないものもある
が、母体液晶への添加量は少量であり、この添加によっ
てSc*相の温度範囲をあまり狭くすることはないので、
広い温度範囲でSc*相を示す強誘電性液晶組成物を容易
に得ることができる。
【0041】本発明に係わる一般式(I)で表わされる
化合物をドーパントとして添加すべき母体液晶に用いら
れるSc相を示す化合物(以下、Sc化合物と省略す
る。)としては、例えば、下記一般式(A)
【0042】
【化11】
【0043】(式中、Ra及びRbはアルキル基、アルコ
キシル基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキ
シ基又はアルコキシカルボニルオキシ基を表わし、これ
らは互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表
わされるフェニルベンゾエート系化合物や、一般式
(B)
【0044】
【化12】
【0045】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
る場合と同じ意味を表わす。)で表わされるフェニルピ
リミジン系化合物をあげることができる。
【0046】また一般式(A)、一般式(B)を含めて
一般式(C)
【0047】
【化13】
【0048】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
る場合と同じ意味を表わし、環L及び環Mはそれぞれ
1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、
ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジ
イル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−
3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイ
ル基あるいはこれらのハロゲン置換体を表わし、これら
は互いに同一であっても異なっていてもよく、Zaは−
COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−
CH2CH2−、−C≡C−又は単結合を表わす。)で表
わされる化合物も同様の目的に使用することができる。
【0049】また、液晶組成物のSc相の温度範囲を高
温域に拡大する目的には、一般式(D)
【0050】
【化14】
【0051】(式中、Ra及びRbは一般式(A)におけ
る場合と同じ意味を表わし、環L、環M及び環Nは前記
一般式(C)における環L、環Mと同じ意味を表わし、
互いに同一であっても異なっていてもよく、Za及びZb
はそれぞれ前記一般式(C)のZaと同じ意味を表わ
し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表
わされる3環式化合物を用いることができる。
【0052】これらの化合物は混合してSc液晶組成物
として用いるのが効果的であるが、組成物としてSc相
を示せばよいのであって、個々の化合物については必ず
しもSc相を示す必要はない。
【0053】こうして得られたSc液晶組成物に、本発
明に係わる一般式(I)で表わされる化合物と、さらに
必要であれば他の光学活性化合物とをキラルドーパント
として加えることにより、室温を含む広い温度範囲でS
c*相を示す液晶組成物を容易に得ることができる。
【0054】また、本発明に係わる一般式(I)で表わ
される化合物を、Sc母体液晶に添加して得られたSc*
液晶組成物は、2枚の透明ガラス電極間に1〜20μm
程度の薄膜として封入することにより、表示用セルとす
ることができる。良好なコントラストを得るためには、
均一に配向したモノドメインとする必要がある。このた
め多くの方法が試みられているが、良好な配向性を示す
ための液晶材料としては、高温側からI相−N*(キラ
ルネマチック)相−SA(スメクチックA)相−Sc*
の相系列を示し、N*相及びSc*相における螺旋ピッチ
が大きいという特性を有することが必要であるといわれ
ている。螺旋ピッチを大きくするには、一般には互いに
捩れの向きが逆のキラル化合物を適量混合する方法が用
いられているが、本発明の化合物では母体液晶に添加す
る必要量が少なく、また、誘起する螺旋のピッチはかな
り大きいので、螺旋ピッチの調整は容易である。
【0055】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、もちろん本発明の主旨及び適用範囲は、これら
の実施例により制限されるものではない。
【0056】各化合物の構造は元素分析、NMR、I
R、MS及び元素分析により確認した。相転移温度の測
定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査
熱量計(DSC)を併用して行った。IRにおける(K
Br)は錠剤成形による測定を、(neat)は液膜に
よる測定を、それぞれ表わす。NMRにおけるCDCl
3は溶媒を表わし、sは1重線、dは2重線、tは3重
線、qは4重線、mは多重線をそれぞれ表わす。また、
例えばddは2重の2重線を表わす。Jはカップリング
定数を表わす。MSにおけるM+は親ピークを表わし、
( )内の数値はそのピークの相対強度を表わす。組成
物中における「%」はすべて「重量%」を表わす。
【0057】(実施例1) (2S,4R)−2−ヘキ
シル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフ
ラン(一般式(II)の化合物)の合成
【0058】(1−a) (2R,4R)−2−(4−
メトキシフェニル)−1,4−デカンジオールの合成
【0059】
【化15】
【0060】(2R,4R)−2−(4−メトキシフェ
ニル)−4−デカノリド755mg(2.6ミリモル)
のエーテル5ml溶液に、0℃で水素化アルミニウムリ
チウム(LAH)300mgを加えて2時間攪拌した。
この反応混合液に3M塩酸5mlを加えて、反応生成物
を酢酸エチル80mlで3回抽出した後、抽出液を無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、これを瀘過して濃縮した。
この残渣をカラムクロトグラフィー(充填剤:シリカゲ
ル,展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)を用い
て分離精製し、(2R,4R)−2−(4−メトキシフ
ェニル)−1,4−デカンジオール705mg(収率9
6%)を得た。
【0061】無色針状晶
【0062】融点 52〜54℃
【0063】[α]D −24゜(c=1.07,CH
Cl3,20℃)
【0064】IR(KBr) 3360,2940,2
870,1515,1465,1250,1180,1
035,830cm-1
【0065】1H NMR(CDCl3) δ 0.86
(t,J=7.1Hz,3H),1.20−1.45
(m,10H),1.74−1.81(m,2H),
2.16(s,2H),3.01(q,J=6.9H
z,1H),3.46−3.52(m,1H),3.7
9(s,3H),6.86(d,J=8.6Hz,2
H),7.13(d,J=8.6Hz,2H)
【0066】MS m/z 280(M+,4.7),
148(15),135(100),121(17),
91(12)
【0067】元素分析:C17283として 計算値:C,72.82%;H,10.07% 実測値:C,72.89%;H,10.29%
【0068】(1−b) (2S,4R)−2−ヘキシ
ル−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン
の合成
【0069】
【化16】
【0070】実施例(1−a)で得られた化合物792
mg(2.8ミリモル)のトルエン40ml溶液に、p
−トルエンスルホン酸10mgを加えて2時間加熱攪拌
した。反応終了後、この反応液から溶媒を減圧留去し、
カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開
溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)を用いて分離
し、さらに分取用高速液体クロマトグラフィー(充填
剤:東ソー株式会社製、Silica−60,21.5
mmID×300mm、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチ
ル=30/1)を用いて分離精製して(2S,4R)−
2−ヘキシル−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒ
ドロフラン431mg(収率58%、光学純度99%e
e)を得た。
【0071】無色油状物質
【0072】[α]D −14゜(c=1.40,CH
Cl3,20℃)
【0073】IR(neat) 2950,2875,
1515,1470,1465,1250,1180,
1040,830cm-1
【0074】1H NMR(CDCl3) δ 0.89
(t,J=6.7Hz,3H),1.26−1.66
(m,9H),1.60−1.69(m,1H),1.
97(ddd,J=12.5,8.9and6.4H
z,1H),2.06(dt,J=12.5and7.
3Hz,1H),3.37(q,J=7.8Hz,1
H),3.65(t,J=8.2Hz,1H),4.1
1(q,J=6.6Hz,1H),4.20(dd,J
=8.5and7.2Hz,1H),6.85(d,J
=8.8Hz,2H),7.16(d,J=8.5 H
z,2H)
【0075】MS m/z 262(M+,44),2
32(15),177(100),149(13),1
47(93)
【0076】元素分析:C17262として 計算値:C,77.82%;H,9.99% 実測値:C,77.72%;H,10.02%
【0077】(1−c) (2S,4R)−2−ヘキシ
ル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフラ
ンの合成
【0078】
【化17】
【0079】塩化アルミニウム1.04g(7.8ミリ
モル)のジクロロメタン15ml溶液に、ジメチルスル
フィド2mlを加えた後、実施例(1−b)で得られた
化合物410mg(1.56ミリモル)のジクロロメタ
ン5ml溶液を0℃で加えて、1時間攪拌した。次い
で、この反応混合液に飽和炭酸ナトリウム水溶液を5m
l加え、セライト瀘過した後に、反応生成物をエーテル
100mlで3回抽出し、抽出液を濃縮した後、カラム
クロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:
ヘキサン/酢酸エチル=3/1)を用いて分離精製し、
(2S,4R)−2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシ
フェニル)テトラヒドロフラン266mg(収率64
%)を得た。
【0080】また(2S,4R)−2−ヘキシル−4−
(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン79mg
(19%)を回収した。
【0081】無色油状物質
【0082】[α]D −12゜(c=0.91,CH
Cl3,20℃)
【0083】IR(neat) 3330,2940,
2860,1615,1515,1450,1380,
1240,1115,830cm-1
【0084】1H NMR(CDCl3) δ 0.88
(t,J=7.1Hz,3H),1.24−1.69
(m,10H),1.97(ddd,J=12.3,
8.9and6.4Hz,1H),2.05(dt,J
=14.5and7.3Hz,1H),3.36(m,
1H),3.65(t,8.2Hz,1H),4.11
(m,1H),4.20(dd,J=8.5and7.
2Hz,1H),6.77(d,J=8.6Hz,2
H),7.11(d,J=8.4Hz,2H)
【0085】MS m/z 248(M+,24),1
64(11),163(100),145(13)
【0086】(実施例2) (2S,4S)−2−ヘキ
シル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフ
ラン(一般式(II)で表わされる化合物)の合成
【0087】(2−a) (2S,4R)−2−(4−
メトキシフェニル)−1,4−デカンジオールの合成
【0088】
【化18】
【0089】(2S,4R)−2−(4−メトキシフェ
ニル)−4−デカノリド696mg(2.4ミリモル)
を用いた以外は実施例(1−a)と同様にして、(2
S,4R)−2−(4−メトキシフェニル)−1,4−
デカンジオール608mg(収率90%)を得た。
【0090】無色粘稠油状物質
【0091】[α]D +13.0゜(c=0.97,
CHCl3,20℃)
【0092】IR(neat) 3350,2930,
2860,1610,1510,1460,1250,
1175,1030,830cm-1
【0093】1H NMR(CDCl3) δ 0.87
(t,J=6.7Hz,3H),1.21−1.56
(m,10H),1.73−1.81(m,3H),
1.88(ddd,J=11.8,7.1and4.7
Hz,1H),2.93−3.00(m,1H),3.
65−3.78(m,3H),3.79(s,3H),
6.87(d,J=8.7Hz,2H),7.16
(d,J=8.7Hz,2H)
【0094】MS m/z 280(M+,3),14
8(17),136(10),135(100),12
1(12)
【0095】(2−b) (2S,4S)−2−ヘキシ
ル−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロフラン
の合成
【0096】
【化19】
【0097】実施例(2−a)で得られた(2S,4
R)−2−(4−メトキシフェニル)−1,4−デカン
ジオール586mg(2.1ミリモル)を用いた以外は
実施例(1−b)と同様にして、(2S,4S)−2−
ヘキシル−4−(4−メトキシフェニル)テトラヒドロ
フラン350mg(収率60%)を得た。
【0098】無色油状物質
【0099】[α]D +18.5゜(c=1.17,
CHCl3,20℃)
【0100】IR(neat) 2940,2870,
1515,1250,1035,830cm-1
【0101】1H NMR(CDCl3) δ 0.89
(t,J=6.8Hz,3H),1.25−1.49
(m,8H),1.51−1.59(m,1H),1.
59(dt,J=12.2and10.1Hz,1
H),1.66−1.74(m,1H),2.40(d
dd,J=12.5,7.6and5.5Hz,1
H),3.40(dq,J=10.3and7.9H
z,1H),3.74(t,J=8.3Hz,1H),
3.79(s,3H),3.95−4.02(m,1
H),4.11(t,J=8.2Hz,1H),6.8
4(d,J=8.7Hz,2H),7.16(d,J=
8,7Hz,2H)
【0102】MS m/z 262(M+,52),2
32(19),178(12),177(100),1
59(11),149(16),148(18),14
7(96),134(43)
【0103】元素分析:C17262として 計算値:C,77.82%;H,9.99% 実測値:C,77.90%;H,10.19%
【0104】(2−c) (2S,4S)−2−ヘキシ
ル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロフラ
ンの合成
【0105】
【化20】
【0106】実施例(2−b)で得られた(2S,4
S)−2−ヘキシル−4−(4−メトキシフェニル)テ
トラヒドロフラン326mg(1.2ミリモル)を用い
た以外は実施例(1−c)と同様にして、(2S,4
S)−2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)
テトラヒドロフラン300mg(収率97%)を得た。
【0107】無色油状物質
【0108】[α] +17.0゜(c=1.41,
CHCl3,20℃)
【0109】IR(neat) 3300,2950,
2870,1520,1450,1385,1250,
1030,830cm-1
【0110】1H NMR(CDCl3) δ 0.88
(t,J=6.9Hz,3H),1.24−1.48
(m,8H),1.52−1.60(m,1H),1.
60(dt,J=12.2and10.1Hz,1
H),1.68−1.77(m,1H),2.40(d
dd,J=12.2,7.5and5.5Hz,1
H),3.39(dq,J=10.4and8.0H
z,1H),3.74(t,J=8.4Hz,1H),
4.20(dq,J=12.2and9.8Hz,1
H)4.12(t,J=8.2Hz,1H),6.77
(d,J=8.6Hz,2H),7.10(d,J=
8.4Hz,2H)
【0111】MS m/z 248(M+,37),2
18(10),164(11),163(100),1
45(11),135(12),134(14),13
3(73),120(47)
【0112】(実施例3) (2S,4R)−2−ヘキ
シル−4−[4−(4−オクチルオキシベンゾイルオキ
シ)フェニル]テトラヒドロフラン(一般式(I)で表
わされる第1表中のNo.4の化合物)の合成
【0113】
【化21】
【0114】実施例(1−c)で得られた(2S,4
R)−2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)
テトラヒドロフラン120mg(0.46ミリモル)、
4−オクチルオキシ安息香酸クロリド140mg(0.
55ミリモル)及びジクロロメタン3mlの混合液に、
トリエチルアミン3mlを加えて1.5時間加熱攪拌し
た。反応終了後、溶媒を留去し、得られた残渣をカラム
クロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:
ヘキサン/酢酸エチル=10/1)を用いて分離精製し
て(2S,4R)−2−ヘキシル−4−[4−(4−オ
クチルオキシベンゾイルオキシ)フェニル]テトラヒド
ロフラン221mg(収率99%)を得た。
【0115】無色針状晶
【0116】相転移温度 59.5℃(Cr→SB)、72℃(SB−SA)、95
℃(SA−I)。
【0117】[α]D −6.5゜(c=0.98,C
HCl3,20℃)
【0118】IR(KBr) 2940,2875,1
735,1610,1515,1255,1175,1
075,850,765cm-1
【0119】1H NMR(CDCl3) δ 0.89
(t,J=6.6Hz,3H),1.26−1.54
(m,20H),1.62−1.70(m,1H),
1.78−1.85(m,2H),2.01(ddd,
J=12.5,8.9and6.5Hz,1H),2.
11(dt,J=12.5and7.2Hz,1H),
3.41−3.48(m,1H),3.71(t,J=
8.2Hz,1H),4.04(t,J=6.6Hz,
2H),4.13(q,J=6.6Hz,1H),4.
23(dd,J=8.6and7,2Hz,1H),
6.96(d,J=9.0Hz,2H),7.13
(d,J=8.6Hz,2H),7.29(d,J=
8.5Hz,2H),8.13(d,J=9.0Hz,
2H)
【0120】MS m/z 480(M+,0.5),
234(17),233(100),121(43)
【0121】元素分析:C31444として 計算値:C,77.46%;H,9.23% 実測値:C,77.52%;H,9.39%
【0122】(実施例4) (2S,4S)−2−ヘキ
シル−4−[4−(4−オクチルオキシベンゾイルオキ
シ)フェニル]テトラヒドロフラン(一般式(I)で表
わされる第1表中のNo.1の化合物)の合成
【0123】
【化22】
【0124】実施例(2−c)で得られた(2S,4
S)−2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)
テトラヒドロフラン110mg(0.42ミリモル)を
用いた以外は実施例3と同様にして、(2S,4S)−
2−ヘキシル−4−[4−(4−オクチルオキシベンゾ
イルオキシ)フェニル]テトラヒドロフラン199mg
(収率99%)を得た。
【0125】無色針状晶
【0126】相転移温度 57.0℃(Cr→SB)、33.0℃(SB−SA)、6
3.5℃(SA−I)
【0127】[α]D +13.5゜(c=1.07,
CHCl3,20℃)
【0128】IR(KBr) 2940,2870,1
730,1610,1515,1280,1260,1
205,1175,830,760cm-1
【0129】1H NMR(CDCl3) δ 0.89
(t,J=6.4Hz,6H),1.26−1.77
(m,21H),1.63(dt,J=12.2and
9.9Hz,1H),1.78−1.86(m,2
H),2.45(ddd,J=12.2,7.7and
5.6Hz,1H),3.47(dq,J=10.0a
nd7.9Hz,1H),3.81(t,J=8.1H
z,1H)3.96−4.03(m,1H),4.04
(t,J=6.6Hz,2H),4.14(t,J=
8.2Hz,1H),6.96(d,J=9.0Hz,
2H),7.13(d,J=8.6Hz,2H),7.
29(d,J=8.6Hz,2H),8.12(d,J
=9.0Hz,2H)
【0130】MS m/z 480(M+,0.5),
234(17),121(49)
【0131】元素分析:C31444として 計算値:C,77.46%;H,9.23% 実測値:C,77.59%;H,9.45%
【0132】(実施例5) (2S,4S)−2−ヘキ
シル−4−[4−(4−オクチルベンゾイルオキシ)フ
ェニル]テトラヒドロフラン(一般式(I)で表わされ
る第1表中のNo.2の化合物)の合成
【0133】
【化23】
【0134】実施例4と同様にして、(2S,4S)−
2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラ
ヒドロフラン32mg(0.12ミリモル)より、(2
S,4S)−2−ヘキシル−4−[4−(4−オクチル
ベンゾイルオキシ)フェニル]テトラヒドロフラン71
mg(収率84%)を得た。
【0135】無色針状晶
【0136】融点 37.1℃
【0137】[α]D +13゜(c=1.10,CH
Cl3,20℃)
【0138】IR(KBr) 2930,2860,1
730,1610,1510,1270,1210,1
190,1070,1010cm-1
【0139】1H NMR(CDCl3) δ 0.88
(t,J=7.0Hz,3H),0.89(t,J=
7.0Hz,3H),1.23−1.76(m,21
H),2.45(ddd,J=12.3,7.6and
5.5Hz,1H),2.69(t,J=7.8Hz,
2H),3.43−3.52(m,1H),3.81
(t,8.1Hz,1H),3.96−4.03(m,
1H),4.14(t,J=8.2Hz,1H),7.
14(d,J=8.6Hz,2H),7.29(d,J
=8.4Hz,2H),7.31(d,J=8.3H
z,2H),8.01(d,J=8.4Hz,2H)
【0140】MS m/z 464(M+,1.4),
218(16),217(100)
【0141】(実施例6) (2S,4S)−4−[4
−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキサンカルボニル
オキシ)フェニル]−2−ヘキシルテトラヒドロフラン
(一般式(I)で表わされる第1表中のNo.3の化合
物)の合成
【0142】
【化24】
【0143】実施例4と同様にして、(2S,4S)−
2−ヘキシル−4−(4−ヒドロキシフェニル)テトラ
ヒドロフラン30mg(0.11ミリモル)より、(2
S,4S)−4−[4−(トランス−4−ヘプチルシク
ロヘキサンカルボニルオキシ)フェニル]−2−ヘキシ
ルテトラヒドロフラン50mg(収率36%)を得た。
【0144】無色針状晶
【0145】融点 76.5℃
【0146】[α]D +12.2゜(c=0.77,
CHCl3,20℃)
【0147】IR(KBr) 2940,2860,1
745,1510,1470,1450,1200,1
170,1130,845cm-1
【0148】1H NMR(CDCl3) δ 0.89
(t,J=6.7Hz,6H),0.91−1.03
(m,2H),1.19−1.75(m,26H),
1.83−1.90(m,2H),2.09−2.15
(m,2H),3.40−3.50(m,2H),3.
77(t,J=8.1Hz,1H),3.94−4.0
1(m,1H),4.11(t,J=8.2Hz,1
H),6.98(d,J=8.6Hz,2H),7.2
3(d,J=8.5Hz,2H) MS m/z 456(M+,8),249(16),
248(85),209(31),208(100),
181(41),163(49)133(23),12
5(31)
【0149】(実施例7) Sc*液晶組成物の調製 下記の組成から成るSc相を示す母体液晶(H−1)を
調製した。
【0150】
【化25】
【0151】この母体液晶(H−1)の相転移温度は以
下の通りであった。 12.5℃(Cr→Sc)、55.5℃(Sc−SA)、
64.5℃(SA−N)、70℃(N−I)。
【0152】この母体液晶(H−1)95%及び実施例
4で得られた第1表中のNo.1の化合物5%から成る
Sc*液晶組成物(M−1)を調製した。その相転移温度
は以下の通りであった。
【0153】51.5℃(Sc*−SA)、65℃(SA
*)、69℃(N*−I)。 融点は明瞭ではなかった。
【0154】同様にして、母体液晶(H−1)90%及
び第1表中のNo.1の化合物10%から成るSc*液晶
組成物(M−2)を調製した。その相転移温度は以下の
通りであった。
【0155】49℃(Sc*−SA)、64.5℃(SA
*)、68.5℃(N*−I)。
【0156】同様にして、母体液晶(H−1)80%及
び第1表中のNo.1の化合物20%から成るSc*液晶
組成物(M−3)を調製した。その相転移温度は以下の
通りであった。
【0157】45.5℃(Sc*−SA)、64℃(SA
*)、66.5(N*−I)。
【0158】同様にして、母体液晶(H−1)95%及
び実施例5で得られた第1表中のNo.2の化合物5%
から成るSc*液晶組成物(M−4)を調製した。その相
転移温度は以下の通りであった。
【0159】48℃(Sc*−SA)、63.5℃(SA
*)、68℃(N*−I)。
【0160】同様にして、母体液晶(H−1)90%及
び実施例5で得られた第1表中のNo.2の化合物10
%から成るSc*液晶組成物(M−5)を調製した。その
相転移温度は以下の通りであった。
【0161】55.5℃(Sc*−SA)、65℃(SA
*)、70℃(N*−I)。
【0162】同様にして、母体液晶(H−1)95%及
び実施例6で得られた第1表中のNo.3の化合物5%
から成るSc*液晶組成物(M−6)を調製した。その相
転移温度は以下の通りであった。
【0163】49.5℃(Sc*−SA)、65℃(SA
*)、69℃(N*−I)。
【0164】同様にして、母体液晶(H−1)90%及
び実施例6で得られた第1表中のNo.3の化合物10
%から成るSc*液晶組成物(M−7)を調製した。その
相転移温度は以下の通りであった。
【0165】53.5℃(Sc*−SA)、65℃(SA
*)、67.5℃(N*−I)。
【0166】同様にして、母体液晶(H−1)90%及
び実施例3で得られた第1表中のNo.4の化合物10
%から成るSc*液晶組成物(M−8)を調製した。その
相転移温度は以下の通りであった。
【0167】49℃(Sc*−SA)、66.5℃(SA
*)、71℃(N*−I)。
【0168】(実施例8)液晶表示素子の作成 実施例7で得られたSc*液晶組成物(M−1)を、等方
性液体(I)相まで加熱し、これを厚さ2μmの2枚の
透明電極板(それぞれポリイミドコーティング−ラビン
グによる配向処理を施してある。)からなるガラスセル
に充填して、液晶表示用素子を作成した。これを室温ま
で徐冷したところ、均一に配向したSc*相の液晶表示用
素子を得た。このセルに電界強度10Vp-p/μm、5
0Hzの矩形波を印加して、その電気光学的応答速度を
測定したところ、25℃で153μ秒という高速応答が
確認できた。このときのチルト角は18.6゜であり、
コントラストは良好であった。また、この自発分極は−
1.96nC/cm2であった。
【0169】同様にして、Sc*液晶組成物(M−2)〜
(M−8)を用いて液晶表示用素子を作成し、その特性
を測定した。この結果を以下に示した。
【0170】(M−2):応答88μ秒、チルト角1
9.2゜、自発分極−4.65nC/cm2、コントラ
スト良好
【0171】(M−3):応答59μ秒、チルト角1
5.0゜、自発分極−8.59nC/cm2
【0172】(M−4):応答134μ秒、チルト角2
0.5゜、自発分極−2.01nC/cm2、コントラ
スト良好
【0173】(M−5):応答82μ秒、チルト角1
9.5゜、自発分極−4.59nC/cm2、コントラ
スト良好
【0174】(M−6):応答120μ秒、チルト角2
0.0゜、自発分極−2.69nC/cm2
【0175】(M−7):応答62μ秒、チルト角1
5.4゜、自発分極−5.49nC/cm2、コントラ
スト良好
【0176】(M−8):応答1.9m秒、チルト角1
2.5゜、自発分極+0.01nC/cm2以下
【0177】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる光学
活性化合物は、いわゆるキラルドーパントとしてSc母
体液晶に添加することにより、大きい自発分極を誘起す
ることができ、広い温度範囲で高速応答が可能なSc*
液晶組成物を提供することができる。
【0178】また、本発明の一般式(I)で表わされる
化合物は、工業的にも容易に製造でき、無色で水、光、
特に酸、塩基等に対する化学的安定性に非常に優れてお
り実用的である。
【0179】さらに、本発明に係わるキラルスメクチッ
ク液晶組成物では100μ秒以下の高速応答を実現する
ことも可能であり、表示用光スイッチング素子として極
めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 19/42 C09K 19/42 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 G09F 9/35 303 G09F 9/35 303 (72)発明者 楠本 哲生 神奈川県相模原市栄町3−16−104 (72)発明者 中山 昭子 東京都町田市山崎町1380−K−702 (56)参考文献 特開 平2−286673(JP,A) 日本化学会誌,1992(12),p.1401 −1411 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 307/12 C07D 405/12 C07D 405/14 C07D 407/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜18のアルキル基を表わ
    し、Xは単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO
    −、−OCO−、又は−OCOO−を表わし、環A及び
    環Bはそれぞれ独立的に、1個又は2個のフッ素原子に
    より置換されていてもよい1,4−フェニレン基、トラ
    ンス−1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5
    −ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン
    −2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基又
    は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表わし、Y
    は−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH
    2−、−CH2CH2−、−C≡C−又は単結合を表わ
    し、mは0又は1を表わし、nは1又は2を表わし、Z
    は−COO−、又は−CH2O−を表わし、R2は炭素原
    子数1〜18のアルキル基を表わし、テトラヒドロフラ
    ン環の2位及び4位の不斉炭素原子は、各々独立的に
    (R)又は(S)配置である。)で表わされる光学活性
    テトラヒドロフラン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(II) 【化2】 (式中、nは1又は2を表わし、R 2 は炭素原子数1〜
    18のアルキル基を表わし、テトラヒドロフラン環の2
    位及び4位の不斉炭素原子は、各々独立的に(R)又は
    (S)配置である。)で表わされる、請求項1記載の光
    学活性テトラヒドロフラン誘導体の合成中間体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光学活性テトラヒドロフ
    ラン誘導体を含有する液晶組成物。
  4. 【請求項4】 強誘電性キラルスメクチック相を示す請
    求項3記載の液晶組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4記載の液晶組成物
    を用いた液晶表示素子。
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