JPH06247953A - 光学活性な3,3,3−トリフルオロプロペンオキシドの製造方法 - Google Patents

光学活性な3,3,3−トリフルオロプロペンオキシドの製造方法

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JPH06247953A
JPH06247953A JP5467193A JP5467193A JPH06247953A JP H06247953 A JPH06247953 A JP H06247953A JP 5467193 A JP5467193 A JP 5467193A JP 5467193 A JP5467193 A JP 5467193A JP H06247953 A JPH06247953 A JP H06247953A
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trifluoro
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Toshimasa Katagiri
利真 片桐
Ikuhiro Obara
郁博 小原
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオ
ールのうちトリフルオロメチル基の結合しているメチン
炭素上に不斉中心を持つ光学活性体の1級水酸基を選択
的にハロゲン化して光学活性な1-ハロゲノ-3,3,3-
トリフルオロ-2-プロパノールへ変換し、これを脱ハロ
ゲン化水素剤、特に好ましくは水酸化金属化合物を用い
て脱ハロゲン化水素することからなる光学活性な3,3,
3-トリフルオロプロペンオキシドの製造方法。 【効果】 高光学純度トリフルオロプロペンオキシドを
簡便かつ安価に製造でき、従来入手不可能であった高い
光学純度を持つトリフルオロプロペンオキシドを入手す
ることができるようになり、このトリフルオロプロペン
オキシドを原料とすることにより、従来よりも高い光学
純度をもつ生理活性物質などの有機化合物の製造が可能
になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬や農薬等の生理活
性物質、液晶や界面活性剤等の機能性有機化合物或いは
機能性高分子化合物の合成原料として有用なトリフルオ
ロプロペンオキシドの光学活性体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、機能性或いは生理活性を有する
既知化合物の水素をフッ素に置き換えた化合物は、その
フッ素原子の特異的な電子効果により、その機能や生理
活性が強化され、或いは新しい機能や生理活性を獲得す
ることが知られている。そのため既知化合物の原料中間
体の特定の水素原子等をフッ素と置換した構造を持つ含
フッ素ビルディングブロックが多数設計され合成されて
きている〔例えば、「90年代のフッ素系生理活性物
質」石川延男監修 CMC社刊(1991);「Fluorinein B
ioorganic Chemistry」J.T.Welch,S.Eswarakrishnan著,
John Wiley & Sons社刊 (1991)〕
【0003】3,3,3-トリフルオロプロペンオキシド
(以下、「トリフルオロプロペンオキシド」と省略する
こともある。)は、種々の有用な有機化合物の原料とし
て広く用いられているプロペンオキシドのメチル基をト
リフルオロメチル基に置き換えた構造を持つ化合物であ
り、プロペンオキシド同様の広い用途が期待できる。特
に、この化合物はトリフルオロメチル基が結合している
メチン炭素が不斉炭素であるため、その光学活性体はフ
ッ素原子と光学活性中心とを同時に導入するためのビル
ディングブロックとしての価値が高い。しかしながら、
合成化学的に不斉源として用いる場合、その光学純度は
少なくても95%ee以上であることが求められる。
【0004】光学活性なトリフルオロプロペンオキシド
の製造方法としては、トリフルオロプロペンの微生物酸
化による方法(特公昭61-14798号公報)が知ら
れ、また本発明者等は、再結晶によってトリフルオロプ
ロペンオキシドの光学純度を向上させる方法(特願平4
-187420号)を提案した。しかし、前者の方法で
得られるトリフルオロプロペンオキシドはその光学純度
は約75%eeであり、不斉源を導入するためのビルディ
ングブロックとしての要請を充分に満たすものでなかっ
た。また、後者の方法の光学純度の向上効率はあまり良
くなく、しかも収率がかなり低いものであり、実際に不
斉源として利用可能な高い光学純度を持つトリフルオロ
プロペンオキシドを生産する方法としては好ましいもの
ではなった。
【0005】また、優先晶出法により光学活性なトリフ
ルオロ乳酸を得、次にその水酸基をテトラヒドロピラニ
ル基を用いて保護した後、カルボキシル基を還元し、こ
れにより得られる水酸基を塩化p-トルエンスルホニルに
よりエステル化し、テトラヒドロピラニル=エーテル結
合を分解することにより水酸基を得、このようにしてで
きたスルホン酸エステルを塩基と作用させることによ
り、高い光学活性を有するトリフルオロプロペンオキシ
ドを得る方法が開示されている〔C. von dem Bussche-H
unnefeld, C. Cescato, D. Seebach、Chem. Ber.、12
5、2795、(1992)〕。しかし、この方法は反応工程が多
段であり煩雑であった。
【0006】一方、光学純度の低いトリフルオロプロペ
ンオキシドを加水分解して得られる3,3,3-トリフル
オロプロパン-1,2-ジオールが、再結晶等の比較的簡
便な光学分割方法により、高収率で、しかも光学純度9
9%ee以上の3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジ
オールにできることが明らかになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な現状に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、上記
のような高い光学純度を有する3,3,3-トリフルオロ
プロパン-1,2-ジオールから、その光学純度を維持し
たまま、生理活性物質や機能性有機化合物等の合成原料
として有用な高光学純度のトリフルオロプロペンオキシ
ドを簡便に製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明において最も重要
な点は、光学活性な3,3,3-トリフルオロプロパン-
1,2-ジオールを、ラセミ化を伴わずにその閉環反応を
行ない、光学活性な3,3,3-トリフルオロプロペンオ
キシドへ変換することにある。このためには、原料化合
物である3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオー
ルの2つの水酸基のうち1級水酸基のみを選択的に脱離
基化する必要がある。この場合、3,3,3-トリフルオ
ロプロパン-1,2-ジオールでは、一般によく用いられ
るスルホン酸エステルの形成を伴う水酸基の脱離基化法
では1級水酸基を選択的に見分けることができない。こ
れは、この3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオ
ールの2級水酸基がトリフルオロメチル基の強い電子吸
引効果によりスルホン酸エステルの形成による脱離基化
を起こしやすくなっていることによる。そのため、2級
水酸基が1級水酸基と同様に脱離基化してしまい、生成
物の3,3,3-トリフルオロプロペンオキシドがラセミ
化してしまうことがあり極めて不都合である(比較例1
参照)。ところが、この3,3,3-トリフルオロプロパ
ン-1,2-ジオールの2級の水酸基は、トリフルオロメ
チル基の強い電子吸引効果により脱離基化はしやすいが
脱離を起こし難く、ハロゲン化剤を用いて1級水酸基の
みを選択的にハロゲン化できることが明らかになった。
そしてこのハロゲンを脱離基とすることにより、この1
級−2級水酸基の反応選択性に由来するラセミ化を伴わ
ずに、光学活性な3,3,3-トリフルオロプロペンオキ
シドに変換できることを見出した。
【0009】本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオールの
うちトリフルオロメチル基の結合しているメチン炭素上
に不斉中心を持つ光学活性体の1級水酸基を選択的にハ
ロゲン化して光学活性な1-ハロゲノ-3,3,3-トリフ
ルオロ-2-プロパノールへ変換し、これを脱ハロゲン化
水素剤、特に好ましくは水酸化金属化合物を用いて脱ハ
ロゲン化水素することからなる光学活性な3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシドの製造方法である。
【0010】まず、3,3,3-トリフルオロプロパン-
1,2-ジオールの1級水酸基の選択的ハロゲン化工程に
ついてより具体的に説明する。
【0011】この3,3,3-トリフルオロプロパン-1,
2-ジオールの光学活性体は、種々の方法で得られたも
のを用いることができるが、トリフルオロプロペンを微
生物酸化することにより得られる光学活性3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシド(特公昭61-14798
号公報)を加水分解することにより簡便に得ることがで
きる。この方法で得られる3,3,3-トリフルオロプロ
パン-1,2-ジオールの光学純度は、上記原料の3,3,
3-トリフルオロプロペンオキシドの光学純度に依存す
る。この3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオー
ルは、n-アルカン-エーテル混合溶媒、例えばn-ヘキサ
ン-エチルエーテル(容量比10:1)の混合溶媒中で
再結晶する等の光学分割により光学純度を容易に、しか
も収率良く向上できる。本発明において、高光学純度の
3,3,3-トリフルオロプロペンオキシドを得るために
は、3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオールの
光学純度は高いものを用いることが好ましい。
【0012】この3,3,3-トリフルオロプロパン-1,
2-ジオールに対して、ハロゲン化剤を作用させるが、
このハロゲン化剤としては、2つの水酸基のうち1級の
水酸基のみを選択的にハロゲン化する、すなわち、位置
選択性が良くかつ残存する2級水酸基により反応が妨害
されないものを用いる。また、ハロゲン化反応の過程に
おいて原料及び生成物のラセミ化を起こし得ないハロゲ
ン化剤であることが求められる。このようなハロゲン化
剤としては、五塩化リン、塩化スルフリルを例示するこ
とができる。
【0013】このハロゲン化反応は反応溶媒下に行うこ
とが好ましく、この場合、反応溶媒としてはハロゲン化
剤と反応しないものであり、かつ適度の極性を有するも
のが好ましい。具体的には、ヘキサン、ベンゼンなどの
炭化水素類、エチルエーテル、ジブチルエーテル、ジグ
リムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムな
どのハロゲン化合物等を用いることができる。より好ま
しくは、生成した1-ハロゲノ-3,3,3-トリフルオロ-
2-プロパノ−ルと容易に分離できる高沸点のエーテル
類、例えばジグリム、ジブチルエーテルが好ましい。
【0014】ハロゲン化の温度、ハロゲン化剤の量等の
反応条件は、用いるハロゲン化剤により最適条件は異な
るが、好ましくは−78〜150℃の温度、特にハロゲ
ン化剤として塩化スルフリル又は五塩化リンを用いる場
合は室温〜100℃の温度範囲で行うことが好ましい。
また、3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオール
1モルに対して1〜10モルのハロゲン化剤量の範囲か
ら適宜選定すると良い。反応の終了は、ガスクロマトグ
ラフ、NMRなどの通常の分析手段により決定できる。
【0015】この1-ハロゲノ-3,3,3-トリフルオロ-
2-プロパノールは、例えば塩化物の場合は塩化プロピ
オニルを用いてその2級水酸基をプロピオニルエステル
化した後に、光学分割ガスクロマトグラフ法(CP Cyclo
dex β236Mカラム、GLサイエンス社製)を用いてその
光学純度を決定することができる。
【0016】このようにして得られた1-ハロゲノ-3,
3,3-トリフルオロ-2-プロパノールは、通常の蒸留法
により精製することができる。
【0017】つぎに、1-ハロゲノ-3,3,3-トリフル
オロ-2-プロパノールの脱ハロゲン化水素反応につい
て、より具体的に説明する。
【0018】脱ハロゲン化水素剤としては水酸化金属化
合物一般、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水素化ナトリウム、
ナトリウム=アルコキシド類等を用いることができる
が、特には水酸化ナトリウムが良い収率で生成物を与え
るので好ましい。この脱ハロゲン化水素剤は、1-ハロ
ゲノ-3,3,3-トリフルオロ-2-プロパノール1モルに
対し、1〜20モルの範囲で適宜選定して用いると良
い。
【0019】この脱ハロゲン化水素反応は反応溶媒下に
行うことが好ましく、この場合、反応溶媒として、エー
テル系溶媒、例えば、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、モノグリム、ジグリム等を用いることが好ましい。
とりわけジグリムは適度の溶媒極性と適度の沸点を有す
るため、特に好ましい。
【0020】また、この反応の温度は、0〜120℃の
範囲から適宜選定すると良い。
【0021】生成物であるトリフルオロプロペンオキシ
ドは、強いアルカリ性の反応条件下においては容易に開
環重合反応、あるいは求核付加反応を起こし高分子化合
物を生成する。従って、生成したトリフルオロプロペン
オキシドは、できるだけ速やかにこの反応系から分離す
ることが好ましく、反応系を減圧し、又は加温し、トリ
フルオロプロペンオキシドを気化、蒸留する方式をとる
と簡便で好ましい。この時、窒素気流などを用いて反応
系から気化したトリフルオロプロペンオキシドを積極的
に分離すれば、高い収率で生成物を得ることができる。
【0022】このようにして得られたトリフルオロプロ
ペンオキシドには若干量の溶媒などが含まれていること
があるが、これらの不純物は常圧において再度蒸留する
ことにより容易に除くことができる。
【0023】生成したトリフルオロプロペンオキシドの
光学純度は、この化合物を硫酸触媒存在下にアルコ−ル
と反応させることにより生成する1-アルキルオキシ-
3,3,3-トリフルオロ-2-プロパノールを光学分割ガ
スクロマトグラフ法などにより分析することにより決定
することができる。
【0024】以下に実施例を持って具体的な反応の方法
について述べる。
【0025】
【実施例】
(実施例1)光学純度98%ee以上の3,3,3-トリフ
ルオロプロパン-1,2-ジオール6.77g(52mmol)
を約15mlのジグリムに溶かした。容器を0℃に保つよ
うに冷却しながら、塩化スルフリル17.6g(130mmo
l)を滴下した。
【0026】滴下終了後、反応溶液を油浴を用いて、7
0℃に加熱し反応を進めた。加熱に伴い塩化水素、酸化
硫黄などのガスの発生が観測された。反応の終了は、こ
れらのガス体の発生が止まったことにより確認した。こ
の反応混液中の未反応の塩化スルフリルなどを水を用い
て分解した後に、エーテルを用いて抽出し、そのエーテ
ル相を炭酸水素ナトリウム水、食塩水を用いて洗浄し、
無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後にガスクロマト
グラフ分析に供したところ、1-クロロ-3,3,3-トリ
フルオロ-2-プロパノールであることが確認された。
【0027】このようにして得られた1-クロロ-3,3,
3-トリフルオロ-2-プロパノールを少量取り出し、そ
のエーテル溶液にプロピオン酸塩化物とピリジンとを過
剰量加え2級水酸基のプロピオニル化を行ない、得られ
た2-エチルカルボニルオキシ-1-クロロ-3,3,3-ト
リフルオロプロパンとした後に光学分割ガスクロマトグ
ラフ法によりその光学純度を測定したところ、得られた
化合物の光学純度は原料物質である3,3,3-トリフル
オロプロパン-1,2-ジオ−ルと同じく98%ee以上で
あることが確認された。このようにして合成した1-ク
ロロ-3,3,3-トリフルオロ-2-プロパノールのジグリ
ム溶液全量をつぎの反応に供した。
【0028】水酸化ナトリウム24gを擦りつぶし粉状
にしたものをジグリム60ml中に懸濁し、それを100
℃に加熱した。この溶液中に、上記の光学純度98%ee
以上の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-2-プロパノ
ールのジグリム溶液を、窒素気流中で、ゆっくりと滴下
し、生成した低沸点の化合物約0.6gを−78℃に冷却
したトラップ中に捕集した。
【0029】このようにして得られた低沸点の化合物は
ガスクロマトグラフ法により目的物である3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシドに少量のジグリムが混入し
たものであることが確認された。この反応の収率は最初
の3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオールから
2段階で約8%であった。
【0030】このようにして得られたトリフルオロプロ
ペンオキシドは硫酸触媒存在下にエチルアルコールと反
応させることにより、1-エトキシ-3,3,3-トリフル
オロ-2-プロパノールへと変換し、これをGLサイエン
ス社製、CP Cyclodex β236Mキャピラリーカラムを用い
たガスクロマトグラフ法により分析し、その光学純度を
決定した。この結果、光学純度は96.0%eeであっ
た。従ってラセミ化率は1%程度である。
【0031】(実施例2)光学純度99.5%ee以上の
3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオール30.
0g(230mmol)を約70mlのジグリムに溶かした。容
器を0℃に冷却しながら、塩化スルフリル80.0g(5
90mmol)を滴下し、実施例1と同様の反応、後処理を
行ない、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-2-プロパ
ノールをジグリム溶液の形で、おおよそ90%の収率で
得た。
【0032】このようにして得た1-クロロ-3,3,3-
トリフルオロ-2-プロパノールを少量取り出し、そのエ
ーテル溶液にプロピオン酸塩化物とピリジンとを過剰量
加え2級水酸基のプロピオニル化を行ない、2-エチル
カルボニルオキシ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプ
ロパンとした後に光学分割ガスクロマトグラフ法により
その光学純度を測定した。得られた化合物の光学純度は
原料物質である3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-
ジオールと同じく99.5%ee以上であることが確認され
た。このようにして合成した1-クロロ-3,3,3-トリ
フルオロ-2-プロパノールのジグリム溶液全量をつぎの
反応に供した。
【0033】水酸化ナトリウム120gを擦りつぶし粉
状にしたものをジグリム200ml中に懸濁し、それを1
00℃に加熱した。この溶液中に、先の光学純度99.
5%eeの1-クロロ-3,3,3-トリフルオロ-2-プロパノ
ールのジグリム溶液を窒素流通下で、ゆっくりと滴下
し、生成した低沸点の化合物約1.65gを−78℃に冷
却したトラップ中に捕集した。
【0034】このようにして得られた低沸点の化合物は
ガスクロマトグラフ法により目的物である3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシドに少量のジグリム(約0.0
6g)が混入したものであることが確認された。この反応
の収率は最初の3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-
ジオールから2段階で約6%であった。
【0035】このようにして得られたトリフルオロプロ
ペンオキシドは硫酸触媒存在下にエチルアルコ−ルと反
応させることにより、1-エトキシ-3,3,3-トリフル
オロ-2-プロパノールへと変換し、これをGLサイエン
ス社製、CP Cyclodex β 236Mキャピラリーカラムを用
いたガスクロマトグラフ法により分析し、その光学純度
を決定した。この化合物の光学純度は99.5%eeであっ
た。すなわちラセミ化は全く観測されなかった。
【0036】(比較例)光学純度75%eeの3,3,3-
トリフルオロプロパン-1,2-ジオ−ル10.4g(80mm
ol)と塩化p-トルエンスルホン酸16g(96mmol)をジグ
リム80ml中に溶かした。
【0037】水酸化ナトリウム24gを擦りつぶし粉状
にしたものをジグリム80ml中に懸濁し、それを70℃
に加熱した。この溶液中に、上記の3,3,3-トリフル
オロプロパン-1,2-ジオールを含む溶液を窒素気流中
で、ゆっくりと滴下し、生成した低沸点の化合物約2.
8gを−78℃に冷却したトラップ中に捕集した。
【0038】このようにして得られた低沸点の化合物は
ガスクロマトグラフ法により目的物である3,3,3-ト
リフルオロプロペンオキシドに少量のジグリムが混入し
たものであることが確認された。この反応の収率は3,
3,3-トリフルオロプロパン-1,2-ジオールから約3
0%であった。
【0039】このようにして得られたトリフルオロプロ
ペンオキシドは硫酸触媒存在下にエチルアルコールと反
応させることにより、1-エトキシ-3,3,3-トリフル
オロ-2-プロパノールへと変換し、これをGLサイエン
ス社製、CP Cyclodex β236Mキャピラリーカラムを用い
たガスクロマトグラフ法により分析し、その光学純度を
決定した。この結果、光学純度は60%eeにまで低下し
ていた。従ってラセミ化率は15%程度であった。
【0040】
【発明の効果】本発明は、高光学純度トリフルオロプロ
ペンオキシドを簡便かつ安価に製造でき、従来入手不可
能であった高い光学純度を持つトリフルオロプロペンオ
キシドを入手することができるようになり、このトリフ
ルオロプロペンオキシドを原料とすることにより、従来
よりも高い光学純度をもつ生理活性物質などの有機化合
物の製造が可能になった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3,3,3-トリフルオロプロパン-1,2-
    ジオールのうちトリフルオロメチル基の結合しているメ
    チン炭素上に不斉中心を持つ光学活性体の1級水酸基を
    選択的にハロゲン化して光学活性な1-ハロゲノ-3,3,
    3-トリフルオロ-2-プロパノールへ変換し、これを脱
    ハロゲン化水素剤を用いて脱ハロゲン化水素することを
    特徴とする光学活性な3,3,3-トリフルオロプロペン
    オキシドの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記脱ハロゲン化水素剤として水酸化金
    属化合物を用いることを特徴とする請求項1に記載の光
    学活性3,3,3-トリフルオロプロペンオキシドの製造
    方法。
JP5467193A 1993-02-22 1993-02-22 光学活性な3,3,3−トリフルオロプロペンオキシドの製造方法 Pending JPH06247953A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0866064A1 (de) * 1997-03-21 1998-09-23 Bayer Ag Verbessertes Verfahren zur Herstellung von Trifluormethyloxiran
JP2009524624A (ja) * 2006-01-25 2009-07-02 エウランド ファルマチェウティカルズ リミテッド 異なるクラスの治療活性剤用のキャリア分子としてのヒアルロン酸の使用
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