JPH06247784A - 回転式熱処理炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素含有量の多い処理物を得るとともに、悪
臭の発生を防止する。 【構成】 入口７と出口８を両端に設けて水平な軸線回
りに回転駆動される回転処理管６が、バーナ２を配設し
て内部を加熱室３とした炉体１を貫通して装置されてい
る。回転処理管６の両端付近には夫々遮蔽板１４が張設
されて、その間に加熱室３に囲まれた熱処理室１５が構
成されている。各遮蔽板１４の張設部分には螺旋管体１
７が貫通して内嵌されている。回転処理管６の外周には
ガス導出管１８が取り付けられ、また、炉体１に、煙道
２０に連通して煙突２２が突設されている。廃棄物ａが
実質的に遮蔽された熱処理室１５内ですなわち還元雰囲
気で加熱されることにより良好に炭化される。悪臭を伴
つたガスは加熱室３に導出して完全燃焼し、脱臭された
状態で外部に排出される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工場から排出されるス
ラツジ（パルプスラツジ、アルミニウムスラツジ、ヘド
ロ等）、下水道の汚泥、あるいは鶏糞等の有機物を含有
した廃棄物や、活性炭原料等の被処理物を還元雰囲気で
熱処理して、炭素を良好に含有した処理物を得るのに用
いる回転式熱処理炉に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例え
ば、有機物を含有した廃棄物を還元雰囲気で熱処理する
ことによつて得た、炭素を含有した処理物は、その炭素
が土壌を活性化させることから肥料として有用であるこ
とが知られている。

【０００３】従来、そのための処理炉として、単独炉も
連続炉も含めて各種のものが提案されているが、いずれ
も廃棄物が十分な還元雰囲気内で加熱される構造になつ
ていないために、廃棄物中の有機物のほとんどが燃焼し
て、炭素含有量がきわめて少ない処理物しか得られなか
つた。

【０００４】また、加熱に伴つて発生するガスをそのま
ま煙突から排出する構造であつたため、悪臭がひどくて
環境面で問題があり、その悪臭を脱臭しようとすると、
排出ガスを再度加熱処理する装置が必要であつて、設備
費やさらには燃費も高くつき、経費の負担が大きい欠点
があつた。

【０００５】なお、活性炭を製造するための処理炉でも
上記と同じような問題を抱えていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の回転式熱処理炉
は、叙上の点に鑑み完成されたものであつて、入口と出
口を両端に設けて略水平な軸線回りに回転駆動される回
転処理管を、バーナを配設して内部を加熱室とした炉体
を貫通して装置し、回転処理管の入口側と出口側に夫々
遮蔽板を張設してその各遮蔽板間に加熱室に囲まれた熱
処理室を形成するとともに、各遮蔽板の張設部分に螺旋
管体をその遮蔽板を貫通させて内嵌し、回転処理管の外
周に、熱処理室内のガスを加熱室に導出するガス導出管
を設け、炉体に、加熱室内のガスを外部に排出する煙突
を設けた構成とした。

【０００７】

【作用】回転処理管の入口に供給された被処理物は、回
転処理管の回転に伴つて入口側の遮蔽板に向かつて流
れ、そこに内嵌された螺旋管体の一端ですくわれつつそ
の螺旋管体内を通つて他端から熱処理室に流入し、さら
に熱処理室内を出口側の遮蔽板に向かつて流れて、同様
に螺旋管体内を通つて出口から取り出される。

【０００８】回転処理管の熱処理室の回りはバーナが焚
かれて高温となつた加熱室となつているから、被処理物
が熱処理室内を流通する間に徐々に加熱されるのである
が、熱処理室は両端が遮蔽板で遮られ、そこを貫通した
螺旋管体もその中に被処理物が入つて空気が流入しない
構造となつており、すなわち、還元雰囲気に保たれてい
るから、被処理物に含有された有機物は加熱に伴つて有
効に炭化され、炭素含有量の多い処理物として出口から
取り出される。

【０００９】上記の被処理物の加熱の際に有機物が熱分
解することによつて発生した悪臭を伴う可燃性ガスは、
ガス導出管から加熱室へと導出され、加熱室の空気（Ｏ
₂ を含んだ燃焼ガス）によつて完全燃焼したのち、脱臭
された状態で煙突から外部へ排出される。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を廃棄物の熱処理炉に適用した
一実施例を図１〜図３に基づいて説明する。

【００１１】図１、２において、符号１は炉体であつ
て、その内部がバーナ２を焚くことによつて高温雰囲気
とされる加熱室３となつている。

【００１２】炉体１の両側壁には一対の嵌装孔５が対応
して透設され、この両嵌装孔５に、両端を夫々入口７と
出口８とした回転処理管７が水平姿勢で貫通され、図示
しない駆動装置に連結されて軸線回りに回転駆動される
ようになつている。

【００１３】回転処理管６の入口７側には、フイーダ１
０に突設された廃棄物ａの供給管１１の先端が嵌入され
ているとともに、出口８側に散水用管１２が嵌入されて
いる。

【００１４】回転処理管６の両嵌装孔５に嵌まつた部分
と対応する内部には、夫々遮蔽板１４が張設され、両遮
蔽板１４の間に熱処理室１５が構成されている。

【００１５】この遮蔽板１４を張設した部分には、図３
に詳細に示すように、角パイプを略２巻き螺旋巻きして
なる螺旋管体１７が、夫々遮蔽板１４を内外に貫通して
嵌着されている。

【００１６】回転処理管６の熱処理室１５に対応する外
周には、熱処理室１５内のガスを加熱室３に導出するた
めのガス導出管１８が複数本取り付けられている。

【００１７】また、加熱室３の底面の一側には、チエツ
カ構造の煙道２０が構築され、その煙道２０にもバーナ
２１が設置されているとともに、煙道２０に連通して煙
突２２が突設されている。

【００１８】次に、本実施例の一般的な作用を説明す
る。廃棄物ａをフイーダ１０から回転処理管６の入口７
に供給すると、廃棄物ａは回転処理管６の回転に伴つて
入口７側の遮蔽板１４に向かつて流れ、そこに嵌着され
た螺旋管体１７の一端ですくわれつつその螺旋管体１７
内を通つて他端から熱処理室１５に流入し、さらに熱処
理室１５内を出口８側の遮蔽板１４に向かつて流れて、
同様に螺旋管体１７内を通つて出口８から取り出され
る。

【００１９】回転処理管６の熱処理室１５の回りの加熱
室３はバーナ２が焚かれて高温となつているから、廃棄
物ａが熱処理室１５内を流通する間に徐々に加熱される
のであるが、熱処理室１５は両端が遮蔽板１４で遮ら
れ、そこを貫通した螺旋管体１７もその中に廃棄物ａが
入つて空気が流入しない構造となつており、すなわち、
還元雰囲気に保たれているから、廃棄物ａに含有された
有機物は加熱に伴つて有効に炭化され、炭素含有量の多
い処理物として出口８から取り出される。

【００２０】廃棄物ａの加熱の際に有機物が熱分解する
ことによつて発生した悪臭を伴う可燃性ガスは、ガス導
出管１８から加熱室３へと導出され、加熱室３の空気
（Ｏ₂を含んだ燃焼ガス）によつて完全燃焼して、煙道
２０を通つて脱臭された状態で煙突２２から外部へ排出
される。

【００２１】続いて、個々の廃棄物による具体的な使用
例を説明する。 （１）下水道の汚泥の場合 水分を約２５％含んだペレツト状の下水道の汚泥を回転
処理管６に投入して熱処理を行つた。加熱室３の温度は
９００℃とし、熱処理室１５での滞留時間は２８分とし
た。

【００２２】熱処理された、すなわち炭化された汚泥
は、出口８側に流出した際に、それ自体が高温であるた
めに空気に触れて炭素が燃焼するので、散水用管１２か
ら水を噴霧して冷却し、炭素の燃焼を防いだ。

【００２３】熱処理に伴つて発生したガスは、加熱用の
バーナ２から空気を多量に供給することによつて９００
℃の加熱室３内で完全に燃焼させ、煙道２０に設けたバ
ーナ２１は点火しなかつた。

【００２４】その結果、熱処理に伴う悪臭はなく、炭素
の含有量の多い有用な肥料が得られた。

【００２５】このように、熱処理室１５から流出した処
理物が出口８で空気に触れて燃焼するおそれがある場合
は、出口８に散水装置を設けて冷却するのが望ましい。

【００２６】（２）鶏糞の場合 水分を約４０％含んだ鶏糞を回転処理管６に投入して熱
処理を行つた。加熱室３の温度は６００℃とし、熱処理
室１５での滞留時間は２０分とした。

【００２７】炭化された鶏糞は、出口８側に流出した際
に、それ自体が高温ではないから空気に触れて炭素が燃
焼するのは少なく、水を噴霧しての冷却はほとんど不要
であつた。

【００２８】なお、発生したガスは、加熱室３の温度が
６００℃で完全には燃焼しないから、煙道２０に設けた
バーナ２１を点火して完全燃焼を図つた。

【００２９】それにより、同じく熱処理に伴う悪臭はな
く、炭素の含有量の多い有用な肥料が得られた。

【００３０】このように、加熱室３の温度が比較的低く
て発生したガスが十分に燃焼しない場合は、煙道２０に
設けたバーナ２１でさらに加熱するのが望ましい。

【００３１】なお、熱処理室１５内でのガスの発生量が
少ない場合は、ガス導出管１８より熱処理室１５内に逆
に空気が侵入して還元雰囲気が維持できないことになる
から、ガスの発生量に対応してガス導出管１８の口径の
大きさや数を決定すれば良いが、処理する廃棄物ａの種
類や状態が頻繁に変わる場合は、投入する前に廃棄物ａ
に加水することによつて熱処理に伴うガスの発生量を調
節することが可能である。

【００３２】図４は、本発明を活性炭の製造用の熱処理
炉に適用した他の実施例を示す。本実施例では、回転処
理管６ａの内部の、入口７側と出口８側に設けた両遮蔽
板１４の中間位置に、同様の螺旋管体１７を貫通させた
遮蔽板１４がさらに張られ、熱処理室が実質的に前後に
仕切られて、入口側に最大温度６００〜６５０℃の炭化
ゾーン１５ａが、出口側に最大温度８００℃の賦活ゾー
ン１５ｂが夫々構成されるようになつており、賦活ゾー
ン１５ｂ内には、出口側の遮蔽板１４を貫通して、賦活
ガスを噴出する噴出管２４が嵌入されている。

【００３３】賦活ガスとしては、高温の水蒸気や炭酸ガ
スが効果的であり、高温の水蒸気を得るために、煙道２
０内に水を噴霧して得られたところの高温の水蒸気を多
量に含む燃焼排ガスの一部を利用するようにしても良
い。

【００３４】すなわち、回転処理管６ａに活性炭原料ｂ
を供給すると、炭化ゾーン１５ａにおいて十分に炭化さ
れ、続いて賦活ガスの打ち込まれた賦活ゾーン１５ｂを
流通することによつて、良質の活性炭が製造される。

【００３５】炭化ゾーン１５ａや賦活ゾーン１５ｂで発
生した悪臭を伴う可燃性ガスが加熱室３で完全燃焼して
脱臭された状態で排出されることは、上記実施例と同様
である。

【００３６】

【発明の効果】以上具体的に説明したように、本発明に
よれば、有機物を含有した廃棄物や活性炭原料等の被処
理物を実質的に遮蔽された室内で、すなわち十分な還元
雰囲気の中で加熱することができるから、炭素の含有量
の多い有用な処理物を得ることができる。

【００３７】また、被処理物の加熱によつて発生する悪
臭を伴うガスは、炉体内の加熱室で完全燃焼して脱臭さ
れた状態で外部に排出されるから、外部に悪臭を放つこ
となく環境面で好都合であり、しかも、そのガスの燃焼
には被処理物の加熱用の燃焼エネルギをそのまま利用し
ているから、燃費も余分にかからなくて経済的に実施し
得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の縦断面図である。

【図２】図１のＡＡ線断面図である。

【図３】螺旋管体の嵌着部分の拡大図である。

【図４】本発明の他の実施例の縦断面図である。

【符号の説明】

１：炉体 ２：（加熱用）バーナ ３：加熱室 ６、６
ａ：回転処理管 ７：入口 ８：出口 １４：遮蔽板
１５：熱処理室 １５ａ：炭化ゾーン １５ｂ：賦活ゾ
ーン １７：螺旋管体 １８：ガス導出管 ２２：煙突

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入口と出口を両端に設けて略水平な軸線
   回りに回転駆動される回転処理管を、バーナを配設して
   内部を加熱室とした炉体を貫通して装置し、前記回転処
   理管の入口側と出口側に夫々遮蔽板を張設して該各遮蔽
   板間に前記加熱室に囲まれた熱処理室を形成するととも
   に、前記各遮蔽板の張設部分に螺旋管体を該遮蔽板を貫
   通させて内嵌し、前記回転処理管の外周に、前記熱処理
   室内のガスを前記加熱室に導出するガス導出管を設け、
   前記炉体に、前記加熱室内のガスを外部に排出する煙突
   を設けたことを特徴とする回転式熱処理炉。