JPH06247658A - 油圧エレベーターの制御方法および装置 - Google Patents

油圧エレベーターの制御方法および装置

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JPH06247658A
JPH06247658A JP5038808A JP3880893A JPH06247658A JP H06247658 A JPH06247658 A JP H06247658A JP 5038808 A JP5038808 A JP 5038808A JP 3880893 A JP3880893 A JP 3880893A JP H06247658 A JPH06247658 A JP H06247658A
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JP
Japan
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car
pulse
hydraulic elevator
oil
operating state
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JP5038808A
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Kuniko Nakamura
久仁子 中村
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、電力供給異常時の位置パルス計数値
と実際のかご位置とのずれを減少し、かご位置把握の精
度を向上できることを最も主要な目的とする。 【構成】本発明は、圧油を油圧ジャッキに送排油して運
転を行なう油圧エレベーターの制御方法および装置にお
いて、電力供給異常が発生した場合に、電力供給異常が
発生してから異常が回復するまでの間の経過時間を測定
し、この経過時間と電力供給異常発生前の油圧エレベー
ターの運転状態とから、油の収縮によるかご位置の沈下
量を算出し、このかご位置沈下量を補正値として、かご
の移動に応じて出力される位置パルス信号の計数値を補
正することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧油を油圧ジャッキに
送排油して運転を行なう油圧エレベーターの制御方法お
よび装置に係り、特に電力供給異常時の位置パルス計数
値と実際のかご位置とのずれを減少して、かご位置把握
の精度を向上できるようにした油圧エレベーターの制御
方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、油圧エレベーターは、駆動機構
に油の圧力を利用していることから、エレベーターの機
械室の設置場所が建物の上部にする必要がないという大
きな特徴がある。このため、最近のマンション等におけ
る日照権の問題を回避できるので、8階以下程度の中規
模の建物に多く採用されている。
【0003】図6は、この種の油圧エレベーターの全体
構成例を示す概要図である。
【0004】図6において、油圧エレベーターの駆動機
構は、機械室1内に設置された油タンク2と、ポンプ3
と、モーター4、および速度制御用のバルブ5と、制御
装置6とから構成している。
【0005】ここで制御された油は、昇降路7内のジャ
ッキ8に送られ、油圧によってプランジャ9が上下する
力を利用して、かご10を動かしている。このため、か
ご10が上昇する時は、モーター4を駆動しなければな
らないが、かご10が下降する時は、かご10と利用者
の重量による位置エネルギーを、動力源として利用する
ことができる。このことから、エレベーターが故障した
り、建物の電源が切れても、簡単な回路構成でかご10
を下降させて利用者を救出することができる。
【0006】このように、油圧エレベーターには、一般
のエレベーターと比べて大きな利点がある。そして、こ
の利点により、最近ではエレベーターの1/3程度は、
油圧エレベーターが採用されている。これは、機械室1
自体の大きさも小さくできることも原因の一つであり、
建物の居住スペースの拡大に応えている結果でもある。
【0007】ところが、駆動力が油であるために、温度
の変化による影響が大きいという問題がある。例えば、
1階にかご10が停止していると、時間の経過と共に油
温が低下して油の収縮が始まる。この結果、かご10は
正規停止位置11から下がった位置になってしまう。油
圧エレベーターにおいては、かご10の走行中の位置情
報は、かご10に取り付けられたパルス発生装置12が
昇降路7に沿って回転し、その回転によって発生する位
置パルスをパルスカウンター(パルス計数手段)でカウ
ントすることにより得ている。この場合、エレベーター
の走行距離と発生パルス数は正比例する。
【0008】この位置パルスは、エレベーター制御装置
内のパルスカウンターに入力され、エレベーターの上昇
時には加算、下降時には減算することにより、パルスカ
ウンターの出力値がエレベーターの位置を示すことにな
る。正規停止位置11のパルス値は、建物毎に設定して
あり、エレベーター制御部はパルスカウンターの出力値
によって、かご10の昇降路での位置を把握している。
【0009】かご10を正規停止位置11に停止させて
いる時に、油温変化により位置ずれを起こした場合に
は、位置合わせ機能により正規停止位置11より外れた
ことを検知して、かご10を正規停止位置11に戻す処
理を行なっている。この場合、通常、かご10の位置ず
れ検知には、補正位置検出スイッチ13を設けており、
この補正位置検出スイッチ13がオンすれば通常の1/
10程度の速度で、補正位置検出スイッチ13がオフす
る正規停止位置11まで、エレベーターを駆動するよう
にしている。なお、図6中、14は配管を示している。
【0010】しかしながら、電力供給異常の発生、すな
わち停電によってエレベーターが停止した場合、あるい
は正規停止位置11に停止中に停電が起こった場合等に
は、かご10の位置情報が得られなくなる。つまり、電
力の供給がない間に、かご10は停止位置から下がった
位置に移動してしまうが、パルスカウンターはその間の
かご10の移動量をカウントすることができない。その
結果、かご10の、パルスカウンターの出力値による位
置と実際の位置とに差が生じてしまう。
【0011】このことは、かご10内に閉じこめられた
乗客を救出するには、最寄りの階床までかご10を動か
す必要があるにもかかわらず、かご10の実際の位置が
わからないということになる。このような、停電によっ
てかご10内に閉じこめられた乗客を救出する場合、バ
ルブ5を開いてジャッキ8内の油を排出し、パルスカウ
ンターの出力値が正規停止位置11のパルス値に一致す
る位置までかご10を下げ、ドアを開いて救出する作業
を行なうが、パルスカウンターの出力値とかご10の実
際の位置とに差があると、救出作業に非常に危険を伴な
う。
【0012】また、復電(電力供給異常が回復)後も、
パルスカウンターの出力値に異常が起きているため、制
御システム異常を起こしてエレベーターの走行制御に支
障を来す恐れがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
油圧エレベーターの制御装置においては、電力供給異常
が発生した時に、位置パルス計数値と実際のかご位置と
にずれが生じ、かご位置把握の精度が低下してしまうと
いう問題があった。
【0014】本発明の目的は、電力の供給がない間の油
温変化による位置ずれを予測してパルス計数手段の計数
値を補正することにより、電力供給異常時の位置パルス
計数値と実際のかご位置とのずれを減少して、かご位置
把握の精度を向上させることが可能な極めて信頼性の高
い油圧エレベーターの制御方法および装置を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、まず、請求項1に記載された発明では、圧油を油圧
ジャッキに送排油して運転を行なう油圧エレベーターの
制御方法において、電力供給異常が発生した場合に、当
該電力供給異常が発生してから当該異常が回復するまで
の間の経過時間を測定し、この経過時間と電力供給異常
発生前の油圧エレベーターの運転状態とから、油の収縮
によるかご位置の沈下量を算出し、このかご位置沈下量
を補正値として、かごの移動に応じて出力される位置パ
ルス信号の計数値を補正するようにしている。
【0016】また、請求項4に記載された発明では、圧
油を油圧ジャッキに送排油して運転を行なう油圧エレベ
ーターの制御装置において、かごの移動に応じて位置パ
ルス信号を出力するパルス発生手段と、パルス発生手段
から出力される位置パルス信号を計数するパルス計数手
段と、電力供給異常が発生してから当該異常によりパル
ス計数手段が動作しなかった間の経過時間を測定する電
力異常時間測定手段と、油圧エレベーターの運転状態を
記憶する運転状態記憶手段と、電力異常時間測定手段に
より測定された経過時間と、運転状態記憶手段に記憶さ
れた電力供給異常発生前の油圧エレベーターの運転状態
とに基づいて、油の収縮によるかご位置の沈下量を演算
する距離演算手段と、距離演算手段により演算されたか
ご位置沈下量を補正値として、パルス計数手段の計数値
を補正するパルス補正手段とを備えて構成している。
【0017】ここで、特に上記油圧エレベーターの運転
状態としては、油タンクの油温と機械室内の気温、およ
び必要に応じてかご停止位置を用いるようにしている。
【0018】また、上記油圧エレベーターの運転状態と
しては、カレンダー情報より月、日、時間を求めておお
よその気温を予測し、この予測した気温と油タンクの油
温、および必要に応じてかご停止位置を用いるようにし
ている。
【0019】
【作用】従って、本発明による油圧エレベーターの制御
方法および装置においては、電力供給異常が発生した時
に、電力異常時間測定手段にて、電力供給異常発生から
パルス計数手段が動作しなかった間の経過時間が測定さ
れる。また、距離演算手段にて、この電力異常経過時間
と電力異常発生前のエレベーターの運転状態とから、油
の収縮によるかご位置の沈下量が求められる。さらに、
パルス補正手段にて、このかご位置沈下量を補正値とし
て、パルス発生手段からの位置パルス信号を計数するパ
ルス計数手段の計数値が補正される。
【0020】これにより、電力供給異常が発生した場合
における、位置パルス計数値と実際のかご位置とのずれ
を減少することが可能となり、かご位置把握の精度を向
上させることができる。
【0021】
【実施例】本発明は、圧油を油圧ジャッキに送排油して
運転を行なう油圧エレベーターにおいて、電力供給異常
が発生した場合に、この電力供給異常が発生してから異
常が回復するまでの間の経過時間を測定し、この経過時
間と電力供給異常発生前の油圧エレベーターの運転状態
とから、油の収縮によるかご位置の沈下量を求め、この
かご位置沈下量を補正値として、かごの移動に応じて位
置パルス信号を出力するパルス発生手段からの位置パル
ス信号を計数するパルス計数手段の計数値を補正するも
のである。
【0022】以下、上記のような考え方に基づく本発明
の一実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明による油圧エレベーターの
制御装置の基本的な構成例を示すブロック図である。す
なわち、本実施例の油圧エレベーターの制御装置は、図
1に示すように、パルス発生装置21と、パルス計数手
段であるパルスカウンター22と、電力異常時間測定部
23と、運転状態記憶部24と、距離演算部25と、パ
ルス補正部26とから構成している。
【0024】ここで、パルス発生装置21は、油圧エレ
ベーターのかごの移動に応じて位置パルス信号を出力す
るものである。
【0025】また、パルスカウンター22は、パルス発
生装置21から出力される位置パルス信号をカウントす
るものである。
【0026】一方、電力異常時間測定部23は、電力供
給異常が発生してからこの異常によりパルスカウンター
22が動作しなかった間の経過時間を測定するものであ
る。なお、この電力異常時間測定部23は、電力供給異
常時にも動作可能となっている。
【0027】また、運転状態記憶部24は、油圧エレベ
ーターの運転状態を記憶するものである。
【0028】さらに、距離演算部25は、電力異常時間
測定部23により測定された経過時間と、運転状態記憶
部24に記憶された電力供給異常発生前の油圧エレベー
ターの運転状態とに基づいて、油の収縮によるかご位置
の沈下量を演算するものである。
【0029】さらにまた、パルス補正部26は、距離演
算部25により演算されたかご位置沈下量を補正値とし
て、パルスカウンター22のカウント値を補正するもの
である。
【0030】次に、図2は、本発明に基づく油圧エレベ
ーターの制御装置6の具体的な構成例を示すブロック図
であり、図6と同一部分には同一符号を付してその説明
を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0031】なお、ここでは、実施例として、油圧エレ
ベーターの運転状態のうち、油タンクの油温と機械室内
の気温との温度差から、かご10の沈下量を求める場合
を例として述べる。
【0032】図2において、制御装置は、データ管理部
31と、補正機能部32と、機械室温度計33と、油タ
ンク温度計34と、メインCPU35と、ドア制御部3
6と、呼び制御部37と、走行制御部38と、コンダク
タ39とから構成している。
【0033】図3は、データ管理部31および補正機能
部32の詳細な構成例を示すブロック図であり、図1お
よび図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0034】図3において、データ管理部31は、パル
スカウンター22と、運転状態記憶部24とからなって
いる。また、補正機能部32は、電力異常時間測定部2
3と、距離演算部25と、パルス補正部26と、油温・
気温記憶部27からなっている。この補正機能部32
は、バッテリーバックアップされており、電力供給異常
時(停電時)にも動作可能となっている。
【0035】ここで、油温・気温記憶部27は運転状態
記憶部24に記憶された油圧エレベーターの運転状態の
うち、油温と気温を記憶するものである。
【0036】また、28はバルブ5に連動しているバル
ブスイッチである。
【0037】次に、以上のように構成した本実施例の油
圧エレベーターの制御方法について説明する。
【0038】油圧エレベーターの運転状態は、各々の検
出装置からデータ管理部31に伝送される。エレベータ
ー制御装置6のメインCPU35は、このデータ管理部
31を参照してかご呼びを登録し、走行制御やドア制御
を行なう。
【0039】すなわち、エレベーターの位置情報は、か
ご10に取り付けられた車輪が昇降路の内側に押さえつ
けられかごの移動とともに回転する、その回転軸に取り
付けられたパルス発生装置21の出力を、データ管理部
31のパルスカウンター22に入力してカウントするこ
とにより得る。また、気温は、機械室に取り付けられた
油タンク温度計34からデータ管理部31にアナログ入
力することによって得る。さらに、油温は、油タンクに
取り付けられた温度計34からデータ管理部31にアナ
ログ入力することによって得る。
【0040】メインCPU35の正常動作中は、電力異
常時間測定部23ではメインCPU35から数秒おきに
信号を受け、油温・気温記憶部27ではデータ管理部3
1内の運転状態記憶部24から数秒おきに油温・気温デ
ータを受ける。
【0041】一方、電力供給異常が発生して十数秒間信
号が途絶えると、電力異常時間測定部23では時間の測
定を開始し、油温・気温記憶部27では最後に受けた油
温・気温データを保持する。
【0042】次に、メインCPU35が正常動作を再開
した時、またはバルブ5を開くことによりバルブスイッ
チ28の入力信号があった時、電力異常時間測定部23
では時間の測定を終了する。そして、時間測定が終了し
たら、油温・気温記憶部27に保持されている油温・気
温データと、電力異常時間測定部23により測定された
時間データとから、距離演算部25では予測されるかご
10の沈下量を演算する。そして、パルス補正部26で
はこのかご沈下量を補正パルス値に換算し、パルスカウ
ンター22のカウント値を補正する。
【0043】なお、電力異常時間測定部23には、消費
電力の小さな時計ICを用い、油温・気温記憶部27に
はICメモリを用いる。また、この電力異常時間測定部
23は、電池にてバックアップされているので、電力供
給異常中にも正常に動作することができる。さらに、距
離演算部25とパルス補正部26には、ロジックコント
ローラーを用い、パルス補正値の演算を行なう。そし
て、電力供給異常が回復(復電)してメインCPU35
が正常動作を開始した時、またはバルブスイッチ28の
入力があった時は、データ管理部31には電源が供給さ
れ、パルス補正部26からパルスカウンター22へのパ
ルス補正値の伝送を保障する。
【0044】一方、上記において、図6に示したような
インダイレクト油圧エレベーターシステムの場合、かご
10の沈下量は以下のようにして求められる。
【0045】すなわち、一般に、油圧エレベーターシス
テムの放熱量Hは、表面熱伝導率α、表面積F、油温t
0 、機械室気温t1 とすると、 H=α(t0 −t1 )F (Kcal/h) また、油の容積を配管14の内容積VP (m3 )、ジャ
ッキ8の内容積VJ (m3 )とすると、油温低下t2
は、 t2 =H/(VP +VJ )*1000*0.873 (摂氏温
度) さらに、容積の変化量は、平均温度差δt =t2 /2と
すると、ボイル・シャルルの法則V1 /T1 =V2 /T
2 より、 V2 =(VP +VJ )*(273 +t0 −δt )/(273
+t0 ) (m3 ) 一方、プランジャ9の断面積Aとすると、プランジャ9
の沈下量は、 油の容積差/プランジャ9面積 で求められる。
【0046】かご10の沈下量δL は、インダイレクト
油圧エレベーターシステムの場合、プランジャ9の沈下
量の2倍となるから、 δL =2・(VJ −V2 )/A (mm) ここで、表面熱伝導率α=5、配管14の長さ=10
m、配管14の径=49.5mmとすると、配管14の内
容積Vp =0.19m3 、プランジャ9の断面積A=
0.013m2 とすると、かご10が最下階停止時のジ
ャッキ8の内容積VJ =0.013m3 となる。
【0047】そして、これらをシステムの定数として、
油温・気温記憶部27が保持している油温・気温データ
の温度差が摂氏60度とすると、 H=582 Kcal/h t2 =摂氏20.8度、δt =摂氏10.4度 δL =2・0.001/0.013=0.154m となり、かご10の沈下量は、一時間当たり154mmと
求められる。
【0048】図4は、油温・気温初期温度差が摂氏60
度、最下階停止の場合の油温低下とかご沈下量の特性を
グラフ化して示した図である。図4において、縦軸に気
温に対するタンク油温、および気温に対する配管14内
油温の温度差、かご沈下量をとり、横軸に経過時間をと
っている。
【0049】以上のようにして、電源供給異常発生から
の油温低下によるかご沈下量が求められると、補正パル
ス値はかご沈下量とパルス発生装置21のパルスレート
から求めることができる。ここで、パルスレートとは、
パルス発生装置21が1パルスを出力するのに必要なか
ごの移動量である。パルス値は、一般に16ビットに設
定されているので、補正パルス値はかご沈下量をパルス
レートにて割った数を16進数で表わしたものになる。
例えば、パルスレートが5mm/パルス、かご沈下量を1
50mmとすると、補正パルス値は001EHである。
【0050】そして、パルス補正部26では、パルスカ
ウント値からこの補正パルス値001EHを引くことに
より、油温低下によるかご沈下量によるかご沈下量を補
正したパルスカウント値を得ることができる。
【0051】これにより、電力供給異常時のパルスカウ
ント値と実際のかご位置とのずれを減少することができ
る。
【0052】上述したように、本実施例の油圧エレベー
ターの制御方法および装置においては、電源供給異常時
にも、異常が発生してからの時間を測定することによっ
て、かご10の沈下量を演算し、これを基にかご位置デ
ータ(パルスカウント値)を補正するようにしているの
で、電力供給異常が発生した場合における、かご位置デ
ータ(パルスカウント値)と実際のかご位置とのずれを
減少することができるため、かご位置把握の精度を向上
させることが可能となる。
【0053】これにより、電源供給異常によってかご1
0内に閉じこめられた乗客を救出する時の作業精度を高
めることができるばかりでなく、作業の安全性や救出時
間の短縮を実現することができ、またかご位置データ
(パルスカウント値)と実際のかご位置との不整合によ
る制御システム異常を防止することができる。
【0054】また、従来の油圧エレベーターでは、油タ
ンクの油面計を観測しておおよそのかご位置を経験的に
求める方法も用いられているが、乗客を救出する場合
に、かご10と床とに段差があると、救出時にトラブル
が発生する可能性があることや、油面計では最下階でな
いと実用上の精度が保てないため、最下階が救出不能階
の場合には非常に困難であったのに対して、本実施例に
よりこのような問題も同時に解消することができる。
【0055】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、次のようにしても同様に実施できるものであ
る。
【0056】(a)上記実施例では、かご沈下量の測定
パラメータとして、気温を測定する機械室温度計33を
用いて油温と気温との温度差を求める場合について説明
したが、これに限らず、例えばエレベーター制御装置6
内に格納されているカレンダー情報より月、日、時間を
求めておおよその気温値を予測することにより、機械室
温度計33を不要とすることが可能となる。
【0057】(b)上記実施例では、エレベーター運転
状態データのうち、油温データと機械室気温データを用
いる場合について説明したが、これに限らず、油温デー
タと機械室気温データの他に、例えばかご停止位置デー
タも利用することにより、ジャッキ8の内容積VJ の精
度が上がり、かご沈下量の精度をより一層向上させるこ
とが可能となる。
【0058】(c)上記実施例において、電力異常時間
測定部23の時計ICのみのバックアップを行ない、バ
ルブスイッチ28の入力によってデータ管理部31に電
源供給された時に、運転状態記憶部24のデータを読み
出してかご沈下量を求め、パルスカウント値を補正する
ようにしてもよい。
【0059】図5は、この場合の実施例を示すブロック
図であり、図3と同一要素には同一符号を付して示して
いる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、圧
油を油圧ジャッキに送排油して運転を行なう油圧エレベ
ーターの制御方法および装置において、電力供給異常が
発生した場合に、電力供給異常が発生してから異常が回
復するまでの間の経過時間を測定し、この経過時間と電
力供給異常発生前の油圧エレベーターの運転状態とか
ら、油の収縮によるかご位置の沈下量を算出し、このか
ご位置沈下量を補正値として、かごの移動に応じて出力
される位置パルス信号の計数値を補正するようにしたの
で、電力供給異常時の位置パルス計数値と実際のかご位
置とのずれを減少して、かご位置把握の精度を向上させ
ることが可能な極めて信頼性の高い油圧エレベーターの
制御方法および装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による油圧エレベーターの制御装置の基
本的な構成例を示すブロック図。
【図2】本発明に基づく油圧エレベーターの制御装置の
一実施例を示すブロック図。
【図3】同実施例におけるデータ管理部と補正機能部の
詳細な構成例を示すブロック図。
【図4】油圧エレベーターの油温低下によるかご沈下量
特性の一例を示す図。
【図5】本発明に基づく油圧エレベーターの制御装置の
他の実施例を示すブロック図。
【図6】一般的な油圧エレベーターの構成例を示す概要
図。
【符号の説明】
1…機械室、2…油タンク、3…ポンプ、4…モータ
ー、5…バルブ、6…制御装置、7…昇降路、8…ジャ
キ、9…プランジャ、10…かご、11…正規停止位
置、12…パルス発生装置、13…補正位置検出スイッ
チ、14…配管、21…パルス発生装置、22…パルス
カウンター、23…電力異常時間測定部、24…運転状
態記憶部、25…距離演算部、26…パルス補正部、2
7…油温・気温記憶部、28…バルブスイッチ、31…
データ管理部、32…補正機能部、33…機械室温度
計、34…油タンク温度計、35…メインCPU、36
…ドア制御部、37…呼び制御部、38…走行制御部、
39…コンダクタ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧油を油圧ジャッキに送排油して運転を
    行なう油圧エレベーターの制御方法において、 電力供給異常が発生した場合に、当該電力供給異常が発
    生してから当該異常が回復するまでの間の経過時間を測
    定し、 前記経過時間と前記電力供給異常発生前の油圧エレベー
    ターの運転状態とから、油の収縮によるかご位置の沈下
    量を算出し、 前記かご位置沈下量を補正値として、前記かごの移動に
    応じて出力される位置パルス信号の計数値を補正するよ
    うにしたことを特徴とする油圧エレベーターの制御方
    法。
  2. 【請求項2】 前記油圧エレベーターの運転状態として
    は、油タンクの油温と機械室内の気温、および必要に応
    じてかご停止位置を用いるようにしたことを特徴とする
    請求項1に記載の油圧エレベーターの制御方法。
  3. 【請求項3】 前記油圧エレベーターの運転状態として
    は、カレンダー情報より月、日、時間を求めておおよそ
    の気温を予測し、当該予測した気温と油タンクの油温、
    および必要に応じてかご停止位置を用いるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の油圧エレベーターの制
    御方法。
  4. 【請求項4】 圧油を油圧ジャッキに送排油して運転を
    行なう油圧エレベーターの制御装置において、 かごの移動に応じて位置パルス信号を出力するパルス発
    生手段と、 前記パルス発生手段から出力される位置パルス信号を計
    数するパルス計数手段と、 電力供給異常が発生してから当該異常により前記パルス
    計数手段が動作しなかった間の経過時間を測定する電力
    異常時間測定手段と、 前記油圧エレベーターの運転状態を記憶する運転状態記
    憶手段と、 前記電力異常時間測定手段により測定された経過時間
    と、前記運転状態記憶手段に記憶された前記電力供給異
    常発生前の油圧エレベーターの運転状態とに基づいて、
    油の収縮によるかご位置の沈下量を演算する距離演算手
    段と、 前記距離演算手段により演算されたかご位置沈下量を補
    正値として、前記パルス計数手段の計数値を補正するパ
    ルス補正手段と、 を備えて成ることを特徴とする油圧エレベーターの制御
    装置。
  5. 【請求項5】 前記油圧エレベーターの運転状態として
    は、油タンクの油温と機械室内の気温、および必要に応
    じてかご停止位置を用いるようにしたことを特徴とする
    請求項4に記載の油圧エレベーターの制御装置。
  6. 【請求項6】 前記油圧エレベーターの運転状態として
    は、カレンダー情報より月、日、時間を求めておおよそ
    の気温を予測し、当該予測した気温と油タンクの油温、
    および必要に応じてかご停止位置を用いるようにしたこ
    とを特徴とする請求項4に記載の油圧エレベーターの制
    御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008007257A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Nippon Yusoki Co Ltd 昇降装置の揚高検出方法
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