JPH06247651A - エレベータの保安装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エレベータかご室内の密室化ないし缶詰め事
故に対する救済手段を低コストで提供すること。 【構成】 エレベータかご室（１）内にかご室１内の音
を検出するためのマイクロホン（２）が設置されてい
る。このマイクロホン（２）で検出された音響信号は、
マイクロホン信号線（３）を介して信号処理ユニット４
に送られる。そこで所定レベル以上の音、つまりファン
等の雑音ではなく乗客の声であることが認識されると、
ドア開信号線（５）を介してエレベータ制御盤（６）に
ドア開指令が送られる。これを受けてエレベータ制御盤
（６）は、エレベータのドアを強制的に開ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる缶詰め状態を
解消させるための手段を備えたエレベータの保安装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】エレベータの防犯対策として、従来、オ
プションで設置されるＣＣＤカメラによる監視が主なも
のである。しかし、ＣＣＤカメラを設置する場合、カメ
ラ本体のみならずモニタ専用のディスプレイなどが必要
であり、かなりの費用がかかるため、すべてのエレベー
タに設置するという訳にはいかない。また、ＣＣＤカメ
ラによる監視以外はこれといった有効な防犯手段がない
ために、ＣＣＤカメラの設置されていないレベータの防
犯対策は手薄であると言わざるをえない実情である。

【０００３】さらに、エレベータのドアは一度閉じる
と、動き出す前にドア開ボタンを押すか、または指定さ
れた階床に到着するかしないと開かない。そのため、エ
レベータ内のドア開ボタン等の操作ボタンに手の届かな
い幼児やボタン操作に不自由な身障者がエレベータ内に
閉じ込められるといった危険性もあった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
不都合を取り除くためになされたものであり、特にＣＣ
Ｄカメラ等の外部監視装置が設置されていない場合であ
っても、利用者の故意によるエレベータの密室化を防ぐ
とともに、幼児や身障者がボタンを操作することができ
ずにかご内に閉じこめられるといった缶詰め事故を可及
的に防止できるようにすること目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ドア自動開閉
手段を備えたエレベータの保安装置であって、かご内に
取り付けられたマイクロホンと、ドアが閉じてから第１
の所定時間以上エレベータが操作されなかったときマイ
クロホンのスイッチをオンにする手段と、オン操作され
たマイクロホンによって検出された音のレベルが所定値
以上であり、かつ第２の所定間継続したときにドア開指
令を出力する手段と、ドア開指令を受けてエレベータの
ドアを強制的に開く手段とを備えたものである。

【０００６】

【作用】エレベータのドアが閉じた時点から所定の時間
が経過したかどうかを判断し、所定時間経過前に利用者
によりボタン操作が行われれば、タイマのカウントはリ
セットされ、エレベータは通常運転となる。しかし、第
１の所定時間が経過しても利用者によるボタン操作がな
い場合には、かご内に設置さているマイクロホンのスイ
ッチがオンとなり、かご内からの音響信号を検出し始め
る。そして、その音響信号の大きさが所定値以上で、か
つ第２の所定時間継続した場合は、かご内に乗客がいて
缶詰め状態になっているものと推定し、ドア開指令が発
信され、ドアは強制的に開けられる。かくして、缶詰め
状態の乗客は安全にかご内から脱出することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
して説明する。

【０００８】図２は本発明の一実施例に係るエレベータ
の安全装置の全体構成を示すものである。エレベータの
ドアの開閉は、乗客が意図的に開閉操作しない限り、図
示していないドア開閉制御装置により自動的に行われ
る。かご室１内には、かご室１内の音響信号を検出する
ためのマイロホン２が適当な位置に設置されている。こ
のマイクロホン２によって得られた音響信号は、マイク
ロホン信号線３を介して信号処理ユニット４に送られ
る。信号処理ユニッ４では、マイクロホン２から送られ
てきた音響信号の大きさが所定値以上であり、かつ所定
時間以上継続したかどうかを判断する。そして、その判
断の結果、音響信号の大きさが所定値以上であり、かつ
所定時間以上続いた場合には、かご室１内に乗客がいる
と判断し、ドア開信号線５を介してエレベータ制御盤６
に信号を送出する。この信号を受けたエレベータ制御盤
６は、エレベータのドアを強制的に開ける。

【０００９】エレベータのドアが閉じてから信号処理ユ
ニット４で行われる処理の流れを図１のフローチャート
を参照して説明する。ある階床に停止しドアを開放して
から所定時間経過し扉が閉じる（ステップ１１）と、図
示していないタイマの計測時間ｔを、ｔ＝０とリセット
し（ステップ１２）、改めてタイムカウントを開始す
る。続いて、かご室１内あるいはエレベータホールの利
用者が操作盤を操作したかどうかが判断され（ステップ
１３）、操作が行われた場合には、いわゆる缶詰め状態
は起こっていないものと判断し通常運転へと戻る。ま
た、操作盤の操作が行われなかった場合は、所定時間、
例えば１５秒という時間が経過したかどうかが判断され
る（ステップ１４）。以下、このカウント値が１５秒に
達するまで、操作盤が操作されたかどうかが判断され続
ける。そして、１５秒以内に操作盤が操作された場合
は、エレベーは通常の運転を行うが、１５秒経過しても
操作が行われなかった場合には、かご室１内に設置され
ているマイクロホン２のスイッチを入れ、かご１内の音
響信号を検出し始める。それと同時に、操作盤が操作さ
れたかどうかの判断をも行い（ステップ１５）、操作が
行われた場合には、エレベータは通常の運転を行うが、
操作盤の操作が行われなかった場合には、マイクロホン
２によって検知されているかご室１内の音響信号が所定
レベル以上のものかどうかが判断される（ステップ１
６）。ここで、ある所定レベルというのは、外部からの
雑音やファンの音等の小さい音を、誤って乗客の声であ
るかのように誤判断してしまわないように設定するしき
い値のことである。そして、所定レベル以上の音を検出
した場合には、かご１内に乗客が缶詰め状態になってい
るものと推定し、信号処理ユニット４からエレベータ制
御盤６に対してドア開指令が送られる。ドア開指令を受
けたエレベータ制御盤６は、強制的にエレベータのドア
を開ける（ステップ１７）。また同時に、信号処理ユニ
ット４はエレベータ管理室に対してもドア開指令に基づ
きそれを非常警報として送信し、かご室１内に缶詰め状
態が生じている旨を知らせる（ステップ１８）。

【００１０】以上詳述したように、ＣＣＤカメラ等に比
べてコストも低く、かつ管理維持も容易なマイクロホン
をエレベータのかご室内に設置することにより、かご室
内に缶詰め状態となって閉じ込められている乗客がいる
かどうかを検知することができる。そして、乗客がいる
と判断された場合にはドアを強制的に開けることができ
るので、エレベータが乗客を乗せたまま長時間にわたっ
て密室化されたりすることがなくなり、またエレベータ
操作を正しく行うことのできない幼児や身障者が缶詰め
状態になったときでも速やかに脱出することができ、犯
罪等も未然に防ぐことができる。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
かご内に閉じこめられている乗客がいるかどうかを判断
し、乗客がいると判断された場合はドアを強制的に開け
ることができる。従って、エレベータが乗客を乗せたま
ま長時間密室化されるという事態を回避することがで
き、正しい操作を行うことのできない幼児や身障者が缶
詰め状態になったときでも速やかに脱出することがで
き、またかご室の密室化による犯罪等も未然に防ぐこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるエレベータ保安装置の一実施例に
おける処理の流れを示すフローチャート。

【図２】本発明に係るエレベータ保安装置の一実施例を
示すブロック図。

【符号の説明】

１ エレベータかご室 ２ マイクロホン ３ マイクロホン信号線 ４ 信号処理ユニット ５ ドア開信号線 ６ エレベータ制御盤

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ドア自動開閉手段を備えたエレベータの保
   安装置であって、 かご内に取り付けられたマイクロホンと、 ドアが閉じてから第１の所定時間以上エレベータが操作
   されなかったとき、前記マイクロホンのスイッチをオン
   にする手段と、 オン操作されたマイクロホンによって検出された音のレ
   ベルが所定値以上であり、かつ第２の所定時間継続した
   ときにドア開指令を出力する手段と、 ドア開指令を受けてエレベータのドアを強制的に開く手
   段とを備えたエレベータの保安装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載の装置において、前記ドア
   開指令に基づいて管理室へ非常通報する手段をさらに備
   えたエレベータの保安装置。
3. 【請求項３】請求項１または２に記載の装置において、
   前記所定時間は１５秒程度であるエレベータの保安装
   置。