JPH062464Y2 - 電動スラスタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、水、海中で用いる各種機器類用のブラシレス
式電動推進機（電動スラスタ）に関するものである。

従来の技術 従来一般的に用いられている電動スラスタの一例を示す
と第３図のとおりである。すなわち、１はモータ部で、
固定子２、回転子３、回転軸４が耐圧ケース５内に収容
され、６はシール軸受部で、回転軸４の先端に直列にプ
ロペラ７が取付けられており、流体抵抗を減らすため、
スリム化したものが用いられている。８はシュラウドで
ある。

考案が解決しようとする問題点 上記従来の電動スラスタでは、モータ部１、シール軸受
部６およびプロペラ７が直列に接続されているため大型
で長く、しかも全体を水密構造とするため耐圧ケース５
が必要で、構造が複雑で、他の各種機器への装着に種々
の制約があり、またシール軸受部６が存在するため雑音
が発生するなどの問題があった。

本考案は、上記問題点を解決して、構造が簡単で、取扱
いの容易な電動スラスタを提供することを目的とするも
のである。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するため本考案の電動スラスタは、中
心に支持軸を有し耐水絶縁性に形成した円柱状の固定子
の外側に、磁気ギャップを保って同心円筒函体状の回転
子を配置して前記支持軸により回転自在に軸支し、かつ
前記回転子の外周面にプロペラ翼を取付け、そのプロペ
ラ翼の外方を覆う円筒形枠体を前記支持軸の両端部に支
柱により取付けたことを特徴とするものである。

作用 上記構成により、通常のブラシレス式直流電動機と同様
の原理で、円柱状の固定子の外側の円筒函体状の回転子
に回転トルクが発生し、その回転子の外周面に取付けら
れているプロペラ翼が回転する。そして固定子が耐水絶
縁性であるので、装置全体を水密構造の耐圧容器へ収容
するなどの必要が無く、構造がコンパクトで長さも短
い。

実施例 本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。第１図お
よび第２図は本考案の一実施例の電動スラスタを示し、
第１図は正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図であ
る。11は円柱状の固定子であり、支持軸12の一端側に側
板13が嵌着されるとともに、固定子鉄心14と固定子巻線
15が取付けられ、外周面がステンレスチール、セラミッ
クのような防錆性非磁性体からなるカバー16が被覆され
ており、そのカバー16の裏面側の所定箇所に磁極位置検
出ホール素子17が配置されて、前記カバー16の内部が絶
縁性合成樹脂18により真空脱気後にモールドされ、耐水
絶縁性、耐圧性、耐食性が付与されている。特にカバー
16を用い、かつ樹脂モールドしたことにより固定子巻線
15および磁極位置検出ホール素子17の耐圧性ならびに耐
水圧性が増大する。側板13の反対側の側面19は水密性が
保たれる限り、絶縁性樹脂18面のままでもよく、また防
錆性材料からなる蓋を設けてもよい。前記カバー16は、
渦電流による損失の低減のため、厚さが0.2〜0.3mm程度
に薄いステンレススチール材などを用いることが好まし
く、作製の際に厚い材料を用いた場合は、最後に表面を
機械加工を施して前記の厚さまで薄くすることが望まし
い。またさらに固定子11には、支持軸12の側板13を嵌着
した側（前部）12aの反対側（後部）12bを中空状に形成
して、内部の固定子巻線15用および磁極位置検出ホール
素子17用のケーブル20が挿入されて結線されており、ケ
ーブル20の挿入口はシール材20aによりシールされてい
る。

前記固定子11の外側に磁気ギャップを保って同心円筒函
体状の回転子21が配置されている。回転子21の円筒枠体
21aの内周面に磁路形成コア22を介して永久磁石23が取
付けられ、その内周面が磁気ギャップを保って固定子11
の外周面と対向し、また両側方ケーシング24,25に設け
た軸受部24a,25aで、固定子11の支持軸12に回転自在に
軸支され、かつ円筒函体21aの外周面に３枚のプロペラ
翼26が取付けられている。なお支持軸12の前記軸受部24
aが嵌込まれた箇所より先端の前部12aには、球面状のキ
ャップ27がブッシュ28を介して取付けられ、また同様に
支持軸12の前記軸受部25aが嵌込まれた箇所より先端の
後部12bにも、球面状のキャップ29がブッシュ30を介し
て取付けられている。24b,25bはラジアル軸受メタル
で、24c,25cはスラスト軸受メタルである。

また、上記の一体的に組合わされた固定子11および回転
子21の全体を、プロペラ翼26の外方で覆う同心状の円筒
形枠体31が、前記支持軸12の両端部に、各３本の支柱3
2,33によりキャップ28,29を介して取付けられている。

なお前記支持軸12の前部12aに中空孔34を穿孔して固定
子11の側板13の直前で軸表面に開口35させ、前記中空孔
34から水が流入して、固定子11の周面と回転子21の内周
面との間隙を通過し、回転子21の円筒枠体21aと後部の
側方ケーシング25との間に設けた間隙36から外部へ流出
して、上記経路内を洗浄しうるように形成されている。

上記のように構成された電動スラスタは、構造が極めて
簡単で、通常のブラシレス式直流電動機と同様に回転ト
ルクを発生させることができ、固定子11内の磁極位置検
出ホール素子17で回転子21の磁極位置を検出し、それに
基づき固定子巻線15の電流方向を切替え、反発と吸引力
によって回転子21を正転または逆転させることができ
る。回転子21の回転により、外周面に一体的に取付けら
れているプロペラ翼26が回転する。

考案の効果 本考案の電動スラスタは、電動機とプロペラとが一体的
に組込まれて、構造が極めてコンパクトで、減速ギヤな
どを用いる必要がなく、回転軸方向の長さが短くでき、
各種機器への組込みの自由度が格段に向上し、しかも固
定子を耐水絶縁性とすることにより、従来のように電動
機全体を水密構造の容器内に収容する必要性がなく、シ
ール軸受部も不要であって雑音の発生が低減され、取扱
いが簡便で、保守も容易であるなどの格別の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の電動スラスタの一実施例を示す正面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は従来例
の概略縦断面図である。 11…固定子、12…支持軸、14…固定子鉄心、15…固定子
巻線、16…カバー、17…磁極位置検出ホール素子、18…
絶縁性合成樹脂、20…ケーブル、21…回転子、23…永久
磁石、24,25…側方ケーシング、26…プロペラ翼、27,29
…キャップ、31…円筒形枠体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中心に支持軸を有し耐水絶縁性に形成した
   円柱状の固定子の外側に、磁気ギャップを保って同心円
   筒函体状の回転子を配置して前記支持軸により回転自在
   に軸支し、かつ前記回転子の外周面にプロペラ翼を取付
   け、そのプロペラ翼の外方を覆う円筒形枠体を前記支持
   軸の両端部に支柱により取付けたことを特徴とする電動
   スラスタ。