JPH06246424A - 耐食性及び中性子吸収能に優れたボロン入りステンレスクラッド鋼板の製造方法 - Google Patents
耐食性及び中性子吸収能に優れたボロン入りステンレスクラッド鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH06246424A JPH06246424A JP4304393A JP4304393A JPH06246424A JP H06246424 A JPH06246424 A JP H06246424A JP 4304393 A JP4304393 A JP 4304393A JP 4304393 A JP4304393 A JP 4304393A JP H06246424 A JPH06246424 A JP H06246424A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、使用済み核燃料の貯蔵設備及び輸
送容器用の遮蔽材として、長期間使用できる耐食性及び
中性子吸収能に優れたＢ入りステンレスクラッド鋼を提
供する。 【構成】 外層をオーステナイト系ステンレス鋼とし、
内層を２％以上のＢを含有するオーステナイト系ステン
レス鋼とする３層クラッド鋼で、耐食性に優れかつ中性
子吸収能の極めて高いＢ入りステンレスクラッド鋼の製
造法。
送容器用の遮蔽材として、長期間使用できる耐食性及び
中性子吸収能に優れたＢ入りステンレスクラッド鋼を提
供する。 【構成】 外層をオーステナイト系ステンレス鋼とし、
内層を２％以上のＢを含有するオーステナイト系ステン
レス鋼とする３層クラッド鋼で、耐食性に優れかつ中性
子吸収能の極めて高いＢ入りステンレスクラッド鋼の製
造法。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は使用済み核燃料の貯蔵設
備あるいは輸送容器用の遮蔽材として用いられるボロン
（Ｂ）入りステンレスクラッド鋼の製造法に関するもの
である。
備あるいは輸送容器用の遮蔽材として用いられるボロン
（Ｂ）入りステンレスクラッド鋼の製造法に関するもの
である。
【０００２】
【従来の技術】近年、使用済み核燃料の貯蔵設備あるい
は、輸送容器用遮蔽材として耐食性と共に中性子吸収能
に優れたＢ含有ステンレス鋼の需要が増大している。し
かしながら、ステンレス鋼中のＢの固溶度は極めて低
く、Ｂは（Ｃｒ，Ｆｅ）2 Ｂの共晶化合物として析出
し、鋳造割れ、熱延割れを引き起こすため、製造性が極
めて悪い。現状、連続鋳造、熱間圧延工程のごとく大量
生産プロセスによって製造できる限界のＢ量は、約１％
であり、かかる製造工程において、１％を超えるＢを含
有するステンレス鋼を製造することが待ち望まれてい
る。
は、輸送容器用遮蔽材として耐食性と共に中性子吸収能
に優れたＢ含有ステンレス鋼の需要が増大している。し
かしながら、ステンレス鋼中のＢの固溶度は極めて低
く、Ｂは（Ｃｒ，Ｆｅ）2 Ｂの共晶化合物として析出
し、鋳造割れ、熱延割れを引き起こすため、製造性が極
めて悪い。現状、連続鋳造、熱間圧延工程のごとく大量
生産プロセスによって製造できる限界のＢ量は、約１％
であり、かかる製造工程において、１％を超えるＢを含
有するステンレス鋼を製造することが待ち望まれてい
る。
【０００３】かかるＢ入りステンレス鋼の鋳造性及び熱
間加工性を改善すべく鋼中不純物元素の低減、合金元素
の添加が図られているが、著しい改善は見られていな
い。また、特公昭６４−１４９６６号公報ではＢ入りス
テンレス鋼を普通鋼で囲み、熱間圧延することによっ
て、Ｂ入りステンレス鋼を製造する方法が示されている
が、鋳造スラブの外周を溶接施工により普通鋼で囲む工
程が必要なため、生産性及びコストの点で問題があり、
また後述のごとく耐食性にも問題があった。
間加工性を改善すべく鋼中不純物元素の低減、合金元素
の添加が図られているが、著しい改善は見られていな
い。また、特公昭６４−１４９６６号公報ではＢ入りス
テンレス鋼を普通鋼で囲み、熱間圧延することによっ
て、Ｂ入りステンレス鋼を製造する方法が示されている
が、鋳造スラブの外周を溶接施工により普通鋼で囲む工
程が必要なため、生産性及びコストの点で問題があり、
また後述のごとく耐食性にも問題があった。
【０００４】Ｂ入りステンレス鋼は、（Ｃｒ，Ｆｅ）2
Ｂの共晶化合物の析出に伴い母相のＣｒ濃度が低下する
ため、耐食性劣化を生じる。したがって耐食性の劣化を
改善するには、特開昭６２−２２２０４９号公報のよう
に、鋼中Ｃｒ量の増加と共に、Ｃ量を０．０１％以下に
低減することが有効である。しかしながら、現在の精錬
技術では、オーステナイト系ステンレス鋼中の最低炭素
量は約０．０１２％であり、炭素量を０．０１％以下に
低減することはできない。
Ｂの共晶化合物の析出に伴い母相のＣｒ濃度が低下する
ため、耐食性劣化を生じる。したがって耐食性の劣化を
改善するには、特開昭６２−２２２０４９号公報のよう
に、鋼中Ｃｒ量の増加と共に、Ｃ量を０．０１％以下に
低減することが有効である。しかしながら、現在の精錬
技術では、オーステナイト系ステンレス鋼中の最低炭素
量は約０．０１２％であり、炭素量を０．０１％以下に
低減することはできない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、使用
済み核燃料の貯蔵設備、輸送容器用の遮蔽材として用い
られる耐食性、及び中性子吸収能に優れたＢ入りステン
レス鋼を安価にかつ効率よく製造することを目的とす
る。
済み核燃料の貯蔵設備、輸送容器用の遮蔽材として用い
られる耐食性、及び中性子吸収能に優れたＢ入りステン
レス鋼を安価にかつ効率よく製造することを目的とす
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、内層
に１％以上のＢを含有する普通鋼の両外層にＳＵＳ３１
６系、３１７系ステンレス鋼を張り合わせた３層クラッ
ドの鋳込みクラッド鋼を９００℃以上の仕上げ圧延温度
で熱間圧延することにより所望するＢ入りステンレスク
ラッド鋼を効率よく連続的に製造する方法である。
に１％以上のＢを含有する普通鋼の両外層にＳＵＳ３１
６系、３１７系ステンレス鋼を張り合わせた３層クラッ
ドの鋳込みクラッド鋼を９００℃以上の仕上げ圧延温度
で熱間圧延することにより所望するＢ入りステンレスク
ラッド鋼を効率よく連続的に製造する方法である。
【０００７】以下、本発明について詳細に説明する。Ｂ
は、鋼の融点を低下させるため、Ｂを含む内層部と外層
部を同一鋼種とすると、内層部がいつまでも溶融状態
で、ブレイクアウトを引き起こし、３層クラッド鋼を製
造することができないため、融点差を解消する必要があ
る。そこで、内層部には、ステンレス鋼よりもほぼ１０
０℃程度融点の高い普通鋼を使用し、十分な中性子吸収
能を有するために少なくとも１％以上のＢを添加する。
また外層部には、耐食性の観点からステンレス鋼の使用
が必須であるが、融点差の解消のため、耐食性に優れ、
かつ融点の低いＳＵＳ３１６系及び３１７系ステンレス
鋼を使用する。鋳込みクラッド法では、鋳造割れを生じ
易いＢ入り普通鋼の外周部を鋳造性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼で覆っているため、たとえ、内層部
に割れを生じてもそれが外層部まで貫通することはな
い。
は、鋼の融点を低下させるため、Ｂを含む内層部と外層
部を同一鋼種とすると、内層部がいつまでも溶融状態
で、ブレイクアウトを引き起こし、３層クラッド鋼を製
造することができないため、融点差を解消する必要があ
る。そこで、内層部には、ステンレス鋼よりもほぼ１０
０℃程度融点の高い普通鋼を使用し、十分な中性子吸収
能を有するために少なくとも１％以上のＢを添加する。
また外層部には、耐食性の観点からステンレス鋼の使用
が必須であるが、融点差の解消のため、耐食性に優れ、
かつ融点の低いＳＵＳ３１６系及び３１７系ステンレス
鋼を使用する。鋳込みクラッド法では、鋳造割れを生じ
易いＢ入り普通鋼の外周部を鋳造性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼で覆っているため、たとえ、内層部
に割れを生じてもそれが外層部まで貫通することはな
い。
【０００８】次に、このように製造された３層クラッド
鋼を製品厚さまで熱間圧延するが、熱間圧延後、固溶化
熱処理を施すと内層部の普通鋼より外層のステンレス鋼
へ浸炭が生じ、耐食性の劣化を引き起こすため、固溶化
熱処理工程を省略してステンレス鋼の耐食性を確保する
必要がある。それには、熱延終了後、ステンレス鋼の再
結晶を生じさせるために、仕上げ圧延温度は少なくとも
９００℃以上が必要となる。また熱延後は、普通鋼側か
らの浸炭を極力抑え、かつステンレス鋼自身の鋭敏化を
さけるために、室温まで急冷する。
鋼を製品厚さまで熱間圧延するが、熱間圧延後、固溶化
熱処理を施すと内層部の普通鋼より外層のステンレス鋼
へ浸炭が生じ、耐食性の劣化を引き起こすため、固溶化
熱処理工程を省略してステンレス鋼の耐食性を確保する
必要がある。それには、熱延終了後、ステンレス鋼の再
結晶を生じさせるために、仕上げ圧延温度は少なくとも
９００℃以上が必要となる。また熱延後は、普通鋼側か
らの浸炭を極力抑え、かつステンレス鋼自身の鋭敏化を
さけるために、室温まで急冷する。
【０００９】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表１
は、鋳込みクラッド法により製造した比較鋼の内層及び
外層の鋼種規格と製造性、及び耐食性（耐孔食性、耐粒
界腐食性）を調べた結果を示す。表２は、同じく鋳込み
クラッド法により製造した本発明鋼の内層及び外層の鋼
種規格と製造性及び耐食性（耐孔食性及び耐粒界腐食
性）を調べた結果を示す。表２より本発明法に従って、
鋳込みクラッド法により製造したＢ入りステンレスクラ
ッド鋼は、凝固割れ、熱延割れを発生することなく製造
でき、かつ耐食性に優れているのがわかる。
は、鋳込みクラッド法により製造した比較鋼の内層及び
外層の鋼種規格と製造性、及び耐食性（耐孔食性、耐粒
界腐食性）を調べた結果を示す。表２は、同じく鋳込み
クラッド法により製造した本発明鋼の内層及び外層の鋼
種規格と製造性及び耐食性（耐孔食性及び耐粒界腐食
性）を調べた結果を示す。表２より本発明法に従って、
鋳込みクラッド法により製造したＢ入りステンレスクラ
ッド鋼は、凝固割れ、熱延割れを発生することなく製造
でき、かつ耐食性に優れているのがわかる。
【００１０】
【表１】
【００１１】
【表２】
【００１２】
【発明の効果】以上、述べたごとく本発明に従って得ら
れたＢ入りステンレスクラッド鋼は、優れた耐食性及び
中性吸収能を有するため、使用済み核燃料の貯蔵及び輸
送用遮蔽材として長期間にわたって使用することができ
る。
れたＢ入りステンレスクラッド鋼は、優れた耐食性及び
中性吸収能を有するため、使用済み核燃料の貯蔵及び輸
送用遮蔽材として長期間にわたって使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｇ０１Ｆ 1/08 9107−2Ｆ
Claims (1)
- 【請求項１】 内層に１％以上のボロンを含有する普通
鋼の両外層に、ＳＵＳ３１６，ＳＵＳ３１６Ｌ，ＳＵＳ
３１７、またはＳＵＳ３１７Ｌより選んだステンレス鋼
を張り合わせた３層クラッドの鋳込みクラッド鋼を、９
００℃以上の仕上げ温度で熱間圧延をし、しかる後、急
冷することを特徴とする耐食性及び中性子吸収能に優れ
たボロン入りステンレスクラッド鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4304393A JPH06246424A (ja) | 1993-03-03 | 1993-03-03 | 耐食性及び中性子吸収能に優れたボロン入りステンレスクラッド鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4304393A JPH06246424A (ja) | 1993-03-03 | 1993-03-03 | 耐食性及び中性子吸収能に優れたボロン入りステンレスクラッド鋼板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06246424A true JPH06246424A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=12652878
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4304393A Withdrawn JPH06246424A (ja) | 1993-03-03 | 1993-03-03 | 耐食性及び中性子吸収能に優れたボロン入りステンレスクラッド鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06246424A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8100313B2 (en) | 2005-09-15 | 2012-01-24 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Source blank for stainless steel three-ply clad sheet, production methods of clad steel plate and sheet for solid polymer type fuel cell separator, and solid polymer type fuel cell separator |
-
1993
- 1993-03-03 JP JP4304393A patent/JPH06246424A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US8100313B2 (en) | 2005-09-15 | 2012-01-24 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Source blank for stainless steel three-ply clad sheet, production methods of clad steel plate and sheet for solid polymer type fuel cell separator, and solid polymer type fuel cell separator |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000509 |