JPH0623992Y2 - 電子腕時計の時計ケ−ス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は電子腕時計の時計ケースに関する。

〔従来技術およびその問題点〕

近年、電子腕時計として、計算機能、アラーム機能等を
備えたものが開発され、商品化されている。この種の電
子腕時計は、例えば実開昭５８−１８６４９２号公報に
示されているように、時計ケースが平坦であり、しかも
その上面に表示部及び計算機能用のキー釦部が設けられ
ている。そのため、時刻等の情報を表示する表示部がキ
ー釦部によって制約を受け、その面積が小さくなるばか
りか、時計ケース全体が大きくなるという問題がある。
特に、計算機能付きの電子腕時計では、表示部とキー釦
部とが平坦に並んでいるので、キーの操作性が悪いとい
う不都合がある。特に、キー自体が大きい場合には、キ
ーの装着時に、キーとこのキーが装着される時計ケース
上面との間に空気が介在して取付けられてしまい、良好
なキー操作が出来なくなってしまうという不都合も生じ
ていた。

〔考案の目的〕

この考案は上記のような事情を考慮してなされたもの
で、その目的とするところは、キーを設けても、時計ケ
ースを比較的コンパクトに構成でき、かつキーの操作性
にも優れた電子腕時計の時計ケースを提供することにあ
る。

〔考案の要点〕

この考案は上記のような目的を達成するために、時計ケ
ースを所定角度折り曲げて合成樹脂により傾斜部を成形
し、この傾斜部に凹部を設けてキーを配置すると共に、
上記凹部に時計本体内部に貫通する貫通孔を設け、更に
凹部底面に上記貫通孔に連なるキーの取付け時の空気逃
げ用の溝を形成したものである。

〔第１実施例〕 以下、第１図ないし第３図を参照して、この考案の第１
実施例を説明する。

第１図は計算機能付き電子腕時計の要部分解斜視図、第
２図は組立てた状態の断面図、第３図はその要部拡大断
面図であり、図中１は時計ケースである。この時計ケー
ス１は合成樹脂よりなり、そのほぼ右側半分は所定角度
（約２０度）下側へ折り曲げられた形状で、平坦部１ａ
と傾斜部１ｂとを一体に成形したものであり、その各端
部には時計バンド（図示せず）の取付部１ｃ，１ｃが形
成されている。

平坦部１ａは第２図に示すように、上面に時計ガラス２
が両面接着テープ２ａにより取り付けられており、内部
にはモジュール３が傾斜部１ｂ内へ食い込んで配置さ
れ、下面には裏蓋４が傾斜部１ｂの下面に亘って取り付
けられている。モジュール３は時計機能および計算機能
を行なう主要部であり、上部ハウジング５と下部ハウジ
ング６との間に回路基板７を備え、これらの一部が傾斜
部１ｂ内へ食い込んでいる。この場合、回路基板７の上
面にはＬＳＩ８が設けられていると共に、その上方には
液晶表示装置９がインタコネクタ９ａ，９ａを介して配
置されている。液晶表示装置９は時刻、計算等の情報を
表示するものであり、上述した時計ガラス２の下に対応
している。また、回路基板７の下には電池１０が配置さ
れ、地板１１により押えられている。この地板１１は下
部ハウジング６の下面に配置され、下部ハウジング６の
側壁に設けられた突起６ａ，６ａに係止されている。な
お、モジュール３は裏蓋４のモジュール押えリング１２
により時計ケース１内に押えられており、また裏蓋４は
防水リング１３を介して時計ケース１の下部に取り付け
られている。

一方、時計ケース１の傾斜部１ｂは第１図に示すよう
に、上面に凹部１４が形成されており、この凹部１４内
にシートキー１５が配置されるようになっている。即
ち、凹部１４は傾斜部１ｂのほぼ上面全域に形成された
四角形状の比較的薄いものであり、その内側全周には段
差部１４ａが枠状に形成されており、段差部１４ａの内
側はさらに１段低く底面１４ｂが形成されている。これ
により、凹部１４は２段の深さになっている。また、凹
部１４の上辺側（平坦部１ａ側）の段差部１４ａにはス
リット状の細長い挿通孔１４ｃが形成されている。この
挿通孔１４ｃは凹部１４内から時計ケース１の内部に貫
通し、シートキー１５の一部を時計ケース１の内部へ導
くものである。さらに、凹部１４の底面１４ｂには空気
抜き用の溝１４ｄがほぼ「Ｈ」状に形成されており、そ
の中心部が挿通孔１４ｃに導かれている。この溝１４ｄ
は底面１４ｂにシートキー１５を接着するときに、空気
が逃がすものである。

シートキー１５は第３図に示すように、上から順に印刷
シート１６、上側接点シート１７、スペーサ１８、およ
び下側接点シート１９を積層したものであり、可撓性を
有し、時計ケース１の傾斜部１ｂに形成された凹部１４
内に接着されている。即ち、最上部の印刷シート１ｂは
可撓性を有する透明なフィルムよりなり、裏面には計算
等に必要なキーシンボル（例えば、１〜０，＋，−，
×，÷等）が第１図に示すように印刷され、上面から見
えるようになっており、下面には上側接点シート１７が
一体に接着されている。この上側接点シート１７は印刷
シート１６が上方から押されたときに撓むものであり、
下面には印刷シート１６のキーシンボルと対応して可動
接点１７ａ…が設けられている。スペーサ１８は可動接
点１７ａ…と対応する箇所に開口１８ａ…が形成された
シートであり、上面は上側接点シート１７に接着され、
下面はその周縁部分が凹部１４の段差部１４ａ上に接着
されている。下側接点シート１９はスペーサ１８の下に
配置され、その下面が凹部１４の底面１４ｂに両面接着
テープ等の接着材１９ｆで接着されるものであり、その
上面には固定接点１９ａ…が上側接点シート１７の可動
接点１７ａ…と離間対応して設けられている。即ち、固
定接点１９ａ…は印刷シート１６のキーシンボルが押さ
れると、上側接点シート１７の可動接点１７ａ…がスペ
ーサ１８の開口１８ａ…を通して接触し、短絡するもの
であり、第１図に示すように下側接点シート１９の上面
に設けられている。しかも、各固定接点１９ａ…は下側
接点シート１９に設けられたスルーホール１９ｂ…によ
り下面側に導かれ、それぞれ下面側の電極端子１９ｃ…
に接続されている。この場合、下側接点シート１９の一
側（第１図中左側）は傾斜部１ｂの凹部１４から延出す
る延出部１９ｄが形成されており、この延出部１９ｄの
下面に電極端子１９ｃ…が配列形成されている。また、
延出部１９ｄは第３図に示すように、凹部１４の挿通孔
１４ｃを通して時計ケース１の内部に挿入し、この挿入
した部分がモジュール３の上部ハウジング５に押え付け
られており、その下面に形成された電極端子１９ｃ…は
インタコネクタ２０を介して回路基板７に電気的に接続
されている。

このように構成された電子腕時計は、通常、モジュール
３の液晶表示装置９に時刻が表示されるが、切り替えス
イッチ（図示せず）によりモードを切り替えて計算モー
ドにセットし、シートキー１５を押圧操作すると、その
操作に応じた計算データがモジュール３に与えられ、そ
の計算データおよび計算結果等の情報が液晶表示装置９
に順次表示される。

しかるに、上記のような電子腕時計によれば、所定角度
折り曲げられた合成樹脂で一体に成形された時計ケース
１を設けたので、時計ケース１を大きくすることなく、
その表面積を大きくすることができ、しかも時計ケース
１を折り曲げて平坦部１ａと傾斜部１ｂとを一体に形成
し、かつ平坦部１ａの内部に配置されるモジュール３を
傾斜部１ｂ内へ食い込ませるようにしたので、特に時計
ケース１をコンパクトに構成することができる。因に、
上述した電子腕時計の大きさは次のようになっている。
即ち、時計ケース１の平坦部１ａの長さは２２〜２５m
m、傾斜部１ｂの長さは１８〜２０mm、モジュール３の
長さは２６〜３０mmで、全体の厚さは４〜６mm程度であ
り、極めてコンパクトなものを得ることができる。

また、上記のような電子腕時計においては、時計ケース
１の折り曲げられた傾斜部１ｂにシートキー１５を設け
たので、キーの操作性が良く、しかも、シートキー１５
を操作するときに、指等で液晶表示装置９に表示された
情報が隠れることがなく、表示が見易い。また、傾斜部
１ｂの傾きは平坦部１ａに対し２０度であるから、腕に
フィットし易く、極めて良好に取り付けることができ
る。さらに、シートキー１５が取り付けられる傾斜部１
ｂの凹部１４はその底面１４ｂに空気抜き用の溝１４ｃ
が形成されているので、シートキー１５の下側接点シー
ト１９を接着するときに、底面１４ｂと下側接点シート
１９との間に気泡が生じることがなく、下側接点シート
１９を良好に取り付けることができる。

〔第２実施例〕 次に、第４図および第５図を参照して、この考案の第２
実施例を説明する。

時計ケース３０は合成樹脂よりなり、そのほぼ左側半分
は所定角度（約２０度）下側へ折り曲げられた形状で、
平坦部３０ａと傾斜部３０ｂとを一体に成形したもので
あり、その各端部には時計バンド（図示せず）の取付部
３０ｃ，３０ｃが形成されている。この場合、時計ケー
ス３０は後述する因子部品が直接組み込まれるものであ
り、その厚さは前述した第１実施例の時計ケース１より
も薄くなっている。

即ち、平坦部３０ａは第４図に示すように、その上面に
時計ガラス３１が両面接着テープ等の接着材３１ａによ
り取り付けられていると共に、後述するスイッチ３２が
設けられており、内部には液晶表示装置３３および回路
基板３４が組み込まれている。液晶表示装置３３は時
刻、計算等の情報を表示するものであり、平坦部３０ａ
の内部における上側に配置され、時計ガラス３１に接近
しており、インタコネクタ３３ａを介して回路基板３４
に電気的に接続されている。回路基板３４は平坦部３０
ａ内の下側に配置され、ビス３４ａ…により平坦部３０
ａに取り付けられていると共に、インタコネクタ３３ａ
を介して液晶表示装置３３を押え付けている。この場
合、回路基板３４はその左側が傾斜部３０ｂ内へ延びて
いると共に、右側はスイッチ３２の下側へ延びている。
なお、回路基板３４の上面にはＬＳＩ３４ｂが設けられ
ている。

一方、傾斜部３０ｂは第４図および第５図に示すよう
に、その上面に凹部３５が形成されていると共に、内部
には電池収納部３６が形成されている。凹部３５は傾斜
部３０ｂのほぼ上面全域に形成された四角形状の比較的
薄いものであり、その内部にシートキー３７が接着され
ており、その中央には下側の電池収納部３６に連通する
スリット状の細長い貫通孔３５ａが形成されている。こ
の場合、シートキー３７は第５図に示すように、上から
順に印刷シート３８、スペーサ３９、および接点シート
４０を一体に積層したものであり、その下面にはヒート
シール４１が接続されている。最上部の印刷シート３８
は可撓性を有するフィルムよりなり、表面には計算等に
必要なキーシンボル（例えば、１〜０，＋，−，×，÷
等）が第１実施例と同様に印刷されており、下面には可
動接点３８ａ…がキーシンボルと対応して設けられてい
る。スペーサ３９は可動接点３８ａ…と対応する箇所に
開口３９ａ…が形成されたシートであり、下面には接点
シート４０が接着されている。接点シート４０は傾斜部
３０ｂの凹部３５内に接着材４０ｂにより接着されるも
のであり、上面に固定接点４０ａ…が印刷シート３８の
可動接点３８ａ…と離間対応して設けられている。即
ち、固定接点４０ａ…は印刷シート３８が押されると、
印刷シート３８の可動接点３８ａ…がスペーサ３９の開
口３９ａ…を通して接触し、短絡するものであり、その
各電極は接点シート４０の下面に導かれ、下面に接着さ
れたヒートシール４１の各電極（図示せず）に接続され
ている。ヒートシール４１は屈曲自在なシートであり、
その表面には接続用の電極パターン（図示せず）が設け
られており、その一端が上述したように接点シート４０
に接続され、他端は時計ケース３０の傾斜部３０ｂに形
成された凹部３５の貫通孔３５ａを通して電池収納部３
６内に送り込まれた後、電池収納部３６の内側上面に沿
って時計ケース３０の平坦部３０ａの内部へ導かれて回
路基板３４の上方に配置され、インタコネクタ４２によ
り回路基板３４に電気的に接続されている。また、傾斜
部３０ｂの電池収納部３６内には釦型電池４３が収納さ
れている。この電池４３は各電極が電極板４３ａ、及び
電極板を兼る電池押え板４３ｂにより平坦部３０ａ内の
回路基板３４に電気的に接続されている。また、時計ケ
ース３０の下部には裏蓋４４が平坦部３０ａと傾斜部３
０ｂとに亘って防水パッキン４４ａを介して固定ビス
（図示せず）により固定されている。この場合、裏蓋４
４は平板状のものであり、その左側が傾斜部３０ｂと同
様に折り曲げられて傾斜している。

なお、平坦部３０ａには第４図に示すようにスイッチ３
２が設けられている。このスイッチ３２は時刻修正およ
びモード切替等を行なうものであり、１枚の弾性ゴムシ
ート３２ａに釦部３２ｂと導電ゴムからなる軸部３２ｃ
とが一体に形成され、平坦部３０ａに形成された収納凹
部４５内に収納されている。即ち、スイッチ３２は弾性
ゴムシート３２ａの周縁部が収納凹部４５の周縁部に両
面接着テープ等の接着材４ｂ及び３１ａで接着されてお
り、釦部３２ｂは時計ガラス３１に形成された開口部３
１ｂ内を通して上方に突出している。また、導電ゴムか
らなる軸部３２ｃは収納凹部４５に形成された貫通孔４
５ａ内に上下動可能に挿入し、平坦部３０ａ内の回路基
板３４上に設けられた固定接点部（図示せず）に離間対
向している。これにより、スイッチ３２は釦部３２ｂが
上方から押されると、弾性ゴムシート３２ａが撓わんで
軸部３２ｃが押し下げられ、この軸部３２ｃの導電ゴム
（可動接点）が回路基板３４の固定接点部に接離可能に
接触し、固定接点部が短絡してオンする。なお、スイッ
チ３２は弾性ゴムシート３２ａの周縁部が両面接着テー
プ等の接着材３１ａ，４ｂで接着されることにより、防
水が図られている。

しかるに、このように構成された電子腕時計によれば、
時計ケース３０に直接、液晶表示装置３３、回路基板３
４、および釦型電池４３等の電子部品を組み込むように
したので、全体の厚さを前述した第１実施例のものより
もさらに薄くすることができる。因に、第２実施例の電
子腕時計の厚さは約２〜３mm程度となり、極めてコンパ
クトなものを得ることができる。

なお、この考案は上述した各実施例に限定されることな
く、種々変形可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案の電子腕時計の時計ケー
スによれば、平坦部及びこの平坦部に対して所定角度折
り曲げられた傾斜部を合成樹脂により一体に成形したの
で、キーを設けても、比較的コンパクトに構成すること
ができるばかりか、キーの取付け部に空気逃げ用の溝を
形成し、この溝の端部が時計本体内部に貫通する貫通孔
につながるようにしたので、キーの装着時に、キーとこ
のキーが装着される時計ケース上面との間の空気を上記
貫通孔を介して抜くことが出来、空気が介在して取付け
られてしまうことにより良好なキー操作が出来なくなっ
てしまうという不都合も防止でき、キーの操作もしやす
いという優れた利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の第１実施例を示し、第
１図はその要部分解斜視図、第２図は組立てた状態の断
面図、第３図はその要部拡大断面図、第４図および第５
図はこの考案の第２実施例を示し、第４図はその全体断
面図、第５図はその要部拡大断面図である。 １，３０……時計ケース、１ａ，３０ａ……平坦部、１
ｂ，３０ｂ……傾斜部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上面に時計ガラスが取付けられ内部に時計
   機構が収納される収納部が形成された腕時計ケース本体
   部と、この腕時計ケース本体部に対して所定角度傾斜し
   て形成された傾斜部とからなる電子腕時計の時計ケース
   であって、前記傾斜部は、シート状のキーが装着される
   凹部と、この凹部の一部から前記時計ケース本体部の前
   記時計機構の収納部にかけて貫通し前記シート状のキー
   の延出部が挿通される貫通孔と、この貫通孔に端部がつ
   ながるように前記凹部の底面に形成され前記シート状の
   キーが装着された際の空気抜き用の溝とを具備している
   ことを特徴とする電子腕時計の時計ケース。