JPH06239753A - 抗血栓経皮吸収製剤 - Google Patents

抗血栓経皮吸収製剤

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JPH06239753A
JPH06239753A JP2521893A JP2521893A JPH06239753A JP H06239753 A JPH06239753 A JP H06239753A JP 2521893 A JP2521893 A JP 2521893A JP 2521893 A JP2521893 A JP 2521893A JP H06239753 A JPH06239753 A JP H06239753A
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JP
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antithrombotic
acrylate
meth
drug
weight
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JP2521893A
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Ryusuke Okamoto
隆介 岡本
Fumio Kamiyama
文男 神山
Tamaki Yoshioka
環 吉岡
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 支持体上に、薬物を含有した粘着剤層を設け
てなる経皮吸収製剤において、粘着剤層がアクリル系粘
着剤からなり、薬物がアスピリンであることを特徴とす
る、抗血栓経皮吸収製剤である。 【効果】 副作用が無く、かつ長時間にわたり抗血栓作
用を発現することができる、優れた抗血栓経皮吸収製剤
を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は抗血栓経皮吸収製剤に
関するものであり、より詳細にはアスピリンを持続的に
経皮吸収させることにより、抗血栓作用を発現する、抗
血栓経皮吸収製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、脳梗塞や心筋梗塞による死亡率の
増加が大きな問題となっている。これらの疾患は、一般
に、動脈硬化により狭窄した動脈に、血栓が蓄積して、
血流が遮断されることに原因している。
【0003】ここで言う血栓とは、血液中の血小板が凝
集したものであるが、この血栓生成の機構の一つとし
て、生体内のアラキドン酸代謝経路の中間生成物である
トロンボキサンA2(TXA2)の関与の可能性が示唆
されている。一方、1970年頃にはTXA2の前駆体
であるプロスタグランジン(PG)の合成を、アスピリ
ンおよびその類縁物質が強力に阻害することが見い出さ
れており、したがって、アスピリンを投与することによ
り、PGの生合成、それによるTXA2の生合成を抑
え、血栓の生成を減少させることが考えられた。このよ
うな経緯により、アスピリンの経口投与による上記疾患
の予防について、これまでいくつかの試みがなされてい
る。
【0004】具体的には、1989年に、低用量のアス
ピリンを1日おきに5年間経口投与した結果、心筋梗塞
の発生が約44%も低下したとの報告がなされている。
一方、特開昭63−35522、特公平2−5008
7、特開平4−128232および特開平4−1282
33などでは、アスピリンと他剤を組み合わせることに
より、抗血栓作用を増強させた経口剤が提案されてい
る。
【0005】しかし、これらの経口投与による血栓治療
法も完全なものではない。すなわち、従来から知られて
いるように、アスピリンの主たる副作用は、経口投与時
の胃腸障害であり、血栓予防のためには低用量であって
も長期間の経口投与が必要であるため、経口投与で生じ
る胃腸障害は無視できない問題となっている。この対策
として、特開平3−141224では、アスピリンが吸
収される部位を分散することにより、胃腸障害を低減す
る手段が提案されている。しかし、これは副作用の根本
的な解決手段としては不十分である。
【0006】また、経口投与では、薬物の放出量がコン
トロールできないため、薬効の持続性がなく、1日3回
服用の必要があったり、服用直後の血中濃度が一時的に
急上昇するなど、一般に知られている種々の難点があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況か
ら、胃腸障害などの副作用に関係がなく、かつ長時間に
わたり血中濃度を一定のレベルに維持できる、抗血栓作
用を目的とした、アスピリンの経皮製剤化は大きな意義
があり、強く望まれている。
【0008】この発明は上記要望にこたえるものであっ
て、その目的とするところは、アスピリンを経皮的に吸
収せしめ、副作用が無く、かつ長時間にわたり抗血栓作
用を発現することができる抗血栓経皮吸収製剤を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決すべく工夫されたもので、アスピリンを薬効成分と
した経皮吸収製剤を皮膚に貼付すると、長時間にわたり
血小板の凝集反応による血栓の生成を有意に阻害する、
という知見を得て完成されたものである。
【0010】すなわち、この発明による抗血栓経皮吸収
製剤は、支持体上に、薬物を含有した粘着剤層を設けて
なる経皮吸収製剤において、粘着剤層がアクリル系粘着
剤からなり、薬物がアスピリンであることを特徴とする
ものである。
【0011】以下、この発明による抗血栓経皮吸収製剤
の各構成成分およびその調製法について詳しく説明す
る。
【0012】(1) アクリル系粘着剤 この発明で用いられるアクリル系粘着剤は、常温で皮膚
に対し長時間固着し得る感圧接着性を有するものであれ
ば、その組成は特に限定されないが、好適には、炭素数
1〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とか
ら得られるエステルの単独重合体または共重合体、ある
いは上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他
の官能性モノマーとの共重合体が用いられる。
【0013】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、
アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル
酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオ
クチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシ
ル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルな
どが例示される。
【0014】上記官能性モノマーの例としては、水酸基
を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ
基を有するモノマー、ピロリドン環を有するモノマーな
どが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレートなどが例示される。アミド基を
有するモノマーとしては、アクリルアミド、ジメチルア
クリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどのアルキル
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリル
アミド、N−エトキシメチルアクリルアミドなどのN−
アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン
アクリルアミドなどが例示される。アミノ基を有するモ
ノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレートな
どが例示される。ピロリドン環を有するモノマーとして
はN−ビニル−2−ピロリドンなどが例示される。
【0015】上記以外の共重合性モノマーとしては、酢
酸ビニル、ビニルアルコール、スチレン、α−メチルス
チレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プ
ロピレン、ブタジエンなども使用できる。
【0016】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
とN−ビニル−2−ピロリドンとの共重合体が特に好ま
しく使用される。この場合、アクリル系粘着剤の調製に
用いられる全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキル
エステルの割合は50重量%以上、好ましくは65重量
%以上であり、N−ビニル−2−ピロリドンの割合は1
〜35重量%である。全モノマー中の(メタ)アクリル
酸アルキルエステルの割合が50重量%未満であった
り、またはN−ビニル−2−ピロリドンの割合が35重
量%を超えると、粘着剤層の粘着性が不足し、逆にN−
ビニル−2−ピロリドンの割合が1重量%未満である
と、薬物の放出促進効果が十分に発揮されない。
【0017】(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、
N−ビニル−2−ピロリドン以外のモノマー(すなわ
ち、水酸基を有するモノマー、アミド基を有するモノマ
ーまたはアミノ基を有するモノマー)とを共重合する場
合は、全モノマー中の水酸基を有するモノマー、アミド
基を有するモノマーまたはアミノ基を有するモノマーの
割合は、好ましくは49重量%以下である。
【0018】アクリル系粘着剤の製造用モノマー成分に
は、さらに必要に応じて多官能性モノマーが加えられ、
上記モノマー成分と共重合されることもある。この多官
能性モノマーの添加により、生成する重合体間にごくわ
ずかに架橋が生じ、それにより粘着剤の内部凝集力が増
大する。そのため貼付された皮膚の性状や発汗量にほと
んど無関係に貼付剤剥離時のいわゆる糊残り現象がほぼ
解消せられる。しかも、この多官能性モノマーの添加は
薬物の放出性や低皮膚刺激性には何ら悪影響を与えな
い。このような多官能性モノマーとしては、たとえば、
ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、
テトラ(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これ
に限定されない。より具体的には、ヘキサメチレングリ
コールやオクタメチレングリコールなどのポリメチレン
グリコール類と(メタ)アクリル酸とを結合させて得ら
れるジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール
やポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリ
コール類と(メタ)アクリル酸とを結合させて得られる
ジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレートやグリセリントリ(メタ)アクリ
レートなどのトリ(メタ)アクリレート;およびペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテト
ラ(メタ)アクリレートが例示される。これら多官能性
モノマーは2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官
能性モノマーは、粘着剤の製造に供される、多官能性モ
ノマー以外の全モノマー100重量部に対し、0.00
5〜0.5重量部の割合で使用される。多官能性モノマ
ーの使用量が0.005重量部未満であると、架橋によ
る内部凝集力向上の効果が小さく、また0.5重量部を
超えると重合により得られる粘着剤がゲル化を起こし易
く、薬物の拡散および放出にも影響が現われる。
【0019】アクリル系粘着剤を調製するには、通常、
重合開始剤の存在下に所要のモノマーの溶液重合を行
う。ただし、重合形態はこれに限定されない。また重合
反応条件は主としてモノマーの種類により適宜選定され
る。
【0020】(2) 薬物拡散促進剤 この発明による抗血栓経皮吸収製剤は、アスピリンの放
出性を向上させて、十分な血中濃度を確保するために、
必要に応じて薬物拡散促進剤を添加してもよい。薬物放
出促進剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル50〜80重量%と(メタ)アクリル酸20〜50重
量%からなる共重合体が好適に用いられる。上記共重合
体の調製に用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルは、好ましくは炭素数1〜18の脂肪族アルコール
と(メタ)アクリル酸とから得られたエステルである。
【0021】上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、
アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル
酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メ
タクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオ
クチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシ
ル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルな
どが例示される。
【0022】これらの(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルと、(メタ)アクリル酸とを共重合して得られる薬
物放出促進剤のうちには、常温で粘着性を有しないもの
もあるが、アクリル系粘着剤に対する薬物放出促進剤の
配合割合1〜30重量%の範囲では特に問題はない。
【0023】薬物放出促進剤の調製に用いられる全モノ
マー中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は
50〜80重量%、(メタ)アクリル酸の割合は20〜
50重量%であることが好ましい。全モノマー中の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの割合が50重量%未
満であると((メタ)アクリル酸の割合が50重量%を
越えると)、アクリル系粘着剤と薬物放出促進剤の相溶
性が悪くなり、逆に(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルの割合が80重量%を超えると((メタ)アクリル酸
の割合が20重量%未満であると)、薬物の放出促進効
果が十分に発揮されない。
【0024】薬物放出促進剤の具体例としては、メタク
リル酸−アクリル酸エチル・共重合体(オイドラギット
L30D−55、L100−55、レーム・ファルマ社
(Rohm Pharma Gmbh)製)、メタクリル酸−アクリル酸メ
チル・共重合体(オイドラギットL100、レーム・フ
ァルマ社製)、メタクリル酸−メタクリル酸メチル・共
重合体(オイドラギットS100、レーム・ファルマ社
製)などが例示される。これらの中でもメタクリル酸−
アクリル酸メチル・共重合体(オイドラギットL10
0)およびメタクリル酸−メタクリル酸メチル・共重合
体(オイドラギットS100)が好適に用いられる。
【0025】アクリル系粘着剤と薬物放出促進剤の配合
割合は、アクリル系粘着剤70〜99重量%に対し、薬
物放出促進剤1〜30重量%であることが好ましい。ア
クリル系粘着剤の割合が70重量%未満であると(薬物
放出促進剤の割合が30重量%を越えると)、粘着剤層
の粘着性が低下し、逆にアクリル系粘着剤の割合が99
重量%を越えると(薬物放出促進剤の割合が1重量%未
満であると)、薬物の放出促進効果が十分に発揮されな
い。アクリル系粘着剤と薬物放出促進剤とからなるアク
リル系粘着剤には、必要に応じて粘着性の調整のために
粘着性付与剤を配合してもよい。粘着性付与剤の例とし
ては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマ
ロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂などが
例示され、好ましくは水添ロジンエステルなどのロジン
系樹脂が用いられる。
【0026】薬物放出促進剤としてのアクリル系共重合
体を調製するには、通常、重合開始剤の存在下に所要の
モノマーの溶液重合を行う。ただし、重合形態はこれに
限定されない。また重合反応条件は主としてモノマーの
種類により適宜選定される。
【0027】(3) 薬物 この発明による抗血栓経皮吸収製剤で用いられる薬物
は、アスピリンすなわちアセチルサルチル酸である。ア
スピリンは血小板凝固阻止作用を発現し、抗血栓薬とし
て働く。
【0028】アスピリンの含有量は、粘着剤層中に好ま
しくは1〜50重量%である。含有量が50重量%より
多いと、アスピリンが粘着剤層中に析出したり、常温で
の粘着剤層の粘着性が不十分になったりする。また、含
有量が1%より少ないと有効な薬効が確保できない。
【0029】(4) 支持体 この発明による抗血栓経皮吸収製剤の支持体としては、
柔軟であるが経皮吸収製剤に自己支持性を付与し、かつ
粘着剤層中の薬物の揮散や移行を防止する役目を果たす
ものが使用される。支持体の素材としては、酢酸セルロ
ース、エチルセルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデ
ン、アルミニウムなどが例示される。これら素材はたと
えば単層のシートないしフィルムや2枚以上の積層体と
して用いられる。アルミニウム以外の素材は織布や不織
布として使用してもよい。支持体としては、皮膚面に対
して適度な追従性を有する素材よりなるものが好適に用
いられ、特にポリエチレンテレフタレートとエチレン−
酢酸ビニル共重合体とのラミネートフィルムなどが好ま
しい。
【0030】このような支持体表面に一定の厚みを有す
る粘着剤層が形成されて、この発明による抗血栓経皮吸
収製剤が得られる。また、支持体と粘着剤層との接着性
を良好ならしめるために、支持体にコロナ処理、プラズ
マ放電処理を施したり、アンカーコート剤を塗布するこ
ともある。支持体の厚みは500μm以下、好ましくは
5〜150μmである。
【0031】(5) 剥離紙 この発明による抗血栓経皮吸収製剤は、使用時までその
粘着剤層表面を保護するために通常はその貼付面に剥離
紙を備えている。剥離紙としてはポリエチレンテレフタ
レートのフィルムをシリコン処理してなるものがよく用
いられるが、剥離紙はこれに限定されない。剥離紙の厚
みは1000μm以下、好ましくは20〜200μmで
ある。
【0032】(6) 調整法 この発明による抗血栓経皮吸収製剤を調製するには通常
の粘着テープの製造方法が適用できる。その代表例は溶
剤塗工法であり、これ以外にもホットメルト塗工法、電
子線硬化エマルジョン塗工法などが用いられる。この発
明による抗血栓経皮吸収製剤を溶剤塗工法で形成するに
は、たとえば、粘着剤と、薬物放出促進剤と、薬物と、
必要に応じて加えられる添加剤とを、適当な溶媒に溶解
ないし分散させ、得られた溶液ないし分散液を支持体の
表面に直接塗布・乾燥し、所要厚みの粘着剤層を形成す
る。この粘着剤層を保護用の剥離紙に密着させ、目的と
するテープ状の抗血栓経皮吸収製剤を得る。また、この
溶液ないし分散液を保護用の剥離紙上に塗布し、乾燥後
に得られた粘着剤層を支持体に密着させてもよい。
【0033】この発明による抗血栓経皮吸収製剤をホッ
トメルト法で調製するには、例えば、粘着剤、薬物放出
促進剤、薬物、さらに必要に応じて各種配合剤を加熱融
解した後混合させ、得られた溶融液を支持体表面に直接
塗布し、冷却固化させ、粘着剤層を形成させる。この粘
着剤層を保護用の剥離紙に密着させ、目的の経皮吸収製
剤を得る。また、この溶融液を剥離紙上に塗布し、冷却
固化後に得られた粘着剤層を支持体に密着させてもよ
い。
【0034】粘着剤層の厚みは使用目的により異なる
が、通常、約10〜約1000μm、好ましくは20〜
200μmの範囲である。粘着剤層の厚みが約10μm
未満であると傷の保護効果が不十分であったり、必要量
の薬物を含有することができず、粘着性も不十分であ
る。逆に、この厚みが1000μmを越えると粘着剤層
の柔軟性が損なわれたりする。
【0035】
【実施例】つぎに、この発明を具体的に説明するため
に、この発明の1例を示す実施例およびこれとの比較を
示す比較例をいつくか挙げ、さらに得られた各種経皮吸
収製剤の性能試験結果を示す。
【0036】(1)抗血栓経皮吸収製剤の調整 実施例1 (a) アクリル系粘着剤の調製 アクリル酸−2−エチルヘキシル75重量%(187、
5g)、N−ビニル−2−ピロリドン25重量%(6
2.5g)とをセパラブルフラスコに仕込み、重合初期
のモノマー濃度が50重量%になるように酢酸エチル2
50gを加えた。この溶液を窒素雰囲気下に80℃に加
熱し、重合開始剤として過酸化ラウロイル1gを酢酸エ
チル100mlに溶解してなる溶液を逐次少量ずつ添加
し、8時間重合反応を行った。
【0037】かくして、固形分濃度41.7重量%を有
するアクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
【0038】(b) 薬物配合塗工液の調製 上記アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液に、アスピリン
を全固形分中濃度が17.3重量%(全固形分中で飽和
溶解度)となるように溶解させ、薬物配合塗工液を調製
した。
【0039】(c) 抗血栓経皮吸収製剤の調製 厚さ35μmのポリエチレンテレフタレート(PET)
のフィルムをシリコン処理してなる剥離紙上に、上記塗
工液を塗布した後、60℃で30分間乾燥し、厚さ80
μmの粘着剤層を形成した。ついで、PETフィルムと
エチレン−酢酸ビニルの共重合体(EVA)フィルムと
をラミネートしてなる厚さ35μmの支持体のPETフ
ィルム側に上記粘着剤層を密着させた。かくして、テー
プ状の抗血栓経皮吸収製剤を得た。
【0040】実施例2 実施例1の工程(b) において、アクリル系粘着剤の酢酸
エチル溶液に薬物放出促進剤としてメタクリル酸−メタ
クリル酸メチル・共重合体(オイドラギットS100、
レーム・ファルマ社製)を全固形分中濃度が2重量%と
なるように、また薬物であるアスピリンを全固形分中濃
度が16.2重量%(全固形分中で飽和溶解度)となる
ようにそれぞれ溶解させ、薬物放出促進剤および薬物配
合塗工液を調製した以外は、実施例1と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0041】比較例1 実施例1の工程(b) において、薬物であるアスピリンを
添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によ
って経皮吸収製剤を調製した。
【0042】(2) 抗血栓経皮吸収製剤の性能評価 実施例および比較例で得られた抗血栓経皮吸収製剤につ
いて、抗血小板凝集作用における性能を調べた。
【0043】非ステロイド系消炎鎮痛剤を、少なくとも
過去2週間にわたって服用していない自発的被験者の前
腕部に、10cm×5cmの経皮吸収製剤を貼付した。
貼付開始から5時間後、24時間後および30時間後に
それぞれ採血を行い、貼付31時間目に経皮吸収製剤を
剥離した。剥離から90時間後(貼付開始から120時
間後)に再度採血を行い、得られた血液サンプルについ
て以下に示す方法で抗血小板凝集作用を測定した。
【0044】すなわち、血液を9mlに3.31%のく
えん酸ナトリウムの生理食塩水溶液1mlを添加し、2
00×gで10分間遠心分離を行い、血小板を含む血漿
を得た。この血漿0.4mlに、下記表に示す量の10
μMアデノシン−5' −二りん酸(ADP)の生理食塩
水溶液を添加し、血液凝固測定装置(サンクロットS
T;三光純薬社製)により血小板凝集度を測定した。測
定結果は、全血小板に対する、凝集した血小板の比率
(血小板凝集率%)で表した。
【0045】上記試験の結果を表1〜3および図1に示
す。
【0046】
【表1】
【表2】
【表3】 上記表および図から明らかなように、この発明の範囲に
属する実施例の抗血栓経皮吸収製剤は、アスピリンが皮
膚を透過して血中に吸収され、その結果、比較例に比べ
てアデノシン−5' −二りん酸による血小板凝集が有意
に阻害され、優れた抗血栓作用を発現することが認めら
れる。
【0047】
【発明の効果】この発明による抗血栓経皮吸収製剤は、
以上の如く構成されているので、副作用が無く、かつ長
時間にわたり抗血栓作用を発現することができる、優れ
た抗血栓経皮吸収製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例の経皮吸収製剤について貼
付後の経過時間と血小板凝集率との関係を示すグラフで
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、薬物を含有した粘着剤層を
    設けてなる経皮吸収製剤において、粘着剤層がアクリル
    系粘着剤からなり、薬物がアスピリンであることを特徴
    とする、抗血栓経皮吸収製剤。
JP2521893A 1993-02-15 1993-02-15 抗血栓経皮吸収製剤 Pending JPH06239753A (ja)

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JP2521893A JPH06239753A (ja) 1993-02-15 1993-02-15 抗血栓経皮吸収製剤

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0732322A1 (en) * 1995-03-17 1996-09-18 Ube Industries, Ltd. Acetylsalicylic acid derivatives having a vinyl group
US5693320A (en) * 1996-03-17 1997-12-02 Ube Industries, Ltd. (Meth)acryloyloxy substituted acetylsalicylates and polymers thereof

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