JPH06239038A - 昇華型感熱転写記録方式の被記録体の製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録感度の低下や画質の悪化を引き起こすこ
となく、所望の光沢度合いの受像層を得ることが可能な
昇華型感熱転写記録方式の被記録体の製法の提供。 【構成】 基材１の表面に形成された、活性エネルギー
線の照射により硬化する受像層２に活性エネルギー線を
照射してこれを硬化する昇華型感熱転写記録方式の被記
録体の製法であって、活性エネルギー線を照射するに際
し、該活性エネルギー線を透過するロール３を用い、こ
のロール３で受像層２を押圧しつつ、該ロール３を透過
して前記受像層２のロール３による押圧面に活性エネル
ギー線を照射する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、昇華型感熱転写記録方
式に使用される被記録体を製造する方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】昇華型感熱転写記録方式は、記録時の音
が静かである、装置が小型で安価である、保守が容易で
ある、出力時間が短い等の特徴を有している。さらに、
昇華型染料を使用しているため、発熱エネルギー量を連
続的に変化させることにより容易に階調度の高い記録が
できるほか、高濃度、高解像度である等の特徴を持って
いる。そのため、他の記録方式に比べ、特にフルカラー
ハードコピーを得るのに有利であり、カラープリンタ
ー、ビデオプリンター等への記録方式として多く採用さ
れている。

【０００３】このような昇華型感熱転写記録方式に使用
される被記録体としては、一般紙，もしくは合成紙（主
にポリプロピレン），または合成紙／一般紙／合成紙と
いう構成のラミネート紙などの基材上に受像層を形成し
たものが用いられてきた。このような被記録体の受像層
は、光沢度合いが優れたもが要望されるのみならず、様
々な光沢度合いのものが要望されるようになってきてい
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな光沢度合いの要求に対して、受像層の光沢度合いを
自由に制御できる昇華型感熱転写記録方式の被記録体の
製法はこれまでなかった。また、受像層の光沢を下げる
為に、受像層に非染着物質である無機微粒子等を添加す
る方法も試みられているが、この方法によると、記録感
度が低下したり、白ヌケが生じ画質が悪化するという欠
点があった。

【０００５】本発明における目的は、記録感度の低下や
画質の悪化を引き起こすことなく、所望の光沢度合いの
受像層を形成することができる昇華型感熱転写記録方式
の被記録体の製法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の昇華型感熱転写
記録方式の被記録体の製法は、基材の表面に形成され
た、活性エネルギー線の照射により硬化する受像層に活
性エネルギー線を照射してこれを硬化する昇華型感熱転
写記録方式の被記録体の製法であって、活性エネルギー
線を照射するに際し、該活性エネルギー線を透過するロ
ールを用い、このロールで受像層を押圧しつつ、該ロー
ルを透過して前記受像層のロールによる押圧面に活性エ
ネルギー線を照射することを特徴とする。

【０００７】本発明の昇華型感熱転写記録方式の被記録
体の製法においては、活性エネルギー線を透過するロー
ルとして、表面に凹凸が形成されているロールまたは表
面が平滑であるロールを用いることが好ましい。

【０００８】

【作用】本発明の昇華型感熱転写記録方式の被記録体の
製法では、活性エネルギー線を透過するロールを用い、
このロールで受像層を押圧しつつ、該ロールを透過して
上記受像層のロールによる押圧面に活性エネルギー線を
照射することにより、受像層表面に上記ロール表面の形
状が転写されてロール表面の形状と同様の形状が形成さ
れ、さらにこの形状を保持したままで受像層が硬化す
る。

【０００９】上記昇華型感熱転写記録方式の被記録体の
製法において、活性エネルギー線を透過するロールとし
て、表面に凹凸が形成されているロールを用いると、受
像層表面に上記ロール表面の凹凸が転写されてロール表
面の凹凸と同様の凹凸が形成され、さらにこの形状を保
持したままで受像層が硬化する。

【００１０】また、上記昇華型感熱転写記録方式の被記
録体の製法において、活性エネルギー線を透過するロー
ルとして、表面が平滑であるロールを用いると、受像層
表面が上記ロールによって均らされて受像層表面が平坦
になり、さらにこの形状を保持したままで受像層が硬化
する。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の昇華型感熱転写記録方式の被
記録体の製法の実施例を説明する。図１は、昇華型感熱
転写記録方式の被記録体の製法の第一の実施例を説明す
るための工程図である。まず、図１（Ａ）に示すように
基材１上に液状樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線
の照射により硬化する受像層２を形成する。

【００１２】上記基材１は、フィルムまたは紙が適して
おり、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフ
ィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィル
ム、ナイロンフィルム、塩化ビニルフィルム等の各種プ
ラスチック製フィルム及びこれらに白色顔料や充填剤を
加えた白色フィルム；印刷用紙、アート紙、コート紙等
のセルロース繊維を主体とする紙；アクリル紙、ポリプ
ロピレン紙、ポリエステル紙などプラスチック繊維を主
体とする紙などが挙げられる。これらの紙またはフィル
ムは、それ自体をそのまま使用しても良いが、必要に応
じて洗浄、エッチング、コロナ放電、活性エネルキー線
照射、染色、印刷等の前処理が施されたものを使用して
も良い。また、上記基材の２種以上を貼り合わせたラミ
ネート基材も使用できる。

【００１３】上記受像層２をなす液状樹脂組成物は、昇
華性分散染料染着樹脂と、活性エネルギー線の照射によ
り硬化する架橋剤と、少なくとも一種の離型剤からなる
ものである。上記昇華性分散染料染着樹脂の具体例とし
ては、ポリエステル樹脂，ポリアクリル酸エステル樹
脂，ポリカーボネート樹脂，ポリ酢酸ビニル樹脂，スチ
レンアクリレート樹脂，ビニルトルエンアクリレート樹
脂，ポリウレタン樹脂，ポリアミド樹脂，尿素樹脂，ポ
リカプロラクトン樹脂，スチレン−無水マレイン酸樹
脂，ポリ塩化ビニル樹脂，ポリアクリロニトリル樹脂な
どが挙げられる。これらの樹脂は単独でも共重合体でも
または混合物でも使用可能である。活性エネルギー線の
照射により硬化する架橋剤の具体例としては、（メタ）
アクリロイルオキシ基を有する多官能性モノマーもしく
は多官能性オリゴマーが挙げられる。上記のモノマー，
オリゴマーを使用し、活性エネルギー線として紫外線を
使用する場合には架橋反応を起させるための光重合開始
剤が必要である。離型剤の具体例としては固形のワック
スや、フッ素系，シリコン系，リン酸エステル系の界面
活性剤などが挙げられる。また、上記液状樹脂組成物に
は必要に応じてシリカ，タルクなどの無機微粒子、ポリ
エチレン，ポリプロピレンなどの有機微粒子，帯電防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを添加してもよい。

【００１４】上記液状樹脂組成物の塗布量は、受像層２
の厚さが１〜１００μｍの範囲になる程度が適当であ
る。なぜなら、１μｍ未満では記録感度と記録品の安定
性が不充分となり、一方厚さが１００μｍを超えると硬
化に時間がかかったり、記録時にカラーシートとの耐ブ
ロッキング性（非粘着性）が不十分になったりするから
である。

【００１５】次いで、ロール３を用意する。このロール
３は、活性エネルギー線を透過可能な材料からなる円筒
状のもので、その表面には凹凸３ａが形成されている。
ここで、ロール３の材質としては使用される活性エネル
ギー線によって異なるものの、例えば紫外線を活性エネ
ルギー線として用いる場合、石英が好適とされる。ま
た、このロール３の中空部には活性エネルギー線照射装
置４が設けられている。この活性エネルギー線照射装置
４は、活性エネルギー線発生源４ａとこれから発生した
活性エネルギー線を反射する凹面反射鏡４ｂとからなる
もので、活性エネルギー線として紫外線を用いた場合に
は活性エネルギー線発生源４ａとして紫外線照射灯が用
いられる。凹面反射鏡４ｂと活性エネルギー線発生源４
ａとは、互いに一体的にロール３内に設けられたもの
で、ロール３の回転軸として機能するようロール３の軸
位置に配設され、かつロール３を回転自在とするようそ
の両端がベアリング等によって固定されたものである。
凹面反射鏡４ｂは、常に活性エネルギー線発生源４ａの
上方に位置するよう固定して配設されたもので、ロール
３が押圧する面、すなわち回転するロール３の下側に位
置する部分に活性エネルギー線発生源４ａからの活性エ
ネルギー線を反射し、照射するためのものである。

【００１６】そして、図１（Ｂ）に示すようにこのロー
ル３を基材１の搬送速度と同一の速度で回転させながら
受像層２に押圧する。また、これとともに活性エネルギ
ー線照射装置４より活性エネルギー線を出射し、この活
性エネルギー線を上記ロール３を透過して上記受像層２
のロール３による押圧面に照射する。ここで基材１の搬
送速度は受像層２の材質によって選択すればよい。

【００１７】このようにすると、受像層２表面には上記
ロール３表面の凹凸３ａが転写されてロール表面の凹凸
３ａと同様の凹凸が形成され、さらにこの形状を保持し
たまま受像層２が硬化することにより、図１（Ｃ）に示
すような表面に凹凸２ａを有した硬化受像層２ｂが得ら
れる。このようにして得られた硬化受像層２ｂは、その
表面に凹凸２ａが形成されているので光沢度の低いもの
となる。

【００１８】このような昇華型感熱転写記録方式の被記
録体の製法では、活性エネルギー線の透過が可能で、表
面に凹凸３ａが形成されているロール３を用い、このロ
ール３で受像層２を押圧しつつ、上記ロール３を透過し
て受像層２のロール３による押圧面に活性エネルギー線
を照射することによって、表面に凹凸２ａを有し従って
光沢度の低い硬化受像層２ｂを容易に形成することがで
きる。また、受像層２に非染着物質の無機微粒子等を添
加する必要もないので、記録感度の低下や画質の悪化を
引き起こすことも防止される。

【００１９】なお、上記実施例においては活性エネルギ
ー線照射装置４がロール３の中空部に設けられている例
について説明したが、図２に示すように活性エネルギー
線照射装置４をロール３の外側上方に設け、硬化受像層
２ｂを形成するようにしてもよい。

【００２０】つぎに、本発明の昇華型感熱転写記録方式
の被記録体の製法の第二の実施例を説明する。図３は、
昇華型感熱転写記録方式の被記録体の製法の第二の実施
例を説明するための工程図である。まず、図３（Ａ）に
示すように基材１１上に液状樹脂組成物を塗布し、活性
エネルギー線の照射により硬化する受像層１２を形成す
る。上記基材１１としては、上述の第一の実施例の基材
１と同様のものが使用可能である。また、ここでの液状
樹脂組成物としては、上述の活性エネルギー線の照射に
より硬化する受像層２をなす液状樹脂組成物と同様のも
のが使用可能である。

【００２１】次いで、ロール１３を用意する。このロー
ル１３は、表面１３ａが平滑になっている以外は上記ロ
ール３と同様である。また、このロール１３の中空部に
は上記活性エネルギー線照射装置４と同様の活性エネル
ギー線照射装置１４が設けられている。この活性エネル
ギー線照射装置１４は、活性エネルギー線発生源１４ａ
とこれから発生した活性エネルギー線を反射する凹面反
射鏡１４ｂとからなる。

【００２２】そして、図３（Ｂ）に示すようにこのロー
ル１３を基材１１の搬送速度と同一の速度で回転させな
がら受像層１２に押圧する。また、これとともに活性エ
ネルギー線照射装置１４より活性エネルギー線を出射
し、この活性エネルギー線を上記ロール１３を透過して
上記受像層１２のロール１３による押圧面に照射する。
ここで、基材１１の搬送速度は受像層１２の材質によっ
て選択すればよい。

【００２３】このようにすると、受像層１２の表面１２
ａが上記ロール１３によって均らされて受像層１２の表
面１２ａが平坦になり、さらにこの形状を保持したまま
で受像層１２が硬化することにより、図１（Ｃ）に示す
ような表面１２ａが平坦である硬化受像層１２ｂが得ら
れる。このようにして得られた硬化受像層１２ｂは、そ
の表面１２ａが平坦であるので光沢度の高いものとな
る。

【００２４】このような昇華型感熱転写記録方式の被記
録体の製法では、活性エネルギー線の透過が可能で、表
面が平滑であるロール１３を用い、このロール１３を受
像層１２に押圧しつつ、上記ロール１３を透過して上記
受像層１２のロール１３による押圧面に活性エネルギー
線を照射することによって、表面１２ａが平坦で従って
光沢度の高い硬化受像層１２ｂを容易に形成することが
できる。

【００２５】なお、前記実施例においては活性エネルギ
ー線照射装置１４がロール１３の中空部に設けられてい
る例について説明したが、図４に示すように活性エネル
ギー線照射装置１４をロール１３の外側上方に設けると
ともにロール１３として円柱状のものを用い、硬化受像
層１２ｂを形成するようにしてもよい。このように円柱
状のロール１３を用いると、活性エネルギー線照射装置
１４からの活性エネルギー線がロール１３を透過する
際、屈折によりロール１３の下面、すなわち受像層１２
のロール１３による押圧面に集まり好ましい。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の昇華型感熱
転写記録方式の被記録体の製法は、活性エネルギー線を
照射するに際し、該活性エネルギー線を透過するロール
を用い、このロールで受像層を押圧しつつ、該ロールを
透過して前記受像層のロールによる押圧面に活性エネル
ギー線を照射することによって、受像層表面に上記ロー
ル表面の形状が転写されてロール表面の形状と同様の形
状が形成され、さらにこの形状を保持したままで受像層
が硬化するので、記録感度の低下や画質の悪化を引き起
こすことなく、所望の光沢度合いの硬化受像層を容易に
形成することができる。

【００２７】本発明の昇華型感熱転写記録方式の被記録
体の製法において、活性エネルギー線を透過するロール
として、表面に凹凸が形成されているロールを用いる
と、受像層表面に上記ロール表面の凹凸が転写されてロ
ール表面の凹凸と同様の凹凸が形成され、さらにこの形
状を保持したままで受像層が硬化するので、表面に凹凸
を有し従って光沢度の低い硬化受像層を形成することが
できる。また、上記昇華型感熱転写記録方式の被記録体
の製法において、活性エネルギー線を透過するロールと
して、表面が平滑であるロールを用いると、受像層表面
が上記ロールによって均らされて受像層表面が平坦にな
り、さらににこの形状を保持したままで受像層が硬化す
るので、表面が平坦で従って光沢度の高い硬化受像層を
形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の昇華型感熱転写記録方式の被記録体の
製法の第一の実施例を説明するための工程図である。

【図２】第一の実施例において、ロールの外側上方に活
性エネルギー線照射装置が設けられている場合を説明す
るための図である。

【図３】本発明の昇華型感熱転写記録方式の被記録体の
製法の第二の実施例を説明するための工程図である。

【図４】第二の実施例において、ロールの外側上方に活
性エネルギー線照射装置が設けられている場合を説明す
るための図である。

【符号の説明】

１・・・基材、２・・・受像層、２ａ・・・凹凸、２ｂ・・・硬化受
像層、３・・・ロール、３ａ・・・凹凸、４・・・活性エネルギ
ー線照射装置、４ａ・・・活性エネルギー線発生源、４ｂ・
・・凹面反射鏡、１１・・・基材、１２・・・受像層、１２ａ・・
・表面、１２ｂ・・・硬化受像層、１３・・・ロール、１３ａ・
・・表面、１４・・・活性エネルギー線照射装置、１４ａ・・・
活性エネルギー線発生源、１４ｂ・・・凹面反射鏡

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 昭史 広島県大竹市御幸町20番１号 三菱レイヨ ン株式会社中央研究所内 (72)発明者 千田 数実 広島県大竹市御幸町20番１号 三菱レイヨ ン株式会社中央研究所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材の表面に形成された、活性エネルギ
   ー線の照射により硬化する受像層に活性エネルギー線を
   照射してこれを硬化する昇華型感熱転写記録方式の被記
   録体の製法であって、活性エネルギー線を照射するに際
   し、該活性エネルギー線を透過するロールを用い、この
   ロールで受像層を押圧しつつ、該ロールを透過して前記
   受像層のロールによる押圧面に活性エネルギー線を照射
   することを特徴とする昇華型感熱転写記録方式の被記録
   体の製法。
2. 【請求項２】 活性エネルギー線を透過するロールとし
   て、表面に凹凸が形成されているロールを用いることを
   特徴とする請求項１記載の昇華型感熱転写記録方式の被
   記録体の製法。
3. 【請求項３】 活性エネルギー線を透過するロールとし
   て、表面が平滑であるロールを用いることを特徴とする
   請求項１記載の昇華型感熱転写記録方式の被記録体の製
   法。