JP3033838B2 - 耐熱性合成紙及び熱転写受像シート - Google Patents

耐熱性合成紙及び熱転写受像シート

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JP3033838B2 JP2254791A JP25479190A JP3033838B2 JP 3033838 B2 JP3033838 B2 JP 3033838B2 JP 2254791 A JP2254791 A JP 2254791A JP 25479190 A JP25479190 A JP 25479190A JP 3033838 B2 JP3033838 B2 JP 3033838B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐熱性合成紙及びこれを基材とする熱転写受
像シートに関し、更に詳しくは耐熱性に優れた熱転写受
像シートの提供を目的とする。
(従来の技術及びその問題点) 従来、種々の熱転写方法が公知であるが、それらの中
で昇華性染料を記録剤とし、これを紙やプラスチックフ
イルム等の基材シートに担持させて熱転写フイルムと
し、染料受容層を設けた紙やプラスチックフイルム等の
受像シート上に各種のフルカラー画像を形成する方法が
提案されている。
この場合には加熱手段としてプリンターのサーマルヘ
ッドや赤外線レーザーが使用され、極めて短時間の加熱
によって3色又は4色の多数の色ドットを受像シートに
転移させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラー画
像を再現するものである。
この様に形成された画像は、使用する色材が染料であ
ることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れている
為、得られる画像は中間色の再現性や階調性に優れ、従
来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像と同様で
あり、且つフルカラー写真画像に匹敵する高品質の画像
が形成可能となっている。
上記方法で使用する受像シートとしては、紙の表面に
染料受容層を設けたものが提案されているが、この場合
は基材が表面平滑性に劣る紙であることから、染料受容
層の表面平滑性が欠け、高画質画像が要求される場合に
は不満足である。
この様な問題を解決する目的で表面平滑性に優れた多
孔質合成紙を基材とする受像シートが提案されている
が、この場合には基材が熱可塑性樹脂からなること及び
多孔質であることから基材自体の耐熱性が不足し、サー
マルヘッドや赤外線レーザー等で画像形成する際に、受
像シートが凹凸に波打ったり、収縮したり、更にはカー
ルが発生するという問題がある。更に得られた画像を熱
でラミネートする等の各種熱処理を施す場合、熱変形、
収縮、溶融等が生じ熱加工が困難であるという問題があ
る。
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解
決し、耐熱性に優れた合成紙及び熱転写受像シートを提
供することである。
(問題点を解決する為の手段) 上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、
本発明は、合成樹脂と充填材とからなる組成物を延伸処
理してなる多孔性合成紙の製造方法において、上記樹脂
成分が電子線硬化性成分として、ラジカル重合性二重結
合を含むポリマー、オリゴマー及び/又はモノマー、又
は電子線によってラジカルを発生する過酸化物を含み、
延伸処理後に電子線によって架橋処理することを特徴と
する耐熱性合成紙の製造方法、該方法で得られた耐熱性
合成紙、及び該合成紙を用いた熱転写受像シートであ
る。
(作用) 合成紙を電子線にて架橋処理することによって耐熱性
が向上し、これを基材シートとして使用することで耐熱
性に優れた熱転写受像シートが容易に提供される。
(好ましい実施態様) 次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
本発明の耐熱性合成紙は、合成樹脂と充填剤とからな
る組成物を延伸処理してなる多孔性合成紙を電子線によ
って架橋処理することによって得られる。
本発明で使用する多孔質合成樹脂は、ポリプロピレン
等の熱可塑性樹脂と無機充填剤とからなる組成物を溶融
混練し、これを押出成膜方法で成膜後、縦方向に延伸処
理して芯材を形成し、続いてその両面に同様な組成物か
らなる被膜を押出ラミネートし、この積層物を横方法に
延伸することによって得られる。この多孔質合成紙自体
及びその製造方法自体はいずれも従来公知の技術に準じ
ればよい。
上記多孔質合成紙の電子線架橋処理は、電子線照射前
の合成紙中に電子線架橋性成分を予め包含させて行な
う。
この様な架橋性成分の例としては、その構造中にラジ
カル重合性の二重結合を有するポリマー、オリゴマー及
び/又はモノマーが挙げられる。ポリマーとしては、例
えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル
樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、
スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオ
ールポリエン樹脂等が挙げられ、オリゴマーとしては多
価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート
等が挙げられ、モノマーとしてエチル(メタ)アクリレ
ート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレ
ン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能
モノマー並びに多官能性モノマー、例えば、ジビニルベ
ンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、電子線によってラジカルを発生する過酸化物、例
えば、アセチルシクロヘキシルパーオキシド、イソブチ
ルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシドカーボネ
ート、ジ−n−プロピルパーオキシドカーボネート、ジ
ミリスチルパーオキシドカーボネート、ジ(2−エトキ
シエチル)パーオキシドカーボネート、2,4−ジクロロ
ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレ
ート、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキシド、
オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、
アセチルパーオキシド、m−トルロイルパーオキシド、
ベンゾイルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシ
ド、メチルエチルケトンパーオキシド、ジクミルパーオ
キシド、キュメンハイドロパーオキシド等の有機過酸化
物が挙げられる。
上記架橋性成分は合成紙の成膜前の樹脂組成物中に添
加し、好ましくは不揮発性の架橋性成分を予め含む合成
紙とする方法が最も一般的であるが、市販の合成紙に比
較的低分子量のオリゴマー又はモノマー、特に多官能性
のモノマーを含浸させる方法や、前記過酸化物の有機溶
剤溶液を含浸させる方法も採用可能である。
包含させる架橋性成分はその種類、分子量、官能数等
によって変化するので一概には規定できないが、一般的
に云えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂100重量部
当たり0.5〜50重量部の範囲である。
上記架橋成分を含む合成紙の架橋に使用する電子線と
してはコックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振
変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン
型、高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜
1,000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有す
る電子線等が使用される。
以上の如くして得られる本発明の耐熱性合成紙の厚み
は任意であるが、例えば、10〜300μm程度の厚みが一
般的である。
本発明の熱転写受像シートは上記の耐熱性合成紙の少
なくとも一方の表面に染料受容層を設けてなる。耐熱性
合成紙の表面が染料受容層との密着力が乏しい場合に
は、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施す
のが好ましい。
上記耐熱性合成紙の表面に形成する染料受容層は、熱
転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成
された画像を維持する為のものである。
染料受容層を形成する為の樹脂としては、例えば、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ
酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマ
ー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレ
フィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイ
オノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹
脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいもの
は、ビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂である。これ
らの樹脂のうちで本発明において好ましい樹脂がガラス
転移点が30℃以上、好ましくは50〜110℃の樹脂であ
る。
本発明の熱転写受像シートは、前記の耐熱性合成紙の
少なくとも一方の面に、上記の如き樹脂に離型剤等の必
要な添加剤を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解した
り或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例えば、グ
ラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いた
リバースロールコーティング法等の形成手段により塗布
及び乾燥して染料受容層を形成することによって得られ
る。
上記染料受容層の形成に際しては、染料受容層の白色
度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、
酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウ
ム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することが出
来る。
以上の如く形成される染料受容層は任意の厚さでよい
が、一般的には1〜50μmの厚さである。又、この様な
染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマ
ルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として
形成してもよい。本発明の熱転写受像シートは基本的に
は上記の如き構成でも十分に使用出来るものであるが、
本発明における染料受容層は、熱転写シートとの良好な
離型性を付与する為に離型剤を含有させることも出来
る。
更に、本発明の受像シートは必要に応じて耐熱性合成
紙と染料受容層との間にクッション層を設けることが出
来、この様なクッション層を設けることによって、印字
時にノイズが少なく画像情報に対応した画像を再現性良
く転写記録することが出来る。
又、受像シートの裏面に滑性層を設けることも出来
る。滑性層の材質としては、メチルメタクリレート等の
メタクリレート樹脂若しくは対応するアクリレート樹
脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂
等が挙げられる。
更に、受像シートに検知マークを設けることも可能で
ある。検知マークは熱転写シートと受像シートとの位置
決めを行う際等に極めて便利であり、例えば、光電管検
知装置により検知し得る検知マークを受像シートの裏面
等に印刷等により設けることが出来る。
上記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転
写を行う際に使用する熱転写シートは、紙やポリエステ
ルフイルム上に昇華性染料を含む染料層を設けたもので
あり、従来公知の熱転写シートはいずれも本発明でその
まま使用することが出来る。
又、熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知
の付与手段がいずれも使用出来、例えば、サーマルプリ
ンター(例えば、(株)日立製作所製、ビデオプリンタ
ーVY−100)等の記録装置によって、記録時間をコント
ロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネル
ギーを付与することによって所期の目的を十分に達成す
ることが出来る。
(実施例) 次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りの無
い限り重量基準である。
実施例1 ポリプロピレン樹脂と無機充填剤からなる合成紙用コ
ンパウンドに、ポリプロピレン樹脂100重量部当たり不
飽和ポリエステル樹脂10部とペンタエリスリトールトリ
アクリレート10部とを添加混合し、以下常法に従って3
層構造で厚み150μmの多孔質合成紙を成膜した。この
合成紙に低エネルギー型エレクトロカーティン方式で、
加速電圧175KeV及び照射線量3Mradの条件で電子線を照
射して本発明の耐熱性合成紙を得た。
上記耐熱性合成紙の表面をコロナ放電処理し、その表
面に下記の組成の受容層用塗工液をバーコーターにより
乾燥時5.0g/m2になる割合で塗布し、ドライヤーで仮乾
燥後、100℃のオーブン中で30分間乾燥して染料受容層
を形成し本発明の熱転写受像シートとした。
受容層用塗工液組成; 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(#1000D、電気化
学工業(株)製) 100部 アミノ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業
(株)製) 3部 エポキシ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業
(株)製) 3部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 500部 実施例2 実施例1の架橋成分に代えて、ポリブタジエンメタク
リレート15部を使用し、他は実施例1と同様にして電子
線を照射させ本発明の耐熱性合成紙を得た。
又、実施例1と同様にして染料受容層を形成し、本発
明の熱転写受像シートを得た。
実施例3 市販の厚さ150μmの合成紙(王子油化製、ユポFPG15
0)にジビニルベンゼンの50%メチルエチルケトン溶液
を10g/m2(wet)の割合で塗布し、50℃で2時間放置し
てジビニルベンゼンを吸収保持させ且つ溶剤を揮散させ
た後、実施例1と同様にして電子線を照射させ本発明の
耐熱性合成紙を得た。
又、実施例1と同様にして染料受容層を形成し、本発
明の熱転写受像シートを得た。
実施例4 市販の厚さ150μmの合成紙(王子油化製、ユポFPG15
0)にメチルエチルケトンパーオキシドの50%トルエン
溶液を15g/m2(wet)の割合で塗布し60℃で1時間放置
して過酸化物を吸収保持させ且つ溶剤を揮散させた後、
実施例1と同様にして電子線を照射させ本発明の耐熱性
合成紙を得た。
又、実施例1と同様にして染料受容層を形成し、本発
明の熱転写受像シートを得た。
比較例1 基材として合成紙(王子油化製、ユポFPG150)を使用
し、他は実施例1と同様にして比較例の熱転写受像シー
トを得た。
一方、下記組成の染料層用インキを調製し、背面に耐
熱処理を施した6μm厚のポリエチレンテレフタレート
フイルムに、乾燥塗布量が1.0g/m2になる様にワイヤー
バーにより塗布及び乾燥し、更に背面にシリコーンオイ
ル(X−41・4003A、信越シリコーン(株)製)をスポ
イトで数滴滴下後、全面に広げて背面処理コートを行
い、熱転写シートを得た。
染料層用インキ組成: 分散染料(カヤセットブルー714、日本化薬(株)
製) 4.0部 エチルヒドロキシセルロース(ハーキュレス社製) 5.0部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 80.0部 ジオキサン 10.0部 前記の受像シートの受容層の面に上記熱転写シートを
重ね、サーマルヘッドを用いて、出力1W/ドット、パル
ス幅0.3〜0.45msec.、ドット密度3ドット/mmの条件で
印字を行いシアン画像を形成した。
以上で得られた各画像及び基材シートの耐熱性を調べ
その結果を下記第1表に示した。
(効 果) 以上の如き本発明によれば、合成紙を電子線にて架橋
処理することによって耐熱性が向上し、これを基材シー
トとして使用することで耐熱性に優れた熱転写受像シー
トが容易に提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 - 9/42 B41M 5/26 C08J 3/28 C08J 7/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂と充填剤とからなる組成物を延伸
    処理してなる多孔性合成紙の製造方法において、上記樹
    脂成分が電子線硬化性成分として、ラジカル重合性二重
    結合を含むポリマー、オリゴマー及び/又はモノマー、
    又は電子線によってラジカルを発生する過酸化物を含
    み、延伸処理後に電子線によって架橋処理することを特
    徴とする耐熱性合成紙の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1の方法で得られたことを特徴とす
    る耐熱性合成紙。
  3. 【請求項3】基材シートの一方の面に染料受容層を設け
    てなる熱転写受容シートにおいて、上記基材シートが請
    求項2に記載の耐熱性合成紙であることを特徴とする熱
    転写受像シート。
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