JP3210070B2 - 熱転写受像シート - Google Patents

熱転写受像シート

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JP3210070B2
JP3210070B2 JP12669292A JP12669292A JP3210070B2 JP 3210070 B2 JP3210070 B2 JP 3210070B2 JP 12669292 A JP12669292 A JP 12669292A JP 12669292 A JP12669292 A JP 12669292A JP 3210070 B2 JP3210070 B2 JP 3210070B2
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克之 大嶋
桂 山口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱転写受像シートに関
し、更に詳しくは発色濃度、鮮明性及び諸堅牢性、特に
耐光性、耐指紋性、耐可塑剤性、耐熱性等の耐久性に優
れた記録画像を形成することが出来る熱転写受像シート
の提供を目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の熱転写方法が公知である
が、それらの中で昇華性染料を記録剤とし、これをポリ
エステルフイルム等の基材シートに担持させて熱転写シ
ートとし、昇華性染料で染着可能な被転写材、例えば、
紙やプラスチックフイルム等に染料受容層を形成した受
像シート上に各種のフルカラー画像を形成する方法が提
案されている。この場合には加熱手段としてプリンター
のサーマルヘッドが使用され、極めて短時間の加熱によ
って3色又は4色の多数の色ドットを受像シートに転移
させ、該多色の色ドットにより原稿のフルカラー画像を
再現するものである。この様に形成された画像は、使用
する色材が染料であることから非常に鮮明であり、且つ
透明性に優れている為、得られる画像は中間色の再現性
や階調性に優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷
による画像と同様であり、且つフルカラー写真画像に匹
敵する高品質の画像が形成可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】上記の如き熱転
写方法を有効に実施する為には、熱転写シートの構成は
勿論、画像を形成する為の受像シートの構成も同様に重
要である。熱転写受像シートの従来技術としては、例え
ば、特開昭57−169370号、同57−20725
0号、同60−25793号公報等においてポリエステ
ル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル系樹脂、ポリ
カーボネート系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ア
クリル系樹脂、セルロース系樹脂、オレフィン系樹脂、
ポリスチレン系樹脂等を用いて染料受容層を形成した
像シートが開示されている。以上の如き熱転写受像シー
トにおいて、転写される染料の染着性を良好にする手段
としては、染着性の良好な樹脂から染料受容層を形成し
たり、受容層中可塑剤を含有させたりして、熱転写時
の染料の拡散性を良好にすればよいが、この様に染料染
着性の良好な樹脂からなる染料受容層中では、形成され
た画像が保存中に滲み、画像の保存性が劣り、又、染料
の定着性が劣る為、染料が表面にブリードアウトしてそ
の表面と接触する他の物品を汚染し易いという問題があ
る。
【0004】上記の如き保存性、汚染性等の問題を解決
する方法としては、染着した染料が染料受容層内で移行
しにくい樹脂を選択すればよいが、この場合には染料の
染着性が劣り、高濃度且つ高鮮明性の画像が形成出来な
いという問題がある。又、別の大きな問題として、染着
した染料の耐光性及び画像部に手で触れた際、画像面に
移行した汗や皮脂の影響で画像が変色したり、更に受容
層自体が膨潤やひび割れたりするといった問題、即ち耐
指紋性の問題や、消しゴムや軟質塩化ビニル樹脂製品の
如く可塑剤を含む物質と接触した際の染料の移行性、即
ち耐可塑剤性の問題がある。以上の如き染着性及び染料
の定着性に優れ、且つ耐指紋性、耐可塑剤性にも優れた
受容層を形成することが出来る樹脂として、従来からポ
リエステル樹脂が知られている。しかしながら、これら
のポリエステル樹脂の場合には、形成された画像の耐光
性が、ポリビニルブチラール樹脂やポリカーボネート樹
脂からなる受容層に形成した染料画像に比較して劣ると
いう問題がある。又、耐指紋性、耐可塑剤性について
も、ポリエステル樹脂はポリカーボネート樹脂やポリビ
ニルブチラール樹脂等の他の樹脂に比べて優れている
が、十分とは云えない。これらの耐光性、耐可塑剤性及
び耐指紋性は、受容層を形成する樹脂の構造に大きく依
存している。従って本発明の目的は、昇華性染料を使用
する熱転写方法において、十分に濃度のある鮮明な画像
を与え、しかも形成された画像が優れた諸堅牢性、特に
優れた耐光性、耐指紋性、耐可塑剤性等を示す熱転写受
像シートを提供することである。
【0005】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、基材シートの少
なくとも一方の面に染料受容層を形成してなる熱転写受
像シートにおいて、上記染料受容層が、ポリビニルアル
コール単位の含有量が28〜50重量%であるポリビニ
アセトアセタール樹脂を含むことを特徴とする熱転写
受像シートである。
【0006】
【作用】染料受容層を、ポリビニルアルコール単位の含
有量が28〜50重量%であるポリビニルアセトアセタ
ール樹脂によって形成することにより、形成される画像
の耐光性、耐指紋性、耐可塑剤性等の耐久性が向上す
る。
【0007】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。本発明の熱転写受像シート
は、基材シートの少なくとも一方の面に設けた染料受容
層とからなる。本発明で使用する基材シートとしては、
合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質
紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏
打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラ
テックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース
繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレー
ト、ポリカーボネート等の各種のプラスチックのフイル
ム又はシート等が使用出来、又、これらの合成樹脂に白
色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルム或
いは発泡させた発泡シート等も使用することが出来、特
に限定されない。又、上記基材シートの任意の組み合わ
せによる積層体も使用出来る。代表的な積層体の例とし
て、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース繊維紙
とプラスチックフイルム又はシートとの合成紙が挙げら
れる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、例え
ば、10〜300μm程度の厚みが一般的である。上記
の如き基材シートは、その表面に形成する受容層との密
着力が乏しい場合にはその表面にプライマー処理やコロ
ナ放電処理を施すのが好ましい。
【0008】上記基材シートの表面に形成する受容層
は、熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容
し、形成された画像を維持する為のものである。本発明
を主として特徴づける染料受容層は、ポリビニルアルコ
ール単位の含有量が28〜50重量%であるポリビニル
アセトアセタール樹脂を主要材料として形成する。ポリ
ビニルアセトアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール
樹脂に比して30〜50℃高いTgを有するので特に好
ましい。ポリビニルアセトアセタール樹脂中のポリビニ
ルアルコール単位を28〜50重量%の範囲に調整する
には、ポリビニルアルコールをアセタール化する際に使
用するアセトアルデヒドの反応量を調整することによっ
て容易に行うことが出来る。ポリビニルアルコール単位
28重量%未満であると、本発明の目的である高濃
度、高耐久性の画像が達成されず、一方、50重量%を
越えると、染料の染着性や染料受容層の耐水性等が低下
するので好ましくない。上記ポリビニルアセトアセター
ル樹脂の分子量は特に限定されないが、重合度として1
00〜10,000の範囲であることが好ましい。
【0009】本発明では、上記のポリビニルアセトアセ
タール樹脂はそのままでもよいし、又、これらをポリイ
ソシアネートやフェノール樹脂等の架橋剤で架橋して使
用することも出来、又、単独でも混合物としても使用す
ることが出来、更に他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸
ビニル、ポリアクリルエステル等のビニルポリマー、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと
他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマ
ー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポ
リカーボネート等を、上記ポリビニルアセトアセタール
樹脂が全体の30重量%以上、好ましくは50重量%以
上の量を占める割合で併用することも出来る。
【0010】本発明の熱転写受像シートは、前記の基材
シートの少なくとも一方の面に、上記の如きポリエステ
ル樹脂及び他の必要な添加剤、例えば、離型剤、架橋
剤、硬化剤、触媒、熱離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、光安定剤等を加えたものを、適当な有機溶剤に溶解
したり或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、例え
ば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を
用いたリバースロールコーティング法等の形成手段によ
り塗布及び乾燥して染料受容層を形成することによって
得られる。上記受容層の形成に際しては、受容層の白色
度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、
酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウ
ム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することが出
来る。以上の如く形成される染料受容層は任意の厚さで
よいが、一般的には1〜50μmの厚さである。又、こ
の様な染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹
脂エマルジョンや樹脂分散液を使用して、不連続の被覆
として形成してもよい。
【0011】本発明では転写方法で前記染料受容層を形
成することも出来る。即ち、基材シートとして、例え
ば、パルプ紙等を用いる場合には、該基材は表面平滑性
が不足する場合があり、この場合には上記塗工方法では
形成される染料受容層に凹凸やピンホール等が発生する
場合があるが、転写方法によれば、この様な問題は発生
しない。転写方法は、例えば、ポリエステルフイルム等
の離型性のよいフイルム面に上記の染料受容層を形成
し、更にその表面に適当な粘着剤層又は接着剤層を形成
しておき、この粘着剤層を前記パルプ紙基材面に対向さ
せてラミネーター等で貼り合わせ、その後上記ポリエス
テルフイルムを剥離する方法である。又、中間層を形成
する場合には予めパルプ紙表面に中間層を形成しておい
てもよいし、受容層転写シートの染料受容層表面に設け
ておいてもよい。
【0012】又、本発明の受像シートは、基材シートを
適宜選択することにより、熱転写記録可能な被熱転写シ
ート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途
に適用することも出来る。更に、本発明の受像シートは
必要に応じて基材シートと受容層との間にクッション層
を設けることが出来、この様なクッション層を設けるこ
とによって、印字時にノイズが少なく画像情報に対応し
た画像を再現性良く転写記録することが出来る。上記の
如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う
際に使用する熱転写シートは、紙やポリエステルフイル
ム上に昇華性染料を含む染料層を設けたものであり、従
来公知の熱転写シートはいずれも本発明でそのまま使用
することが出来る。又、熱転写時の熱エネルギーの付与
手段は、従来公知の付与手段がいずれも使用出来、例え
ば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、ビデ
オプリンターVY−100)等の記録装置によって、記
録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ
/mm2 程度の熱エネルギーを付与することによって所
期の目的を十分に達成することが出来る。
【0013】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に
断りの無い限り重量基準である。 実施例1 基材シートとして合成紙(王子油化製、厚さ110μ
m)を用い、この一方の面に下記の組成の塗工液をワイ
ヤーバーにより乾燥時5.0g/m2になる割合で塗布
及び乾燥させて本発明の熱転写受像シートを得た。
【0014】塗工液組成; ポリビニルアセトアセタール樹脂(ポリビニルアルコール単位の含有量28 %) 13.4部 アミノ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 0.25部 エポキシ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製)0.25部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 84.8部
【0015】実施例 実施例1における塗工液に代えて下記の塗工液を使用
し、他は実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シー
トを得た。塗工液組成; ポリビニルアセトアセタール樹脂(ポリビニルアルコール単位の含有量38 %) 8.0部 ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコール単位の含有量10%) 3.0部 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(#1000D、電気化学工業製) 2.4部 アミノ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 0.25部 エポキシ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製)0.25部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 84.8部
【0016】
【0017】比較例1 実施例1における塗工液に代えて下記の塗工液を使用
し、他は実施例1と同様にして比較例の熱転写受像シー
トを得た。塗工液組成; ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡製) 13.4部 アミノ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 0.25部 エポキシ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製)0.25部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 84.8部
【0018】比較例2 実施例1における塗工液に代えて下記の塗工液を使用
し、他は実施例1と同様にして比較例の熱転写受像シー
トを得た。塗工液組成; ポリビニルアセトアセタール樹脂(ポリビニルアルコール単位の含有量8%) 13.4部 アミノ変性シリコーン(KF−393、信越化学工業製) 0.25部 エポキシ変性シリコーン(X−22−343、信越化学工業製)0.25部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 84.8部 一方、下記組成の染料担持層形成用インキ組成物を調製
し、背面に耐熱処理を施した6μm厚のポリエチレンテ
レフタレートフイルムに、乾燥塗布量が1.0g/m2
になる様にワイヤーバーにより塗布及び乾燥して熱転写
シートを得た。インキ組成; C.I.ディスパーズブルー24 1.0部 ポリビニルブチラール樹脂 10.0部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 90.0部
【0019】熱転写試験; 上記の熱転写シートと前記の本発明及び比較例の熱転写
受像シートとを、夫々の染料層と染料受容面とを対向さ
せて重ね合せ、熱転写シートの裏面からサーマルヘッド
を用いて、ヘッド印加電圧11.0V、印加パルス幅1
6msec./lineから1msec.毎に順次減少
させるステップパターン、副走査方向6line/mm
(33.3msec./line)の条件でサーマルヘ
ッドで記録を行ってシアン画像を形成した後の両者の各
種保存性等を調べ、下記表1の結果を得た。 (1)耐光性試験方法 印字物を、キセノンフェードオメーター(アトラス社
製、Ci−35A)で、100KJ/m2(420n
m)照射し、照射の前後における光学濃度の変化を、光
学濃度計(マクベス社製、RD−918)により測定
し、下記式により光学濃度の残存率を算出した。 残存率(%)={[照射後の光学濃度]/[照射前の光
学濃度]}×100 ○;残存率が85%以上 △;残存率が80%以上85%未満 ×;残存率が80%未満 (2)耐指紋性評価方法 印字物表面に指紋を押捺し、室温に5日間放置した後、
指紋押捺部の変色及び濃度変化の度合いを目視にて評価
した。 A:指紋押捺部と非押捺部の差が殆ど認められなかっ
た。 B:変色若しくは濃度変化が認められた。 C:指紋押捺部が白抜けし、指紋形状が明瞭に認められ
た。 D:指紋押捺部を中心として、白抜けが発生し、同時に
染料の凝集が認められた。 (3)耐可塑剤性評価方法 印字物表面の同一部分を、市販のプラスチック消しゴム
で5回軽く擦り、濃度変化の度合いを目視にて判定し
た。 ○:濃度変化が殆ど認められなかった。 △:濃度変化が認められた。 ×:濃度が大きく変化し、低濃度部から中濃度部にかけ
ては白抜けとなった。
【0020】
【表1】
【0021】
【効果】以上の如き本発明によれば、染料受容層を、ポ
リビニルアルコール単位の含有量が28〜50重量%で
あるポリビニルアセトアセタール樹脂によって形成する
ことにより、形成される画像の耐光性、耐指紋性、耐可
塑剤性等の耐久性が向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井本 和信 東京都新宿区市谷加賀町1丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−11293(JP,A) 特開 平3−65391(JP,A) 特開 平4−255394(JP,A) 特開 平2−132380(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの少なくとも一方の面に染料
    受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、上記
    染料受容層が、ポリビニルアルコール単位の含有量が
    8〜50重量%であるポリビニルアセトアセタール樹脂
    を含むことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアセトアセタール樹脂の分子
    量が、重合度として100〜10,000の範囲である
    請求項1に記載の熱転写受像シート。
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