JPH06238635A - 無機建築板の製造方法 - Google Patents
無機建築板の製造方法Info
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- JPH06238635A JPH06238635A JP2906293A JP2906293A JPH06238635A JP H06238635 A JPH06238635 A JP H06238635A JP 2906293 A JP2906293 A JP 2906293A JP 2906293 A JP2906293 A JP 2906293A JP H06238635 A JPH06238635 A JP H06238635A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 石膏ボードとほぼ同等の性能を有し、かつ、
石膏ボードよりも軽量であるうえに、所望の寸法精度が
得られ、小型の製造装置で製造できる無機建築板の製造
方法を提供することを目的とする。 【構成】 鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須
成分とするスラリーから下層部となる湿潤無機板2を抄
造する。ついで、無機発泡体,繊維状物および結合剤を
必須成分とする中層部用混合物を前記湿潤無機板2上に
均一厚さに散布,堆積させて混合物層3を形成する。さ
らに、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須成分
とするスラリーを抄造して得た上層部となる湿潤無機板
5を前記混合物層3に積層して積層体6を形成する。そ
して、この積層体6を連続ベルトプレス7で加熱,圧締
し、前記上下層部2,5から発生する蒸気で混合物層3
の結合剤を活性化し、混合物層からなる中層部3を上下
層部2,5に密着一体化した無機建築板8を得る。
石膏ボードよりも軽量であるうえに、所望の寸法精度が
得られ、小型の製造装置で製造できる無機建築板の製造
方法を提供することを目的とする。 【構成】 鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須
成分とするスラリーから下層部となる湿潤無機板2を抄
造する。ついで、無機発泡体,繊維状物および結合剤を
必須成分とする中層部用混合物を前記湿潤無機板2上に
均一厚さに散布,堆積させて混合物層3を形成する。さ
らに、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須成分
とするスラリーを抄造して得た上層部となる湿潤無機板
5を前記混合物層3に積層して積層体6を形成する。そ
して、この積層体6を連続ベルトプレス7で加熱,圧締
し、前記上下層部2,5から発生する蒸気で混合物層3
の結合剤を活性化し、混合物層からなる中層部3を上下
層部2,5に密着一体化した無機建築板8を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁下地等に用いられる無
機建築板の製造方法、特に、石膏ボードとほぼ同等の性
能を有し、石膏ボードよりも軽量な無機建築板の製造方
法に関する。
機建築板の製造方法、特に、石膏ボードとほぼ同等の性
能を有し、石膏ボードよりも軽量な無機建築板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、下地材としては、一定値以上の
釘保持力、曲げ強度,衝撃強度および防火性、耐水耐湿
性、切断性等の性能を有することが必要とされる。この
ため、従来より石膏ボードが利用されているが、石膏ボ
ードは、比重が0.74以上であり、しかも、曲げ強度
の点からある程度の厚みが要求されるため、大版で使用
すると、重すぎて運搬,施工に不便である。また、石膏
ボードは表裏面が紙であり、この紙が剥離すると、強
度,耐水性等が著しく低下するという不具合がある。
釘保持力、曲げ強度,衝撃強度および防火性、耐水耐湿
性、切断性等の性能を有することが必要とされる。この
ため、従来より石膏ボードが利用されているが、石膏ボ
ードは、比重が0.74以上であり、しかも、曲げ強度
の点からある程度の厚みが要求されるため、大版で使用
すると、重すぎて運搬,施工に不便である。また、石膏
ボードは表裏面が紙であり、この紙が剥離すると、強
度,耐水性等が著しく低下するという不具合がある。
【0003】このため、前述の不具合を解消すべく、例
えば、特願平3−207895号に記載の無機建築板の
製造方法が考えられている。特に、積層体を圧締一体化
する工程においては、粒子間の空気を押し出して密着さ
せるとともに、圧締によって中層部の粒子の一部を上下
層部の湿潤無機板に食い込ませることにより、下層部,
中層部および上層部を一体化するものである。
えば、特願平3−207895号に記載の無機建築板の
製造方法が考えられている。特に、積層体を圧締一体化
する工程においては、粒子間の空気を押し出して密着さ
せるとともに、圧締によって中層部の粒子の一部を上下
層部の湿潤無機板に食い込ませることにより、下層部,
中層部および上層部を一体化するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記中
層部用混合物は、無機発泡体,繊維状物,結合剤を必須
成分とするものであり、混合する際に飛散を防止するた
めに若干の水を噴霧するにすぎず、結合剤を活性化する
に足る水分を保有していない。このため、積層体をロー
ルプレス等での圧締時に加熱したとしても、中層部の結
合剤が充分に活性化されないので、解圧した直後に中層
部の混合物がいわゆるスプリングバッグを生じやすい。
この結果、その後の加熱によって上下層部から生じた水
蒸気で混合物の結合剤を活性化させても、スプリングバ
ックによって積層体が変形しているので、最終製品の寸
法精度が低い。しかも、前述の製造方法では、加熱時間
が短い為に上下層部のみが加熱されているにすぎず、中
層部はそのままであるので、切断,搬送等が困難であ
り、連続して製造する場合に加熱乾燥機が大型化すると
いう問題点がある。
層部用混合物は、無機発泡体,繊維状物,結合剤を必須
成分とするものであり、混合する際に飛散を防止するた
めに若干の水を噴霧するにすぎず、結合剤を活性化する
に足る水分を保有していない。このため、積層体をロー
ルプレス等での圧締時に加熱したとしても、中層部の結
合剤が充分に活性化されないので、解圧した直後に中層
部の混合物がいわゆるスプリングバッグを生じやすい。
この結果、その後の加熱によって上下層部から生じた水
蒸気で混合物の結合剤を活性化させても、スプリングバ
ックによって積層体が変形しているので、最終製品の寸
法精度が低い。しかも、前述の製造方法では、加熱時間
が短い為に上下層部のみが加熱されているにすぎず、中
層部はそのままであるので、切断,搬送等が困難であ
り、連続して製造する場合に加熱乾燥機が大型化すると
いう問題点がある。
【0005】本発明は、前記問題点に鑑み、石膏ボード
とほぼ同等の性能を有し、石膏ボードよりも軽量である
うえに、所望の寸法精度が得られ、小型の製造装置で製
造できる無機建築板の製造方法を提供することを目的と
する。
とほぼ同等の性能を有し、石膏ボードよりも軽量である
うえに、所望の寸法精度が得られ、小型の製造装置で製
造できる無機建築板の製造方法を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必
須成分とするスラリーから下層部となる湿潤無機板を抄
造する工程と、無機発泡体,繊維状物および結合剤を必
須成分とする中層部用混合物を前記湿潤無機板上に均一
厚さに散布,堆積させて中層部となる混合物層を形成す
る工程と、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須
成分とするスラリーから抄造して得た上層部となる湿潤
無機板を前記混合物層に積層して積層体を得る工程と、
この積層体を加熱,圧締し、前記上下層部から発生する
蒸気で混合物層の結合剤を活性化させて混合物層からな
る中層部を上下層部に一体化する工程とからなる無機建
築板の製造方法にある。
成するため、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必
須成分とするスラリーから下層部となる湿潤無機板を抄
造する工程と、無機発泡体,繊維状物および結合剤を必
須成分とする中層部用混合物を前記湿潤無機板上に均一
厚さに散布,堆積させて中層部となる混合物層を形成す
る工程と、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必須
成分とするスラリーから抄造して得た上層部となる湿潤
無機板を前記混合物層に積層して積層体を得る工程と、
この積層体を加熱,圧締し、前記上下層部から発生する
蒸気で混合物層の結合剤を活性化させて混合物層からな
る中層部を上下層部に一体化する工程とからなる無機建
築板の製造方法にある。
【0007】下層部を形成する鉱物質繊維としては、例
えば、ロックウール,スラグウール,ミネラルウール,
ガラス繊維などを挙げることができ、これらは単独で、
あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。そして、
下層部における鉱物質繊維の組成比は20〜45重量%
とするのが好ましい。20重量%未満であると、後述す
る無機粉状体を保持できず、また、曲げ強度が低くなる
からであり、45重量%を越えると、無機粉状体の添加
量が少なくなり、表面硬度および全体硬度を高くできな
いからである。
えば、ロックウール,スラグウール,ミネラルウール,
ガラス繊維などを挙げることができ、これらは単独で、
あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。そして、
下層部における鉱物質繊維の組成比は20〜45重量%
とするのが好ましい。20重量%未満であると、後述す
る無機粉状体を保持できず、また、曲げ強度が低くなる
からであり、45重量%を越えると、無機粉状体の添加
量が少なくなり、表面硬度および全体硬度を高くできな
いからである。
【0008】下層部を形成する無機粉状体は防火性を維
持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためのも
のであり、例えば、炭酸カルシウム,硅砂,マイクロシ
リカ,スラグ,水酸化アルミニウム等を挙げることがで
きる。そして、下層部における無機粉状体の組成比は、
40〜70重量%とするのが好ましい。40重量%未満
であると、所望の表面硬度が得られないからであり、7
0重量%を越えると、濾水性が低下するため、抄造が困
難になるからである。なお、無機粉状体の粒径は、粒径
約150μのものを用いた場合に下層部の強度が最も大
きいが、平均粒径40μ〜300μのものであってもよ
い。
持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためのも
のであり、例えば、炭酸カルシウム,硅砂,マイクロシ
リカ,スラグ,水酸化アルミニウム等を挙げることがで
きる。そして、下層部における無機粉状体の組成比は、
40〜70重量%とするのが好ましい。40重量%未満
であると、所望の表面硬度が得られないからであり、7
0重量%を越えると、濾水性が低下するため、抄造が困
難になるからである。なお、無機粉状体の粒径は、粒径
約150μのものを用いた場合に下層部の強度が最も大
きいが、平均粒径40μ〜300μのものであってもよ
い。
【0009】下層部を形成する結合剤は、前記鉱物質繊
維と無機粉状体とを連結一体化するためのものであり、
例えば、メラミン樹脂,フェノール樹脂等の合成樹脂や
スターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種
以上組み合わせて使用できる。
維と無機粉状体とを連結一体化するためのものであり、
例えば、メラミン樹脂,フェノール樹脂等の合成樹脂や
スターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種
以上組み合わせて使用できる。
【0010】さらに、下層部を形成するスラリーには、
前記結合剤の他、必要に応じてパルプ、合成繊維,サイ
ズ剤,定着剤等が添加される。
前記結合剤の他、必要に応じてパルプ、合成繊維,サイ
ズ剤,定着剤等が添加される。
【0011】なお、一般に、有機繊維が多ければ多いほ
ど、曲げ強度が向上するので、下層部を構成する鉱物質
繊維の一部にパルプ等の有機繊維を混入することは強度
面において有効であり、また、コスト面においても有効
である。ただし、準不燃材としての無機建築板を得るた
めには、下層部における有機成分の総量を15重量%以
下にする必要がある。また、不燃材としての無機建築板
を得るためには、有機成分の総量を7重量%以下にする
必要があるので、結合剤の総量が規制され、準不燃材よ
りも多量の鉱物質繊維を添加する必要がある。
ど、曲げ強度が向上するので、下層部を構成する鉱物質
繊維の一部にパルプ等の有機繊維を混入することは強度
面において有効であり、また、コスト面においても有効
である。ただし、準不燃材としての無機建築板を得るた
めには、下層部における有機成分の総量を15重量%以
下にする必要がある。また、不燃材としての無機建築板
を得るためには、有機成分の総量を7重量%以下にする
必要があるので、結合剤の総量が規制され、準不燃材よ
りも多量の鉱物質繊維を添加する必要がある。
【0012】下層部となる湿潤無機板を形成するスラリ
ーは前記鉱物質繊維,無機粉状体,結合剤等を水中に投
入,撹拌し、均一に分散して得られる。そして、このス
ラリーから抄造機で下層部となる湿潤無機板が抄造され
る。
ーは前記鉱物質繊維,無機粉状体,結合剤等を水中に投
入,撹拌し、均一に分散して得られる。そして、このス
ラリーから抄造機で下層部となる湿潤無機板が抄造され
る。
【0013】抄造方法としては、既存の方法から任意に
選択でき、例えば、高速抄造できる長網式抄造方法や、
繊維の絡み合いが良く、高強度の湿潤無機板が得られる
丸網式抄造方法が適している。
選択でき、例えば、高速抄造できる長網式抄造方法や、
繊維の絡み合いが良く、高強度の湿潤無機板が得られる
丸網式抄造方法が適している。
【0014】中層部を形成する混合物の無機発泡体は圧
縮強度を維持しつつ、軽量化するためのものであり、例
えば、パーライト,シラス発泡体,シリカフラワー,ガ
ラス発泡体等があり、これらは単独で、あるいは、2種
以上組み合わせて使用できる。そして、中層部における
無機発泡体の組成比は50〜90重量%とするのが好ま
しい。50重量%未満であると、繊維状物の割合が相対
的に増加するために強度は向上するが、比重低下の効果
が得られないからであり、90重量%を越えると、繊維
状物の割合が小さくなり、無機発泡体間の連結が不充分
となるからである。
縮強度を維持しつつ、軽量化するためのものであり、例
えば、パーライト,シラス発泡体,シリカフラワー,ガ
ラス発泡体等があり、これらは単独で、あるいは、2種
以上組み合わせて使用できる。そして、中層部における
無機発泡体の組成比は50〜90重量%とするのが好ま
しい。50重量%未満であると、繊維状物の割合が相対
的に増加するために強度は向上するが、比重低下の効果
が得られないからであり、90重量%を越えると、繊維
状物の割合が小さくなり、無機発泡体間の連結が不充分
となるからである。
【0015】中層部を形成する混合物の繊維状物は前記
無機発泡体同士を連結するためのものであり、例えば、
ロックウール,スラグウール,パルプ,ポリプロピレン
繊維などを挙げることができ、これらは単独で、あるい
は、2種以上組み合わせて使用できる。繊維状物は無機
発泡体を連結し、板状体を形成するためのものであり、
少なくとも3重量%以上添加されるが、あまり多くなる
と、相対的に無機発泡体の添加量が少なくなり、軽量化
できないので、40重量%以下とするのが好ましい。
無機発泡体同士を連結するためのものであり、例えば、
ロックウール,スラグウール,パルプ,ポリプロピレン
繊維などを挙げることができ、これらは単独で、あるい
は、2種以上組み合わせて使用できる。繊維状物は無機
発泡体を連結し、板状体を形成するためのものであり、
少なくとも3重量%以上添加されるが、あまり多くなる
と、相対的に無機発泡体の添加量が少なくなり、軽量化
できないので、40重量%以下とするのが好ましい。
【0016】中層部を形成する混合物の結合剤は前記無
機発泡体と繊維状物とを連結一体化するためのものであ
り、例えば、メラミン樹脂,フェノール樹脂等の合成樹
脂やスターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは
2種以上組み合わせて使用できる。
機発泡体と繊維状物とを連結一体化するためのものであ
り、例えば、メラミン樹脂,フェノール樹脂等の合成樹
脂やスターチ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは
2種以上組み合わせて使用できる。
【0017】なお、準不燃材としての無機建築板を得る
には、有機成分の総量は15重量%以下であることが必
要である。このため、中層部においても鉱物質繊維の代
わりにパルプ等の有機繊維を用いる場合には、結合剤を
含めた有機成分の総量が前述の範囲内となるように配慮
する必要がある。また、不燃材としての無機建築板を得
るためには、前述の下層部と同様、有機成分の総量を7
重量%以下にする必要がある。このため、準不燃材より
も無機繊維を多量に添加する必要がある。
には、有機成分の総量は15重量%以下であることが必
要である。このため、中層部においても鉱物質繊維の代
わりにパルプ等の有機繊維を用いる場合には、結合剤を
含めた有機成分の総量が前述の範囲内となるように配慮
する必要がある。また、不燃材としての無機建築板を得
るためには、前述の下層部と同様、有機成分の総量を7
重量%以下にする必要がある。このため、準不燃材より
も無機繊維を多量に添加する必要がある。
【0018】中層部用混合物は前記無機発泡体,繊維状
物および結合剤等を単に混合したものでもよいが、飛散
等を防止するために水を噴霧しながら混合することによ
り、適度に湿されているものでもよい。そして、中層部
用混合物は、前記湿潤無機板の上面に均一な厚さで散
布,堆積され、混合物層を形成する。
物および結合剤等を単に混合したものでもよいが、飛散
等を防止するために水を噴霧しながら混合することによ
り、適度に湿されているものでもよい。そして、中層部
用混合物は、前記湿潤無機板の上面に均一な厚さで散
布,堆積され、混合物層を形成する。
【0019】次に、上層部となる湿潤無機板は前述の下
層部となる湿潤無機板と同様な操作を経て得られるが、
必要に応じて組成,厚さなどを異ならしめてもよい。そ
して、下層部に堆積した前記中層部用混合物の上面に上
層部となる湿潤無機板を積層することにより、積層体が
得られる。
層部となる湿潤無機板と同様な操作を経て得られるが、
必要に応じて組成,厚さなどを異ならしめてもよい。そ
して、下層部に堆積した前記中層部用混合物の上面に上
層部となる湿潤無機板を積層することにより、積層体が
得られる。
【0020】積層体を加熱,圧締して一体化する工程
は、圧締によって混合物層の粒子間の空気を押し出しつ
つ、その粒子の一部を湿潤無機板に喰い込ませるととも
に、圧締時の加熱によって上下層部の湿潤無機板から発
生する水蒸気で中層部となる混合物層に水分と熱とを同
時に供給し、結合剤を活性化させることにより、下層
部,中層部および上層部を密着一体化させる工程であ
る。
は、圧締によって混合物層の粒子間の空気を押し出しつ
つ、その粒子の一部を湿潤無機板に喰い込ませるととも
に、圧締時の加熱によって上下層部の湿潤無機板から発
生する水蒸気で中層部となる混合物層に水分と熱とを同
時に供給し、結合剤を活性化させることにより、下層
部,中層部および上層部を密着一体化させる工程であ
る。
【0021】加熱温度,圧力は、必要とされる無機建築
板の強度や各層の厚さ,組成等に応じて適宜選択でき、
一義的に限定することは困難であるが、一般に加熱温度
は120〜220℃、特に、170〜200℃が好適で
ある。120℃未満であると、中層部の結合剤の活性化
に長時間を要し、生産性が大幅に低下するからであり、
220℃を越えると、設備の熱変形を考慮する必要が生
じるからである。また、圧力は5〜20kg/cm2、特に7
〜8kg/cm2が好適である。5kg/cm2未満であると、充分
な強度が得られないからであり、20kg/cm2を越える
と、全体が高密度化してしまうからである。
板の強度や各層の厚さ,組成等に応じて適宜選択でき、
一義的に限定することは困難であるが、一般に加熱温度
は120〜220℃、特に、170〜200℃が好適で
ある。120℃未満であると、中層部の結合剤の活性化
に長時間を要し、生産性が大幅に低下するからであり、
220℃を越えると、設備の熱変形を考慮する必要が生
じるからである。また、圧力は5〜20kg/cm2、特に7
〜8kg/cm2が好適である。5kg/cm2未満であると、充分
な強度が得られないからであり、20kg/cm2を越える
と、全体が高密度化してしまうからである。
【0022】本願の中層部となる混合物層は発泡体が容
積の大部分を占めるので、一般に熱伝達率は低いが、本
願の製造方法によれば、中層部が適度な水を含んでいな
い場合でも、上下層部の湿潤無機板から発生した水蒸気
によって中層部となる混合物層に水分と熱とが同時に供
給され、中層部の結合剤が活性化され、密着一体化す
る。このため、全層を湿式で製造した後、各層を密着一
体化する方法と比べると、本願の方が、乾燥時間,乾燥
費用を大巾に短縮でき、乾燥装置を小型化できるという
利点がある。
積の大部分を占めるので、一般に熱伝達率は低いが、本
願の製造方法によれば、中層部が適度な水を含んでいな
い場合でも、上下層部の湿潤無機板から発生した水蒸気
によって中層部となる混合物層に水分と熱とが同時に供
給され、中層部の結合剤が活性化され、密着一体化す
る。このため、全層を湿式で製造した後、各層を密着一
体化する方法と比べると、本願の方が、乾燥時間,乾燥
費用を大巾に短縮でき、乾燥装置を小型化できるという
利点がある。
【0023】尚、中層部の結合剤が活性化されるために
は数秒間の加熱,加圧が必要である。特に、加熱温度が
低温であると、中層部の結合剤が活性化するのに数十秒
要するが、高温であると、数秒で中層部が活性化する。
は数秒間の加熱,加圧が必要である。特に、加熱温度が
低温であると、中層部の結合剤が活性化するのに数十秒
要するが、高温であると、数秒で中層部が活性化する。
【0024】
(実施例)鉱物質繊維としてロックウール30重量部、
無機粉状体として炭酸カルシウム50重量部、水酸化ア
ルミニウム5重量部、結合剤として粉末フェノールおよ
びスターチの混合物7重量部、パルプ7重量部、その他
若干量のサイズ剤、凝集剤等を清水中に投入,撹拌し、
濃度2%の水性スラリーを得た。そして、図1に示すよ
うに、前記水性スラリーを長網式抄造機1,4に導き、
厚さ3mmの下層部および上層部となる湿潤無機板2,5
を抄造した。
無機粉状体として炭酸カルシウム50重量部、水酸化ア
ルミニウム5重量部、結合剤として粉末フェノールおよ
びスターチの混合物7重量部、パルプ7重量部、その他
若干量のサイズ剤、凝集剤等を清水中に投入,撹拌し、
濃度2%の水性スラリーを得た。そして、図1に示すよ
うに、前記水性スラリーを長網式抄造機1,4に導き、
厚さ3mmの下層部および上層部となる湿潤無機板2,5
を抄造した。
【0025】一方、無機発泡体としてパーライト30重
量部,シラス発泡体30重量部、無機粉状体として水酸
化アルミニウム5重量部、繊維状物としてロックウール
20重量部およびパルプ5重量部、さらに、結合剤とし
て粉末フェノールおよびスターチの混合物10重量部、
そして、これらを清水40重量部を噴霧しながら均一に
混合し、中層部用混合物を得た。
量部,シラス発泡体30重量部、無機粉状体として水酸
化アルミニウム5重量部、繊維状物としてロックウール
20重量部およびパルプ5重量部、さらに、結合剤とし
て粉末フェノールおよびスターチの混合物10重量部、
そして、これらを清水40重量部を噴霧しながら均一に
混合し、中層部用混合物を得た。
【0026】次に、長網式抄造機1で得た厚さ3mmの前
記湿潤無機板2上に前記中層部用混合物を厚さ28mmと
なるように均一に散布して混合物層3を形成し、その上
に長網式抄造機4で得た厚さ3mmの湿潤無機板5を積層
し、全体厚さ34mmの積層体6を得た。そして、この積
層体6を180℃に加熱した連続ベルトプレス7に送り
込み、5kg/cm2の圧力下で20秒間圧締して解圧するこ
とにより、各層が密着一体化した厚さ9mmの連続する無
機建築板8を得た。ついで、カッター9で適当な長さに
切断した後、温度180℃の乾燥機10に送り込んで乾
燥した無機建築板11を得、これをサンプルとした。
記湿潤無機板2上に前記中層部用混合物を厚さ28mmと
なるように均一に散布して混合物層3を形成し、その上
に長網式抄造機4で得た厚さ3mmの湿潤無機板5を積層
し、全体厚さ34mmの積層体6を得た。そして、この積
層体6を180℃に加熱した連続ベルトプレス7に送り
込み、5kg/cm2の圧力下で20秒間圧締して解圧するこ
とにより、各層が密着一体化した厚さ9mmの連続する無
機建築板8を得た。ついで、カッター9で適当な長さに
切断した後、温度180℃の乾燥機10に送り込んで乾
燥した無機建築板11を得、これをサンプルとした。
【0027】なお、加熱,圧締時における中層部および
上層部の温度変化を示す図2から明らかなように、加熱
初期においては上層部の温度上昇につれて中層部の温度
も急激に上昇することがわかる。なお、加熱,圧締して
約4秒経過後に上層部5の温度が急激に低下している。
これは、中層部に充満した蒸気が中層部から外気に漏
れ、板材中の内部圧力が低下することによるものと考え
られる。しかしながら、中層部が80℃前後の温度を保
っており、これは中層部の結合剤を活性化させるには充
分な温度である。
上層部の温度変化を示す図2から明らかなように、加熱
初期においては上層部の温度上昇につれて中層部の温度
も急激に上昇することがわかる。なお、加熱,圧締して
約4秒経過後に上層部5の温度が急激に低下している。
これは、中層部に充満した蒸気が中層部から外気に漏
れ、板材中の内部圧力が低下することによるものと考え
られる。しかしながら、中層部が80℃前後の温度を保
っており、これは中層部の結合剤を活性化させるには充
分な温度である。
【0028】(比較例)市販の石膏ボードをサンプルと
した。
した。
【0029】試験例 実施例で得た無機建築板および市販の石膏ボードの各サ
ンプルについて行った品質試験の結果を下記に示す。 実施例 比較例 寸 法 (mm) 910×1820 910×1820 厚 み (mm) 9 9 比 重 0.43 0.74 一枚当りの重量(kg) 6.4 11.0 曲 げ 強 度(kgf/cm2) 75 50 表 面 硬 度(kgf) 170 250 ビ ス 貫 通 力(kgf) 18 30 防 火 性 準不燃合格 準不燃合格
ンプルについて行った品質試験の結果を下記に示す。 実施例 比較例 寸 法 (mm) 910×1820 910×1820 厚 み (mm) 9 9 比 重 0.43 0.74 一枚当りの重量(kg) 6.4 11.0 曲 げ 強 度(kgf/cm2) 75 50 表 面 硬 度(kgf) 170 250 ビ ス 貫 通 力(kgf) 18 30 防 火 性 準不燃合格 準不燃合格
【0030】なお、前記試験結果は下記の方式に基づい
て得られたものである。 曲げ強度:JIS 5907−1977に基づく。 表面強度:JIS HARDNESS TESTERに
基づく。 ビス貫通力:JIS A5910に準じた試験方法に基
づく。 防 火 性:JIS A1321に基づく。
て得られたものである。 曲げ強度:JIS 5907−1977に基づく。 表面強度:JIS HARDNESS TESTERに
基づく。 ビス貫通力:JIS A5910に準じた試験方法に基
づく。 防 火 性:JIS A1321に基づく。
【0031】以上の測定結果から明らかなように、実施
例は、比較例よりも比重が40%以上小さい。比重が4
0%以上小さいということは、標準サイズの石膏ボード
が約11kgである場合に、同一サイズの本発明にかかる
無機建築板では6.5kg前後となる。このため、石膏
ボードの場合、重量制限によってトラック等の積載可能
容積の約半分程度しか利用できないときであっても、本
願無機建築板であれば、トラック等の積載可能容積一杯
に積載できる。この結果、物流コストを大巾に節減でき
るだけでなく、施工現場への人力による運搬および組み
付け作業が容易になる。また、実施例の曲げ強度が比較
例のそれよりも50%以上大きいことから、変形しにく
く、使い勝手がよいことがわかった。
例は、比較例よりも比重が40%以上小さい。比重が4
0%以上小さいということは、標準サイズの石膏ボード
が約11kgである場合に、同一サイズの本発明にかかる
無機建築板では6.5kg前後となる。このため、石膏
ボードの場合、重量制限によってトラック等の積載可能
容積の約半分程度しか利用できないときであっても、本
願無機建築板であれば、トラック等の積載可能容積一杯
に積載できる。この結果、物流コストを大巾に節減でき
るだけでなく、施工現場への人力による運搬および組み
付け作業が容易になる。また、実施例の曲げ強度が比較
例のそれよりも50%以上大きいことから、変形しにく
く、使い勝手がよいことがわかった。
【0032】なお、実施例は、表面硬度およびビス貫通
力において比較例よりも小さいが、一般に表面硬度が1
50(kgf)であれば、凹み等が生じにくく、実用上は
問題はない。また、ビス貫通力は無機建築板の重量の
2.5倍以上必要とされるが、本発明にかかる無機建築
板自体が軽量であることから、この点においても実用上
の問題はない。したがって、本願にかかる無機建築板は
市販の石膏ボードとほぼ同等に使用できるだけでなく、
市販の石膏ボードよりも40%以上軽いことがわかっ
た。
力において比較例よりも小さいが、一般に表面硬度が1
50(kgf)であれば、凹み等が生じにくく、実用上は
問題はない。また、ビス貫通力は無機建築板の重量の
2.5倍以上必要とされるが、本発明にかかる無機建築
板自体が軽量であることから、この点においても実用上
の問題はない。したがって、本願にかかる無機建築板は
市販の石膏ボードとほぼ同等に使用できるだけでなく、
市販の石膏ボードよりも40%以上軽いことがわかっ
た。
【0033】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる無機建築板の製造方法によれば、硬く緻密な上
層部,下層部の間に軽量の中層部がサンドイッチ状に挟
まれた無機建築板が得られることになる。このため、本
発明によれば、石膏ボードとほぼ同等の性能を有し、か
つ、石膏ボードよりも軽量の無機建築板が得られる。特
に、中層部が乾式によって形成されていても、圧締によ
って粒子間の空気が押し出されて密着し、粒子の一部が
上下層部の湿潤無機板に食い込むとともに、上下層部に
対する加熱,圧締によって上下層部から発生した蒸気
が、中層部となる混合物層の結合剤を活性化するので、
全体がより一層密着一体化する。しかも、中層部を乾式
で製造するので、全層を湿式によって製造する場合より
も、乾燥時間,乾燥費用を節減でき、装置の小型化が図
れる。特に、加熱と圧締とを同時に行うので、中層部の
結合剤が活性化され、乾燥前の切断,搬送が可能とな
る。このため、多段の乾燥装置が使用できる等により、
製造装置をより一層小型化できるという効果がある。
にかかる無機建築板の製造方法によれば、硬く緻密な上
層部,下層部の間に軽量の中層部がサンドイッチ状に挟
まれた無機建築板が得られることになる。このため、本
発明によれば、石膏ボードとほぼ同等の性能を有し、か
つ、石膏ボードよりも軽量の無機建築板が得られる。特
に、中層部が乾式によって形成されていても、圧締によ
って粒子間の空気が押し出されて密着し、粒子の一部が
上下層部の湿潤無機板に食い込むとともに、上下層部に
対する加熱,圧締によって上下層部から発生した蒸気
が、中層部となる混合物層の結合剤を活性化するので、
全体がより一層密着一体化する。しかも、中層部を乾式
で製造するので、全層を湿式によって製造する場合より
も、乾燥時間,乾燥費用を節減でき、装置の小型化が図
れる。特に、加熱と圧締とを同時に行うので、中層部の
結合剤が活性化され、乾燥前の切断,搬送が可能とな
る。このため、多段の乾燥装置が使用できる等により、
製造装置をより一層小型化できるという効果がある。
【図1】 本発明にかかる一実施例の製造方法を示す工
程図である。
程図である。
【図2】 本発明にかかる一実施例の製造方法における
中層部および上層部の温度変化を示すグラフ図である。
中層部および上層部の温度変化を示すグラフ図である。
1,4…長網式抄造機、2,5…湿潤無機板、3…中間
部用混合物、6…積層体、7…連続ベルトプレス、8…
連続する無機建築板、9…カッター、10…乾燥機、1
1…無機建築板。
部用混合物、6…積層体、7…連続ベルトプレス、8…
連続する無機建築板、9…カッター、10…乾燥機、1
1…無機建築板。
Claims (3)
- 【請求項1】 鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を
必須成分とするスラリーから下層部となる湿潤無機板を
抄造する工程と、無機発泡体,繊維状物および結合剤を
必須成分とする中層部用混合物を前記湿潤無機板上に均
一厚さに散布,堆積させて中層部となる混合物層を形成
する工程と、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤を必
須成分とするスラリーから抄造して得た上層部となる湿
潤無機板を前記混合物層に積層して積層体を得る工程
と、この積層体を加熱,圧締し、前記上下層部から発生
する蒸気で混合物層の結合剤を活性化させて混合物層か
らなる中層部を上下層部に一体化する工程とからなるこ
とを特徴とする無機建築板の製造方法。 - 【請求項2】 前記湿潤無機板が、長網式抄造機で抄造
されることを特徴とする請求項1記載の無機建築板の製
造方法。 - 【請求項3】 前記湿潤無機板が、円網式抄造機で抄造
されることを特徴とする請求項1又は2記載の無機建築
板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2906293A JP2801493B2 (ja) | 1993-02-18 | 1993-02-18 | 無機建築板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2906293A JP2801493B2 (ja) | 1993-02-18 | 1993-02-18 | 無機建築板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06238635A true JPH06238635A (ja) | 1994-08-30 |
JP2801493B2 JP2801493B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=12265886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2906293A Expired - Lifetime JP2801493B2 (ja) | 1993-02-18 | 1993-02-18 | 無機建築板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2801493B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103372904B (zh) * | 2012-04-28 | 2015-08-12 | 李湛章 | 可纠正模具偏移的石膏板生产设备 |
-
1993
- 1993-02-18 JP JP2906293A patent/JP2801493B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103372904B (zh) * | 2012-04-28 | 2015-08-12 | 李湛章 | 可纠正模具偏移的石膏板生产设备 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2801493B2 (ja) | 1998-09-21 |
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