JPH0623585A - サブマージアーク溶接用フラックスの製造方法 - Google Patents

サブマージアーク溶接用フラックスの製造方法

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JPH0623585A
JPH0623585A JP72092A JP72092A JPH0623585A JP H0623585 A JPH0623585 A JP H0623585A JP 72092 A JP72092 A JP 72092A JP 72092 A JP72092 A JP 72092A JP H0623585 A JPH0623585 A JP H0623585A
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JP
Japan
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flux
iron
welding
metal
surface area
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JP72092A
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Toshihiro Miura
利宏 三浦
Masami Yamaguchi
将美 山口
Ryuichi Motomatsu
隆一 元松
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼の大入熱サブマージアーク溶接において溶
着金属が高能率で得られる鉄粉添加型フラックスの製造
方法に係り、フラックスの極低水素化と良好な溶接作業
性を同時に可能にしたサブマージアーク溶接用フラック
スを提供する。 【構成】 比表面積が5×10-32 ・g-1以上1×1
-12 ・g-1未満であり、かつメジアン粒径が0.2
mm以上0.6mm未満の鉄または鉄合金に難高温酸化
性金属、金属酸化物、金属弗化物、金属炭酸化合物の1
種以上をコーティングし、次いで500℃以上580℃
未満の温度で焼成脱水処理することを特徴とするサブマ
ージアーク溶接用フラックスの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の大入熱サブマージ
アーク溶接において溶着金属が高能率で得られる鉄粉添
加型フラックスに係わり、フラックスの極低水素化と良
好な溶接作業性を同時に可能にしたサブマージアーク溶
接用フラックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サブマージアーク溶接用フラックスは、
その製造方法から、溶融フラックスとボンドフラックス
に大別される。溶融フラックスは、各種鉱物原料を予め
電気炉等で溶融することによって均一のガラス状または
結晶質状の複酸化合物として固化し、それを粉砕・粒度
調整したもので、一般のサブマージアーク溶接用として
広く使用されている。溶融フラックスは、化学成分的に
は均一に溶け合った酸化物や弗化物からなり、原料の付
着水や結晶水などの水分がフラックスに残留しないた
め、溶接金属の低水素化が容易であるが、複酸化合物組
成であるため一般に軟化溶融温度が低く大入熱溶接には
使用できず、さらに金属を脱酸剤として作用させる場合
や、ガス発生剤などを使用する場合には、フラックスに
機械的に混合するなどの方法で添加されており、後述の
ボンドフラックスの様に多量の鉄粉を均一に添加して溶
着速度を増加させることは非常に困難である。
【0003】一方、ボンドフラックスは、各種鉱物原料
や金属粉を水ガラスなどのバインダーで固め適当な粒度
に造粒したもので、溶融フラックスに比べ一般に高融点
であるが、合金成分添加のためのマンガン等の金属粉や
溶着速度向上のための鉄粉、石灰石等のガス発生剤等の
添加も容易なため、溶融フラックスが適用しにくい大入
熱溶接や低合金鋼の溶接などに使用されている。特に最
近では、板厚50mm超級の極厚鋼板を用いた建築鉄骨
構造物の大入熱溶接用に鉄粉を多量に添加した鉄粉添加
型フラックスが多く使用されており、高能率な施工方法
として発展している。
【0004】このような極厚鋼板の溶接では溶接金属中
の水素に起因する溶接割れが発生する場合があり、溶接
金属中に水素が進入しないよう予熱等の溶接施工管理に
多大のコストが必要となっており、溶接管理を容易にす
るために水素源の一部である溶接フラックスの極低水素
化技術が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のボンドフラック
スは、金属粉をスラグ剤である他の鉱物類と同時に添加
できることが大きな特徴であり、鉄粉を多量に添加して
溶着速度向上を図ったり、用途により溶接金属成分の添
加調整をすることが容易である反面、焼成時や溶接時の
鉄または鉄合金の酸化反応、ガス発生剤の分解反応等が
フラックスの化学成分を変化させるため、鉄粉添加型フ
ラックスを極低水素化の目的で単純に500℃以上の高
温で焼成した場合には溶接作業性が劣化してしまい、良
好な溶接作業性と、極低水素化を同時に発揮させること
は非常に困難であった。
【0006】また、本発明は特定の製造方法によりフラ
ックスの粒子形態を制御することにその特徴があるが、
従来のボンドフラックスの粒子形態は各種原料粉を同時
に混合するため、フラックス粒子は原料が粒子全体に無
秩序に分散した形態となり、従って鉄粉類も表面層に露
出した形態となっているのが普通であった。フラックス
の形態を制御した技術としては、特公昭37−2160
号公報に予備造粒した粗粒成分を細粒成分で被覆するこ
とにより低温で乾燥固化できるフラックスの製造方法
が、特開昭51−119640号公報に特定成分の溶融
フラックスに無機質結合剤を付着させたフラックスおよ
び特開昭63−252693号公報に表面層の軟化溶融
点を高くして大入熱および小入熱両用とするフラックス
等が開示されているが、本発明のように鉄粉添加型フラ
ックスの鉄成分の酸化に着目してフラックス中の鉄また
は鉄合金を特定の性状に調整し、かつフラックスの形態
を制御した製造方法の例は見あたらない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、フラックス中
の粒子形態および造粒・コーティング方法およびフラッ
クスの焼成方法等を種々検討した結果得られたものであ
り、フラックス中の鉄または鉄合金を特定の性状に調整
し、かつその外郭にスラグ剤等を緻密にコーティングす
ることにより鉄成分の酸化を防止し、さらに特定の温度
で脱水焼成することにより、溶接作業性を劣化すること
なく容易に極低水素化を可能にするサブマージアーク溶
接用フラックスの製造方法である。
【0008】本発明の要旨とするところは、比表面積が
5×10-32 ・g-1以上1×10 -12 ・g-1未満で
あり、かつメジアン粒径が0.2mm以上0.6mm未
満の鉄または鉄合金に難高温酸化性金属、金属酸化物、
金属弗化物、金属炭酸化合物の1種以上をコーティング
し、次いで500℃以上580℃未満の温度で焼成脱水
処理することを特徴とするサブマージアーク溶接用フラ
ックスの製造方法にある。
【0009】
【作用】以下本発明の作用を詳細に説明する。まず第一
に、鉄または鉄合金粉の比表面積およびメジアン粒径に
ついてであるが、鉄または鉄合金は、フラックス焼成時
の加熱により500℃以上の温度では非常に酸化されや
すい。特にスラグ中の酸化鉄成分が増加した場合にはス
ラグの粘性も著しく低下し、スラグ剥離性が劣化すると
共に溶接金属中へのスラグ巻込等の欠陥が発生する原因
ともなる。鉄の表面酸化は酸素の拡散速度に律速される
ため、使用する鉄または鉄合金粉を調整し、比表面積の
小さい粒子とすれば表面酸化を極力防止することが可能
である。尚、ここで言う比表面積とはJIS Z883
0に規定された方法により測定された比表面積のことで
あり、メジアン粒径とは累積粒度分布において累積値が
50%に相当する粒子径のことである。
【0010】比表面積の限定範囲は種々の鉄または鉄合
金粉を用いてフラックスの造粒性と耐高温酸化性の実験
を行った結果から得られたものであり、本発明の製造方
法で後述のコーティング法と相俟って耐酸化効果を発揮
できる鉄または鉄合金粉の比表面積は1×10-12
-1未満である。一方、比表面積が5×10-32 ・g
-1未満の場合は複合化するフラックスが粗粒となり過
ぎ、溶接アーク熱により均一にフラックスを溶融するこ
とが困難となりアークが不安定となるため逆に溶接作業
性が劣化する。また、本発明の製造方法によるフラック
スは、コーティングされる母層となる鉄粉の粒径により
最終的なフラックスの粒径が大きく影響を受ける。良好
な溶接作業性の得られる鉄または鉄合金の粒径範囲はメ
ジアン粒径で、0.2mm以上0.6mm未満である。
鉄または鉄合金粉の比表面積は概ねその粒径に反比例す
るが、同一の平均粒径の鉄粉でも鉄鉱石還元品やアトマ
イズ品さらには機械加工品等その製造履歴により比表面
積が異なるため、比表面積およびメジアン粒径両者が適
正範囲である必要がある。
【0011】次に、鉄または鉄合金に難高温酸化性金
属、金属酸化物、金属弗化物、金属炭酸化合物の1種以
上をコーティングすることによる作用効果であるが、被
覆剤は従来のフラックス成分と同様、溶接に際しスラグ
生成剤、ガス生成剤、合金剤として作用するが、同時に
コーティング層として、内部の鉄成分を保護し、後工程
である焼成加熱時の鉄粉酸化を防止する効果を示す。こ
こで、難高温酸化性金属とは焼成温度では酸化され難い
金属で、アルミニウム、チタニウム、フェロシリコン、
鉄クロム合金等の金属または合金である。
【0012】さらに、フラックスの焼成温度は、フラッ
クスの水素量を低減するためには500℃以上で、かつ
できるだけ高温であることが望ましいが、本発明の鉄ま
たは鉄合金の調整およびコーティング法を適用した場合
でも、580℃以上の温度で焼成した場合には溶接作業
性の劣化が認められる。従って良好な溶接作業性が得ら
れ、かつ極低水素化効果も得られる焼成温度範囲は50
0℃以上580℃未満である。
【0013】
【実施例】実施例により本発明の効果を説明する。表1
に示す性状に調整した鉄または鉄合金に、表2のF1〜
F7に示す組成になるように脱酸剤、スラグ剤等をコー
ティングした。フラックスのコーティング方法は、高速
回転攪拌型造粒装置で核となる鉄または鉄合金を回転攪
拌しながら、他の材料およびバインダーである水ガラス
を少量づつ連続的に投入する方法により行った。
【0014】コーティングしたフラックスF1〜F7は
全て540℃×1hrで焼成し、溶接作業性試験用フラ
ックスとした。以上のフラックスF1〜F7を用いて角
継手による2電極1ラン1層大入熱溶接による溶接作業
性試験を行った。試験体はJIS G3106 SM5
0B鋼材を用い、その開先形状寸法を図1に、溶接条件
を表3に示す。
【0015】表4に溶接作業性試験結果を示す。表4の
T1〜T3に示すように、本発明の製造方法に従い、適
正な性状に調整した鉄または鉄合金をスラグ剤および他
の成分でコーティングして高温焼成を行ったフラックス
は溶接作業性が良好である。これに対し、鉄粉の比表面
積が1×10-12 ・g-1以上の鉄粉を使用した結果、
T4では鉄成分が540℃での焼成時に酸化したため、
スラグの粘度が著しく低下し、溶接作業性不良となっ
た。また表1のI7に示すように、比表面積が5×10
-3・m2 ・g-1未満の鉄合金を適用した場合は、鉄粉の
酸化による影響は認められないが、フラックスの粒径が
過大となるためアークが不安定になり、溶接作業性が劣
化する。表4のT4およびT5はメジアン粒径が0.2
mm未満の鉄粉を適用した例である。T5では鉄粉の比
表面積が1×10-12 ・g-1未満であるため、鉄成分
の高温酸化による劣化は認められなかったが、T4およ
びT5ではフラックス自体の粒度が細かくなり、ガス抜
けが悪いことによるビード表面あばたが発生した。逆に
メジアン粒径が0.6mm以上の鉄または鉄合金を適用
したT6、T7についてはフラックスが粗粒であるた
め、アークが不安定となる、ビードが乱れる等の影響が
認められた。
【0016】次に、図2は表2のF2の材料組成でコー
ティングしたものを400℃から580℃までの温度で
それぞれ1hr焼成したフラックスについて溶接金属水
素試験を行い、焼成温度と溶接金属水素量の関係を調査
した結果である。溶接金属水素試験は、JIS Z33
51 YS−S1 ワイヤ径4.0mmのワイヤを用い
てJIS Z3118の方法に従い実施した。
【0017】焼成温度が高いほど溶接金属水素量が低く
なり、焼成温度が500℃以上で極低水素と言える3m
l/100g以下が達成できるが、焼成温度が580℃
以上になると溶接作業性が劣化するため、適正な焼成温
度は範囲は500℃以上580℃未満である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明のフラックス製造方
法により溶着金属が高能率で得られる金属粉添加型大入
熱溶接において、フラックスの極低水素化と同時に良好
な溶接作業性を満足し得るサブマージアーク溶接用フラ
ックスの製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いた試験体の開先形状を説
明する模式図である。
【図2】本発明フラックスの焼成温度と溶接金属水素量
および溶接作業性の関係を説明するグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の大入熱サブマージ
アーク溶接において溶着金属が高能率で得られる鉄粉添
加型フラックスに係わり、フラックスの極低水素化と良
好な溶接作業性を同時に可能にしたサブマージアーク溶
接用フラックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サブマージアーク溶接用フラックスは、
その製造方法から、溶融フラックスとボンドフラックス
に大別される。溶融フラックスは、各種鉱物原料を予め
電気炉等で溶融することによって均一のガラス状または
結晶質状の複酸化合物として固化し、それを粉砕・粒度
調整したもので、一般のサブマージアーク溶接用として
広く使用されている。溶融フラックスは、化学成分的に
は均一に溶け合った酸化物や弗化物からなり、原料の付
着水や結晶水などの水分がフラックスに残留しないた
め、溶接金属の低水素化が容易であるが、複酸化合物組
成であるため一般に軟化溶融温度が低く大入熱溶接には
使用できず、さらに金属を脱酸剤として作用させる場合
や、ガス発生剤などを使用する場合には、フラックスに
機械的に混合するなどの方法で添加されており、後述の
ボンドフラックスの様に多量の鉄粉を均一に添加して溶
着速度を増加させることは非常に困難である。
【0003】一方、ボンドフラックスは、各種鉱物原料
や金属粉を水ガラスなどのバインダーで固め適当な粒度
に造粒したもので、溶融フラックスに比べ一般に高融点
であるが、合金成分添加のためのマンガン等の金属粉や
溶着速度向上のための鉄粉、石灰石等のガス発生剤等の
添加も容易なため、溶融フラックスが適用しにくい大入
熱溶接や低合金鋼の溶接などに使用されている。特に最
近では、板厚50mm超級の極厚鋼板を用いた建築鉄骨
構造物の大入熱溶接用に鉄粉を多量に添加した鉄粉添加
型フラックスが多く使用されており、高能率な施工方法
として発展している。
【0004】このような極厚鋼板の溶接では溶接金属中
の水素に起因する溶接割れが発生する場合があり、溶接
金属中に水素が進入しないよう予熱等の溶接施工管理に
多大のコストが必要となっており、溶接管理を容易にす
るために水素源の一部である溶接フラックスの極低水素
化技術が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のボンドフラック
スは、金属粉をスラグ剤である他の鉱物類と同時に添加
できることが大きな特徴であり、鉄粉を多量に添加して
溶着速度向上を図ったり、用途により溶接金属成分の添
加調整をすることが容易である反面、焼成時や溶接時の
鉄または鉄合金の酸化反応、ガス発生剤の分解反応等が
フラックスの化学成分を変化させるため、鉄粉添加型フ
ラックスを極低水素化の目的で単純に500℃以上の高
温で焼成した場合には溶接作業性が劣化してしまい、良
好な溶接作業性と、極低水素化を同時に発揮させること
は非常に困難であった。
【0006】また、本発明は特定の製造方法によりフラ
ックスの粒子形態を制御することにその特徴があるが、
従来のボンドフラックスの粒子形態は各種原料粉を同時
に混合するため、フラックス粒子は原料が粒子全体に無
秩序に分散した形態となり、従って鉄粉類も表面層に露
出した形態となっているのが普通であった。フラックス
の形態を制御した技術としては、特公昭37−2160
号公報に予備造粒した粗粒成分を細粒成分で被覆するこ
とにより低温で乾燥固化できるフラックスの製造方法
が、特開昭51−119640号公報に特定成分の溶融
フラックスに無機質結合剤を付着させたフラックスおよ
び特開昭63−252693号公報に表面層の軟化溶融
点を高くして大入熱および小入熱両用とするフラックス
等が開示されているが、本発明のように鉄粉添加型フラ
ックスの鉄成分の酸化に着目してフラックス中の鉄また
は鉄合金を特定の性状に調整し、かつフラックスの形態
を制御した製造方法の例は見あたらない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、フラックス中
の粒子形態および造粒・コーティング方法およびフラッ
クスの焼成方法等を種々検討した結果得られたものであ
り、フラックス中の鉄または鉄合金を特定の性状に調整
し、かつその外郭にスラグ剤等を緻密にコーティングす
ることにより鉄成分の酸化を防止し、さらに特定の温度
で脱水焼成することにより、溶接作業性を劣化すること
なく容易に極低水素化を可能にするサブマージアーク溶
接用フラックスの製造方法である。
【0008】本発明の要旨とするところは、比表面積が
5×10-32 ・g-1以上1×10 -12 ・g-1未満で
あり、かつメジアン粒径が0.2mm以上0.6mm未
満の鉄または鉄合金に難高温酸化性金属、金属酸化物、
金属弗化物、金属炭酸化合物の1種以上をコーティング
し、次いで500℃以上580℃未満の温度で焼成脱水
処理することを特徴とするサブマージアーク溶接用フラ
ックスの製造方法にある。
【0009】
【作用】以下本発明の作用を詳細に説明する。まず第一
に、鉄または鉄合金粉の比表面積およびメジアン粒径に
ついてであるが、鉄または鉄合金は、フラックス焼成時
の加熱により500℃以上の温度では非常に酸化されや
すい。特にスラグ中の酸化鉄成分が増加した場合にはス
ラグの粘性も著しく低下し、スラグ剥離性が劣化すると
共に溶接金属中へのスラグ巻込等の欠陥が発生する原因
ともなる。鉄の表面酸化は酸素の拡散速度に律速される
ため、使用する鉄または鉄合金粉を調整し、比表面積の
小さい粒子とすれば表面酸化を極力防止することが可能
である。尚、ここで言う比表面積とはJIS Z883
0に規定された方法により測定された比表面積のことで
あり、メジアン粒径とは累積粒度分布において累積値が
50%に相当する粒子径のことである。
【0010】比表面積の限定範囲は種々の鉄または鉄合
金粉を用いてフラックスの造粒性と耐高温酸化性の実験
を行った結果から得られたものであり、本発明の製造方
法で後述のコーティング法と相俟って耐酸化効果を発揮
できる鉄または鉄合金粉の比表面積は1×10-12
-1未満である。一方、比表面積が5×10-32 ・g
-1未満の場合は複合化するフラックスが粗粒となり過
ぎ、溶接アーク熱により均一にフラックスを溶融するこ
とが困難となりアークが不安定となるため逆に溶接作業
性が劣化する。また、本発明の製造方法によるフラック
スは、コーティングされる母層となる鉄粉の粒径により
最終的なフラックスの粒径が大きく影響を受ける。良好
な溶接作業性の得られる鉄または鉄合金の粒径範囲はメ
ジアン粒径で、0.2mm以上0.6mm未満である。
鉄または鉄合金粉の比表面積は概ねその粒径に反比例す
るが、同一の平均粒径の鉄粉でも鉄鉱石還元品やアトマ
イズ品さらには機械加工品等その製造履歴により比表面
積が異なるため、比表面積およびメジアン粒径両者が適
正範囲である必要がある。
【0011】次に、鉄または鉄合金に難高温酸化性金
属、金属酸化物、金属弗化物、金属炭酸化合物の1種以
上をコーティングすることによる作用効果であるが、被
覆剤は従来のフラックス成分と同様、溶接に際しスラグ
生成剤、ガス生成剤、合金剤として作用するが、同時に
コーティング層として、内部の鉄成分を保護し、後工程
である焼成加熱時の鉄粉酸化を防止する効果を示す。こ
こで、難高温酸化性金属とは焼成温度では酸化され難い
金属で、アルミニウム、チタニウム、フェロシリコン、
鉄クロム合金等の金属または合金である。
【0012】さらに、フラックスの焼成温度は、フラッ
クスの水素量を低減するためには500℃以上で、かつ
できるだけ高温であることが望ましいが、本発明の鉄ま
たは鉄合金の調整およびコーティング法を適用した場合
でも、580℃以上の温度で焼成した場合には溶接作業
性の劣化が認められる。従って良好な溶接作業性が得ら
れ、かつ極低水素化効果も得られる焼成温度範囲は50
0℃以上580℃未満である。
【0013】
【実施例】実施例により本発明の効果を説明する。表1
に示す性状に調整した鉄または鉄合金に、表2のF1〜
F7に示す組成になるように脱酸剤、スラグ剤等をコー
ティングした。フラックスのコーティング方法は、高速
回転攪拌型造粒装置で核となる鉄または鉄合金を回転攪
拌しながら、他の材料およびバインダーである水ガラス
を少量づつ連続的に投入する方法により行った。
【0014】コーティングしたフラックスF1〜F7は
全て540℃×1hrで焼成し、溶接作業性試験用フラ
ックスとした。以上のフラックスF1〜F7を用いて角
継手による2電極1ラン1層大入熱溶接による溶接作業
性試験を行った。試験体はJIS G3106 SM5
0B鋼材を用い、その開先形状寸法を図1に、溶接条件
を表3に示す。
【0015】表4に溶接作業性試験結果を示す。表4の
T1〜T3に示すように、本発明の製造方法に従い、適
正な性状に調整した鉄または鉄合金をスラグ剤および他
の成分でコーティングして高温焼成を行ったフラックス
は溶接作業性が良好である。これに対し、鉄粉の比表面
積が1×10-12 ・g-1以上の鉄粉を使用した結果、
T4では鉄成分が540℃での焼成時に酸化したため、
スラグの粘度が著しく低下し、溶接作業性不良となっ
た。また表1のI7に示すように、比表面積が5×10
-3・m2 ・g-1未満の鉄合金を適用した場合は、鉄粉の
酸化による影響は認められないが、フラックスの粒径が
過大となるためアークが不安定になり、溶接作業性が劣
化する。表4のT4およびT5はメジアン粒径が0.2
mm未満の鉄粉を適用した例である。T5では鉄粉の比
表面積が1×10-12 ・g-1未満であるため、鉄成分
の高温酸化による劣化は認められなかったが、T4およ
びT5ではフラックス自体の粒度が細かくなり、ガス抜
けが悪いことによるビード表面あばたが発生した。逆に
メジアン粒径が0.6mm以上の鉄または鉄合金を適用
したT6、T7についてはフラックスが粗粒であるた
め、アークが不安定となる、ビードが乱れる等の影響が
認められた。
【0016】次に、図2は表2のF2の材料組成でコー
ティングしたものを400℃から580℃までの温度で
それぞれ1hr焼成したフラックスについて溶接金属水
素試験を行い、焼成温度と溶接金属水素量の関係を調査
した結果である。溶接金属水素試験は、JIS Z33
51 YS−S1 ワイヤ径4.0mmのワイヤを用い
てJIS Z3118の方法に従い実施した。
【0017】焼成温度が高いほど溶接金属水素量が低く
なり、焼成温度が500℃以上で極低水素と言える3m
l/100g以下が達成できるが、焼成温度が580℃
以上になると溶接作業性が劣化するため、適正な焼成温
度は範囲は500℃以上580℃未満である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が5×10-32 ・g-1以上1
    ×10-12 ・g-1未満であり、かつメジアン粒径が
    0.2mm以上0.6mm未満の鉄または鉄合金に難高
    温酸化性金属、金属酸化物、金属弗化物、金属炭酸化合
    物の1種以上をコーティングし、次いで500℃以上5
    80℃未満の温度で焼成脱水処理することを特徴とする
    サブマージアーク溶接用フラックスの製造方法。
JP72092A 1992-01-07 1992-01-07 サブマージアーク溶接用フラックスの製造方法 Pending JPH0623585A (ja)

Priority Applications (1)

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JP72092A JPH0623585A (ja) 1992-01-07 1992-01-07 サブマージアーク溶接用フラックスの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07328793A (ja) * 1994-06-06 1995-12-19 Kawasaki Steel Corp 溶接金属のじん性に優れる厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法
JP6212665B1 (ja) * 2017-03-02 2017-10-11 株式会社大貴 粒状体群の製造方法及び製造装置

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