JPH06234791A - ヒト免疫不全ウィルスの新規トランスドミナントtat変異体 - Google Patents

ヒト免疫不全ウィルスの新規トランスドミナントtat変異体

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JPH06234791A
JPH06234791A JP5355278A JP35527893A JPH06234791A JP H06234791 A JPH06234791 A JP H06234791A JP 5355278 A JP5355278 A JP 5355278A JP 35527893 A JP35527893 A JP 35527893A JP H06234791 A JPH06234791 A JP H06234791A
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tat
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tat protein
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Abstract

(57)【要約】 【構成】HIVウイルスTAT蛋白質または少なくとも
1つの突然変異を含む該蛋白質の機能性フラグメントの
トランスドミナント変異体であって、該突然変異が38
位、40位、41位、45位または47位には、天然残
基と異なるアミノ酸残基が存在し、41位はアラニンま
たはスレオニンと異なり、47位はアラニンまたはヒス
チジンと異なることを特徴とする変異体、該変異体の製
造方法及び害変異体を有効成分とするHIV感染の治療
または予防用の薬学的組成物。 【効果】HIV感染の治療または予防を行えるようにな
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト免疫不全ウイルス
(HIV)のTAT蛋白の新規な変異体、ならびにこの
変異体をコードするDNAフラグメント、組換え経路に
よりその発現を可能とする発現カセットおよびこの発現
カセットを含む細胞に関する。TAT蛋白変異体、カセ
ットおよび細胞は、HIV感染の予防或いは治療に特に
有用である。
【0002】
【従来技術とその問題点】後天性免疫不全症候群(エイ
ズ)は、HIVウイルスによる個体のT4リンパ球の感
染に引き続いて、進行する。感染後も、多年に亘り無症
候性である場合もあるが、細胞が活性化されると直ち
に、HIVウイルスは、急速に複製を開始し、細胞を破
壊する。エイズは、日和見感染症に対して感染者を特に
鋭敏にさせる効果を有する細胞性免疫の欠陥により特徴
付けられる。WHOは、1992年7月に世界中で50
1272件のエイズの症例を記録している(「後天性免
疫不全症候群とそれに関連するレトロウイルス類につい
てのAIDS国際文献」、A.W.ボイルストン編、1
992、8、リーズ ユニバーシティー プレス、リー
ズ)。しかしながら、幾つかのアフリカ諸国において
は、この病気は、真の流行病となっているので、これら
の数値は、実際の値よりも低い。
【0003】エイズは、1992年においても、その死
亡率が非常に高い病気である。実際、エイズの発病から
2年以内に、90%以上のヒトが死亡する。これまでに
も、多大の努力が払われてきたにも拘らず、完全に満足
すべきことが証明された治療法は存在しない。効果的な
治療法の開発は、HIVウイルスの特異的な複雑さの故
に、妨げられてきた。HIVは、レンチウイルス科に属
するレトロウイルスの一種である。他のレトロウイルス
と同様に、HIVは、蛋白性のカプシドを囲むエンベロ
ープにより構成されており、カプシドは、複製サイクル
の最初の段階で必要とされる種々のウイルス蛋白と結合
したRNA分子からなる遺伝材料を含んでいる。
【0004】Tリンパ球の感染後、RNA分子は、ウイ
ルスの逆転写酵素によりコピーされ、DNAとなる。D
NAは、細胞ゲノム内に組み込まれ、通常プロウイルス
と呼ばれるものを形成する。プロウイルス性のDNA
は、潜伏状態でそこにとどまり続けることもできるし、
或いは細胞の機構によりRNAに転写されて、一方では
ウイルスのゲノムRNAを形成し、他方ではウイルス蛋
白に翻訳されるべきメッセンジャーRNA(mRNA)
を形成する。新しいウイルス粒子、即ちビリオンの形成
は、ウイルスのゲノムRNAのカプシド内への包み込み
により、生ずる。この様にして形成された粒子は、ウイ
ルスエンベロープグリコプロテインが組み込まれる細胞
膜の一部で発生する破れ(budding)により、細
胞から分離する。この様にして放出されたビリオンは、
T4リンパ球の表面で発現されるCD4レセプターとH
IVエンベロープ蛋白との特異的で且つ相互的な認識に
より、他のリンパ球に感染することができる。
【0005】図1に示す様に、一般にHIVゲノムは、
以下の構成を備えている: −3つの構造遺伝子;カプシド、エンベロープおよび逆
転写酵素蛋白をそれぞれコードするgag、polおよ
びenv、 −少なくとも6つの遺伝子;tat、rev、nef、
vif、vprおよびvpu。これらは、いまだ僅かに
しか判明していないものもある制御機能を恐らく有して
いる蛋白をコードしている、および −シス−制御配列(cis−regulatory s
equences)。これは、転写のために必須であ
り、LTRs(Long Terminal Repe
at)のレベルでプロウイルスDNAの5′末端および
3′末端の両方に局在する。5′末端のLTRは、転写
の開始に必要なプロモーター配列と制御エレメントとを
含むのに対し、3′末端のLTRは、転写の停止に関与
する。さらに、ウイルス遺伝子の転写は、特にウイルス
蛋白TATおよびREVによりコントロールされる複合
制御の対象となる。TAT蛋白は、ウイルスサイクルの
初期段階で発現される制御蛋白である。その作用部位
は、核である。その役割は、全てのHIV蛋白をコード
する遺伝子の発現をトランス活性化すること(tran
sacitivating)にある。TAT蛋白は、ウ
イルスゲノムの短鎖ヌクレオチド配列と特異的に相互作
用する。即ち、TAR(トランス活性化反応性部位(T
rans−Activation Responsiv
e Region))配列は、5′末端のLTRの−1
7と+80ヌクレオチド(nt)の間でHIVゲノムの
5′末端に局地的に存在する。従って、この配列は、全
てのウイルスmRNAにおいて部分的に存在する。TA
T−TARコンプレックスは、恐らく他の細胞性因子
(cellularfactors)とともにウイルス
遺伝子の転写に有利に働き、この様にして得られたmR
NAを安定化させ、これらのmRNAの蛋白への翻訳を
改善するものと推測される。かくしてウイルスは、ta
t遺伝子が活性化されるや否や、急速に増殖する。
【0006】CAT(クロラムフェニコール・アセチル
・トランスフェラーゼ(Chloramphenico
l Acetyl Transferase)遺伝子の
様な、その発現を容易に測定できる指標遺伝子(ind
icator gene)を使用して、TAT蛋白質に
より誘導されるトランス活性化(transaciti
vation)の効果をインビトロで評価することは、
可能であった。TAR配列を含むHIVウイルスの5′
LTRの制御下に置かれたCAT遺伝子が、トランスフ
ェクションにより、動物細胞内に導入された。TATを
発現しない細胞、例えば、HIVウイルスにより感染さ
れていない細胞においては、ウイルスプロモーターから
のCAT遺伝子の転写は、ブロックされるか最小限にま
で減少するので、CAT遺伝子生成物は全く或いは殆ど
検知されない。これに対し、TAT蛋白の存在下では、
細胞の種類にもよるが、100〜1000というファク
ターでの遺伝子発現の増大が観察された。この結果は、
翻訳の効率の改善と関連する転与の促進によるものであ
る。HIVトランス活性化遺伝子(tat)は、2つの
コード化エクソンを有している。第1のエクソンは、ゲ
ノムの中心領域で、pol遺伝子およびenv遺伝子を
コードする配列間に位置しており、蛋白の大部分、即
ち、N末端の72個のアミノ酸をコードしている。C末
端の14個のアミノ酸のみをコードする第2のエクソン
は、生物学的活性のためには、必須ではない。
【0007】TAT蛋白の構造は、その機能が示唆して
いる。TAT蛋白は、ウイルス遺伝子の転写の活性化を
可能とする、活性化ドメインと呼ばれる少なくとも1つ
のドメイン、TARヌクレオチド配列に結合する1つの
ドメイン、そのターゲット配列、およびその核局在化
(nuclear localization)を可能
とする1つのドメインをを備えている。多くの研究によ
れば、TAT蛋白は、以下の5つのドメインを備えてい
る(図2参照): −第1のドメイン(アミノ酸1〜37)は、システイン
に富む配列を有しているが、その機能は未だ不明であ
る。幾つかの研究は、この領域が、蛋白の折りたたみお
よびTAT分子のダイマー化に関与しており、プロテア
ーゼに対して蛋白を保護しているものと考えれることを
示唆している。 −第1の活性化ドメインに対応するアミノ酸38〜48
からなるドメイン。 −アミノ酸49〜57からなるドメインは、核局在化お
よびTARエレメントへの結合のための配列を有してい
る。 −アミノ酸58〜72からなるドメインは、第2のTA
T活性化ドメインに対応する。 −アミノ酸73〜86からなるドメインは、TAT活性
には必須ではない。 多くのHIV関連レトロウイルスは、LTRからのウイ
ルス遺伝子の転写を活性化し得る蛋白をコード化するト
ランス活性化遺伝子を有する。過去数年間に、異なるタ
イプのウイルスから得られたこれらのトランス活性化蛋
白の種々の変異体が発表されている。それらの中には、
ネガティブおよびドミナント変異体(negative
and dominant variants)があ
り(ワックスマンら、サイエンス、1987,235,
674−677;フリードマンら、ネイチャー、198
8,335,452−454)、これらを以後トランス
ドミナント変異体という。
【0008】トランスドミナント変異体は、以下の様に
定義されている。即ち、ウイルスプロモーターの制御下
におかれた遺伝子の発現の活性化を誘導する能力の低下
(低下したトランス活性化作用)を呈するが、このプロ
モーターのレベルにおかれたそのターゲット配列を認識
する能力を有しているので、野生型(native)ト
ランス活性化蛋白の機能を拮抗的に抑制することができ
るものである。これらの変異体は、野生型蛋白の機能に
ドミナント的に(in a dominant man
ner)干渉するので、感染した細胞の「細胞内免疫化
(intracellular immunizati
on)」を促進し得る新たな種類の抗ウイルス剤となり
得る。一般にいえば、この技術は、細胞に特異的な利点
を付与する蛋白または核酸を合成させる様に、細胞を遺
伝学的に改良することにある。例えば、ディー・ボルチ
モアー(ネイチャー、1988,335,395−39
6)により定義されている様に、HIVウイルスの様な
特定のウイルスによる感染に対する抵抗性を付与するこ
とである。
【0009】かくして、グリーンら(セル、1989,
58,215−233)は、HIVウイルスTAT蛋白
の第1の活性化ドメインにおいて修飾されたトランスド
ミナント変異体を生成させている。グリーンらは、TA
T蛋白のペプチドフラグメントから得られた4つの変異
体を開示している。これらの2つ、即ち、変異体TAT
(Lys41−>Ala)およびTAT(Tyr47
>Ala)は、有効なトランスドミナントであるである
と述べられ、他の2つ、即ち、変異体TAT(Ser
46−>Ala)および二重変異体TAT(Se
46、Tyr47−>Ala、Ala)は、温和なト
ランスドミナント(moderate transdo
minants)であると述べられている。それにも拘
らず、上記の文献に記載された変異体には、疑問が投げ
掛けられている様である(フランケルら、プロシージャ
ー オブ ナショナル アカデミーオブ サイエンス
ユーエスエー、1989,86,7397−740
1)。本発明者も、変異体(Lys41−>Ala)に
ついて得られた結果を再現しようと試みたが、下記に示
すように、不成功に終わった。さらに、ピアソンら(プ
ロシージャー オブ ナショナル アカデミー オブサ
イエンス ユーエスエー、1990,87.5079−
5083)は、トランスドミナント表現型の形成に際し
てのアミノ酸48〜54からなる領域の重要性を示して
いる。事実、54位においてグルタミン(Gln)をコ
ードするコドンをストップコドンで置換することによ
り、その様な表現型を示す先端を切断された(trun
cated)ΔTAT変異体が得られる。
【0010】現在、トランスドミナント表現型を示し且
つ活性化ドメインの或る残基にレベルで修飾された、H
IV TAT蛋白の新しい変異体が見出されている。こ
れらの変異体は、より低いトランス活性化作用を示し、
且つ天然のTAT蛋白の機能に支配的に関与するので、
抗エイズ治療の枠組みにおいて、極めて有用である。こ
れらの新変異体は、HIVウイルスの複製および伝播を
抑制するに効果的な抗ウイルス剤となり得るものであ
る。事実、これらのトランスドミナント変異体の作用
は、ウイルスが新しいウイルス粒子の形成に必要な蛋白
とRNAとを合成することができる以前においてさえ
も、初めの感染サイクルから生じていると考えられる。
従って、本発明の課題は、少なくとも1つの変異を含む
HIVウイルス TAT蛋白またはこの蛋白の機能性フ
ラグメントのトランスドミナント変異体を提供すること
にある;この変異は、38位、40位、41位、45位
及び47位で天然の残基と異なるアミノ酸残基の存在に
より特徴付けられる。しかしながら、該条件において、
41位のアミノ酸はアラニンまたはスレオニンとは異な
り、47位はアラニンまたはヒスチジンとは異なる。一
般に、ウエイン−ホブソンら(セル、1985,40,
9−17)により開示されているように、HIV1ウイ
ルスLai単離体(HIV1 virusLai is
olate)のTAT蛋白の配列に基づくTAT蛋白の
変異体の配列を記載することが認められている。
【0011】TAT蛋白およびTAT蛋白をコードする
DNAフラグメントは、最初にウイルス株HIV1 L
ai単離体から記載された。しかしながら、ウイルス株
及びウイルス単離体は、多数存在する同一の株の中で記
載された。さらに、特定のウイルスはその増殖中に変異
可能である。結果として、TAT蛋白をコードするDN
Aフラグメントは、ウイルスによって異なるヌクレオチ
ド配列を有するかもしれない。同様に、TAT蛋白は、
ウイルスによって異なるアミノ酸配列を有するかもしれ
ない。しかしながら、共通の標準は、ウイルスゲノムの
5´LTR中に含まれるHIVウイルスプロモーターの
ようなTAR標的配列を含むプロモーターの制御下に置
かれた遺伝子の発現をトランス活性化する蛋白質の機能
である。HIV TAT蛋白は、HIV1ウイルスLa
i単離体のTAT蛋白により発現されるのと実質的に同
一のトランス活性化の結果を与える全ての蛋白であると
理解される。実際に、TAT蛋白の変異体の配列は、H
IV1ウイルスTAT蛋白の変異体の配列と整列させ
る。TAT蛋白の変異体の配列におけるアミノ酸の番号
付けは、それゆえHIV1ウイルスTAT蛋白で確立さ
れた配列に基づくであろう。例えば、TAT蛋白の変異
体の配列における41位のアミノ酸残基は、実際、整列
後のHIV1ウイルスの天然のTAT蛋白の配列の41
位に相当するアミノ酸である。
【0012】より詳細には、本発明のTAT蛋白変異体
は、トランス活性化作用が天然型TAT蛋白の約50%
以下、有利には20%以下、好ましくは10%以下であ
り、変異体/天然型TATが10/1の濃度比で測定さ
れたものとして、天然型TAT機能阻害活性が、50%
以上、有利には75%以上、好ましくは90%以上であ
ることで特徴付けられるトランスドミナント表現型を示
す。トランス活性化作用を測定する種々の方法が現在知
られている。それらは使用されるリポーター遺伝子によ
り変化するが、以下の実施例に記載される、HIVウイ
ルスの5´LTRの制御下におかれたCAT遺伝子を用
いる方法が挙げられる。本発明のTAT蛋白変異体は、
該蛋白の機能性フラグメントから得ることもでき、上記
に記載されたような残基のレベルで変異することもで
き、アミノ酸の番号付けは対照のHIV1ウイルスの天
然のTAT蛋白で確立されたものと整列させる。TAT
蛋白の機能性フラグメントは、HIVウイルスプロモー
ターのようなTAR配列を含むプロモーターの制御下に
置かれた遺伝子の発現のトランス活性化を誘導すること
のできる前記蛋白の全てのフラグメントとして理解され
る。例えば、本発明のTAT蛋白変異体は、アミノ酸1
位から始まりアミノ酸72位で終わるフラグメントのよ
うなTAT蛋白のフラグメントの突然変異後に製造でき
る。
【0013】本願に従うTATタンパク質の変異体は、
HIVの天然のTATタンパク質と比べて、幾つかの突
然変異を含み得る。それは、上述のように、少なくとも
2個の突然変異の組合せを含み得る。より詳細には、本
願に従うTATタンパク質変異体は、特に、HIV1の
天然のTAT配列との相同性の程度が、75%より多
く、有利には90%より多く、好ましくは95%より多
い配列を有する。無論、突然変異されるべき残基は、ア
ルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイ
ン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジ
ン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルア
ラニン、プロリン、セリン、トリプトファン、チロシン
およびバリンで置換され得る41位の残基、およびアル
ギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、
グリシン、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、
ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プ
ロリン、セリン、スレオニン、トリプトファンおよびバ
リンで置換され得る47位の残基を除き、天然の残基以
外のあらゆるアミノ酸残基で置換されることができる。
【0014】本願の特に有利な局面に従うと、TATの
変異体は、以下のものから選択される。 (1)38位に、酸性の側鎖を有するアミノ酸、例えば
グルタミン酸、アスパラギン酸、好ましくはアスパラギ
ン酸を含む変異体、(2)40位に、非極性側鎖を有す
るアミノ酸、例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソ
ロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、
トリプトファン、好ましくはアラニンを含む変異体、
(3)41位に、酸性の側鎖を有するアミノ酸、例えば
グルタミン酸、アスパラギン酸、好ましくはグルタミン
酸を含む変異体、(4)45位に、非荷電極性側鎖を有
するアミノ酸、例えばグリシン、アスパラギン、グルタ
ミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、ま
たは好ましくはセリンを含む変異体、(5)47位に、
塩基性の側鎖を有するアミノ酸、例えばリシン、アルギ
ニン、ヒスチジンまたは好ましくは、アルギニンを含む
変異体、(6)59位に、非荷電極性側鎖を有するアミ
ノ酸、例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、シ
ステイン、セリン、スレオニン、チロシン、または好ま
しくは、グリシンを含む変異体、(7)60位に、非極
性側鎖を有するアミノ酸、例えばアラニン、バリン、ロ
イシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、
メチオニン、トリプトファンまたは好ましくは、トリプ
トファンを含む変異体、(8)61位に、塩基性の側鎖
を有するアミノ酸、例えばリシン、アルギニン、ヒスチ
ジンまたは好ましくは、アルギニンを含む変異体、
(9)62位に、非極性側鎖を有するアミノ酸、例えば
アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリ
ン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンま
たは好ましくは、アラニンを含む変異体、(10)63
位に、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、例えばグリシ
ン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、
スレオニン、チロシン、または好ましくは、セリンを含
む変異体、
【0015】(11)64位に、非極性側鎖を有するア
ミノ酸、例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリ
プトファンまたは好ましくは、ロイシンを含む変異体、
(12)65位に、非極性側鎖を有するアミノ酸、例え
ばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリ
ン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンま
たは好ましくは、ロイシンを含む変異体、(13)66
位に、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、例えばグリシ
ン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、
スレオニン、チロシン、または好ましくは、チロシンを
含む変異体、(14)67位に、塩基性の側鎖を有する
アミノ酸、例えばリシン、アルギニン、ヒスチジンまた
は好ましくは、アルギニンを含む変異体、(15)68
位に、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、例えばグリシ
ン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、
スレオニン、チロシン、または好ましくは、アスパラギ
ンを含む変異体、(16)69位に、塩基性の側鎖を有
するアミノ酸、例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン
または好ましくは、アルギニンを含む変異体、(17)
70位に、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸、例えばグ
リシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリ
ン、スレオニン、チロシン、または好ましくは、グルタ
ミンを含む変異体、(18)71位に、非荷電極性側鎖
を有するアミノ酸、例えばグリシン、アスパラギン、グ
ルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシ
ン、または好ましくは、スレオニンを含む変異体、(1
9)72位に、非極性側鎖を有するアミノ酸、例えばア
ラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、
フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンまたは
好ましくは、ロイシンを含む変異体。
【0016】本願はまた、該TATタンパク質変異体を
コードするDNAフラグメントにも関する。TATタン
パク質変異体をコードする配列は、慣用されている遺伝
子工学的技術、例えば、部位特異的突然変異誘発によっ
て得ることができる。従って、HIVの天然TATタン
パク質または該配列の一部をコードする遺伝子を含むD
NAフラグメントが、M13タイプのファージにクロー
ン化される。この配列は、所望の突然変異(1箇所また
は複数箇所)を得るために、適切なオリゴヌクレオチド
を使用して、改変される。本発明はまた、本発明に従う
TATタンパク質変異体をコードするDNAフラグメン
トを含む発現カセットをも包含し、該発現カセットは、
その発現を可能にする適切なエレメントの制御下に置か
れる。発現カセットは、異種の発現システム中でTAT
タンパク質変異体を合成することを可能にするために、
または代替的に、遺伝子治療に意図されるベクター、例
えばレトロウィルスあるいはアデノウィルスベクターの
エレメントとして、特に有用である。TATタンパク質
変異体をコードするDNAフラグメントの発現を可能に
する適切なエレメントとして、該DNAフラグメントの
mRNAへの転写およびmRNAのタンパク質への翻訳
を可能にする全てのエレメントが包含される。
【0017】これらのエレメントは、特に、適切なプロ
モーターを含む。本発明における用語「プロモーター」
は、保持される宿主細胞によるDNAフラグメントの発
現に関連するあらゆる転写の制御用のエレメントを意味
する。そのような制御用エレメントは、当業者に周知で
あり、慣用されている遺伝子工学技術によって、発現カ
セット中に挿入される。保持されるプロモーターは、細
胞またはウィルス起源のものであって良い。プロモータ
ーは、DNAフラグメントの恒久的発現を可能にする遍
在性タイプのものであって良い。酵母中で機能するPG
K(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーターまたは
SV40ウィルス(Simian Virus 40)
の後期プロモーター(late promoter)、
HMG(ヒドロキシ−メチル−グルタリル補酵素Aリダ
クターゼ)遺伝子のプロモーター、単純ヘルペスI型ウ
ィルス(HSV1)のチミジンキナーゼ(TK)遺伝子
のプロモーター、動物細胞で機能するアデノウィルスの
EIIIプロモーターおよびMLP(主要後期プロモー
ター(Major late promoter))、
並びにMoMuLVウィルス(Moloneyマウスリ
ンパ白血病ウィルス)のLTRなどが、そのようなプロ
モーターとして例示される。
【0018】用語「プロモーター」はまた、調節可能な
タイプのプロモーター、例えば、リンパ球細胞に特異的
な免疫グロブリン遺伝子のプロモーターのような、組織
特異的プロモーターも含む。さらに、発現カセットは、
以下を含み得る。 (1)UAS(上流活性化配列)、例えば酵母のGAL
4(ガラクトース)遺伝子のUAS、(2)プロモータ
ーの上流またはDNAフラグメントの下流に設置され
得、発現レベルを増加させることが可能なエンハンサー
で、例えばヒトCD2遺伝子のエンハンサー。さらに、
後者は、T型リンパ球細胞中のDNAフラグメントの発
現を選択的に標的とすることが可能なエレメントを含
む、(3)高等な真核生物中での遺伝子発現を改善する
ものとして知られる介在配列、例えばSV40ウィルス
のイントロン、(4)タンパク質に翻訳されることを意
図して、mRNAから介在配列を除去可能にする、例え
ばSV40ウィルスのもののような、スプライシングシ
グナル、 (5)転写の終結に関連するエレメント、例
えばSV40ウィルスのポリアデニル化シグナル。
【0019】一般に、発現カセットは、宿主細胞の中
で、好ましくはリンパ球の中で、TATタンパク質変異
体の発現を行わせることができる。発現カセットはま
た、TATタンパク質変異体の、それが容易に回収され
得る培養培地においての産生を行わせることもできる。
この場合、DNAフラグメントは、宿主細胞から該変異
体の分泌を行わせるシグナルペプチドを成熟配列の上流
に含む、TATタンパク質変異体の前駆体をコードして
いる。そのようなシグナルペプチドは、当業者に周知で
あり、例えば酵母のMatアルファ因子のシグナル配列
である。発現カセットは、発現ベクターに挿入され、プ
ロモーターおよび適切なエレメントが機能する宿主細胞
を形質転換するのに使用される。そのようなベクター
は、プラスミドまたはウィルスベクターの形態で有り
得、例えばMoMuLV由来のレトロウィルスベクター
またはアデノウィルス5型由来のアデノウィルスベクタ
ーである。本発明は、本発明に従う発現カセットを含む
細胞まで範囲が広がり、真核または原核起源の細胞に対
しても可能である。宿主細胞は、細菌、真菌、例えば酵
母、または哺乳動物細胞であり得る。好ましくは、宿主
細胞は、造血系のヒト細胞である。
【0020】本発明はまた、本発明に従うTATタンパ
ク質変異体の調製のための方法にも関する。それは、以
下の通りである。 (1)該変異体をコードするDNAフラグメントを含
む、本発明に従う、真核または原核細胞が、適切な培養
培地で培養され、および(2)変異体は、培養培地また
は該細胞から回収される。本発明はまた、該方法を使用
して得られるTATタンパク質変異体をも包含する。本
発明はまた、HIVウィルスの複製を阻害するために、
本発明に従うTATタンパク質変異体、発現カセット、
または該変異体を産生する細胞を治療的に使用すること
にも範囲が広がる。好ましくは、本発明は、哺乳動物、
特にヒトにおける、AIDSの治療または予防を意図し
た医薬生成物の生産のための、TATタンパク質変異
体、発現カセット、該変異体を産生する細胞の使用に関
する。有利には、本発明に従う発現カセットまたは細胞
は、抗AIDS遺伝子治療の目的のために使用され得
る。発現カセットは、レトロウィルスのタイプのベクタ
ーに挿入され、該ベクターは、個体(好ましくは、HI
Vに感染している個体)の骨髄から採集される造血系の
幹細胞に導入される。
【0021】このようにしてトランスフェクトされた幹
細胞は、ドナーに再注入される。それらは、分裂し、な
かんずくリンパ球に分化することができる。レトロウィ
ルスベクターを含むリンパ球は、TATタンパク質のト
ランスドミナント(transdominant)変異
体をコードする遺伝子を、長期間にわたって発現するレ
トロウィルスベクターを含み、該細胞をHIV感染に耐
性とさせる。本発明はまた、本発明に従う変異体、発現
カセットまたはそのような変異体を産生する細胞を治療
または予防剤として含む薬学的組成物にも関する。本発
明に従う薬学的組成物は、通常の使用における技術に従
って調製され得る。例えば、受容可能な担体、希釈剤ま
たはアジュバントが、治療的に有効な量の、治療または
予防剤と組み合わせられる。最後に、本発明は、本発明
に従うTATタンパク質変異体、発現カセットまたはそ
のような変異体を産生する細胞の、治療的に有効な量が
患者に投与される、治療方法に関する。
【0022】
【実施例】実施例1:発現プラスミドpTC2332の構築、変異
TAT(Phe38→Asp)の発現及びトランスドミ
ナント表現型の確認。 HIV−Lai単離体ゲノムのtat遺伝子の2エクソ
ンに対応するコピーDNAを包含するDNAフラグメン
ト(ヴアイン−ホブソン〔Wain−Hobson〕
ら,セル〔Cell〕,1985,40,9−17;ゾ
ドロスキ〔Sodroski〕ら,サイエンス〔Sci
ence〕,1985,229,74−77〕を修飾し
てイニシエーターATGの5´にBamHIを形成し
た。さらに、BamHI部位は、天然にtat遺伝子の
停止コドンの下流53bpに存在する。突然変異してい
ないtat遺伝子を包含する300bpのBamHIフ
ラグメントを、ジーン クリーン キット〔Gene
Clean kit〕(バイオ〔Bio〕 101,I
nc,P.O.Box 2284,ラ ジョラ〔LaJ
olla〕)を用いて精製し、ベクターM13TG13
0に導入して(キニー〔Kieny〕ら,ジーン〔Ge
ne〕,1983,26,91−99)ベクターM13
TG2306を得た。該ベクター上で突然変異誘発を行
う。M13TG2306における残基38をコードする
コドンの突然変異には、アメルシャム キット〔Ame
rsham kit〕(インビトロでの突然変異誘発シ
ステム バージョン〔version〕2.1 RPN
1523に関与するオリゴヌクレオチド)を使用し、
該オリゴヌクレオチドは配列番号1に記載する。
【0023】オリゴヌクレオチドを設計して、38位の
フェニルアラニン(Phe)残基をコードするコドンを
アスパラギン酸(Asp)で置換し、また、コードする
アミノ酸を修飾することなくTAT配列の42位の残基
をコードするコドンのレベルでHindIIIの制限部
位を形成した。制限部位の存在により、マニアティス
〔Maniatis〕ら(モレキュラー クローニング
〔Molecularcloning〕:ア ラボラト
リー マニュアル〔a laboratorymanu
al〕,1989,コールドスプリグハーバーラボラト
リー〔Cold Spring Harbor Lab
oratory〕)に記載のミニプレパレイション法
〔minipreparation techniqu
e〕により、バクテリオファージDNAの解析におい
て、突然変異ベクターを、親のもの〔parental
s〕から容易に同定できる。突然変異誘発させた後、突
然変異したtat遺伝子を包含するBamHIフラグメ
ントを、図3に記載の真核発現ベクターpSG5(グリ
ーン〔Green〕ら,ヌクレイック アシッド レス
〔Nucleic Acids Res〕,1988,
16,369)に挿入する。結果として得られるプラス
ミドpTG2332は変異体TAT(Phe38→As
p)を発現できる。従来技術のトランスドミナントTA
T変異型、即ち、変異体TAT(Lys41→Ala)
及びΔTAT(Gln54→停止)のそれぞれの合成
を、配列番号2に記載のオリゴヌクレオチド(41位の
リシン残基をコードするコドンをアラニンに変更するこ
とを可能にする)及び配列番号3に記載の(54位のグ
ルタミン残基をコードするコドンの位置に停止コドンを
形成することを可能にする)オリゴヌクレオチドを使用
し、ベクターM13TG2306の部位特異的突然変異
により行った。
【0024】突然変異誘発させた後、突然変異したta
t遺伝子を真核発現ベクターpSG5に挿入し、それぞ
れ、突然変異TAT(Lys41→Ala)の合成を可
能にするpTG2351、及び、ΔTATの合成を可能
にするpTG2352を得る。これら従来技術の突然変
異体〔mutants〕は、トランスドミナンスに対す
るポジティブ・コントロールとして有用である。それら
のトランス活性化作用及び、天然のTATタンパク質を
阻害する能力は、以下に記載される本発明のTAT変異
型に適用するのと完全に同一の条件で評価される。変異
体TAT(Phe38→Asp)のトランス活性化作用
は、リポーターベクターLTR−CAT(エメルマン
〔Emerman〕ら,EMBO J.,1987,
6,37−55)を用いた発現ベクターpTG2332
のHeLa細胞への一時的なトランスフェクションによ
り評価する。細胞のトランスフェクションは、リン酸カ
ルシウム法により行う(マニアティス〔Maniati
s〕ら,モレキュラー クローニング〔Molecul
ar cloning〕:ア ラボラトリー マニュア
ル〔a laboratory manual〕,19
89,コールドスプリングハーバーラボラトリー〔Co
ld Spring Harbor Laborato
ry〕)。核酸を細胞に導入できる他の手段も利用でき
る。例えば、デキストラン硫酸法、電気溶出、浸透圧シ
ョック、又は、選択細胞〔selected cel
l〕へのマイクロインジェクションに基づく方法も利用
できる。ヒトHeLa細胞の培養は、37℃で、5%C
の存在下、MEM培地(イーグルの〔Eagle´
s〕最小必須培地)中で、10%のウシ胎児血清、1%
の非必須アミノ酸、1%のグルタミン及び1%のゲンタ
マイシンを添加して行う。
【0025】プラスミドDNAは、塩化セシウムグラジ
エントで精製する。pTG23321μg及びプラスミ
ドLTR−CAT 0.5μgを培地中のHeLa細胞
にトランスフェクトし、ディッシュ当り4×10個の
細胞の割合でプレートに配置する。pHMG−Tat
(図4)1μg及びLTR−CAT 0.5μgのトラ
ンスフェクションにより、トランス活性化に対するポジ
ティブ・コントロールを構築する。ベクターpHMG−
tatは、TATタンパク質の86のアミノ酸をコード
するtat遺伝子のコピーDNAを包含するBamHI
フラグメントのベクターpHMGのBamHI部位への
クローニングに由来する(メエタリ〔Mehtali〕
ら,ジーン〔Gene〕,1990,91,179−1
84)。トランスフェクトされるべきプラスミドDNA
をTE(10mMトリス−HCl、pH 7.5;1m
M EDTA)420μl中に回収し、2M CaCl
60μlと混合する。該混合物をチューブを静かに振
りながら、2×HBS(280mM NaCl;50m
M HEPES;1.5mM NaHPO−2H
Oを、NaOHでpH7.12に調節したもの)480
μlに加える。15分後、沈殿物を滴状に細胞の上に注
ぐ。培地をトランスフェクションの24時間後に取替え
て、過剰の沈殿物を除去する。細胞抽出液の分析を形質
転換の48時間後に行ってCAT遺伝子の発現を評価す
る。HeLa細胞をCAT緩衝液(150mMトリス−
HCl pH8;60mMKCl;15mM NaC
l;2mM EDTA、0.15mMスペルミン;1m
Mジチオスレイトール(DTT);0.4mMフェニル
メチルスルホニルフルオリド(PMSF))にすり落と
して回収する。3凍結融解サイクル〔3freeze−
thaw cycles〕を液化窒素中で行った後、3
7℃で4分間インキュベーションする。このようにして
得られたライゼートを65℃で10分間インキュベート
し、遠心分離を10,000rpmで10分間行って細
胞破壊片〔cellular debris〕を分離す
る。上澄みを回収し、そのタンパク質濃度をバイオラド
比色試験〔Biorad colorimetric
test〕により測定する。
【0026】必要に応じて水で希釈して800μlに調
節した細胞抽出液15μlと水中のバイオラド試薬〔B
iorad reagent〕200μlとを室温で1
0〜60分間インキュベートする。タンパク質濃度は、
595nmにおける光学密度をウシ血清アルブミン検定
系列〔calibration series〕と対比
して測定して決定する。CAT遺伝子の発現は、タンパ
ク質10〜20μgに対応する抽出液の一部で測定す
る。細胞抽出液の適当量を事前に300μlに0.25
Mトリス−HCl緩衝液(pH7.8)で調節し、5m
Mアセチル補酵素A 32μl及び14C−クロラムフ
ェニコール20μl(0.5μCi)と一緒に37℃で
1時間30分間インキュベートする。酢酸エチルで抽出
して10,000rpmで5分間遠心分離した後、上相
を凍結乾燥する。後者を酢酸エチル15μlに取り、6
0F234シリカゲルプレート(メルク)上に保持させ
て薄層クロマトグラフィーにより分析する(クロロホル
ム/メタノール 19/1緩衝液中で1時間30分間泳
動する)。クロマトグラムをオートラジオグラフィーで
視覚化し、アセチル化クロラムフェニコールに対応する
バンドを切り出す。放射能レベルをシンチレーション計
数により評価する。突然変異体のトランス活性化のパー
セントを、ポジティブ・コントロール(pHMG−Ta
t + LTR−CAT)(これは100%のトランス
活性化作用を示す)により測定したレベルと対比して計
算する。
【0027】変異体TAT(Phe38→Asp)のト
ランスドミナント活性は、天然のTATタンパク質のト
ランス活性化機能を阻害する能力を測定することにより
評価する。トランスドミナント活性は、レポーターベク
ターLTR−CAT及び天然のTATタンパク質発現ベ
クターpHMG−Tatを用いた、HeLa細胞への発
現ベクターpTG2332の一時的なトランスフェクシ
ョンにより決定する。すなわち、pTG2332 10
μg、pHMG−Tat 1μg及びLTR−CAT
0.5μgを上記の手順に従って一緒にトランスフェク
トする〔cotransfected〕。トランスフェ
クションの48時間後、細胞抽出液を調製し、それらの
タンパク質濃度を測定する。タンパク質10〜20μg
に対応する抽出液の一部をCATアッセイにより検定す
る。適用する技術的条件は、既に詳細に記載してある。
天然のTATタンパク質の変異体TAT(Phe38
Asp)による阻害パーセントは、0%を示すpHMG
−TatとLTR−CATとのコトランスフェクション
〔co−transfection〕に由来する活性化
のためのポジティブ・コントロールと対比して計算す
る。得られた結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】変異体TAT(Phe38→Asp)は、
そのトランス活性化作用が非常に小さいために(CAT
遺伝子の発現は、天然のTATタンパク質により測定さ
れたものと対比して1.4%と評価された)、また、そ
れが天然のTATタンパク質の活性を強く阻害するため
に(pTG2332の存在下において98%阻害)、効
果的なトランスドミナント突然変異体である。グリーン
〔Green〕らにより報告されたTAT変異体(Ly
41→Ala)は、報告者によりトランスドミナント
表現型を有すると考えられているが、完全に反対の結果
が、これらの実験で得られた。確かに、それは、特に高
いトランス活性化作用(172%)を示し、その結果、
天然のTATタンパク質と共同作用するように見える。
加えて、このベクターは、天然のTAT機能に対し優性
の効果を与えない(0%トランスドミナント活性)。従
来技術のpRG2352によって合成される変異体ΔT
ATは、事実上、トランスドミナンスに関して、コント
ロールを形成し、これらの実験の正当性を裏付ける。そ
れは、天然のTATタンパク質のトランス活性化作用を
92%阻害する。それにもかかわらず、この変異型は、
HIV LTR(28%)の制御下にあるCAT遺伝子
の発現を誘発する能力を有する。そのトランス活性化
は、しかしながら、ポジティブ・コントロールのpHM
G−Tatで測定したものより少ない。
【0030】実施例2:発現ベクターpTG2333の
構築、TAT変異体(Thr40→Ala)の発現及び
トランスドミナント表現型の確認。 ベクターM13TG2306を部位特異的に突然変異誘
発させて、HIV TATタンパク質の40位のスレオ
ニン(Thr)残基をコードするコドンを、アラニン
(Ala)残基をコードするコドンで置換し、更に、サ
イレント突然変異を導入し、突然変異ベクターの速やか
な決定を可能にするHindIII制限部位を、残基4
2をコードするコドンのレベルに形成する。使用するオ
リゴヌクレオチドは配列番号4に記載されている。突然
変異tat遺伝子をベクターpSG5中に転移し、pT
G2333を生じさせる。これにより変異体TAT(T
hr40→Ala)を生産することができる。ベクター
pTG2333を、ベクター LTR−CATとともに
HeLa細胞に一時的にコトランスフェクトし、変異体
TAT(Thr40→Ala)のトランス活性化作用を
上記の手順に従って測定する。同時に、そのトランスド
ミナント活性を、pTG2333、pHMG−Tat及
びLTR−CATの10:1:0.5の濃度比でのコト
ランスフェクションにより測定する。結果を表1に示
す。変異体TAT(THR40→Ala)が、本発明が
規定するトランスドミナント表現型を示すことが観察さ
れる。それは、天然のTATタンパク質の機能を83%
阻害し、15.6%の小さいトランス活性化作用を保持
する。
【0031】実施例3:発現ベクターpTG2340の
構築、変異体TAT(Lys41→Glu)の発現及び
トランスドミナント表現型の確認 ベクターM13TG2306を部位特異的に突然変異誘
発させて、HIV TATタンパク質の41位のリシン
(Lys)残基をコードするコドンを、グルタミン酸
(Glu)残基をコードするコドンで置換し、更に、サ
イレント突然変異を導入し、突然変異ベクターの速やか
な決定を可能にするHindIII制限部位を、残基4
2をコードするコドンのレベルに形成する。使用するオ
リゴヌクレオチドは配列番号5に記載されている。突然
変異tat遺伝子をベクターpSG5中に転移し、pT
G2340を生じさせる。これにより変異体TAT(L
ys41→Glu)を生産することができる。ベクター
pTG2340を、ベクターLTR−CATとともにH
eLa細胞に一時的にコトランスフェクトし、変異体T
AT(Lys41→Glu)のトランス活性化作用を上
記の手順に従って測定する。同時に、そのトランスドミ
ナント活性を、pTG2340、pHMG−Tat及び
LTR−CATの10:1:0.5の濃度比でのコトラ
ンスフェクションにより測定する。結果を表1に示す。
変異体TAT(Lys41→Glu)が、本発明が規定
するトランスドミナント表現型を示すことが判る。該変
異体のトランス活性化作用は低く(天然のTATタンパ
ク質と比較して3%の活性)、また、天然のTATタン
パク質のトランス活性化機能を効果的に阻害する(97
%の阻害)。pTG2340により合成される変異体T
AT(Lys41→Glu)と、従来技術の天然TAT
タンパク質と同様に作用する変異体TAT(Lys41
→Ala)とは、同じ残基において突然変異されると認
められる。行われた修飾によれば、得られる変異体の表
現型は全体として異なっていることもできる。こうし
て、Lys41をGluにより置換することにより、こ
こに開示されているように、生成する変異型がトランス
ドミナント表現型を与えられる。
【0032】実施例4:発現ベクターpTG2358の
構築、変異体TAT(Ile45→Ser)の発現及び
トランスドミナント表現型の確認 ベクターM13TG2306を部位特異的に突然変異誘
発させて、HIV TATタンパク質の45位のイソロ
イシン(Ile)残基をコードするコドンを、セリン
(Ser)残基をコードするコドンで置換し、更に、突
然変異ベクターの速やかな決定を可能にするBamHI
制限部位を、残基45をコードするコドンのレベルに形
成する。使用するオリゴヌクレオチドは配列番号6に記
載されている。突然変異tat遺伝子をベクターpSG
5中に転移し、pTG2358を生じさせる。これによ
り変異体TAT(Ile45→Ser)を生産すること
ができる。ベクターpTG2358を、ベクターLTR
−CATとともにHeLa細胞に一時的にコトランスフ
ェクトし、変異体TAT(Ile44→Ser)のトラ
ンス活性化作用を上記の手順に従って測定する。同時
に、そのトランスドミナント活性を、pTG2358、
pHMG−Tat及びLTR−CATの10:1:0.
5の濃度比でのコトランスフェクションにより測定す
る。結果を表1に示す。変異体TAT(Ile45→S
er)が、本発明が規定するトランスドミナント表現型
を示すことが判る。それは、天然のTAT蛋白質の機能
を62.5%部分阻害し、47%の温和なトランス活性
化作用を保持する。
【0033】実施例5:発現ベクターpTG2348の
構築、変異体TAT(Tyr47→Arg)の発現及び
トランスドミナント表現型の確認 ベクターM13TG2306を部位特異的に突然変異誘
発させて、HIV TATタンパク質の47位のチロシ
ン(Tyr)残基をコードするコドンを、アルギニン
(Arg)残基をコードするコドンで置換し、更に、突
然変異ベクターの速やかな決定を可能にするXbaI制
限部位を、残基47をコードするコドンのレベルに形成
する。使用するオリゴヌクレオチドは配列番号7に記載
されている。突然変異tat遺伝子をベクターpSG5
中に転移し、pTG2348を生じさせる。これにより
変異体TAT(Tyr47→Arg)を生産することが
できる。ベクターpTG2348を、ベクターLTR−
CATとともにHeLa細胞に一時的にコトランスフェ
クトし、変異体TAT(Tyr47→Arg)のトラン
ス活性化作用を上記の手順に従って測定する。同時に、
そのトランスドミナント活性を、pTG2348、pH
MG−Tat及びLTR−CATの10:1:0.5の
濃度比でのコトランスフェクションにより測定する。結
果を表1に示す。変異体TAT(Tyr45→Arg)
が、本発明が規定する温和なトランスドミナント表現型
を示すことが判る。それは、天然のTAT蛋白質の機能
を78%阻害し、56%のトランス活性化作用を保持す
る。
【0034】実施例6:トランスドミナントTAT変異
体を発現する安定な細胞株の確立及びHIVウイルスに
よる感染抵抗性の評価 トランスドミナントTAT変異体(Phe38→As
p)を生産する安定な細胞株が、インビボでの可能性の
ある用途、例えば遺伝子治療手順のため変異体の効率を
確認するために確立された。細胞のHIV感染に対する
抵抗性を評価するために、それらがウイルスにより感染
されることが必要であり、すなわち、該変異体が細胞表
面にヒトCDレセプターを発現することが必要であ
る。2種のタイプの細胞系が確立されている。− ヒト
T細胞由来でCDレセプターを有するCEM−A3細
胞(ATCCCCL119)は、それゆえ当然にHIV
感染性である。− HIV感染に対する感受性を与える
ために、ヒトCDレセプター pTG620のために
普遍性の発現ベクターでコトランスフェクトされたHe
La細胞(ATCC CCL2)。ベクターpTG62
0は、ヒトCDレセプターのコピーDNAを含む大腸
菌DNAポリメラーゼ・クレノウ・フラグメントで処理
されたEcoRIフラグメントのベクターpHMGのE
coRV部位への導入により得られる(マドンら、セ
ル、1986、47、333−348)。トランスドミ
ナント変異体TAT(Phe38→Asp)をコードす
る遺伝子を含有するBamHIフラグメントが、レトロ
ウイルスベクターpLXSP(図5)のBamHI部位
に挿入され、pTG2350を得る。ベクターpLXS
Pは、pLXSNに由来し(ミラー及びロスマン、バイ
オテクニークス、7、1989、980−988)、ピ
ューロマイシン耐性を与える遺伝子によりネオマイシン
遺伝子を置換し、並びにMPSV由来のそれによりMS
V由来の3´LTRを置換することにより得られる。
【0035】pTG2350のプラスミドDNAは、エ
レクトロポレーションによりCEM−A3細胞に導入さ
れる。塩化セシウム・グラジエントで精製されたDNA
20μgを、20μlのPBS緩衝液(1mMKH
;2mM KCl;136mM NaCl;3mM
NaHPO)に加えた。DNA調製物をエレクト
ロポレーション・タンク(バイオラド)中、180μl
のPBSに再懸濁させた。該混合物は、室温で10分間
プレインキュベートする。エレクトロポレーション後
(Gene Pulser Biorad,電圧210
ボルト、静電容量960μF)、細胞は室温に10分間
保たれ、5%のCOの存在下にRPMI(Gibco
−BRL)6ml中、37℃でインキュベートする。ピ
ューロマイシン耐性CEM−A3クローンが、限界希釈
(ピューロマイシン0.5μg/ml)により単離され
る。プラスミドDNA pTG2350は、上記のリン
酸カルシウムトランスフェクション技術によりpTG6
20とともにHeLa細胞にコトランスフェクトされ
る。ピューロマイシン耐性のHeLa細胞クローンの連
続継代培養(successive subcultu
re)(ピューロマイシン 2μg/ml)により単離
される。細胞表面のヒトCDレセプターの発現を、該
レセプター対するフィコエリスリン(phycoery
thrin)で標識されたLeu3A抗体(ベクトン
ディキンソン)を用い、フルオロサイトメトリー(FA
CS:蛍光活性化細胞選別機、スキャン ベクトン デ
ィキンソン(Fluorescence Activa
ted Cell sorter,scan Bect
on Dickinson))により分析する。
【0036】CEM−A3細胞系におけるTAT蛋白
(proten)の発現は、上記技術によるLTR−C
ATおよびpHMG−Tatベクターの一時的なトラン
スフェクションを行うことにより検出される。CEM−
A3細胞系に由来し、ピューロマイシンに対し耐性で、
トランスドミナントTAT変異体を発現し、天然のTA
T蛋白の阻害の種々の程度が観察される3種のクローン
が、HIVウイルスで感染される。ウイルスの増殖は、
培養上清の逆転写酵素活性を測定することにより評価で
きる。ウイルス増殖の2日のシフトが、トランスドミナ
ントを発現しないCEM−A3細胞で得られた結果と比
較して、トランスドミナント変異体を発現するCEM−
A3細胞系のクローンの1つで観察された。さらに、逆
転写酵素活性は、該酵素で90%減少した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、HIVウィルスのゲノムの構成図であ
り、タンパク質をコードする遺伝子は使用されるリーデ
ィングフレームに従って表示される;LTR:黒枠、構
造蛋白をコードする遺伝子:灰色枠;調節タンパク質を
コードする遺伝子:白枠が示されている。
【図2】図2は、HIVウィルスの天然TATタンパク
質を構成する種々のドメインの構成図であり、各ドメイ
ンを構成するアミノ酸は、各ドメインの上に示されてい
る。
【図3】図3は、真核発現ベクターpSG5の構成図で
あり、順に、SV40のプロモーター(SV40 pr
o;黒枠)、ウサギβ−グロビン遺伝子の非コーディン
グ・エクソン1の3´フラグメント(白枠)、ウサギβ
−グロビン遺伝子のイントロン(連続線)、ウサギβ−
グロブリン遺伝子のエクソン2の非コーディングの開始
部(白枠)、T7バクテリオファージのプロモーター
(T7 pro;黒枠)、所望の遺伝子のクローニング
を可能にするユニークなEcoRI、BamHIおよび
BglII部位、およびSV40ウィルスのポリアデニ
ル化シグナル(pA SV40;灰色枠)を含む。
【図4】図4は、天然のTAT蛋白質発現ベクターであ
るpHMG−Tatの構成図であり、順に、HMG遺伝
子のプロモーター(HMG pro)、HMG遺伝子の
非コーディング・エクソンI(斜線枠)、イントロンI
およびHMG遺伝子のスプライシングのためのアクセプ
ター部位、TATタンパク質の86アミノ酸をコードす
るコピーDNA(黒枠)、およびSV40ウィルスのポ
リアデニル化シグナル(pA;白枠)を含む。
【図5】図5は、レトロウィルスベクターpLXSPの
構成図であり、順に、ウィルスプロモーター領域を含む
MSVウィルス(マウスサルコーマウィルス)の5´L
TR、カプセル化領域(psi)、ウィルスgag遺伝
子(gag°)の5´部分、異種遺伝子(遺伝子 x)
の挿入を行わせる多重クローニング部位、ピューロマイ
シン耐性遺伝子(PAC)の発現を指令するSV40ウ
ィルスプロモーター、およびポリアデニル化シグナルを
含むMPSVのウィルス(骨髄増殖性サルコーマウィル
ス)の3´LTRを含む。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/49 ZNA C12P 21/02 C 8214−4B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1つの突然変異を含むHIVウ
    イルスTAT蛋白質または該蛋白質の機能性フラグメン
    トのトランスドミナント変異体であって、該突然変異が
    38位、40位、41位、45位または47位は、天然
    残基と異なるアミノ酸残基が存在し、41位のアミノ酸
    はアラニンまたはスレオニンと異なり、47位のアミノ
    酸はアラニンまたはヒスチジンと異なることを特徴とす
    る変異体。
  2. 【請求項2】前記変異体が、HIV1 TAT蛋白質に
    由来する請求項1記載の変異体。
  3. 【請求項3】以下の変異体: (1)38位にアスパラギン酸を含む変異体; (2)40位にアラニンを含む変異体; (3)41位にグルタミン酸を含む変異体; (4)45位にセリンを含む変異体;および (5)47位にアルギニンを含む変異体; から選択される、請求項1または2記載の変異体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のTAT蛋
    白質変異体をコードするDNAフラグメント。
  5. 【請求項5】その発現を許容する適切なエレメントの制
    御下に置かれる請求項4記載のDNAフラグメントを含
    む発現カセット。
  6. 【請求項6】請求項5記載の発現カセットを含む原核ま
    たは真核細胞。
  7. 【請求項7】以下の工程: − 請求項6記載の原核または真核細胞を適切な培養培
    地で培養すること、および − 生産された変異体を培養培地または前記細胞から採
    集することを含む請求項1〜3のいずれかに記載の変異
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の方法を用いて得たTAT蛋
    白質変異体。
  9. 【請求項9】HIVウイルスの複製を阻害するための、
    請求項1〜3のいずれかに記載の変異体、請求項5記載
    の発現カセットまたは医薬生成物としての請求項6記載
    の細胞の使用。
  10. 【請求項10】治療または予防剤として、請求項1〜3
    のいずれかに記載の変異体、請求項5記載の発現カセッ
    トまたは請求項6記載の細胞を含むHIV感染の治療ま
    たは予防用の薬学的組成物。
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