JPH062297U - 放射性物質貯蔵施設用開閉蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、放射性物質貯蔵施設用開閉蓋に係
るもので、簡単な施設によって、放射性物質収納体の搬
入及び搬出性を向上させるとともに、放射線漏洩の低減
を図る。 【構成】 セル室の上部開口を閉塞する開閉蓋が、上部
開口に挿入され中空部に放射線遮蔽用水が充填される蓋
本体と、中空部と連通状態に配される注水口及び排水口
とを具備する構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、放射性物質貯蔵施設用開閉蓋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

原子力プラント関連施設において発生する高レベル放射性廃棄物（廃液等）は 、例えばガラス固化処理することによって、取り扱い性を向上させることができ る。

【０００３】 そして、ガラス固化物を容器に収納した状態の固化パッケージ（キャニスタ） は、放射線汚染を防止するために、人工的に構築した放射性廃棄物貯蔵施設に、 放射線の放出が著しく減少するまで長期間保管貯蔵する計画の他、深地層内に収 納処分して生活圏から隔離する計画がなされている。

【０００４】 かかる施設では、安全性や耐震性等を十分に考慮した保管がなされることは勿 論であるが、これらの施設に移されるまで一時保管される前述の固化パッケージ 、あるいは地層処分のために固化パッケージをさらにオーバーパック材で覆った もの、さらには、再処理工程に送られる途中において使用済み燃料を密封容器に 閉じ込めたもの等の放射性物質収納体は、最終的な処分がなされるまでの間、安 全な状態で厳重な監視の下に一時保管する必要がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、固化パッケージの貯蔵や使用済み燃料の再処理は、放射性物質取り扱 い時の安全性の確保、周囲環境への放射線汚染防止、用地確保の困難性等の諸問 題を抱えることから、計画の実施の円滑性に欠けるものとなる。 また、使用済み燃料にあっては、再処理工程に送られて再処理されるまでの期 間、原子炉建屋内の燃料プールに一時保管されるが、燃料プールに使用済み燃料 を多量に長期間保管することには限界がある。

【０００６】 本考案は、かかる事情に鑑みてなされたもので、施設の構築を容易にするこ と、放射性物質収納体の搬入及び搬出性を向上させること、放射線漏洩の低 減を図ること等を目的としているものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案では、かかる課題を解決するための二つの手段を提案している。 第１の手段は、放射性物質収納体が収納されるピット状セル室の上部開口を閉 塞する開閉蓋であって、セル室の上部開口に挿入され中空部に放射線遮蔽用水が 充填される蓋本体と、該蓋本体に中空部と連通状態に配され水の出し入れを行な う注水口及び排水口とを具備する構成を採用している。 第２の手段は、注水口及び排水口に、給水系及び排水系が可撓性ホースを介し て接続される構成を第１の手段に付加した放射性物質貯蔵施設用開閉蓋としてい る。

【０００８】

【作用】

第１の手段にあっては、蓋本体をセル室の上部開口に挿入することによって遮 蔽が行なわれ、蓋本体の挿入後に注水口からの注水によって、中空部に放射線遮 蔽用水の充填が行なわれて放射線遮蔽性が向上する。 セル室の内部の放射性物質収納体を搬出する場合には、放射線遮蔽用水を排水 口を経由して抜き取り、軽量化を図った状態で上部開口から外すことによって行 なわれる。 第２の手段にあっては、第１の手段に基づく各作用に加えて、給水系及び排水 系の作動によって、放射線遮蔽用水の給水及び排水が行なわれるとともに、これ ら給水系及び排水系と接続したままの状態で、上部開口の開閉が実施される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案に係る放射性物質収納体収納体の保管装置の一実施例について、 図１を参照して説明する。

【００１０】 図１において、符号Ｃは放射性物質収納体、Ｗは放射線遮蔽用水、１はセル室 、１ａは上部開口、２は蓋本体、２ａは中空部、２ｂは注水口、２ｃは排水口、 ３は給水系、４は排水系、５は可撓性ホース、６は貯水タンクである。

【００１１】 前記セル室１は、コンクリート壁等によって囲まれたピット状に形成され、必 要に応じてその内部に貯水することによって、冷却性及び放射線遮蔽性が高めら れる。そして、上部開口１ａには、階段状の複数の段部１ｂが形成され、該段部 １ｂに鋼板等の補強がなされる。

【００１２】 前記蓋本体２は、セル室１の上部開口１ａに対して、上下方向に着脱されるも のであり、その下部周辺部に階段状の複数の段部２ｄが形成されて、上部開口１ ａの段部１ｂの上に載置される。 蓋本体２の中空部２ａには、外部と連通状態とするための注水口２ｂ及び排水 口２ｃが配され、セル室１の内部に放射性物質収納体Ｃが収納されていない場合 や着脱操作時を除いて、放射線遮蔽用水Ｗが充填され、放射線の遮蔽状態の保持 がなされる。 この場合の放射線遮蔽用水Ｗの層高は、例えば１メートル程度に設定される。

【００１３】 前記給水系３は、貯水タンク６の貯留水を蓋本体２の中空部２ａに供給するも ので、貯水タンク６と注水口２ｂとの間に、接続状態に配される給水管３ａ、開 閉弁３ｂ及び可撓性ホース５を有するものとされる。

【００１４】 前記排水系４は、蓋本体２の中空部２ａに充填されている放射線遮蔽用水Ｗを 貯水タンク６に回収するもので、排水口２ｃと貯水タンク６との間に、接続状態 に配される排水管４ａ、排水ポンプ４ｂ及び可撓性ホース５を有するものとされ る。

【００１５】 なお、セル室１の上部には、蓋本体２の吊持及び搬送を行なうためのクレーン 等の搬送手段が配される。 また、前記放射性物質収納体Ｃは、固化パッケージ（キャニスタ）等や使用済 み燃料集合体を、支持架構に組み込んだ状態等とされる。

【００１６】 このような構造の放射性物質貯蔵施設用開閉蓋にあっては、セル室１の内部に 放射性物質収納体Ｃを収納した状態で、蓋本体２を上部開口１ａに落とし込むよ うに挿入することによって、セル室１が密封状態とされる。 この蓋本体２の挿入操作時には、中空部２ａを空の状態として軽量化すること により操作性が確保され、蓋本体２の挿入後に給水系３を作動させて、つまり、 図１例では開閉弁３ｂを開放して、放射線遮蔽用水Ｗを注水口２ｂから落とし込 むことによって、中空部２ａに放射線遮蔽用水Ｗの充填が行なわれ、放射性物質 収納体Ｃの充填後に基づき放射線遮蔽性が確保される。

【００１７】 セル室１の内部の放射性物質収納体Ｃを搬出する場合には、排水系４を作動さ せて、つまり、図１例では排水ポンプ４ｂを作動させて、中空部２ａの放射線遮 蔽用水Ｗを貯水タンク６に回収することによって、中空部２ａを空の状態とする ことが実施される。 このように、放射線遮蔽用水Ｗを抜き取って軽量化を図った状態とし、前述し た搬送手段等によって蓋本体２を吊持し、上部開口１ａから外すことによってセ ル室１の上部が開放される。

【００１８】 蓋本体２の着脱操作時にあっては、蓋本体２と給水系３及び排水系４とが、可 撓性ホース５を介して接続されているために、給水系３及び排水系４を切り離す ことなく、蓋本体２の吊持と水平方向に操作とによって、上部開口１ａの開閉が 速やかに実施される。

【００１９】 なお、上部開口１ａにおける段部１ｂと、蓋本体２の段部２ｄにあっては、そ の接触部近傍における放射線の漏洩路を屈曲状態として、外部への放射線漏洩量 を低減するようにしている。

【００２０】 〔他の実施態様〕 本考案にあっては、一実施例に代えて次の技術を採用することができる。 ａ）注水口２ｂと排水口２ｃとを共通のものとし、空気抜きラインを別に設ける こと。 ｂ）注水口２ｂ及び排水口２ｃを複数箇所に配すること。 ｃ）蓋本体２を複数分割構造とすること。その場合に、接合部が段部を組み合わ せた構造であること。

【００２１】

【考案の効果】

第１の考案、つまり、請求項１に係る放射性物質貯蔵施設用開閉蓋によれば、 放射性物質収納体が収納されるピット状セル室の上部開口を閉塞する場合に、開 閉蓋が、上部開口に挿入され中空部に放射線遮蔽用水が充填される蓋本体と、中 空部と連通状態に配される注水口及び排水口とを具備するものとしているから、 以下のような効果を奏する。 （１） セル室と開閉蓋との取り合い構造が単純化されて、放射性物質貯蔵施設 の構築を容易にすることができる。 （２） 開閉蓋の着脱時間が短縮されるとともに着脱時の軽量化により、放射性 物質収納体の搬入及び搬出性を向上させることができる。 （３） 開閉蓋に放射線遮蔽用の水層を形成して、中性子等の放射線漏洩の低減 を図ることができる。 第２の考案、つまり、請求項２に係る放射性物質貯蔵施設用開閉蓋によれば、 注水口及び排水口に、給水系及び排水系が可撓性ホースを介して接続される構成 を付加しているから、以下のような効果が付加される。 （１） 給水系及び排水系の作動によって、放射線遮蔽用水の給水及び排水を迅 速に実施することができる。 （２） 給水系及び排水系と接続したままの状態で上部開口の開閉が実施され、 作業時間の短縮により作業従事者の被曝低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る放射性物質貯蔵施設用開閉蓋の一
実施例を示す正断面図である。

【符号の説明】

Ｃ 放射性物質収納体 Ｗ 放射線遮蔽用水 １ セル室 １ａ 上部開口 １ｂ 段部 ２ 蓋本体 ２ａ 中空部 ２ｂ 注水口 ２ｃ 排水口 ２ｄ 段部 ３ 給水系 ３ａ 給水管 ３ｂ 開閉弁 ４ 排水系 ４ａ 排水管 ４ｂ 排水ポンプ ５ 可撓性ホース ６ 貯水タンク

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 放射性物質収納体が収納されるピット状
   セル室の上部開口を閉塞する開閉蓋であって、セル室の
   上部開口に挿入され中空部に放射線遮蔽用水が充填され
   る蓋本体と、該蓋本体に中空部と連通状態に配され水の
   出し入れを行なう注水口及び排水口とを具備することを
   特徴とする放射性物質貯蔵施設用開閉蓋。
2. 【請求項２】 注水口及び排水口に、給水系及び排水系
   が可撓性ホースを介して接続されることを特徴とする請
   求項１記載の放射性物質貯蔵施設用開閉蓋。