JPH0622961B2 - 積層成形体およびその製造方法 - Google Patents

積層成形体およびその製造方法

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JPH0622961B2
JPH0622961B2 JP63219454A JP21945488A JPH0622961B2 JP H0622961 B2 JPH0622961 B2 JP H0622961B2 JP 63219454 A JP63219454 A JP 63219454A JP 21945488 A JP21945488 A JP 21945488A JP H0622961 B2 JPH0622961 B2 JP H0622961B2
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polyolefin resin
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利治 中江
房吉 秋丸
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡体の一方の面に表
皮材を貼り合わせた複合材と、前記発泡体の他方面に配
置されるポリオレフィン系樹脂基材層とを一体成形し
た、車両用内装成形品などの積層成形体およびその製造
方法に関する。
[従来の技術] 従来この種の積層成形体としては次のものが知られてい
る。
第1従来例 特開昭54−10367号公報に示されるように、予め
所望形状に成形された樹脂基材層を金型の雄型にセット
し、その樹脂基材層の表面に、有機溶剤で分散した接着
剤をスプレー等によって塗布し、そこに、ポリオレフィ
ン系樹脂発泡体に表皮材をラミネートした高温加熱状態
の複合材を載置し、雌型と複合材との空間、および、複
合材と樹脂基材層との空間それぞれの空気を真空吸引に
より除去して雌型と複合材、および、複合材と樹脂基材
層それぞれを密着させ、しかる後、複合材の表皮材側か
ら圧縮空気を供給して複合材を樹脂基材層側に圧縮して
加圧し、所望形状の車両用内装成形品を得る。
第2従来例 特開昭54−158471号公報に示されるように、発
泡体シートの一方の表面に表皮材としてのレザーシート
を接着するとともに、他方の面に樹脂基材層(芯材)を
接着して積層体を得、その積層体を加熱軟化した状態で
成形型で加圧成形して所望形状の車両用内装成形品を得
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記第1および第2従来例では、それぞ
れ次の欠点があった。
(i)第1従来例の欠点 樹脂基材層を予め所望形状に成形しておかなければなら
ないうえに、その樹脂基材層の表面に接着剤を塗布しな
ければならず、工程が多くなって生産性が低下する欠点
があった。
また、接着剤を分散するために有機溶剤が必要であり、
作業環境が悪化するとともに、その引火性のために火災
の虞があり、更に、コストが高くなる欠点があった。
(ii)第2従来例の欠点 樹脂基材層を加熱軟化するために、樹脂基材層を高温で
加熱しなければならず、その加熱状態で発泡体シートに
圧力が加えられ、発泡体シートの樹脂基材層と接着され
ている側が高温になり、そのときに樹脂基材層が拡散流
動するよりも気泡が膨張しながら変形して破壊され、更
に、その破壊が表皮材側の気泡にまで波及し、樹脂基材
層からの反力が表皮材側に伝わって表皮材の表面に凹凸
を発生し、商品価値が低下して不良品を発生しやすく、
製品歩留りが低い欠点があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであっ
て、発泡体に表皮材が貼り合わせた複合材と樹脂基材層
とを一体成形した積層成形体を、発泡体のヘタリ発生に
かかわらず、表皮材の外表面における凹凸発生を抑え、
商品価値の高い積層成形体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る積層成形体は、ゲル分率が20〜80%で見掛
密度が0.025 〜0.20g/cc である架橋ポリオレフィン系
樹脂発泡体に表皮材を貼り合せた複合材と、この複合材
の発泡体側に配置され、190 ℃でのメルトフローレート
が 1〜60g/10分であるポリオレフィン系樹脂に平均分
子量が 2,000〜20,000である低分子量ポリオレフィン系
樹脂を 2〜40重量%混合して成る樹脂基材層とを一体成
形して成るものである。
本発明において使用されるポリオレフィン系樹脂発泡体
の材料としては、エチレンが 0.5〜35%、ランダムまた
はブロックあるいはランダム−ブロック状に共重合され
たポリプロピレン樹脂を用いるのが好ましいが、密度0.
897 〜0.955g/cc のメルトフローレートが 1〜60g/10
分であるポリエチレン樹脂や、ブテンとプロピレンがラ
ンダムまたはブロックあるいはランダム−ブロック状に
共重合されたポリプロピレン樹脂や、エチレンとα・オ
レフィンが共重合された直鎖状のポリエチレン樹脂と
か、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル等のモノマーが共重合されたポリエチレン樹脂、
更には、共重合されたポリエチレン樹脂の混和物から成
る発泡体などが適用できる。
また、上述の樹脂に、発泡体に悪影響を与えない範囲で
更に他の樹脂を混合しても良い。例えば、低密度、中密
度あるいは高密度ポリエチレン、α−オレフィンを共重
合したポリエチレン系共重合体、または、エチレンを主
成分とする酢酸ビニルもしくはアクリル酸エステルとの
共重合体を混合しても良い。
本発明に用いる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体のゲル
分率は20〜80%、好ましくは40〜60%である。ゲル分率
が20%未満では、成形時の熱および圧力により気泡破壊
が発生し、表皮材側に凹凸を生じ、一方、ゲル分率が80
%を越えると、成形が著しく困難になる。
なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体のゲル分率
とは、次のようにして測定した値をいう。
まず、発泡体を約1mm角に切断し、0.1g程度を採取し、
これを試料として精秤し、その重量をA(g)とする。
この試料を130 ℃の温度で3時間テトラリン中で加熱し
た後に冷却し、さらにアセトンで洗浄した後に水洗して
溶出分を除去した後に乾燥する。この乾燥後の試料を精
秤し、その重量をB(g)とする。
ゲル分率(%)は次式で算出する。
ゲル分率(%)=B/A×100 本発明に用いる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛
密度は0.025 〜0.20g/cc、好ましくは0.050 〜0.10g
/ccである。0.025 g/cc未満では、成形品の強度が低
下して、複雑な形状の成形が困難になる。また、0.20g
/ccを越えると、発泡体のクッション性が低下して、例
えば、車両用内装成形品などに要求される特性を満足で
きなくなる。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂発泡体としては、
熱分解型発泡剤を用いたものでも、押出機内に液体とポ
リオレフィン系樹脂とを混練し、その液体のガス化によ
り得られたいわゆる押出発泡と称する方法で製造された
ものでも良く、公知の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
を製造する方法であれば、いかなる方法を用いても良
い。
特に好ましい方法としては、ポリオレフィン樹脂、発泡
剤、架橋促進剤からなる混合物を電離放射線で架橋し、
しかるのちに発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ
る方法、あるいは、ポリオレフィン樹脂、発泡剤、有機
過酸化物、架橋促進剤、場合によっては架橋調節剤から
なる混合物を有機過酸化物および発泡剤の分解温度以上
に加熱して架橋と発泡を行わせる方法などが挙げられ
る。これらの方法はエンドレスな連続シート状発泡体を
製造する場合に好適である。
発泡剤としては、常温で液体または固体の化合物でポリ
オレフィン樹脂の溶融点以上に加熱されたときに分解ま
たは気化する化合物でシート化や架橋反応を実質的に妨
害しない限り任意のものが使用できるが、分解温度が 1
80〜 240℃の範囲のものが好ましい。その具体的な例と
しては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属
塩、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどがある。
これらの発泡剤は、ポリオレフィン樹脂に対して 0.1〜
40重量%の範囲で使用され、それぞれの種類や見掛密度
によって任意に混合量を変えることができる。
架橋反応に有機過酸化物を用いる場合は、分解点が、本
発明で用いるポリオレフィン樹脂の流動開始温度以上の
もので分解半減期が1分間の場合の分解温度が約 120℃
以上のものが好ましく、特に好ましくは 150℃以上のも
のである。その具体的な例としては、メチルエチルケト
ンパーオキシド(182℃)、t-ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート(153℃)、ジクミルパーオキシド(171
℃)などがある。これらの有機過酸化物はポリオレフィ
ン樹脂に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5 重
量%使用される。
架橋促進剤の代表的な例としては、ジビニルベンゼン、
ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレンなどがあり、そ
の好ましい添加量は、ポリオレフィン樹脂に対して 0.1
〜30重量%、より好ましくは 0.3〜20重量%である。
ポリオレフィン樹脂と発泡剤や架橋促進剤、有機過酸化
物の混合は、従来公知の混合方法によって行うことがで
きる。例えば、ヘンシェルミキサによる混合、バンバリ
ミキサによる混合、ミキシングロールによる混合、混練
押出機による混合方法などがある。特に樹脂が粉末状の
場合は、ヘンシェルミキサによる粉末混合が便利であ
る。粉末混合は通常室温から樹脂の軟化温度の間で行わ
れ、溶融混合は、通常、樹脂の溶融温度から 195℃の範
囲で行われる。
連続シート状の発泡体を製造する場合は、発泡剤の分解
温度以下で押出成形によりシート状に成形しておくこと
が望ましい。
均一に混合または混練成形された発泡組成物の架橋と発
泡は有機過酸化物による場合は 130〜 300℃好ましくは
150〜 260℃の温度範囲で常圧または加圧下に加熱して
行うことができる。架橋と発泡剤の分解が加速時にほと
んど同時におこる場合は加圧密閉できる金型の中で架橋
と発泡に必要な時間だけ加熱し、除圧と同時に発泡させ
る方法が用いられる。粉末混合物をそのまま発泡させる
場合にはこの方法がきわめて有効である。また、加熱架
橋条件で発泡剤が分解しない場合には、架橋を行ったあ
と発泡剤の分解温度以上で常圧または加圧下に加熱して
発泡させる方法が用いられる。特に気泡が微細な発泡体
を得るためには加圧下に発泡させる方法が好ましい。架
橋や発泡に必要な加熱時間は組成、加熱温度、被発泡物
の厚さなどによって異なるが、通常は 1〜30分である。
発泡性組成物を電離性放射線を照射することによって架
橋する場合、電離性放射線としては、電子線加速器から
の電子線Co60その他の放射性同位元素からのα、β、
γ線が好ましいが、X線や紫外線を用いても良い。これ
らの放射線照射量は架橋促進剤の種類、目的とする架橋
の割合によって異なるが、一般に 0.1〜30Mrad 、好ま
しくは 0.5〜20Mrad である。
このようにして放射線架橋された樹脂の発泡は、ポリオ
レフィン樹脂の溶融温度、好ましくは 190℃以上の温度
に加熱する方法であれば、常圧、加圧、いずれの条件下
でも良く、加熱源や加熱媒体についても未発泡成形物の
形状や発泡時の圧力状態に応じて任意のものが使用でき
ることは前述の場合と同様である。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体に貼り合わせる表
皮材としては、天然、人造の繊維を用いた布帛状物、ポ
リ塩化ビニル樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマ
ーシート、レザー、ポリ塩化ビニル樹脂とABS樹脂と
の混合シート等の公知のものを用いることができる。
本発明に用いる基材層用樹脂は、上述した発泡体と同様
のポリオレフィン系樹脂である。架橋ポリオレフィン系
樹脂発泡体に対して、例えば、ポリアミド、ポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂などのように融点が相当高い樹
脂を基材層用樹脂として用いると、樹脂基材層の溶融温
度が高くなるから、その温度によって加圧成形時に架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡が破壊されるという
不都合を生じる。
本発明において、基材層用樹脂として使用されるポリオ
レフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、また
は、プロピレンとα−オレフィンがランダム、ランダム
/ブロック、ブロック状に共重合されたポリプロピレン
樹脂、ポリエチレン樹脂またはエチレンとα−オレフィ
ン、酢酸ビニルやアクリル酸エステルとの共重合樹脂お
よびこれらが任意に混合された樹脂などが適用できる。
さらに、樹脂基材層にタルク、硅酸、炭酸カルシューム
等の無機化合物を樹脂基材層としての特性を損なわない
範囲で充填材として混合してもよい。また、樹脂基材層
に対して、公知である熱安定剤、酸化防止剤、造核剤、
着色剤等を必要に応じて添加してもよい。また、本発明
の積層成形品の品質を損なわない範囲内で、例えば、A
BS樹脂、ポリスチレン樹脂、石油樹脂等のポリオレフ
ィン系以外の樹脂を添加してもよい。
また、ポリオレフィン系樹脂発泡体とポリオレフィン系
樹脂基材層の組合せとしては、ポリプロピレン樹脂発泡
体とポリプロピレン樹脂基材層の場合が好ましいが、ポ
リエチレン系樹脂発泡体とポリエチレン樹脂基材層でも
良く、また、ポリプロピレン樹脂発泡体とポリエチレン
樹脂基材層、あるいはポリエチレン樹脂発泡体とポリプ
ロピレン樹脂基材層のように異質のものを組合せても良
い。
本発明において用いる樹脂基材層用のポリオレフィン系
樹脂は、190 ℃でのメルトフローレートが 1〜60g/10
分である。 1g/10分未満では、流動性が悪く、成形時
に圧力を受けるに伴い、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡
体の気泡破壊やヘタリを発生しやすくなって品質が低下
し、一方、60g/10分を超えると、流動性が高くなりす
ぎて基材樹脂の耐衝撃性が悪くなる。
ここで、メルトフローレートは、190 ℃の加熱下におい
て、4〜5gの試料を荷重2.16kgで加圧した際に、ノ
ズルから、1分間に排出される試料の重量を測定し、そ
の測定値を10倍した値(g/10分)で表している。
また、本発明において用いる低分子量ポリオレフィン系
樹脂としては、平均分子量が 2,000〜20,000のポリプロ
ピレン樹脂やポリエチレン樹脂、更には、それらが共重
合されたプロピレン−エチレン共重合樹脂それぞれを単
独でまたは混合して適用できる。平均分子量が 2,000未
満では、樹脂の強度が低くなって伸び率が低くなり、成
形加工が困難になり、一方、20,000を超えると、流動性
が悪くなり、成形時に圧力を受けるに伴い、架橋ポリオ
レフィン系樹脂発泡体の気泡破壊やヘタリを発生しやす
くなって表皮材の外表面に凹凸を発生し、品質が低下す
る。
そして、上述の単独状態または混合状態のいずれで使用
する場合であっても、樹脂基材層用のポリオレフィン系
樹脂に対する低分子量ポリオレフィン系樹脂の混合率
は、 2〜40重量%である。 2重量%未満では、流動性が
悪くなり、成形時に圧力を受けるに伴い、架橋ポリオレ
フィン系樹脂発泡体の気泡破壊やヘタリを発生しやすく
なって表皮材の外表面に凹凸を発生し、品質が低下し、
一方、40重量%を超えると、積層成形体全体の強度が低
下する。
分子量を測定する手法としては、蒸気圧浸透法または
G.P.C法が用いられる。
本発明の積層成形体は、上述の架橋ポリオレフィン系樹
脂発泡体に表皮材を張り合わせた複合材と、この複合材
の発泡体側に配置された上述のポリオレフィン系樹脂基
材層とを、ホットスタンピング法により一体成形して得
られたものである。
ホットスタンピングモールド法とは、金型の一方のプレ
ス面上に溶融状態の樹脂基材層用ポリオレフィン系樹脂
を、団子状に点在するように、または、シート状にして
分配供給し、その上に、ポリオレフィン系樹脂発泡体に
表皮材を貼り合わせた所定大の複合材を任意の温度で供
給し、その状態で加圧することにより複合材の発泡体側
にポリオレフィン系樹脂基材層を一体成形することによ
って熱融着する方法である。
本発明に係る積層成形体の代表的な用途は車両用内装成
形品であるが、この他、航空機や船舶の内装品、あるい
は室内用の内装品などにも適用することが可能である。
一方、本発明に係る積層成形体の製造方法は、ゲル分率
が20〜80%で見掛密度が0.025 〜0.20g/cc である架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡体に表皮材を貼り合せた複合
材を、上下一対の成形型の所定位置に配置し、 190℃で
のメルトフローレートが 1〜60g/10分であるポリオレ
フィン系樹脂に平均分子量が 2,000〜20,000である低分
子量ポリオレフィン系樹脂を 2〜40重量%混合して成る
樹脂の溶融体を、前記複合材の発泡体側に位置する成形
型の所定位置に所定量だけ分配供給したのち、前記成形
型を型締めして圧縮成形するものである。
複合材は、上下一対の成形型の上型成形面か下型成形
面、あるいは、上型と下型の中間位置に配置される。成
形型の温度は任意に適宜選択される。樹脂基材層用のポ
リオレフィン系樹脂は、成形品の大きさに応じた適宜な
量だけ計量されて、例えば、ノズル等によって成形面に
供給される。樹脂基材層用のポリオレフィン系樹脂の成
形面への供給量は、展開率の大きい部分ほど供給量が多
くなるように、逆に展開率の小さい部分には少量になる
ように、その供給量を調整することが望ましい。
第1図〜第4図は、本発明に係る製造方法の一例を示し
たもので、第1図は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
1に表皮材2を貼り合せた複合材3を上部凸型4と下部
凹型5とから成る上下一対の成形型4,5間の所定位置
に配置した状態を示している。第2図は、発泡体1側の
成形面(この例では、下型の成形面)に、ノズル6によ
って樹脂基材層用の溶融したポリオレフィン系樹脂7を
供給している状態を示している。第3図は加圧成形状
態、第4図は加圧成形によって得られた積層成形体8を
示している。
[実施例] 実施例1 エチレンが10重量%共重合され、 190℃でのメルトフロ
ーレートが18g/10分であるポリプロピレン樹脂 100重
量部に、タルクを20重量部、平均分子量が6000の低分子
量ポリプロピレン樹脂を 5重量部、ならびに、フェノー
ル系安定剤(酸化防止剤)を 0.1重量部均一に混合して
樹脂基材層用の樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物
の約25gを、吐出樹脂温度が 170〜 175℃になる条件で
押出機により押出し、金型温度を60℃に設定しておい
て、成形型を構成する下部凹型上に置き、上部凸型と下
部凹型との間に、見掛密度が 0.067g/ccでゲル分率が
49.9%の架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体に0.4 mm厚さ
の軟質塩化ビニールシートをポリエステル系の接着剤で
貼り合わせて成る20cm角の複合材をセットし、油圧プレ
スにより圧力58kg/cmで圧縮成型して積層成形体を得
た。
実施例2 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を10重量部とした
以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層成
形体を得た。
実施例3 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を10重量部とする
とともに、架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体として、見
掛密度が 0.050g/ccでゲル分率が50.8%のものを用い
た以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層
成形体を得た。
実施例4 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を20重量部とした
以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層成
形体を得た。
実施例5 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を20重量部とする
とともに、架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体として、見
掛密度が 0.050g/ccでゲル分率が50.8%のものを用い
た以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層
成形体を得た。
実施例6 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を30重量部とした
以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層成
形体を得た。
実施例7 低分子量ポリプロピレン樹脂の混合量を30重量部とする
とともに、架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体として、見
掛密度が 0.050g/ccでゲル分率が50.8%のものを用い
た以外は、前述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層
成形体を得た。
比較例1 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
1と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例2 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、そして、架
橋ポリプロピレン系樹脂発泡体として、見掛密度が 0.0
50g/ccでゲル分率が50.8%のものを用いた以外は、前
述実施例1と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得
た。
前述のようにして得た実施例1ないし実施例7、ならび
に、比較例1および比較例2それぞれの積層成形体につ
いて、表面の凹凸状態と成形品の発泡体破れを評価した
結果、第1表に示す結果を得た。
なお、上記第1表および後述する第2表それぞれにおい
て、成形品の表皮材の外表面における凹凸状態の評価を
示す各記号の意味は次のとおりである。
◎:凹凸状態が全く観察されず、良好である。
〇:若干凹凸部分があり、◎判定品と比べたら、若干劣
るが、実用面からは、何ら問題の無い程度のものであ
る。
△:軽度の凹凸部分が観察され、実用に供しえないもの
である。
×:発泡体側での凹凸の程度が大で、全く実用に供しえ
ないものである。
上記の結果、本発明の積層成形体の実施例に係る成形品
では、成形時における発泡体の破壊、ならびに、それに
伴う表皮材の外表面の凹凸はほとんど認められず良好で
あり、また、成形絞り性も実用的に充分であることが確
認された。
また、成形絞り性は、成形品の直径をH、深さをDとし
た場合に、HDで定義される。
実施例8 エチレンが10重量%共重合され、 190℃でのメルトフロ
ーレートが 4g/10分であるポリプロピレン樹脂 100重
量部に、タルクを20重量部、平均分子量が9000の低分子
量ポリプロピレン樹脂を10重量部、そして、フェノール
系安定剤(酸化防止剤)を 0.1重量部均一に混合して樹
脂基材層用の樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物の
約30gを、吐出樹脂温度が 180〜 183℃になる条件で押
出機により押出し、金型温度を60℃に設定しておいて、
成形型を構成する下部凹型上に置き、上部凸型と下部凹
型との間に、見掛密度が 0.045g/ccでゲル分率が48.9
%の架橋ポリプロピレン系樹脂発泡体に0.4 mm厚さの軟
質塩化ビニールシートをポリエステル系の接着剤で貼り
合わせて成る20cm角の複合材をセットし、油圧プレスに
より圧力30kg/cmで圧縮成型して積層成形体を得た。
実施例9 ポリプロピレン樹脂として、190 ℃でのメルトフローレ
ートが10g/10分のものを用いた以外は、前述実施例8
と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
実施例10 ポリプロピレン樹脂として、190 ℃でのメルトフローレ
ートが20g/10分のものを用いた以外は、前述実施例8
と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
実施例11 ポリプロピレン樹脂として、190 ℃でのメルトフローレ
ートが35g/10分のものを用いた以外は、前述実施例8
と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
実施例12 ポリプロピレン樹脂として、190 ℃でのメルトフローレ
ートが45g/10分のものを用いた以外は、前述実施例8
と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例3 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
8と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例4 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
9と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例5 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
10と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例6 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
11と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
比較例7 低分子量ポリプロピレン樹脂を混合せずに、前述実施例
12と同じ条件で圧縮成型して積層成形体を得た。
前述のようにして得た実施例8ないし実施例12、なら
びに、比較例3ないし比較例7それぞれの積層成形体に
ついて、表面の凹凸状態と成形品の発泡体破れを評価し
た結果、第2表に示す結果を得た。
上記表中のMFRは、メルトフローレートを示してい
る。
上記の結果、本発明の積層成形体の実施例に係る成形品
では、成形時における発泡体の破壊、ならびに、それに
伴う表皮材の外表面の凹凸はほとんど認められず良好で
あり、また、成形絞り性も実用的に充分であることが確
認された。
比較例7においては、低分子量ポリプロピレン樹脂を混
合しなくても実用可能な成形品が得られているが、メル
トフローレートをかなり高くしなければならないため
に、メルトフローレートの管理に精度を要求され、製造
しづらい欠点がある。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ゲル
分率が20〜80%で見掛密度が0.025 〜0.20g/cc である
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を使用するとともに、
樹脂基材層として発泡体と同じポリオレフィン系樹脂を
使用し、しかも、その樹脂基材層用のポリオレフィン系
樹脂は、190 ℃でのメルトフローレートが 1〜60g/10
分であり、更に、そのポリオレフィン系樹脂に平均分子
量が 2,000〜20,000である低分子量ポリオレフィン系樹
脂を 2〜40重量%混合して樹脂基材層と一体成形してあ
るから、ホットスタンピングモールドの際に、樹脂基材
層が圧力を受けるに伴って流れやすく、樹脂基材層から
表皮材の外表面まで伝達される反力を小さくでき、樹脂
基材層側の溶融樹脂から伝達される熱、あるいは、溶融
樹脂の流れ性不良のために、発泡体の気泡破壊や表皮材
の外表面に凹凸が生じるということがなく、高品質の積
層成形体を得ることができる。
また、本発明によれば、ホットスタンピングモールド法
により複合材と樹脂基材層とが一体成形されるから、複
合材や樹脂基材層を予め成形する必要がなく、工程の簡
略化を図れ生産性を向上できる。
さらに、複合材と樹脂基材層との一体成形時に接着材を
使用しないから、コストが安くなるとともに、環境悪化
や火災のおそれもなく、積層成形体を安全に製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は本発明に係る積層成形体の製造方法の
説明図であり、第1図は複合材が成形型にセットされた
状態、第2図は樹脂基材層用の溶融樹脂を供給している
状態、第3図は加圧成形の状態、そして、第4図は成形
が完了した状態をそれぞれ示している。 1……架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体 2……表皮材、3……複合材 4……上部凸型、5……下部凹型 6……ノズル 7……樹脂基材層用溶融樹脂(ポリオレフィン系樹脂) 8……積層成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:58 4F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゲル分率が20〜80%で見掛密度が0.025 〜
    0.20g/cc である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に表
    皮材を貼り合せた複合材と、この複合材の発泡体側に配
    置され、190 ℃でのメルトフローレートが 1〜60g/10
    分であるポリオレフィン系樹脂に平均分子量が 2,000〜
    20,000である低分子量ポリオレフィン系樹脂を 2〜40重
    量%混合して成る樹脂基材層とを一体成形して成る積層
    成形体。
  2. 【請求項2】請求項(1)に記載の積層成形体が、車両用
    内装成形品である積層成形体。
  3. 【請求項3】ゲル分率が20〜80%で見掛密度が0.025 〜
    0.20g/cc である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に表
    皮材を貼り合せた複合材を、上下一対の成形型の所定位
    置に配置し、190 ℃でのメルトフローレートが 1〜60g
    /10分であるポリオレフィン系樹脂に平均分子量が 2,0
    00〜20,000である低分子量ポリオレフィン系樹脂を 2〜
    40重量%混合して成る樹脂の溶融体を、前記複合材の発
    泡体側に位置する成形型の所定位置に所定量だけ分配供
    給したのち、前記成形型を型締めして圧縮成形する積層
    成形体の製造方法。
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