JPH06228898A - 印刷用塗被紙 - Google Patents

印刷用塗被紙

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JPH06228898A
JPH06228898A JP1430893A JP1430893A JPH06228898A JP H06228898 A JPH06228898 A JP H06228898A JP 1430893 A JP1430893 A JP 1430893A JP 1430893 A JP1430893 A JP 1430893A JP H06228898 A JPH06228898 A JP H06228898A
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paper
fiber
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fibers
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JP1430893A
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Masaru Tsuji
勝 辻
Shigehiro Fukuda
繁宏 福田
Osamu Kitao
修 北尾
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特定の微細リグノセルロース繊維を配合した原
紙を用いて得られる、不透明度、印刷平滑性に優れ、か
つ印刷ピッキング強度の改善された印刷用塗被紙を提供
する。 【構成】原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗被組成
物を塗被、乾燥した後キャレンダー仕上げする印刷用塗
被紙であって、該原紙の繊維成分として、下記条件を満
たす微細リグノセルロース繊維が全繊維組成中に5〜6
0%含まれる印刷用塗被紙。 (1)JIS−Z−8801に規定される目開き106
μmの標準篩を通過する繊維。 (2)JIS−P−8211に準拠するKappa−N
oが80〜250である繊維。 (3)保水度が20〜200%である繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷用塗被紙に関し、
微細リグノセルロース繊維を配合した原紙を支持体とし
た塗被紙であり、特に不透明度、印刷平滑性に優れ、か
つ印刷ピッキングの起こり難い印刷用塗被紙に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷用塗被紙はパルプ繊維を主成
分とする原紙上に、顔料と接着剤とを主成分とする塗被
組成物を塗布、乾燥した後、スーパーキャレンダー等に
よる加圧平滑化仕上げが行われる。また、キャストコー
ト紙の場合には、通常の塗工機による仕上げ方法と異な
り、鏡面を有する加熱ドラム表面に湿潤塗被層を圧接、
乾燥離型により仕上げられるものである。そして、これ
らの印刷用塗被紙はその表面に印刷を施してパンフレッ
ト、カレンダー、雑誌、書籍、包装用紙、ラベル、ワッ
ペン等に使用されている。
【0003】これらの用途に使用される印刷用塗被紙は
安価で、不透明度が高く、印刷平滑性が良く、しかも印
刷ピッキングの起こり難い品質を有することが求められ
る。そのために、特に薄物(低米坪品)の塗被紙にたい
しては、高度の不透明性や平滑性が要求されており、通
常GP、PGW、RGP、TMP、CTMP、CMP等
の未晒や晒のリグノセルロース繊維が使用されている。
しかし、これらのリグノセルロース繊維を原紙に含む塗
被紙は印刷平滑性が低下するといった欠点、更には軽量
化が叫ばれている為に不透明度不足というのが現状であ
り、この改良要望が叫ばれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、印刷用塗被
紙に関し、特定の微細リグノセルロース繊維を配合した
原紙を用いて得られる塗被紙の、不透明度、印刷平滑性
を改良し、しかも印刷ピッキングが起こり難い印刷用塗
被紙を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、原紙上に顔料
と接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被乾燥した後、
キャレンダー仕上げする印刷用塗被紙において、該原紙
中に繊維成分として、下記(1)〜(3)条件を満たす
微細リグノセルロース繊維が全繊維中に5〜60重量%
含有せしめられたことを特徴とする印刷用塗被紙であ
る。 (1)JIS−Z−8801に規定される目開き106
μmの標準篩を通過する繊維。 (2)JIS−P−8211に準拠するKappa−N
oが80〜250である繊維。 (3)保水度が20〜200%である繊維。
【0006】
【作用】一般に、原紙中にGP、PGW、RGP、TM
P、CTMP、CMP等の未晒や晒のリグノセルロース
繊維を含む印刷用塗被紙は中質塗被紙として分類されて
おり、化学パルプで高白色度を有するパルプ繊維からな
る原紙を支持体とした上質塗被紙に比較し、印刷平滑性
は劣るが、不透明性が高く、安価であるために出版、広
告、宣伝等の媒体(例えば新聞に入れるチラシ等)とし
ての印刷用塗被紙として使用されている。
【0007】一方、本発明者等は上述の如きリグノセル
ロース繊維を含む印刷用塗被紙の欠点である印刷平滑性
を改善すべく鋭意研究を重ねた。その結果、上記塗被紙
の印刷平滑性の劣る原因が、使用するGP、PGW、R
GP、TMP、CTMP、CMP(メカニカルパルプ)
等の未晒や晒のリグノセルロース繊維中に混在する、剛
直な長い繊維と結束繊維片に起因することを突き止め、
繊維長さがJIS−Z−8801に準拠する、目開き1
06μmの標準篩を通過する繊維を使用すると印刷平滑
性が改良されることを見出した。
【0008】即ち、目開き106μmの標準篩に残った
繊維中には長繊維と非常に多くの結束繊維片が残ってお
り、これらの繊維が印刷平滑性を低下させる要因となっ
ていることを見出したのである。従って、それらの存在
しない目開き106μmの標準篩をパスした繊維を配合
することにより、従来難点となっていた印刷平滑性が改
良されることが分かったのである。
【0009】而して、このような微細リグノセルロース
繊維を得る方法としては、一般に木材および非木材を酸
加水分解と機械的処理(磨砕、粉砕、分級等)とを併用
する方法、あるいは機械的処理(磨砕、粉砕、分級等)
のみによる方法とがある。しかしながら、機械的処理の
みの場合は電力を非常に多く消費するため、酸加水分解
と機械的処理とを併用する方法が省エネルギー面から好
ましい方法である。
【0010】本発明における微細リグノセルロース繊維
を得るために使用する原料としては、木材および非木材
等は特に限定されるものではなく、例えばGP、PG
W、RGP、TMP、CTMP、CMP、KP等として
使用される丸太やチップ、通常は燃料として使用してい
るチップダスト(5〜6mmφのチップスクリーンの通
過分)や鋸屑等、さらにはGP、PGW、RGP、TM
P、CTMP、CMP等のスクーリン工程で発生したリ
ジェクト等が例示され、リグニンを含有する木材および
非木材繊維であればその原料となり得るものである。し
かし、GP、PGW、RGP、TMP、CTMP、CM
P、KP等で使用される高価な原料を使用するよりは廃
棄物に近いチップダストや鋸屑等、あるいはGP、PG
W、RGP、TMP、CTMPのスクーリン工程で発生
したリジェクトを使用するのが経済的であり、且つ、資
源保護や環境保全の面からも好ましい実施態様である。
【0011】一般に、印刷用塗被紙としては、印刷平滑
性の他、不透明度も重要な要件であり、特に、近年、軽
量化指向が強く、従来から使用されているGP、PG
W、RGP、TMP、CTMP、CMP等の未晒や晒の
リグノセルロース繊維では十分な効果が得られていな
い。そこで、本発明では、所望とする不透明度を得るた
めに、種々検討を重ねた結果、微細繊維のJIS−P−
8211に準拠して測定されるKappa−Noが80
〜250であるものを用いることにより、所望の効果が
得られることを見出したのである。
【0012】ここでいうKappa−Noとは繊維中の
リグニン量を示す指標であり、Kappa−Noの数値
が高い方がリグニン量が多い。因みに、Kappa−N
oが80未満では、塗被紙に使用した場合に塗被紙の不
透明度向上効果が小さい、一方、250を越えると微細
繊維中のセルロース分の加水分解が進み過ぎて、塗被紙
に使用した場合に原紙強度が低下し過ぎるので好ましく
ない。
【0013】なお、微細繊維のKappa−Noを調節
する方法としは、木材及び非木材を粗原料とした、微細
繊維用の原料を酸加水分解や脱リグニンする工程での処
理条件を適宜選択することにより行うことができる。例
えば、Kappa−Noを高くしたい場合には、酸(塩
酸や硫酸等)加水分解の処理条件の強化、即ち酸濃度を
高めたり、処理温度を高めたり、或いは処理時間を長く
する等して木材及び非木材のヘミセルロースやセルロー
スの加水分解度を大きくし、それらの成分の溶出量を多
くすることによりその目的を達成することができる。こ
の場合、リグニンへの影響が殆どないので、相対的にリ
グニンの量が多くなり、結果的にKappa−Noが高
くなる。他方、Kappa−Noを低くしたい場合に
は、化学パルプの製造に使用される蒸解性や漂白薬品を
用いて脱リグニン処理、その条件を適宜調節することに
より所要のKappa−Noに調整することができる。
なお、この場合は上記の場合とは反対にヘミセルロース
やセルロースへの影響は少ないので、結果的にはKap
pa−Noが下がることになる。
【0014】また、近年、製紙技術の進歩により、抄紙
速度はますます高速化されており、それに付随して派生
し易い紙切れを防止するために紙力増強が要望されてい
る。そこで、本発明では、特に紙力的に難点のあるメカ
ニカルパルプを使用する観点から、微細リグノセルロー
ス繊維の保水度がJ.TAPPI−No.26 に規定される
保水度で20〜200%の範囲に特定するものである。
なお、ここでいう保水度とは繊維の膨潤度を示す指標で
あり、値が大きくなるほど、繊維の膨潤度が大きくな
り、濾水性が悪化するものである。因みに、塗被紙の原
料として使用する場合、保水度が20%未満であると原
紙の紙力低下が大きい。他方、200%を越えると、紙
力は強くなるものの、抄紙工程での濾水性低下に伴い、
生産性や乾燥性が低下するようになる。さらには、微細
リグノセルロース繊維の製造過程における乾燥性の低下
等も懸念され、生産性の悪化と共に消費電力、蒸気の消
費量増加等が懸念されるので好ましくない。
【0015】なお、上記微細繊維の保水度を調節する方
法としては、酸による加水分解の処理条件を適宜選択す
ることによって、その目的を達成することができる。例
えば、保水度を高めたい場合には、酸(塩酸や硫酸等)
濃度を薄くしたり、処理温度を下げたり、あるいは処理
時間を短くする等の方法によって調節が可能である。他
方、保水度を低下させる場合には、上記の方法と逆の条
件を適宜選択することによって、その目的を達成するこ
とができる。因みに、通常、得られるGP、PGW、R
GP、TMP、CTMP、CMP等のリグノセルロース
繊維で、目開き106μmの篩を通過し、目開き45μ
mの篩に留まるフラクションの保水度は250%以上で
あり、この場合にも、上記の加水分解の条件を適宜選択
することによつて、所要の保水度を有する繊維を得るこ
とができる。
【0016】本発明では、上記3要件を満たした微細繊
維を原紙中に、繊維成分として5〜60重量%含有させ
るものである。因みに、5重量%未満では塗被紙の不透
明度改善効果が低く、一方、60重量%を越えると抄紙
工程での濾水性や乾燥性、塗工工程での乾燥性が悪化
し、生産性が低下するので好ましくない。また、塗被紙
の印刷時にはピッキング(印刷強度)が懸念される。特
に、本発明に係る微細繊維は加水分解作用を受けている
ためその影響を受けやすい。さらに、近年、印刷機につ
いても高速化指向であり、特にオフセット印刷では印刷
インキのタックが大きいため、原紙層からのピッキング
(層間剥離)が懸念される。このため、原紙の層間強度
(TAPPI STANDARDS ROUTINE
CONTROL RC308)を80×10-3ft・l
b/in2 以上にすることが好ましい。それ以下では、
印刷時に層間剥離を起こし易い。
【0017】なお、原紙の層間強度を強化する方法とし
ては、抄紙に際して、紙料中に紙力増強剤等を内添、又
は成紙の表面に表面紙力剤等を塗布、含浸する等、その
種類及び使用量を適宜調節することによって行うことが
できる。因みに、この場合の紙力増強剤としては、尿素
−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド
樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹
脂、ポリアクリルアミド樹脂、エチレンイミン、グリオ
キザール、ポリビニルアルコール、マレイン酸系コポリ
マー、アクリル酸系コポリマー、スチレン系コポリマ
ー、スルホン酸系コポリマー、澱粉、酸化澱粉、変性澱
粉、セルロース誘導体等が挙げられる。これらは所望す
る製品品質に応じて適宜選択すればよく、特に、限定す
るものでない。
【0018】本発明における原紙としては、特に限定す
るものではなく、所謂酸性抄紙、あるいは中性抄紙によ
って得られる原紙を適宜使用することができる。また、
抄紙に際して、填料、サイズ剤、歩留向上剤、消泡剤、
染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、PH調節剤、ピッチ
コントロール剤、スライムコントロール剤等を適宜添加
することができる。
【0019】本発明の印刷用塗被紙は、前述のようにし
て得られた原紙上に、顔料及び接着剤を主成分とした塗
被組成物を塗布して製造されるものである。この場合の
顔料や接着剤は通常の印刷用塗被紙の製造分野で使用さ
れるものが適宜使用でき、特に限定されるものではな
い。なお、本発明で使用される特定の微細リグノセルロ
ース繊維はリグニンを含んでいるため白色度が低く、過
酸化水素等の過酸化物で漂白しても所望の白色度が得ら
れ難い場合には、顔料として高白色度の炭酸カルシウ
ム、二酸化チタン、サチンホワイト、炭酸マグネシウム
等を使用することによって白色度を向上させることがで
きるものの、経済的には安価な重質炭酸カルシウム、軽
質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウムを効率良く利用す
るのが好ましい実施態様である。
【0020】勿論、これらの顔料の他に、通常塗被紙の
製造分野で使用されている顔料、例えば、カオリン、硫
酸バリウム、タルク、焼成カオリン、シリカ、水酸化ア
ルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、
酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硫
酸マグネシウム、アルミノ珪酸塩、ベントナイト等の鉱
物質顔料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹
脂微粒子及び熱膨張性微小中空粒子或いは非熱膨張性微
小中空粒子やその他の有機系顔料等の中から、必要に応
じて一種又は二種以上の顔料を適宜選択して併用するこ
ともできる。
【0021】接着剤としては、例えば従来公知のカゼイ
ン、大豆蛋白、スチレンーブタジエン共重合体、メチル
メタクリレートーブタジエン共重合体等の共役ジェン系
重合体ラッテクス、アクリル酸エステル及び/又はメタ
クリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系
重合体ラッテクス、エチレンー酢酸ビニル共重合体等の
ビニル系重合体ラッテクス、或いはこれらの各種重合体
をカルボキシル基等の官能基含有単量体により、官能基
変性したアルカリ溶解性或いはアルカリ非溶解性の重合
体ラッテクス、玉蜀黍、馬鈴薯、タピオカ、小麦、米の
原料から得られる各種澱粉類、ポリビニルアルコール、
オレフィンー無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合
成樹脂系接着剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース等のセルロース誘導体等、一般の
塗被紙用として知られている接着剤の一種或いは二種以
上が併用して用いられる。
【0022】なお、接着剤の使用量は顔料100重量部
に対し、2〜50重量部、通常は5〜30重量部の範囲
で使用される。また、必要に応じて各種助剤が本発明の
所望の効果を損なわない範囲で添加されるが、この場合
の助剤としては、例えば消泡剤、着色剤、離型剤、流動
変性剤、分散剤等が挙げられる。
【0023】さらに、上記の如き材料を用いて構成され
る塗被組成物は一般に固形分濃度が40〜75重量%程
度の塗料として調製される。そして、原紙の片面又は両
面に乾燥後の重量が5〜50g/m2 程度になるように
塗被、乾燥後、スーパーキャレンダー等に通紙して加圧
仕上げが行われる。又、ウェットキャスト、リウェット
キャスト、ゲル化キャスト等のキャスト方式により塗被
加工仕上げを行うこともできる。
【0024】原紙上に塗被層を形成するにあたっては、
塗被組成物の一度塗りの層とするか、或いは、下塗り層
及び上塗り層に分けて多層構造にするかは特に限定する
ものではない。なお、多層構造の場合下塗り層と上塗り
層の塗被組成物が同一である必要はなく、要求される品
質レベルに応じて適宜調整することが可能である。
【0025】また、塗被層を形成する方法としては、一
般に公知公用の塗被装置、例えばブレードコーター、エ
アーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコータ
ー、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビ
ヤコーター、ゲートロールサイズプレス、ビルプレード
サイズプレス、ブレードメータリングサイズプレス等の
装置が適宜用いられる。これらの装置はオンマシンコー
ター或いはオフマシンコーターの形として慣用の方法で
用いられるものであって、特に限定するものではない。
【0026】本発明の塗被紙を製造するにあたり、上記
の如き複数の塗被装置とキャレンダー装置等を配備した
高速のオンマシンコーター等を用いると、極めて効率良
く且つ高品質の塗被紙を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論、これらに限定されるものではな
い。なお、例中の部及び%は特に断らない限り固形分重
量部及び固形分重量%を示す。
【0028】実施例1 〔原紙の調製〕広葉樹チップダストを目開き2mmの標
準篩で振るい、篩に残ったチップダストを酸加水分解処
理(液比1:10,H2 SO4 濃度:1N,温度:85
℃,2時間)した後、水洗し、水酸化ナトリウムで中和
し、乾燥する。この乾燥物をウイレーミルで粉砕し、こ
の粉砕物をJIS−Z−8801の目開き106μmの
標準篩で振るい、篩を通過した微細粉砕物を得る。次ぎ
に、この微細粉砕物の固形分に対し、過酸化水素5%、
水酸化ナトリウム4%、ケイ酸ナトリウム3%、硫酸マ
グネシウム0.05%をそれぞれ添加し、微細粉砕物の
濃度10%、温度70℃で3時間漂白処理する。漂白後
水洗して、微細リグノセルロース繊維を得た。かくして
得られた微細リグノセルロース繊維はKAPPA−No
150、保水度80%であった。
【0029】この微細リグノセルロース繊維30部、フ
リーネス450mlのLBKP20部、フリーネス48
0mlのNBKP50部を配合してなるパルプスラリー
に、填料としてタルク(NK−80:中央カオリン社
製)13部を攪拌しながら添加し、ロジンサイズ(SP
E:荒川化学社製)1部及び硫酸バンド3部を攪拌しな
がら添加した。次いで、このパルプスラリーを白水で希
釈して濃度0.7%の紙料を調製した。このようにして
得た紙料を抄紙し、得られた成紙にサイズプレスで、予
め濃度28%、95℃、30分間蒸煮して得た酸化澱粉
(エースA:王子コーンスターチ社製)の水溶液を希釈
して得た7%濃度の澱粉水溶液を乾燥重量で2.1g/
2 となるように両面サイズプレスを行い、キャレンダ
ーに通紙し、米坪が40g/m2 の原紙を得た。かくし
て得られた原紙の層間強度(TAPPI−RC308)
は170×10-3ft・lb/in2 であった。
【0030】〔塗被紙の調製〕カオリン(UW−90:
EMC社製)70部、重質炭酸カルシウム(ソフトン−
2200:備北粉化工業社製)20部、軽質炭酸カルシ
ウム(TP−123CS:奥多摩工業社製)10部とポ
リアクリル酸ソーダ0.5部及び苛性ソーダ0.2部を
一緒に分散機を使用して水分散し、濃度68%の顔料ス
ラリーを調製した。この顔料スラリーに、接着剤とし
て、予め95℃、28%濃度で30分間蒸煮して得た酸
化澱粉(エースA)3部及びスチレン・ブタジエン共重
合体ラテックス(SN−307:住友ノーガタック社
製)10部を添加し、さらにシリコン系消泡剤0.05
部、ステアリン酸カルシウム0.2部および水を添加
し、攪拌混合して濃度が60%の塗被液を得た。
【0031】上記の塗被液を前記の原紙に乾燥重量で片
面当たり14g/m2 となるようにブレードコーターを
使用して両面塗布を行い、紙水分が6%となるように乾
燥した。このようにして得た両面塗被紙をスーパーキャ
レンダー処理を行って印刷用塗被紙として仕上げた。
【0032】実施例2 〔原紙の調製〕鋸屑を目開き1mmの標準篩で振るい、
篩に残った鋸屑を酸加水分解処理(液比1:10,H2
SO4 濃度:4N,温度:80℃,3時間)した後、水
洗し、水酸化ナトリウムで中和し、乾燥した。この乾燥
物をウイレーミルで粉砕し、この粉砕物をJIS−Z−
8801の目開き75μmの標準篩で振るい、篩を通過
した微細粉砕物を得た。次ぎに、この微細粉砕物の固形
分に対して、過酸化水素5%、水酸化ナトリウム4%、
ケイ酸ナトリウム3%、硫酸マグネシウム0.05%を
それぞれ添加し、微細粉砕物の濃度10%、温度70℃
で3時間漂白処理した。漂白後水洗して、微細リグノセ
ルロース繊維を得た。得られた微細リグノセルロース繊
維はKAPPA−No190,保水度40%であった。
上記の微細リグノセルロース繊維を用いて、実施例1と
同様にして原紙を調製した。得られた原紙の層間強度
(TAPPI−RC308)は140×10-3ft・l
b/in2 であった。
【0033】〔塗被紙の調製〕上記の原紙を用いた以外
は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0034】実施例3 〔原紙の調製〕CGPのスクリーン粕を酸加水分解処理
(液比1:10,H2 SO4 濃度:0.5N,温度:7
0℃,2時間)した後、水洗し、水酸化ナトリウムで中
和し、乾燥した。この乾燥物をウイレーミルで粉砕し、
この粉砕物をJIS−Z−8801の目開き45μmの
標準篩で振るい、篩を通過した微細粉砕物を得た。次ぎ
に、この微細粉砕物の固形分に対して、過酸化水素5
%、水酸化ナトリウム4%、ケイ酸ナトリウム3%、硫
酸マグネシウム0.05%をそれぞれ添加し、微細粉砕
物の濃度10%、温度70℃で3時間漂白処理を行っ
た。漂白後水洗して、微細リグノセルロース繊維を得
た。かくして得られた微細リグノセルロース繊維は、K
APPA−No100,保水度100%であった。上記
の微細リグノセルロース繊維を用いて、実施例1と同様
にして原紙を調製した。この原紙の層間強度(TAPP
I−RC308)は180×10-3ft・lb/in2
であった。
【0035】〔塗被紙の調製〕上記の原紙を用いた以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。
【0036】実施例4 〔原紙の調製〕実施例1において、過酸化水素漂白の前
処理として、亜塩素酸ソーダを微細繊維粉砕物の固形分
に対し3%添加し、酢酸でpH4になるように調節し、
温度60℃で3時間処理し、処理後水洗した他は実施例
1と同様にして微細リグノセルロース繊維を得た。この
微細リグノセルロース繊維はKAPPA−No110、
保水度180%であった。かくして得られた微細リグノ
セルロース繊維を用いて、実施例1と同様にして原紙を
調製した。この原紙の層間強度(TAPPI−RC30
8)は200×10-3ft・lb/in2 であった。
【0037】〔塗被紙の調製〕上記の原紙を用いた以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。
【0038】実施例5 〔原紙の調製〕実施例1と同様にして得た微細リグノセ
ルロース繊維50部とフリーネス480mlのNBKP
50部を配合したパルプスラリーに、填料として、重質
炭酸カルシウム(ソフトン−1200:備北粉化工業社
製)5部とタルク5部を攪拌しながら添加し、硫酸バン
ド0.5部、カチオン性澱粉(BMB:日産エカノーベ
ル社製)0.7部及びアルキルケテンダイマー(SPK
−902:荒川化学社製)0.1部を攪拌しながら添加
した。次いで、このパルプスラリーを白水で希釈した
後、コロイダルシリカ(BMA:日産エカノーベル社
製)0.2部をよく撹拌しながら添加してpH8.0、
濃度0.7%の紙料を調製し、この紙料を用いて抄紙
し、得られた成紙にサイズプレスで、予め濃度28%、
95℃、30分間蒸煮して得た酸化澱粉(エースA:王
子コーンスターチ社製)の水溶液を希釈して得た7%濃
度の澱粉水溶液を、乾燥重量で2.1g/m2 となるよ
うに両面サイズプレスを行い、キャレンダーに通紙し、
米坪が40g/m2 の原紙を得た。この原紙の層間強度
(TAPPI−RC308)は110×10-3ft・l
b/in2 であった。
【0039】〔塗被紙の調製〕上記の原紙を用いた以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。
【0040】実施例6 〔原紙の調製〕実施例1と同様にして得た微細リグノセ
ルロース繊維10部、フリーネス450mlのLBKP
40部、フリーネス480mlのNBKP50部を配合
したパルプスラリーに、填料として、重質炭酸カルシウ
ム(ソフトン−1200:備北粉化工業社製)5部とタ
ルク5部を攪拌しながら添加し、硫酸バンド0.5部、
カチオン性澱粉(BMB:日産エカノーベル社製)0.
7部及びアルキルケテンダイマー(SPK−902:荒
川化学社製)0.1部を攪拌しながら添加した。次い
で、このパルプスラリーを白水で希釈した後、コロイダ
ルシリカ(BMA:日産エカノーベル社製)0.2部を
よく撹拌しながら添加してpH8.0、濃度0.7%の
紙料を調製し、この紙料を用いて抄紙し、得られた成紙
にサイズプレスで、予め濃度28%、95℃、30分間
蒸煮して得た酸化澱粉(エースA:王子コーンスターチ
社製)の水溶液を希釈して得た7%濃度の澱粉水溶液
を、乾燥重量で2.1g/m2 となるように両面サイズ
プレスを行い、キャレンダーに通紙し、米坪が40g/
2 の原紙を得た。この原紙の層間強度(TAPPI−
RC308)は190×10-3ft・lb/in2 であ
った。
【0041】〔塗被紙の調製〕上記の原紙を用いた以外
は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。
【0042】比較例1 〔原紙の調製〕実施例1でJIS−Z−8801の目開
き106μmの標準篩で振るい、篩上の粉砕物を用いた
他は実施例1と同様にして微細リグノセルロース繊維を
得た。かくして得られた微細リグノセルロース繊維はK
APPA−No170,保水度40%であった。得られ
た微細リグノセルロース繊維を用いて、実施例1と同様
にして原紙を調製した。得られた原紙の層間強度(TA
PPI−RC308)は110×10-3ft・lb/i
2 であった。
【0043】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0044】比較例2 〔原紙の調製〕実施例2で酸加水分解処理の条件をH2
SO4 濃度を10N,温度:90℃3時間に変更した他
は実施例2と同様にして微細リグノセルロース繊維を得
た。得られた微細リグノセルロース繊維はKAPPA−
No260,保水度10%であった。得られた微細リグ
ノセルロース繊維を用いて、実施例1と同様にして原紙
を得た。得られた原紙の層間強度(TAPPI−RC3
08)は40×10-3ft・lb/in2 であった。
【0045】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0046】比較例3 〔原紙の調製〕KAPPA−No40の未晒サルファイ
トパルプを使用した他は実施例1と同様にして微細リグ
ノセルロース繊維を得た。得られた微細リグノセルロー
ス繊維はKAPPA−No40,保水度120%であっ
た。得られた微細リグノセルロース繊維を用いて、実施
例1と同様にして原紙を調製した。得られた原紙の層間
強度(TAPPI−RC308)は220×10-3ft
・lb/in2 であった。
【0047】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0048】比較例4 〔原紙の調製〕実施例1で微細リグノセルロース繊維の
代わりに、フリーネス120mlのCTMP(白色度5
8%)を用いた他は実施例1と同様にして原紙を調製し
た。得られた原紙の層間強度(TAPPI−RC30
8)は150×10-3ft・lb/in2 であった。
【0049】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0050】比較例5 〔原紙の調製〕実施例1と同様にして、微細リグノセル
ロース繊維を得た。この微細リグノセルロース繊維65
部、フリーネス480mlのNBKP35部を配合した
パルプスラリーに、填料として、重質炭酸カルシウム
(ソフトン−1200:備北粉化工業社製)5部とタル
ク5部を攪拌しながら添加し、硫酸バンド0.5部、カ
チオン性澱粉(BMB:日産エカノーベル社製)0.7
部及びアルキルケテンダイマー(SPK−902:荒川
化学社製)0.1部を攪拌しながら添加した。ついでこ
のパルプスラリーを白水で希釈した後、コロイダルシリ
カ(BMA:日産エカノーベル社製)0.2部をよく撹
拌しながら添加して pH8.0、濃度0.7%の紙料を
調製し抄紙し、サイズプレスで、予め濃度28%、95
℃、30分間蒸煮して得た酸化澱粉(エースA:王子コ
ーンスターチ社製)の水溶液を希釈して得た7%濃度の
澱粉水溶液を、乾燥重量で2.1g/m2となるように
両面サイズプレスを行い、キャレンダーに通紙し、米坪
が40g/m2 の原紙を得た。得られた原紙の層間強度
(TAPPI−RC308)は75×10-3ft・lb
/in2 であった。
【0051】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0052】比較例6 〔原紙の調製〕CTMP(白色度58%,フリーネス1
20ml)の篩分けを行って、JIS−Z−8801の
目開き106μmの標準篩を通過し、目開き45μmの
標準篩上に留まった微細リグノセルロース繊維を得た。
得られた微細リグノセルロース繊維はKAPPA−No
140,保水度350%であった。得られた微細リグノ
セルロース繊維を用いて、実施例1と同様にして原紙を
調製した。この得られた原紙の層間強度(TAPPI−
RC308)は260×10-3ft・lb/in2 であ
った。
【0053】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0054】比較例7 〔原紙の調製〕実施例1で微細リグノセルロース繊維は
0%、フリーネス450mlのLBKP50%,フリー
ネス480mlのNBKP50%とした他は実施例1と
同様にして原紙を調製した。得られた原紙の層間強度
(TAPPI−RC308)は250×10-3ft・l
b/in2 であった。
【0055】〔塗被紙の調製〕前記の原紙に実施例1と
同様にして塗被紙を得た。
【0056】かくして、得られた13種類の塗被紙につ
いて下記の評価法に基づいて測定し、その結果を表1に
示した。
【0057】〔不透明度〕JIS P 8138に準じ
て測定した(%)。
【0058】〔濾水性〕各抄紙原料を米坪60g/m2
になるようにサンプリングし、JISP−8209に準
じて手抄きする。この手抄き時での原料脱水時間を測定
した(秒)。値が大きい程、濾水性が悪い。
【0059】〔印刷ピッキング強度の評価〕RI印刷適
性試験機(明製作所製)を用いて印刷をして下記の評価
基準で目視評価した。 ◎:ピックの発生がなく、極めて良好 ○:ピックの発生が殆どなく良好 ×:ピックが多数発生して劣る
【0060】〔印刷平滑性の評価〕RI印刷適性試験機
(明製作所製)を用いて印刷をして下記の評価基準で目
視評価した。 ◎:極めて良好 ○:良好 ×:劣る
【0061】
【表1】
【0062】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
の実施例で得られた印刷用塗被紙は、不透明性および印
刷平滑性に優れ、かつ印刷ピッキング強度の優れたもの
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7199−3B D21H 1/48

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗被
    組成物を塗被乾燥した後、キャレンダー仕上げする印刷
    用塗被紙において、該原紙中に繊維成分として、下記
    (1)〜(3)条件を満たす微細リグノセルロース繊維
    が全繊維中に5〜60重量%含有せしめられたことを特
    徴とする印刷用塗被紙。 (1)JIS−Z−8801に規定される目開き106
    μmの標準篩を通過する繊維。 (2)JIS−P−8211に準拠するKappa−N
    oが80〜250である繊維。 (3)保水度が20〜200%である繊維。
  2. 【請求項2】原紙の層間強度が80×10-3ft・lb
    /in2 以上である請求項1記載の印刷用塗被紙。
JP1430893A 1993-01-29 1993-01-29 印刷用塗被紙 Pending JPH06228898A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014506961A (ja) * 2010-11-05 2014-03-20 ジーバイオテク カンパニー,リミテッド 漂白木粉、漂白木粉の製造方法、それを用いた紙及びその製紙方法

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JP2014506961A (ja) * 2010-11-05 2014-03-20 ジーバイオテク カンパニー,リミテッド 漂白木粉、漂白木粉の製造方法、それを用いた紙及びその製紙方法

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