JPH06228715A - ガスタービンの排気ガスダクト用フエライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

ガスタービンの排気ガスダクト用フエライト系ステンレス鋼板およびその製造方法

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JPH06228715A
JPH06228715A JP3255593A JP3255593A JPH06228715A JP H06228715 A JPH06228715 A JP H06228715A JP 3255593 A JP3255593 A JP 3255593A JP 3255593 A JP3255593 A JP 3255593A JP H06228715 A JPH06228715 A JP H06228715A
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Sadayuki Nakamura
定幸 中村
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学 奥
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ガスタービンの排ガスダクト用ステンレス鋼
板とその製造方法を提供する。 【構成】 質量%において, C:0.03%以下, Si:0.8
0%〜1.20%, Mn:0.60%〜1.50%, S:0.006%以下,
Cr:11.0%〜15.0%, Nb:0.20%〜0.80%,N:0.03
%以下, Al:0.005%〜0.05%, O:0.012%以下を含
み,前記の範囲において,0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.
50%, および1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 の関係を満足し,
残部がFeおよび製造上の不可避的不純物からなるフエ
ライト系ステンレス鋼板。及び上記組成の鋼を熱間圧延
し,1000℃以上1100℃の温度に10分以下加熱
したあと600℃まで2℃/sec以上の冷却速度で冷
却する上記ステンレス鋼板の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,コンバインドサイクル
発電プラントのガスタービン出側以降の排ガス経路材用
に開発された高温強度および高温疲労特性に優れたフエ
ライト系ステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインドサイクル発電プラントは,
高い熱効率と優れた環境特性およびプラント運用性が評
価され,大容量発電設備として各国で建設されている。
近年,プラントの熱効率をさらに向上させるため,ガス
タービンの燃焼ガス温度を従来の1100℃級から1300℃級
まで上昇させる計画が本格的に開始されている。
【0003】ガスタービンの出側以降, 例えば排気ガス
ダクト部や排気サイレンサ部のガス温度は, 従来の1100
℃級プラントでは最高でも500℃〜600℃程度である。こ
のため, これらの部材には2.25Cr-1.0Mo鋼やSUH409鋼
などの耐熱鋼が使用されてきた。ところが, 上述のよう
に燃焼ガス温度が1300℃まで上昇すると,これらの部材
の温度は600℃〜700℃程度にまで上昇することが予想さ
れる。このため,既存鋼よりもさらに耐熱性とくに高温
強度特性の優れた材料が必要とされる。
【0004】一方, 上述の排気ガスダクト部は,プラン
トの稼動・停止にともなって発生する熱応力を緩和する
ために溶接構造を避け, 材料組み込み式の構造とする方
式が検討されている。この場合には,ダクト内側の部材
は,プラント稼動時に排気ガスの流れによって組み込み
部の隙間で板自身が振動するので,高温疲労破壊を起こ
す可能性もある。したがって,ガスタービンの燃焼ガス
温度上昇に伴い, ダクト用材料も既存鋼よりさらに高温
疲労特性の優れる材料が必要となる。
【0005】マルテンサイト系およびフエライト系ステ
ンレス鋼は,オーステナイト系ステンレス鋼に比べ安価
であり,また熱膨張係数も小さいため熱疲労特性に優れ
ている。したがって,加熱−冷却の繰り返しを受ける部
材に対しては優れた特徴を有する。しかし, 600℃〜700
℃の温度域での使用を考慮した場合, 高温強度の観点か
らは, (1) 析出強化型の元素を添加しても使用中に析出
物の凝集・粗大化が起こり初期の強度を十分に維持でき
ない,(2) マルテンサイト系の場合には組織の回復によ
り強度が急激に低下する恐れがある,等の点が懸念され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のように,ガスタ
ービンの燃焼ガス温度が1300℃級の発電プラントの建設
にあたって,温度が 600〜700℃の多量の排ガス流を導
くための部材として, 十分な高温強度特性と高温疲労特
性を兼備した経済的な材料は現状では見出されていな
い。また,これらの部材は建設時の現場施工性つまり加
工性および溶接性に優れることも重要となる。
【0007】したがって本発明は, 燃焼ガス温度が1300
℃級の発電プラントにおける排ガスダクトや排気サイレ
ンサを構成することができる高温強度特性, 高温疲労特
性,加工性等に優れた材料の開発を目的としたものであ
る。
【0008】より具体的には,常用の排ガス温度を想定
して,600℃の高温疲労特性が現状材のSUH409Lの1.4倍
以上で, なお且つ最高使用温度を想定して, 700℃にお
ける高温引張特性がSUH409Lの600℃での特性と同等以上
である, フエライト系ステンレス鋼板の開発を目的とし
たものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,質量%
において, C:0.03%以下, Si:0.80%〜1.20%,M
n:0.60%〜1.50%, S:0.006%以下, Cr:11.0%〜1
5.0%, Nb:0.20%〜0.80%, N:0.03%以下, Al:
0.005%〜0.05%, O:0.012%以下を含み,場合によっ
ては,さらにMo:3.0%以下, V:0.5%以下, Zr:2.
0%以下, W:2.0%以下, YまたはREM:0.1%以下,
B:0.01%以下, の一種または二種以上を含有したう
え,前記の範囲において,0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.
50%,1.4≦Nb+1.2Si≦2.0,の関係を満足するように
これらの元素を含有し,残部がFeおよび製造上の不可
避的不純物からなり,焼鈍された状態での固溶Nb量が
0.20%以上であり,JIS Z2275に準じて行う 600℃での
平面曲げ疲れ試験において繰り返し数107サイクルの時
間強さが180N/mm2以上であるガスタービンの排気ガスダ
クト用フエライト系ステンレス鋼板を提供する。
【0010】特に本発明鋼板は,その製造にさいして熱
延後の焼鈍において1000℃以上1100℃以下の温度に10分
以下保持し,この焼鈍温度から600℃まで2℃/sec以上
の速度で冷却することによって焼鈍状態での固溶Nb量
を0.2mass%以上で且つ結晶粒度番号3番〜7番,好ま
しくは4番〜6番の結晶粒度に調整することにより,優
れた高温特性を具備させることができる。
【0011】
【作用】図1は,13Crフエライト系ステンレス鋼の高
温強度特性に及ぼす固溶Nbの影響を把握するため,13
Cr-1.0Si-1.0Mn鋼を基本にして固溶Nb量を変えた場
合の700℃での高温引張試験の結果を示したものであ
る。固溶Nb量は実測値, つまり添加Nb量と定電位電解
によって抽出した析出物中のNb量との差である。
【0012】図1から明らかなように 700℃での0.2%
耐力は固溶Nb量の増加にともない急激に上昇し,0.2%
以上の固溶Nb量で100N/mm2以上となる。これは従来鋼
のSUH409Lの600℃での0.2%耐力に匹敵する。
【0013】図2は,13Crフエライト系ステンレス鋼
の高温疲労特性に及ぼすNbおよびSiの影響を把握する
ため,13Cr-1.0Mn鋼を基本にNbとSi量を粉化させ,
600℃の高温疲労試験を実施した結果を示す。高温疲労
試験は2.0mmtの板を用いてJIS Z 2275の平面曲げ疲れ試
験方法に準じて, 平均応力0N/mm2, 繰り返し速度 40
Hzの両振り曲げを 600℃で行った。図2において,丸枠
中の数字は該試験における107サイクルの時間強(N/mm2)
を示している。なお,丸枠の外に添えた数字は室温に
おける伸び (%) を示している。
【0014】図2の結果に見られるように,高温疲労特
性はNbとSiの添加によって向上する。とくにSiの作
用が大きく, 1.0%の添加でSUH409Lの約1.5倍の限界応
力を示す。この結果は,従来の13Crフエライト系ステ
ンレス鋼には見られなかった新しい知見である。
【0015】本発明鋼の600℃〜700℃の温度域における
0.2%耐力はSUH409Lの約1.4倍の値を示す。高温疲労特
性についても同様に考えると, 600℃での107サイクル時
間強さがSUH 409Lの1.4 倍の値となれば,本発明で目的
とする耐熱性を有することになる。すなわち,SUH 409L
の 600℃での107サイクル時間強さは約125N/mm2である
ことから,本発明の目的を達成するには180N/mm2以上が
必要であるが,図2に見られるように,これは, Nb+1.2Si≧1.4 ・・・(1) の関係を満足するようにNbとSiを添加すればよい。
【0016】一方,図2には加工性の指標として室温で
の伸び (%) を丸枠外の添字で示したが,SiおよびNb
を過剰に添加すると著しく伸びが低下することがわか
る。従来鋼のSUH409Lとほぼ同等の加工性を得るために
は少なくとも30%以上の伸びが必要であるが,これは図
2に示されるように, 2.0≧Nb+1.2Si ・・・(2) の関係を満足するようにNbとSi量を規制すればよい。
【0017】次に本発明鋼板の各成分の作用とその化学
成分値の含有範囲量を定めた理由の概要を個別に説明す
る。
【0018】CおよびN:CおよびNは一般的にはクリ
ープ強度およびクリープ破断強度などの高温強度に対し
ては最も有効な元素とされているが,その反面,含有量
が多くなると耐酸化性,加工性ならびに靭性が低下す
る。また図1に示したように,本発明が目的とする高温
強度を得るためには0.2%以上の固溶Nbが必要である
が,CおよびNを添加すると固溶Nbの量が低下するの
でNbの添加量も増加させる必要があり,経済性のある
鋼が製造できない。従って,本成分系においてはCおよ
びNは低い方が好ましくそれぞれ0.03%以下とする。
【0019】Si:Siは高温疲労特性に特に有効で,本
発明鋼の重要な元素である。図2で示したように,0.8
%以上添加することにより高温疲労特性を大きく改善す
る。また,高温酸化特性および高温塩害特性にも有効で
ある。しかしSiを過剰に添加すると硬さが上昇し,加
工性および靭性が低下することからSiの範囲は0.8%以
上1.20%以下とする。
【0020】Mn:Mnは高温酸化特性特に耐スケール剥
離性を改善する作用を供するが,過剰の添加は加工性お
よび溶接性が問題となる。十分な耐スケール剥離性を有
し,なおかつ加工性および溶接性に影響を及ぼさない範
囲としてMn量は0.60%以上1.50%以下とする。
【0021】S:Sは加工性および溶接性に対し有害で
あるので可能な限り低いことが望ましいが,低く押さえ
るほど製造コストの上昇を招く。本発明鋼板において
は, Sは0.006%まで許容しても充分な加工性および溶
接性を有するため,Sの範囲を0.006%以下とする。
【0022】Cr:Crはフエライト相を安定させるとと
もに,高温用材料で重要視される耐酸化性の改善に不可
欠な元素である。耐酸化性の面からはCrは高いほど好
ましいが, 過剰に添加すると鋼の脆化を招きまた硬さの
上昇によって加工性も劣化する。したがって,Crの範
囲は11.0%以上15.0%以下とする。
【0023】Nb:Nbは図1の高温引張結果に示したよ
うに高温強度を維持させるのに必要不可欠な元素であ
る。しかも強力な炭窒化物生成元素であるため,固溶強
化による著しい高温強度の上昇を図るためには,Cおよ
びNの低減化に加えて少なくとも0.2%以上のNbの添加
が必要である。しかし,Nbを過剰に添加すると溶接高
温割れ感受性が高くなる。十分な高温強度を維持しかつ
溶接高温割れ感受性にさほど影響を及ぼさない範囲とし
てNbは0.2%以上0.8%以下とする。
【0024】Al:製鋼工程において脱炭を行なう際に
酸素吹錬を行なうが,この時鋼中に残存した酸素は溶接
性に著しい悪影響を及ぼす。このため脱酸材としてAl
が必要不可欠な元素となる。しかし過剰な添加は逆に溶
接性の低下を招く。十分な脱酸を行なうことができかつ
溶接性に悪影響を及ぼさぬようAlの範囲は0.005%以上
0.05%以下とする。
【0025】以上のような各成分の規制に加えて, 本発
明の目的を達成するには図1で示したように固溶Nb量
を0.2%以上とする必要がある。これにより700℃での0.
2%耐力を100N/mm2以上とすることができる。固溶Nb量
は実測値が好ましいが, 炭化物以外のNb系析出物が固
溶する1000〜1100℃の焼鈍条件では固溶Nb量=Nb−8
(C+N)で表され得る。したがって,本発明において
は, 0.20%≦Nb−8(C+N) の関係を満足することが必要がある。
【0026】しかし,図1で示したように固溶Nb量の
増加にともなう高温強度の上昇は固溶Nb量約0.5%以上
で飽和することおよび前述のようにNbの過剰な添加は
加工性を低下させることから, 0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.50% の関係を満足するようにこれらの元素を含有させるのが
よい。
【0027】また,高温強度のうちクリープ特性などは
結晶粒径が大きいほど良好な特性を示すが,大きすぎる
と室温での加工性および粒界析出による高温脆化などが
懸念される。また,結晶粒径が小さいと加工性は良好で
あるが十分なクリープ特性が得られない可能性がある。
良好な加工性およびクリープ特性を得るためにには,JI
S G 0552に従う結晶粒度番号は3番〜7,好ましくは4
番〜6番とするのがよい。
【0028】さらに図2で説明したように,優れた高温
疲労特性を得るためにはNbおよびSiを適正量で添加す
れることが必要とされるが,加工性を考慮に入れると図
2からも明らかなように, 1.4≦Nb+1.2Si≦2.0 の関係を満足するようにこれらの元素を含有させるのが
よい。
【0029】本発明鋼板の製造にあたっては, 熱延後の
焼鈍において各種合金元素をなるべく多く固溶させるこ
とおよび結晶粒の粗大化を避けることが必要となる。し
たがって,熱延後の焼鈍温度の範囲は1000℃以上1100℃
以下とする。
【0030】焼鈍後の冷却速度は,焼鈍中に固溶した元
素が冷却中に多量に析出しないように焼鈍温度から600
℃までの間を2℃/sec以上とするのがよい。
【0031】焼鈍時間については,長時間焼鈍すると結
晶粒が粗大化すること,連続焼鈍を行なう際に焼鈍工程
に時間を要し生産性が低下することから,10分以下とす
るのが実際的である。
【0032】なお,本発明鋼板は熱延焼鈍後のままで優
れた耐熱性を有するが,熱延のみによって所望の板厚の
鋼板が製造できない場合は,冷延および上記と同等の焼
鈍を1回または複数回繰り返すことによって本発明鋼板
と同等の耐熱性を有する鋼板を得ることができる。
【0033】以下に本発明の実施例を挙げ,本発明の効
果を具体的に示す。
【0034】
【実施例】表1に供試材の化学成分値を示した。表中の
B01からB11は本発明鋼, B12からB16は比較鋼であ
る。いずれの鋼も真空溶解炉にて500kg溶製し,鍛造,
熱延により厚み3.0mmの熱延鋼帯とした。これを900℃〜
1100℃で焼鈍し,これを切断し鋼板とした。
【0035】表2は,表1の鋼の前記焼鈍時に表2に示
す焼鈍条件とした場合の結晶粒度番号,実測固溶Nb量
(添加Nb量−析出Nb量),A=Nb%−8×(C+
N), B=Nb%+1.2 Si%を示している。固溶Nb量
は添加Nb量と定電位電解により抽出した析出物中のNb
量との差から求めた。結晶粒度番号はJIS G 0552により
決定した。表2において,C01からC04は,表1の鋼B
02を用いて焼鈍条件を変化させたものである。
【0036】表2の各焼鈍板を用いて高温引張試験片お
よび高温疲労試験片に切削加工してこれらの試験に供
し,その結果を表3に示した。高温強度特性はJIS G 05
67に準拠した高温引張試験における0.2%耐力で評価し
た。高温疲労試験はJIS Z 2275に準拠した平面曲げ試験
において600℃で最大応力180N/mm2および200N/mm2, 平
均応力0 N/mm2を繰り返し速度40Hzの周波数で負荷した
ときの破損繰り返し数で評価した。表3には,加工性に
ついて引張試験および曲げ試験で評価した結果も併せて
示した。すなわち,各鋼について引張試験片および曲げ
試験片を作製し,JIS Z 2241の引張試験における伸びお
よびJIS Z 2248の曲げ試験の押曲げ法における曲げ角度
で加工性を評価した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】表3の結果に見られるように,本発明鋼板
はいずれも高温強度が非常に高いことがわかる。つまり
固溶Nb量が0.20%以上の鋼は,従来の13Crフエライト
系ステンレス鋼板では得ることのできなかった高温強度
特性を示し, 700℃の0.2%耐力で100N/mm2以上の強度値
が得られる。これは,ガスタービンの排ガスダクトおよ
び排気サイレンサ材に使用された従来のSUH409L鋼 (表
2のB12鋼に相当するもの) の約2倍の高温強度特性を
有している。
【0041】また高温疲労特性についてみると,本発明
鋼はすべて200N/mm2で105サイクル以上, 180N/mm2で107
サイクル以上の破損繰り返し数を示し, 優れた高温疲労
特性を示すことがわかる。
【0042】さらに加工性についてみると,本発明鋼板
はすべて室温で30%以上の伸びを示し, なおかつ密着ま
で曲げ加工が可能である。
【0043】これに対し, 比較鋼B12およびB13は, い
ずれもC+N, Nb,Siの含有量範囲が本発明で規定す
る範囲から外れているものであるが,これらは良好な加
工性は示すものの, 高温強度および高温疲労特性が本発
明鋼板よりも劣っており,本発明で意図する優れた耐熱
性を得ることができない。
【0044】また比較鋼B14〜B16のようにSiおよび
Nbを多量に添加した鋼は良好な耐熱性を示すものの,
加工性が本発明鋼板よりも著しく劣っており,本発明の
目的が達成できない。
【0045】さらに比較例のC01およびC03は,成分値
は本発明の範囲に含まれるものの,焼鈍時間や焼鈍上限
温度が適切でないために,加工性に劣る結果となってい
る。また,比較例C02およびC04は,冷却速度や焼鈍下
限温度が適切でないために適量の固溶Nb量が得られず,
0.2%耐力および高温疲労特性が劣る結果となってい
る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように,本発明のフエライ
ト系ステンレス鋼板は600℃以上特に700℃の高温強度お
よび高温疲労特性が他の13Crフエライト系ステンレス
鋼と比較して極めて高く, 加工性にも優れている。
【0047】したがって本発明のフエライト系ステンレ
ス鋼板は600℃以上の温度域で使用されかつ強度不足に
起因する破壊が問題となる排ガスダクト材に適するもの
であり,特に燃焼ガス温度が1300℃級のコンバインドサ
イクル型発電プラントの建設にさいし,ガスタービン出
側以降の排ガス経路部を構成する材料として従来材では
達成できなかった作用効果を奏するものであるから, 該
発電プラントの建設に対して信頼性のある排ガス経路部
材用として大きく貢献することができ,且つ経済性にも
優れている。
【0048】このため,高出力火力発電プラント建設分
野の技術的発展に寄与するところが極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】13Cr-1Mn-1Si系のフエライト系ステンレ
ス鋼において, 鋼中の固溶Nb量が700℃の短時間引張試
験の0.2%耐力に及ぼす影響を示す試験結果図である。
【図2】13Cr-1Mn系フエライト系ステンレス鋼にお
いて,鋼中のNb量とSi量が600℃の高温疲労試験にお
ける107サイクル破断強度 (図中の丸枠内の数値) 並び
に室温の引張試験における伸び (丸枠外の添え数字) に
及ぼす影響を示す試験結果図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥 学 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%において,C:0.03%以下,Si:
    0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,Cr:11.0%〜1
    5.0%,S:0.006%以下,Nb:0.20%〜0.80%,N:0.03
    %以下,Al:0.005%〜0.05%,O:0.012%以下,ただ
    し,上記の範囲において,0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.
    50%,1.4≦Nb+1.2Si≦2.0,の関係を満足するように
    これらの元素を含有し,残部がFeおよび製造上の不可
    避的不純物からなり,焼鈍状態での固溶Nb量が0.20%
    以上であり,JIS Z 2275に準じて行う 600℃での平面曲
    げ疲れ試験において繰り返し数107サイクルの時間強さ
    が180N/mm2以上であるガスタービンの排気ガスダクト用
    フエライト系ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】 質量%において,C:0.03%以下,Si:
    0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,S:0.006%以
    下,Cr:11.0%〜15.0%,Nb:0.20%〜0.80%,N:0.0
    3%以下,Al:0.005%〜0.05%,O:0.012%以下,を含
    有し,且つ次の5種の元素,Mo:3.0%以下,V:0.5%
    以下,Zr:2.0%以下,W:2.0%以下,B:0.01%以下,
    の一種または二種以上を含有したうえ,上記の範囲にお
    いて,0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.50%,1.4≦Nb+1.2
    Si≦2.0,の関係を満足するようにこれらの元素を含有
    し,残部がFeおよび製造上の不可避的不純物からな
    り,焼鈍状態での固溶Nb量が0.20%以上であり,JIS Z
    2275に準じて行う 600℃での平面曲げ疲れ試験におい
    て繰り返し数107サイクルの時間強さが180N/mm2以上で
    あるガスタービンの排気ガスダクト用フエライト系ステ
    ンレス鋼板。
  3. 【請求項3】 質量%において,C:0.03%以下,Si:
    0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%,S:0.006%以
    下,Cr:11.0%〜15.0%,Nb:0.20%〜0.80%,N:0.0
    3%以下,Al:0.005%〜0.05%,O:0.012%以下,を含
    有し,且つ次の5種の元素,Mo:3.0%以下,V:0.5%
    以下,Zr:2.0%以下,W:2.0%以下,B:0.01%以下,
    の一種または二種以上を含有し,さらに,YまたはRE
    M:0.1%以下,の一種または二種以上を含有したうえ,
    上記の範囲において,0.20%≦Nb−8(C+N)≦0.50
    %,1.4≦Nb+1.2Si≦2.0,の関係を満足するようにこ
    れらの元素を含有し,残部がFeおよび製造上の不可避
    的不純物からなり,焼鈍状態での固溶Nb量が0.20%以
    上であり,JIS Z 2275に準じて行う 600℃での平面曲げ
    疲れ試験において繰り返し数107サイクルの時間強さが1
    80N/mm2以上であるガスタービンの排気ガスダクト用フ
    エライト系ステンレス鋼板。
  4. 【請求項4】 排気ガスダクトは,コンバインドサイク
    ル発電プラントのガスタービン出側以降の排気ガスダク
    トである請求項1,2または3に記載のフエライト系ス
    テンレス鋼板。
  5. 【請求項5】 質量%において,C:0.03%以下, S
    i:0.80%〜1.20%,Mn:0.60%〜1.50%, S:0.006%
    以下, Cr:11.0%〜15.0%, Nb:0.20%〜0.80%,
    N:0.03%以下, Al:0.005%〜0.05%, O:0.012%
    以下を含み,場合によってはさらに,Mo:3.0%以下,
    V:0.5%以下, Zr:2.0%以下, W:2.0%以下, Yま
    たはREM:0.1%以下, B:0.01%以下の一種または二種
    以上を含有したうえ,前記の範囲において,0.20%≦N
    b−8(C+N)≦0.50%,1.4≦Nb+1.2Si≦2.0,の関係
    を満足するようにこれらの元素を含有し,残部がFeお
    よび製造上の不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延し,
    得られた熱延鋼板を1000℃以上1100℃以下の温度に10分
    以下加熱したあと 600℃まで2℃/sec以上の冷却速度で
    冷却することにより,鋼中の固溶Nb量が 0.2mass%以
    上で且つJIS G 0552に従う結晶粒度番号が3番〜7番の
    結晶粒度に調整することを特徴とするガスタービンの排
    気ガスダクト用フエライト系ステンレス鋼板の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 結晶粒度番号が4番〜6番である請求項
    5に記載のガスタービンの排気ガスダクト用フエライト
    系ステンレス鋼板の製造方法。
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