JPH06228714A - 耐酸化性に優れた低熱膨張超耐熱合金 - Google Patents

耐酸化性に優れた低熱膨張超耐熱合金

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JPH06228714A
JPH06228714A JP5018262A JP1826293A JPH06228714A JP H06228714 A JPH06228714 A JP H06228714A JP 5018262 A JP5018262 A JP 5018262A JP 1826293 A JP1826293 A JP 1826293A JP H06228714 A JPH06228714 A JP H06228714A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温の耐酸化性に優れ、常温から高温まで高
強度で、かつ低い熱膨張係数を有する超耐熱合金を提供
する。 【構成】 重量%にて、C0.2%以下、Si1%以
下、Mn2%以下、Cr4%を超え10%以下、Al1
%を超え2%以下、Ti0.3〜3%、NbおよびTa
の1種または2種をNb+1/2Taで1.5〜7%
で、Al、Ti、NbおよびTaの関係が3.44Al
/(3.44Al+1.94Ti+Nb+0.51T
a)で0.3〜0.6、さらにB0.02%以下とZr
0.1%以下の1種または2種を含み、Ni20%以上
30%未満、Co20〜35%を含有し、残部は不純物
を除き、実質的にFeからなる低熱膨張超耐熱合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温での耐酸化性と強
度に優れ、かつ低い熱膨張係数を必要とされる超耐熱合
金に関するもので、特に望ましい用途としてはガスター
ビンやセラミックスおよび超硬合金との複合材等の部品
として使用される合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ガスタービン部品の使用温度の上
昇に伴い、常温から高温までより高い強度と、各種の部
品や部材間に設けられたクリアランスを常温から高温ま
で一定量に維持できる材料の要求や、セラミックスや超
硬合金のような低熱膨張材料と金属材料との接合性の向
上に対する要求は、ますます高まる傾向にある。その用
途の一例が、自動車のタービンロータの軸部と翼部(通
常セラミックスである)を接合するターボカラーであ
る。他の使用例はガスタービンのコンプレッサーケー
ス、排気ケースおよびシール材等の部品や、セラミック
ス製の内筒と低熱膨張超耐熱合金製の外筒からなるアル
ミダイカスト用スリーブ、あるいは超硬合金と台金の緩
衝材として、低熱膨張超耐熱合金を用いた超硬合金製刃
物などがある。
【0003】これらの用途に適用可能な合金として、現
用最も高温強度と耐酸化性に優れる合金として、THERMO
-SPAN(公称組成:0.35Si-5.5Cr-24.5Ni-29Co-0.45Al-
0.85Ti-4.8Nb-0.004B-残部Fe)と称される合金が挙げら
れる。この合金は、PCT92/03584号および
“Development of a New Controlled Thermal Expansio
nSuperalloy with Improved Oxidation Resistance”;
E.A. Wanner and D. A. DeAntonio, Superalloys 1992
edited by S. D. Antolovich et al., TMS, (1992), pp
237-246にて詳細に述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のTHERMO-SPAN
は、確かに従来の低熱膨張超耐熱合金よりも、700〜
900℃の高温耐酸化性に優れているが、高温でのクリ
ープ破断強度が不十分であり、実用上、高温強度をより
必要とされる部品には適用できない。本発明の目的は、
700〜900℃程度までの高温の耐酸化性に優れ、常
温から高温まで高強度で、かつ低い熱膨張係数を有し、
特にガスタービンやセラミックスおよび超硬合金との複
合材等の部品に適した超耐熱合金を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、かかる問
題点を解決すべく、Fe−Co−Ni系合金を対象に実
験を行なった結果、高温クリープ破断強度の改善には、
析出強化相であるγ’(ガンマプライム)相をより安定
化させることが重要であることを見出した。γ’相はNi
3Alからなる金属間化合物で、Ti,Nb,Ta,C
r,Mo,Wなどの種々の強化元素が固溶した状態で存
在している。とくに、γ’相中でAl側に固溶して強化
する元素は、Ti,NbおよびTaである。このγ’相
の安定化は、Alも含め、これらAl,Ti,Nbおよ
びTaの4元素の添加量に占めるAlの割合を従来合金
よりもずっと高い範囲とすることで達成された。
【0006】添加4元素に占めるAlの量比は原子比で
記述され、Nbを基準とすると、3.44Al/(3.
44Al+1.94Ti+Nb+0.51Ta)で表わ
される。このAl量比を0.3〜0.6の範囲内とする
ことで、従来合金よりも高温域までγ’相を安定化させ
ることができ、より高い高温クリープラプチャー強度が
得られることをあきらかにした。参考までに、PCT9
2/03584号に開示される実施例中の合金のAl量
比はいずれも0.2以下で、本発明とはあきらかに異質
の発明である。
【0007】このようなγ’相中での高いAl量比は、
重量%では、従来の低熱膨張超耐熱合金よりもずっと高
い1%を超える添加量とすることで得ることができる。
それと同時に、高いAl量は、γ’相の析出量が増える
ことに繋がり、熱間加工性を害する方向に向かうので、
γ’相を固溶強化する効果の大きいTiやNb,Taの
最適な添加範囲も見出すことで加工性と強度を両立させ
ることができた。さらに熱膨張係数を下げる効果の大き
いNi,Coと耐酸化性は高めるが熱膨張係数を高める
作用の大きいCrの最適な添加範囲を見出すことで、低
熱膨張特性と高温耐酸化性の両立も図ることができた。
【0008】すなわち本発明は、重量%にて、C0.2
%以下、Si1%以下、Mn2%以下、Cr4%を超え
10%以下、Al1%を超え2%以下、Ti0.3〜3
%、NbおよびTaの1種または2種をNb+1/2T
aで1.5〜7%で、Al、Ti、NbおよびTaの関
係が3.44Al/(3.44Al+1.94Ti+N
b+0.51Ta)で0.3〜0.6、さらにB0.0
2%以下とZr0.1%以下の1種または2種を含み、
Ni20%以上30%未満、Co20〜35%を含有
し、残部は不純物を除き、実質的にFeからなることを
特徴とする低熱膨張超耐熱合金であり、必要に応じて、
MoおよびWの1種または2種をMo+1/2Wで3%
以下を添加することができ、さらにMg0.02%以下
とCa0.02%以下の1種または2種と、またはさら
にY0.2%以下とREM0.2%以下の1種または2
種を含むことができる。
【0009】
【作用】以下、本発明合金の成分限定理由について述べ
る。CはTiやNb,Taと結合して炭化物を形成し、
結晶粒の粗大化を防ぎ、強度の向上に寄与するが、0.
2%を越える過度の添加はTiやNb,Taの炭化物が
多くなりすぎて析出強化元素として作用するTiやN
b,Taを減少させるとともに、合金の熱膨張係数を増
大させるので、Cは0.2%以下とする。望ましいCの
範囲は0.1%以下である。
【0010】Siは脱酸剤としての効果のほかに、結晶
粒微細化と粒界形状を改善し粒界の強度を高めるLav
es相の析出を促進させるので必須の添加元素である。
Laves相はFe2(Nb,Ta)を基本組成とし、SiはN
b,Ta側に固溶して析出を促進させる。この粒界強化
の作用はSiを少量添加するところから効果が現れる。
しかし、1%を越える過度の添加は熱間加工性と高温強
度の低下を招くので、Siは1%以下に限定する。より
望ましいSiの範囲は0.1〜0.6%の範囲である。
Mnは、脱酸剤として添加されるので合金中に含まれる
が、過度の添加は合金の熱膨張係数を増加させるので好
ましくない。したがって、Mnは2%以下に限定する。
より望ましくは1%以下である。
【0011】Crは、本発明において、高温加熱時にC
23の酸化皮膜を形成し、耐酸化性を改善させる。そ
のためにCrは最低4%を超える添加を必要とするが、
10%を超える過度の添加は、逆に、キュリー点を下げ
て、熱膨張係数を増加させてしまうために、マトリック
スを構成するFeとCoおよびNiの比をいかに調整し
ても、十分な低熱膨張特性が得られなくなる。したがっ
て、Crは4%を超え10%以下の範囲に限定する。望
ましいCrの範囲は4.5〜7%、より望ましいCrの
範囲は4.8〜6.5%である。
【0012】Alは本発明合金において高温クリープ破
断強度を高めるのに最も有効な元素である。Alは、時
効処理によって、(Ni,Co)3(Al,Ti,Nb,Ta)からなる組成
の直径数10nm程度の微細なγ’相を析出し、高温長時間
のクリープ破断強度を著しく向上させる。γ’相中のA
lの濃度が低下すると、700〜800℃程度の高温
で、γ’相が不安定となり、六方晶のη相や斜方晶のδ
相が析出するようになり、クリープ破断強度は著しく低
下するようになる。したがって、安定なγ’相を析出さ
せるために、Alは、以下に述べるAl単独での成分規
定の他に、γ’相中でAl側を構成するAl,Ti,N
bおよびTaの4元素の添加量に占めるAlの割合を従
来合金よりもずっと高い範囲とすることが必要である。
添加4元素に占めるAlの量比は原子比で記述され、N
bを基準とすると、3.44Al/(3.44Al+
1.94Ti+Nb+0.51Ta)で表わされる。
【0013】このAl量比が0.3よりも小さくなると
高温応力負荷状態で、γ相が不安定となり、十分なクリ
ープ強度が得られなくなる。一方、このAl量比が0.
6を超えると、γ’相が安定にはなるが、十分に固溶強
化されていないため、十分にクリープ抵抗を高めること
ができず、かえってクリープ強度が低下するようにな
る。したがって、従来合金よりも高温域までγ’相を安
定化させて、より高い高温クリープラプチャー強度を得
るためには、3.44Al/(3.44Al+1.94
Ti+Nb+0.51Ta)が0.3〜0.6の範囲内
であることが必要である。より、好適な範囲は0.35
〜0.55である。
【0014】このようなγ’相中での高いAl量比を得
るために、Alは最低1%を超える添加を必要とする
が、2%を超える過度の添加はγ’相を多量に析出さ
せ、熱間加工性を低下させるので、Alは1%を超え2
%以下に限定する。低熱膨張超耐熱合金の範疇におい
て、このようなγ’相中での高いAl量比と単独での高
いAlの添加量に、高温クリープ破断強度を最も高める
組成が存在することを見出したことは、本発明の最も特
徴とするところであり、従来合金には見られない新規の
発明と言える。
【0015】前述したようにTiとNb,Taは、まず
Cと結合して炭化物を形成し、残りのTiとNb,Ta
が下記に説明するようにAlとともにNi、Co等と結
合し、γ’相を形成して合金を強化する。Tiは時効処
理によって、Ni、Co、Al、Nb,Taと共にγ’
相を析出し、高温引張強度を著しく向上させる。そのた
めに必要なTi量は最低0.3%であるが、3%を越え
る過度の添加はγ’相を不安定にするとともに、熱膨張
係数の増加や熱間加工性の低下を招くので、Tiは0.
3〜3%に限定する。より望ましいTiの添加は0.9
〜1.8%である。
【0016】NbとTaはTiと同様に、時効処理によ
ってNi、Co、Alとともにγ’相を析出し、熱間強
度を著しく向上させる。さらに一部のNbとTaは直径
数μm程度のLaves相を粒界および粒内に析出さ
せ、結晶粒の微細化を可能にすると共に、粒界の強度を
高める作用を持ち、クリープ破断強度度を著しく向上さ
せる作用を持つ。またNbとTaは、同族の元素で、比
重、価格の点では、Nbの方が有利であるが、強度上は
原子比で同様の効果をもつ。したがって、NbとTa
は、Nb+1/2Taで1.5〜7%の添加とする。よ
り望ましいNbとTaの添加範囲はNb+1/2Taで
2.8〜4.5%である。
【0017】BとZrは、1種または2種の添加で、結
晶粒界に偏析して粒界強度を高め、熱間加工性とクリー
プ破断強度の向上に寄与する。その効果は極く微量の添
加から現れるが、両者の多量の添加は逆に合金の初期溶
融温度を低下させ、熱間加工性を害するので、Bの場合
は0.02%以下に、Zrの場合は0.1%以下に限定
する。
【0018】NiはCo,Feとともにマトリックスを
構成し、FeとCoおよびNiの比は合金の熱膨張係数
と金属間化合物の析出形態に著しく影響を及ぼす。本発
明合金は、従来合金の中でも最も高いレベルの高温強度
を付与するために、TiやNbさらにはAlなどの析出強
化元素を多く含んでいるが、従来合金にないFe、Co、
Niの割合を見出して高い高温引張強度と低熱膨張係数
の両立が可能となった。さらに、本発明合金のFeとC
oとNiの量とその割合においては、微細球状のLav
es相の析出量が多く、粒界強化に役立ち、高温のクリ
ープ破断強度強度を高める効果を持つ。
【0019】また、Niは、γ’相の構成元素でもあ
り、γ’相が十分に析出するためには、析出したあとも
基地が安定なオーステナイト相となりうるだけの十分な
Ni量が必要である。そのために必要なNi量は20%
以上である。逆に30%以上のNiは熱膨張係数を増加
させ、Laves相の析出量を減少させるので、結晶粒
の微細化や粒界強化が困難となり、本発明の目的が達成
できなくなる。したがって、Niは20%以上30%未
満であることが重要である。望ましいNiの範囲は24
%以上30%未満であり、さらに望ましくは28〜2
9.8%である。
【0020】CoもNiと同様Feとともにマトリック
スを構成し、熱膨張係数の低下とLaves相の析出に
役立つ。さらに一部のCoはγ’相中で、Ni側に固溶
する。そのためにCoは20%以上の添加を必要とす
る。逆に35%を越えるCoの添加は熱膨張係数の増加
と、過度のLaves相析出にともなう高温強度の低下
をまねくので、Coは20〜35%の範囲とする。望ま
しいCoの範囲は24〜32%であり、より望ましくは
24〜26%である。 MoとWは、本発明合金におい
て必須の添加元素ではないが、両者のうちの1種または
2種を添加することで、マトリックスを強化することが
でき、高温の強度をより高めることができる。しかし、
両者はともに合金の熱膨張係数を高めるので過度の添加
は好ましくない。また、両者は同属の元素であり、比重
の面からはMoが、耐酸化性においてはWが有利である
が、強度面において両者の効果は原子比で表わされる。
よって、本発明においてMoやWを添加する場合には、
Mo+1/2Wで3%以下の添加とする。この範囲内で
あれば、本発明合金の熱膨張特性、耐酸化性、比重を特
に害することなく製造ができる。
【0021】さらに、選択添加元素として、MgとCa
の1種または2種を添加することは、それぞれ単独およ
び複合で、脱酸・脱硫効果を高めるとともに、合金の熱
間加工性と高温延性を高める効果をもつ。そのために、
Mgは0.02%以下、Caは0.02%以下の範囲で
添加できる。また、Yと希土類金属(REM)の1種ま
たは2種はそれぞれ単独および複合でCr2O3の密着性
改善に寄与するため、選択元素として添加できる。Yと
REMの耐酸化性改善の効果はともにごく少量の添加か
ら現れるが、過度の添加はYまたはREMとNi,F
e,Coの金属間化合物を晶出し、その共晶温度が合金
の熱間加工温度よりも低くなるために、合金の熱間加工
性を低下させる。したがって、Yは0.2%以下、RE
Mは0.2%以下の添加とする。
【0022】上述の添加合金元素の他に下記の合金元素
は、以下に示す範囲で含有するならば特性上とくに問題
とはならないが、いずれも極力低い方が望ましい。 V≦1% Cu≦1% Re≦1% Hf≦0.2% P≦0.01% S≦0.005% O≦0.005% N≦0.005% 以上述べた元素の他は、残部Feで構成される。また、
本発明合金の溶製は、真空溶解で製造されることが望ま
しい。インゴット重量が200〜300kg以下の場合
は、真空の1回溶解のみでも良好な特性が得られるが、
それより大きな重量のインゴットを製造する場合は、エ
レクトロスラグ再溶解や真空アーク再溶解等の組織改善
効果の高い再溶解によるインゴットの製造がより望まし
い。
【0023】このようなインゴットは通常の超耐熱合金
と同様の熱間加工プロセスによって高温成形が可能であ
る。さらに必要に応じて冷間の成形を加えて目的とする
製品形状に仕上げることができる。固溶化処理は、La
ves相が残存あるいは析出するとともにγ’相が十分
に固溶する範囲で行なう。固溶化処理に先立つ熱間加工
が、固溶化処理を代用できる場合は固溶化処理を省略し
てもよい。固溶化処理の好ましい温度範囲は850〜1
100℃の範囲である。時効処理は、γ’相が基地と十
分整合に数10nm程度の微細析出粒子として析出する
温度で実施する。時効処理の望ましい温度範囲は600
〜850℃である。
【0024】
【実施例】表1に本発明合金、比較合金および従来合金
の化学組成、ならびにγ’相中でのAl側を構成するA
l,Ti,NbおよびTaの4元素の添加量に占めるA
lの割合を表わした式である3.44Al/(3.44
Al+1.94Ti+Nb+0.51Ta)の値を示
す。本発明合金、比較合金および従来合金は、真空誘導
溶解炉にて溶解し、10kgのインゴットとした後、1
180℃×20h保持の均質化処理を施し、その後加熱
温度1100℃で鍛伸して、30mm角の試料とした。
その後、従来合金No.31を除く他の合金はすべて9
82℃×1h保持後空冷する固溶化処理を、No.31
は1093℃×1h保持後空冷する固溶化処理を実施し
た。
【0025】
【表1】
【0026】従来合金No.31はTHERMO-SPANであ
り、この合金の固溶化処理温度は前述の文献に従い、他
の合金より高い1093℃で実施した。時効処理は、す
べて720℃×8h保持後、55℃/hの冷却速度で6
20℃まで冷却し、引続き8h保持後空冷の熱処理を実
施した。表2に本発明合金、比較合金および従来合金の
常温および700℃の引張強さ、700℃−50kgf/mm
2におけるクリープ破断特性、30℃から700℃まで
の平均熱膨張係数、および大気中における900℃×1
6h×5回後の酸化減量値を示す。
【0027】引張試験は常温、700℃ともASTM法
に規定された試験方法に基づき、平行部直径6.35m
m、標点間距離25.4mmのA370の縮小引張試験片
で実施した。また、クリープ破断試験は、平滑−切欠の
複合試験片により切欠強度も含めた特性を評価した。こ
の試験もASTM法に規定された試験方法に基づき、平
滑部、切欠部とも直径4.52mm、平滑部の標点間距離
18.08mmのA453の9号試験片を用いた。試験温
度は700℃で応力は50kgf/mm2で試験を行ない、破
断寿命と伸びを測定した。熱膨張係数の測定は示差熱膨
張測定装置により実施した。耐酸化試験は、直径10m
m、長さ20mmの丸棒試験片を用いて抵抗加熱炉によ
り、大気中雰囲気にて、900℃×16h×5回後、酸
化減量値を測定することにより耐酸化性を評価した。
【0028】
【表2】
【0029】表1および表2より本発明合金No.1〜
9はいずれも優れた常温および700℃の引張強さを有
している。また、700℃の平滑−切欠複合クリープ破
断試験において、いずれも平滑部での破断で、切欠強度
が平滑部の強度を上回っていた。破断寿命はいずれも1
00時間以上で、比較合金No.21や従来合金No.
31に比べ、あきらかに高い寿命が得られた。また、図
1にクリープ破断寿命とγ’相中でのAl側を構成する
Al,Ti,NbおよびTaの4元素の添加量に占める
Alの割合を表わした式である3.44Al/(3.4
4Al+1.94Ti+Nb+0.51Ta)の関係を
示すが、本発明合金がもつ高いγ’相中でのAl量比は
あきらかにクリープ破断強度に有効に働いていることが
わかる。さらに、常温から700℃までの平均熱膨張係
数において、本発明合金は11.9〜13.2×10マ
イナス6乗/℃の値を示し、従来合金No.31と同等
の低い熱膨張係数を併せ持つことがわかる。また、90
0℃の耐酸化性も従来合金No.31と同等以上で、実
用上まったく問題のないレベルである。
【0030】一方、比較合金No.21は、本発明合金
よりもAlが低い組成である。No.21の場合、γ’
相の組成が本発明合金に対して、Al量に対するNbと
Tiの量が相対的に高い組成となっている。そのために
γ’相が本発明合金よりも固溶強化され、常温や700
℃の短時間引張強さなどでは、むしろ高強度が得られ
る。しかし、No.21のようにγ’相を過度に固溶強
化すると、γ’相が不安定となり、実際の使用において
もっとも重要となるクリープ破断強度が本発明合金より
もあきらかに低下するようになる。この結果より、本発
明における従来の低熱膨張超耐熱合金にない高いAl量
の添加の有効性というものがあきらかである。また、従
来合金No.31は、比較合金No.21よりもさらに
Al量が低く、クリープ破断強度は本発明合金はもとよ
り、比較合金No.21よりも劣っている。また、常温
および700℃の引張強さも本発明合金よりも劣ってい
る。
【0031】
【発明の効果】本発明の合金をガスタービン部品、セラ
ミックス接合部品および超硬合金接合部品等の用途に使
用すれば、従来合金では得られなかった高い高温強度、
高い高温耐酸化性ならびに低熱膨張特性を同時に満足す
ることができ、常温から高温まで高強度かつ各種の部材
や部品間に設けられたクリアランスを常温から高温まで
一定量に維持することが必要な構造用材料への長時間の
適応が可能となる。また、セラミックスや超硬合金のよ
うな低熱膨張材料と構造用の材料との接合に際し高強度
で信頼性の高い接合が長時間にわたり得られる。さら
に、これらの用途以外の部品への適用に際しても、発明
合金が有する強度、耐酸化性および熱膨張特性の特色を
いかした部品ならば、いずれも良好な特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金、比較合金および従来合金のクリー
プ破断寿命に及ぼすγ’相中でのAl量比の影響につい
て示した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にて、C0.2%以下、Si1%
    以下、Mn2%以下、Cr4%を超え10%以下、Al
    1%を超え2%以下、Ti0.3〜3%、NbおよびT
    aの1種または2種をNb+1/2Taで1.5〜7%
    で、Al、Ti、NbおよびTaの関係が3.44Al
    /(3.44Al+1.94Ti+Nb+0.51T
    a)で0.3〜0.6、さらにB0.02%以下とZr
    0.1%以下の1種または2種を含み、Ni20%以上
    30%未満、Co20〜35%を含有し、残部は不純物
    を除き、実質的にFeからなることを特徴とする低熱膨
    張超耐熱合金。
  2. 【請求項2】 重量%にて、C0.1%以下、Si0.
    1〜0.6%、Mn1%以下、Cr4.5〜7%、Al
    1.05〜1.8%、Ti0.9〜1.8%、Nbおよ
    びTaの1種または2種をNb+1/2Taで2.8〜
    4.5%で、Al、Ti、NbおよびTaの関係が3.
    44Al/(3.44Al+1.94Ti+Nb+0.
    51Ta)で0.3〜0.6、さらにB0.02%以下
    とZr0.1%以下の1種または2種を含み、Ni24
    %以上30%未満、Co24〜32%を含有し、残部は
    不純物を除き、実質的にFeからなることを特徴とする
    低熱膨張超耐熱合金。
  3. 【請求項3】 重量%にて、C0.1%以下、Si0.
    1〜0.6%、Mn1%以下、Cr4.8〜6.5%、
    Al1.05〜1.8%、Ti0.9〜1.8%、Nb
    およびTaの1種または2種をNb+1/2Taで2.
    8〜4.5%で、Al、Ti、NbおよびTaの関係が
    3.44Al/(3.44Al+1.94Ti+Nb+
    0.51Ta)で0.35〜0.55、さらにB0.0
    2%以下とZr0.1%以下の1種または2種を含み、
    Ni28〜29.8%、Co24〜26%を含有し、残
    部は不純物を除き、実質的にFeからなることを特徴と
    する低熱膨張超耐熱合金。
  4. 【請求項4】 重量%にて、C0.2%以下、Si1%
    以下、Mn2%以下、Cr4%を超え10%以下、Mo
    およびWの1種または2種をMo+1/2Wで3%以
    下、Al1%を超え2%以下、Ti0.3〜3%、Nb
    およびTaの1種または2種をNb+1/2Taで1.
    5〜7%で、Al、Ti、NbおよびTaの関係が3.
    44Al/(3.44Al+1.94Ti+Nb+0.
    51Ta)で0.3〜0.6、さらにB0.02%以下
    とZr0.1%以下の1種または2種を含み、Ni20
    %以上30%未満、Co20〜35%を含有し、残部は
    不純物を除き、実質的にFeからなることを特徴とする
    低熱膨張超耐熱合金。
  5. 【請求項5】 重量%で、Mg0.02%以下とCa
    0.02%以下の1種または2種と、またはさらにY
    0.2%以下とREM0.2%以下の1種または2種を
    含むことを特徴とする請求項1〜4に記載の低熱膨張超
    耐熱合金。
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