JPH06228630A - 脱ガス槽流通孔解体装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人手による解体作業をなくし、作業時間の短
縮を図る。 【構成】 支持台上に旋回自在に設けられた旋回フレー
ムと、旋回フレームに昇降自在に係合する昇降フレーム
と、昇降フレーム上端にスライド自在に係合するブラケ
ットと、ブラケットに傾動自在に係合する傾動フレーム
と、傾動フレームにスライド自在に係合するスライドフ
レームと、スライドフレームに固着されたエアブレーカ
と、前記各フレーム、ブラケット及びエアブレーカを駆
動制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は転炉またはアーク炉で作
られた溶鋼を再精錬する際に使用されるＲＨ脱ガス槽、
ＤＨ脱ガス槽等の流通孔の解体装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、水素、酸素、非金属介在物等不
純物の少ない高級鋼の製造や低炭素ステンレス鋼をより
経済的に製造するものとして、ＲＨ脱ガス槽、ＤＨ脱ガ
ス槽等が用いられている。この脱ガス槽は転炉またはア
ーク炉で作られた溶鋼を再精錬する場合に使用されるも
ので、例えばＤＨ脱ガス槽は転炉またはアーク炉から出
鋼された溶鋼を取鍋に受け、これを脱ガス槽の下に運ん
で溶鋼中に脱ガス槽の吸い上げ管を深く浸漬し、槽内を
真空にするとほぼ大気圧に相当する高さだけ溶鋼が槽内
に吸い上げられて脱ガスされ、次いで脱ガス槽を真空の
ままで吸い上げ管の浸漬が浅くなる状態にまで上昇させ
て槽内の溶鋼を取鍋内に戻し、取鍋内の溶鋼と混合す
る。これを周期的に繰り返すことによって取鍋内の溶鋼
は脱ガスされる。

【０００３】また、ＲＨ脱ガス槽は、脱ガス槽に吸い上
げ用と排出用の２本の脚（浸漬管）があり、この脚を取
鍋内の溶鋼に浸漬して槽内を真空にし、一方の脚（上昇
管）からアルゴンまたは窒素等のガスを吹き込むと、溶
鋼は槽内に流入し脱ガスされ、脱ガスされた溶鋼は他方
の脚（下降管）から排出されて取鍋内に戻り、これを続
けることで脱ガスされるものである。

【０００４】図９、図１０はＲＨ脱ガス槽を示すもの
で、ＲＨ脱ガス槽１は通常天蓋、上部槽、下部槽、浸漬
管より構成され、これらの内張りライニングの寿命はそ
れぞれ異なっっている。下部槽１ａには方式により還流
孔２が２個設けられ、還流孔部分のライニング３は下部
槽１ａの全体のライニング４に較べて寿命が短いため、
還流孔部分のライニングは操業途中補修するようにして
いる。その補修方法は図１０に示すようにライニングの
損傷部分５の変質した残存ライニング６を解解体除去
し、新たにライニングするものである。この解体作業
は、従来エアブレレーカを用いて人手で行っていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、還流孔部分
の補修は操業途中に行うため解体部分は赤熱状態にあ
り、その部分をエアブレーカで人手で解体するため高温
での過酷な作業となり、また解体屑が落下したり飛散す
るため、危険作業となり、さらに作業が過酷で危険なた
めに解体時間も長くなってしまうという問題があった。

【０００６】本発明は上記課題を解決するためのもの
で、人手による作業をなくし、作業時間の短縮を図るこ
とができる脱ガス槽流通孔解体装置を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の脱ガス槽流通孔
解体装置は、支持台上に旋回自在に設けられた旋回フレ
ームと、旋回フレームに昇降自在に係合する昇降フレー
ムと、昇降フレーム上端にスライド自在に係合するブラ
ケットと、ブラケットに傾動自在に係合する傾動フレー
ムと、傾動フレームにスライド自在に係合するスライド
フレームと、スライドフレームに固着されたエアブレー
カと、前記各フレーム、ブラケット及びエアブレーカを
駆動制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とす
る。また、本発明は、前記支持台はＸＹ方向に移動可能
なＸＹテーブルからなることを特徴とする。また、本発
明は、さらに解体屑を２方向に集合させる集合シュート
及び集合シュートからの解体屑を収納する屑バッグを備
えたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明は従来の人手作業での過酷で危険な作業
を解消し、解体時間を短縮すると共に、安定した解体を
可能にするもので、ＸＹ方向に移動するテーブル上に旋
回自在に旋回フレームを設け、旋回フレームに昇降自在
に昇降フレームを、昇降フレームの上にスライド自在に
ブラケットを、ブラケットに傾動自在に傾動フレーム
を、傾動フレームにスライド自在にスライドフレーム
を、スライドフレームにエアブレーカをそれぞれ取り付
け、傾動フレームに取り付けられたテレビカメラおよび
制御盤に設けられたモニタテレビにより解体部位を観察
しながらペンダントスイッチにより装置を遠隔操作し、
ライニングを解体する。解体屑はＸＹテーブルに取り付
けた集合シュートにより屑バッグに回収される。

【０００９】

【実施例】本発明は特殊精錬設備、例えばＤＨ脱ガス
槽、ＲＨ脱ガス槽等に適用可能であるが、以下において
はＲＨ脱ガス槽を例にとって説明する。図１は本発明の
解体装置の１実施例を示す図、図２は本発明の解体装置
の使用状態を示す図である。図中、１はＲＨ脱ガス槽、
Ａは解体装置、１１は補修台車、１１ａはテーブル、１
２はＸＹテーブル、１３は旋回フレーム、１４は昇降フ
レーム、１５はブラケット、１６は傾動フレーム、１７
はスライドフレーム、１９はエアブレーカ、２０はテレ
ビカメラ、２１は制御盤、２２はモニタテレビ、２３は
ペダントスイッチである。

【００１０】本発明の解体装置Ａは、図２に示すように
既存設備である補修台車１１のテーブル１１ａ上に載せ
てＲＨ脱ガス槽１の下部槽１ａの下を走行するようにし
て使用し、テーブル１１ａを昇降させて下部槽１ａの還
流孔２の孔壁を解体するために使用される。

【００１１】解体装置Ａは、図１に示すようにＸＹテー
ブル１２上に旋回フレーム１３が旋回自在に係合し、旋
回フレーム１３には昇降フレーム１４が昇降自在に係合
して昇降フレーム１４の上端にはスライド自在のブラケ
ット１５が係合し、ブラケット１５には傾動フレーム１
６が傾動自在に係合し、傾動フレーム１６の先端にはス
ライド自在にスライドフレーム１７が係合してスライド
フレーム１７にエアブレーカ１９が固着された構造とな
っている。

【００１２】傾動フレーム１６には解体部位観察用テレ
ビカメラ２０がステー２０ａを介して取り付けられてい
る。ＸＹテーブル１２は、図５に示すようにテーブル１
２ａ、中枠１２ｂ、外枠１２ｃから構成され、テーブル
１２ａは側面に固着された回転自在な車輪１２ｄが中枠
１２ｂに設けられたガイド溝１２ｅに沿って走行し、テ
ーブル１２ａがＹ方向に移動できるようになっている。
中枠１２ｂは側面に固着された車輪１２ｆが外枠１２ｃ
に設けられたガイド溝１２ｇに沿って走行し、テーブル
１２ａとともに中枠１２ｂがＸ方向に移動する。

【００１３】テーブル１２ａをＸＹ方向に移動する機構
は、Ｙ方向については、中枠１２ｂに雌ネジ１２ｈを固
着し、雌メジ１２ｈに雄ネジ１２ｉをねじ込み、雄ネジ
１２ｉの先端をテーブル１２ａに回動自在に係合し、雄
ネジ１２ｉに固着したハンドル１２ｊを回転させてＹ方
向に移動させるようになっている。Ｘ方向への移動もＹ
方向と同様であり、外枠１２ｃに雌ネジ１２ｋを取り付
け、雄ネジ１２ｌを中枠１２ｂに回動自在に係合し、雄
ネジ１２ｌに固着したハンドル１２ｍを回転させること
により行う。なお、テーブル１２ａの移動はこのような
機構に限らず、油圧シリンダ、電動シリンダ等を使用す
ることも可能である。

【００１４】図１で示す旋回フレーム１３は、旋回軸１
３ａがテーブル１２ａの中央に回動自在に係合し、旋回
軸１３ａの上端にケース１３ｂが固着され、ケース１３
ｂに固着された歯車１３ｃをテーブル１２ａ側に取り付
けた油圧モータ１３ｄにより回転駆動される。

【００１５】昇降フレーム１４は内筒１４ａがケース１
３ｂに取り付けられたガイドローラ１３ｅにより昇降自
在に係合し、ガイドローラ１３ｅは、図４に示すように
受け金１３ｆにピン１３ｇにより回動自在に係合し、受
け金１３ｆはケース１３ｂに固着されている。内筒１４
ａの上端にはヘッド金物１４ｂが固着され、内筒１４ａ
内に取り付けた油圧シリンダ１４ｃにより昇降するよう
になっている。油圧シリンダ１４ｃはシリンダ側が旋回
フレーム１３の旋回軸１３ａ側にピン１４ｄにより係止
され、他方ロッド側は昇降フレーム１４のヘッド金物１
４ｂ側にピン１４ｅにより係止されている。

【００１６】昇降フレーム１４のヘッド金物１４ｂには
ブラケット１５がスライド自在に係合し、ブラケット１
５には、図８に示すように、回動自在な車輪１５ａが固
着され、ヘッド金物１４ｂに設けられた溝１４ｆ内を移
動可能に係合し、ヘッド金物１４ｂに取り付けられた油
圧シリンダ１５ｂによりブラケット１５はスライドす
る。スライド可能なブラケット１５には傾動フレーム１
６がピン１６ａにより傾動自在に係止され、ブラケット
１５に取り付けられた油圧シリンダ１６ｂにより傾動す
る。

【００１７】傾動フレーム１６にはスライドフレーム１
７がスライド自在に係合されている。スライドフレーム
１７は、図３に示すようにスライドフレーム１７の両側
に固着された回転自在な車輪１７ａが傾動フレーム１６
に設けられた溝１６ｃ内を移動可能であり、傾動フレー
ム１６に取り付けられた油圧シリンダ１７ｂのロッド側
をスライドフレーム１７に係合し、スライドフレーム１
７をスライドさせるようになっている。このスライドフ
レーム１７にはエアブレーカ１９が着脱自在に固着さ
れ、エアブレーカ１９の先端のチゼル１９ａにより還流
孔のライニング損傷部分を解体する。

【００１８】また、傾動フレーム１６には解体部位観察
用テレビカメラ２０がステー２０ａを介して取り付けら
れ、装置の運転は制御盤２１に組み込まれたモニタテレ
ビ２２を見ながらペンダイトスイッチ２３により遠隔操
作する。また、装置各部の油圧シリンダはＸＹテーブル
１２上に搭載された油圧ユニット２４により駆動される
ようになっており、エーブレーカ１９で解体されたライ
ニング屑はエアブレーカ１９が旋回しながら還流孔２の
内周を解体するため全周に飛散するが、図６、図７に示
すようにＸＹテーブル１２上に集合シュート２５ａ，２
５ｂを取り付け、屑バッグ２６ａ，２６ｂに回収する。

【００１９】次に作業方法について説明する。始めに解
体装置Ａを天井クレーン（図示せず）等を用い、補修台
車１１上に載置し固定した後、補修台車１１を走行さ
せ、解体装置Ａを解体する還流孔２の直下へ移動し、補
修台車１１のテーブル１１ａを上昇させて解体装置Ａの
チゼル１９ａの先端を還流孔２に接近させる。次いでＸ
Ｙテーブル１２をハンドル１２ｊ、１２ｍを操作してＸ
Ｙ方向に移動し、旋回フレーム１３の旋回中心を還流孔
２の中心に合わせ、油圧シリンダ１４ｃおよび油圧シリ
ンダ１５ｂによりブラケット１５を上昇およびスライド
させ、エアブレーカ１９のチゼル１９ａを解体位置へ合
わせる。

【００２０】エアブレーカ１９は解体部位に対し、油圧
シリンダ１６ｂにより理想的な角度に合わせた後、エア
ブレーカ１９を作動させながら油圧シリンダ１７ｂで前
後進させてライニングを解体し、旋回フレーム１３を順
次回転させて全内周を解体し、終わると昇降フレーム１
４を油圧シリンダ１４ｃで所定量だけ上昇させ、さらに
上部を同様に解体し、この作業を繰り返して上部までラ
イニングを解体していく。

【００２１】ライニングの解体屑は集合シュート２５
ａ，２５ｂにより２方向に集合し、シュートの先端に設
けた屑バッグに回収する。装置の操作は解体部位をモニ
タテレビ２２で観察しながら、ペンダントスイッチ２３
で遠隔操作するが、予め装置の解体動作を設定してお
き、装置をスタート位置に手動で合わせた後、始動させ
ることにより自動的に解体作業を行わせることも可能で
ある。

【００２２】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、解体作業
が遠隔操作でできるようになり、従来のような人手作業
での暑熱作業、危険作業が解消され、作業が連続してで
きるため、作業時間を半分以下に短縮でき、また解体し
た跡も従来の人手解体に較べ全体に均一に行うことがで
き、その後の補修作業を容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の解体装置の１実施例を示す図であ
る。

【図２】 本発明の解体装置の使用状態を示す図であ
る。

【図３】 スライドフレームのスライド機構を説明する
図である。

【図４】 昇降フレームの昇降機構を説明する図であ
る。

【図５】 ＸＹテーブルの移動機構を説明する図であ
る。

【図６】 解体屑の集合機構を説明する図である。

【図７】 解体屑の集合機構を説明する平面図である。

【図８】 ブラケットの移動機構を説明する図である。

【図９】 ＲＨ脱ガス槽を示す図である。

【図１０】 ＲＨ脱ガス槽を示す図である。

【符号の説明】

１…ＲＨ脱ガス槽、Ａ…解体装置、１１…補修台車、１
１ａ…テーブル、１２…ＸＹテーブル、１３…旋回フレ
ーム、１４…昇降フレーム、１５…ブラケット、１６…
傾動フレーム、１７…スライドフレーム、１９…エアブ
レーカ、２０…テレビカメラ、２１…制御盤、２２…モ
ニタテレビ、２３…ペダントスイッチ、２４…油圧ユニ
ット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持台上に旋回自在に設けられた旋回フ
   レームと、旋回フレームに昇降自在に係合する昇降フレ
   ームと、昇降フレーム上端にスライド自在に係合するブ
   ラケットと、ブラケットに傾動自在に係合する傾動フレ
   ームと、傾動フレームにスライド自在に係合するスライ
   ドフレームと、スライドフレームに固着されたエアブレ
   ーカと、前記各フレーム、ブラケット及びエアブレーカ
   を駆動制御する駆動制御手段とを備えた脱ガス槽流通孔
   解体装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の装置において、前記支持
   台はＸＹ方向に移動可能なＸＹテーブルからなることを
   特徴とする脱ガス槽流通孔解体装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の装置において、
   さらに解体屑を２方向に集合させる集合シュート及び集
   合シュートからの解体屑を収納する屑バッグを備えたこ
   とを特徴とする脱ガス槽流通孔解体装置。