JPH06228012A - リポソーム製剤 - Google Patents

リポソーム製剤

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JPH06228012A
JPH06228012A JP1311993A JP1311993A JPH06228012A JP H06228012 A JPH06228012 A JP H06228012A JP 1311993 A JP1311993 A JP 1311993A JP 1311993 A JP1311993 A JP 1311993A JP H06228012 A JPH06228012 A JP H06228012A
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JP
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liposome preparation
liposome
drug
fatty acid
acid residue
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JP1311993A
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Motoharu Iwazuru
素治 岩鶴
Kazuo Maruyama
一雄 丸山
Hitoshi Yamauchi
仁史 山内
Hiroshi Kikuchi
寛 菊池
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Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Daiichi Pharmaceutical Co Ltd
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • A61K9/1271Non-conventional liposomes, e.g. PEGylated liposomes, liposomes coated with polymers

Abstract

(57)【要約】 【目的】 細網内皮系組織に捕捉されにくいリポソー
ム製剤を提供する。 【構成】 ポリグリセリンリン脂質誘導体を含有する
リポソーム製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリポソーム製剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リポソーム製剤に代表される微粒子性薬
物キャリヤーを静脈内に投与すると、肝臓、脾臓などの
細網内皮系組織(以下RESと略する)に捕捉されやす
いことが知られている。このことは、薬物を封入した上
記製剤を全身投与してRES以外の臓器へ積極的に送達
するターゲティング型製剤、あるいは長時間にわたって
血液中に滞留させ薬物の放出をコントロールする徐放型
製剤等として利用するのに大きな障害となる。
【0003】従来から、上記製剤が微少循環性を有する
ような工夫はなされてきている。例えば、リポソーム製
剤の脂質二分子膜の物理化学的性質が比較的容易に変え
やすいことを利用して、サイズを小さくして血中濃度を
高く維持させる例(バイオキミカ・エト・バイオフィジ
カ・アクタ、 761巻、 142頁、1983年)、相転移温度の
高いレシチンを利用する例(バイオケミカル・ファーマ
コロジー、32巻、3381頁、1983年)、レシチンの代わり
にスフィンゴミエリンを用いる例(バイオケミカル・フ
ァーマコロジー、32巻 3381頁、1983年)、膜成分とし
てコレステロールを添加する例(バイオキミカ・エト・
バイオフィジカ・アクタ、 761巻、 142頁、1983年)な
どがある。
【0004】更に近年リポソーム膜表面を糖脂質、糖タ
ンパク質、アミノ酸脂質あるいはポリエチレングリコー
ル脂質などで修飾し、微小循環性を付与するとともにR
ESを回避する研究が行われている。例えば、グリコフ
ォリン(日本薬学会第 106年会講演要旨集、 336頁、19
86年、千葉)、ガングリオシドGM1 (FEBSレタ
ー、 223巻、42頁、1987年)、ホスファチジルイノシト
ール(FEBSレター、223巻、42頁、1987年)、グリ
コフォリンとガングリオシドGM3 (特開昭63-221837
号、1988年)、ポリエチレングリコール誘導体(FEB
Sレター、 268巻、 235頁、1990年)、グルクロン酸誘
導体(ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブ
レタン、38巻、1663頁、1990年)、グルタミン酸誘導体
(バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ、1108
巻、 257頁、1992年)などがその修飾物質として報告さ
れている。ポリグリセリンリン脂質誘導体を静脈注射用
脂肪乳剤の製造において乳化剤として用いる発明がある
(特開平 4-356417 号公報)が、リポソームへの利用に
ついての報告はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの修飾物質でリ
ポソームを修飾した報告に関しては、そのリポソームを
静脈内投与した場合でも、その効率および再現性の面、
また修飾物質の量産化の面を考えると、必ずしもその目
的が充分に達成されてない。さらに、ポリエチレングリ
コール誘導体については、モノクローナル抗体と共にこ
れでリポソーム膜表面を修飾した場合、ポリエチレング
リコールがリポソーム表面を覆うことにより抗体の細胞
認識能を阻害する報告(バイオキミカ・エト・バイオフ
ィジカ・アクタ、1062巻、 142頁、1991年)があり、ポ
リエチレングリコール誘導体をターゲティング型製剤へ
応用するには難点があると言わざるを得ない。
【0006】本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意
検討した結果、本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はポリグリセリン
リン脂質誘導体またはその塩を含有するリポソーム製剤
に関する。更に詳しくは、本発明は式(1)で示される
ポリグリセリンリン脂質誘導体またはその塩を含有する
リポソーム製剤に関する。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1およびR2はそれぞれが水素原子
または炭素数12乃至30の飽和脂肪酸残基もしくは不飽和
脂肪酸残基を意味し、少なくとも一方は脂肪酸残基であ
る。nは 2〜20の整数を意味する。Xは水素原子または
ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を意味す
る。)
【0010】本化合物の代表的な製造方法としては、酵
素を利用したリン脂質の塩基交換反応において、ホスフ
ァチジルコリンにホスホリパーゼDを作用させて目的と
する塩基を持つリン脂質を製造する方法がある(ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、232 巻、
477頁、1967年;バイオケミカル・ジャーナル、102
巻、 205頁、1967年)。
【0011】R1およびR2で示される脂肪酸残基すなわち
アシル基としては、ドデカノイル、トリデカノイル、テ
トラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイ
ル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノ
イル、エイコサノイル、ヘニコサノイル、ドコサノイ
ル、トリコサノイル、テトラコサノイル、ヘキサコサノ
イル、トリアコンタノイル、4-ドデセノイル、9-ヘキサ
デセノイル、9-オクタデセノイル、11- エイコセノイ
ル、13- ドコセノイル、15- テトラコセノイル、9,12-
オクタデカジエノイル、11,14-エイコサジエノイル、9,
12,15-オクタデカトリエノイル、11,14,17- エイコサト
リエノイル、4,8,12,16-エイコサテトラエノイル、4,8,
12,15,19- ドコサペンタノイエル、2-デカニルヘキサデ
カノイル、2-テトラデシルヘキサデカノイル、2-テトラ
デシルヘキサデセノイル、2-テトラデセニルヘキサデカ
ノイル等の直鎖もしくは分枝状の飽和脂肪酸由来及び不
飽和脂肪酸由来のものがあげられる。
【0012】ポリグリセリンリン脂質誘導体を製造法に
より式(1)においてn の数が数種類の物が混ざったも
のとして得られることがあるが、更に精製することなく
そのまま使用しても良い。
【0013】次に本発明のポリグリセリンリン脂質誘導
体を含有するリポソーム製剤の製造法を説明する。
【0014】レシチン、スフィンゴミエリン及びジアシ
ルホスファチジルエタノールアミン等のリン脂質、糖脂
質並びにジアルキル型合成界面活性剤等の膜形成物質を
用いて公知の方法(アニュアル・レビュー・オブ・バイ
オフィジックス・アンド・バイオエンジニアリング、9
巻、 467頁、1980年)に従いリポソーム製剤の水分散液
を調製する。
【0015】かかるリポソーム製剤の水分散液は、膜安
定化剤としてコレステロール、コレスタノール等のステ
ロール類を、荷電物質としてジアルキルホスフェート、
ジアシルホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホ
スファチジルグリセロール、ステアリルアミン等を、ま
た酸化防止剤としてトコフェロール等を含んでいても良
い。
【0016】上述の膜形成物質、膜安定化剤、荷電物質
および酸化防止剤は脂質成分と総称することがある。
【0017】ポリグリセリンリン脂質誘導体は、上記の
脂質成分と共に有機溶媒中に溶解した後、公知の方法に
従いリポソーム製剤の水分散液を調製しても良いし、あ
らかじめ調製したリポソーム製剤の水分散液にポリグリ
セリンリン脂質誘導体の粉末または水溶液を加え一定時
間放置、好ましくは膜の相転移温度以上に加温し、次い
で放冷することにより目的とするポリグリセリンリン脂
質誘導体を含有するリポソーム製剤を製造することがで
きる。
【0018】本発明のリポソーム製剤が、生体内で微小
循環性を有し、肝臓、脾臓などの細網内皮系組織に捕捉
されにくく、血中で薬物濃度を高く維持するためには、
通常その製造工程においてポリグリセリンリン脂質誘導
体の他の全脂質成分に対する割合を約0.1 〜20モル比、
好ましくは 1〜10モル比にすることが望ましい。
【0019】本発明のリポソーム製剤が保持しうる薬物
としては特に制限はないが、水溶性薬物および脂溶性薬
物をあげることができる。中でも体内での代謝が速い薬
物、尿中排泄が速い薬物など体内で有効に薬効を発現し
にくいものが適当と考えられる。
【0020】具体例としては、インターフェロン、イン
ターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、上皮成長因子
(EGF)、神経成長因子(NGF)、肝細胞増殖因子
(HGF)、心房性利尿ペプチド(ANP)、エリスロ
ポエチン、インシュリン、ネオカルチノスタチン等の生
理活性物質、プロスタグランジン、ステロイドなどのホ
ルモン類、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、ド
キソルビシン、アクラルビシン、4-O-テトラハイドロピ
ラニルアドリアマイシン、4-エピアドリアマイシン、4-
デメトキシダウノマイシン、マイトマイシンC、ブレオ
マイシン、メトトレキサート、カンプトテシンおよびそ
の誘導体などの制癌剤、アンピシリン、アモキシシリ
ン、セファレキシン、セファクロル、ゲンタマイシン、
シソマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ア
ミカシン、アムホテリシンB、ベンジルペニシリン、ピ
ペラシリン、セファロリジン、セファロチン、セファゾ
リン、セファマンドール、セフォタキシム、セフォキシ
チン、セフメタゾール、セフォテタン等の抗生物質、ス
ルフィソミジン、スルファジメトキシン、スルファモノ
メトキシン、イソニアジド、ナリジクス酸、オフロキサ
シン、ノルフロキサシン、エノキサシン、レボフロキサ
シン等の化学療法剤、イオヘキソール、イオジキサノー
ル、インドシアニングリーン、イオタラム酸ナトリウム
等の造影剤、トラネキサム酸、グルタチオン、アスピリ
ン、プロブコール、マロチラート、チミペロン、ハロペ
リドール、ブクラデシンナトリウム、塩酸プロカインア
ミド、ビタミン類等の一般薬剤あるいはヘパリン、コン
ドロイチン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、デキ
ストラン硫酸、ヒアルロン酸等の多糖類等が適当な薬物
としてあげられる。
【0021】本発明のリポソーム製剤において、ポリグ
リセリンリン脂質誘導体はリポソーム製剤に疎水性相互
作用を介して強固に組み込まれており、またモノマーと
して遊離するのはほとんどないことをゲル濾過法にて確
認した。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例及び試験例により説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0023】使用したポリグリセリンリン脂質誘導体は
ジパルミトイルホスファチジルポリグリセリン(DPP
PG、炭素数16、飽和)であり式(1)においてR1およ
びR2が共にヘキサデカノイル基であって、n の数によっ
て次の様に略号で表す。
【0024】DPPPG−2 :n =2 DPPPG−4 :n =4 DPPPG−6 :n =6 DPPPG−8 :n =8 DPPPG−10:n =10
【0025】実施例1〜実施例5:リポソーム製剤の調
製 ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)33.6
mg、コレステロール16.4mgおよびポリグリセリンリン脂
質誘導体1.94mgをガラス製容器にとり、一旦エーテルー
メタノール混液で完全に溶解させた後、これに生理食塩
水3mlを加え、超音波発振器にて乳化後、減圧下で有機
溶媒を留去した。次に、ボルテックスミキサーにて撹拌
後、リポソーム粗分散液を得た。更にこのリポソーム粗
分散液を孔径0.4 μのポリカーボネートメンブランフィ
ルターを1枚、0.2 μのポリカーボネートメンブランフ
ィルターを2枚、計3枚重ねたものを用いて、高圧下で
押し出し濾過を10回繰り返して行いポリグリセリンリン
脂質誘導体を含有するリポソーム製剤を得た。対照例1
としてポリグリセリンリン脂質誘導体を含有しないリポ
ソーム製剤を同様に製した。
【0026】試験例1:粒度分布測定 実施例1〜5および対照例1で得たリポソーム製剤の粒
子径を、準弾性光散乱法(ダイナミック光散乱計 DEL-7
00、大塚電子社製)により求めた。得られた数平均粒子
径(nm±標準偏差)は次の通りである。
【0027】 対照例1 92.9±31 実施例1(DPPPG−2) 102.9±29 実施例2(DPPPG−4) 121.9±29 実施例3(DPPPG−6) 122.4±29 実施例4(DPPPG−8) 97.8±30 実施例5(DPPPG−10) 115.9±29 すなわち、ポリグリセリン誘導体を含有したリポソーム
製剤も、これを含有しないリポソーム製剤も同様に、サ
イズが100nm 前後と均一なリポソーム製剤であった。
【0028】実施例6〜実施例8 標識体として125I- チラミニルイヌリンを用いたリポソ
ーム製剤の調製 ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)33.6
mg、コレステロール16.4mgおよびポリグリセリンリン脂
質誘導体1.94mgをガラス製容器にとり、一旦エーテルー
メタノール混液で完全に溶解させた後、これに125I- チ
ラミニルイヌリンを含有する生理食塩水3mlを加え、超
音波発振器にて乳化後、減圧下で有機溶媒を留去した。
次に、ボルテックスミキサーにて撹拌後、リポソーム粗
分散液を得た。このリポソーム粗分散液を凍結融解5回
繰り返した後、孔径0.4 μのポリカーボネートメンブラ
ンフィルターを1枚、0.2 μのポリカーボネートメンブ
ランフィルターを2枚、合計3枚重ねて用いて、高圧下
で押し出し濾過を10回繰り返した。リポソームに保持さ
れなかった125I- チラミニルイヌリンはゲル濾過クロマ
トグラフィ(バイオゲルA 1.5m、バイオゲル社製)によ
って除去し、125I-で標識されたリポソーム製剤を得
た。対照例2としてポリグリセリンリン脂質誘導体を含
有しないリポソーム製剤を同様に製した。各実施例で使
用したポリグリセリンリン脂質誘導体は次の通りであ
る。
【0029】実施例6:DPPPG−2 実施例7:DPPPG−4 実施例8:DPPPG−6
【0030】試験例2:体内動態実験 実施例6〜8および対照例2のリポソーム製剤を、それ
ぞれ ddY系雄性マウス(体重30〜35g 、3匹/群)の尾
静脈に、脂質(ジステアロイルホスファチジルコリンお
よびコレステロールの合計)として0.5mg を投与した。
3時間後麻酔下採血を行い、肝臓および脾臓を取りそれ
ぞれ重量を測定した。次いでアロカ250ガンマカウンタ
ーで放射活性を測定し、投与全放射活性に対する各臓器
の放射活性を百分率(%) で表した。なお血中からの回収
率(%) はマウスの全血液量を体重の7.3 % として換算し
て計算した。
【0031】結果を表1および図1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】本発明のポリグリセリンリン脂質誘導体を
用いて調製したリポソーム製剤は、血中濃度が高く維持
された。また肝臓、脾臓への分布が抑制された。 実施例9〜実施例13:67Ga- 標識リポソーム製剤の調
製 標識体として67Ga- デフロキサミンを使用する他は実施
例6〜8と同様にしてリポソーム製剤を得た。対照例3
としてポリグリセリンリン脂質誘導体を含有しないリポ
ソーム製剤を同様にして製した。各実施例で使用したポ
リグリセリンリン脂質誘導体は次の通りである。
【0034】対照例3: ナシ 実施例9:DPPPG−2 実施例10:DPPPG−4 実施例11:DPPPG−6 実施例12:DPPPG−8
【0035】試験例3:体内動態実験 実施例9〜12および対照例3で得たリポソーム製剤の体
内動態を、実施例6〜8と同様にして測定した。結果を
表2および図2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】本発明のリポソーム製剤は、血中濃度が高
く維持された。また肝臓、脾臓への分布が抑制された。
【0038】試験例4:ビオチンーホスファチジルエタ
ノールアミンを含有するリポソーム製剤によるアビチン
の凝集実験 ビオチンとアビチンは容易に結合することが知られてい
る。リポソーム膜上にビオチンを露出させておけば、ア
ビチンを加えた時にその結合を阻害するものが無ければ
ビオチンとアビチンが結合する結果リポソームが凝集し
て濁度が増加することが知られている。
【0039】このとき凝集が起こらないのであれば、ビ
オチンとアビチンの結合が阻害されていることであり、
リポソームの膜表面を、膜成分として特定の臓器に指向
性を生じさせる物質で修飾した場合に標的臓器に指向性
を生じさせにくいことを示す。
【0040】a)ビオチンーホスファチジルエタノール
アミンを含有するリポソーム製剤の調製 既知の方法(バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・ア
クタ、 550巻、 464頁、1979年)により、ビオチンーホ
スファチジルエタノールアミンを合成した。このものの
0.2 mgとジステアロイルホスファチジルコリン(DSP
C)3.36mg、コレステロール1.64mgおよびポリグリセリ
ンリン脂質誘導体0.194 mgをガラス製容器にとり、一旦
エーテルーメタノール溶液で完全に溶解させたのち、こ
れにリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)0.3 mlを加え、
超音波発振器にて乳化後、減圧下で有機溶媒を留去し
た。次に、ボルテックスミキサーにて撹拌後、リポソー
ム粗分散液を得た。このリポソーム粗分散液を凍結融解
5回繰り返した後、孔径 0.4μのポリカーボネートメン
ブランフィルターを1枚、0.2 μのポリカーボネートメ
ンブランフィルターを2枚、合計3枚重ねて用い、高圧
下で押し出し濾過を10回繰り返して行った。リポソーム
に保持されなかったビオチンーホスファチジルエタノー
ルアミンはゲル濾過クロマトグラフィ(バイオゲルA 1.
5m、バイオゲル社製)によって除去し、ビオチンーホス
ファチジルエタノールアミンを含むリポソーム製剤を得
た。
【0041】なお、対照例4はポリグリセリンリン脂質
誘導体を用いないリポソーム製剤であり、対照例5およ
び対照例6として、ポリグリセリンリン脂質誘導体に代
えてポリエチレングリコールリン脂質誘導体PEG 1K(ポ
リエチレングリコールの分子量として約1000、リン脂質
としてはホスファチジルエタノールアミン)またはPEG
2K(ポリエチレングリコールの分子量として約2000、リ
ン脂質としてはホスファチジルエタノールアミン)を用
いたリポソーム製剤を製した(FEBSレター、 268
巻、 235頁、1990年参照)。各実施例で使用したポリグ
リセリンリン脂質誘導体またはポリエチレングリコール
リン脂質誘導体は次の通りである。
【0042】実施例13:DPPPG−2 実施例14:DPPPG−4 実施例15:DPPPG−6 対照例4:ナシ 対照例5:PEG 1K 対照例6:PEG 2K
【0043】b)濁度測定 実施例13〜実施例15および対照例4〜対照例6のリポソ
ーム製剤0.1 mlに、PBS 0.65 mlを加え充分混合した
後、PBSに溶解したストレプトアビチン(1mg/ml)
を0.01ml添加し、波長440nm における濁度を分光光度計
で経時的に測定した。結果を図3に示した。
【0044】この結果から、対照例5、実施例13、14お
よび15のリポソーム製剤の濁度は経時的に増大したが、
対照例6および7のリポソーム製剤の濁度はほとんど増
加しなかったことが認められる。とりわけ実施例13(D
PPPG−2)および実施例14(DPPPG−4)で
は、対照例4とほぼ同等の濁度の増加を示した。また実
施例15(DPPPG−6)においても実施例13や14ほど
濁度の増加は認められなかったものの、対照例5および
6に比べると約2倍の濁度の増加が認められた。
【0045】すなわち、ポリグリセリンリン脂質誘導体
を含有した本発明のリポソーム製剤は、ポリグリセリン
リン脂質誘導体を含有しない対照例4のリポソーム製剤
に匹敵する濁度を示した、すなわちアビチンとビオチン
の結合が阻害されてない。これより、RESを回避しつ
つ特定の臓器への標的化できることが示唆された。
【0046】ポリエチレングリコール誘導体を含有した
リポソーム製剤では、リポソーム膜表面上に露出したポ
リエチレングリコール基がアビチンとビオチンの結合を
阻害し、その結果リポソーム製剤は凝集せず濁度は増加
しないことが知られている(バイオキミカ・エト・バイ
オフィジカ・アクタ、1062巻、 142頁 1991 年)。対照
例5および対照例6についての試験結果からもこれが確
かめられ、標的臓器に指向性を与えるのが困難であるこ
とを示している。
【0047】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明に係わるリポソーム製剤は、血中滞留性がよく、かつ
RESに取り込まれにくいという優れた特性を有してい
る。また、再現性よく安価に大量生産することができ、
実用上多くの利点をもたらすものといえる。また、RE
S以外の臓器に指向性を生じさせる物質、例えば、糖脂
質、糖タンパク質、モノクローナル抗体、LDL、アミ
ノ酸脂質などを用いるリポソーム製剤では、血中滞留性
を維持しながらRES以外の臓器指向性を持たせること
が困難であった。ところが、ポリグリセリンリン脂質誘
導体を用いる本発明のリポソーム製剤では、RES以外
の臓器に指向性を生じさせる物質を同時に用いてリポソ
ーム製剤を製造しても、血中滞留性を維持しながら標的
指向性を付与することが期待でき、本発明は極めて有用
なリポソーム製剤を提供するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリポソーム製剤の体内分布である。
【図2】 本発明のリポソーム製剤の体内分布である。
【図3】 濁度の経時変化図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリグリセリンリン脂質誘導体またはその
    塩を含有することを特徴とするリポソーム製剤
  2. 【請求項2】ポリグリセリンリン脂質誘導体が式(1) 【化1】 で示される化合物またはその塩である請求項1記載のリ
    ポソーム製剤(式中、R1およびR2はそれぞれが水素原子
    または炭素数12乃至30の飽和脂肪酸残基もしくは不飽和
    脂肪酸残基を意味し、少なくとも一方は脂肪酸残基であ
    る。nは 2〜20の整数を意味する。Xは水素原子または
    ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を意味す
    る。)
JP1311993A 1993-01-29 1993-01-29 リポソーム製剤 Pending JPH06228012A (ja)

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