JPH0622648Y2 - 重量物の移動用支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、重量物の移動を容易にするための移動用支持
構造に関する。このような重量物としては、間仕切家
具，カウンタ，テーブル，収納家具，立設型自動販売
機，装飾用設置物等が挙げられる。

従来の技術及びその問題点 上記のような重量物は、一旦設置された後は移動に困難
を伴う場合が多く、従って通常は、下端にキャスタが配
設される。しかし、キャスタだけで重量物の荷重を受け
るため、設置状態が不安定となり、またキャスタに荷重
が集中するため、長期間の設置により設置面を変形さ
せ、設置時の安定性や美観の点から、キャスタ等の移動
用部材を常時使用して設置することが望まれない場合が
多い。更に、重量物に取り付けられるキャスタは、一般
に重量物下面の縁から外へ出ないように設けられるの
で、該重量物が、例えば細幅のものである場合に設置部
の幅が狭くなり、転倒し易いという問題があった。

本考案の目的は、上記問題点を解決し、常時は重量物の
下端面による安定的な設置を可能にし、必要に応じて移
動用部材が該重量物から下方へ突出されて移動を容易に
することができ、しかもこの際、重量物の転倒を防止し
得る重量物の移動用支持構造を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本考案の上記目的は、下部において両側方に開いた空所
を有する重量物の該空所内に上下動可能に収容され前記
両側方に向け水平に延びる可動ガイド部と、前記重量物
に固定的に設けられたガイド部材を有し前記可動ガイド
部を鉛直方向に案内する固定ガイド部と、前記可動ガイ
ド部を前記固定ガイド部による案内下に上下動させる駆
動部と、前記可動ガイド部の長手方向に対向する位置で
該可動ガイド部に支持され相互の接近離反方向へ摺動案
内される２つの移動用部材支持部と、該各支持部の先端
部から下方に突設された移動用部材と、前記２つの支持
部を相互に接近する方向に付勢する弾性部材と、前記可
動ガイド部の下降時において前記支持部を相互に離反す
る方向へ移動させるカム機構とを備えた重量物の移動用
支持構造であって、前記カム機構は、前記重量物の下端
及び支持部のうちの一方において該各支持部に対応して
設けられたテーパ付板カムと、前記重量物及び支持部の
うちの他方に支持されて前記可動ガイド部の下降時に前
記板カムと協働し、前記板カムの傾斜したカム面に基づ
き前記支持部の各々を前記弾性部材の付勢力に抗し相互
に離反する方向へ移動させるカムフォロワとを備えてお
り、前記各支持部及び移動用部材は、前記可動ガイド部
の上昇位置において前記重量物内に収容され、該可動ガ
イド部の最下降位置において前記固定ガイド部の両側か
ら突出すると共に、前記移動用部材が前記重量物より下
方へ突出するようにされていることを特徴とする重量物
の移動用支持構造により達成される。

実施例 以下、本考案を、間仕切家具に適用した場合を例にとっ
て添付図面を参照しつつ説明する。この間仕切家具は、
上部に収容部（一部のみ示す）（Ｄ）を、下部に枠体
（Ａ）を有し、該枠体（Ａ）上の収容部（Ｄ）が上下動
するものである。なお、本実施例において、収容部
（Ｄ）の底板を（Ｂ）で示し、間仕切家具の開口方向を
左右方向と、奥行方向を前後方向と記す。

第１Ａ図及び第１Ｂ図は、本考案の１実施例にかかる重
量物の移動用支持構造を示す。該移動用支持構造（１）
は、前後左右に開いた空所（Ｃ）を有する枠体（Ａ）を
備える間仕切家具に対し、該間仕切家具の左右両側の各
々に独立して設けられたものである。以下、一方の移動
用支持構造（１）について詳細に説明する。

この移動用支持構造（１）は、空所（Ｃ）内に上下動可
能に収容され前後方向に向け水平に延びる可動ガイド部
（２）と、枠体（Ａ）に固定的に設けられたガイドブッ
シュ（８）を有し可動ガイド部（２）を鉛直方向に案内
する固定ガイド部（１０）と、可動ガイド部（２）を固
定ガイド部（１０）による案内下に上下動させる駆動部
（４）と、可動ガイド部（２）の長手方向に対向する位
置で該可動ガイド部（２）に支持され相互の接近離反方
向へ摺動案内される２つの移動用部材支持部（３）とを
備えている。

駆動部（４）は、水平方向に延びる可動ガイド部（２）
に対しねじ孔が直交するように可動ガイド部（２）の中
央部に取り付けられたボールねじ用ナット（４１）と、
該ナット（４１）に螺合するように立設されたねじ付ロ
ッド（４２）と、該ねじ付ロッド（４２）を正逆回転さ
せるための駆動装置（４３）とを備えており、ねじ付ロ
ッド（４２）の正逆回転に基づき、可動ガイド部（２）
が上下動するようになっている。可動ガイド部（２）は
固定ガイド部（１０）により上下に案内されるようにな
っており、該固定ガイド部（１０）は、枠体（Ａ）の上
端に取り付けられたガイドブッシュ（８）と、該ガイド
ブッシュ（８）に嵌入され上端が収容部底板（Ｂ）に結
合されるように可動ガイド部（２）の両端部から立設さ
れたガイド棒（７）とを備えている。このガイド棒
（７）とガイドブッシュ（８）との協働により、ねじ付
ロッド（４２）の回動に基づく可動ガイド部（２）の回
転が防止されて上下に平行に移動されるようになってお
り、収容部底板（Ｂ）は、可動ガイド部（２）の上下動
に基づき昇降するようになっている。

駆動装置（４３）は、枠体（Ａ）の左右両側の下端中央
部に固定されてねじ付ロッド（４２）の下端と連結され
たウォームギア式減速機（４４）と、枠体（Ａ）の下部
において左右両側へ延び各端部が減速機（４４）の入力
軸に連結された駆動軸（４５）と、枠体（Ａ）の中央下
部に取り付けられ伝動装置（４７）を介して駆動軸（４
５）を回動させる電動機（４６）とを備えている。伝動
装置（４７）としては、電動機（４６）の駆動力を駆動
軸（４５）に確実に伝達し得るタイミングベルト（４７
１）及びタイミングベルト用プーリ（４７２）を採用す
ることができる。

上記移動用部材支持部（３）の各々には、その前後端下
面から下方に向けキャスタ（５）が取り付けられてい
る。また、両支持部（３）間には、引張りコイルばね
（６）が張設されており、これら支持部（３）を可動ガ
イド部（２）の中央部に向け前後方向に付勢している。

更に、本考案移動用支持構造は、可動ガイド部（２）の
下降時に支持部（３）の各々を相互に離反する方向へ移
動させるカム機構（９）を備えている。カム機構（９）
は、各支持部（３）の左右両側壁に取り付けられて水平
軸まわりに回動し得るカムフォロワ（９２）と、枠体
（Ａ）の下端から立設され各カムフロワ（９２）と協働
するカム面（９１ａ）を有するテーパ付板カム（９１）
とを備えている。各板カム（９１）のカム面（９１ａ）
は、可動ガイド部（２）の下降時において、各カムフォ
ロワ（９２）を相互に離反する方向へ押しやるように傾
斜している。従って、支持部（３）の各々は、板カム
（９１）とカムフォロワ（９２）との協働に基づき、上
記の引張りコイルばね（６）の付勢力に抗して相互に離
反する方向へ押しやられ、その移動距離は、板カム（９
１）のカム面（９１ａ）上を転動するカムフォロワ（９
２）の水平離反方向への移動距離に対応する。

上記のように構成された移動用支持構造の作用を説明す
る。

第１Ａ図及び第１Ｂ図は、間仕切家具を所定の位置に設
置した状態を示す。この場合、収容部底板（Ｂ）を支え
る可動ガイド部（２）は最も上昇した位置にあり、該可
動ガイド部（２）に支持された移動用部材支持部（３）
は、第３図に示すように、コイルばね（６）の付勢に基
づき可動ガイド部（２）の中間位置において相互に対向
し、最も接近した位置をとる。これにより、第１Ａ図に
実線で示すように、支持部（３）及び該支持部（３）に
取り付けられたキャスタ（５）は、枠体（Ａ）内に収容
された状態をとり、歩行の妨げにならない。間仕切家具
は、枠体（Ａ）の下端面が設置面（Ｇ）に接した通常の
設置状態に安定的に保たれる。

この間仕切家具を移動させる場合、駆動装置（４３）を
作動させてねじ付ロッド（４２）を回転させ、可動ガイ
ド部（２）及び収容部底板（Ｂ）を下降させる。可動ガ
イド部（２）に支持された各支持部（３）のカムフォロ
ワ（９２）は、第１Ａ図及び第１Ｂ図に二点鎖線で示す
ように、可動ガイド部（２）の下降途中において、テー
パ付板カム（９１）のカム面（９１ａ）に当接し、該カ
ム面（９１ａ）上を転動しつつ上記水平離反方向へ押し
やられる。従って、カムフォロワ（９２）と一体にされ
た支持部（３）の各々は、引張りコイルばね（６）の付
勢力に抗して相互に離反する方向へ押しやられる。

ねじ付ロッド（４２）を更に回転させ、第２Ａ図及び第
２Ｂ図に示すように、可動ガイド部（２）を最下降位置
に移行させることにより、間仕切家具を移動させ得る状
態とすることができる。即ち、可動ガイド部（２）に支
持された移動用部材支持部（３）は、第４図に示すよう
に、カム機構（９）の作用に基づき、可動ガイド部
（２）に沿って最も離反した位置をとり、枠体（Ａ）の
前後方向に設けられた開口から突出した状態とされる。
各支持部（３）の下面から突設されたキャスタ（５）
は、設置面（Ｇ）を押圧し、該押圧力に対する反力によ
り、間仕切家具が持ち上げられる。これにより、キャス
タ（５）は、枠体（Ａ）下面より下方へ突出した状態と
なり、間仕切家具は、小さな力で容易に移動され得るこ
ととなる。しかも、各支持部（３）は、カム機構（９）
の作用に基づき枠体（Ａ）から張り出し、これに伴って
キャスタ（５）が、枠体（Ａ）から前後方向へ張り出し
た状態とされるため、間仕切家具移動時における安定度
が向上され、転倒するということが防止される。また、
本実施例移動用支持構造を有する間仕切家具は、目的に
応じた高さとして使用でき、また高さを変化させること
により部屋の雰囲気を一変できる。更にまた、上記間仕
切家具の移動時において収容部底板（Ｂ）が可動ガイド
部（２）と共に下降しているため、その体積が嵩張ら
ず、しかも天井が低い通路においても容易に移動され得
るという利点も有する。

間仕切家具を所望の設置位置へ移動した後は、再び駆動
部（４）を作動させて可動ガイド部（２）を上昇させれ
ばよい。これにより、間仕切家具は下降し、上記した設
置状態に保たれる。

このように、本実施例の移動用支持構造は、可動ガイド
部（２）の上下動という簡便な操作で、間仕切家具の如
き重量物を設置状態から移動状態に、或いは該移動状態
から設置状態に移行させることができる。

なお、上記実施例においては、移動用支持構造を重量物
枠体の左右両端部に各々独立して取り付けていたが、例
えば枠体の左右両端に亘って延びる可動ガイド部及び移
動用部材支持部を備えた１つの移動用支持構造を取り付
けてもよい。

また、上記実施例においては、電動機の駆動に基づくね
じ付ロッドの回動に基づき可動ガイド部を上下動させて
いたが、これに代えて、ピストンロッドの出入に基づき
可動ガイド部を上下動させる流体圧シリンダを用いても
よく、ラック及びピニオンの噛合に基づき可動ガイド部
を上下動させてもよい。更に、人手により回転式ハンド
ルを回動させて、可動ガイド部を上下動させてもよい。

更にまた、上記実施例においては、移動用部材としてキ
ャスタを用いたが、この他底面が、フッ素樹脂コーティ
ング面、或いは平滑な金属面などとされた滑り部材等を
適宜採用できる。

本考案は、上記した間仕切家具の例と同様にして、装飾
用設置物，テーブル等の種々の重量物にも適用できる。

また、本考案にかかる移動用支持構造は、重量物とは別
個に組み立てられて該重量物に取り付けることができ
る。

考案の効果 以上から明らかなように、本考案移動用支持構造におい
ては、つぎの効果を得ることができる。

即ち、水平方向に延び且つ駆動部により上下動される可
動ガイド部に対し、該可動ガイド部に沿って相互に離反
する方向へ移動可能とされた対向する２つの移動用部材
支持部が設けられ、該各支持部の離反側先端部から下方
に向け突設された移動用部材が、可動ガイド部の上下動
に伴って、重量物下端より上方の位置と、該下端より下
方へ突出した位置とをとるようにされているので、常時
は重量物の下端面による安定的な設置を可能にし、必要
に応じて移動用部材が該重量物から下方へ突出させて移
動を容易にすることができる。また、本考案移動用支持
構造は、支持部の各々を可動ガイド部の中央部に向け付
勢する弾性部材と、可動ガイド部の下降時において、支
持部の各々を相互離反方向へ移動させるカム機構とを備
えているので、重量物設置状態においては、支持部及び
移動用部材が、重量物内部に収容され、重量物を移動さ
せる際には、該重量物から張り出した状態とされ、従っ
て重量物移動時における安定度が向上されて、転倒する
ということが防止される。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図は本考案の１実施例にかかる移動用支持構造を
間仕切家具が設置状態にある場合を例にとって示す側面
図、第１Ｂ図はその正面図、第２Ａ図は間仕切家具が移
動状態にある場合を例にとって示す側面図、第２Ｂ図は
その正面図、第３図は第１Ａ図におけるＩ−Ｉ線に沿う
断面図、第４図は第２Ａ図におけるII−II線に沿う断面
図である。 （１）……移動用支持構造 （２）……可動ガイド部 （３）……移動用部材支持部 （４）……駆動部 （５）……キャスタ （６）……引張りコイルばね （９）……カム機構 （１０）……固定ガイド部 （４１）……ボールねじ用ナット （４２）……ねじ付ロッド （４３）……駆動装置 （９１）……テーパ付板カム （９１ａ）……カム面 （９２）……カムフォロワ （Ａ）……枠体 （Ｂ）……収容部底板 （Ｃ）……空所

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部において両側方に開いた空所を有する
   重量物の該空所内に上下動可能に収容され前記両側方に
   向け水平に延びる可動ガイド部と、前記重量物に固定的
   に設けられたガイド部材を有し前記可動ガイド部を鉛直
   方向に案内する固定ガイド部と、前記可動ガイド部を前
   記固定ガイド部による案内下に上下動させる駆動部と、
   前記可動ガイド部の長手方向に対向する位置で前記可動
   ガイド部に支持され相互の接近離反方向へ摺動案内され
   る２つの移動用部材支持部と、該各支持部の先端部から
   下方に突設された移動用部材と、前記２つの支持部を相
   互に接近する方向に付勢する弾性部材と、前記可動ガイ
   ド部の下降時において前記支持部を相互に離反する方向
   へ移動させるカム機構とを備えた重量物の移動用支持構
   造であって、前記カム機構は、前記重量物の下端及び支
   持部のうちの一方において該各支持部に対応して設けら
   れたテーパ付板カムと、前記重量物及び支持部のうちの
   他方に支持されて前記可動ガイド部の下降時に前記板カ
   ムと協働し、前記板カムの傾斜したカム面に基づき前記
   支持部の各々を前記弾性部材の付勢力に抗し相互に離反
   する方向へ移動させるカムフォロワとを備えており、前
   記各支持部及び移動用部材は、前記可動ガイド部の上昇
   位置において前記重量物内に収容され、該可動ガイド部
   の最下降位置において前記固定ガイド部の両側から突出
   すると共に、前記移動用部材が前記重量物より下方へ突
   出するようにされていることを特徴とする重量物の移動
   用支持構造。